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特開2023-100050優先度提示装置、優先度提示方法、および優先度提示プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100050
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】優先度提示装置、優先度提示方法、および優先度提示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20230710BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G06Q40/08
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000400
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 妍
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 友樹
(72)【発明者】
【氏名】関 晃仁
【テーマコード(参考)】
5H181
5L055
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC05
5H181FF10
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】事故状況の判定項目を効率よく確認可能に提供する。
【解決手段】優先度提示装置10は、判定項目優先度算出部20Eを備える。判定項目優先度算出部20Eは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の前記信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の前記判定項目の各々の優先度を算出する判定項目優先度算出部、
を備える優先度提示装置。
【請求項2】
事故状況の解析結果情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度を表す信頼度情報を取得する信頼度取得部と、
過失割合辞書情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々に対応する前記過失割合を表す過失割合情報を取得する過失割合取得部と、
を備え、
前記判定項目優先度算出部は、
前記信頼度情報に含まれる複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度、前記信頼度情報から算出された前記信頼度変化量、および、前記過失割合情報から算出された前記過失割合変化量、の少なくとも一つを用いて、複数の前記判定項目の各々の前記優先度を算出する、
請求項1に記載の優先度提示装置。
【請求項3】
前記解析結果情報は、事故状況データの機械学習モデルによる解析結果である、
請求項2に記載の優先度提示装置。
【請求項4】
前記信頼度情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記信頼度の差の絶対値を前記信頼度変化量として算出する信頼度変化量算出部と、
前記過失割合情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する過失割合変化量算出部と、
を備える、
請求項2または請求項3に記載の優先度提示装置。
【請求項5】
前記信頼度変化量算出部は、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度の内、最も高い前記信頼度と次に高い前記信頼度との差の絶対値を前記信頼度変化量として算出し、
前記過失割合変化量算出部は、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記過失割合の内、前記信頼度変化量の算出に用いた前記判定結果間の前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する、
請求項4に記載の優先度提示装置。
【請求項6】
前記判定項目優先度算出部は、
複数の前記判定項目の各々について、前記信頼度が低いほど高く、前記信頼度変化量が小さいほど高く、前記過失割合変化量が大きいほど高い、前記優先度を算出する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の優先度提示装置。
【請求項7】
前記優先度に応じた表示形態で前記判定項目を表示する表示制御部を備える、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の優先度提示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、
前記優先度が閾値以下の前記判定項目の前記判定結果を表示対象外とする、
請求項7に記載の優先度提示装置。
【請求項9】
事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の前記信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の前記判定項目の各々の優先度を算出する判定項目優先度算出ステップ、
を含む優先度提示方法。
【請求項10】
事故状況の解析結果情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度を表す信頼度情報を取得する信頼度取得ステップと、
過失割合辞書情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々に対応する前記過失割合を表す過失割合情報を取得する過失割合ステップと、
を含み、
前記判定項目優先度算出ステップは、
前記信頼度情報に含まれる複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度、前記信頼度情報から算出された前記信頼度変化量、および、前記過失割合情報から算出された前記過失割合変化量、の少なくとも一つを用いて、複数の前記判定項目の各々の前記優先度を算出する、
請求項9に記載の優先度提示方法。
【請求項11】
前記解析結果情報は、事故状況データの機械学習モデルによる解析結果である、
請求項10に記載の優先度提示方法。
【請求項12】
前記信頼度情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記信頼度の差の絶対値を前記信頼度変化量として算出する信頼度変化量算出ステップと、
前記過失割合情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する過失割合変化量算出ステップと、
