(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099991
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】カード型喫煙具用カートリッジ、加熱器、および喫煙具ユニット
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20220628BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220628BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20220628BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220628BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/50
A24F40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214098
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深井 昭匡
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB17
4B162AB22
4B162AB28
4B162AC01
4B162AC02
4B162AC13
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
【課題】カード型喫煙具用カートリッジの構造を簡素化する。
【解決手段】本発明に係るカード型喫煙具用カートリッジ(1)は、板状に形成されたエアロゾル形成基材(10)と、エアロゾル形成基材(10)を保持する板状の保持部材(20)と、を備え、エアロゾル形成基材(10)が保持部材(20)に載置された状態で、エアロゾル形成基材(10)と保持部材(20)とが1つの板状体を成す構成となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成されたエアロゾル形成基材と、
前記エアロゾル形成基材を保持する板状の保持部材と、を備え、
前記エアロゾル形成基材が前記保持部材に載置された状態で、前記エアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
板状に形成された複数のエアロゾル形成基材と、
前記複数のエアロゾル形成基材を保持する板状の保持部材と、を備え、
前記複数のエアロゾル形成基材が前記保持部材の面内方向に並べて載置された状態で、前記複数のエアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
板状に形成された複数のエアロゾル形成基材と、
前記複数のエアロゾル形成基材を保持する板状の保持部材と、を備え、
前記複数のエアロゾル形成基材が前記保持部材の厚さ方向に並べて載置された状態で、前記複数のエアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
板状に形成されたエアロゾル形成基材と、
前記エアロゾル形成基材の外周部を保持する枠状の保持部材と、を備え、
前記エアロゾル形成基材が前記保持部材に保持された状態で、前記エアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
板状に形成された複数のエアロゾル形成基材と、
格子状に形成され、前記複数のエアロゾル形成基材をそれぞれ格子内に保持する保持部材と、を備え、
前記複数のエアロゾル形成基材が前記保持部材に保持された状態で、前記複数のエアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
板状に形成されたエアロゾル形成基材と、
前記エアロゾル形成基材を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材が前記エアロゾル形成基材を保持した状態で、前記エアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成し、
前記エアロゾル形成基材は、前記板状体の片面の一部または全部に露呈している、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
板状に形成されたエアロゾル形成基材と、
前記エアロゾル形成基材を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材が前記エアロゾル形成基材を保持した状態で、前記エアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成し、
前記エアロゾル形成基材は、前記板状体の両面の一部または全部に露呈している、カード型喫煙具用カートリッジ。
【請求項8】
カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器であって、
ケース本体と、
前記ケース本体に設けられ、前記カード型喫煙具用カートリッジを挿入するための挿入口と、
前記ケース本体に内蔵され、前記カード型喫煙具用カートリッジと面接触して、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱体と、
前記ケース本体に設けられ、前記加熱体が前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱することで生成されるエアロゾルを吸引するためのマウスピースと、
前記加熱体の通電を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする加熱器。
【請求項9】
請求項8に記載の加熱器において、
前記加熱体を前記カード型喫煙具用カートリッジに押圧して保持する押圧保持機構を備えたことを特徴とする加熱器。
【請求項10】
請求項8または9に記載の加熱器において、
前記制御部は、前記カード型喫煙具用カートリッジに付されたICタグの情報を取得する情報取得部と、前記ICタグの情報と予め対応付けられた複数の加熱体制御パターンを記憶する記憶部と、を含み、
前記制御部は、前記複数の加熱体制御パターンの中から取得した前記ICタグの情報に対応する加熱体制御パターンに基づいて、前記加熱体を制御し、
複数の前記加熱体制御パターンの中には、前記カード型喫煙具用カートリッジを全体的に加熱する第1の加熱体制御パターンと、前記カード型喫煙具用カートリッジを部分的に加熱する第2の加熱体制御パターンとが含まれることを特徴とする加熱器。
【請求項11】
カード型喫煙具用カートリッジと、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器と、を備えた喫煙具ユニットであって、
前記カード型喫煙具用カートリッジは、エアロゾル形成基材が充填されて板状に形成されていると共に、固有の情報が記憶されたICタグが付されており、
前記加熱器は、
ケース本体と、
前記ケース本体に設けられ、前記カード型喫煙具用カートリッジを挿入するための挿入口と、
前記ケース本体に内蔵され、前記カード型喫煙具用カートリッジと面接触して、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱体と、
前記ケース本体に設けられ、前記加熱体が前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱することで生成されるエアロゾルを吸引するためのマウスピースと、
