(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100001
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20230707BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230707BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230707BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20230707BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230707BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230707BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20230707BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20230707BHJP
H01G 11/18 20130101ALI20230707BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230707BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/103
H01M50/209
H01M50/505
H01M50/55 101
H01M50/289
H01G11/12
H01G11/78
H01G11/18
H01M50/204 401H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210215
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2022000171
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA09
5E078AB01
5E078HA06
5E078JA02
5E078JA07
5H011AA10
5H011BB04
5H011BB05
5H011KK01
5H040AA28
5H040AS01
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD03
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA09
5H043AA13
5H043AA15
5H043BA01
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA04
5H043CA05
5H043CA08
5H043FA04
(57)【要約】
【課題】複数並べられた直方体状の蓄電素子のうち、一つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響を抑制する。
【解決手段】蓄電装置1は、端子(電極端子140)が配置された端子配置面(天面114)を有する直方体状の第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bを備えている。第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとは、端子配置面が第一方向(Z軸方向)を向くとともに、当該端子配置面に隣り合う長側面111が第一方向と直交する第二方向(Y軸方向)で互いに対向するように配列されている。第一方向から見た場合に、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとが膨張する前の状態において、第一方向及び第二方向に直交する第三方向(X軸方向)における、第一蓄電素子と第二蓄電素子との一端部同士の間隔が、第一蓄電素子と第二蓄電素子との他端部同士の間隔よりも大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が配置された端子配置面を有する直方体状の第一蓄電素子及び第二蓄電素子を備え、
前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とは、前記端子配置面が第一方向を向くとともに、当該端子配置面に隣り合う長側面が前記第一方向と直交する第二方向で互いに対向するように配列されており、
前記第一方向から見た場合に、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向における、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との一端部同士の間隔が、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との他端部同士の間隔よりも大きい
蓄電装置。
【請求項2】
前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とにおいて、前記他端部に備わる前記端子同士がバスバーにより接続されている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との間に配置されたスペーサを有する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との間に配置され、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第三方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きくなるように、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とを位置決めする仕切部を有する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
端子が配置された端子配置面を有する直方体状の第三蓄電素子を備え、
前記第三蓄電素子は、前記端子配置面に隣り合う長側面が前記第二蓄電素子の長側面に対向するように配列されており、
前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第三方向における、前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子との一端部同士の間隔が、前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子との他端部同士の間隔よりも小さい
