(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100140
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法、および測定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 13/02 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
G01N13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000602
(22)【出願日】2022-01-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 発行日(公開日) 令和3年1月31日 刊行物 ウェブサイトへの掲載 (Web公開URL:http://www.tse.ens.titech.ac.jp/▲~▼KT-lab/outputs/SDrop/index.html) (2) 発行日(公開日) 令和3年2月24日 刊行物 溶接学会論文集 第39巻 第1号, 第32~38頁 一般社団法人溶接学会 発行(Web公開URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws/39/1/39_32/_pdf/-char/ja )(DOI:https://doi.org/10.2207/qjjws.39.32 ) <資料> 溶接学会論文集 掲載論文 (3) 開催日(公開日) 令和3年3月19日 集会名、開催場所 2020年度 第3回先端材料接合委員会 一般社団法人 日本溶接協会 主催 オンライン開催(令和3年3月15日 参加者専用予稿集ダウンロードアドレスより公開) <URL:http://www.jwes.or.jp/i/__;!!OhYLZkit9p47d2A!8R71DP8AzD-Q4ZPrrdxTJXUdL-xiYGppXy06IRxNS07LrIUhsAWxgBJ87u8Rcm_zeY5mRih > <資料> 2020年度 第3回先端材料接合委員会 開催概要 (4) 開催日(公開日) 令和3年7月29日 集会名、開催場所 溶接学会 第134回 マイクロ接合研究委員会 一般社団法人溶接学会 主催
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (5) 発行日(公開日) 令和3年10月1日 刊行物 2021 マイクロソルダリング技術 教育・認証フェスタ~ソルダリング実装技術の最新動向~ 講演予稿集 一般社団法人日本溶接協会 発行(参加者専用予稿集ダウンロードアドレスより公開) <URL:https://www.jwes.or.jp/public/NYvoAABgLcEABVIBJH982Lc6AsGN3nIy75Go4ZNvdhsa > <資料> 2021マイクロソルダリング技術 教育・認証フェスタ・開催概要 (6) 開催日(公開日) 令和3年10月7日(オンデマンド配信期間:令和3年10月13日~22日) 集会名、開催場所 2021マイクロソルダリング技術 教育・認証フェスタ~ソルダリング実装技術の最新動向~ 一般社団法人日本溶接協会 主催 ビデオ会議システム(Zoom)を用いたオンライン開催 <資料> 2021マイクロソルダリング技術 教育・認証フェスタ・パンフレット (7) 発行日(公開日) 令和3年11月23日 刊行物 Welding International Volume 35,2021 Issue 4-6 Taylor and Fraincis Ltd. 発行(Web公開URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09507116.2021.1980294)(DOI :https://doi.org/10.1080/09507116.2021.1980294 )
(71)【出願人】
【識別番号】592158202
【氏名又は名称】株式会社レスカ
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】藤間 貞行
(57)【要約】
【課題】より精度よく液体の物性を測定できる測定装置、測定方法、および測定プログラムを提供する。
【解決手段】測定装置は、測定対象となる液体を保持する保持部と、前記液体の表面形状を観察する観察部と、前記表面形状における、任意の2点の座標および接線角に基づき、前記液体の表面張力および接触角を演算する演算部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる液体を保持する保持部と、
前記液体の表面形状を観察する観察部と、
前記表面形状における、任意の2点の座標および接線角に基づき、前記液体の表面張力および接触角を演算する演算部と、を備える、測定装置。
【請求項2】
前記保持部は前記液体を保持する保持面を有し、
前記観察部は、前記保持面上に保持されて試験片が接しない状態の前記液体の表面形状を観察する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