前記加熱体の通電を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ICタグに記憶された前記固有の情報を取得し、取得した前記固有の情報に基づいて、前記加熱体を制御することを特徴とする喫煙具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型喫煙具用カートリッジ、加熱器、および喫煙具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カード型のエアロゾル形成カートリッジをエアロゾル発生装置に挿入して加熱し、生成されたエアロゾルをマウスピースから吸引する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカード型のエアロゾル形成カートリッジは、複数の電気ヒータ要素が搭載されたベース層と、当該カートリッジの側縁部に沿ってベース層の底面に具備された電気接点群とを含んで構成されている。そのため、カートリッジの構成が複雑となり、また、カートリッジをエアロゾル発生装置に挿入する際にも、当該エアロゾル発生装置の電気接点組立品に正しく挿入されていないと、カートリッジの加熱が十分に行えない場合があるなど、特許文献1には種々の課題がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その主な目的は、カード型喫煙具用カートリッジの構造を簡素化することにある。また、本発明は、カード型喫煙具用カートリッジに好適な加熱器および喫煙具ユニットを提供することも別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るカード型喫煙具用カートリッジの代表的な態様は、板状に形成されたエアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材を保持する板状の保持部材と、を備え、前記エアロゾル形成基材が前記保持部材に載置された状態で、前記エアロゾル形成基材と前記保持部材とが1つの板状体を成す。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る加熱器の代表的な態様は、カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器であって、ケース本体と、前記ケース本体に設けられ、前記カード型喫煙具用カートリッジを挿入するための挿入口と、前記ケース本体に内蔵され、前記カード型喫煙具用カートリッジと面接触して、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱体と、前記ケース本体に設けられ、前記加熱体が前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱することで生成されるエアロゾルを吸引するためのマウスピースと、前記加熱体の通電を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る喫煙具ユニットの代表的な態様は、カード型喫煙具用カートリッジと、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器と、を備えた喫煙具ユニットであって、前記カード型喫煙具用カートリッジは、エアロゾル形成基材が充填されて板状に形成されていると共に、固有の情報が記憶されたICタグが付されており、前記加熱器は、ケース本体と、前記ケース本体に設けられ、前記カード型喫煙具用カートリッジを挿入するための挿入口と、前記ケース本体に内蔵され、前記カード型喫煙具用カートリッジと面接触して、前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱する加熱体と、前記ケース本体に設けられ、前記加熱体が前記カード型喫煙具用カートリッジを加熱することで生成されるエアロゾルを吸引するためのマウスピースと、前記加熱体の通電を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ICタグに記憶された前記固有の情報を取得し、取得した前記固有の情報に基づいて、前記加熱体を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カード型喫煙具用カートリッジの構造を簡素化できる。また、カード型喫煙具用カートリッジに好適な加熱器および喫煙具ユニットを提供できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのIc-Ic断面図である。
【
図3】(a)は第1実施形態に係る加熱器の平面図、(b)は加熱器の正面図、(c)は加熱器の背面図、(d)は加熱器の左側面図、(e)は加熱器の右側面図である。
【
図4】(a)は加熱器をXZ平面で切断した断面図であって、
図3(b)のIVa-IVa断面図、(b)は加熱器をYZ平面で切断した断面図であって、
図3(a)のIVb-IVb断面図、(c)は加熱器をYZ平面で切断した断面図であって、
図3(a)のIVc-IVc断面図である。
【
図5】喫煙具用カートリッジがヒータに載置された状態を示す図である。
【
図7】(a)は変形例1-1に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのVIIc-VIIc断面図である。
【
図8】(a)は変形例1-2に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのVIIIc-VIIIc断面図である。
【
図9】(a)は変形例1-3に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのIXc-IXc断面図である。
【
図10】(a)は変形例1-4に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXc-Xc断面図である。
【
図11】(a)は変形例1-5に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXIc-XIc断面図である。
【
図12】(a)は変形例1-6に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXIIc-XIIc断面図である。
【
図13】(a)は変形例1-7に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXIIIc-XIIIc断面図である。
【
図14】(a)は変形例1-8に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXIVc-XIVc断面図である。
【
図15】(a)は変形例1-9に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジのXVc-XVc断面図である。
【
図16】(a)は第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジの正面図である。
【
図17】(a)は第2実施形態に係る加熱器の平面図、(b)は(a)に示す加熱器のXVIIb―XVIIb断面図である。
【
図18】加熱器の挿入口に挿入された喫煙具用カートリッジと、加熱器の第1ヒータおよび第2ヒータとの位置関係を説明する図である。
【
図19】加熱器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図20】ICタグの情報と第1ヒータおよび第2ヒータのヒータ制御パターンとの関係を示す図である。
【
図21】制御基板による第1ヒータおよび第2ヒータの制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図22】制御基板による温度センサで検出したエアロゾルの温度に基づく第1ヒータおよび第2ヒータの制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
【0013】
(喫煙具用カートリッジ)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1のIc-Ic断面図である。