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数の直方体状の二次電池(蓄電素子)を樹脂製のセルホルダ(樹脂外装体)で保持した電池ユニット(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの鋭意検討により、直方体状の蓄電素子は、過剰に高温化して膨張すると長側面が台形状に膨らむ特性を有していることを見出した。例えば、互いの長側面が対向するように並べられた一対の蓄電素子において両者の間隔が均等に配置されている場合、一方の蓄電素子の長側面が台形状に膨らむと、他方の蓄電素子に対して面接触してしまう。これにより、一方の蓄電素子から大量の熱が他方の蓄電素子に伝わりやすくなってしまい、他方の蓄電素子も過大な熱影響を受けてしまう。
【0005】
このため、本発明の目的は、複数並べられた直方体状の蓄電素子のうち、一つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、端子が配置された端子配置面を有する直方体状の第一蓄電素子及び第二蓄電素子を備え、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とは、前記端子配置面が第一方向を向くとともに、当該端子配置面に隣り合う長側面が前記第一方向と直交する第二方向で互いに対向するように配列されており、前記第一方向から見た場合に、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蓄電装置によれば、複数並べられた直方体状の蓄電素子のうち、一つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る外装体本体の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る外装体本体の一部を断面で示す断面斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る仕切部を示す上面図である。
【
図7】実施の形態に係る膨張後の第一蓄電素子と、膨張前の第二蓄電素子との状態を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る蓄電素子は、端子が配置された端子配置面を有する直方体状の第一蓄電素子及び第二蓄電素子を備え、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とは、前記端子配置面が第一方向を向くとともに、当該端子配置面に隣り合う長側面が第一方向と直交する第二方向で互いに対向するように配列されており、前記端子配置面を平面視した場合に、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向における、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との一端部同士の間隔が、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との他端部同士の間隔よりも大きい。
【0010】
これによれば、端子配置面を平面視した場合、第一蓄電素子と第二蓄電素子とが膨張する前の状態では、第三方向(長側面の長手方向に沿う方向)における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きいので、互いに対向する長側面同士が傾いて配置されることになる。このため、一方の蓄電素子の長側面が台形状に膨らんだとしても、他方の蓄電素子に対する接触面積を減少させることができる。したがって、過剰に高温化した1つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響を抑制できる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とにおいて、前記他端部に備わる前記端子同士がバスバーにより接続されていてもよい。
【0012】
ここで、第一蓄電素子と第二蓄電素子とにおいて、間隔が広い側である一端部に備わる端子同士がバスバーにより接続されている場合には、当該一端部同士の間隔はバスバーにより一定に保たれたままで、一方の蓄電素子が膨張する。この膨張時には、一方の蓄電素子は、他端部同士の間隔が狭まるように移動しうる。つまり、互いに対向する長側面同士は、その傾きが小さくなってしまうので、第一蓄電素子と第二蓄電素子との接触面積が大きくなってしまう。
【0013】
これに対し、第一蓄電素子と第二蓄電素子とにおいて、間隔が狭い側である他端部に備わる端子同士がバスバーにより接続されていれば、他端部同士の間隔がバスバーにより一定に保たれたままで、一方の蓄電素子が膨張する。この膨張時には、一方の蓄電素子は、一端部同士の間隔が広がるように移動しうる。つまり、互いに対向する長側面同士は、その傾きが大きくなるので、第一蓄電素子と第二蓄電素子との接触面積が大きくなってしまうことを抑制できる。したがって、過剰に高温化した1つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響をより確実に抑制できる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電装置は、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との間に配置されたスペーサを有してもよい。
【0015】
これによれば、第一蓄電素子と第二蓄電素子との間にスペーサが配置されているので、当該スペーサを熱的な障壁とすることができる。また、第一蓄電素子と第二蓄電素子とは互いに対向する長側面同士が傾いて配置されているので、当該長側面同士をスペーサに対して傾いて配置することも可能である。このため、一方の蓄電素子の長側面が台形状に膨らんだとしても、スペーサに対する接触面積を減少させることができる。これらのことにより、過剰に高温化した1つの蓄電素子から他の蓄電素子に対する熱影響をより確実に抑制できる。
【0016】
(4)上記(1)または(2)に記載の記載の蓄電装置は、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子との間に配置され、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第三方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きくなるように、前記第一蓄電素子と前記第二蓄電素子とを位置決めする仕切部を有してもよい。
【0017】