試験片の把持部と、
前記試験片が前記液体に接したときに前記試験片に加わる濡れ力を測定する力測定部と、
前記試験片または前記保持部を移動させて、前記試験片を前記液体に接触させる移動機構と、を備え、
前記演算部は、前記濡れ力と、前記液体の表面形状と、に基づいて、前記液体の密度を演算する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記保持部は前記液体を収容する液槽である、請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記保持部は、第1の材質によって形成された第1領域と、前記第1の材質とは異なる第2の材質によって形成された第2領域と、を有し、
前記第1領域は前記第2領域を囲んでいる、請求項3に記載の測定装置。
【請求項6】
前記保持部の温度を調整する温度調整部と、
前記保持部または前記液体の温度を測定する温度測定部と、を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記保持部を囲うチャンバーと、
前記チャンバー内にガスを供給する供給路と、を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記液体の体積および重さに基づいて、前記液体の密度を演算する、請求項1から7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
測定対象となる液体の表面形状を観察し、
前記表面形状における任意の2点の座標および接線角に基づき、前記液体の表面張力および接触角を演算する、測定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
測定対象となる液体の表面形状を取得させる取得ステップと、
前記取得ステップによって得られた前記表面形状における任意の2点の座標および接線角を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより得られた情報に基づき、前記液体の表面張力を演算する演算ステップと、
を実行させるための測定プログラム。
【請求項11】
測定対象となる液体を保持する保持部と、
前記液体の表面形状を観察する観察部と、
前記液体の既知の密度と、前記表面形状における任意の点の座標および接線角と、に基づき、前記液体の表面張力を演算する演算部と、を備える、測定装置。
【請求項12】
液体の相対的な形状に関する情報と、前記液体の頂点における曲率を無次元化した値と、の関係を示す第1のグラフと、
前記液体の表面形状における任意の点と前記頂点との間の鉛直方向における距離を無次元化した値と、前記曲率を無次元化した値と、の関係を示す第2のグラフと、を用いて、
前記液体の表面張力、密度、および重力の関係を導く、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定方法、および測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウィルヘルミー法を用いて、液体の表面張力および密度が既知の場合に、接触角を演算によって求める方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法においては、接触角を求めるにあたって、液体の表面張力および密度が既知であることが前提となっている。しかしながら、液体の表面張力や密度は、液体および試験片の温度・不純物などの状態によって変化する。このため、予め求めた表面張力および密度が、接触角の測定時に適用できるとは限らず、測定結果に誤差を含んだり、誤差の要因が不明となったりする要因となっていた。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、より精度よく液体の物性を測定できる測定装置、測定方法、および測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る測定装置は、測定対象となる液体を保持する保持部と、前記液体の表面形状を観察する観察部と、前記表面形状における、任意の2点の座標および接線角に基づき、前記液体の表面張力および接触角を演算する演算部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る測定方法は、測定対象となる液体の表面形状を観察し、前記表面形状における任意の2点の座標および接線角に基づき、前記液体の表面張力および接触角を演算する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る測定プログラムは、コンピュータに、測定対象となる液体の表面形状を取得させる取得ステップと、前記取得ステップによって得られた前記表面形状における任意の2点の座標および接線角を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより得られた情