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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100157
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】ドレン水蒸発機構
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
F24F1/02 371G
F24F1/0007 361C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000636
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】503076641
【氏名又は名称】株式会社ナカトミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 哲
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050AA05
3L050BD05
(57)【要約】
【課題】エアコンの熱交換器の排熱を利用してドレン水を効率的に蒸発させるドレン水蒸発機構を提供すること。
【解決手段】少なくとも、圧縮機11、凝縮器12、蒸発器14、高温側熱交換器15、低温側熱交換器16を有する冷凍サイクル機構10と、蒸発器14の下方位置に配設され、蒸発器14で発生したドレン水を受けるドレン水受部30と、ドレン水受部30に貯められたドレン水を高温側熱交換器15に浴びせて高温側熱交換器15の熱によってドレン水を蒸発させる水車60と、水車60を回転させる水車モータ70と、を具備していることを特徴とするドレン水蒸発機構100である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、圧縮機、凝縮器、蒸発器、高温側熱交換器および低温側熱交換器を有する冷凍サイクル機構と、
前記蒸発器の下方位置に配設され、前記蒸発器で発生したドレン水を受けるドレン水受部と、
前記ドレン水受部に貯められた前記ドレン水を前記高温側熱交換器に浴びせて前記ドレン水を蒸発させる水車と、
前記水車を回転させる水車モータを具備することを特徴とするドレン水蒸発機構。
【請求項2】
前記ドレン水受部に配設され、前記ドレン水受部の水位を検出する水位センサと、
前記水位センサによる前記ドレン水受部の検出水位に応じて前記水車モータの動作を制御する動作制御部をさらに具備し、
前記水位センサは、前記ドレン水受部の所要高さ位置に配設された基準センサ、前記基準センサと同一高さ位置または前記基準センサよりも上側高さ位置である第1高さ位置に配設された第1水位センサ、および、前記第1高さ位置よりも上側高さ位置である第2高さ位置に配設された第2水位センサを少なくとも有し、
前記動作制御部は、
前記基準センサと前記第2水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記水車モータを作動させる処理と、
前記水車モータを作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第1水位センサによる前記水位の検出がなくなった際に、前記水車モータを停止させる処理と、をそれぞれ実行することを特徴とする請求項1記載のドレン水蒸発機構。
【請求項3】
前記第2高さ位置よりも上側高さ位置である第3高さ位置に配設された第3水位センサと、前記動作制御部により動作制御され、前記高温側熱交換器の熱を排出するための排熱ファンをさらに具備し、
前記動作制御部は、
前記水車モータを作動させる処理が実行される前に、前記排熱ファンを予め設定した第1回転速度で回転させる処理と、
前記水車モータを作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第3水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記排熱ファンの回転を停止または予め設定した第2回転速度で作動させる処理と、
前記排熱ファンの回転を停止または前記第2回転速度で作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第1水位センサによる前記水位の検出のみになった際に、前記排熱ファンを前記第1回転速度で回転させる処理と、をそれぞれ実行することを特徴とする請求項2記載のドレン水蒸発機構。
【請求項4】
使用者に通知を行う通知手段と、
前記第3高さ位置よりも上側高さ位置である第4高さ位置に配設された第4水位センサをさらに有し、
前記動作制御部は、
前記排熱ファンの回転を停止または前記第2回転速度で作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第4水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記通知手段を作動させる処理と、