これによれば、仕切部が第一蓄電素子と第二蓄電素子とを位置決めしているので、一方の蓄電素子が膨張したとしても、仕切部により各蓄電素子の位置関係を維持することができる。したがって、一方の蓄電素子の長側面が台形状に膨らんだとしても、他方の蓄電素子に伝わる熱量をより確実に減少させることができる。
【0018】
(5)上記(1)または(2)に記載の記載の蓄電装置は、端子が配置された端子配置面を有する直方体状の第三蓄電素子を備え、前記第三蓄電素子は、前記端子配置面に隣り合う長側面が前記第二蓄電素子の長側面に対向するように配列されており、前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子とが膨張する前の状態において、前記第三方向における、前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子との一端部同士の間隔が、前記第二蓄電素子と前記第三蓄電素子との他端部同士の間隔よりも小さくてもよい。
【0019】
これによれば、第二蓄電素子と第三蓄電素子とにおいて、第三方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも小さい。上述したように、膨張前の第一蓄電素子と第二蓄電素子とは、第三方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きい。つまり、間隔が小さな箇所は、第一蓄電素子と第二蓄電素子とでは他端部同士であるのに対し、第二蓄電素子と第三蓄電素子とでは一端部同士である。間隔が小さな箇所が一端部に偏っていると、3つの蓄電素子が全体として弧状に配列されてしまうが、本態様であれば、3つの蓄電素子を直線状に配置することができ、3つの蓄電素子の設置スペースを低減することができる。
【0020】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0021】
以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における一対(正極及び負極)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、樹脂外装体の短手方向を、X軸方向と定義する。複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、蓄電素子及びスペーサの並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子及びバスバーの並び方向、蓄電素子の容器の本体及び蓋部の並び方向、外装体支持体の第一支持体及び第二支持体の並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。X軸方向は第三方向の一例であり、Y軸方向は第二方向の一例であり、Z軸方向は第一方向の一例である。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0022】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0023】
[蓄電装置の構成の説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0024】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0025】
図1に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10に取り付けられる基板ユニット20と、を備えている。蓄電ユニット10は、Y軸方向に長尺の略直方体形状を有している。基板ユニット20は、蓄電ユニット10が有する蓄電素子100の状態の監視、及び、蓄電素子100の制御を行うことができる機器であり、内方に回路基板等を有している。本実施の形態では、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の長手方向の端部、つまり、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向側の側面に取り付けられる扁平な矩形状の部材である。
【0026】
さらに
図2に示すように、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200と、樹脂外装体300と、複数のバスバー400と、外装体支持体500と、を有している。蓄電ユニット10には、ケーブル410、420が接続される。
【0027】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、16個の蓄電素子100がY軸方向に並んで配列されている。蓄電素子100の大きさ、形状、及び、配列される蓄電素子100の個数等は限定されず、例えば1つの蓄電素子100しか配置されていなくてもよい。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0028】
スペーサ200は、Y軸方向において蓄電素子100と並んで配置され、蓄電素子100と他の部材とを断熱及び/又は絶縁する平板状かつ矩形状の部材である。スペーサ200は、蓄電素子100のY軸プラス方向またはY軸マイナス方向に配置されて、蓄電素子100同士を断熱及び/又は絶縁する断熱板または絶縁板である。スペーサ200は、ダンマ材等の断熱性を有する部材、または、後述の樹脂外装体300に使用可能ないずれかの樹脂材料等の絶縁性を有する部材等で形成されている。
【0029】
スペーサ200は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に配置され、当該2つの蓄電素子100の間を断熱及び/又は絶縁する、XZ平面に平行な平板状かつ矩形状のスペーサ(中間スペーサ)である。具体的には、スペーサ200は、当該2つの蓄電素子100が有する後述の容器110の長側面111同士の間において、当該長側面111と対向して配置される。本実施の形態では、15枚のスペーサ200が16個の蓄電素子100とY軸方向に交互に並んで配置されているが、蓄電素子100の数が16個以外の場合には、スペーサ200の数も蓄電素子100の数に応じて適宜変更される。スペーサ200は、全ての蓄電素子100同士の間に配置されることには限定されず、いずれかの蓄電素子100同士の間にはスペーサ200が配置されない構成でもよい。全てのスペーサ200が同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサ200が異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0030】
