(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099944
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】六角形セグメント
(51)【国際特許分類】
E21D 11/04 20060101AFI20220628BHJP
E21D 11/08 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
E21D11/04 Z
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214030
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英典
(72)【発明者】
【氏名】木村 隼平
(72)【発明者】
【氏名】荻野 尋紀
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155EB01
2D155GC01
2D155GC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】六角形セグメントの運搬中に連結ボルトが抜け落ちずに、組み付け場所まで長距離を安全に運搬する。
【解決手段】シールドトンネルの覆工体を形成するコンクリート製の六角形セグメントであって、切羽側軸方向接合面13及び坑口側軸方向接合面14と、切羽側軸方向接合面及び坑口側軸方向接合面の一対の軸方向接合面の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置される、切羽側斜め接合面及び坑口側斜め接合面からなる一対のV字状周方向接合面と、切羽側軸方向接合面の両側の側部領域から両側の各々の坑口側斜め接合面の中央部に向けて、切羽側斜め接合面と平行に延設して貫通する連結ボルト部材挿通孔に挿通される連結ボルト部材と、連結ボルト部材の先端部に螺着される長ナットと、連結ボルト部材に挿通して取り付けられ、連結ボルト部材を連結ボルト部材挿通孔の内部において調芯するための、少なくとも2つの円環形状のリングと、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの軸方向及び周方向に連設してハニカム状に組み付けられることによって、シールドトンネルの覆工体を形成するコンクリート製の六角形セグメントであって、
切羽側軸方向接合面及び坑口側軸方向接合面と、
前記切羽側軸方向接合面及び前記坑口側軸方向接合面の一対の軸方向接合面の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置される、切羽側斜め接合面及び坑口側斜め接合面からなる一対のV字状周方向接合面と、
前記切羽側軸方向接合面の両側の側部領域から両側の各々の前記坑口側斜め接合面の中央部に向けて、前記切羽側斜め接合面と平行に延設して貫通する連結ボルト部材挿通孔に挿通される連結ボルト部材と、
前記連結ボルト部材の先端部に螺着される長ナットと、
前記連結ボルト部材に挿通して取り付けられ、前記連結ボルト部材を前記連結ボルト部材挿通孔の内部において調芯するための、少なくとも2つの円環形状のリングと、
を備え、
前記リングは、
前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔に挿入される前に、前記連結ボルト部材の中央付近から前記先端部の間に取り付けられ、
前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔に挿通中には、前記連結ボルト部材挿通孔の内壁との摩擦により、前記連結ボルト部材の後端部に向けて転がりながら移動しつつ、前記連結ボルト部材と前記連結ボルト部材挿通孔の内面とが接触しないようにし、
前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔の内部の所定の位置に到達すると、前記連結ボルト部材の前記中央付近と前記先端部との間及び前記中央付近と後端部との間に位置し、
前記長ナットは、前記連結ボルト部材が、前記連結ボルト部材挿通孔の内部の所定の位置に到達した後に、前記先端部に螺着され、前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔から抜け落ちないようにする、六角形セグメント。
【請求項2】
前記長ナットは、外周面の少なくとも一部が着色されている請求項1に記載の六角形セグメント。
【請求項3】
前記連結ボルト部材挿通孔は、円筒形状のシース管をコンクリート中に埋設することにより形成されている請求項1または2に記載の六角形セグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六角形セグメントに関し、トンネルの軸方向及び周方向に連設してハニカム状に組み付けることにより、シールドトンネルの覆工体を形成するコンクリート製の六角形セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