前記通知手段を作動させる処理が実行された後において、前記基準センサおよび前記第1水位センサと前記第2水位センサによる前記水位の検出のみになった際に、前記通知手段を停止させる処理と、をさらに実行することを特徴とする請求項3記載のドレン水蒸発機構。
【請求項5】
前記水車は円板に形成されていると共に前記高温側熱交換器の主面に対して前記円板を平行にした配置で配設されていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のドレン水蒸発機構。
【請求項6】
前記水車の前記円板の径方向における外周縁側所要範囲には複数の凹凸部が周方向に所要間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項5記載のドレン水蒸発機構。
【請求項7】
前記凹凸部の中心線は、前記円板の前記径方向に対し傾斜していることを特徴とする請求項6記載のドレン水蒸発機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドレン水蒸発機構に関する。より詳細には、冷凍サイクル機構の高温側熱交換器の排熱を利用してドレン水を蒸発させるドレン水蒸発機構に関する。
【背景技術】
【0002】
室内への取り付け工事が不要であって、必要な場所に持ち運んで使用することができるポータブルエアコンが広く知られている。このようなポータブルエアコンとしては、特許文献1(実開平5-79324号公報)に開示されているような構成が周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-79324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているポータブルエアコンは、ドレン水を室外に直接排出することができない。このため、ポータブルエアコンのドレン水は、筐体に収容されたドレン水タンクに一時的に貯められ、ドレン水タンクが満水になる度に使用者が筐体からドレン水タンクを取り出して排水を行う必要があり、煩雑であるといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成でありながらもエアコンの使用により発生したドレン水を確実に蒸発させることにより、ドレン水の排水処理の負担を大幅に軽減させることが可能なドレン水蒸発機構を提供することにある。
【0006】
すなわち本発明は、少なくとも、圧縮機、凝縮器、蒸発器、高温側熱交換器および低温側熱交換器を有する冷凍サイクル機構と、前記蒸発器の下方位置に配設され、前記蒸発器で発生したドレン水を受けるドレン水受部と、前記ドレン水受部に貯められた前記ドレン水を前記高温側熱交換器に浴びせて前記ドレン水を蒸発させる水車と、前記水車を回転させる水車モータを具備することを特徴とするドレン水蒸発機構である。
【0007】
これにより、簡易な構成でありながらもエアコンの使用により発生したドレン水を確実に蒸発させることにより、ドレン水の排水処理の負担を大幅に軽減させることが可能になる。
【0008】
また、前記ドレン水受部に配設され、前記ドレン水受部の水位を検出する水位センサと、前記水位センサによる前記ドレン水受部の検出水位に応じて前記水車モータの動作を制御する動作制御部をさらに具備し、前記水位センサは、前記ドレン水受部の所要高さ位置に配設された基準センサ、前記基準センサと同一高さ位置または前記基準センサよりも上側高さ位置である第1高さ位置に配設された第1水位センサ、および、前記第1高さ位置よりも上側高さ位置である第2高さ位置に配設された第2水位センサを少なくとも有し、前記動作制御部は、前記基準センサと前記第2水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記水車モータを作動させる処理と、前記水車モータを作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第1水位センサによる前記水位の検出がなくなった際に、前記水車モータを停止させる処理と、をそれぞれ実行することが好ましい。
【0009】
これにより、ドレン水の発生状況に応じてドレン水の蒸発量を最適化することができる。
【0010】
また、前記第2高さ位置よりも上側高さ位置である第3高さ位置に配設された第3水位センサと、前記動作制御部により動作制御され、前記高温側熱交換器の熱を排出するための排熱ファンをさらに具備し、前記動作制御部は、前記水車モータを作動させる処理が実行される前に、前記排熱ファンを予め設定した第1回転速度で回転させる処理と、前記水車モータを作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第3水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記排熱ファンの回転を停止または予め設定した第2回転速度で作動させる処理と、前記排熱ファンの回転を停止または前記第2回転速度で作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第1水位センサによる前記水位の検出のみになった際に、前記排熱ファンを前記第1回転速度で回転させる処理と、をそれぞれ実行することが好ましい。