樹脂外装体300は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200の外方に配置され、当該複数の蓄電素子100等を覆う筐体(蓄電ユニット10の外殻)を構成する部材である。具体的には、樹脂外装体300は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200をZ軸方向で挟むように、当該複数の蓄電素子100のZ軸方向両側に配置され、当該複数の蓄電素子100等のZ軸方向両端部を覆う。これにより、樹脂外装体300は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を一括して保持することで所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。
【0031】
樹脂外装体300は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。樹脂外装体300は、これにより、蓄電素子100等が外部の金属部材等に接触することを回避する。蓄電素子100等の絶縁性が保たれる構成であれば、樹脂外装体300は、金属等の導電部材で形成されてもよい。
【0032】
樹脂外装体300は、樹脂外装体300の本体を構成する外装体本体310と、樹脂外装体300の蓋体を構成するバスバーフレーム320と、を有している。外装体本体310及びバスバーフレーム320は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0033】
外装体本体310は、Z軸プラス方向の面の全面が開口し、かつ、Z軸マイナス方向の面が閉塞した有底矩形筒状のハウジングである。具体的には、外装体本体310は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸マイナス方向に配置されて、当該複数の蓄電素子100等が収容される、Y軸方向に長尺な箱状体である。外装体本体310の詳細については後述する。
【0034】
バスバーフレーム320は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のZ軸プラス方向に配置されて、複数の蓄電素子100上に載置されるY軸方向に長尺な箱形(扁平な略直方体形状)の部材である。バスバーフレーム320は、後述の外装体支持体500の第二支持体520と蓄電素子100との間に配置されるため、蓄電ユニット10の内蓋であるとも言える。バスバーフレーム320は、バスバーホルダまたはバスバープレートと言うこともできる。本実施の形態では、バスバーフレーム320は、バスバー400と他の部材との絶縁、及び、バスバー400の位置規制等を行う。具体的には、バスバーフレーム320が、複数の蓄電素子100上に載置されて複数の蓄電素子100に対して位置決めされ、かつ、複数のバスバー400が、バスバーフレーム320に対して位置決めされる。これにより、各バスバー400は、複数の蓄電素子100に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子100が有する電極端子140に接合される。
【0035】
バスバー400は、複数の蓄電素子100上に配置され、複数の蓄電素子100の電極端子140同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。本実施の形態では、バスバー400と電極端子140とは、ボルト締結によって接続(接合)されるが、溶接等で接続(接合)されてもよい。バスバー400は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル等の金属製の導電部材若しくはそれらの組み合わせ、または、金属以外の導電性の部材等で形成されている。本実施の形態では、バスバー400は、隣り合う蓄電素子100の電極端子140同士を接続することで、16個の蓄電素子100を直列に接続している。
【0036】
バスバー400には、検出線400aが接続されている。検出線400aは、蓄電素子100の電圧計測用、温度計測用、または、蓄電素子100間の電圧バランス用の電線(通信ケーブル、制御ケーブル、通信線、制御線ともいう)である。検出線400aは、基板ユニット20に接続されており、蓄電素子100の電圧及び温度等の情報を、基板ユニット20に伝達する。
【0037】
複数の蓄電素子100のうちのY軸方向両端部に位置する蓄電素子100が有する電極端子140が、ケーブル410、420に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。ケーブル410、420は、蓄電装置1(蓄電素子100)を充放電するための電流(主電流)が流れる正極及び負極の電線(電源ケーブル)である。
【0038】
外装体支持体500は、樹脂外装体300を支持し、保護(補強)する部材である。外装体支持体500は、外装体支持体500の本体を構成する第一支持体510と、外装体支持体500の蓋体を構成する第二支持体520と、を有している。
【0039】
第一支持体510及び第二支持体520は、外装体本体310よりも熱伝導率の高い材料で形成されている。具体的には、外装体支持体500は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材等により形成されている。第一支持体510及び第二支持体520は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0040】
第一支持体510は、外装体本体310が載置されて外装体本体310を下方(Z軸マイナス方向)から支持する金属プレートであり、底部511と、接続部512、513と、を有している。底部511は、蓄電ユニット10の底部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延びる平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体310のZ軸マイナス方向に配置される。
【0041】
接続部512は、底部511のY軸マイナス方向端部からZ軸プラス方向に立設され、かつ、Y軸マイナス方向に突出する板状の部位であり、第二支持体520と接続される。接続部513は、底部511のY軸プラス方向端部からZ軸プラス方向に立設され、かつ、Y軸プラス方向に突出する板状の部位であり、第二支持体520と接続される。
【0042】
第二支持体520は、バスバーフレーム320の上方(Z軸プラス方向)からバスバーフレーム320を押圧して支持する金属プレートであり、天面部521と、接続部522、523と、を有している。天面部521は、蓄電ユニット10の上面部(外蓋)を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延びる平板状かつ矩形状の部位であり、バスバーフレーム320のZ軸プラス方向に配置される。接続部522は、天面部521のY軸マイナス方向端部からZ軸マイナス方向に延び、かつ、Y軸マイナス方向に突出する部位であり、第一支持体510の接続部512と接続される。接続部523は、天面部521のY軸プラス方向端部からZ軸マイナス方向に延び、かつ、Y軸プラス方向に突出する部位であり、第一支持体510の接続部513と接続される。
