(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100106
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 19/02 20060101AFI20230710BHJP
B61D 19/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B61D19/02 B
B61D19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000530
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 啓
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆久
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小さい製作工数で、信頼性の高い側開き戸のシールを構築できる鉄道車両を提供する。
【解決手段】側構体と、前記側構体に備えられる開口部と、前記開口部を閉じる側開き戸12と、前記開口部の周縁部の車内側に備えられる戸柱22と、前記戸柱22に備えられるリテイナー24と、前記リテイナー24に把持されるとともに空気が圧送されて膨張する膨張性シールゴム25と、を有する鉄道車両において、前記リテイナー24は、前記開口部に向かって突出するシール堰き止め部24aを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側構体と、
前記側構体に備えられる開口部と、
前記開口部を閉じる側開き戸と、
前記開口部の周縁部の車内側に備えられる戸柱と、
前記戸柱に備えられるリテイナーと、
前記リテイナーに把持されるとともに空気が圧送されて膨張する膨張性シールゴムと、を有する鉄道車両において、
前記リテイナーは、前記開口部に向かって突出し、前記戸柱との間にシール材を充填する空間を形成するシール堰き止め部を有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記戸柱は、
前記鉄道車両の略幅方向に沿う戸柱傾斜部と、
前記戸柱傾斜部に接続するとともに前記鉄道車両の長手方向に沿う戸柱平行部と、を有しており、
前記リテイナーは、前記戸柱平行部に固定されており、
前記戸柱傾斜部と前記シール堰き止め部との間をシールするシール部を有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載された鉄道車両において、
前記リテイナーは、
前記戸柱平行部に固定される底部と、
前記底部の前記鉄道車両の長手方向の両端部に接続するとともに前記鉄道車両の幅方向に向けて立設する一対のシールゴム把持部と、
前記底部の近傍の前記シールゴム把持部から前記鉄道車両の長手方向に沿って対向する態様で突出する一対の凸部と、を有し、
前記シール堰き止め部は、一方の前記シールゴム把持部に接続する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項3に記載された鉄道車両において、
前記膨張性シールゴムは、
シールゴム底部と、
前記シールゴム底部に接続する胴部と、
前記シールゴム底部と前記胴部とからなる空気袋と、
前記シールゴム底部と前記胴部との接続部の近傍に一対のシールゴム凹部と、を有しており、
前記膨張性シールゴムは、前記リテイナーの前記凸部に前記シールゴム凹部が嵌合する態様で前記リテイナーに把持される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記リテイナーは、ライナーを介して前記戸柱に連結される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項5に記載された鉄道車両において、
前記戸柱と、前記ライナーと、前記シール堰き止め部とに跨るようにして、シール部が形成される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項5に記載された鉄道車両において、
前記リテイナーは、前記ライナーに対向して凹部を有し、
前記凹部と前記ライナーとの間に、シール部が形成される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項3に記載された鉄道車両において、
前記リテイナーは、ライナーを介して前記戸柱に連結され、
前記戸柱と、前記ライナーと、前記シールゴム把持部とに跨るようにして、シール部が形成される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記リテイナーは、押し出し形材から形成される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