【0011】
これにより、ドレン水の発生状況に応じて高温側熱交換器の温度を敢えて上昇させることにより、ドレン水の蒸発量を増加させることができる。
【0012】
また、使用者に通知を行う通知手段と、前記第3高さ位置よりも上側高さ位置である第4高さ位置に配設された第4水位センサをさらに有し、前記動作制御部は、前記排熱ファンの回転を停止または前記第2回転速度で作動させる処理が実行された後において、前記基準センサと前記第4水位センサが共に前記水位を検出した際に、前記通知手段を作動させる処理と、前記通知手段を作動させる処理が実行された後において、前記基準センサおよび前記第1水位センサと前記第2水位センサによる前記水位の検出のみになった際に、前記通知手段を停止させる処理と、をさらに実行することが好ましい。
【0013】
これにより、ドレン水の溜まり具合に応じて使用者への通知の開始と停止を自動化することができる。
【0014】
また、前記水車は円板に形成されていると共に前記高温側熱交換器の主面に対して前記円板を平行にした配置で配設されていることが好ましい。
【0015】
これにより、水車の収容スペースをコンパクトにすることができる。
【0016】
また、前記水車の前記円板の径方向における外周縁側所要範囲には複数の凹凸部が周方向に所要間隔をあけて形成されていることがより好ましい。
【0017】
これにより、ドレン水受部に貯められたドレン水と水車との接触面積が増加し、高温側熱交換器に効率的にドレン水を供給することができる。
【0018】
また、前記凹凸部の中心線は、前記円板の前記径方向に対し傾斜していることが好ましい。
【0019】
これにより、さらに効率的に高温側熱交換器へドレン水を供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の構成によれば、冷凍サイクル機構内の高温側熱交換器の排熱を利用した簡易な構成でありながらも、エアコンの使用により発生したドレン水を確実に蒸発させることができる。これにより使用者のドレン水タンク内に貯められたドレン水処理の負担を大幅に軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態におけるドレン水蒸発機構を内蔵したポータブルエアコンの斜視図である。
図2図1の概略内部構成図である。
図3図2中の高温側熱交換器を非表示にした状態を示す図である。
図4】水位センサの配設状態を示すドレン水受部の要部斜視図である。
図5】本実施形態における水車の配設状態を示す正面側要部斜視図(A)と背面側要部斜視図(B)である。
図6】本実施形態における水車の配設状態を示す要部平面図である。
図7】本実施形態におけるドレン水蒸発機構の動作処理内容を示す概略処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明にかかるドレン水蒸発機構100の実施形態について説明する。本実施形態におけるドレン水蒸発機構100は、図1に示すようなポータブルエアコン200の筐体210に内蔵された形態について説明するが、この形態に限定されるものではない。なお、本明細書においては、ポータブルエアコン200の構成のうちドレン水蒸発機構100に直接関連する構成についてのみの説明を行うものとし、ドレン水蒸発機構100に直接関連しないポータブルエアコン200の構成についての説明は省略する。本実施形態におけるドレン水蒸発機構100は、図1図2に示すように筐体210に内蔵された冷凍サイクル機構10、排熱ファン20、ドレン水受部30、ドレン水タンク40、水位センサ50、水車60、水車モータ70、通知手段80および動作制御部90を具備している。
【0023】
本実施形態における冷凍サイクル機構10は、圧縮機11、凝縮器12、図示しない膨張弁、蒸発器14、高温側熱交換器15および低温側熱交換器16を有している。圧縮機11は、冷媒を高温高圧ガスにするためのものである。凝縮器12は、高温側熱交換器15を通過させて高温高圧ガス化された冷媒から熱エネルギを放出させて冷媒を中温高圧の液体にするためのものである。図示しない膨張弁は、中温高圧の液体にされた冷媒を膨張させ冷媒を低温低圧の液体にするためのものである。蒸発器14は、低温低圧に液体化された冷媒を低温側熱交換器16に通過させて室内空気から熱エネルギを吸収させるためのものである。このように冷凍サイクル機構10においては、冷媒を圧縮および膨張させることで気相と液相に状態変化させることにより熱交換が行われる。
【0024】
排熱ファン20は、高温側熱交換器15における冷媒の凝縮熱の放出を促進させるために高温側熱交換器15から生じた熱エネルギを筐体210の外部に排出するためのものである。排熱ファン20の動作は、後述する水位センサ50による検出水位に基づいて動作制御部90によって制御されている。