【0043】
このように、第一支持体510及び第二支持体520は、外装体本体310及びバスバーフレーム320をZ軸方向から挟み込んだ状態で、接続部512、513と接続部522、523とがネジ止め等で接続(接合)されることで固定される構成となっている。これにより、外装体支持体500は、樹脂外装体300を支持(保持)する。
【0044】
[蓄電素子の説明]
次に、蓄電素子100の構成について、詳細に説明する。
図3は、実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2に示した複数の蓄電素子100のうちの1つの蓄電素子100の外観を拡大して示している。当該複数の蓄電素子100は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つの蓄電素子100の構成について詳細に説明する。後述するように、蓄電素子100は、X軸方向に対して傾いて外装体本体310内に収容される。つまり、外装体本体310の短手方向(X軸方向)に対し蓄電素子100の長手方向が傾くので、
図3においては蓄電素子100の長手方向をX1軸方向とし、短手方向をY1軸方向とする。
【0045】
図3に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極及び負極)の電極端子140と、を備えている。容器110の内方には、電極体、一対(正極及び負極)の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。蓄電素子100は、容器110と電極端子140及び集電体との間を絶縁し、かつ封止する絶縁性のガスケットを備えているが、この図示も省略する。
【0046】
蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体の側方または下方等に配置されるスペーサ、及び、電極体等を包み込む絶縁フィルム等を有していてもよい。容器110の周囲には、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)が配置されていてもよい。当該絶縁フィルムの材質は、蓄電素子100に必要な絶縁性を確保できるものであれば特に限定されないが、例えば、PC、PP、PE、PPS、PET、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂、エポキシ樹脂、カプトン(登録商標)、テフロン(登録商標)、シリコン、ポリイソプレン、及びポリ塩化ビニル等を例示することができる。
【0047】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する蓋部130と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。蓋部130は、容器110の蓋体を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向にX1軸方向に延びるように配置されている。容器110(蓋部130)には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁131、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部(図示せず)等が設けられている。容器110(容器本体120及び蓋部130)の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0048】
容器110は、電極体等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と蓋部130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器110は、Y1軸方向両側の側面に一対の長側面111を有し、X1軸方向両側の側面に一対の短側面112を有し、Z軸マイナス方向側に底面113を有し、Z軸プラス方向側に天面114を有している。長側面111は、容器110の長側面を形成するX1-Z平面に平行な矩形状の平面部であり、隣り合うスペーサ200とY1軸方向において対向して配置される。長側面111は、短側面112及び底面113に隣接し、短側面112よりも面積が大きい。短側面112は、容器110の短側面を形成するY1-Z平面に平行な矩形状の平面部である。短側面112は、長側面111及び底面113に隣接し、長側面111よりも面積が小さい。底面113は、容器110の底面を形成するX1-Y1平面に平行な矩形状の平面部であり、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。天面114は、容器110の天面を形成するX1-Y1平面に平行な矩形状の平面部であり、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。天面114からは、電極端子140の一部が突出して配置されている。つまり、天面114は、電極端子140が配置された端子配置面の一例である。
【0049】
電極端子140は、蓋部130に配置される蓄電素子100の端子(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。電極端子140は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子140は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0050】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がY1軸方向に積層されて形成されている。なお、電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0051】
集電体は、電極端子140と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0052】
[外装体本体の説明]
図4は、実施の形態に係る外装体本体310の概略構成を示す斜視図である。
図5は、実施の形態に係る外装体本体310の一部を断面で示す断面斜視図である。
【0053】