を含む、
請求項10または請求項11に記載の優先度提示方法。
【請求項13】
前記信頼度変化量算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度の内、最も高い前記信頼度と次に高い前記信頼度との差の絶対値を前記信頼度変化量として算出し、
前記過失割合変化量算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記過失割合の内、前記信頼度変化量の算出に用いた前記判定結果間の前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する、
請求項12に記載の優先度提示方法。
【請求項14】
前記判定項目優先度算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、前記信頼度が低いほど高く、前記信頼度変化量が小さいほど高く、前記過失割合変化量が大きいほど高い、前記優先度を算出する、
請求項9~請求項13の何れか1項に記載の優先度提示方法。
【請求項15】
前記優先度に応じた表示形態で前記判定項目を表示する表示制御ステップを含む、
請求項9~請求項14の何れか1項に記載の優先度提示方法。
【請求項16】
前記表示制御ステップは、
前記優先度が閾値以下の前記判定項目の前記判定結果を表示対象外とする、
請求項15に記載の優先度提示方法。
【請求項17】
事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の前記信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の前記判定項目の各々の優先度を算出する判定項目優先度算出ステップ、
をコンピュータに実行させるための優先度提示プログラム。
【請求項18】
事故状況の解析結果情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度を表す信頼度情報を取得する信頼度取得ステップと、
過失割合辞書情報から、複数の前記判定項目の各々に対する複数種類の前記判定結果の各々に対応する前記過失割合を表す過失割合情報を取得する過失割合ステップと、
を含み、
前記判定項目優先度算出ステップは、
前記信頼度情報に含まれる複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度、前記信頼度情報から算出された前記信頼度変化量、および、前記過失割合情報から算出された前記過失割合変化量、の少なくとも一つを用いて、複数の前記判定項目の各々の前記優先度を算出する、
請求項17に記載の優先度提示プログラム。
【請求項19】
前記解析結果情報は、事故状況データの機械学習モデルによる解析結果である、
請求項18に記載の優先度提示プログラム。
【請求項20】
前記信頼度情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記信頼度の差の絶対値を前記信頼度変化量として算出する信頼度変化量算出ステップと、
前記過失割合情報に基づいて、複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々ごとに他の種類の前記判定結果との前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する過失割合変化量算出ステップと、
を含む、
請求項18または請求項19に記載の優先度提示プログラム。
【請求項21】
前記信頼度変化量算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記信頼度の内、最も高い前記信頼度と次に高い前記信頼度との差の絶対値を前記信頼度変化量として算出し、
前記過失割合変化量算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、対応する複数種類の前記判定結果の各々の前記過失割合の内、前記信頼度変化量の算出に用いた前記判定結果間の前記過失割合の差の絶対値を前記過失割合変化量として算出する、
請求項20に記載の優先度提示プログラム。
【請求項22】
前記判定項目優先度算出ステップは、
複数の前記判定項目の各々について、前記信頼度が低いほど高く、前記信頼度変化量が小さいほど高く、前記過失割合変化量が大きいほど高い、前記優先度を算出する、
請求項17~請求項21の何れか1項に記載の優先度提示プログラム。
【請求項23】
前記優先度に応じた表示形態で前記判定項目を表示する表示制御ステップを含む、
請求項17~請求項22の何れか1項に記載の優先度提示プログラム。
【請求項24】
前記表示制御ステップは、
前記優先度が閾値以下の前記判定項目の前記判定結果を表示対象外とする、
請求項23に記載の優先度提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、優先度提示装置、優先度提示方法、および優先度提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や歩行者などによる事故発生後には、保険会社などにより事故状況に基づいた過失割合の評価が行われる。例えば、事故状況を判定するための複数の判定項目ごとに自動判定された信号機の色や車両の走行速度などの判定結果を表示することで、保険会社の管理者などに対して事故状況を確認可能に提供するシステムが開示されている。また、従来、保険会社の担当者などのユーザが表示された複数の判定項目の各々を確認し、自動判定された値を適宜修正することで、過失割合などを実際に適用する値に設定することが行われている。
【0003】
しかし、従来技術では、複数の判定項目が重要度などに拘わらず常に同じ表示形態で表示されており、ユーザは何れの判定項目を優先的に確認すべきかわからず、複数の判定項目の全てを同じ注意力で確認する必要があった。すなわち、従来技術では、判定項目が効率よく確認可能に提供されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6876354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、事故状況の判定項目を効率よく確認可能に提供することができる、優先度提示装置、優先度提示方法、および優先度提示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の優先度提示装置は、判定項目優先度算出部を備える。判定項目優先度算出部は、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の前記信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の前記判定項目の各々における異なる種類の前記判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の前記判定項目の各々の優先度を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】優先度提示装置の模式図。