報に基づき、前記液体の表面張力を演算する演算ステップと、を実行させる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る測定装置は、測定対象となる液体を保持する保持部と、前記液体の表面形状を観察する観察部と、前記液体の既知の密度と、前記表面形状における任意の点の座標および接線角と、に基づき、前記液体の表面張力を演算する演算部と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る測定方法は、液体の相対的な形状に関する情報と、前記液体の頂点における曲率を無次元化した値と、の関係を示す第1のグラフと、前記液体の表面形状における任意の点と前記頂点との間の鉛直方向における距離を無次元化した値と、前記曲率を無次元化した値と、の関係を示す第2のグラフと、を用いて、前記液体の表面張力、密度、および重力の関係を導く。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、より精度よく液体の物性を測定できる測定装置、測定方法、および測定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る測定装置の概略構成図である。
【
図5】第1のグラフおよび第2のグラフを用いてz’を導出する方法を示す図である。
【
図6】第1のグラフから接触角θcを求める方法を説明する図である。
【
図7】第2実施形態に係る測定装置の概略構成図である。
【
図8】
図7の試験片の先端が液体に浸漬した状態を示す概略図である。
【
図9】第3実施形態に係る保持部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る測定装置、測定方法、および測定プログラムについて、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、
図1に示すように、平板状の保持部4の上に載せられた液体7についての測定を行う。具体的には、測定装置1Aは、観察部2と、制御システム3と、保持部4と、ヒータ5と、温度センサ6と、を備えている。制御システム3は、演算部8と、記憶部9と、を備えている。制御システム3は1つまたは複数のコンピュータによって実現されてもよい。演算部8は、例えばCPUであり、各種演算を行う。記憶部9は、例えば不揮発性メモリ等の記憶媒体であり、演算部8による演算結果や、測定条件(例えば、液体7の種類、温度、保持部4の材質、等)を記憶する。演算部8および記憶部9は、同一のコンピュータに内蔵されていてもよい。制御システム3は、演算結果等を表示するディスプレイ、入力用のキーボードなどを備えてもよい。
【0014】
測定対象としての液体7の種類は特に限定されない。例えば、液体7は水、水溶液、液状の金属(具体例としてはんだ)等であってもよい。保持部4の材質についても、適宜選択可能である。
【0015】
観察部2は、保持部4によって保持された液体7の表面形状を観察し、制御システム3に入力する。観察部2は、水平方向から液体7の表面形状を観察することが好ましい。ただし、水平方向以外の方向から液体7の表面形状を観察した場合も、液体7の物性を測定することは可能である。観察部2としては、例えばカメラを用いることができる。この場合、観察部2は液体7の表面形状に基づいた映像信号を生成し、その映像信号を制御システム3に入力する。ただし、液体7の表面形状を取得し制御システム3に入力することができれば、観察部2の具体的構成は変更可能である。例えば、液体7に対して水平に平行光を照射し、スクリーン等に投影された液体7の影を観察する構成を採用してもよい。
【0016】
ヒータ5は、保持部4によって保持された液体7を加熱する。
図1のように、ヒータ5は保持部4の下面に配置されてもよい。あるいは、保持部4の内部または保持面4a(保持部4の上面)のうち、液体7に近い位置にヒータ5が配置されてもよい。温度センサ6は、液体7の温度に関する情報を取得する。温度センサ6が取得する情報は、液体7の温度そのものであってもよいし、保持部4における液体7の近傍の温度であってもよい。保持部4における液体7の近傍の温度は、その検出点が液体7と十分に近ければ、液体7の温度と同じであるとみなすことができる。また、温度センサ6として非接触式温度計を用いてもよい。この場合、保持部4から離れた位置に温度センサ6を配置しつつ、液体7の表面温度を直接測定することができる。温度センサ6は、液体7の温度に関する情報を制御システム3に入力する。なお、液体7の温度を調整することができれば、ヒータ5(加熱装置)に代えて、例えば冷却装置を用いてもよい。つまり、測定装置1Aが温度調整部(加熱機能および冷却機能のうち、一方または両方を有するもの)を備えていれば、液体7の温度を調整することができる。
【0017】