新幹線(登録商標)等の高速で運行される鉄道車両においては、トンネルを高速で通過する時に生じる車外圧力変動が車内圧力を変動させて乗務員や乗客が聴覚に不快を感じることを抑制するために、乗務員室および一般客室等の車内を気密に保つ気密構造が採用されている。より具体的に説明すると、鉄道車両には乗客等が駅ホームから鉄道車両に乗降する際に開放され、鉄道車両が走行する際は閉鎖されるようにスライド可能な側引き戸が設けられている。鉄道車両が所定の速度以上になると、閉じられた側引き戸の周縁が鉄道車両の側面をなす側構体の開口部の周縁に向かって押圧されて気密を維持する。
【0003】
一方、先頭車両は、乗客等が乗降に供する側引き戸とは別に、乗務員が運転室に乗降する側開き戸を有する。側開き戸は、側開き戸の一方の縦縁に備えられるヒンジを支点に、運転室の車内に向けて回動する扉である。
【0004】
特許文献1に、高速で走行する鉄道車両の側開き戸装置が開示されている。この側開き戸装置は、車掌室へ通じるドア開口部に設けられる側開き戸装置であって、車体に対してヒンジで取付けられて車体の車掌室へ通じるドア開口部を開閉する内開きのドア本体と、ドア本体を開閉するハンドルと、ハンドルに連動するラッチと、ドア本体の開閉を検知して信号を出力するスイッチと、ドア本体にヒンジで取付けられて窓開口部を開閉する内開きの窓枠と、車体のドア開口部及びドア本体の窓開口部の周縁部に配設してドア本体及びドア本体の窓開口部の窓枠の周縁部に当接する膨張性シールゴムと、膨張性シールゴムへエアを供給する回路を開閉する車体側に設置される制御弁と、を備えている。膨張性シールゴムへエアを供給する回路は、ドア本体の開閉信号及び車両の速度信号により制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、鉄道車両(乗務員室)の側面をなす側構体に開口部を設けられる側開き戸は、側開き戸を閉じた時に気密を維持するために、側構体の開口部の全周縁部に膨張性シールゴムを備えて、鉄道車両が所定の速度以上になると、この膨張性シールゴムの内部に空気が圧送される機構を備える。
【0007】
空気が圧送されて膨張した膨張性シールゴムの一部は、側構体の開口部にヒンジを介して回動可能に備えられる側開き戸の全周縁部に当接して、乗務員室を気密に維持する。
【0008】
鉄道車両の側構体は、溶接等によって組み立てられる。このため、溶接等に伴う歪等によって、側構体に設けられる開口部の周縁部の平面度を必ずしも確保できないおそれがある。そこで、膨張性シールゴムを把持するリテイナーと、側構体(開口部)の周縁部と、の周囲をシール材でシールすることが必要になる。
【0009】
また、空気が圧送されて側開き戸の周縁部に当接する膨張した膨張性シールゴムの一部は、側開き戸の周縁部に固着することがあるため、側開口部の周縁部に固着した膨張性シールゴムの一部がリテイナーから脱落する懸念があった。
【0010】
本発明の目的は、小さい製作工数で、信頼性の高い側開き戸のシールを構築できる鉄道車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の鉄道車両の一つは、
側構体と、
前記側構体に備えられる開口部と、
前記開口部を閉じる側開き戸と、
前記開口部の周縁部の車内側に備えられる戸柱と、
前記戸柱に備えられるリテイナーと、
前記リテイナーに把持されるとともに空気が圧送されて膨張する膨張性シールゴムと、を有する鉄道車両において、
前記リテイナーは、前記開口部に向かって突出し、前記戸柱との間にシール材を充填する空間を形成するシール堰き止め部を有することにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小さい製作工数で、信頼性の高い側開き戸のシールを構築できる鉄道車両を提供することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、鉄道車両の先頭車両の水平面内の断面図である。
【
図2】
図2は、先頭車両の乗務員室に供される側開き戸の高さ方向に交差する断面図(
図1のA部拡大図)である。
【
図3】
図3は、先頭車両の側構体に備えらえる戸柱と、側開き戸と、の間に備えられる気密機構(開放時)の高さ方向の断面図(
図2のB部拡大図)である。
【
図4】
図4は、先頭車両の側構体に備えらえる戸柱と、側開き戸と、の間に備えられる気密機構(閉鎖時)の高さ方向の断面図(
図2のB部拡大図)である。
【
図5】
図5は、気密機構を構成する膨張性シールゴムを把持するリテイナーの高さ方向に交差する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、各図における方向を定義する。先頭車両の長手(レール)方向をx方向とし、先頭車両の幅(枕木)方向をy方向とし、x方向およびy方向に交差する先頭車両の高さ方向をz方向とする。以降、x方向、y方向、z方向と記す場合がある。
【0015】
図1は、鉄道車両の先頭車両の水平面内の断面図である。先頭車両1は、床面をなす台枠と、台枠のy方向の両端部に立設される側構体20と、側構体20の上端部に載置される屋根構体と、台枠のx方向の一方の端部に立設される妻構体と、からなる。台枠のx方向の他方の端部は、x方向に沿ってx方向に交差する断面形状を連続的に変化する3次元形状の先頭部であり、運転席(乗務員室4の一部)や識別灯(前照灯など)や連結器等を備える。
