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特開2023-100193残存歯情報提供装置、残存歯情報提供方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読取可能な記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100193
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】残存歯情報提供装置、残存歯情報提供方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読取可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230710BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000700
(22)【出願日】2022-01-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】300044779
【氏名又は名称】株式会社データ ホライゾン
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝添 健太
(72)【発明者】
【氏名】内海 良夫
(72)【発明者】
【氏名】木場 将平
(72)【発明者】
【氏名】三▲崎▼ 孝一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】患者の残存歯の情報を推計し提供することができる残存歯情報提供装置を提供する。
【解決手段】残存歯情報提供装置100は、レセプトデータベース208から、指定された患者の患者識別子に対応する歯科レセプトのデータを抽出する抽出部302と、抽出部302により抽出された歯科レセプトのデータから歯式コードを取得する取得部304とを含む。歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、状態コードは残存歯に属するコードを含む。残存歯情報提供装置100は、さらに、取得部304により取得された歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する推定部312を含む。推定部312は、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供する。あるいは、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得する取得手段であって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、取得手段と、
前記取得手段により取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する推定手段と、
を備える、残存歯情報提供装置。
【請求項2】
前記推定手段は、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供する、請求項1に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項3】
前記推定手段は、推定された残存歯に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供する、請求項1に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項4】
前記患者の診療年月の入力を受ける入力手段をさらに備え、前記抽出手段は入力された診療年月に対応するレセプトのデータを前記レセプトデータベースから抽出し、
前記推定手段は、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項5】
前記状態コードは優先順位と関連付けられており、前記推定手段は、同じ月に異なるレセプトのデータが抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、優先順位の高い状態コードを前記同じ歯種に関連付ける、請求項4に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項6】
前記推定手段は、前記残存歯数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項2に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記咬合支持数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項3に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項8】
前記推定手段は、前記残存歯数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項2に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項9】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記残存歯数に基づく集計を行う、請求項8に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項10】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項8または9に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項11】
前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項10に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項12】
前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行う、請求項8から11のいずれか一項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項13】
前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項3に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項14】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記咬合支持数に基づく集計を行う、請求項13に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項15】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記咬合支持数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項13または14に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項16】
前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項15に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項17】
前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行う、請求項13から16のいずれか一項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項18】
コンピュータが実施する残存歯情報提供方法であって、
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出するステップと、