図2A】機械学習モデルによる事故状況データの解析の説明図。
図2B】解析結果情報のデータ構成の模式図。
図2C】信頼度情報のデータ構成の模式図。
図3A】過失割合辞書情報のデータ構成の模式図。
図3B】過失割合情報のデータ構成の模式図。
図4A】表示画面の模式図。
図4B】表示画面の模式図。
図4C】表示画面の模式図。
図4D】表示画面の模式図。
図4E】表示画面の模式図。
図4F】表示画面の模式図。
図5】情報処理の流れを示すフローチャート。
図6】ハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、優先度提示装置、優先度提示方法、および優先度提示プログラムを詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の優先度提示装置10の一例の模式図である。
【0010】
優先度提示装置10は、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々の優先度などを提示するための情報処理装置である。
【0011】
事故状況とは、車両や歩行者などの1または複数の当事者により発生した事故の状況を表す情報である。事故状況は、例えば、物体と他の物体との接触などにより発生した事故の状況である。物体は、例えば、車両、歩行者、動物、電柱、壁、などである。車両は、例えば、自動車、自転車、バイク、などである。
【0012】
判定項目とは、事故状況の判定に用いる項目である。言い換えると、判定項目は、当事者の各々の過失割合の判定に影響を及ぼし得る項目である。判定項目は、例えば、自車両挙動、道路状況、相手物体挙動、道路状況、信号状況、などの各々の状況を判定可能な項目である。判定項目は、具体的には、例えば、衝突相手、信号機色、横断歩道、歩行者信号色、自車両速度、一時停止有無、急加速有無、センターライン有無、などであるが、これらに限定されない。
【0013】
本実施形態の優先度提示装置10は、これらの複数の判定項目の各々の優先度を提供する。
【0014】
優先度提示装置10は、記憶部12と、通信部14と、UI(ユーザ・インタフェース)部16と、制御部20と、を備える。記憶部12、通信部14、UI部16、および制御部20は、バス18等を介して通信可能に接続されている。
【0015】
記憶部12は、各種の情報を記憶する。通信部14は、優先度提示装置10の外部の情報処理装置と通信するための通信インターフェースである。例えば、通信部14は、Ethernet(登録商標)等の有線ネットワーク、または、Wi-Fi(Wireless Fidelity)またはBluetooth(登録商標)等の無線ネットワーク、により外部の情報処理装置や電子機器と通信する。
【0016】
UI部16は、各種の情報を表示する表示機能、ユーザによる操作指示を受付ける入力機能、を有する。表示機能は、例えば、ディスプレイ等によって実現される。入力機能は、例えば、マウスおよびタッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、などによって実現される。UI部16は、表示機能と入力機能とを一体的に構成したタッチパネルであってもよい。
【0017】
制御部20は、優先度提示装置10において情報処理を実行する。制御部20は、信頼度取得部20Aと、過失割合取得部20Bと、信頼度変化量算出部20Cと、過失割合変化量算出部20Dと、判定項目優先度算出部20Eと、表示制御部20Fと、を備える。
【0018】
信頼度取得部20A、過失割合取得部20B、信頼度変化量算出部20C、過失割合変化量算出部20D、判定項目優先度算出部20E、および表示制御部20Fは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0019】
信頼度取得部20Aは、事故状況の解析結果情報から、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度を表す信頼度情報を取得する。
【0020】
解析結果情報とは、事故状況を表す事故状況データの解析結果を表す情報である。解析結果情報は、例えば、機械学習モデルによる解析結果を表す情報である。
【0021】
図2Aは、機械学習モデル32による事故状況データ30の解析の一例の説明図である。
【0022】
事故状況データ30は、事故状況を表すデータである。事故状況データ30は、例えば、事故状況の画像、事故状況のセンサ検出結果、などである。事故状況の画像は、例えば、事故の当事者の車両に搭載された撮影装置や事故現場に設置された撮影装置などによって撮影された、事故発生時の撮影画像である。事故状況のセンサ検出結果は、例えば、事故の当事者の車両などに搭載されたセンサによって検出された検出結果である。検出結果は、具体的には、例えば、GPS(Global Positioning System)による位置、速度、加速度、音声、などのデータである。
【0023】
機械学習モデル32は、事故状況データ30を解析し、事故状況の解析結果である解析結果情報34を出力するモデルである。機械学習モデル32には、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)、SVM(サポートベクトルマシン)等の公知の機械学習方法を用いたモデルを用いればよい。
【0024】
図2Bは、解析結果情報34のデータ構成の一例の模式図である。例えば、事故状況データ30が事故状況の画像であった場合を想定する。この場合、例えば、解析結果情報34は、事故状況の画像に含まれる複数の要素の各々を含む領域ごとに、複数のクラスの各々に属する尤度を規定した情報である。クラスは、例えば、判定項目および判定結果の組み合わせによって定まる。
【0025】
図2Bには、判定項目「信号機色」および判定結果「青」のクラス1、判定項目「信号機色」および判定結果「黄」のクラス2、判定項目「信号機色」および判定結果「赤」のクラス3、判定項目「横断歩道」および判定結果「有り」のクラス4、判定項目「横断歩道」および判定結果「無し」のクラス5、判定項目「センターライン」および判定結果「有り」のクラスN-1、判定項目「センターライン」および判定結果「無し」のクラスN、を一例として示す。Nは、整数である。なお、解析結果情報34は、例えば、事故状況を表す画像に含まれる領域ごとに、判定項目および判定結果の組み合わせによって定まるクラスに属する尤度を規定した情報であればよく、クラスの数や領域の分類方法は図2Bに示す形態に限定されない。