都市部や平野部において各種のトンネルを構築する方法として、シールド掘進機によるシールド工法が広く採用されている。シールド工法は、シールド掘進機の先端の切羽面を、泥土、泥水、圧気等によって押さえ付けつつカッターによって地山を掘削すると共に、シールド掘進機の後方に、トンネルの軸方向及び周方向に連設してセグメントを順次組み付けることによって、トンネルの内周面を覆う覆工体を形成し、組み付けられた覆工体の前端部に、シールドジャッキを押し付けることにより反力を得ながら、発進立坑から到達立坑に向けて、トンネルを地中に構築する工法である。
【0003】
近年、工事の効率化等を図る観点から、トンネルの内周面を覆う覆工体を構成するセグメントとして、一般的に用いられる矩形状の平面形状を備えるセグメントに代えて、六角形状の平面形状を備える六角形セグメントを用いたシールド工法が採用される場合がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。六角形セグメントは、平行に配置された切羽側軸方向接合面及び坑口側軸方向接合面と、これらの軸方向接合面の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置された、切羽側斜め接合面及び坑口側斜め接合面からなる一対のV字状周方向接合面とを備えている。六角形セグメントは、トンネルの掘進方向後方側に先行して組み付けられた六角形セグメントの切羽側軸方向接合面及び切羽側斜め接合面に、トンネルの掘進方向前方側に後続して組み付けられる六角形セグメントの坑口側軸方向接合面及び坑口側斜め接合面を各々重ね合わせつつ、各々の六角形セグメントにおける、トンネル掘進方向前方側の半分の部分である等脚台形部分を、周方向に間隔をおいて交互に突出させながら、トンネルの軸方向及び周方向にハニカム状に配置されて順次組み付けられていく(例えば、特許文献3)。
【0004】
また、六角形セグメントを用いたシールド工法では、六角形セグメントの交互に突出する等脚台形状部分の切羽側接合面にシールドジャッキを押し当てて、反力を取りつつシールド掘進機を掘進させながら、これと並行して、シールドジャッキを押し当てた隣接する等脚台形状部分の間の領域において、後続する六角形セグメントを組み付ける作業を行うことができるので(例えば、特許文献3の
図5~
図10参照)、矩形状の平面形状を備えるセグメントを用いたシールド工法のように、シールド掘進機を掘進させる工程を一リング毎に中断してセグメントを組み立てる作業を行うことなく、六角形セグメントを組み付けながら、シールド掘進機の掘進を連続して行うことで、効率よくシールド工事を行うことが可能となる。
【0005】
さらに、六角形セグメントを用いたシールド工法では、隣接する六角形セグメントの間の連結は、切羽側軸方向接合面や坑口側軸方向接合面、切羽側斜め接合面、坑口側斜め接合面による周辺部の接合面の間を貫通して取り付けられる、連結ボルトを用いて行われるので(例えば、特許文献1~3参照)、矩形状の平面形状を備えるセグメントによる覆工体の内周面に現れるような、連結ボルトの締結作業を行うためのボルトボックス等による凹凸が、六角形セグメントによる覆工体の内周面には形成されないようすことができる。これによって、覆工体の内周面を平滑な状態に保持できるので、好ましくは内側面に防食層を施した六角形セグメントによる覆工体の内側に、さらに二次覆工を施工する必要がなく、六角形セグメントによる覆工体の内周面をそのままトンネルの内周面として用いて、構築したシールドトンネルを、例えば、水を流通させる下水道用の管渠や、雨水を一時的に貯留する貯水池用のトンネルとして有効活用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2596666号公報
【特許文献2】特開平9-273395号公報
【特許文献3】特許第3253870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、六角形セグメントを用いたシールド工法においては、隣接する六角形セグメント同士を連結するための連結ボルトを六角形セグメントの挿通孔に挿通された状態で、六角形セグメントが、組み付け作業を行う切羽面まで運搬される。六角形セグメントをバックヤードから切羽面まで台車に載せて運搬する間に、挿通された連結ボルトが、台車の振動等により六角形セグメントから抜け落ちることがあったため、シールドトンネル内に設置された様々な設備や装置、機器などと抜け落ちた連結ボルトが接触し、当該設備等が破損したり、故障したりすることがあった。
【0008】
