IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 電気化学工業株式会社の特許一覧 ▶ 大平洋機工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-連続混合装置 図1
  • 特開-連続混合装置 図2
  • 特開-連続混合装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099895
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】連続混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/71 20220101AFI20220628BHJP
   B01F 23/50 20220101ALI20220628BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20220628BHJP
【FI】
B01F15/02 B
B01F3/12
B01F15/02 A
B01F7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213959
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000207724
【氏名又は名称】大平洋機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 和人
(72)【発明者】
【氏名】長崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 博
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB38
4G035AB41
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA09
4G037AA11
4G037EA04
4G078AA10
4G078AA26
4G078AB02
4G078BA03
4G078BA05
4G078CA01
4G078DA01
4G078EA10
4G078EA15
(57)【要約】
【課題】液体と粉体等を効率的に連続して混合することを可能とした連続混合装置を提案する。
【解決手段】混合槽2と、混合槽2内に設けられた回転体3と、混合槽2の上面に接続されたホッパー4と、混合槽2の上面に接続された給液管5とを備える連続混合装置1である。回転体3は、混合槽2の中心軸を中心に回転可能である。また、ホッパー4は、混合槽2の上面の中心からずらした位置に接続されている。また、ホッパー4には内面全体に水を供給するためのノズル7が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合槽と、
前記混合槽内に設けられた回転体と、
前記回転体の上方に配置されたホッパーと、
前記回転体の上面に液体を供給する給液管と、を備える連続混合装置であって、
前記ホッパーは、前記回転体の回転中心からずらした位置に配置されていて、
前記ホッパーには、前記ホッパーの内面全体に液体を供給するためのノズルが設けられていることを特徴とする、連続混合装置。
【請求項2】
前記ホッパーの下端開口縁が、平面視で前記混合槽の中心及び内面から少なくとも10mm以上離れた位置に配置していることを特徴とする、請求項1に記載の連続混合装置。
【請求項3】
前記ノズルが、前記ホッパーの内面に沿って設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続混合装置。
【請求項4】
前記給液管が、前記回転体の上面中央部に液体を供給することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の連続混合装置。
【請求項5】
複数の前記給液管が、前記回転体の上面縁部に沿って並設されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の連続混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体と粉体または粒体(以下、「粉体または粒体」を単に「粉体等」という。)とを連続的に混合(混練)する連続混合装置として、例えば、特許文献1には、混合槽内に配設された回転体を回転させることにより、混合槽の上部から供給された混合材料を混合するものが開示されている。回転体は、混合槽の中心部に設けられた回転軸を中心に回転する。回転体の外面には複数本の突子が立設されていて、混合槽の内面と回転体の外面との間に流入した混合材料を混合する。また、液体と粉体等は、混合槽の上部中央に形成された投入口から別々に混合槽内に投入される。
【0003】
混合槽の上部中央の投入口から投入された粉体等は、回転体の上面に落下し、回転体の回転に伴う遠心力により回転体の周囲に分散される。回転体の周囲に分散した粉体等は、回転体と混合槽との隙間に流下して液体と混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭62-289225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、回転の中心部では遠心力が作用し難いため、連続混合装置を使用続けると回転体の上面中央に粉体等が滞留してしまう。回転体の上面に粉体等が滞留すると、投入口が閉塞されて材料を供給できなくなるため、作業を中断して滞留した粉体等を除去する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、液体と粉体等を効率的に連続して混合することを可能とした連続混合装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明の連続混合装置は、混合槽と、前記混合槽内に設けられた回転体と、前記回転体の上方に配置されたホッパーと、前記回転体の上面に液体を供給する給液管とを備えている。前記ホッパーは、前記回転体の回転中心からずらした位置に配置されている。また、前記ホッパーには、前記ホッパーの内面全体に液体を供給するためのノズルが設けられている。