図4に示すように、外装体本体310は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングであり、その内部に複数の蓄電素子100が収容されて、載置される。具体的には、外装体本体310は、Y軸方向に長尺な矩形板状の底体311と、底体311の周縁部から全周にわたって立設した矩形筒状の周壁部312とを有している。周壁部312のZ軸プラス方向の端部が開口を有している。周壁部312は、底体311の短辺に対応する一対の短側壁313と、底体311の長辺に対応する一対の長側壁314とを備えている。一対の短側壁313はY軸方向で対向しており、一対の長側壁314はX軸方向で対向している。各長側壁314には、Z軸方向に長尺な略矩形状の長孔315がY軸方向に沿って並ぶように複数形成されている。
【0054】
底体311は、各蓄電素子100の底面113に対向して配置されており、各蓄電素子100を下方から支持する。底体311における内底面には、上方に向けて突出した、つまり蓄電素子100に向けて突出した複数の凸部318が設けられている。各凸部318は、平面視(Z軸方向視)においてX軸方向に長尺な略矩形状を有している。凸部318は、隣り合う仕切部360同士の間及び両端の仕切部360と短側壁313との間のそれぞれに設けられている。各凸部318の上面は平面状に形成されており、当該上面に各蓄電素子100が載置されている。
【0055】
図4及び
図5に示すように、底体311には、隣り合う全ての凸部318の間にそれぞれ配置され、隣り合う蓄電素子100同士を仕切る複数の仕切部360が設けられている。本実施の形態では、15個の仕切部360がY軸方向に並んで配列されている。仕切部360は、一方の長側壁314から他方の長側壁314まで連続するようにX軸方向に沿って延びている。また、仕切部360は、底体311の内底面から突出している。
【0056】
図6は、実施の形態に係る仕切部360を示す上面図である。
図6は、各蓄電素子100の天面114(端子配置面)を平面視した図であるとも言える。つまり、外装体本体310に載置された各蓄電素子100の天面114(端子配置面)は、Z軸方向(第一方向)を向いている。この状態では、隣り合う一対の蓄電素子100の長側面111は、Y軸方向(第二方向)で対向している。なお、
図6では、外装体本体310の一部を省略線により省略して描いている。
【0057】
図6では、15個の仕切部360のうち、連続する3個の仕切部360のみを示している。
図6では、3個の仕切部360により仕切られた蓄電素子100の長側面111を二点鎖線で示している。より詳細には、
図6では、蓄電素子100が膨張する前の状態の長側面111を二点鎖線で示している。このため、長側面111を示す二点鎖線は直線状となっている。また、蓄電素子100は、高温化すると膨張することになるが、このときZ軸方向視においては、蓄電素子100のX軸方向(第三方向)の中央部が最も膨張する。本実施の形態においては、蓄電素子100におけるX軸方向の中央部の幅W1が、X軸方向の端部の幅W2の1.1倍以上にならないときは膨張前の状態とする。
【0058】
図6に示すように、仕切部360は、スペーサ保持部361と、第一介在部362と、第二介在部363とを有している。
【0059】
スペーサ保持部361は、スペーサ200を保持する部位である。具体的には、スペーサ保持部361は、蓄電素子100の長側面111に沿ってX軸方向に延びる部位であり、その上面にスペーサ200が嵌合する凹状の嵌合部364が形成されている。スペーサ保持部361は、嵌合部364にスペーサ200が嵌合されることで当該スペーサ200を保持する。
【0060】
第一介在部362は、隣り合う一対の蓄電素子100のX軸方向端部において、互いに対向する長側面111の間に介在し挟まれる部位である。具体的には、第一介在部362は、スペーサ保持部361のX軸方向の端部から連続して設けられている。
【0061】
第二介在部363は、隣り合う一対の蓄電素子100のX軸方向端部において、互いに隣り合う長側面の間に介在し挟まれる部位である。具体的には、第二介在部363は、スペーサ保持部361のX軸方向の端部から連続して設けられている。
【0062】
第一介在部362および第二介在部363は、第一介在部362のY軸方向の幅H1と第二介在部363のY軸方向の幅H2とが、H2>H1となるように形成されている。つまり、第二介在部363のY軸方向の幅H2は、第一介在部362のY軸方向の幅H1よりも大きい。
【0063】
ここで、複数の仕切部360は、第一介在部362がX軸方向マイナス側に配置されるとともに第二介在在部363がX軸方向プラス側に配置されるタイプと、第一介在部362がX軸方向プラス側に配置されるとともに第二介在在部363がX軸方向マイナス側に配置されるタイプとの2種類を有している。2種類の仕切部360がY軸方向に交互に配置されることにより、第一介在部362と第二介在部363とがY軸方向に交互に並ぶように配置されている。
【0064】
図6に示す3つの仕切部360および3つの蓄電素子100を例示して説明する。なお左端の蓄電素子については説明を省略する。
図6では、X軸方向マイナス側を一端側、X軸方向プラス側を他端側として説明する。
【0065】
説明の便宜上、これら3つの仕切部360をY軸マイナス方向から順に、第一仕切部360a、第二仕切部360b、第三仕切部360cと称す。また、第一仕切部360aと第二仕切部360bとの間の蓄電素子100を第一蓄電素子100aと称し、第二仕切部360bと第三仕切部360cとの間の蓄電素子100を第二蓄電素子100bと称し、第三仕切部360cよりもY軸プラス方向の蓄電素子100を第三蓄電素子100cと称す。
【0066】
第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとは、X軸方向プラス側端部(他端側)で電極端子140同士がバスバー400により接合(接続)されている。また、第二蓄電素子100bと第三蓄電素子100cとは、X軸方向マイナス側端部(一端側)で電極端子140同士がバスバー400により接合(接続)されている。
図6では、電極端子140およびバスバー400の図示を省略している。
【0067】
第一仕切部360a及び第三仕切部360cでは、X軸マイナス方向の端部に第一介在部362が位置しており、X軸プラス方向の端部に第二介在部363が位置している。これに対し、第二仕切部360bでは、X軸プラス方向の端部に第一介在部362が位置しており、X軸マイナス方向の端部に第二介在部363が位置している。
【0068】