したがって、本発明は、六角形セグメントの運搬中に連結ボルトが抜け落ちずに、組み付け場所まで長距離を安全に運搬することができる六角形セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トンネルの軸方向及び周方向に連設してハニカム状に組み付けられることによって、シールドトンネルの覆工体を形成するコンクリート製の六角形セグメントであって、切羽側軸方向接合面及び坑口側軸方向接合面と、前記切羽側軸方向接合面及び前記坑口側軸方向接合面の一対の軸方向接合面の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置される、切羽側斜め接合面及び坑口側斜め接合面からなる一対のV字状周方向接合面と、前記切羽側軸方向接合面の両側の側部領域から両側の各々の前記坑口側斜め接合面の中央部に向けて、前記切羽側斜め接合面と平行に延設して貫通する連結ボルト部材挿通孔に挿通される連結ボルト部材と、前記連結ボルト部材の先端部に螺着される長ナットと、前記連結ボルト部材に挿通して取り付けられ、前記連結ボルト部材を前記連結ボルト部材挿通孔の内部において調芯するための、少なくとも2つの円環形状のリングと、を備え、前記リングは、前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔に挿入される前に、前記連結ボルト部材の中央付近から前記先端部の間に取り付けられ、前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔に挿通中には、前記連結ボルト部材挿通孔の内壁との摩擦により、前記連結ボルト部材の後端部に向けて転がりながら移動しつつ、前記連結ボルト部材と前記連結ボルト部材挿通孔の内面とが干渉しないようにし、前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔の内部の所定の位置に到達すると、前記連結ボルト部材の前記中央付近と前記先端部との間及び前記中央付近と後端部との間に位置し、前記長ナットは、前記連結ボルト部材が、前記連結ボルト部材挿通孔の内部の所定の位置に到達した後に、前記先端部に螺着され、前記連結ボルト部材が前記連結ボルト部材挿通孔から抜け落ちないようにする、六角形セグメントを提供することにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、六角形セグメントの運搬中に連結ボルトが抜け落ちずに、組み付け場所まで長距離を安全に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る六角形セグメントを用いて形成される覆工体を説明する部分破断斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る六角形セグメントの構成を説明する、(a)は正面図、(b)は(a)をA方向から見た側面図、(c)は(a)をB方向から見た側面図、(d)は(a)をC方向から見た周方向端面図である。
【
図3】(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係る六角形セグメントの要部を、連結ボルト部材を締着した状態で説明する部分正面図、(b)は(a)のD部拡大図、(c)は(a)のE部拡大図である。
【
図4】六角形セグメントのコンクリート中に埋設される雌ネジアンカーの構成を説明する側面図である。
【
図5】雌ネジアンカーのアンカー部が斜めボルト挿通孔と立体交差状に配置されている状態を説明する、
図3(a)のF-Fに沿った略示断面図である。
【
図6】(a)~(c)は、複数の六角形セグメントを組み付けてセグメント覆工体を形成する工程の説明図である。
【
図7】(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係る六角形セグメントに用いられる連結ボルト及び連結ボルトに取り付けられたリングの正面図、(b)は、連結ボルトを六角形セグメントに挿通した際の六角形セグメントの部分拡大図、(c)は、リングの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい一実施形態に係る六角形セグメント10は、例えば、
図1に示すように、鉄筋コンクリート製の複数の六角形セグメント10を、トンネルの軸方向X(掘進方向)及び周方向Yに連設してハニカム状に組み付けることによって、好ましくは、雨水を一時的に貯留するための、貯水池用のシールドトンネルの内周面を覆う覆工体11を形成する際に用いられる。
【0013】
六角形セグメント10は、連結ボルト部材24や連結ボルト部材挿通孔23の本数を多くしたり、連結ボルト部材24のボルト径や連結ボルト部材挿通孔23の内径を大きくしたりすることなく、設計通りの本数や径のまま、各隣接する六角形セグメント10の間の接合強度を大きくすることを可能にして、複数の六角形セグメント10を安定した状態で一体として接合できるようにする機能を備えている。
【0014】
そして、六角形セグメント10は、切羽側軸方向接合面13及び坑口側軸方向接合面14と、これらの一対の軸方向接合面(13,14)の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置される、切羽側斜め接合面15及び坑口側斜め接合面16からなる一対のV字状周方向接合面17とを備え、トンネルの軸方向(X方向)及び周方向(Y方向)に連設してハニカム状に組み付けられることによって、シールドトンネルの覆工体11を形成するコンクリート製の六角形セグメント10において、