【0008】
かかる連続混合装置によれば、ホッパーの接続箇所(粉体投入口)が、回転体の中心から離れた位置に設けられているため、回転体の上面に粉体等が滞留することを防止できる。また、ノズルによってホッパーの内面に液体が供給されるので、ホッパーの内面に粉体等が付着することを防止できる。そのため、粉体投入口に粉体等が滞留し難くなり、連続的に材料を混合できる。
【0009】
前記ホッパーの開口縁は、平面視で前記混合槽の中心から少なくとも10mm以上外側で、当該混合槽の内面から少なくとも10mm以上内側に配置することが望ましい。中心から10mm以内であると粉体の堆積が発生する可能性があり、内面から10mm以内であると混合槽内の水の逆流により粉体投入口が閉塞する可能性がある。
【0010】
前記ノズルが、前記ホッパーの内面に沿って横向きや斜め下向きに設けられていれば、ホッパーの内面に対して液体を旋回させながら供給することが可能となる。こうすると、最小限の本数のノズルによりホッパーの内面全体に液体を供給することが可能となる。
【0011】
なお、前記給液管の数および配置は限定されるものではなく、例えば、前記回転体の上面中央部に液体を供給するように配設されていてもよいし、前記回転体の上面縁部に沿って並設されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の連続混合装置によれば、液体と粉体等を効率的に連続して混合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る連続混合装置を示す断面図である。
図2】連続混合装置の平面図である。
図3】他の形態に係る連続混合装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態では、連続的に供給された液体(例えば、水)と水硬性の粉体(例えば、セメント)とを混錬して、粘度が高い混合体を連続的に製造する連続混合装置1について説明する。なお、液体と粉体の配合や、混合体の粘度等は限定されるものではない。
本実施形態の連続混合装置1は、図1に示すように、混合槽2と、回転体3と、ホッパー4と、給液管5とを備えている。連続混合装置1は、ホッパー4を介して混合槽2の上部から投入された材料を、混合槽2内において混練しつつ流下させて、生成された混合体を混合槽2の下部から外部へ流出させる。
【0015】
混合槽2は、混合体を生成するための金属製の中空容器である。本実施形態の混合槽2は、中空の部材からなる本体部21と、本体部21の上面を覆う蓋材22とを備えている。
本体部21は、上面の面積が下面の面積よりも大きい逆円錐台状を呈している。本体部21の内部には、回転体3が収納されている。また、本体部21の底部には、混合体を流出させるための出口23が形成されている。本実施形態では、本体部21の側壁と底部との角部に出口23が開口し、本体部21内の混合物の流出が可能に構成されている。出口23は、開閉可能に構成してもよい。
【0016】
蓋材22には、ホッパー4の接続位置に第一貫通孔24が形成されており、給液管5の接続位置に第二貫通孔25が形成されている。第一貫通孔24は、粉体の入口である。第一貫通孔24の内径は、ホッパー4の下端開口の内径と同等とする。なお、第一貫通孔24は、ホッパー4の下端部を挿通可能な内径を有していてもよい。また、第二貫通孔25は、液体の入口であり、蓋材22の中央に形成されている。
【0017】
本体部21の中心部には、動力源(モーター)6から延設された出力軸61が配設されている。出力軸61は、回転体3に接続されている。動力源6は、出力軸61を介して、回転体3に回転力を付与する。
【0018】
回転体3は、図1に示すように、混合槽2の内部に回転可能に設けられている。回転体3は、上面の面積が下面の面積よりも大きい逆円錐台状を呈しており、出力軸61(縦軸)を中心に回転する。回転体3の外面と、混合槽2の内面との間には、所定の大きさの隙間が形成されている。本実施形態の回転体3は、上面と側面との角部が、面取りされていて、回転体3の側面と本体部21の内面との隙間の上部が拡幅されている。こうすることで、材料を流下しやすくしている。
【0019】
回転体3の外面(上面および側面)には、複数の突子(攪拌羽)31が突設されている。突子31は、混合槽2内に供給された材料(水と粉体)を攪拌する。本実施形態の突子31は、円柱状を呈している。突子31の高さは、混合槽2内での回転体3の回転を妨げることがないように、混合槽2と回転体3との隙間の大きさよりもわずかに小さい。なお、突子31の形状や配置等は限定されるものではなく、材料を効率よく撹拌しつつ本体部21の下部へ誘導するように適宜決定すればよい。
【0020】
ホッパー4は、回転体3の上方に配置されている。本実施形態のホッパー4は、回転体3の上方において、混合槽2の蓋材22に接続されている。ホッパー4は、上下端が開口した金属製の筒状部材からなり、上端の開口(投入口)から投入された粉体を下端の開口(混合槽2)に誘導する。ホッパー4の下端の開口は、蓋材22の第一貫通孔24に連通していて、ホッパー4に投入された粉体は、第一貫通孔24を通じて混合槽2内に投入される。
【0021】
