IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大東エンジニアリングの特許一覧

<>
  • 特開-既設杭引き抜き装置 図1
  • 特開-既設杭引き抜き装置 図2
  • 特開-既設杭引き抜き装置 図3
  • 特開-既設杭引き抜き装置 図4
  • 特開-既設杭引き抜き装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099883
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】既設杭引き抜き装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 9/02 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
E02D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213942
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】520509096
【氏名又は名称】株式会社大東エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】松田 龍貴
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA01
2D050DA03
2D050DA09
2D050DB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置の軽量化と構造の簡略化を図ることができるようにした既設杭引き抜き装置を提供する。
【解決手段】既設杭の最大外径よりも大きい内径をもつ円筒状のケーシングと、このケーシングの下部に、油圧シリンダ2による駆動でケーシング内に突出するように取り付けられたチャック爪3とを備え、ケーシングが、複数のケーシング部を連結してなるとともに、ケーシングの先端に位置するケーシング部11の外周部に、油圧シリンダ2及びチャック爪3を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設杭の最大外径よりも大きい内径をもつ円筒状のケーシングと、このケーシングの下部に、油圧シリンダによる駆動でケーシング内に突出するように取り付けられたチャック爪とを備えるようにした既設杭の引き抜き装置において、ケーシングが、複数のケーシング部を連結してなるとともに、該ケーシングの先端に位置するケーシング部の外周部に、油圧シリンダ及びチャック爪を備えるようにしたことを特徴とする既設杭の引き抜き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に残存する既設杭を引き抜くために用いられる既設杭引き抜き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物や土木構造物等を構築するとき、その基礎を構成するために地中に既成杭が打ち込まれて埋設される。
このため、建築物や土木構造物等の建て替え等を行うときには、古い構築物を解体撤去するだけでなく、地中に埋設されている既成杭を撤去する必要がある。
【0003】
この地中に埋設されている既成杭を撤去するために、既設杭引き抜き装置が汎用されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【0004】
この既設杭引き抜き装置は、例えば、図1図2に示すように、地中に埋設されている既設杭Pの最大外径よりも大きい内径をもつ円筒状のケーシング1と、このケーシング1の下部に、油圧シリンダ2による駆動でケーシング1内に突出するように取り付けられたチャック爪3とを備え、ケーシング1を地盤に挿入して、ケーシング1内に既設杭Pを配置し、チャック爪3をケーシング1内へ突出させて、チャック爪3でケーシング1の既設杭Pの下端を支持した状態でケーシング1を引き抜くことにより、既設杭Pをケーシング1と共に引き抜くようにしている。
【0005】
ところで、従来の既設杭引き抜き装置は、地中に埋設されている既設杭Pの長さや埋設深さに対応するために、ケーシング1を、複数のケーシング部11、12、13、14、15、16を連結してなるとともに、ケーシング1の先端(下端)に位置するケーシング部16の外周部に、チャック爪3を、ケーシング1の基端(上端)に位置するケーシング部11の外周部に、油圧シリンダ2を、それぞれ備えるようにし、油圧シリンダ2とチャック爪3をロッド部材4で接続することで、油圧シリンダ2の駆動力を、ロッド部材4を介して、チャック爪3に伝達するようにしていた。
【0006】
そして、油圧シリンダ2の駆動力をチャック爪3に伝達するロッド部材4は、チャック爪3を押し操作するものであるため、剛性を必要とし、このため、装置が重量化するとともに、ロッド部材4を摺動可能に案内するガイド部材5の構造が複雑になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5203539号公報