図2(a)~(d)に示すように、切羽側軸方向接合面13の両側の側部領域から両側の各々の坑口側斜め接合面16の中央部に向けて、切羽側斜め接合面15と平行に延設して貫通する連結ボルト部材挿通孔23が設けられていると共に、両側の各々の切羽側斜め接合面15には、切羽側斜め接合面15の中央部に雌ネジ孔30aの先端部を臨ませて、連結ボルト部材挿通孔23に挿通された連結ボルト部材24の先端部が螺着される雌ネジアンカー30が、コンクリート中に埋設されている。雌ネジアンカー30は、連結ボルト部材挿通孔23を超える位置まで延設していると共に、曲折部32aを備えていることで、連結ボルト部材挿通孔23と立体交差状に配置されてコンクリート中に埋設されている。
【0015】
また、好ましくは、六角形セグメント10の連結ボルト部材挿通孔23は、円筒形状のシース管23bをコンクリート中に埋設することによって形成されている。さらに、好ましくは、雌ネジアンカー30のアンカー部32は、
図4及び
図5に示すように、雌ネジスリーブ部31の埋設側端部に後続して、雌ネジスリーブ部31の中心軸上に直線状に延設する直線状部32bと、直線状部32bの後端部に接続して、曲折した状態で延設する曲折部32aとからなっている。
【0016】
図1に示す六角形セグメント10による覆工体11は、好ましくは、雨水を一時的に貯留する貯水池用のシールドトンネルとして、例えば、内径が4,900mm程度の大きさのトンネルを形成するものとなっている。また、覆工体11は、後述する六角形セグメント10が、好ましくは、内側面に防食層を施した、二次覆工一体型のコンクリート製のセグメントとなっていることで、内周面を平滑な状態に保持して、内周面をそのまま、雨水を流通させるトンネルの内周面として用いることができるようになっている。
【0017】
覆工体11を形成する各々の六角形セグメント10は、
図2(a)~(d)に示すように、平行に配置された一対の軸方向接合面である切羽側軸方向接合面13及び坑口側軸方向接合面14と、これらの接合面(13,14)の両側の端部を各々連結するようにしてV字形状に配置された、切羽側斜め接合面15及び坑口側斜め接合面16からなる一対のV字状周方向接合面17とを備える、六角形の平面形状を有する鉄筋コンクリート製のセグメントとなっている。
【0018】
六角形セグメント10は、例えば、300mm程度の厚さを有すると共に、切羽側軸方向接合面13及び坑口側軸方向接合面14に沿った方向の断面が、覆工体11の例えば、4,900mmの内径に対応する曲率半径で、円弧状に湾曲する形状となっている。六角形セグメント10は、切羽側軸方向接合面13及び坑口側軸方向接合面14の間の幅が1,500mm程度、一対のV字状周方向接合面17の先端部の間の長さが3,116mm程度の大きさとなるように形成されている。
【0019】
各々のV字状周方向接合面17における、切羽側斜め接合面15と坑口側斜め接合面16との間の角度θ1は、120°となっている。これによって、複数の六角形セグメント10を、先行する六角形セグメント10の切羽側斜め接合面15及び切羽側軸方向接合面13に、後続して設置される六角形セグメント10の坑口側斜め接合面16及び坑口側軸方向接合面14を、順次隙間なく重ね合わせた状態で、軸方向及び周方向にハニカム状に配置してゆくことができるようになっている。
【0020】
また、各々の六角形セグメント10の、切羽側軸方向接合面13、坑口側軸方向接合面14、切羽側斜め接合面15及び坑口側斜め接合面16には、
図2(a)~(d)に示すように、外周面から30mm程度の間隔をおいて、20mm程度の幅の外側シール溝21aが、全周に亘って連続して形成されており、内周面から70mm程度の間隔をおいて、20mm程度の幅の内側シール溝21bが、全周に亘って連続して形成されている。外側シール溝21aには、好ましくは、帯状の水膨潤性シール材からなるシール材が、例えば、接着剤を介して全周に亘って連続して取り付けられる。六角形セグメント10においては、外側シール溝21a及び内側シール溝21bが、各々の六角形セグメント10の全周に亘って連続して2段に設けられている。
【0021】
さらに、各々の六角形セグメント10の、切羽側軸方向接合面13、坑口側軸方向接合面14、切羽側斜め接合面15及び坑口側斜め接合面16には、トンネル内周面側の縁部分に沿って、40mm程度の幅のコーキング溝22が、全周に亘って連続して形成されている。これらのコーキング溝22には、公知の帯状コーキング材が、例えば、接着剤を介して連続して取り付けられる。帯状コーキング材としては、例えば、特許第4646501号公報に記載のシールドセグメント用コーキング材と、同様の構成を備えるものを使用することができる。より具体的には、好ましくは、商品名「シーコーク」(積水化学工業株式会社製)を用いることができる。
【0022】
このような帯状コーキング材は、複数の六角形セグメント10が組み付けられて覆工体11が形成された際に、隣接する六角形セグメント10の接合部において対向する一対のコーキング溝22による目地部に、圧縮された状態で挟み込まれたり、水分を吸収して膨潤可能な状態で挟み込まれたりすることで、目地部に隙間なく充填されて、トンネル内部の水が、接合部からトンネルの外部に漏出するのを、強固に防止することが可能になる。
【0023】
各々の六角形セグメント10には、例えば、特許文献3に記載の亀甲型セグメント(六角形セグメント)と同様に、切羽側斜め接合面15と平行に延設して貫通する、連結ボルト部材挿通孔23が設けられている。各々の連結ボルト部材挿通孔23の切羽側軸方向接合面13側の端部には、連結ボルト部材24(