前記抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得するステップであって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、ステップと、
前記取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供するステップと、
を含む、残存歯情報提供方法。
【請求項19】
前記提供するステップは、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供する、請求項18に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項20】
前記提供するステップは、推定された残存歯に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供する、請求項18に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項21】
前記患者の診療年月の入力を受けるステップをさらに備え、前記抽出するステップは入力された診療年月に対応するレセプトのデータを前記レセプトデータベースから抽出し、
前記提供するステップは、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行う、請求項18から20のいずれか一項に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項22】
前記状態コードは優先順位と関連付けられており、前記提供するステップは、同じ月に異なるレセプトのデータが抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、前記優先順位の高い状態コードを前記同じ歯種に関連付ける、請求項21に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項23】
前記提供するステップは、前記残存歯数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項19に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項24】
前記提供するステップは、前記咬合支持数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項20に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項25】
前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項19に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項26】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記提供するステップは、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記残存歯数に基づく集計を行う、請求項25に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項27】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項25または26に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項28】
前記コンピュータは、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項27に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項29】
前記コンピュータは、前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報をさらに記憶し、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項25から28のいずれか一項に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項30】
前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項20に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項31】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項30に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項32】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記咬合支持数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項30または31に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項33】
前記コンピュータは、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項32に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項34】
前記コンピュータは、前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報さらに記憶し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、記憶された前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項30から33のいずれか一項に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項35】
コンピュータを、請求項1ないし17のいずれかに記載の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項36】
コンピュータを、請求項1ないし17のいずれかに記載の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残存歯情報提供装置、残存歯情報提供方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読取可能な記憶媒体に関し、より詳細には、レセプトより残存歯数や咬合支持数等の残存歯情報を推計して提供する残存歯情報提供装置、残存歯情報提供方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的に長寿化が進んでおり、人生100年時代の到来が予測されている。平均寿命の延伸に伴い、平均寿命と健康寿命との差が拡大すると、医療費を消費する期間が増大する。このため、健康寿命の延伸により、平均寿命と健康寿命の差を短縮することが課題となっている。
【0003】
健康寿命延伸のための手段の1つとして、歯の健康のサポートがある。例えば、歯周病はがん、脳梗塞、糖尿病、虚血性心疾患等のリスクを高めることが知られている。したがって、歯の健康を管理して健康寿命の延伸に資することが期待されている。
【0004】
歯の健康を管理するために患者に関するデータを使用する方法として、歯科レセプトに記載されている情報から現在歯数および欠損歯数を計算する方法が知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。例えば、非特許文献2では、レセプト情報のうちの歯周病名の歯式から現在歯数を、欠損歯病名の歯式から欠損歯数を算出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】恒石 美登里他「NDBからみる歯科医療・口腔保健ニーズ」、ヘルスサイエンス・ヘルスケア Volume 16,No.1(2016)、医学中央雑誌刊行会