【特許文献2】特許第3780293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の既設杭引き抜き装置の有する問題点に鑑み、油圧シリンダの駆動力をチャック爪に伝達するロッド部材及びそれを案内するガイド部材を省略することで、装置の軽量化と構造の簡略化を図ることができるようにした既設杭引き抜き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の既設杭引き抜き装置は、既設杭の最大外径よりも大きい内径をもつ円筒状のケーシングと、このケーシングの下部に、油圧シリンダによる駆動でケーシング内に突出するように取り付けられたチャック爪とを備えるようにした既設杭の引き抜き装置において、ケーシングが、複数のケーシング部を連結してなるとともに、該ケーシングの先端に位置するケーシング部の外周部に、油圧シリンダ及びチャック爪を備えるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の既設杭引き抜き装置によれば、ケーシングの先端に位置するケーシング部の外周部に、油圧シリンダ及びチャック爪を備えるようにすることにより、油圧シリンダの駆動力をチャック爪に伝達するロッド部材及びそれを案内するガイド部材を省略することで、装置の軽量化と構造の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の既設杭引き抜き装置を示す全体正面図である。
図2】同既設杭引き抜き装置のケーシングを示す全体正面図である。
図3】本発明の既設杭引き抜き装置のケーシングの先端に位置するケーシング部を示す正面図である。
図4】同側面図である。
図5】同底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の既設杭引き抜き装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図3図5に、本発明の既設杭引き抜き装置の一実施例を示す。
この既設杭引き抜き装置は、図1図2に示す従来の既設杭引き抜き装置と同様、地中に埋設されている既設杭Pの最大外径よりも大きい内径をもつ円筒状のケーシング1と、このケーシング1の下部に、油圧シリンダ2による駆動でケーシング1内に突出するように取り付けられたチャック爪3とを備え、ケーシング1を地盤に挿入して、ケーシング1内に既設杭Pを配置し、チャック爪3をケーシング1内へ突出させて、チャック爪3でケーシング1の既設杭Pの下端を支持した状態でケーシング1を引き抜くことにより、既設杭Pをケーシング1と共に引き抜くようにしたものである。
【0014】
そして、この既設杭引き抜き装置は、ケーシング1が、複数のケーシング部11、12、13、14、15、16を連結してなるとともに、図3図5に示すように、ケーシング1の先端(下端)に位置するケーシング部11の外周部に、油圧シリンダ2及びチャック爪3を備えるようにしている。
なお、ケーシング部11、12、13、14、15、16の連結は、回転嵌合結合、フランジ結合等の任意の結合手段を用いることができる。
【0015】
油圧シリンダ2及びチャック爪3は、本実施例においては、2組の油圧シリンダ2及びチャック爪3を、ケーシング部11の外周部の対向位置(180°の位置)に設置するようにしているが、図5(b)に示すように、3組(又はそれ以上)の油圧シリンダ2及びチャック爪3を、等角度間隔に設置するようにすることもできる。
【0016】
また、油圧シリンダ2とチャック爪3は、油圧シリンダ2のピストンロッドを、連結具8を介して、チャック爪3に接続することで、油圧シリンダ2の駆動力を、チャック爪3に伝達するようにしている(図4の右側は、油圧シリンダ2のピストンロッドを縮め、チャック爪3を収納した状態を、左側は、油圧シリンダ2のピストンロッドを伸ばし、チャック爪3をケーシング1内へ突出させた状態を、それぞれ示す。)。
なお、油圧シリンダ2のピストンロッドを、チャック爪3に直接接続することもできる。
これにより、油圧シリンダ2の駆動力をチャック爪3に伝達するロッド部材4及びそれを案内するガイド部材5を省略することができ、装置の軽量化と構造の簡略化を図ることができる。
【0017】
油圧シリンダ2に対する作動油の供給・排出を行うための給油管(図示省略)には、油圧ホースや金属製の管部材を使用することができ、これをケーシング1の外周面に沿って配設し、必要に応じて、油圧シリンダ2と共に、アングル鋼 (等辺山形鋼)等からなるカバー部材(図示省略)で覆うようにする。
また、ケーシング1の上部には、油圧シリンダ2に対する作動油の供給・排出を行うためのスイベル(図示省略)を配設するようにしている。
【0018】
ケーシング部11には、ケーシング部11の下端面に、掘削歯61を設けるとともに、外周面に余堀り掘削歯62を設けるようにしている。
【0019】
さらに、ケーシング1には、その外周面に沿って、水やベントナイト等の泥土化剤を供給し、切羽に向けて噴出させるための配管7を配設し、配管7の先端に設けたノズル71をケーシング部11内に臨ませるようにしている。
配管7は、必要に応じて、ノズル71と共に、アングル鋼 (等辺山形鋼)等からなるカバー部材72で覆うようにする。
【0020】
この既設杭引き抜き装置は、ケーシング部11を先端(下端)に取り付けたケーシング1を地盤に挿入して、ケーシング1内に既設杭Pを配置し、油圧シリンダ2の駆動力を、ピストンロッドを介して、チャック爪3に直接伝達させることで、チャック爪3をケーシング1内へ突出させて、チャック爪3でケーシング1の既設杭Pの下端を支持した状態でケーシング1を引き抜くことにより、既設杭Pをケーシング1と共に引き抜くようにする。
【0021】
以上、本発明の既設杭引き抜き装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の既設杭引き抜き装置は、油圧シリンダの駆動力をチャック爪に伝達するロッド部材及びそれを案内するガイド部材を省略することで、装置の軽量化と構造の簡略化を図ることができる特性を有していることから、既設杭引き抜き装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ケーシング
11、12、13、14、15、16 ケーシング部
2 油圧シリンダ
3 チャック爪
4 ロッド部材
5 ガイド部材
61 掘削歯
62 余堀り掘削歯
7 (泥土化剤供給用)配管
8 連結具
P 既成杭
図1
図2
図3
図4
図5