図1(a)~(c)に示すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、エアロゾル形成基材10と、保持部材20と、を備える。エアロゾル形成基材10は、矩形板状に形成されている。保持部材20は、エアロゾル形成基材10の外形と略同一形状、即ち、矩形板状に形成されている。そして、エアロゾル形成基材10が保持部材20に接着されて、両者が1つの板状体を成している。即ち、エアロゾル形成基材10と保持部材20とが貼り合わされて、カード型の喫煙具用カートリッジ1が形成される。そして、喫煙具用カートリッジ1の一方の面(
図1において上面)は、エアロゾル形成基材10が露呈した状態となっている。
【0014】
なお、喫煙具用カートリッジ1は、板状に形成されていれば、その外形は矩形状に限定されない。喫煙具用カートリッジ1は、円板状やホームベース状などあらゆる形状に形成されて良い。また、エアロゾル形成基材10を保持部材20に固定する方法は接着以外にも、例えば、両者をフィルム等で包装して一体化する方法など、あらゆる方法を用いることができる。
【0015】
図1に示す喫煙具用カートリッジ1は、その外形が、例えば、縦30mm、横20mm、厚さ2mm程度に形成される。勿論、喫煙具用カートリッジ1は、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0016】
保持部材20は、例えば紙、ポリマーシート、ゴムシート、金属シート、セラミックシート、耐熱性樹脂などの材料から成る。一方、エアロゾル形成基材10は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0017】
エアロゾル形成基材10は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0018】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0019】
エアロゾル形成基材10は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合して所定の形状に成形される。
【0020】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0021】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0022】
エアロゾル形成基材10の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0023】
エアロゾル形成基材10の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0024】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0025】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材10の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
エアロゾル形成基材10に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0027】
エアロゾル形成基材10の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材10の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロゾル形成基材10の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0029】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0030】
準備工程においては、エアロゾル形成基材10を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0031】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0032】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を所定の厚さのシート状に成形してから、切断することで、矩形板状のエアロゾル形成基材10が成形される。本実施形態では、薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0033】
なお、後述する変形例に示す枠状または格子状の保持部材30を採用する場合には、充填物成形工程において、各種原料が混合された組成物をシート状に形成する前のいわゆる練り物のような状態に留めておき、この状態の組成物を保持部材30内に充填すれば良い。こうすれば、組成物をシート状に成形する加工を省くことができる。
【0034】
また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0035】
(加熱器)
次に、上記した喫煙具用カートリッジ1を加熱するのに好適な加熱器について説明する。
図2は本発明の第1実施形態に係る加熱器100の斜視図、
図3(a)は第1実施形態に係る加熱器100の平面図、(b)は加熱器100の正面図、(c)は加熱器100の背面図、(d)は加熱器100の左側面図、(e)は加熱器100の右側面図である。なお、X,Y,Z軸は
図2の通り定義する。
【0036】
これらの図に示すように、加熱器100は、ケース本体101と、蓋体102と、喫煙具用カートリッジ1が挿入される挿入口103と、充填用の端子108と、喫煙者がエアロゾルを吸引するためのマウスピース104と、ヒータ109(
図4(a)参照)をオンするスイッチ105と、各種情報を表示する表示部106と、を備える。
【0037】
ケース本体101は、例えば金属製から成り、薄型の略直方体形状で構成されている。勿論、ケース本体101の材質は金属製に限定されず、高耐熱性の樹脂材料等が用いられても良い。なお、ケース本体101の形状は、薄型の略直方体形状に限定されず、例えば扁平な楕円柱形状等の種々の形状を採用できる。
【0038】
蓋体102は、断面L字状に形成され、ケース本体101の上面と右側面とを覆うように配置される。蓋体102は、ケース本体101の上面にヒンジ107を介して開閉自在に取り付けらており、蓋体102の側面側から開閉して、後述するヒータ109の清掃およびメンテナンスが可能になっている。また、蓋体102の挿入口103側には第1吸気口102aが設けられ、蓋体102の上面には第2吸気口102bが設けられており、第1吸気口102aおよび第2吸気口102bを介して外気が出入り可能となっている。なお、蓋体102は、図示しない係合部によってケース本体101と係合し、ケース本体101に対して閉じた状態に保持されている。
【0039】
挿入口103は、細長な矩形状に形成され、その外形は、喫煙具用カートリッジ1の挿入が可能な程度の大きさとなっている。
【0040】
マウスピース104は、その内部にエアロゾルが流れる流路が形成されており、後述するようにケース本体101に着脱自在に取り付けられている。
【0041】
スイッチ105は、押し釦スイッチであり、喫煙者が所定時間(例えば2秒程度)押し続けることでオンとなり、ヒータ109が発熱する。なお、スイッチ105は、数回(例えば2回)に亘る連続的な押下でオンとなる構成でも良い。また、ヒータ109は、オンしてから所定時間(例えば3分)経過した後に自動的にオフになるように制御されている。
【0042】
表示部106は、例えば液晶パネルから成り、バッテリ111の充電状態、ヒータ109の加熱状態、フィルタ104c(
図4(a)参照)の交換時期等の各種情報が表示される(
図6参照)。
【0043】
次に、加熱器100の内部構造について説明する。
図4(a)は加熱器100をXZ平面で切断した断面図であって、
図3(b)のIVa-IVa断面図である。
図4(b)は加熱器100をYZ平面で切断した断面図であって、
図3(a)のIVb-IVb断面図である。
図4(c)は加熱器100をYZ平面で切断した断面図であって、