制御システム3は、液体7の温度に関する情報に基づいてヒータ5をフィードバック制御してもよい。この場合、液体7の温度を所定の温度に設定することができる。液体7の物性は温度によって影響を受ける。本実施形態の測定装置1Aによれば、ヒータ5および温度センサ6を有していることで、温度に応じた液体7の物性を測定することが可能となる。ただし、例えば室温を別途測定し、測定された液体7の物性と室温とを結びつけて記憶部9に記憶させてもよい。この場合、ヒータ5および温度センサ6は不要である。また、ヒータ5を設けず、温度センサ6だけを設けてもよい。
【0018】
図2は、観察部2によって観察された、液体7の表面形状の模式図である。
図2に示すように、本実施形態における制御システム3の演算部8は、液体7の表面形状に基づいて、中心軸線Aを設定する。中心軸線Aは、液体7の頂点Oを通り、鉛直方向に延びる仮想線である。なお、中心軸線Aの設定は、制御システム3のオペレータが、液体7の表面形状の画像に基づいて手動で設定してもよい。
【0019】
以下、
図2における各点および液体7のパラメータ等を以下のように定義して説明する。
点O:液体7の頂点
点C:液体7の端点(表面形状の外端が位置する点)
点P:液体7の表面形状における、点O、点C以外の任意の点
距離z:点Oと点Pとの間の鉛直方向における距離
距離r:中心軸線Aと点Pとの間の水平方向における距離
距離z
c:点Oと点Cとの間の鉛直方向における距離(液体7の高さ)
距離r
c:中心軸線Aと点Cとの間の水平方向における距離
接線角θ:点Pにおける液体7の表面の接線が、水平方向に対してなす角度
γ:液体7の表面張力
ρ:液体7の密度
g:重力加速度
l
T:√(γ/(ρg))
z’:z/l
T(表面張力、密度、重力を用いて、距離zを無次元化した値)
κ’:点Oにおける液体7の表面形状の曲率κを無次元化した値
θc:点Cにおける接線角θ(つまり、保持部4に対する液体7の接触角)
【0020】
本実施形態では、
図3、
図4に示すような2つの図と、点Pにおける座標(r、z)および接線角θと、点Cの座標(r
c、z
c)と、を用いて、表面張力γおよび接触角θcを同時に決定する。なお、本実施形態ではrz座標系の原点を点Oとするため、点Oの座標は(0、0)となる。また、点Oは液体7の頂点であるから、点Oにおける接線角θは0°となる。
【0021】
図3、
図4の横軸はκ’である。
図3の縦軸はz/rの値であり、
図4の縦軸はz’である。
図3、
図4は、数値計算の結果に基づいて作成することができる。より具体的に説明すると、液体7の表面形状が決まる原理に基づいて導出される方程式に、様々な値のκ’を与え、十分な精度で数値的に解くことにより、r、z、θの関係を出力することができる。この出力結果を用いて、
図3、
図4を描画することができる。なお、液体7の表面形状が決まる原理に基づいて導出される方程式については、例えば「高橋 邦夫, 井口 洋二, 濱田 恵一朗, ヘムタビー パソムポーン, 齊藤 滋規、“大体積の平面上液滴の形状情報から液体の表面張力を決定する手法の提案とその適用性の検討”、溶接学会論文集、2020年、第38巻、第3号、p.193-198」の記載が参考になる。
図3、
図4には、複数の接線角θの値に応じた曲線(グラフ)が含まれている。
図3、
図4では、θの値が1°刻みで表示されているが、例えば0.5°刻みであってもよいし、さらに細かく刻まれていてもよい。
【0022】
図3、
図4を利用する際は、任意の点Pにおける接線角θを計測し、その接線角θの値に該当する曲線を選択する。記憶部9は、
図3、
図4に示すグラフをデータとして記憶している。演算部8は、記憶部9に記憶された、
図3、
図4に対応するデータを読み出して使用する。
【0023】
次に、測定装置1Aが液体7の表面張力γおよび接触角θcを求める方法を説明する。
まず、観察部2は液体7の形状を撮影し、制御システム3に入力する。制御システム3の演算部8は、撮影された液体7の表面形状から、任意の点Pを選択し、点Pにおける座標(r、z)および接線角θを取得する。さらに演算部8は、点Cの座標(r
c、z
c)を取得する。
次に、演算部8は、取得された接線角θの値に対応したグラフ(曲線)を、記憶部9に記憶されている
図3、
図4に対応したデータから選択し、読み出す。
図5(a)は、選択されたグラフを
図3から抜き出した模式図である。
図5(b)は、選択されたグラフを
図4から抜き出した模式図である。
【0024】
次に、演算部8は、点Pの座標(r、z)に基づいてz/rの値を算出する。そして、演算部8は、
図5(a)のグラフにおいてz/rの値(つまり、点Qの縦軸座標)に対応したκ’の値(つまり、点Qの横軸座標)を取得する。
次に、演算部8は、
図5(a)において取得したκ’の値に対応するz’の値(つまり、点Rの縦軸座標)を、
図5(b)を用いて取得する。このようにしてz’が決まる。z’が決まることは、パラメータl
T(すなわち、表面張力γと、密度ρと、重力gと、の関係)が決まることと同義である。そして、重力gは既知とみなせるから、密度ρおよび表面張力γのうち一方が定まれば他方も定まる。密度ρが既知の場合は、その値を用いてもよい。あるいは、測定装置1Aは、保持部4上の液体7の体積および重さに基づいて密度ρを演算してもよい。
次に、演算部8は、zおよびz’の値に基づいて、液体7の表面張力γを演算する。具体的には、l
