(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100013
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】D2Cプラットフォーム(販売店への利益分配)
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230710BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000313
(22)【出願日】2022-01-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520119253
【氏名又は名称】吉原 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和男
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB33
(57)【要約】
【課題】販売店にも利益が入る形で、メーカーがECサイトを通じて消費者に直接製品を販売する事でD2Cを推進し、販売店を在庫リスクから開放し、流通網の負担を軽減する。
【解決手段】
D2Cプラットフォーム(100)は、ECサイト(1)で製品(3)が購入された際、製品名、購入者名、製品発送先の販売店名を識別出来る識別子を発行する識別子発行部(6)を備え、IoT端末(2)の識別子読取り部(9)が識別子を読み取り、識別子の情報がECサイト(1)に通知された際に、製品が納品されたとみなし販売店に販売手数料を支払う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーカーが運営するECサイトを備え、
前記ECサイトは製品を発送可能な販売店の販売店名と住所が記録された販売店記録部を備え、
製品購入者が前記販売店記録部に記録された販売店から製品を発送する販売店を選択すると、購入した製品名、購入者名、製品発送先の販売店名を識別可能な識別子を発行する識別子発行部を備える、
ことを特徴とするD2Cプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売店で購入することが好ましい製品について、販売店に利益を分配する形でD2Cを実現する事で、D2Cを促進する技術となる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オンラインショップで購入した商品についてより手厚い保証やサポート等を受けるための技術、特許文献2には、ユーザがオンラインショップで商品を購入した場合に、ユーザが購入前にその商品を手に取った店舗に特典を付与するための技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-12269号広報
【特許文献2】特開2019-219893号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば自転車はECサイトで販売されているが、その多くは自転車販売店のECサイトで販売され、メーカーが直接消費者にECサイトで自転車を販売するメーカーは限られている。自転車は販売店で納車前に整備を行ってから納車されることが好ましいし、購入後も修理等を販売店に依頼することが多いためである。
【0005】
このため、自転車はメーカー、卸業者、販売店、消費者と言う流通経路をへることとなり、卸業者や販売店は在庫を抱えるリスクを取らざるを得ないために在庫リスクは販売価格に転嫁され、流通網の負担は増加し流通コストも増加する。
【0006】
D2Cで直接消費者にECサイトで自転車を販売するメーカーも存在するが、販売店に自転車販売の利益が入らないため、販売店から敬遠されている。このため、製品の納入前整備、購入後の修理等の必要から販売店で購入することが好ましい製品について、販売店に利益が入る形でD2Cを実現すればD2Cが促進され、販売店は在庫リスクから開放され、流通網の負担を軽減し流通コストを下げることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係わるD2Cプラットフォームは、メーカーが運営するECサイトを備え、前記ECサイトは製品を発送可能な販売店の販売店名と住所が記録された販売店記録部を備え、製品購入者が前記販売店記録部に記録された販売店から前記製品を発送する販売店を選択すると、購入した製品名、購入者名、製品発送先の販売店名を識別可能な識別子を発行する識別子発行部を備える。
【0008】