図3(a)のIVc-IVc断面図である。なお、
図4(a),(c)に示す二点鎖線は、喫煙具用カートリッジ1を示す仮想線である。
【0044】
これらの図に示すように、加熱器100の内部には、ヒータ109、制御基板(制御部)110、バッテリ111が搭載されており、マウスピース104がケース本体101から着脱自在に取り付けられている。
【0045】
マウスピース104は、例えば金属製から成り、マウスピース本体104aと、エアロゾル導入部104bとが一体化されて構成されている。勿論、マウスピース104の材質は金属製に限定されないし、マウスピース本体104aとエアロゾル導入部104bとが別体で構成されていても良い。
【0046】
マウスピース本体104aは矩形筒状に形成され、その内部をエアロゾルが流れる。マウスピース本体104aの外形は、喫煙者がエアロゾルを吸引するのに適した大きさとなっている。なお、
図4において、マウスピース104は、加熱器100から突出するように設けられているが、この構成に限られず、例えば加熱器100内に収まるように設けられても良い。エアロゾル導入部104bも矩形筒状に形成されており、その内部をエアロゾルが流れる。エアロゾル導入部104bの軸方向の長さは、マウスピース本体104aと同じかそれより長くなっている。また、エアロゾル導入部104bの内部には、エアロゾルに含まれる微粒子を取り除くためのフィルタ104cが設けられている。これにより、エアロゾルは、エアロゾル導入部104bを流れる過程で、十分に冷却されながらフィルタ104cによって微粒子が取り除かれた後、マウスピース本体104aを経て喫煙者に吸引される。即ち、エアロゾル導入部104bは、エアロゾルを冷却するために、軸方向に十分な長さを有している。なお、フィルタ104cがエアロゾル導入部104b内に設けられる代わりに、マウスピース本体104a内に設けられても良いし、これら両者に設けられても良い。
【0047】
ヒータ109は、例えば面状ヒータから成り、4つのヒータ要素109a,109b,109c,109dを備える。バッテリ111からヒータ要素109a~dに電力が供給されることで、ヒータ要素109a~dが発熱する。
図5は喫煙具用カートリッジ1がヒータ109に載置された状態を示しており、同図に示すように、喫煙具用カートリッジ1のエアロゾル形成基材10は、ヒータ要素109a~dによって全面的に加熱される。
【0048】
なお、ヒータ109はケース本体101に内蔵されて、喫煙具用カートリッジ1を加熱できるものであれば、面状ヒータに限定されない。また、ヒータ要素109a~dの数は任意である。喫煙具用カートリッジ1の大きさに応じて適宜決定すれば良い。
【0049】
バッテリ111は、例えばリチウム系電池(リチウムポリマ電池等)から成り、端子108を介して充電される。
【0050】
制御基板110は、ヒータ109のオン/オフを制御するためのものであり、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備える。制御基板110は、スイッチ105が所定時間(例えば2秒)押下されたことを契機にヒータ109をオンし、その後所定時間(例えば3分)経過すると、自動的にヒータ109をオフさせるよう制御する。
【0051】
また、制御基板110は、表示部106に各種情報を表示するための制御も行っている。
図6は表示部106の表示態様を示す図である。
図6に示すように、制御基板110は、バッテリ111の充電量を監視し、フル充電に対する現在の充電量を目盛(M1)により表示部106に表示する。また、制御基板110は、スイッチ105が押下操作されたことを契機に、「加熱準備中」(M2)の文字を表示部106に表示する。これは、ヒータ109がオンされた時点では、ヒータ109の温度が十分でないためである。
【0052】
さらに、制御基板110は、スイッチ105が押下操作されてから所定時間(例えば20秒)経過した場合に、「加熱準備中」の表示を消去する。これにより、喫煙者に対して、エアロゾル形成基材10が十分に加熱されて喫煙のタイミングである旨を知らせる。また、制御基板110は、スイッチ105の操作回数が所定回数(例えば20回)を超えた場合に、フィルタ104cの交換時期である旨を示す「フィルタ交換」(M3)の文字を表示部106に表示する。
【0053】
(使用方法)
次に、喫煙具用カートリッジ1および加熱器100の使用方法について説明する。喫煙者は、
図2に示すように、喫煙具用カートリッジ1を同図の矢印の向きに沿って、加熱器100の挿入口103に挿入する。そして、喫煙者はスイッチ105を長押しすると、ヒータ109がオンとなり、エアロゾル形成基材10が加熱され、エアロゾルが生成される。このとき、表示部106に「加熱準備中」の表示がされる。所定時間が経過すると表示部106の「加熱準備中」の表示が消えるので、そのタイミングで喫煙者はマウスピース104をくわえてエアロゾルを吸引する。こうして、喫煙者は喫煙を楽しむことができる。
【0054】
また、表示部106に「フィルタ交換」の文字が表示されると、喫煙者は、マウスピース104をケース本体101から取り外して、現在取り付けられているフィルタ104cを新しいフィルタ104cに交換すれば、良好な喫煙状態を保つことができる。また、フィルタ104cの交換のタイミングで、喫煙者は蓋体102を開けてヒータ109の表面に付着したエアロゾル形成基材10の小片や埃を取り除けば、加熱器100をより清潔な状態に保つことができる。
【0055】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1および加熱器100によれば、以下の効果を奏することができる。
【0056】
喫煙具用カートリッジ1は薄いカード型で構成されているため、喫煙者が手指で持ち易く、加熱器100への挿入が簡単である。また、喫煙具用カートリッジ1は、保持部材20にエアロゾル形成基材10を接着して一体化するだけの簡単な構成であるため、製造が簡単でコスト低減が実現できる。
【0057】
また、加熱器100は、薄い直方体形状で構成されているため、持ち運びが容易であるうえ、鞄や喫煙者の上着のポケット等にも簡単に収納できるので利便性が高い。しかも、外観のデザイン性も高い。
【0058】
さらに、マウスピース104がケース本体101から着脱自在であり、フィルタ104cも交換できるため、清潔を保てる利点がある。また、蓋体102を開閉してヒータ109の清掃も簡単に行えるため、ヒータ109の故障も未然に防止でき、長期間の使用が可能となる。また、表示部106に上記した各種情報が表示されるので、使い勝手が良い。
【0059】
次に、喫煙具用カートリッジの各種変形例について説明する。
【0060】
(変形例1-1)
図7(a)は、変形例1-1に係る喫煙具用カートリッジ1-1の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-1の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-1のVIIc-VIIc断面図である。変形例1-1に係る喫煙具用カートリッジ1-1は、エアロゾル形成基材10が保持部材20の両面に接着されている点で上記第1実施形態と異なる。
【0061】
図7(a)~(c)に示すように、喫煙具用カートリッジ1―1は2つのエアロゾル形成基材10,10を有し、一方のエアロゾル形成基材10が保持部材20の上面に貼り合わされ、他方のエアロゾル形成基材10が保持部材20の下面に貼り合わされている。これにより、エアロゾル形成基材10、保持部材20、およびエアロゾル形成基材10が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-1の両面の全部にエアロゾル形成基材10が露呈した状態となっている。
【0062】
このような喫煙具用カートリッジ1-1によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-1によれば、2つのエアロゾル形成基材10,10によって、エアロゾルの風味を2度味わえる。なお、本変形例において、保持部材20の上面と下面で異なる原料から成るエアロゾル形成基材を張り合わせても良い。こうすれば、エアロゾルの風味を変えることもできる。