【非特許文献2】恒石 美登里他「レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた高齢者における歯数と誤嚥性肺炎による医科受診との関連」、老年歯科医学、2017年32巻3号p.349-356、日本老年歯科医学会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者の歯には現在歯や欠損歯だけではなく、加療後の歯のような残存歯も含まれる場合がある。しかしながら、従来の現在歯数や欠損歯数を算出する手法は、種々の残存歯の情報が考慮されていないという問題がある。
【0007】
また、従来のレセプト情報を用いた歯の健康管理は、患者の病態の増加といった過去からの情報を把握することができないという問題がある。
【0008】
このため、レセプトから患者のより詳細な歯の状態を把握して、患者の残存歯の情報を推計することが望まれている。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、患者の残存歯の情報を推計し提供することができる残存歯情報提供装置、残存歯情報提供方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得する取得手段であって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、取得手段と、前記取得手段により取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する提供手段と、を備える、残存歯情報提供装置を提供する。
【0011】
ここで、前記推定手段は、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供するものとすることができる。
【0012】
また、前記推定手段は、推定された残存歯に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供するものとすることができる。
【0013】
また、前記患者の診療年月の入力を受ける入力手段をさらに備え、前記抽出手段は入力された診療年月に対応するレセプトのデータを前記レセプトデータベースから抽出し、前記推定手段は、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行うものとすることができる。
【0014】
ここで、前記状態コードは優先順位と関連付けられており、前記推定手段は、同じ月に異なるレセプトのデータが抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、前記優先順位の高い状態コードを前記同じ歯種に関連付けるものとすることができる。
【0015】
また、前記推定手段は、前記残存歯数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させるものとすることができる。
【0016】
また、前記推定手段は、前記咬合支持数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させるものとすることができる。
【0017】
また、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させるものとすることができる。
【0018】
ここで、前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記残存歯数に基づく集計を行うものとすることができる。
【0019】
また、前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行うものとすることができる。
【0020】
ここで、前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行うものとすることができる。
【0021】
また、前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行うものとすることができる。
【0022】
また、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させるものとすることができる。
【0023】
ここで、前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記咬合支持数に基づく集計を行うものとすることができる。
【0024】
また、前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記咬合支持数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行うものとすることができる。
【0025】
ここで、前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行うものとすることができる。
【0026】
また、前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行うものとすることができる。
【0027】
本発明の他の態様によれば、コンピュータが実施する残存歯情報提供方法であって、レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出するステップと、前記抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得するステップであって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、ステップと、前記取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供するステップと、を含む、残存歯情報提供方法を提供する。
【0028】
本発明の他の態様によれば、コンピュータを、上記の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供する。
【0029】
本発明の他の態様によれば、コンピュータを、上記の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出されたレセプトのデータから歯式コードを取得する取得手段であって、歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、状態コードは残存歯に属するコードを含む、取得手段と、取得手段により取得された歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する提供手段と、を備える。このため、これまで残存歯としてカウントすべき加療後の歯の状態まで対象としてレセプトから残存歯数や咬合支持数を推計し提供することが可能となる。
【0031】
さらに、個人別の「歯種別」の状態を「履歴」として管理し、残存歯数や咬合支持数を推計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係る残存歯情報提供装置の機能構成を概略的に示す図である。
図2】残存歯情報提供装置の記憶部に含まれるデータベースの例を示す図である。
図3】残存歯情報提供装置における制御部の機能構成を示す図である。
図4】実施形態に係る残存歯情報提供方法のフローチャートである。
図5】残存歯数の推計方法を説明する図である。
図6】残存歯数の推計方法を説明する図である。
図7】残存歯数の推計方法を説明する図である。
図8】残存歯数の推計方法を説明する図である。
図9】咬合支持数の推計方法を説明する図である。
図10】咬合支持数の推計方法を説明する図である。
図11】残存歯情報提供装置により生成されるリストの例を示す図である。
図12】残存歯情報提供装置により生成されるパーセンタイル曲線の例を示す図である。
図13】残存歯情報提供装置により生成される歯の生涯図の例を示す図である。
図14】残存歯情報提供装置により生成される咬合三角の例を示す図である。
図15】残存歯情報提供装置の記憶部に含まれるデータベースの例を示す図である。
図16】残存歯情報提供装置により生成されるグラフの例を示す図である。