【0025】
ドレン水受部30は、蒸発器14の下方位置において筐体210の内部における所定部位に固定された状態で配設されている。ドレン水受部30は、蒸発器14における熱交換処理によって生じたドレン水を収容するためのものであって、少なくとも高温側熱交換器15および低温側熱交換器16の下側部分を覆うようにして配設されている。本実施形態におけるドレン水受部30は、筐体210に着脱可能に収容されたドレン水タンク40と図示しない水路によって接続されている。
【0026】
図2図4に示すように、水位センサ50は、ドレン水受部30の深さ方向に沿って所要間隔をあけた複数箇所に配設されている。本実施形態における水位センサ50は、基準センサ51、第1水位センサ52、第2水位センサ54、第3水位センサ56および第4水位センサ58を有している。以下において、基準センサ51、第1水位センサ52、第2水位センサ54、第3水位センサ56および第4水位センサ58をまとめて複数の水位センサ50ということがある。
【0027】
基準センサ51は、ドレン水受部30の所要深さ位置である内底面高さ位置に配設されており、水位センサ50としての検出水位の有効性を担保するためのものである。第1水位センサ52は、基準センサ51と同じ高さ位置(第1高さ位置)であるドレン水受部30の内底面に基準センサ51と隣り合わせた状態で配設されている。第2水位センサ54は、第1水位センサ52の配設高さ位置よりも上側高さ位置(第2高さ位置)に第1水位センサ52と隣り合わせた状態で配設されている。第3水位センサ56は、第2水位センサ54の配設高さ位置よりも上側高さ位置(第3高さ位置)に第2水位センサ54と隣り合わせた状態で配設されている。そして第4水位センサ58は、第3水位センサ56の配設高さ位置よりも上側高さ位置(第4高さ位置)に第3水位センサ56と隣り合わせた状態で配設されている。
【0028】
このように、本実施形態における複数の水位センサ50は、第1水位センサ52から第4水位センサ58が、それぞれドレン水受部30の深さ方向に沿って所要高さ間隔で配設された階段状配列になっている。本実施形態においては、上端面が複数の水位センサ50の配設高さとなるようにドレン水受部30の内底面にセンサ取付台(51A,52A,54A,56A,58A)が立設されている。これらのセンサ取付台(51A,52A,54A,56A,58A)には、基準センサ51、第1水位センサ52~第4水位センサ58がそれぞれねじ留めによって固定されている。このようにして配設された複数の水位センサ50によりドレン水受部30に貯められたドレン水の水位を複数の高さ位置で検出することができる。
【0029】
本実施形態においては、基準センサ51および第1水位センサ52が検出する第1検出水位、第2水位センサ54が検出する第2検出水位、第3水位センサ56が検出する第3検出水位および第4水位センサ58が検出する第4検出水位を検出するが、この検出水位数に限定されるものではない。これらの基準センサ51および第1水位センサ52~第4水位センサ58により検出された第1検出水位~第4検出水位は、第1水位検出信号~第4水位検出信号として動作制御部90に送信される。
【0030】
図5に示すように、ドレン水受部30の貯水部分の所要範囲を隔壁32で区切った内側領域には、ドレン水受部30に貯められたドレン水を高温側熱交換器15に浴びせかけるようにして供給する水車60および水車60を回転させるための水車モータ70が配設されている。隔壁32の上面に閉塞蓋34を配設して、水車モータ70を閉塞空間に収容させることもできる。このようにドレン水受部30の内部に水車モータ70を収容することにより、ドレン水受部30に貯められたドレン水によって水車モータ70を冷却することができる点で好都合である。
【0031】
本実施形態における水車60は円板に形成されており、円板の主面を高温側熱交換器15の主面と平行になるように配設されているので収容スペースをコンパクトにすることができる。なお本明細書は、円板における主たる平面のことを円板の主面と称し、高温側熱交換器15において空気の通過方向における上流側と下流側に対向する面のことを高温側熱交換器15の主面と称している。また、水車60の円板の下端縁高さ位置は、第1水位センサ52の配設高さ位置と同一高さ位置またはわずかに上方高さ位置となるように位置決めされていることが好ましい。これにより、第1水位センサ52による第1検出水位を、水車60のドレン水掻き上げ可能水位に設定することができ、水車モータ70の無駄な動作をなくすことができる。
【0032】
また、水車60の円板の径方向における外周縁側所要範囲には、径方向に延びる凹凸部62が周方向に沿って所要間隔をあけた複数箇所に形成することもできる。また、それぞれの凹凸部62の延長方向における中心線(図示はせず)は、円板の径方向に対して傾斜させた湾曲形状に形成することもできる。このように水車60の周方向に沿って複数の凹凸部62を有することで、ドレン水受部30に貯められたドレン水の水車60による掻き上げ量を増加させることができ、効率的にドレン水を蒸発させることが可能になる点で好都合である。なお、水車モータ70の動作は動作制御部90により制御されている。