【0063】
(変形例1-2)
図8(a)は、変形例1-2に係る喫煙具用カートリッジ1-2の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-2の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-2のVIIIc-VIIIc断面図である。変形例1-2に係る喫煙具用カートリッジ1-2は、複数(本例では2つ)のエアロゾル形成基材10,11が保持部材20の厚さ方向に並べて載置されている点で上記第1実施形態と異なる。
【0064】
図8(a)~(c)に示すように、2つのエアロゾル形成基材10,11は互いに異なる原料から成る。エアロゾル形成基材11が保持部材20の片面(
図8では上面)に接着され、このエアロゾル形成基材11上にエアロゾル形成基材10が接着されている。これにより、保持部材20、エアロゾル形成基材11、およびエアロゾル形成基材10が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-2の上面の全部にエアロゾル形成基材10が露呈した状態となっている。
【0065】
このような喫煙具用カートリッジ1-2によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-2によれば、2つのエアロゾル形成基材10,11によって異なる種類のエアロゾルの風味を味わえる。しかも、これらエアロゾル形成基材10,11はいずれも保持部材20の上面に設けられているので、風味が変化する際にわざわざ喫煙具用カートリッジ1-2の向きを変える手間が不要である。なお、エアロゾル形成基材の数は、2つに限定されることなく、3つ以上でも良い。
【0066】
また、従来、エアロゾル形成基材の製造する際、1つのエアロゾル形成基材内の複数の含有成分の比率を決定し、決定した比率に基づいてこれら含有成分を混合していた。そのため、複雑な工程が必要となり、また、これら含有成分を混合する際にバラつきも生じていた。これに対して、変形例1-2によれば、保持部材20上に2つ以上のエアロゾル形成基材を設けることができるので、各エアロゾル形成基材に特化した含有成分を入れる単純な作業を行えば良く、従来に比べて複数の含有成分の混合が不要となる。よって、エアロゾル形成基材の品質を向上できるとともに、製造も簡単にできる。
【0067】
(変形例1-3)
図9(a)は、変形例1-3に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-3の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-3のIXc-IXc断面図である。変形例1-3に係る喫煙具用カートリッジ1-3は、複数のエアロゾル形成基材10~12が保持部材20の片面(
図9では上面)においてその面内方向に並べて載置されている点で上記第1実施形態と異なる。
【0068】
図9(a)~(c)に示すように、3つのエアロゾル形成基材10~12は互いに異なる原料から成る。これらエアロゾル形成基材10~12は、保持部材20の上面において長手方向の一端側(
図9では左端側)から他端側(
図9では右端側)に向かって順次隣り合うように接着されている。これにより、保持部材20およびエアロゾル形成基材10~12が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-3の上面の全部にエアロゾル形成基材10~12が露呈した状態となっている。
【0069】
このような喫煙具用カートリッジ1-3によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-3によれば、3つのエアロゾル形成基材10~12によって生成されたエアロゾルが混ざり合うことで、エアロゾルの味わいを向上できる。また、各エアロゾル形成基材10~12の種類を変更することで、様々な風味を持ったエアロゾルを実現可能である。なお、エアロゾル形成基材の数は、3つに限定されることなく、2つでも良いし3つよりも多くても良い。また、喫煙具用カートリッジ1-3がカード型に形成されていて、全体的に1つの板状体であると当業者が概ね認識できる形状であれば、エアロゾル形成基材10~12が互いに若干の隙間を存して保持部材20に並べてられていても良い。
【0070】
(変形例1-4)
図10(a)は、変形例1-4に係る喫煙具用カートリッジ1-4の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-4の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-4のXc-Xc断面図である。変形例1-4に係る喫煙具用カートリッジ1-4は、複数のエアロゾル形成基材10~12が保持部材20の両面(
図10では上面と下面)においてそれぞれの面内方向に並べて載置されている点で上記変形例1-3と異なる。
【0071】
図10(a)~(c)に示すように、互いに異なる原料から成る3つのエアロゾル形成基材10~12が、保持部材20の上面と下面において長手方向の一端側(
図10では左端側)から他端側(
図10では右端側)に向かって順次隣り合うように接着されている。これにより、保持部材20と、その両面に接着されたエアロゾル形成基材10~12が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-4の両面の全部にエアロゾル形成基材10~12が露呈した状態となっている。
【0072】
このような喫煙具用カートリッジ1-4によれば、上記変形例1-3と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-4によれば、保持部材20の両面に設けられた3つのエアロゾル形成基材10~12によって、エアロゾルの風味を2度味わえる。また、上記変形例1-4に比べて保持部材20の下面にもエアロゾル形成基材10~12が接着されているので、1つの喫煙具用カートリッジ1-4から生成可能なエアロゾルの量を増やすことができる。さらに、含有成分が適宜選択されたエアロゾル形成基材10~12を組み合わせ自在とすることで、様々な風味のエアロゾルを味わえる。
【0073】
(変形例1-5)
図11(a)は、変形例1-5に係る喫煙具用カートリッジ1-5の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-5の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-5のXIc-XIc断面図である。変形例1-5に係る喫煙具用カートリッジ1-5は、保持部材30が枠状に形成されている点で上記第1実施形態と異なる。
【0074】
図11(a)~(c)に示すように、喫煙具用カートリッジ1-5は、エアロゾル形成基材10と、枠状の保持部材30と、底板40と、を有する。エアロゾル形成基材10は保持部材30の枠内に充填されて保持されている。即ち、保持部材30はエアロゾル形成基材10の外周部を保持している。底板40は、保持部材30の下方の開口を塞ぐように設けられ、エアロゾル形成基材10の脱落を防止する。これらエアロゾル形成基材10、保持部材30、および底板40が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-5の片面(
図10では上面)の一部に、エアロゾル形成基材10が露呈した状態となっている。
【0075】
このような喫煙具用カートリッジ1-5によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、喫煙具用カートリッジ1-5によれば、エアロゾル形成基材10が枠状の保持部材30によって保持されているので、持ち運びの際に喫煙具用カートリッジ1-5に加わる衝撃に起因するエアロゾル形成基材10の破損を抑制できる。さらに、エアロゾル形成基材10が脱落しないように底板40が設けられているので、持ち運びの際に喫煙具用カートリッジ1-5の形態を保持できる。