【0016】
先頭車両1は、先端部5と、先端部5に続く乗務員室4と、乗務員室4に続く一般客室6からなる。乗務員室4と外部とを隔てる側構体20は、乗務員が乗降する乗務員乗降口(開口部ともいう)10を備えており、乗務員乗降口10にはz軸周りに矢印Cの方向に回動する内開きの側開き戸12が備えられる。同様に、一般客室と外部とを隔てる側構体20は、乗客等が乗降する開口部を備えており、x方向に沿ってスライドする側引き戸14を有する。
【0017】
図2は、先頭車両の乗務員室に供される側開き戸の高さ方向に交差する断面図(
図1のA部拡大図)である。外形を二点鎖線で示す側開き戸12は、乗務員室の車内側に向けて回動する開き戸であり、側開き戸12の回動軸は、z軸方向に沿って側構体20に併設される戸柱22の近傍に備えられる。側開き戸12が乗務員乗降口10を閉鎖したときに、側開き戸12の一部は側構体20と同一面を形成し、先頭車両の車外側表面に沿って流れる空気の乱れを抑制する。
【0018】
図3は先頭車両の側構体に備えられる戸柱と、側開き戸と、の間に備えられる気密機構(開放時)の高さ方向の断面図(
図2のB部拡大図)であり、
図4は先頭車両の側構体に備えられる戸柱と、側開き戸と、の間に備えられる気密機構(閉鎖時)の高さ方向の断面図(
図2のB部拡大図)である。
図5は、気密機構を構成する膨張性シールゴムを把持するリテイナーの高さ方向に交差する断面図である。
【0019】
戸柱22は、側構体20(
図1)から乗務員室4の車内側に向かう(略y方向に沿って設けられる)戸柱傾斜部22sと、戸柱傾斜部22sに接続するとともにx方向に沿う戸柱平行部22hと、を有する。側開き戸12を閉めた状態で、戸柱平行部22hは、側開き戸12の外縁部に設けられる側開き戸平行部12hと対向する。
【0020】
戸柱平行部22hは、z方向に沿って備えられるリテイナー24を有しており、リテイナー24は膨張性シールゴム25を保持する。膨張性シールゴム25は、鉄道車両(先頭車両1)が所定の速度以上になると、その内部に空気が圧入され、リテイナー24の一対のシールゴム把持部24c(
図5)に案内されてy方向に膨張する。膨張した膨張性シールゴム25は、側開き戸平行部12hに当接して、側構体20(戸柱22を含む)と側開き戸12との間の隙間を確実にシールする。以下、膨張性シールゴム25を単にシールゴム25と記す。
【0021】
リテイナー24は、側構体20に接続する戸柱22の戸柱平行部22hの車内側に、y方向の取付寸法を調整するライナー27を介して、ねじ26で戸柱22(戸柱平行部22h)に固定される。ねじ26は、z方向に沿って離散的に備えられるため、ねじ26とねじ26との間に位置する戸柱22(戸柱平行部22h)と、ライナー27と、リテイナー24と、の間の微小(局所的な)な隙間を埋める必要がある。そこで、気密性を高めるとともに雨水等の侵入を抑制するため、リテイナー24の長手方向(z方向)に沿ってシール部40a、40b、40cを配設して封止を行う。
【0022】
高速で走行する鉄道車両がトンネル内を通過する時、トンネル内部の空気は、突入した鉄道車両によって圧縮されて鉄道車両の進行方向に向かって音速で伝搬する圧縮波が発生する。この圧縮波は、トンネルの出口で位相を反転して膨張波となってトンネル入口に向かってトンネル内を伝搬する。このため、トンネルを通過する鉄道車両の車外圧力は、大気圧に対して圧縮波によるプラス側、または膨張波によるマイナス側に、短い時間の間に大きく変動する。
【0023】
乗客等の乗降に供する側引き戸14に加えて、乗務員が乗降する側開き戸12を備える先頭車両は、側構体20に多くの開口部を有する。したがって、車外圧力の変動により、乗務員乗降口10の周縁部と側開き戸12の周囲部との間から、雨水等が乗務員室4の内部に侵入したり、空気が出入りしないように、側開き戸12の周縁部と乗務員乗降口10の周縁部との間のシール性を高めて、気密を維持する必要がある。
【0024】
気密の維持に貢献するシールは、リテイナー24のシール堰き止め部24aとライナー27の一方の側面と戸柱22に跨るシール部40aと、リテイナー24の底部24e(
図5)とライナー27の戸柱22の側の反対側の面との間のシール部40bと、リテイナー24の側面とライナー27の他方の側面と戸柱22とに跨るシール部40cと、からなる。
【0025】
<シール構成>
図5に示すように、シールゴム25を把持するリテイナー24のシールゴム収容部24bは、底部24eと、底部24eのx方向の両端部に接続するとともにy方向に立設する一対のシールゴム把持部24cと、からなる溝状である。一方のシールゴム把持部24cはx方向に突出する態様でシール堰き止め部24aを備える。シール堰き止め部24aと、戸柱22との間には、シール材を充填する空間(凹状のくぼみ)が形成される。
【0026】
リテイナー24が戸柱平行部22hに固定された時、シール堰き止め部先端部24apは、戸柱22の戸柱傾斜部22sの側開き戸12の側を延長した仮想延長面22sp(