【0026】
図1に戻り説明を続ける。
【0027】
信頼度取得部20Aは、事故状況の解析結果情報34から、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度を表す信頼度情報を取得する。
【0028】
図2Cは、信頼度情報36のデータ構成の一例の模式図である。
【0029】
信頼度情報36は、判定項目ごとに、判定項目に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度を表す情報である。信頼度取得部20Aは、解析結果情報34に基づいて、判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々に判定結果の尤度が高いほど高い信頼度を付与することで、信頼度情報36を生成する。
【0030】
このため、信頼度情報36は、機械学習モデル32による解析結果情報34によって表される尤度の高い判定結果ほど、高い信頼度を付与された情報となる。
【0031】
なお、本実施形態においては、歩行者信号機の検出結果を利用する場合には、判定項目「歩行者信号色」の判定結果「黄」は、歩行者信号色が青で且つ点滅する状態を意味する。また、歩行者信号機の検出結果として、判定項目「車用信号機」(図2Cにおける判定項目「信号機色」参照)を代替して利用する場合には、判定項目「車用信号機」の判定結果「黄」を、判定項目「歩行者信号色」の判定結果「黄」として用いる。
【0032】
図1に戻り説明を続ける。信頼度取得部20Aは、取得した信頼度情報36を、信頼度変化量算出部20Cおよび判定項目優先度算出部20Eへ出力する。
【0033】
過失割合取得部20Bは、過失割合辞書情報から、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々に対応する過失割合を表す過失割合情報を取得する。
【0034】
過失割合辞書情報とは、1または複数の判定項目の組み合わせによって表される事故状況ごとに、事故の当事者の過失割合を定めた情報である。過失割合辞書情報は、例えば、過去の事例や裁判所の判例など応じて予め定められている。
【0035】
過失割合取得部20Bは、記憶部12に記憶されている過失割合辞書情報40を読取り、読取った過失割合辞書情報40から過失割合情報を取得すればよい。なお、過失割合取得部20Bは、通信部14を介して外部の情報処理装置から過失割合辞書情報40を読取、読取った過失割合辞書情報40から過失割合情報を取得してもよい。
【0036】
図3Aは、過失割合辞書情報40のデータ構成の一例を示す模式図である。例えば、過失割合辞書情報40は、歩行者、車、信号機、等の1または複数の判定項目と、これらの判定項目の各々に対する、青、赤、等の判定結果と、の組み合わせによって特定される事故状況ごとに、当事者の過失割合を定めた情報である。
【0037】
過失割合取得部20Bは、過失割合辞書情報40から過失割合情報を取得する。
【0038】
図3Bは、過失割合情報42のデータ構成の一例を示す模式図である。過失割合情報42とは、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々に対応する過失割合を表す情報である。
【0039】
例えば、過失割合情報42は、1または複数の判定項目と、判定項目に対する判定結果と、の組み合わせによって表される事故状況と、当事者の過失割合と、を対応付けたデータである。図3Bには一例として、判定項目「歩行者」判定結果「有」、判定項目「歩行者信号色」判定結果「赤」、および判定項目「信号機色」判定結果「青」によって表される事故状況に対応する過失割合を示す。また、図3Bには一例として、判定項目「歩行者」判定結果「有」、判定項目「歩行者信号色」判定結果「黄」、および判定項目「信号機色」判定結果「青」によって表される事故状況に対応する過失割合を示す。また、図3Bには、一例として、判定項目「歩行者」判定結果「有」、判定項目「歩行者信号色」判定結果「赤」、および判定項目「信号機色」判定結果「青」によって表される事故状況に対応する過失割合を示す。
【0040】
なお、過失割合情報42に登録される事故状況によって表される判定項目と判定結果の組み合わせと過失割合との対応は、図3Bに示す形態に限定されない。
【0041】
過失割合取得部20Bは、過失割合辞書情報40から、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々に対応する過失割合を抽出することで、過失割合情報42を生成し取得すればよい。
【0042】
図1に戻り説明を続ける。過失割合取得部20Bは、取得した過失割合情報42を過失割合変化量算出部20Dへ出力する。
【0043】
信頼度変化量算出部20Cは、信頼度情報36に基づいて、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々ごとに他の種類の判定結果との信頼度の差の絶対値を、信頼度変化量として算出する。
【0044】
図2Cを用いて説明する。例えば、判定項目「歩行者信号色」について説明する。信頼度変化量算出部20Cは、判定項目「歩行者信号色」に対応する複数種類の判定結果「赤」、「黄」、「青」の各々に対する信頼度「0.5」、「0.08」、「0.42」を読取る。そして、信頼度変化量算出部20Cは、判定結果「赤」と判定結果「黄」との信頼度の差の絶対値「0.42」、判定結果「赤」と判定結果「青」との信頼度の差の絶対値「0.08」、および判定結果「黄」と判定結果「青」との信頼度の差の絶対値「0.34」を、判定項目「歩行者信号色」に対する信頼度変化量として算出する。他の判定項目についても同様にして、信頼度変化量算出部20Cは、判定項目に対応する複数種類の判定結果間の信頼度の差の絶対値を、信頼度変化量として算出する。
【0045】
なお、信頼度変化量算出部20Cは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、任意の1対または任意の複数対の判定結果の信頼度の差の絶対値を、信頼度変化量として算出してもよい。
【0046】
本実施形態では、信頼度変化量算出部20Cが、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、任意の1対の判定結果の信頼度の差の絶対値を、判定項目の信頼度変化量として算出する形態を一例として説明する。
【0047】
詳細には、本実施形態では、信頼度変化量算出部20Cは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、最も高い信頼度と次に高い信頼度との差の絶対値を信頼度変化量として算出する。
【0048】