【0076】
(変形例1-6)
図12(a)は、変形例1-6に係る喫煙具用カートリッジ1-6の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-6の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-6のXIIc-XIIc断面図である。変形例1-6に係る喫煙具用カートリッジ1-6は、底板40を有しない点で上記変形例1-5と異なる。
【0077】
図12(a)~(c)に示すように、エアロゾル形成基材10は、保持部材30の枠内に充填されている。この場合、保持部材30がエアロゾル形成基材10を保持する保持力が十分に確保されているため、底板40が設けられない構成となっている。また、エアロゾル形成基材10および保持部材30が1つの板状体を成している。さらに、喫煙具用カートリッジ1-6の両面の一部にエアロゾル形成基材10が露呈した状態となっている。
【0078】
このような喫煙具用カートリッジ1-6によれば、上記変形例1-5と同様の効果を奏することができる。また、底板40を設ける必要がないため、製造コストを削減できる。
【0079】
(変形例1-7)
図13(a)は、変形例1-7に係る喫煙具用カートリッジ1-7の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-7の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-7のXIIIc-XIIIc断面図である。変形例1-7に係る喫煙具用カートリッジ1-7は、複数(本例では2つ)のエアロゾル形成基材10,11が枠状の保持部材30に保持される点で上記変形例1-6と異なる。
【0080】
図13(a)~(c)に示すように、エアロゾル形成基材10,11は互いに異なる原料から成る。エアロゾル形成基材11は保持部材30の枠内の下半分に充填されており、エアロゾル形成基材10は保持部材30の枠内の上半分に充填されている。これらエアロゾル形成基材10,11および保持部材30が1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-7の両面の一部にエアロゾル形成基材10,11が露呈した状態となっている。
【0081】
このような喫煙具用カートリッジ1-7によれば、上記変形例1-6と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-7によれば、保持部材30内に原料の異なる2つのエアロゾル形成基材10が設けられているので、1つの喫煙具用カートリッジで異なる風味を持ったエアロゾルを味わえる。
【0082】
(変形例1-8)
図14(a)は、変形例1-8に係る喫煙具用カートリッジの平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-8の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-8のXIVc-XIVc断面図である。変形例1-8に係る喫煙具用カートリッジ1-8は、保持部材30が格子状に形成されている点で上記第1実施形態と異なる。
【0083】
図14(a)~(c)に示すように、保持部材30は、格子状に形成されており、4つの格子30a~30dを有している。エアロゾル形成基材10は格子30a、30b内に充填されて保持されており、エアロゾル形成基材11は格子30c,30d内に充填されて保持されている。また、各格子30a~30dの下方の開口を塞ぐように底板40が設けられている。エアロゾル形成基材10,11、保持部材30、および底板40は1つの板状体を成している。また、喫煙具用カートリッジ1-8の片面(
図14では上面)の一部にエアロゾル形成基材10,11が露呈した状態となっている。
【0084】
このような喫煙具用カートリッジ1-8によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、この喫煙具用カートリッジ1-8によれば、エアロゾル形成基材10,11が各格子30a~30d内に分散されているため、各エアロゾル形成基材10,11を効率良く加熱して風味を豊かにできる。なお、保持部材30の格子の数は、4つに限られず、4つよりも多くても良いし、少なくても良い。
【0085】
(変形例1-9)
図15(a)は変形例1-9に係る喫煙具用カートリッジ1-9の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ1-9の正面図、(c)は(a)に示す喫煙具用カートリッジ1-9のXVc-XVc断面図である。変形例1-9に係る喫煙具用カートリッジ1-9は、底板40を有しない点で上記変形例1-8と異なる。
【0086】
図15(a)~(c)に示すように、エアロゾル形成基材10は保持部材30の格子30a,30b内に充填され、エアロゾル形成基材11は保持部材30の格子30c,30d内に充填されている。この場合、保持部材30がエアロゾル形成基材10,11を保持する保持力が十分に確保されているため、底板40が設けられない構成となっている。また、エアロゾル形成基材10,11および保持部材30が1つの板状体を成している。さらに、喫煙具用カートリッジ1-9の両面の一部にエアロゾル形成基材10,11が露呈した状態となっている。
【0087】
このような喫煙具用カートリッジ1-9によれば、上記変形例1-8と同様の効果を奏することができる。また、底板40を設けないため、製造コストを削減できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジおよび加熱器について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
(喫煙具用カートリッジ)
第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と基本的には同じ構成であるが、ICタグ50が設けられている点が相違する。具体的には、第2実施形態で用いられる喫煙具用カートリッジ2は、上記変形例1-9に係る喫煙具用カートリッジ1-9にICタグ50を設けた構成となっている。
【0089】
図16(a)は、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の平面図、(b)は喫煙具用カートリッジ2の正面図である。
図16(a),(b)に示すように、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、保持部材30の左下隅部にICタグ50が取り付けられている。このICタグ50は、例えばRFID(Radio Frequency Identification )タグであり、第1ヒータ112および第2ヒータ113の制御パターンに関する情報(固有情報)を有している。喫煙具用カートリッジ2が後述する加熱器200の挿入口103に挿入されると、このICタグ50の情報が制御基板110によって読み取られる。なお、本実施形態において、第1ヒータ112(第1ヒータ要素112a~d)および第2ヒータ113(第2ヒータ要素113a~d)は第1実施形態のヒータ109(ヒータ要素109a~d)と同じ構成である。
【0090】
(加熱器)
第2実施形態に係る加熱器200の内部構造について説明する。
図17(a)は、第2実施形態に係る加熱器200の平面図、(b)は(a)に示す加熱器200のXVIIb―XVIIb断面図である。第2実施形態に係る加熱器200は、第1ヒータ112に加えて、第2ヒータ113をさらに備えている。
【0091】
図17(a),(b)に示すように、加熱器200の蓋体102の裏側には、第2ヒータ113がバネ114を介して第1ヒータ112と対向するように設けられている。蓋体102が閉じられた状態では、バネ114は第1ヒータ112に向けて(下側に)付勢され、第2ヒータ要素113a~dはエアロゾル形成基材10,11の表面を押圧するようになっている。