Tおよびz’の定義から、表面張力γは以下の数式(1)により算出できる。
γ=ρg(z/z’)
2 …(1)
【0025】
次に、演算部8は、上記のように算出したκ’の値と、点Cの座標(r
c、z
c)と、
図3と、を用いて、接触角θcを求める。ここでは、説明を容易にするため、
図3からいくつかの曲線を抜き出した模式図である
図6を用いる。具体的には、
図6に示すように、横軸座標がκ’であり、縦軸座標がz
c/r
cである点Q’を特定する。そして、
図3において点Q’を通るグラフに対応するθの値を、θcの値として選択する。
以上のステップにより、測定装置1Aは、表面張力γおよび接触角θcを求めることができる。測定された表面張力γおよび接触角θcの値は、記憶部9に記憶されてもよいし、ディスプレイ等に表示されてもよい。また、表面張力γおよび接触角θcの値は、温度センサ6による温度測定結果とともに表示、記憶されてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では点Pの座標および接線角に加えて、点Oが頂点であることも用いて、表面張力γの演算を行う。言い換えると、点Oの座標(0、0)と接線角(θ=0°)の情報を用いている、とも言える。ただし、点Oの情報を利用することに限らず、例えば液体7の表面形状において2つの点Pを選択し、これら2つの点Pの座標および接線角を用いてもよい。
また、κ’を決定する際には、点Pとして複数の点を選択し、それぞれの点についてのz/rの値および接線角θに基づいて得られるκ’の平均値等を用いると精度が向上する。例えば、
図6に示す点Q
1~Q
3は、3つの任意の点P(図示略)に対応している。各点Q
1~Q
3の横軸座標を平均した値をκ’として用いることで、より精度のよい計測結果が得られる。ただし、用いる点Pの数は1つ、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の測定装置1Aは、測定対象となる液体7を保持する保持部4と、液体7の表面形状を観察する観察部2と、液体7の表面形状における、任意の2点の座標および接線角に基づき、液体7の表面張力γおよび接触角θcを演算する演算部8と、を備える。
【0028】
また、本実施形態は、測定対象となる液体7の表面形状を観察し、前記表面形状における任意の2点の座標および接線角に基づき、液体7の表面張力γおよび接触角θcを演算する測定方法を提案する。この測定方法は、測定装置1A以外の手段によって行われてもよい。
【0029】
また、本実施形態に係る処理をコンピュータ(例えば、制御システム3のような情報処理装置)に実行させるための測定プログラムとして、以下を提案する。すなわち、測定プログラムは、コンピュータに、測定対象となる液体7の表面形状を取得させる取得ステップと、取得ステップによって得られた液体7の表面形状における任意の2点の座標および接線角を抽出する抽出ステップと、抽出ステップにより得られた情報に基づき、液体7の表面張力γおよび接触角θcを演算する演算ステップと、を実行させる。
【0030】
また、本実施形態の測定方法は、
図3に示すような第1のグラフと、
図4に示すような第2のグラフと、を用いて、液体7の表面張力γ、密度ρ、および重力gの関係(数式(1)参照)を導いている、とも言える。第1のグラフは、液体7の表面形状における相対的な形状に関する情報(r、z、θ)と、頂点Oにおける液体7の曲率を無次元化した値(κ’)と、の関係を示したものである。第2のグラフは、任意の点Pと頂点Oとの間の鉛直方向における距離を無次元化した値(z’)と、頂点Oにおける液体7の曲率を無次元化した値と、の関係を示したものである。
【0031】
上記した測定装置1A、測定方法、および測定プログラムによれば、表面張力γおよび接触角θcを同時に測定可能である。表面張力γおよび接触角θcを別個に測定する手法は従来から存在していたが、その場合には、表面張力γの測定条件と接触角θcの測定条件との不一致が測定誤差の要因となる。本実施形態では、同一の条件下で表面張力γおよび接触角θcを同時に測定できるため、上記した測定条件の不一致に起因する測定誤差を排除することが可能である。さらに、複数の点Pの情報を用いることで、測定精度をより高めていくことが可能である。
【0032】
また、本実施形態によれば、従来よりも精度よく液体7の接触角θcを測定することが可能である。その理由として、端点Cにおける接線角θ(すなわち接触角θc)よりも、任意の点Pにおける接線角θの方が精度よく測定できることが挙げられる。つまり、接線角θを測定しやすい任意の点Pを選択し、点Pの情報を用いて接触角θcを演算することで、接触角θcを画像等から直接測定するよりも測定精度を向上できる場合がある。
【0033】
また、本実施形態の測定装置1Aにおいて、保持部4は液体7を保持する保持面4aを有し、観察部2は、保持面4a上に保持されて試験片が接しない状態の液体7の表面形状を観察する。すなわち、測定装置1Aは、いわゆる平面上液滴(Sessile Drop)の形状に基づいて、液体7の物性を測定する。