図3)の近傍に位置する。乗務員乗降口10の側に向けて突出するシール堰き止め部24aは、リテイナー24と別部品で構成した後、リテイナー24のシールゴム把持部24cに接続してしても良いし、
図5に示すようにリテイナー24の一方のシールゴム把持部24cと一体に備えても良い。一体に備える場合は、z方向に沿って押出成形されるアルミ合金製の押し出し形材で構成しても良い。
【0027】
リテイナー24において、一対のシールゴム把持部24cの底部24eとの接続部の近傍には、x方向に対向する態様で突出する一対の凸部24dが設けられる。また、リテイナー24において、底部24eのシールゴム収容部24bの反対側の面(戸柱22の側の面)には、z方向に沿って形成される2条の凹部24f(
図5参照)が備えられる。
【0028】
図4に示すように、リテイナー24に収容されるシールゴム25は、シールゴム底部25eとシールゴム底部25eに接続する胴部25gとからなる。シールゴム底部25eと胴部25gとに囲われる空間には、鉄道車両が所定の速度以上になると高圧空気が圧送される空気袋25aが形成される。シールゴム底部25eと胴部25gとの接続部の近傍には、リテイナー24の凸部24dが嵌合する一対のシールゴム凹部25dが設けられる。
【0029】
<シール効果>
リテイナー24がシール堰き止め部24aを備えるので、シール部40aを堰き止める別部材を準備する作業(手配)、および、固定する作業を省略できるので、リテイナー24のシール堰き止め部24aとライナー27の一方の側面と戸柱22に跨るシール部40aを、小さい製作工数で形成することができる。
【0030】
さらに、リテイナー24が戸柱平行部22hに固定された時、シール堰き止め部先端部24apは、戸柱22の戸柱傾斜部22sの側開き戸12の側を延長した仮想延長面22spの近傍に位置するので、シール部40aを施工する時に、流動体状のシール材を成形するヘラを戸柱傾斜部22sとシール堰き止め部先端部24apとに跨る態様でz方向に沿って移動させれば、シール材を短時間でくぼみに押し込んで充填することができるとともに、戸柱傾斜部22sに沿うような形に精度よく成形できる。
【0031】
さらに、リテイナー24の底部24eにシール材を保持する凹部24fを備えるので、凹部24f内にシール材を充填した後にリテイナー24をライナー27に取り付けることで、リテイナー24の底部24eとライナー27の戸柱22(戸柱平行部22h)の側の反対側の面との間を密封するシール部40bを、容易に形成することができる。
【0032】
さらに、リテイナー24がシールゴム把持部24cを備えるので、ヘラなどを用いて、シールゴム把持部24cの側面とライナー27の他方の側面と戸柱22とに跨るようにして、シール部40cを容易に形成することができる。
【0033】
以上の構成によって、戸柱22とリテイナー24との間に、小さい作業工数でシール部40a、40b、40cを形成することができる。それにより、先頭車両1の側開き戸の12と側構体20の乗務員乗降口との間の気密および水密を維持することができ、特に矢印Dで示される経路で示される雨水等の侵入や空気の出入りを、より確実に防ぐことができる。
【0034】
また、シールゴム25を把持するリテイナー24が凸部24dを備えているため、この凸部24dが嵌合するシールゴム凹部25dをシールゴム25に備えることによって、シールゴム25の空気袋25aに空気が圧送されて、シールゴム25を膨張させる場合であっても、シールゴム25がリテイナー24に把持される状態を確実に維持できる。
【0035】
このため、万が一、シールゴム25の当接部25bが、側開き戸12に対して高い圧力で密着した際に、仮に当接部25bが側開き戸12に固着する場合であっても、シールゴム25はリテイナー24から脱落することを抑制できる。
【0036】
したがって、小さい製作工数で、膨張性シールゴムを把持するリテイナーと側構体の開口部周縁との間を確実にシールできるとともに、膨張性シールゴムが側開き戸の周縁部に固着する場合であっても、膨張性シールゴムがリテイナーから脱落しにくい信頼性の高い膨張性シールゴムを有する側開き戸を備える鉄道車両を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…先頭車両、 4…乗務員室、
5…先端部、 6…一般客室、
10…乗務員乗降口(開口部)、 12…側開き戸(乗務員用)、
12h…側開き戸平行部、 14…側引き戸(乗客用)、
20…側構体、 22…戸柱、
22s…戸柱傾斜部、 22sp…仮想延長面、
22h…戸柱平行部、
24…リテイナー、 24a…シール堰き止め部、
24ap…シール堰き止め部先端部、 24b…シールゴム収容部、
24c…シールゴム把持部、 24d…凸部、
24dp…凸部先端部、 24e…底部、
24f…凹部、 25…シールゴム、
25a…空気袋、 25b…当接部、
25d…シールゴム凹部、 25e…シールゴム底部、
25g…胴部、 26…ねじ、
27…ライナー、 40a~40c…シール部、
C…開閉方向を示す矢印、
D…空気や雨水等の侵入経路を示す矢印、
x…長手(レール方向)、 y…幅(枕木)方向、
z…高さ方向