【0092】
図18は、加熱器200の挿入口103に挿入された喫煙具用カートリッジ2と、加熱器200の第1ヒータ112(第1ヒータ要素112a~d)および第2ヒータ113(113a~d)と、の位置関係を説明する図である。なお、
図18では、加熱器200の蓋体102が閉じられたときの第1ヒータ要素112a~dおよび第2ヒータ要素113a~dを模式的に示している。
【0093】
図18に示すように、喫煙具用カートリッジ2の上面(表面)に第2ヒータ要素113a~dが位置しており、下面(裏面)に第1ヒータ要素112a~dが位置している。具体的には、第1ヒータ要素112a,bがエアロゾル形成基材10の下面と面接触し、第2ヒータ要素113a,bがエアロゾル形成基材10の上面と面接触している。また、第1ヒータ要素112c,dがエアロゾル形成基材11の下面と面接触し、第2ヒータ要素113c,dがエアロゾル形成基材11の上面と面接触している。詳細は後述するが、このように配置された第1ヒータ要素112a~dおよび第2ヒータ要素113a~dは、制御基板110のCPUによって所定のパターンで喫煙具用カートリッジ2を加熱するよう制御される。
【0094】
図19は、加熱器200の電気的構成を示すブロック図である。
図19に示すように、制御基板110は、ICタグ情報取得部110aと、ヒータ制御パターン記憶部110bと、を有する。制御基板110は、加熱器200のスイッチ105と電気的に接続されており、スイッチ105がONされた場合に電気信号を受信するよう構成されている。ICタグ情報取得部110aは、喫煙具用カートリッジ2が加熱器200に挿入されると、ICタグ50が有する第1ヒータ112および第2ヒータ113の制御パターンに関する情報を取得する。ヒータ制御パターン記憶部110bには、複数種類のヒータ制御パターン(加熱体制御パターン)が記憶されており、取得されたICタグの情報に基づいて、いずれかのヒータ制御パターンが決定される。
【0095】
図20は、ヒータ制御パターン記憶部110bに記憶されているヒータ制御パターンを示したテーブルである。喫煙具用カートリッジ2のICタグ50には、例えば「1」~「4」のいずれかの固有値が予め書き込まれている。ヒータ制御パターン記憶部110bには、この値に対応するように第1ヒータ112および第2ヒータ113のヒータ制御パターン(加熱パターン)が予め複数(本例では4つ)記憶されている。
【0096】
ICタグ50の固有値「1」には、「第1ヒータ要素112a~dおよび第2ヒータ要素113a~dを全て同時にオン→所定時間経過後にオフ」のヒータ制御パターンが対応付けられている。例えば喫煙具用カートリッジ2のICタグ50に固有値「1」が書き込まれていた場合、エアロゾル形成基材10とエアロゾル形成基材11とが同時に加熱されることになる。なお、所定時間として、エアロゾルの生成が持続される時間(例えば3分)が設定されている。
【0097】
ICタグ50の固有値「2」には、「第1ヒータ要素112a,b、第2ヒータ要素113a,bをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112c,d、第2ヒータ要素113c,dをオン→所定時間経過後にオフ」のヒータ制御パターンが対応付けられている。例えば喫煙具用カートリッジ2のICタグ50に固有値「2」が書き込まれていた場合、まず初めにエアロゾル形成基材10が加熱され、その後にエアロゾル形成基材11が加熱されることになる。なお、所定時間として、エアロゾルの生成が持続される時間(例えば1分30秒)が設定されている。
【0098】
ICタグ50の固有値「3」には、「第1ヒータ要素112c,d、第2ヒータ要素113c,dをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112a,b、第2ヒータ要素113a,bをオン→所定時間経過後にオフ」のヒータ制御パターンが対応付けられている。例えば喫煙具用カートリッジ2のICタグ50に固有値「3」が書き込まれていた場合、まず初めにエアロゾル形成基材11が加熱され、その後にエアロゾル形成基材10が加熱される。なお、所定時間として、エアロゾルの生成が持続される時間(例えば1分30秒)が設定されている。
【0099】
ICタグ50の固有値「4」には、「第1ヒータ要素112a,第2ヒータ要素113aをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112b、第2ヒータ要素113bをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112c、第2ヒータ要素113cをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112d、第2ヒータ要素113dをオン→所定時間経過後にオフ」のヒータ制御パターンが対応付けられている。例えば喫煙具用カートリッジ2のICタグ50に固有値「4」が書き込まれていた場合、エアロゾル形成基材10からエアロゾル形成基材11へと順次(半分ずつ)加熱されていくこととなる。なお、所定時間として、エアロゾルの生成が持続される時間(例えば1分秒)が設定されている。
【0100】
ここで、本発明において、「前記カード型喫煙具用カートリッジを全体的に加熱する第1の加熱体制御パターン」は、
図20に示したICタグの固有値「1」に対応付けられたヒータ制御パターンに相当し、「前記カード型喫煙具用カートリッジを部分的に加熱する第2の加熱体制御パターン」は、
図20に示したICタグの固有値「2」~「4」に対応付けられたヒータ制御パターンに相当する。
【0101】
なお、ヒータ制御パターンの数は上記に示した4つに限られず、適宜変更可能である。例えばICタグ50の固有値「5」に対応するように、「第1ヒータ要素112a,c、第2ヒータ要素113a,cをオン→所定時間経過後にオフ→第1ヒータ要素112b,d、第2ヒータ要素113b,dをオン→所定時間経過後にオフ」のヒータ制御パターンを設けてもよい。このヒータ制御パターンでは、エアロゾル形成基材10,11の双方の一部を同時に少しずつ(半分ずつ)加熱していくことになる。
【0102】
このように制御基板110のヒータ制御パターン記憶部110bには、ICタグ50の情報(固有値)に応じた複数のヒータ制御パターンが記憶されており、制御基板110のCPUは、取得されたICタグ50の情報に基づいて、いずれかのヒータ制御パターンで第1ヒータ112および第2ヒータ113のオン/オフ動作(通電)を制御する。
【0103】
(ヒータの制御)
図21は、制御基板110による第1ヒータ112(第1ヒータ要素112a~d)および第2ヒータ113(第2ヒータ要素113a~d)の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
(ステップS100)
制御基板110のCPUは、スイッチ105が長押しされてONになったか否かを判定する。制御基板110のCPUが、スイッチ105がONになったと判定した場合はステップS101に処理を移す。制御基板110のCPUが、スイッチ105がONになったと判定しなかった場合は処理を終了する。
【0105】
(ステップS101)
制御基板110のICタグ情報取得部110aは、喫煙具用カートリッジ2に取り付けられたICタグ50の情報を取得する。
【0106】
(ステップS102)
制御基板110のCPUは、取得されたICタグ50の情報(固有値)に基づいてヒータ制御パターンを取得する。この場合、CPUはICタグ50の情報とヒータ制御パターン記憶部110bに記憶されたヒータ制御パターンとを照らし合わせ、
図20に示したいずれかのヒータ制御パターンを決定する。
【0107】
(ステップS103)
制御基板110のCPUは、取得されたヒータ制御パターンに基づいて、第1ヒータ112(第1ヒータ要素112a~d)および第2ヒータ113(第2ヒータ要素113a~d)のオン/オフ動作を制御し、処理を終了する。