【0034】
また、本実施形態の測定装置1Aは、保持部4の温度を調整する温度調整部(ヒータ5)と、保持部4または液体7の温度を測定する温度測定部(温度センサ6)と、を備えている。これにより、所望の温度における液体7の物性を測定することが可能である。なお、温度調整部および温度測定部の具体的構成は適宜変更してもよい。
【0035】
上記した測定装置1A、測定方法、および測定プログラムにおいて、液体7の密度ρは、必ずしも既知でなくてもよい。例えば、演算部8は、保持部4上に保持された液体7の体積および重さに基づいて、密度ρを演算してもよい。液体7の体積は、例えば液体7の表面形状等に基づいて算出してもよいし、その他の手段を用いて測定してもよい。液体7の重さは、例えば保持部4に荷重センサ等を取り付けることで測定してもよいし、その他の手段によって測定してもよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態は、第1実施形態において説明した測定方法を、いわゆるウィルヘルミー法(Wilhelmy法、懸垂法ともいう)に応用したものである。
【0037】
図7に示すように、本実施形態の測定装置1Bは、保持部10と、力測定部11と、把持部12と、昇降装置14と、チャンバー15と、信号処理部16と、を備える。把持部12は、試験片13を把持する。試験片13は、例えば板状である。ただし、試験片13は円柱状等であってもよい。本実施形態では、試験片13に対する液体7の濡れ性を評価する。
【0038】
保持部10は、例えば有底筒状の液槽である。保持部10内には、液体7が収容される。昇降装置14は、保持部10を上下動させることが可能である。昇降装置14としては、例えばリニアモータを採用できる。保持部10は、昇降装置14が有する昇降部14aによって支持されている。制御システム3は、昇降装置14を動作させることで、保持部10と試験片13との相対位置を変化させる。なお、昇降装置14は、保持部10ではなく把持部12を昇降させてもよい。つまり、保持部10と試験片13との相対位置を変化させることができればよい。
【0039】
ヒータ5は保持部10の底部に設けられており、温度センサ6は保持部10の周壁に設けられている。なお、ヒータ5および温度センサ6の配置は適宜変更可能である。例えば、保持部10に貫通孔を形成し、その貫通孔の内部にヒータ5および温度センサ6を位置させてもよい。
【0040】
力測定部11は、試験片13が液体7から受ける力(濡れ力)を測定し、測定結果をアナログ信号として信号処理部16に出力する。信号処理部16は、力測定部11から受け取ったアナログ信号を処理してデジタル信号を生成し、そのデジタル信号を記憶部9または演算部8に入力する。信号処理部16は力測定部11と一体になっていてもよい。
【0041】
チャンバー15は、保持部10を囲っている。昇降装置14が保持部10を試験片13に近づけたとき、試験片13の先端はチャンバー15の内側で液体7に浸漬される。チャンバー15には、ガスを供給するための供給路15aが設けられている。例えば窒素等の不活性ガスを、供給路15aを通じてチャンバー15内に充填することで、液体7が酸化することなどを抑制できる。これにより、より精度のよい測定結果が得られる。
図7のように、観察部2がチャンバー15の外側に配置される場合は、観察部2が液体7の表面形状を撮影可能となるように、チャンバー15に透明な窓部を設ける。ただし、観察部2をチャンバー15の内側に配置してもよい。あるいは、チャンバー15は無くてもよい。
【0042】
図8を用いて、ウィルヘルミー法における測定原理を説明する。ウィルヘルミー法においては、以下の数式(2)が成立することが知られている。
F=γ×cosθc×L-νρg …(2)
【0043】
数式(2)および
図8において、各パラメータ等の定義は、以下の通りである。以下の定義では、一例としての単位も記載するが、単位は変更してもよい。
A:試験片13の中心軸線
F:試験片13が液体7から受ける鉛直方向の力(濡れ力)[mN]
γ:液体7の表面張力[mN/m]
θc:試験片13に対する液体7の接触角[度]
L:液体7と試験片13との接触長さ(つまり、試験片13の周囲長)[m]
ν:液体7に浸漬している部分の試験片13の体積[m
3]
ρ:液体7の密度[kg/m
3]
g:重力加速度[m/s
2]
点C:液体7の端点(表面形状の上端が位置する点)
点P1,P2:液体7の表面形状における、点C以外の任意の2点
【0044】
以下、測定装置1Bを用いて液体7の物性を求める方法を説明する。なお、初期状態では、試験片13と液体7とが接していない状態とする。
まず、制御システム3は温度センサ6による測定結果に基づいてヒータ5をフィードバック制御し、液体7を所定の温度にする。「所定の温度」は、液体7の用途に応じて適宜設定する。例えば液体7がはんだである場合、当該はんだを用いて電子部品を基板にはんだ付けする際の温度にするとよい。