例えば、判定項目「歩行者信号色」について説明する。この場合、信頼度変化量算出部20Cは、判定項目「歩行者信号色」に対応する複数種類の判定結果「赤」、「黄」、「青」の内、最も高い信頼度である「赤」の信頼度「0.5」と、次に高い信頼度である「青」の信頼度「0.42」と、の差の絶対値である「0.08」を、判定項目「歩行者信号色」の信頼度変化量として算出する。
【0049】
図1に戻り説明を続ける。信頼度変化量算出部20Cは、複数の判定項目の各々を表す情報と、複数の判定項目の各々ごとに算出した信頼度変化量と、を過失割合変化量算出部20Dおよび判定項目優先度算出部20Eへ出力する。
【0050】
過失割合変化量算出部20Dは、過失割合情報42に基づいて、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々ごとに他の種類の判定結果との過失割合の差の絶対値を、過失割合変化量として算出する。
【0051】
図3Bを用いて説明する。例えば、判定項目「歩行者信号色」について説明する。過失割合変化量算出部20Dは、判定項目「歩行者信号色」に対応する複数種類の判定結果「赤」、「黄」、「青」の各々に対する任意の一人の当事者(例えば、歩行者)に対する過失割合を読取る。そして、過失割合変化量算出部20Dは、判定結果「青」と判定結果「黄」との過失割合の差の絶対値「30%」、判定結果「青」と判定結果「赤」との過失割合の差の絶対値「50%」、および判定結果「黄」と判定結果「赤」との信頼度の差の絶対値「20%」を、判定項目「歩行者信号色」に対する過失割合変化量として算出する。他の判定項目についても同様にして、過失割合変化量算出部20Dは、判定項目に対応する複数種類の判定結果間の過失割合の差の絶対値を、過失割合変化量として算出する。
【0052】
なお、過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の過失割合の内、任意の1対または任意の複数対の判定結果の過失割合の差の絶対値を、判定項目の過失割合変化量として算出してもよい。
【0053】
この場合、過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の過失割合の内、信頼度変化量算出部20Cが信頼度変化量の算出に用いた判定結果間の過失割合の差の絶対値を、過失割合変化量として算出する。
【0054】
上述したように、本実施形態では、過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、最も高い信頼度と次に高い信頼度との差の絶対値を信頼度変化量として算出する。このため、本実施形態では、過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々について、最も信頼度の高い判定結果に対応する過失割合と、次に信頼度の高い判定結果に対応する過失割合と、の差の絶対値を、過失割合変化量として算出する。
【0055】
例えば、判定項目「歩行者信号色」について説明する。この場合、過失割合変化量算出部20Dは、判定項目「歩行者信号色」に対応する複数種類の判定結果「赤」、「黄」、「青」の内、最も高い信頼度である「赤」に対応する歩行者の過失割合「50%」と、次に高い信頼度である「青」に対応する歩行者の過失割合「0%」と、の差の絶対値である「50%」を、判定項目「歩行者信号色」の過失割合変化量として算出する。
【0056】
図1に戻り説明を続ける。過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々を表す情報と、複数の判定項目の各々ごとに算出した過失割合変化量と、を判定項目優先度算出部20Eへ出力する。
【0057】
判定項目優先度算出部20Eは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【0058】
判定項目優先度算出部20Eは、信頼度取得部20Aから信頼度情報36を受付ける。また、判定項目優先度算出部20Eは、複数の判定項目の各々を表す情報と、複数の判定項目の各々ごとに算出された信頼度変化量と、を信頼度変化量算出部20Cから受付ける。また、判定項目優先度算出部20Eは、複数の判定項目の各々を表す情報と、複数の判定項目の各々ごとに算出された過失割合変化量と、を過失割合変化量算出部20Dから受付ける。
【0059】
そして、判定項目優先度算出部20Eは、信頼度情報36に含まれる複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の信頼度の差を表す信頼度変化量、および、過失割合情報42に含まれる複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つを用いて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【0060】
詳細には、判定項目優先度算出部20Eは、複数の判定項目の各々について、信頼度が低いほど高く、信頼度変化量が小さいほど高く、過失割合変化量が大きいほど高い、優先度を算出する。
【0061】
例えば、判定項目優先度算出部20Eは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の内、最も高い信頼度を、該判定項目の信頼度として特定する。そして、判定項目優先度算出部20Eは、複数の判定項目の各々ごとに、特定した信頼度が低いほど、高い優先度を算出する。
【0062】
また、例えば、判定項目優先度算出部20Eは、下記式(1)を用いて、判定項目ごとに優先度を算出する。
【0063】
優先度=(1/α)×β ・・式(1)
【0064】
式(1)中、αは信頼度変化量を表し、βは過失割合変化量を表す。
【0065】
また、判定項目優先度算出部20Eは、下記式(2)または式(3)を用いて、判定項目ごとに優先度を算出してもよい。式(2)および式(3)中、αおよびβは式(1)と同じ意味である。
【0066】
優先度=(1-α)×β ・・式(2)
優先度=(1/α)+β ・・式(3)
【0067】
上記式(1)~式(3)では、値が大きいほど優先度が高いことを表す。
【0068】
なお、上記αは、信頼度を表すものであってもよい。また、上記αは、信頼度と信頼度変化量との、加算結果、乗算結果、または平均値、であってもよい。この場合、αに用いる信頼度には、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の内の最も高い信頼度を用いればよい。
【0069】