【0108】
このように構成された第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2および加熱器200によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態によれば、喫煙具用カートリッジ2のICタグ50の情報に対応するように、複数のヒータ制御パターンが予め用意されているため、エアロゾル形成基材10,11から生成される様々な風味のエアロゾルを味わえる。例えばICタグ50の情報が固有値「1」である場合には、エアロゾル形成基材10,11から一斉にエアロゾルが生成されるので、深いエアロゾルの味わいを楽しめる。また、ICタグ50の情報が固有値「2」または「3」である場合には、喫煙途中でエアロゾルの風味の変化を楽しめる。さらに、ICタグ50の情報が固有値「4」である場合には、エアロゾル形成基材10から生成されたエアロゾルを少量ずつじっくりと味わえ、その後さらにエアロゾル形成基材11から生成されたエアロゾルを少量ずつじっくりと味わえる。このように、第2実施形態によれば、喫煙者の嗜好に合わせて多種多様なエアロゾルの楽しみ方を提供できる。
【0109】
また、第2実施形態によれば、加熱器200の蓋体102の裏側には、第2ヒータ要素113a~dをエアロゾル形成基材10,11側に押圧して保持するバネ(押圧保持機構)114が設けられているので、第2ヒータ要素113a~dおよび第1ヒータ要素112a~dがエアロゾル形成基材10,11と確実に面接触できる。よって、エアロゾル形成基材10,11を効率良く加熱できる。
【0110】
なお、上記第2実施形態では、喫煙具用カートリッジ2の基本的な構成について上記変形例1-9を採用したが、その他の変形例でもICタグ50を喫煙具用カートリッジに取り付ければ、上記と同様にして使用可能である。この場合、ヒータ制御パターンとして各喫煙具用カートリッジに好適なパターンを予めヒータ制御パターン記憶部110bに記憶させておくのが好ましい。
【0111】
また、上記第2実施形態では、加熱器200にエアロゾル形成基材10,11を加熱する第1ヒータ112および第2ヒータ113が設けられた構成であったが、エアロゾル形成基材10,11に導電性材料が含有され、この導電性材料と電気的に接続可能な電気接点(電極)が加熱器200に設けられても良い。この場合、電気接点を通してエアロゾル形成基材10,11の導電性材料を通電させて発熱させることで、簡単にエアロゾル形成基材10,11を加熱できる。
【0112】
また、上記第2実施形態では、加熱器200の蓋体102の裏側と第2ヒータ要素113a~dとの間にバネ(押圧保持機構)114が設けられた構成であったが、第1ヒータ112と加熱器200の底面との間にバネ114が設けられても良いし、それら両方の間にバネ114が設けられても良い。
【0113】
さらに、上記第2実施形態では、本発明を構成する加熱体として第1ヒータ112および第2ヒータ113を挙げて説明したが、これに限定されず、例えばLED(発光ダイオード)や小型マイクロ波発信器等を採用しても良い。LEDを採用する場合、LEDからエアロゾル形成基材10,11に光を照射することで、エアロゾル形成基材10,11を加熱できる。また、小型マイクロ波発信器を採用する場合、小型マイクロ波発信器からエアロゾル形成基材10,11にマイクロ波を照射することで、エアロゾル形成基材10,11を加熱できる。そして、上記第2実施形態と同様に、喫煙具用カートリッジ2に取り付けられたICタグ50の情報(固有値)に基づいて、制御基板110によってLEDまたは小型マイクロ波発信器の通電を制御すれば良い。
【0114】
また、上記第2実施形態において、エアロゾル形成基材10,11から生成されたエアロゾルの温度を検出する温度センサを加熱器200に設け、検出されたエアロゾルの温度に基づいて第1ヒータ112および第2ヒータ113の通電を制御しても良い。この場合、制御基板110は温度センサと電気的に接続されており、制御基板110のCPUは、温度センサから検出されたエアロゾルの温度に関する情報を取得し、取得したエアロゾルの温度に関する情報に基づいて第1ヒータ112および第2ヒータ113の通電を制御する。このような通電の制御の仕方は、加熱器200の設計仕様に応じて適宜決定できるが、例えば以下のような制御の仕方が挙げられる。
【0115】
図22は、ICタグ50の情報(固有値)が「2」~「4」のいずれかである場合、制御基板110は、
図20に示した制御を行う前に、一旦、第1ヒータ112および第2ヒータ113の全てをエアロゾルが所定温度となるまでオンするよう制御する手順を示すフローチャートである。
【0116】
(ステップS200)
制御基板110のCPUは、ステップS101の後に、ICタグ50の情報(固有値)が「2」~「4」のいずれかであるか否かを判定する。制御基板110のCPUは、取得したICタグ50の固有値が「2」~「4」のいずれでもないと判定した場合はステップS102の処理に移行する一方、その固有値が「2」~「4」であると判定した場合はステップS201の処理に移行する。
【0117】
(ステップS201)
制御基板110のCPUは、第1ヒータ112および第2ヒータ113の全てをオンし、その後、ステップS202の処理に移行する。
【0118】
(ステップS202)
制御基板110のCPUは、温度センサから取得した温度に関する情報に基づいて、エアロゾルの温度が所定温度以上となったか否かを判定する。ここで、所定温度は生成されたエアロゾルが良好な風味を発揮できる温度であり、エアロゾル形成基材10,11内の含有成分によって適宜設定できる。
【0119】
制御基板110のCPUは、エアロゾルの温度が所定温度以上になったと判定した場合は第1ヒータ112および第2ヒータ113の全てをオフし、その後、ステップS101の処理に移行する。一方、制御基板110のCPUは、エアロゾルの温度が所定温度以上になったと判定しなかった場合は第1ヒータ112および第2ヒータ113の全てをオンした状態で維持する。つまり、制御基板110のCPUは、エアロゾルの温度が所定温度以上となるまで第1ヒータ112および第2ヒータ113をオンするよう制御する。
【0120】
このような構成を採用すれば、ICタグ50の固有値が「2」~「4」でも場合でも、エアロゾル形成基材10,11を部分的に加熱する前に、一旦、全てのエアロゾル形成基材10,11を加熱できるので、喫煙者が満足できる十分な量のエアロゾルを即時的に生成できる。しかも、エアロゾルが良好な風味を発揮できる温度になるまでエアロゾル形成基材10,11の全てが加熱されるので、
図20に示したヒータ制御パターンに移行した当初から喫煙者は良好な風味のエアロゾルを味わえる。
【0121】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0122】
なお、エアロゾル形成基材10の原料については、上記に例示したもののほか、様々な原料を使用できる。例えば、特許第6371927号公報、特許第6371928号公報、および特許第6516907号公報に開示された原料を本発明にも適用できる。
【0123】
また、エアロゾル形成基材10の形状は、たとえば、ストランド、多孔質状などの形態としてもよい。多孔質状にするためには、たとえば、複数の針で乾燥したシートを何度か突き刺すなどすることで形成できる(その他の方法であっても良い)。
【符号の説明】
【0124】
1,1-1~1-9,2 喫煙具用カートリッジ(カード型喫煙具用カートリッジ)
10,11,12 エアロゾル形成基材
20,30 保持部材
30a~30d 格子
50 ICタグ
100,200 加熱器
101 ケース本体
103 挿入口
104 マウスピース
109 ヒータ(加熱体)
110 制御基板(制御部)
110a ICタグ情報取得部(情報取得部)
110b ヒータ制御パターン記憶部(記憶部)
112 第1ヒータ(加熱体)
113 第2ヒータ(加熱体)
114 バネ(押圧保持機構)