図3(a)~(c)、
図6(c)参照)の頭部24aを締着させる締着凹部23aが、開口面を切羽側軸方向接合面13に開口させた状態で形成されている。各々の連結ボルト部材挿通孔23は、上述のように、例えば、連結ボルト部材24の呼び径がM24の場合、内径が29~34mm程度の大きさの円筒形状のシース管23bを、コンクリート中に埋設することによって形成されていることが好ましい(
図3(b)、(c)参照)。
【0024】
また、切羽側軸方向接合面13における各々の締着凹部23aよりも切羽側斜め接合面15側の部分には、位置決め用の凹部13a(ソケット)が設けられている(
図2(a)参照)。これらの位置決め用の凹部13aには、トンネルの軸方向Xに後続して設置される六角形セグメント10の坑口側軸方向接合面14に設けられた一対の位置決め用の凸部14a(プラグ)(
図2(a)参照)が、嵌め込まれるようにして装着される。これによって、後続して設置される六角形セグメント10の坑口側軸方向接合面14の全体が、先行して設置された六角形セグメント10の切羽側軸方向接合面13の全体に、精度良く重ね合わされるように、トンネルの軸方向Xに隣接する六角形セグメント10を、位置決めできるようになっている。
【0025】
各々の六角形セグメント10の坑口側軸方向接合面14には、これの両側の側部領域における位置決め用の凹部13aと対応する位置に、上述の位置決め用の凸部14aが、各々設けられている。位置決め用の凸部14aは、好ましくは、直径が63.7(先端)~81(元端)mm程度、突出高さが、15mm程度の大きさの円形状のドラム形状を備える、周縁部が斜めに傾斜する凸部となっており、位置決め用の凹部13a(ソケット)は、このような位置決め用の凸部14a(プラグ)と、合致又は略合致する形状の凹部となっている。
【0026】
さらに、各々の六角形セグメント10の一対の切羽側斜め接合面15には、これらの中央部に先端部を臨ませて、雌ネジ孔30aが、コンクリート中に雌ネジアンカー30を埋設することによって設けられている。雌ネジ孔30aは、
図3(a)、(c)及び
図4に示すように、雌ネジアンカー30の雌ネジスリーブ部31に形成されており、先行して設置された六角形セグメント10の切羽側斜め接合面15に、後続して設置される六角形セグメント10に設けられた連結ボルト部材挿通孔23の、締着凹部23aとは反対側の端部と、直線状に連通するようになっている(
図3(a)参照)。これによって、連通した連結ボルト部材挿通孔23及び雌ネジ孔30aに、連結ボルト部材24を挿通すると共に、連結ボルト部材24の先端部を雌ネジ孔30aに螺着して締着させることにより、ハニカム状に配置された各々の隣接する六角形セグメント10を、強固に一体として連結することが可能になる(
図6(c)参照)。
【0027】
雌ネジアンカー30は、上述のように、各々、雌ネジ孔30aが形成された雌ネジスリーブ部31と、雌ネジスリーブ部31の埋設側端部に一体として接続されるアンカー部32とを有しており、アンカー部32は、連結ボルト部材挿通孔23を超える位置まで延設していると共に(
図3(a)参照)、曲折部32aを備えていることで(
図4参照)、連結ボルト部材挿通孔23と立体交差状に配置されてコンクリート中に埋設されている(
図5参照)。
【0028】
雌ネジアンカー30の雌ネジスリーブ部31は、
図4に示すように、例えば、ネジ径が24mm程度の大きさの雌ネジ孔30aを、切羽側斜め接合面15側である先端側の80mm程度の長さ領域に備えると共に、ネジ径が38mm程度の大きさの後部雄ネジ孔31aを、後端側の40mm程度の長さ領域に備えるインサートアンカーを用いて形成されており、例えば、65mm程度の長さを有している。
【0029】
雌ネジアンカー30のアンカー部32は、例えば、先端にネジ径が38mm程度の大きさの雄ネジ部32cを備える、例えばD38程度の太さの鉄筋棒となっている。鉄筋棒からなるアンカー部32は、例えば、先端側の40mm程度の長さ領域が雄ネジ部32cとなっており、雄ネジ部32cの後方の100mm程度の長さ領域が、雄ネジ部32cと同じ中心軸上に配置された直線状部32bとなっている。直線状部32bの後方には、例えば、直線状部32bに対して6~8°程度の角度θ2で折れ曲がった状態で、例えば、520mm程度の長さを有する曲折部32aが連続して延設している。
【0030】
アンカー部32は、先端側の雄ネジ部32cを雌ネジスリーブ部31の後部雄ネジ孔31aに螺着して締着固定されることにより、雌ネジスリーブ部31と一体となって雌ネジアンカー30を形成する。これによって、雌ネジアンカー30のアンカー部32は、上述のように、雌ネジスリーブ部31の埋設側端部に後続して、雌ネジスリーブ部31の中心軸上に直線状に延設する直線状部32bと、直線状部32bの後端部に後続して、曲折した状態で延設する曲折部32aとを備えることになる。また、アンカー部32は、例えば、520mm程度の長さを有していることから、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、連結ボルト部材挿通孔23を超える位置まで延設すると共に、曲折部32aが、雌ネジスリーブ部31と直線状に延設する直線状部32bから折れ曲がっていることで、連結ボルト部材挿通孔23と立体交差状に配置されてコンクリート中に埋設されることになる(