なお、上述したように、本実施形態では、信頼度変化量算出部20Cが複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、最も信頼度の高い判定結果と次に信頼度の高い判定結果との対である1対の判定結果の信頼度の差の絶対値を、信頼度変化量として算出する形態を一例として説明する。また、過失割合変化量算出部20Dが、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の過失割合の内、最も信頼度の高い判定結果と次に信頼度の高い判定結果との対である1対の判定結果の過失割合の差の絶対値を、過失割合変化量として算出する形態を一例として説明する。このため、本実施形態では、判定項目優先度算出部20Eは、1つの判定項目について算出された1つの信頼度変化量および1つの過失割合変化量を用いて、該判定項目の優先度を算出する形態を一例として説明する。
【0070】
なお、上述したように、信頼度変化量算出部20Cは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の信頼度の内、判定結果の種類の組み合わせが互いに異なる複数対の各々の判定結果の信頼度の差の絶対値を、信頼度変化量として算出してもよい。同様に、過失割合変化量算出部20Dは、複数の判定項目の各々について、対応する複数種類の判定結果の各々の過失割合の内、判定結果の種類の組み合わせが互いに異なる複数対の各々の判定結果の過失割合の差の絶対値を、過失割合変化量として算出してもよい。
【0071】
この場合、判定項目優先度算出部20Eは、1つの判定項目に対して、判定結果の種類の組み合わせが互いに異なる、複数の信頼度変化量および複数の過失割合変化量を、信頼度変化量算出部20Cおよび過失割合変化量算出部20Dから受付けることとなる。
【0072】
この場合、判定項目優先度算出部20Eは、1つの判定項目に対して、判定結果の種類の組み合わせの異なる複数対の各々について、対応する信頼度変化量および過失割合変化量から、上記式(1)~式(3)の何れかを用いて、仮優先度を算出する。そして、判定項目優先度算出部20Eは、1つの判定項目に対して算出した、判定結果の種類の組み合わせの異なる複数対の各々ごとの仮優先度の合計値、平均値、または乗算値を、該判定項目に対する優先度として算出すればよい。
【0073】
これらの処理により、判定項目優先度算出部20Eは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【0074】
表示制御部20Fは、判定項目優先度算出部20Eによって算出された優先度に応じた表示形態で、判定項目を表示する。詳細には、表示制御部20Fは、優先度が高いほどより注視を促す表示形態で判定項目を表示する。
【0075】
図4Aは、表示画面50Aの一例の模式図である。表示画面50Aは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0076】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50AをUI部16に表示する。表示画面50Aは、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0077】
事故基本情報表示欄52Aは、事故に関する基本情報の表示欄である。事故基本情報表示欄52Aには、例えば、事故の当事者に関する情報、事故を特定可能な情報、などが表示される。
【0078】
事故状況図表示欄52Bは、事故状況を表す図の表示欄である。事故状況図表示欄52Bには、例えば、事故発生時の画像、事故発生時の事故環境を模式的に表した図、などが表示される。
【0079】
判定項目一覧表示欄52Cは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の一覧の表示欄である。判定項目一覧表示欄52Cには、例えば、判定項目の一覧と、判定項目の各々に対応する最も信頼度の高い判定結果と、が表示される。
【0080】
事故情報表示欄52Dは、事故情報の表示欄である。事故情報表示欄52Dには、例えば、表示画面50Aにされている事故に関する判例情報などの、事故に関連する様々な情報が表示される。
【0081】
判定根拠表示欄52Eは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々の詳細データや証拠データなどの表示欄である。判定根拠表示欄52Eには、例えば、優先度の表示欄52E1と、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2と、が含まれる。優先度の表示欄52E1には、例えば、優先度を算出された複数の判定項目の一覧が表示される。判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2には、判定項目の各々ごとに、判定項目の判定に用いられた証拠データや詳細データ等が表示される。
【0082】
例えば、判定項目「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。
【0083】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度の最も高い判定項目である「自車信号」を、他の判定項目とは異なる表示形態で表示する。具体的には、例えば、図4Aに示すように、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1に表示される複数の判定項目の内、優先度の最も高い判定項目「自車信号」を選択的に強調表示する(領域52Ea参照)。また、表示制御部20Fは、図4Aに示すように、表示画面50Aに含まれる複数の判定項目を、優先度の高い順に並べて表示する。なお、表示制御部20Fは、優先度の高い順に替えて、閾値以上の優先度の判定項目を強調表示してもよい。
【0084】
また、表示制御部20Fは、優先度の高い順に複数の判定項目を強調表示してもよい。
【0085】
図4Bは、表示画面50Bの一例の模式図である。表示画面50Bは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0086】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50BをUI部16に表示する。表示画面50Bは、表示画面50Aと同様に、例えば、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0087】
例えば、判定項目「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。
【0088】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1に表示される複数の判定項目の内、優先度の最も高い判定項目である「自車信号」を強調表示する(領域52Ea参照)。また、表示制御部20Fは、次に優先度の高い判定項目である「自車動き」を、領域52Eaの次に注視を促すことの可能な色等で強調表示する(領域52Eb参照)。なお、表示制御部20Fは、優先度の高い順に替えて、複数段階の優先度の閾値範囲を設け、各閾値範囲の優先度の判定項目を、各閾値範囲に対応する色で強調表示してもよい。