好適には、前記D2Cプラットフォームは、IoT端末を備え、前記IoT端末は、前記ECサイトの前記識別子発行部が発行した識別子を読み取る識別子読取り部を備え、前記識別子読取り部が識別子を読み取った際に識別子の情報を前記ECサイトに通知する通信部を備え、前記ECサイトは、販売店への手数料支払い口座が記録された販売店記録部を備え、前記IoT端末の前記通信部から識別子が通知された場合に、前記製品が製品購入者に納入されたと判断し、前記販売店記録部に記録された販売店の手数料支払い口座に販売店への手数料を支払う手数料支払い部を備える。
【0009】
より好適には、前記D2Cプラットフォームは、前記ECサイト及び前記製品と通信を行う通信端末を備え、前記製品は、前記通信端末と通信する通信部を備え、前記製品の前記通信部が前記通信端末を介して取得した、前記ECサイトの前記識別子発行部が発行した識別子を記録する識別子記録部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品の納入前整備、購入後の修理等の必要性から販売店で購入することが好ましい製品のD2Cを促進する事で、販売店を在庫リスクから開放し流通網の負担を軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係るD2Cプラットフォームの概略構成を説明する図。
【
図2】本発明の実施例に係るD2Cプラットフォームの動作の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るD2Cプラットフォームの実施例について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、D2Cプラットフォームの概略構成を説明する図である。
【0014】
D2Cプラットフォーム100では、ECサイト1、IoT端末2、製品3、通信端末4が接続される。
【0015】
ECサイト1は、販売店記録部5、識別子発行部6、識別子印刷部7、手数料支払い部8を含む。
【0016】
IoT端末2は、識別子読取り部9、通信部10を含む。
【0017】
製品3は、通信部11、識別子記録部12を含む。
【0018】
D2Cプラットフォーム100は、納入前整備、購入後の修理等の必要性から販売店で購入することが好ましい製品について、メーカーのECサイト1で消費者が購入した製品の販売手数料が販売店に入るようにすることで、D2Cを推進することを目的としている。このため、メーカーが運営するECサイト1を備え、ECサイト1は製品を発送可能な販売店の販売店名と住所が記録された販売店記録部5を備え、製品購入者が販売店記録部5に記録された販売店から製品を発送する販売店を選択すると、購入した製品名、購入者名、製品発送先の販売店名を識別可能な識別子を発行する識別子発行部6を備える。
【0019】
ECサイト1は、識別子発行部6が発行した識別子を紙媒体に印刷する識別子印刷部7を備える。識別子発行部6が発行した識別子は、識別子印刷部7により納品書に二次元バーコードとして印刷され、製品発送時に製品に同梱されることが望ましい。
【0020】
一般的に販売店は製品を買取った後に販売しているが、製品購入者に製品が納入された際に販売店に販売手数料が支払われるようにすれば、販売店の経理も簡素化出来る。このため、D2Cプラットフォーム100はIoT端末2を備え、IoT端末2は、ECサイト1の識別子発行部6が発行した識別子を読み取る識別子読取り部9を備え、識別子読取り部9が識別子を読み取った際に識別子の情報をECサイト1に通知する通信部10を備え、ECサイト1は、販売店への手数料支払い口座が記録された販売店記録部5を備え、IoT端末2の通信部10から識別子が通知された場合に製品が製品購入者に納入されたと判断し、販売店記録部5に記録された販売店の手数料支払い口座に販売店への手数料を支払う手数料支払い部8を備える。
【0021】
D2Cプラットフォーム100で販売される製品が、通信機能と電子的に情報を記録する機能を備える場合には、ECサイト1の識別子発行部6が発行した識別子は、製品に電子的に記録されてもよい。このため、ECサイト1及び製品3と通信を行う通信端末4を備え、製品3は、通信端末4と通信する通信部11を備え、製品3の通信部11と通信端末を介して取得した、ECサイト1の識別子発行部6が発行した識別子を記録する識別子記録部12を備える。
【0022】
製品3の識別子記録部12に電子的に識別子が登録されている場合、IoT端末2の通信部10は、製品3の通信部11を介して識別子記録部12に記録された識別子を読取り、ECサイト1は、IoT端末2の通信部10からIoT端末2が読み取った識別子が通知された場合に、製品が製品購入者に納入されたと判断し、手数料支払い部8は販売店記録部5に記録された販売店の手数料支払い口座に販売店への手数料を支払う。
【0023】