隣り合う第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bは、互いの長側面111同士が対向するように配列されている。第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの間には第二仕切部360bが配置されている。第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bにおいて、X軸マイナス方向の一端部同士の間には第二仕切部360bの第二介在部363が介在しており、X軸プラス方向の他端部同士の間には第二仕切部360bの第一介在部362が介在している。このため、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bの一端部同士の間隔は、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bの他端部同士の間隔よりも大きい。なお、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bの、一端部同士の間隔および他端部同士の間隔とは、それぞれY軸方向の間隔である。
【0069】
ここで、膨張前の第一蓄電素子100aの長側面111とX軸方向とがなす角度α1は0.3度よりも大きく、好ましく2度以下である。膨張前の第二蓄電素子100bの長側面111とX軸方向とがなす角度α2は、角度α1と同等であればよい。
【0070】
隣り合う第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cは互いの長側面111同士が対向するように配列されている。第二蓄電素子100bと第三蓄電素子100cとの間には第三仕切部360cが配置されている。第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cにおいて、X軸マイナス方向の一端部同士の間には第三仕切部360cの第一介在部362が介在しており、X軸プラス方向の他端部同士の間には第三仕切部360cの第二介在部363が介在している。このため、第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cの一端部同士の間隔は、第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cの他端部同士の間隔よりも小さい。第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cの、一端部同士の間隔および他端部同士の間隔とは、それぞれY軸方向の間隔である。なお、膨張前の第三蓄電素子100cの長側面111とX軸方向とがなす角度α3は、角度α1と同等であればよい。
【0071】
[第一蓄電素子と第二蓄電素子とのうち第一蓄電素子が膨張した場合の説明]
次に、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとを例示して、第一蓄電素子100aが膨張した場合の状態について説明する。
図7は、実施の形態に係る膨張後の第一蓄電素子100aと、膨張前の第二蓄電素子100bとの状態を模式的に示す上面図である。
【0072】
ここで、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとは、間隔が狭い端部(他端部)の電極端子140同士がバスバー400(
図7では破線で図示)により接合(接続)されている。
【0073】
何らかの不具合により第一蓄電素子100aが過剰に高温化して膨張すると、第一蓄電素子100aの一対の長側面111のうち、少なくとも一方の長側面111が膨張することになる。その一例として、
図7では、第一蓄電素子100aにおいて第二蓄電素子100bと対向する長側面111のみが膨らんだ状態を示している。このとき、長側面111は、Z軸方向の中間部分が最も膨張することになり、当該部分は上面視において台形状に膨張する。台形状に膨張した長側面111は、台形の上底をなす部位のうち、X軸プラス方向の角部がスペーサ200に対して小さな接触面積で接触する(
図7の円P1参照)。このため、第一蓄電素子100aからスペーサ200に伝わる熱量が小さくなり、ひいては第二蓄電素子100bに伝わる熱量も小さくなる。
【0074】
また、膨張した長側面111によりスペーサ200が押され第二蓄電素子100bの長側面111に接触することもあるが、第二蓄電素子100bはX軸方向に対して傾いて配置されているので、スペーサ200と第二蓄電素子100bの長側面111との接触面積も小さくなる(
図7の円P2参照)。つまり、スペーサ200から第二蓄電素子100bに伝わる熱量をより小さくすることができる。
【0075】
ここで、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとにおいて、間隔が広い端部(一端部)に備わる電極端子140同士がバスバー400により接続されている場合を想定する。この場合、当該一端部同士の間隔はバスバー400により一定に保たれたままで、第一蓄電素子100aが膨張する。この膨張時には、第一蓄電素子100aは、他端部同士の間隔が狭まるように移動しうる。つまり、互いに対向する長側面111同士は、その傾きが小さくなってしまうので、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの接触面積が大きくなってしまう。
【0076】
本実施の形態では、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとにおいて、間隔が狭い他端部に備わる電極端子140同士がバスバー400により接続されている。このため、他端部同士の間隔がバスバー400により一定に保たれたままで、第一蓄電素子100aが膨張する。この膨張時には、第一蓄電素子100aは、一端部同士の間隔が広がるように移動しうる。つまり、互いに対向する長側面111同士は、その傾きが大きくなるので、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの接触面積が大きくなってしまうことを抑制できる。
【0077】
第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとにおいて、間隔が狭い他端部に備わる電極端子140同士がバスバー400により接続されているので、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの傾きを考慮して、予めバスバー400の長さを設定することができ、好適である。
【0078】
なお、
図6では、X軸方向マイナス側を一端側、X軸方向プラス側を他端側として説明したが、これは例示であって、連続して並ぶ任意の3つの蓄電素子に関して、適宜、一端部と他端部を逆にしてもよい。具体的にはX軸方向マイナス側を他端側、X軸方向プラス側を一端側としてもよい。上記した第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの関係性は、一端部と他端部を逆にすることで、第二蓄電素子100bと第三蓄電素子100cとについても同様のことが言える。また、蓄電装置1において、隣り合う一対の蓄電素子100、あるいは、任意の連続して並ぶ3つの蓄電素子100の全てに対しても同様のことが言える。