本実施形態のホッパー4は、内径が一定の円筒状の下部41と、上に行くにしたがって拡径する断面視円錐台状の上部42とを備えている。なお、ホッパー4の形状は限定されるものではなく、例えば全長(全高)にわたって断面視円錐台状を呈するものでもよいし、断面が一様な筒状でもよい。本実施形態のホッパー4(下部41)の下端開口縁(下部41の内面)は、図2に示すように、平面視で混合槽2の内面および中心からズレた位置(例えば混合槽2の内面から10mm以上中心側)に配置している。すなわち、ホッパー4は、混合槽2の中心に対して偏心した位置に配設されていて、ホッパー4の中心と回転体3の回転中心とは同軸上に配置されていない。
【0022】
ホッパー4には、ホッパー4の内面全体に液体を供給するためのノズル7が設けられている。本実施形態では、一対のノズル7が、ホッパー4(上部42)の上端部において、ホッパー4の中心を挟んで対向する位置に設けられている。ノズル7には、送液管71が接続されている。ノズル7は、送液管71を介して送液された液体(水)を、ホッパー4の内面に沿って液体(水)を噴射する。本実施形態のノズル7は、可撓性部材からなり、ノズル7を曲げたりしぼめたりすることで、ノズル7から噴射する水量および噴射方向の微調整が可能に構成されている。本実施形態のノズル7は、ノズル7から噴射された液体がホッパー4の内面全体に行き渡るように、ホッパー4の内面に沿って斜め下向きまたは横向きに設けられている。このようにすると、ホッパー4の内面を螺旋状に旋回する液体の流れが形成される。なお、ノズル7の向きは限定されるものではなく、例えば、ホッパー4の周方向に沿って多数のノズル7を配設する場合には、ノズル7を下向きに設置してもよい。また、本実施形態では、ホッパー4の内側にノズル7を配置したが、ホッパー4の周壁に貫通孔を設け、当該貫通孔をノズル7としてもよいし、ホッパー4の上端部に複数の孔が形成された送液用のホースを周設し、この孔をノズル7としてもよい。
【0023】
給液管5は、回転体3の上面に液体を供給する。本実施形態では、一本の給液管5が、蓋材22の中央部に接続されている。給液管5は、蓋材22の第二貫通孔25に連通していて、混合槽2の内面に液体(水)を供給する。なお、ノズル7から供給される液体と給液管5から供給される液体は、同一のものであってもよいし、異なるものでもよい。
【0024】
連続混合装置1による材料の製造は、以下のように行われる。
まず、ホッパー4の上縁の開口部から粉体を投入するとともに、給液管5を介して水(液体)を混合槽2内に供給する。ホッパー4に粉体を投入する際には、ノズル7から水を噴射する。ノズル7を介して供給される水の量は、ホッパー4の内面全体に水の膜を形成できる程度とする。ノズル7による水の供給量および噴射方向は、ノズル7の先端部を調整することにより行う。また、給液管5により供給される水の量は、生成する材料の設計水粉体比により決定された水の量からノズル7により供給される水の量を差し引いた量とする。
【0025】
ホッパー4を介して供給された粉体は、混合槽2内に落下して、混合槽2内において水と混合される。混合槽2内では、回転体3が回転することで、回転体3と本体部21との隙間において、粉体と水とが混合される。回転体3の上面に落下した粉体は、給液管5により回転体3の上面に供給された水の流れと粉体に作用する遠心力により回転体3と本体部21との隙間に流下する。本体部21の内部において混合された材料は、出口23から排出される。
【0026】
本実施形態の連続混合装置1によれば、ホッパー4の接続箇所(下部41、第一貫通孔24)が、回転体3の中心(出力軸61)から離れた位置に設けられているため、回転体3の上面に粉体等が滞留することを防止できる。
【0027】
ホッパー4の下端開口縁(下部41)は、平面視で混合槽2(本体部21)の内面及び中心から離れているため、したがって、回転体3の回転によって撥ねた材料等がホッパー4内に逆流することを抑制できる。また、ホッパー4と給液管5も、混合槽2の上面において互いに離れた位置に配設されているため、給液管5から供給された水が回転体3の上面で跳ねたとしても、ホッパー4内に逆流し難い。
【0028】
また、ノズル7によってホッパー4の内面に液体が供給されるので、ホッパー4の内面に粉体等が付着することを防止できる。そのため、粉体投入口(下部41)に粉体等が滞留し難くなり、連続的に材料を混合できる。また、ノズル7が、ホッパー4の内面に沿って横向きまたは斜め下向きに設けられているため、ホッパー4の内面に対して水を旋回させながら供給できる。そのため、最小限の本数のノズル7によりホッパー4の内面全体に水を供給し、粉体がホッパー4の内面に付着することを防止できる。
【0029】
給液管5およびノズル7から供給される水の量は、配合設計により設計された水粉体比により設定された値により決定するため、所定の水粉体比の材料が製造される。
混合槽2内では、回転体3の突子31により材料が混合されるため、混合槽2内において材料が流下する段階で効率的に混合される。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、ホッパー4の接続位置は、混合槽2の中心からズレた位置であれば限定されるものではない。
【0031】
混合槽2および回転体3の形状等は限定されるものではなく、例えば、円筒状等、適宜決定すればよい。
また、前記実施形態では、回転体3が縦軸を中心に回転するものとしたが、回転体3の回転軸(出力軸61)は、傾斜していてもよいし、横軸であってもよい。
【0032】
給液管5の数および配置は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。例えば、図3に示すように、三本の給液管5が、回転体3の上面縁部に沿って並設しておもよい。このとき、給液管5は、蓋材22の周縁から所定の間隔をあけた位置に、弧状に並設するのが望ましい。また、蓋材22には、給液管5の配置に応じて、第二貫通孔25が形成されている。
【符号の説明】
【0033】
1 連続混合装置
2 混合槽
3 回転体
4 ホッパー
5 給液管
6 動力源
7 ノズル
図1
図2
図3