【0033】
通知手段80(図2参照)は、ドレン水受部30に貯められたドレン水がドレン水受部30の所定水位に到達したことを使用者に通知するための手段である。通知手段80は、警報ブザーや警報ランプ等に代表される聴覚や視覚等によって使用者が認識可能な通知を発するためのものであり、本実施形態においては警報ブザーが採用されている。通知手段80のオンオフ動作は、動作制御部90により制御されている。
【0034】
本実施形態における動作制御部90は、複数の水位センサ50による検出信号に基づいてドレン水蒸発機構100における排熱ファン20、水車モータ70および通知手段80の動作を行うものである。本実施形態における動作制御部90が実行する動作制御の具体的な内容については、図7に記載した処理フローに基づいて時系列に沿って説明する。
【0035】
使用者がドレン水蒸発機構100を内蔵したポータブルエアコン200のスイッチ(図示はせず)を入れると、ドレン水蒸発機構100が動作開始する。動作制御部90は、ドレン水蒸発機構100の動作開始と同時に排熱ファン20を第1回転速度で回転させる第1処理を実行(S-1)する。第1処理の実行後はドレン水受部30の水位が上昇しているか否かを判断(J-1)し、水位が上昇していない場合(No)には、第1処理を継続する。これとは反対に第1処理の実行後において水位が上昇している場合(Yes)には、基準センサ51および第1水位センサ52と第2水位センサ54がいずれも水位を検出することになる。そして動作制御部90が第1水位検出信号と第2水位検出信号をそれぞれ受信(S-2)すると、動作制御部90は、水車モータ70を作動させる第2処理を実行(S-3)する。このように水車モータ70を作動(回転)させることにより、ドレン水受部30に貯められたドレン水が高温側熱交換器15に浴びせかけることができ、高温側熱交換器15の熱によるドレン水を蒸発させ、ドレン水受部30の水位を低下させることができる。このとき排熱ファン20は、第1回転速度での回転速度を維持している。
【0036】
第2処理が実施された後は、ドレン水受部30の水位が上昇しているか否かを判断(J-2)し、ドレン水が蒸発処理されてドレン水受部30の水位が低下(No)していると、第2水位センサ54による水位検出がなくなり、やがては基準センサ51と第1水位センサ52による第1水位の検出もなくなることになる。すなわち第2処理が実行された後において、第2水位検出信号および第1水位検出信号の受信がなくなる(S-4)と、動作制御部90は水車モータ70の動作を停止させる第3処理を実行(S-5)する。これとは反対に、蒸発器14から生じるドレン水が多い場合には、第2処理が実施された後であってもドレン水受部30の水位が上昇(Yes)し、やがては基準センサ51と、第1水位センサ52、第2水位センサ54および第3水位センサ56がそれぞれ水位を検出する。
【0037】
すなわち、第2処理が実行された後において、動作制御部90が第1位水位検出信号から第3水位検出信号をそれぞれ受信(S-6)すると、動作制御部90は、排熱ファン20の作動を停止または予め設定した第2回転速度で作動させる第4処理を実行(S-7)する。なお、第2回転速度は第1回転速度よりも低い回転数に設定されている。このように高温側熱交換器15の排熱を行う排熱ファン20の回転数を低下させることにより高温側熱交換器15の排熱を滞らせることで、高温側熱交換器15の温度が上昇し、ドレン水の蒸発量を増加させると共に、ドレン水の発生量を削減することができる。
【0038】
第4処理が実行された後においてもドレン水受部30における水位が上昇しているか否かについての判断(J-3)を行う。ドレン水受部30の水位が低下(No)していると、第3水位センサ56による水位検出がなくなり、次いで第2水位センサ54による水位検出もなくなり、やがては基準センサ51、第1水位センサ52のみが水位を検出する状態になる。すなわち、第4処理が実行された後に動作制御部90が第1水位検出信号のみを受信(S-8)すると、動作制御部90は排熱ファン20の回転速度を第1回転速度で回転させる第5処理を実行(S-9)して冷房能力を元に戻している。これとは反対に、第4処理が実行された後において、ドレン水受部30の水位が上昇(Yes)している場合には、第4水位センサ58を含むすべての水位センサ50が水位を検出し、動作制御部90が第1水位検出信号から第4水位検出信号を受信(S-10)する。すると動作制御部90は、通知手段80を作動させて使用者にドレン水受部30の水位異常上昇を通知する第6処理を実行(S-11)する。
【0039】