製品3がディスプレイを備えている場合には、識別子記録部12に記録された識別子がディスプレイに表示され、ディスプレイに表示された識別子をIoT端末2の識別子読取り部9が読み取る方式でも問題ない。
【0024】
製品3の通信部11と通信端末4間の通信、製品3の通信部11とIoT端末2の通信部10間の通信は、Bluetoothによって行われることを想定している。
【0025】
また、D2Cプラットフォーム100を通じて、製品のマーケティング活動に係わる事業者(輸入代理店や広告事業者)に対して、メーカーから販売された製品数に応じた手数料が支払われても良い。
【0026】
例えば、輸入代理店の場合には、輸入代理店が管轄する国と地域の居住者がD2Cプラットフォームで購入した製品数に応じて、メーカーから輸入代理店に手数料が支払われ、広告事業者の場合には、広告事業者がキャンペーンを行った国と地域の居住者が定められた期間の間にD2Cプラットフォームで購入した製品数に応じて、メーカーから広告事業者に手数料が支払われる。
【0027】
製品納入時の本人確認を厳密に行う場合、ECサイト1で製品を購入する際にIoT端末2の電話番号の入力を求め、入力された電話番号にSМSでワンタイムパスワードを送信、ECサイト1にワンタイムパスワードが入力された場合に製品の購入を確定する。
【0028】
製品の納入時には、ECサイト1の識別子発行部6が発行した識別子をIoT端末2の識別子読取り部9が読取り、ECサイト1は、IoT端末2の識別子読取り部9が読み取った識別子が通信部10から通知された場合に、確認済みの電話番号にSМSで製品が納入された旨を伝えるメッセージとワンタイムパスワードを送信、ECサイト1にワンタイムパスワードが入力された場合に製品が製品購入者に納入されたと判断することが望ましい。
【0029】
以下では、本実施例に係わるD2Cプラットフォーム100による動作の一例について、
図2のフローチャートに基づき説明する。
図2におけるS1、S2、S6はECサイト1の動作、S3、S7は製品3の動作、S4、S5はIoT端末2の動作である。
【0030】
ステップS1では、ECサイト1の識別子発行部6により、購入した製品名、購入者名、製品発送先の販売店名を識別可能な識別子を発行する。
【0031】
ステップS2では、識別子印刷部7により識別子発行部6が発行した識別子を印刷し、ステップS3では、識別子印刷部7により印刷された識別子を製品3に同梱し発送する。
【0032】
ステップS4では、IoT端末2の識別子読取り部9により製品3に同梱された識別子を読み取り、ステップS5では、識別子読取り部9が読み取った識別子を通信部10によりECサイト1に通知する。
【0033】
ステップS6では、ECサイト1はIoT端末2の通信部10より識別子が通知された場合に製品が納入されたと判断し、手数料支払い部8により、販売店の手数料振込口座に手数料を振込む。
【0034】
ステップS2では、通信端末4と製品3の通信部11を介してECサイト1の識別子発行部6が発行した識別子を、製品3に通知し、ステップS7では、製品3に通知された識別子を識別子記録部12に記録し、ステップS4では、製品3の通信部11とIoT端末2の通信部10を介して識別子を取得する。
【0035】
本実施形態は、更に以下の変形例も考えられる。
【0036】
第1の観点のD2Cプラットフォームは、IoT端末を備え、前記IoT端末は、前記識別子発行部が発行した識別子を読み取る識別子読取り部を備え、前記識別子読取り部が識別子を読み取った際に識別子の情報を前記ECサイトに通知する通信部を備え、前記ECサイトは、販売店への手数料支払い口座が記録された販売店記録部を備え、前記IoT端末の前記通信部から識別子が通知された場合に製品が製品購入者に納入されたと判断し、前記販売店記録部に記録された販売店の手数料支払い口座に販売店への手数料を支払う手数料支払い部を備える。
【0037】
第2の観点のD2Cプラットフォームは、前記ECサイト及び前記製品と通信を行う通信端末を備え、前記製品は、前記通信端末と通信する通信部を備え、前記製品の前記通信部が前記通信端末を介して取得した、前記ECサイトの前記識別子発行部が発行した識別子を記録する識別子記録部を備える。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、製品の納入前整備、購入後の修理等の必要性から販売店で購入することが好ましい製品のD2Cを促進し、販売店を在庫リスクから開放し、流通網の負担を軽減するのに好適である。
【符号の説明】
【0039】
1 ECサイト
2 IoT端末
3 製品
4 通信端末
5 販売店記録部
6 識別子発行部
7 識別子印刷部
8 手数料支払い部
9 識別子読取り部
10 通信部
11 通信部
12 識別子記録部