次に、制御システム3は昇降装置14を駆動させて、試験片13の先端を液体7内に浸漬させる。このとき、試験片13は液体7の表面張力γに基づく力(濡れ力F)を受ける。力測定部11は、この力Fを計測し、アナログ信号として信号処理部16に出力する。信号処理部16は、力測定部11が出力したアナログ信号を処理してデジタル信号を生成し、演算部8および記憶部9の少なくとも一方に入力する。
【0045】
試験片13の先端が液体7内に浸漬した状態で、観察部2は、液体7の上端部(試験片13が濡れている部分と乾いている部分との境界)における表面形状を撮影し、制御システム3に入力する。制御システム3の演算部8は、撮影された液体7の表面形状(メニスカス)から、任意の2点P1、P2を選択し、点P1における座標(r1、z1)および傾き(接線角θ1)と、点P2における座標(r2、z2)および傾き(接線角θ2)と、を取得する。
【0046】
なお、第1実施形態における座標系では、平面上液滴における表面形状の対称性に注目し、頂点Oを原点に設定した。これに対して本実施形態では、任意の2点P1、P2の情報を用いて、液体7の表面形状から表面張力γを演算する。本実施形態における座標系では、点P1、P2の相対位置が定まれば良いため、原点の位置は任意に設定可能である。例えば、r座標の原点を中心軸線Aの位置に設定した場合、r1は中心軸線Aと点P1との間の距離であり、r2は中心軸線Aと点P2との間の距離である。同様に、z座標の原点も任意の位置に設定し、z1、z2を決定する。また、必要に応じて、点Cの座標(rc、zc)も取得する。
【0047】
第1実施形態に示されるように、液体7の表面形状とパラメータlT:√(γ/(ρg))との間には関係がある。また、液体7の表面形状は、2つの点P1,P2における座標と傾きから特定できる。したがって、点P1,P2の座標および傾きが取得されれば、第1実施形態と同様に、液滴の表面形状が決まる原理に基づいて、パラメータlTを決定できる。
【0048】
数式(2)における未知数は、表面張力γ、接触角θc、および密度ρである。このうち、パラメータlTにより、表面張力γと密度ρの関係は定まっている。したがって、接触角θcおよび密度ρのうち、一方が決定できれば、残りの2つの未知数も決定できる。第1実施形態で説明した理論を応用することで、点Cにおける座標(rc、zc)と、パラメータlTと、に基づいて、接触角θcを決定してもよい。そして演算部8は、このように求められた接触角θcの値を数式(2)に代入するとともに、パラメータlTも用いて、密度ρおよび表面張力γを決定してもよい。これにより、表面張力γ、接触角θc、および密度ρを1つの測定条件のもとで同時に決定することができる。
なお、演算部8は、密度ρが既知である場合には、この密度ρの値を数式(2)に代入することで、接触角θcを演算してもよい。この場合、点Cの座標(rc、zc)を用いずとも接触角θcを決定することができる。
【0049】
本実施形態の測定装置1Bは、メニスコグラフ法などの、濡れ性の評価に関する各種規格(例えば、JIS C 60068-2-69 環境試験方法-電気・電子-第2-69部:試験-試験Te/Tc:電子部品及びプリント配線板のはんだ付け性試験方法(平衡法))に準拠した測定に応用することも可能である。例えば、制御システム3は、以下のように3つの段階に分けて、試験片13と保持部10との相対位置が変化するように昇降装置14を駆動させてもよい。第1段階では、試験片13と液体7とが離れている状態から、徐々に試験片13の先端を液体7に浸漬させる。第2段階では、昇降装置14の動作を停止し、試験片13の先端が液体7に浸漬した状態で静止させる。第3段階では、試験片13を保持部10から徐々に遠ざけて、試験片13の先端を液体7から離脱させる。
【0050】
上記第1~第3段階において、力測定部11が継続して濡れ力Fを測定するとともに、観察部2が継続して液体7の表面形状を撮影することで、各状態における液体7の表面張力γ、接触角θc、および密度ρを演算できる。これらの演算結果を統計的手法により分析することで測定精度を向上させてもよい。あるいは、液体7の状態によって各物性が変化する可能性がある場合には、液体7の状態と各物性(例えば動的接触角)との関係を分析してもよい。なお、第2段階(静定状態)における演算で得られる接触角θcは、静的接触角であると言える。
【0051】
例えばJIS C 60068-2-69では、ぬれ曲線(横軸を時間、縦軸を濡れ力Fとしたグラフ)の形状によってはんだの濡れ性を評価するが、溶融したはんだの物性(表面張力γ、接触角θc、密度ρ)がどのような値を取るかを知ることはできない。また、液体7の表面張力γ、接触角θc、密度ρをそれぞれ個別に測定することは従来から可能であったが、これらを同時に測定する手法に関する知見は見当たらない。これらの点から、本実施形態における手法は極めて画期的であると言える。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の測定装置1Bは、測定対象となる液体7を保持する保持部10と、液体7の表面を観察する観察部2と、液体7の表面形状における、任意の2点P1、P2の座標および接線角に基づき、液体7の表面張力γおよび接触角θcを演算する演算部8と、を備える。