本実施形態においては、第4水位センサ58の配設高さ位置でドレン水受部30のドレン水がドレン水タンク40に流入するようにドレン水受部30とドレン水タンク40が接続されており、ドレン水受部30のオーバーフローが防止されている。第6処理が実行された後において、ドレン水受部30の水位が上昇しているか否かを判断(J-4)し、ドレン水受部30の水位が低下している場合(No)には、第4水位センサ58による水位検出がなくなり、次いで第3水位センサ56による水位検出もなくなり、やがては基準センサ51および第1水位センサ52と第2水位センサ54のみが水位を検出する状態になる。すなわち、第6処理の実行後に動作制御部90が第1水位検出信号と第2水位検出信号のみを受信(S-12)すると、動作制御部90は通知手段80の動作を停止させる第7処理を実行(S-13)する。そして、ドレン水受部30の水位が上昇している場合には、通知手段80の作動が続き、使用者がエアコンを停止することによりドレン水蒸発機構100の動作が停止する。このように、動作制御部90は、複数の水位センサ50からの水位検出信号に基づいて排熱ファン20、水車モータ70および通知手段80の動作をそれぞれ制御することにより、効率的にドレン水の蒸発処理を行っている。
【0040】
以上に本発明におけるドレン水蒸発機構100の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、各種の改変を行うことが可能である。例えば、本実施形態においては、高温側熱交換器15を冷却する排熱ファン20が配設されているが、排熱ファン20の配設を省略することもできる。また、ドレン水受部30にはドレン水タンク40が接続されているが、ドレン水タンク40の配設は省略することもできる。さらに、ドレン水受部30には複数の水位センサ50が配設され、それぞれの水位センサ50の水位検出信号に基づいて水車モータ70の動作等を制御する動作制御部90が配設されているが、水位センサ50および動作制御部90の配設を省略することもできる。この場合、水車モータ70は、エアコンの運転開始および停止と同期して回転および停止し、水車モータ70の回転数は定常回転になる。
【0041】
また、本実施形態におけるドレン水蒸発機構100においては基準センサ51の平面配設位置が第1水位センサ52の平面配設位置に近接した位置になっているが、基準センサ51は第1水位センサ52の平面配設位置と離れた位置に配設することもできる。このように基準センサ51の平面配設位置を第1水位センサ52の平面配設位置から遠ざけることにより、同じ高さ位置で配設した場合であっても、ドレン水受部30における検出水位精度を高めることができる。また、本実施形態においては、基準センサ51と第1水位センサ52の配設高さ位置を同一高さ位置にした形態について説明しているが、基準センサ51の配設高さ位置よりも高い位置に第1水位センサ52が配設された形態を採用することもできる。
【0042】
また、本実施形態においては、ドレン水受部30に立設したセンサ取付台(51A,52A,54A,56A,58A)に基準センサ51および第1水位センサ52~第4水位センサ58が取り付けられた形態を示しているが、この形態に限定されるものではない。基準センサ51および第1水位センサ52~第4水位センサ58は、ドレン水受部30の側壁面に貼付等により直接取り付けることもできる。
【0043】
また、以上の実施形態においては、円板に形成された水車60が高温側熱交換器15の主面に対して平行になるレイアウトで配設された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。円板に形成された水車60の径方向を高温側熱交換器15の主面に対して直交させたレイアウトで配設した形態を採用することもできる。さらには、筒体に形成された水車60を用い、筒体の高さ方向(筒体の回転軸)を高温側熱交換器15の主面と平行にしたレイアウトで配設した形態を採用することもでき、水車60の具体的な形態は特に限定されるものではない。水車60はドレン水受部30に貯められたドレン水を高温側熱交換器15に浴びせかける構成であればよい。
【0044】
また、以上の実施形態においては、基準センサ51および第1水位センサ52~第4水位センサ58を有する形態について説明したが、第4水位センサ58の配設は省略することもできる。この場合、第4水位センサ58の水位検出に基づく動作制御部90の動作制御部分についても省略することができる。
【0045】
そして、以上の実施形態における各種の変形例を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【0046】
10:冷凍サイクル機構
11:圧縮機,12:凝縮器,14:蒸発器,15:高温側熱交換器,
16:低温側熱交換器
20:排熱ファン
30:ドレン水受部
32:隔壁,34:閉塞蓋
40:ドレン水タンク
50:水位センサ
51:基準センサ,52:第1水位センサ,54:第2水位センサ,
56:第3水位センサ,58:第4水位センサ,
51A,52A,54A,56A,58A:センサ取付台
60:水車
62:凹凸部
70:水車モータ
80:通知手段
90:動作制御部
100:ドレン水蒸発機構
200:ポータブルエアコン
210:筐体
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図7