図5参照)。
【0031】
したがって、連結ボルト部材挿通孔23やこれに挿通される連結ボルト部材24との干渉を避けながら、雌ネジアンカー30のアンカー部32の締着長を、必要なだけ長くすることが可能なので、連結ボルト部材挿通孔23に挿通されて雌ネジアンカー30の雌ネジスリーブ部31の雌ネジ孔30aに螺着される連結ボルト部材24を、より強く締め付けて締着させることが可能になり、これにより、各隣接する六角形セグメント10の間の接合強度を大きくすることが可能となり、六角形セグメント10を、より強固に且つ安定した状態で一体として接合することが可能となる。
【0032】
また、六角形セグメント10では、好ましくは、雌ネジアンカー30のアンカー部32の曲折部32aが、六角形セグメント10の厚さ方向外周側に曲折している。これにより、例えば、六角形セグメント10を組み付けて形成される覆工体11が、下水道用のトンネルを形成するものである場合、例えば、トンネル内の硫化水素による腐食を防ぐために、被り厚さを好ましくは50mm程度割り増しする必要があるが、曲折部32aが、六角形セグメント10の厚さ方向外周側に曲折しているので、このような割り増しされた被り厚さを容易に確保することが可能になる。また、これによって、例えば、六角形セグメント10を組み付けて形成される覆工体11が、共同溝用のトンネルを形成するものである場合、覆工体11によるトンネルの内壁面に、アンカー部材を後施工によって取り付けて、例えば、内部に各種の設備を設置するための棚を設置することが多いが、被り厚さをより大きくとることで、このような設置作業に支障がないようにすることが可能となる。
【0033】
六角形セグメント10では、上述の連結ボルト部材挿通孔23の両端部の開口及び雌ネジ孔30aの先端部の開口が、好ましくは、切羽側軸方向接合面13、切羽側斜め接合面15、又は坑口側斜め接合面16の、厚さ方向中央部に臨んで、各々1箇所に配置されている。連結ボルト部材挿通孔23の切羽側軸方向接合面13側の一方の端部は、上述のように、切羽側軸方向接合面13に形成された、連結ボルト部材24の頭部24aを締着させる締着凹部23aにおいて開口しており(
図3(a)、(b)参照)、連結ボルト部材挿通孔23の坑口側斜め接合面16側の他方の端部は、坑口側斜め接合面16に形成された、連結ボルト部材24の先端部を突出させる突出凹部16a(
図3(c)参照)において開口している。雌ネジ孔30aの切羽側斜め接合面15側の先端部は、切羽側斜め接合面15に形成された、連結ボルト部材24の先端部を挿入させる挿入凹部15a(
図3(c)参照)において開口している。
【0034】
さらに、各々の六角形セグメント10には、これらの六角形セグメント10を、組み付け用のエレクター装置(不図示)によって把持できるようにする把持孔28(
図2(a)参照)が、例えば、内側面の中央部分に設けられている。
【0035】
さらにまた、好ましくは、坑口側軸方向接合面14における、位置決め用の凸部14aよりも坑口側軸方向接合面14の長手方向の中心側に先端開口面を開口させて、雌ネジ孔を有する一対の吊り用インサート部材27が、坑口側軸方向接合面14の長手方向の中心線に対して対称に配置されて、コンクリート中に埋設固定された状態で取り付けられている。六角形セグメント10の坑口側軸方向接合面14に、少なくとも一対の吊り用インサート部材27が埋設固定されていることにより、これらの吊り用インサート部材27に、例えば、吊上用ワイヤーの下端部に取り付けたボルト部材を螺着して、六角形セグメント10を吊り上げることによって、例えば、型枠から脱型された六角形セグメント10を、水中養生のために移動したり、製造工場や現場で保管場所に移動したりする際に、これらを移動する作業をスムーズに行うことが可能となると共に、切羽側軸方向接合面13を下方に向け、坑口側軸方向接合面14を上に向けて縦置きした状態で、複数の六角形セグメント10を、整然と並べた状態で効率よくストックしておくことが可能になる。
【0036】
そして、
図2(a)~(d)に示すように、各々の六角形セグメント10の切羽側斜め接合面15及び坑口側斜め接合面16には、位置決め用のガイド凸部25a及びガイド凹部25bが組になって、各々一組設けられている。これらの位置決め用のガイド凸部25a及びガイド凹部25bは、先行して設置された六角形セグメント10による、周方向Yに間隔をおいて掘進方向前方側に突出する各一対の等脚台形の凸部10aの間の、各々の等脚台形の凹部10b(
図1、
図6(a)参照)に、後続する六角形セグメント10が配置されるように案内して、精度よく位置決めできるようにすると共に、組み付けられた六角形セグメント10に位置ずれが生じるのを、効果的に防止できるようにする機能を備えている。
【0037】
上述の構成を備える複数の六角形セグメント10をトンネルの軸方向X(掘進方向)及び周方向Yに連設して、ハニカム状に組み付けることによって、好ましくは、雨水を一時的に貯留する貯水池用のシールドトンネルの内周面を覆う覆工体11を形成するには、例えば、