【0053】
また、本実施形態は、測定対象となる液体7の表面形状を観察し、前記表面形状における任意の点P1、P2の座標および接線角に基づき、液体7の表面張力γおよび接触角θcを演算する測定方法を提案する。
【0054】
また、本実施形態に係る処理をコンピュータ(例えば、制御システム3のような情報処理装置)に実行させるための測定プログラムとして、以下を提案する。すなわち、測定プログラムは、コンピュータに、測定対象となる液体7の表面形状を取得させる取得ステップと、取得ステップによって得られた液体7の表面形状における任意の2点P1、P2の座標および接線角を抽出する抽出ステップと、抽出ステップにより得られた情報に基づき、液体7の表面張力γを演算する演算ステップと、を実行させる。
【0055】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態の保持部10は、液体7を収容する液槽であるため、いわゆるウィルヘルミー法に適用可能である。
【0056】
また、本実施形態の測定装置1Bは、試験片13の把持部12と、試験片13が液体7に接したときに試験片13に加わる濡れ力Fを測定する力測定部11と、試験片13または保持部10を移動させて、試験片13を液体7に接触させる移動機構(昇降装置14)と、を備える。そして演算部8は、濡れ力Fと、液体7の表面形状と、に基づいて、液体の密度ρを演算してもよい。この場合、表面張力γ、接触角θc、および密度ρを同時に決定することができる。したがって、これらの物性を別個の測定器でそれぞれ測定する場合と比較して、測定条件(例えば、液体の温度、試験片の表面性状、液体・試験片に含まれる不純物等)の相違に起因する誤差を排除することが可能であり、より精度よく液体7の物性を測定することが可能である。
【0057】
また、測定装置1Bは、保持部10を囲うチャンバー15と、チャンバー15内にガスを供給する供給路15aと、を備えている。これにより、液体7に触れる雰囲気を安定させて、より精度のよい測定結果を得ることができる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、保持部を除き、第2実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0059】
第2実施形態の保持部10に代えて、本実施形態では
図9に示す保持部20を用いる。保持部20は、第1の材質によって形成された第1領域21と、第2の材質によって形成された第2領域22と、を有している。第1領域21は、第2領域22を取り囲んでいる。本実施形態は、いわゆる「はんだ小球平衡法(JIS C 60068-2-69)」に適用することができる。この場合、第1の材質はアルミニウムであり、第2の材質は鉄である。なお、第1の材質および第2の材質は適宜変更可能である。また、液体7を略球状にすることができれば、保持部20は単一の材質で形成されていてもよい。例えば、保持部20の上面に窪みを形成し、その窪みに液体7を入れることで、液体7のうち窪みから上方に飛び出た部分を略球状としてもよい。
【0060】
本実施形態の場合、保持部20によって略球状に保持された液体7に対して試験片13を接触させる。そして、液体7の表面形状と、試験片13に加わる濡れ力Fと、に基づき、液体7の物性を演算する。具体的な演算方法は第2実施形態と同様であるため省略するが、本実施形態においても、液体7の表面張力γ、接触角θc、および密度ρを同時に求めることが可能である。
【0061】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0062】
例えば、第1実施形態の保持部4を囲うように、第2実施形態において説明したチャンバー15を配置してもよい。
また、第2実施形態および第3実施形態において、演算部8は、液体7の体積および重さに基づいて、液体7の密度ρを演算してもよい。第2、第3実施形態において、濡れ力Fを用いて密度ρを演算するのと並行して、液体7の体積および重さに基づいて密度ρを演算し、両者を比較してもよい。
また、液体7の表面形状における任意の点P等の選択は、演算部8が自動的に行ってもよいし、オペレータが手動で行ってもよい。
また、演算の一部にフィッティングを用いてもよい。フィッティングとは、実験的に得られたデータに最もよく当てはまるような曲線を求める手法である。例えば第1実施形態において、第1のグラフおよび第2のグラフを用いてパラメータlTを求めることに代えて、フィッティングを用いてパラメータlTを求めてもよい。あるいは第2実施形態において、液滴の表面形状を決める原理に基づいて導かれた数式を用いてパラメータlTを求めることに代えて、フィッティングを用いてパラメータlTを求めてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1A、1B…測定装置 2…観察部 4…保持部 4a…保持面 7…液体 8…演算部 10…保持部 11…力測定部 12…把持部 13…試験片 15…チャンバー 15a…供給路 20…保持部 21…第1領域 22…第2領域