【0089】
また、表示制御部20Fは、表示画面50に含まれる判定項目の全てを、優先度に応じた表示形態で表示してもよい。
【0090】
図4Cは、表示画面50Cの一例の模式図である。表示画面50Cは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0091】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50CをUI部16に表示する。表示画面50Cは、表示画面50Aと同様に、例えば、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0092】
例えば、判定項目「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。
【0093】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度の最も高い判定項目である「自車信号」を、他の判定項目とは異なる表示形態で表示する。具体的には、例えば、図4Cに示すように、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52C、の各々に表示される複数の判定項目の内、優先度の最も高い判定項目「自車信号」を選択的に強調表示する(領域52Ea、領域52Ec、領域52Ca参照)。
【0094】
また、表示制御部20Fは、表示画面50に含まれる判定項目の全てについて、優先度の高い順に複数の判定項目を強調表示してもよい。
【0095】
図4Dは、表示画面50Dの一例の模式図である。表示画面50Dは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0096】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50DをUI部16に表示する。表示画面50Dは、表示画面50Aと同様に、例えば、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0097】
例えば、判定項目「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。
【0098】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52Cの各々に表示される複数の判定項目の内、優先度の最も高い判定項目である「自車信号」を強調表示する(領域52Ea、領域52Ec、領域52Ca参照)。また、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52Cの各々に表示される複数の判定項目の内、次に優先度の高い判定項目である「自車動き」を、次に注視を促すことの可能な色等で強調表示する(領域52Eb、領域52Ed、領域52Cb参照)。
【0099】
また、表示制御部20Fは、表示画面50に含まれる複数の判定項目を、優先度の高い順に並べず、優先度に応じて強調表示してもよい。
【0100】
図4Eは、表示画面50Dの一例の模式図である。表示画面50Eは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0101】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50EをUI部16に表示する。表示画面50Eは、表示画面50Aと同様に、例えば、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0102】
例えば、「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。
【0103】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52Cの各々に表示される複数の判定項目の内、優先度の最も高い判定項目である「自車信号」を強調表示する(領域52Ea、領域52Ec、領域52Ca参照)。また、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52Cの各々に表示される複数の判定項目の内、次に優先度の高い判定項目である「自車動き」を、次に注視を促すことの可能な色等で強調表示する(領域52Eb、領域52Ed、領域52Cb参照)。このとき、表示制御部20Fは、優先度の表示欄52E1、判定項目の各々の証拠データの表示欄52E2、および判定項目一覧表示欄52Cの内の少なくとも1つの表示欄に含まれる複数の判定項目を、図4Eに示すように、優先度順とは異なる配列で並べて表示してもよい。
【0104】
また、表示制御部20Fは、優先度が閾値以下の判定項目の判定結果を表示対象外としてもよい。
【0105】
図4Fは、表示画面50Fの一例の模式図である。表示画面50Fは、表示制御部20FによってUI部16に表示される表示画面50の一例である。
【0106】
表示制御部20Fは、例えば、表示画面50FをUI部16に表示する。表示画面50Fは、表示画面50Aと同様に、例えば、事故基本情報表示欄52A、事故状況図表示欄52B、判定項目一覧表示欄52C、事故情報表示欄52D、および判定根拠表示欄52Eなどを含む。
【0107】
例えば、判定項目「自車信号」、「自車動き」、「センターライン」等の判定項目を表示する場面を想定する。そして、判定項目「自車信号」の優先度が最も高く、「自車動き」、「センターライン」のこの順に優先度が低い場合を想定する。また、判定項目「センターライン」の優先度が閾値以下である場合を想定する。
【0108】
この場合、例えば、表示制御部20Fは、優先度が閾値以下である判定項目「センターライン」の判定結果を非表示とした表示画面50Fを表示してよい(領域52Cc参照)。この場合、例えば、ユーザは、UI部16を操作することで該領域52Ccに任意の判定結果を入力してよい。判定結果の入力を受付けた表示制御部20Fは、受付けた判定結果を対応する判定項目に対応付けて記憶すればよい。
【0109】
次に、実施形態の優先度提示装置10が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0110】
図5は、本実施形態の優先度提示装置10が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0111】
信頼度取得部20Aは、事故状況の解析結果情報34から、複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度を表す信頼度情報36を取得する(ステップS100)。