図6(a)~(c)に示すように、トンネルの軸方向X(掘進方向)の後方側に先行して組み付けられた六角形セグメント10の切羽側軸方向接合面13及び切羽側斜め接合面15に、トンネルの軸方向Xの前方側に後続して組み付けられる六角形セグメント10の坑口側軸方向接合面14及び坑口側斜め接合面16を各々重ね合わせつつ、各々の六角形セグメント10における、トンネルの軸方向Xの前方側の半分の部分である等脚台形状部分を、交互に突出させながら、複数の六角形セグメント10を、トンネルの軸方向X及び周方向Yにハニカム状に配置して順次組み付けていく。
【0038】
また、複数の六角形セグメント10を、トンネルの軸方向X及び周方向Yに順次組み付けてゆく際に、先行して組み付けられた六角形セグメント10による、交互に突出する、六角形セグメント10を軸方向Xに二等分した形状の等脚台形の凸部10aにおける先端の切羽側軸方向接合面13に、シールドジャッキ60を押し当てて、反力を取りつつシールド掘進機を掘進させながら、これと並行して、シールドジャッキ60を押し当てた隣接する等脚台形状の凸部10aの間の領域である等脚台形状の凹部10bにおいて(
図6(a)参照)、後続する六角形セグメント10を組み付ける作業を行うようになっている。
【0039】
すなわち、切羽側軸方向接合面13にシールドジャッキ60を押し当てた隣設する等脚台形状の凸部10aの間の等脚台形状の凹部10bにおいて、
図6(a)に示すように、等脚台形状の凹部10bの領域のシールドジャッキ60を収縮した状態として、等脚台形状の凹部10bに、後続して組み付けられる六角形セグメント10の後側半分の等脚台形状部分を差し込むようにして、これの坑口側軸方向接合面14及び坑口側斜め接合面16を、先行して組み付けられた六角形セグメント10の切羽側軸方向接合面13及び切羽側斜め接合面15に、各々密着させる(
図6(b)参照)。その後、後続して組み付けられる六角形セグメント10の領域に配置された、例えば、3本のシールドジャッキ60のうち、中央の1本のシールドジャッキ60を伸長させて、後続する六角形セグメント10を先行して組み付けられた六角形セグメント10に押し付けた状態で、
図6(c)に示すように、連通した後続する六角形セグメント10の連結ボルト部材挿通孔23及び先行して設置された六角形セグメント10の雌ネジ孔30aに、連結ボルト部材24を挿通して、締着させることにより、これらの六角形セグメント10を一体として連結する。
【0040】
これらの作業を、周方向に複数形成された、隣設する突出した等脚台形状の凸部10aの間の各々の等脚台形状の凹部10bにおいて行うと共に、このようにして新たに設置された六角形セグメント10を、先行して組み付けられた既存の六角形セグメント10として、これらの切羽側軸方向接合面13にシールドジャッキ60を押し当てて反力を取りつつシールド掘進機を掘進させながら、これと並行して、シールドジャッキ60を押し当てる六角形セグメント10を組み付ける作業を、繰り返し行っていくことができる。これによって、トンネルの軸方向X及び周方向Yにハニカム状に配置された複数の六角形セグメント10による、好ましくは雨水を一時的に貯留する貯水池用のシールドトンネルの内周面を覆う覆工体11を容易に形成することができる。
【0041】
ここで、連結ボルト部材24は、例えば、M24mm程度の太さの鋼棒からなり、連結ボルト部材挿通孔23を形成するシース管23bよりも長く、例えば、1,330mm程度の長さである。連結ボルト部材24は、坑口側軸方向接合面14側の端部に、頭部雄ネジ部を備えており、この頭部雄ネジナット部にナット部材を締着固定することにより、締着固定したナット部材による頭部24aが形成されるようになっている(
図3(a)、(b)参照)。連結ボルト部材24は、先端部に形成された先端雄ネジ部24b(
図3(a)、(c)参照)を、隣接する六角形セグメント10の切羽側斜め接合面15に臨んで配置された、雌ネジアンカー30の雌ネジスリーブ部31による雌ネジ孔30aに螺着して締め付けた際に、ナット部材による頭部24aが、締着凹部23aの底部に、好ましくは、22mm程度の支圧鋼板24cを介して、強固に且つ安定した状態で支持されて、締着されるようになっている(
図3(a)~(c)参照)。
【0042】
そして、上述の構成を備える六角形セグメント10によれば、切羽側軸方向接合面13や切羽側斜め接合面15や坑口側斜め接合面16の間を貫通して定着される連結ボルト部材24の本数を多くしたり、連結ボルト部材24のボルト径を大きくしたりすることなく、設計通りの本数や径のまま、各隣接する六角形セグメント10の間の接合強度を大きくすることを可能にして、安定した状態でこれらの六角形セグメント10を一体として接合することが可能になる。
【0043】
図7(a)に示したように、連結ボルト部材24には、2個のリング40が、連結ボルト部材24に挿通して取り付けられている。リング40は、連結ボルト部材24を連結ボルト部材挿通孔23の内部において調芯するための部材であり、
図7(c)に示したように円環形状である(Оリング)。調芯用の円環形状のリング40は、ゴムや樹脂などの弾性部材からなり、例えば、外径が、29~30mm、内径が、21~22mm程度であり、厚みが、3~5mm程度であるが、これらには限定されない。また、連結ボルト部材24に取り付けられるリング40の数は、2個には限定されず、3個以上であってもよい。