【0079】
[効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、端子配置面である天面114を平面視した場合、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとが膨張する前の状態では、X軸方向(第三方向)における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きいので、互いに対向する長側面111同士が傾いて配置されることになる。このため、第一蓄電素子100aの長側面111が台形状に膨らんだとしても、第二蓄電素子100bに対する接触面積を減少させることができる。したがって、過剰に高温化した1つの蓄電素子100aから他の蓄電素子に対する熱影響を抑制できる。
【0080】
第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとにおいて、間隔が狭い側である他端部に備わる電極端子140同士がバスバー400により接続されているので、他端部同士の間隔がバスバー400により一定に保たれたままで、第一蓄電素子100aが膨張する。この膨張時には、第一蓄電素子100aは、一端部同士の間隔が広がるように移動しうる。つまり、互いに対向する長側面111同士は、その傾きが大きくなるので、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの接触面積が大きくなってしまうことを抑制できる。したがって、過剰に高温化した1つの蓄電素子100aから他の蓄電素子100に対する熱影響をより確実に抑制できる。
【0081】
第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの間にスペーサ200が配置されているので、当該スペーサ200を熱的な障壁とすることができる。また、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとは互いに対向する長側面111同士が傾いて配置されているので、当該長側面111同士をスペーサ200に対して傾いて配置することも可能である。このため、第一蓄電素子100aの長側面111が台形状に膨らんだとしても、スペーサ200に対する接触面積を減少させることができる。これらのことにより、過剰に高温化した1つの蓄電素子100aから他の蓄電素子100に対する熱影響をより確実に抑制できる。
【0082】
仕切部360が、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとを位置決めしているので、第一蓄電素子100aが膨張したとしても、その仕切部360により第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとの位置関係を維持することができる。したがって、第一蓄電素子100aの長側面111が台形状に膨らんだとしても、第二蓄電素子100bに伝わる熱量をより確実に減少させることができる。
【0083】
第二蓄電素子100bと第三蓄電素子100cとにおいて、X軸方向(第三方向)における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも小さい。上述したように、膨張前の第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとは、X軸方向における一端部同士の間隔が他端部同士の間隔よりも大きい。つまり、間隔が小さな箇所は、第一蓄電素子100aと第二蓄電素子100bとでは他端部同士であるのに対し、第二蓄電素子100bと第三蓄電素子100cとでは一端部同士である。間隔が小さな箇所が一端部に偏っていると、3つの蓄電素子100が全体として弧状に配列されてしまうが、本態様であれば、3つの蓄電素子100を直線状に配置することができ、3つの蓄電素子100の設置スペースを低減することができる。
【0084】
[その他]
以上、本実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、隣り合う一対の蓄電素子100間にスペーサ200が配置されている場合を例示した。しかしながら、隣り合う一対の蓄電素子間にはスペーサが配置されていなくてもよい。
【0086】
上記実施の形態では、外装体本体310に対して仕切部360が一体成形されている場合を例示した。しかしながら、仕切部は外装体本体に対して元々別体であってもよい。また、仕切部は、バスバーフレームに設けられていてもよいし、スペーサに設けられていてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、第一介在部362および第二介在部363は、スペーサ保持部361に連続して形成されているが、第一介在部362および第二介在部363の一方がスペーサ保持部361に連続して形成されていなくてもよい。第一介在部362および第二介在部363の両方がスペーサ保持部361に連続して形成されていなくてもよい。また、仕切り部360はスペーサ保持部361を有していなくてもよい。この場合、第一介在部362および第二介在部363が仕切部となる。
【0088】
上記実施の形態では、膨張前において、隣り合う一対の蓄電素子100のそれぞれの長側面111がX軸方向に傾くように、当該一対の蓄電素子100が配置されている場合を例示した。しかしながら、膨張前において、隣り合う一対の蓄電素子の一方の長側面のみがX軸方向に傾くように、当該一対の蓄電素子が配置されていてもよい。
【0089】
上記実施の形態では、任意の隣り合う一対の蓄電素子100、あるいは、任意の連続して並ぶ3つの蓄電素子100が、本発明の形態を有するとしたが、一部の蓄電素子が本発明の形態を備えていればよい。
【0090】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 蓄電装置
100 蓄電素子
100a 第一蓄電素子
100b 第二蓄電素子
100c 第三蓄電素子
110 容器
111 長側面
112 短側面
113 底面
114 天面(端子配置面)
120 容器本体
130 蓋部
140 電極端子
200 スペーサ
300 樹脂外装体
310 外装体本体
320 バスバーフレーム
360 仕切部
360a 第一仕切部
360b 第二仕切部
360c 第三仕切部
361 スペーサ保持部
362 第一介在部
363 第二介在部
364 嵌合部
400 バスバー
500 外装体支持体