【0112】
過失割合取得部20Bは、過失割合辞書情報40から過失割合情報42を取得する(ステップS102)。
【0113】
信頼度変化量算出部20Cは、ステップS100で取得した信頼度情報36に基づいて、複数の判定項目の各々の信頼度変化量を算出する(ステップS104)。
【0114】
過失割合変化量算出部20Dは、ステップS102で取得した過失割合情報42に基づいて、複数の判定項目の各々の過失割合変化量を算出する(ステップS106)。
【0115】
判定項目優先度算出部20Eは、ステップS100で取得した信頼度情報36によって表される信頼度、ステップS104で算出した信頼度変化量、および、ステップS106で算出した過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する(ステップS108)。
【0116】
表示制御部20Fは、ステップS108で複数の判定項目の各々ごとに算出された優先度に応じた表示形態で、判定項目を表示する(ステップS110)。そして、本ルーチンを終了する。
【0117】
以上説明したように、本実施形態の優先度提示装置10は、判定項目優先度算出部20Eを備える。判定項目優先度算出部20Eは、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【0118】
従来技術では、複数の判定項目が重要度などに拘わらず同じ表示形態で表示されていた。このため、従来技術では、ユーザは何れの判定項目を優先的に確認すべきかわからず、複数の判定項目の全てを同じ注意力で確認する必要があった。よって、従来技術では、ユーザによる確認操作が非効率となる場合があった。
【0119】
また、判定項目に対する判定結果の信頼度には、判定結果を導出した機械学習モデルの性能や導出に用いた事故状況データの精度等によってばらつきが生じる場合がある。しかしながら、従来技術では、複数の判定項目の一覧が表示されるのみであるため、ユーザは何れの判定項目の判定結果を特に確認または修正する必要があるかを判断することは困難であった。また、従来技術では、特に重要な判定項目のユーザによる確認漏れが発生する場合があった。すなわち、従来技術では、事故状況の判定項目が効率よく確認可能に提供されていなかった。
【0120】
一方、本実施形態の優先度提示装置10では、判定項目優先度算出部20Eが、事故状況の判定に用いる複数の判定項目の各々に対する複数種類の判定結果の各々の信頼度、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の信頼度の差を表す信頼度変化量、および、複数の判定項目の各々における異なる種類の判定結果間の過失割合の差を表す過失割合変化量、の少なくとも一つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。
【0121】
例えば、信頼度の低い判定結果を含む判定項目は、過失割合の決定に特に影響を与える可能性が高い等の理由から、ユーザによる確認が特に必要とされる判定項目といえる。また、複数種類の判定結果間の信頼度の差である信頼度変化量が小さいほど、より判定結果の確かさが低いことから、ユーザによる確認が特に必要とされる判定項目といえる。また、判定項目に対する複数種類の判定結果間の過失割合の差が大きいほど、判定結果の違いによる過失割合の変化が大きいため、ユーザによる確認が特に必要とされる判定項目といえる。
【0122】
本実施形態の優先度提示装置10は、信頼度、信頼度変化量、および過失割合変化量の少なくとも1つに基づいて、複数の判定項目の各々の優先度を算出する。このため、本実施形態の優先度提示装置10は、ユーザによる確認が特に必要とされることを表す優先度を複数の判定項目ごとに算出することができる。よって、本実施形態の優先度提示装置10は、算出された優先度に応じて複数の判定項目の各々を出力することで、ユーザに対して特に注視を促すべき判定項目を提供することが可能となる。
【0123】
従って、本実施形態の優先度提示装置10は、事故状況の判定項目を効率よく確認可能に提供することができる。
【0124】
次に、本実施形態の優先度提示装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
【0125】
図6は、本実施形態の優先度提示装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0126】
本実施形態の優先度提示装置10は、CPU(Central Processing Unit)90Dなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)90EやRAM(Random Access Memory)90FやHDD(ハードディスクドライブ)90Gなどの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部90Bと、各種情報を出力する出力部90Aと、ユーザによる操作を受付ける入力部90Cと、各部を接続するバス90Hとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0127】
本実施形態の優先度提示装置10では、CPU90Dが、ROM90EからプログラムをRAM90F上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0128】
なお、本実施形態の優先度提示装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD90Gに記憶されていてもよい。また、本実施形態の優先度提示装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM90Eに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0129】
また、本実施形態の優先度提示装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、本実施形態の優先度提示装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、本実施形態の優先度提示装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0130】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
10 優先度提示装置
20A 信頼度取得部
20B 過失割合取得部
20C 信頼度変化量算出部
20D 過失割合変化量算出部
20E 判定項目優先度算出部
20F 表示制御部
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6