【0044】
そして、連結ボルト部材24は、
図7(b)の矢印70の方向へ向けて、連結ボルト部材挿通孔23に挿入される。連結ボルト部材24が、連結ボルト部材挿通孔23へ挿入されると、連結ボルト部材挿通孔23(シース管23b)の内壁とリング40との摩擦により、リング40が矢印71の方向へ転がるように移動する。また、連結ボルト部材24が、連結ボルト部材挿通孔23を挿通中には、連結ボルト部材24と連結ボルト部材挿通孔23の内面とが干渉しないようにする。つまり、連結ボルト部材24にリング40が取り付けられていることにより、連結ボルト部材24と連結ボルト部材挿通孔23の内面との間にリング40が存在するので、両者は干渉せず、接触することがない。
【0045】
そして、連結ボルト部材24が、連結ボルト部材挿通孔23の所定の位置に到達して、停止すると、リング40の移動も停止する。リング40は、連結ボルト部材24の中央付近と先端部との間の位置及び連結ボルト部材24の中央付近と後端部との間の位置に停止する。すなわち、2つのリング40が連結ボルト部材24を3等分した場合の、等分線の位置の近傍にそれぞれ停止する。すなわち、リング40により、適度な抵抗が加わるため、シース管23bの内部における連結ボルト部材24の位置決めや連結ボルト部材24の挿入がし易くなる。このように、リング40を用いると、連結ボルト部材24は、連結ボルト部材挿通孔23の円形断面の中央付近の位置に位置決めされる。
【0046】
連結ボルト部材24をシース管23bに挿入した後には、連結ボルト部材24の先端部にシース管23bの管径よりも大きな長ナット50を締め込むことで、連結ボルト部材24が後端部側から抜け出すことを確実に防止できる。すなわち、長ナット50は、連結ボルト部材24の先端雄ネジ部24bに螺着され、六角形セグメント10を隣接する六角形セグメント10と連結する直前に取り外す。これにより、六角形セグメント10の搬送中や運搬中に連結ボルト部材24がシース管23bから抜け落ちることを防止できる。長ナット50は、例えば、M24のナットで長さが、80~100mm程度、であるが、これらには限定されない。また、長ナット50は、鉄や真鍮、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属製、樹脂製であるが、これらには限定されない。
【0047】
長ナット50の外周面は、赤色に着色して、目立つようにしているが、着色は赤色には限定されず、例えば、コンクリート製の六角形セグメント10の色と異なる色であればよい。また、着色する領域は、長ナット50の外周面の全体であっても、一部であってもよい。長ナット50の外周面の一部を着色する場合には、目立ちやすい箇所に着色することが好ましい。着色の他にも、注意喚起のための文字や記号を塗装や刻印してもよく、また、着色と共にこれらの文字や記号を塗装や刻印してもよい。そして、長ナット50に着色をしているので、組み付け場所において、連結ボルト部材24に長ナット50が取り付けられていることを視覚的に容易に確認できるので、長ナット50の外し忘れを防止できる。
【0048】
これにより、六角形セグメント10を移動させる場合であっても、長ナット50により、連結ボルト部材挿通孔23から連結ボルト部材24が脱落することがなく、六角形セグメント10を組み付け場所まで、長距離であっても安全に運搬することが可能となる。すなわち、長ナット50を螺着することにより、連結ボルト部材24が固定されるので、六角形セグメント10坑内運搬において、バッテリーロコなどを用いた無人運搬であっても、連結ボルト部材24が抜け出すことなく運搬できる。
【0049】
また、長ナット50を取り付けることにより、より確実に連結ボルト部材24の抜け出しを防止できるので、リング40の選定においては、シース管23bの内部での位置決めや挿入のし易さ(適度な抵抗)に重点をおいて、リング40を選定できる。
【0050】
なお、長ナット50を取り付けない場合であっても、リング40とシース管23bの内周面との摩擦により、連結ボルト部材24の抜け落ちを防止できる場合もあるが、長ナット50により、連結ボルト部材24の抜け落ちをより確実に防止できる。さらに、六角形セグメント10の組み立てのサイクルタイムに支障のない方法で、安全、確実に六角形セグメント10を切羽まで運搬することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10 六角形セグメント
11 覆工体
13 切羽側軸方向接合面
14 坑口側軸方向接合面
15 切羽側斜め接合面
16 坑口側斜め接合面
17 V字状周方向接合面
23 連結ボルト部材挿通孔
23a 締着凹部
23b シース管
24 連結ボルト部材
24a 頭部
24b 先端雄ネジ部
24c 支圧鋼板
30 雌ネジアンカー
30a 雌ネジ孔
31 雌ネジスリーブ部
32 アンカー部
32a 曲折部
32b 直線状部
32c 雄ネジ部
40 リング
50 長ナット
60 シールドジャッキ
70 矢印
71 矢印
X トンネルの軸方向(掘進方向)
Y トンネルの周方向