図17】残存歯情報提供装置の記憶部に含まれるデータベースの例を示す図である。
図18】実施形態に係る残存歯情報提供方法のフローチャートである。
図19】残存歯情報提供装置の記憶部に含まれるデータベースの例を示す図である。
図20】(a)は残存歯情報提供装置により生成される表、(b)は残存歯情報提供装置により生成されるグラフを示す図である。
図21】残存歯情報提供装置の記憶部に含まれるデータベースの例を示す図である。
図22】残存歯情報提供装置により生成されるグラフの例を示す図である。
図23】残存歯情報提供装置により生成される表の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態に係る残存歯情報提供装置100の機能構成を概略的に示す図である。残存歯情報提供装置100は、少なくとも、通信部102、記憶部104、入力部106、制御部108、および表示部118が、バス120を介して電気的に接続され、種々の情報を相互に送受信することができるように構成されている。
【0035】
通信部102は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークに接続され、外部のコンピュータと有線または無線により情報の送受信を行うものである。
【0036】
また、通信部102は、印刷装置に接続され、残存歯情報提供装置100により作成されたリスト等の画像データを当該印刷装置に送信し印刷させる機能を有し得る。通信部102は、具体的には所定の通信プロトコルに準拠した通信インタフェース等により構成される。
【0037】
記憶部104は、本実施形態に関わる諸機能を実現するためのコンピュータプログラム、および情報処理に用いられるレセプト等のデータを記憶する。
【0038】
入力部106はユーザにより情報を入力するためのものであり、キーボード、マウス、タッチパネル・ディスプレイ等により構成される。
【0039】
制御部108は、そのハードウェア構成として、本実施形態に係る演算処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)112、CPU112で実行される処理において用いる一時的な記憶域であるRAM(Random Access Memory)114、およびプログラム等のデータが書き込まれ保存されているROM(Read Only Memory)116を含んでいる。
【0040】
表示部118は、残存歯情報提供装置100の制御部108により作成された画面の画像データを生成して表示するものであり、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0041】
次に、図2を参照し、記憶部104に含まれるデータベースについて説明する。
【0042】
記憶部104は、医療機関マスタ202、歯式マスタ204、優先順位マスタ206、レセプトデータベース(DB)208、患者DB210、プログラム記憶部212、データ記憶部214、歯種マスタ216、および状態マスタ218を含んでいる。記憶部104は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、ソリッドステートドライブ、機械式ハードディスク、磁気ディスク、ディスクアレイ等の種々のコンピュータ読取可能な記憶媒体により構成することができる。
【0043】
医療機関マスタ202は、表1に示すように、医療機関番号と医療機関名とを対応付けて記憶する。
【0044】
【表1】
【0045】
歯式マスタ204は、表2に示すように歯式コードと歯式名称とを対応付けて記憶する。
【0046】
【表2】
【0047】
ここで、歯式コードは歯種コードと状態コードとを含む。本実施形態において、歯式コードのうち、左端の1桁目から4桁目までのコードが歯の位置を示す歯種コードである。また、5桁目はある時点での歯の状態を示す状態コードである。
【0048】
歯種コードと歯種名称の対応関係の一覧を表3に示す。この対応関係は、歯種マスタ216に記憶される。
【0049】
【表3】
【0050】
また、状態コードと状態コード名称の対応関係の一覧を表4に示す。この対応関係は、状態マスタ218に記憶される。
【0051】
【表4】
【0052】
優先順位マスタ206は、表5に示すように歯の状態コードとその優先順位とを関連付けたテーブルである。優先順位は、同一の患者が同月に異なる医療機関を受診し、同じ歯
種で異なる状態コードが歯科レセプトに記録されている場合に、個人別に状態コードを上
書きするべきかの判断に用いられる。優先順位の値は、「残存歯数」の定義に応じて、状態コードが0(現存歯)の歯種だけでカウントすべきか、3(支台歯)および5(便宜抜髄支台歯)の歯種等もカウントするか、といったユーザの集計定義に応じて設定される。
【0053】
【表5】
【0054】
レセプトDB208には、歯科レセプトや医科レセプト等の患者のレセプトのデータが記録されている。残存歯情報提供装置100は、後述する残存歯情報を提供する際に、レセプトDB208に含まれた歯科レセプトのデータから、表6に示す歯科レセプトデータベースを生成する。歯科レセプトデータベースは、患者(被保険者)を特定する患者識別子に関連付けて、保険者番号、被保険者番号、患者の診療年月、患者が受診した医療機関の医療機関コード、歯式コードの情報が記憶される。
【0055】
なお、歯科レセプトデータベースは予め生成し記憶部104に格納しておくこととしてもよい。
【0056】
【表6】
【0057】
患者DB210には、表7に示すように、患者識別子に関連付けて、患者氏名、生年月日等の患者個人に関する情報が記憶される。
【0058】
【表7】
【0059】
プログラム記憶部212は、本実施形態に関わる機能を実装するためのプログラムの他、残存歯情報提供装置100を動作させるための種々のプログラムを記憶する。データ記憶部214は、残存歯情報提供装置100が情報処理を行うために使用される種々のデータを記憶する。
【0060】
次に、図3を参照し、残存歯情報提供装置100における制御部108の機能構成について説明する。制御部108が有する諸機能は、記憶部104またはROM116に記憶されているプログラムをCPU112が読み出して実行することにより実装される。制御部108は、抽出部302と、取得部304と、判断部306と、推定部312とを含んでいる。
【0061】
抽出部302は、レセプトDB208から、指定された患者識別子に対応する歯科レセプトのデータを抽出し、抽出されたデータから所望の項目を取り出して歯科レセプトデータベースを生成するように構成される。取得部304は、歯科レセプトデータベースに含まれる歯種コードを取得するように構成される。判断部306は、歯種コードに含まれる状態コードを特定することにより、歯種ごとの歯の状態を判断するように構成される。
【0062】
推定部312は、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供するものである。推定部312は、残存歯数推定部308と、咬合支持数推定部310とを含んでいる。残存歯数推定部308は、歯種ごとの歯の状態に基づいて、患者の残存歯数を計数するように構成される。咬合支持数推定部310は、上顎および下顎の対応する歯種ごとの歯の状態に基づいて、患者の咬合支持数を計数するように構成される。
【0063】
次に、図4のフローチャートを参照し、本実施形態に係る残存歯情報提供装置100により実行される残存歯情報提供方法の手順について説明する。
【0064】
ステップS1において、ユーザにより入力部106を通じて患者の情報が入力される。ここで入力される患者の情報は、患者を特定するための患者氏名または患者識別子と、診療年月の開始月および終了月とを含む。また、患者の情報は、複数名の患者に関する情報を含み得る。
【0065】
ステップS1において氏名が入力された場合、ステップS2において、抽出部302が、患者DB210から、患者氏名の入力によって指定された患者識別子を取り出す。そして、この指定された患者識別子の1つに対応する歯科レセプトのデータをレセプトDB208から抽出する。
【0066】
他方、ステップS1において患者識別子が入力された場合、ステップS2において、抽出部302が、入力された患者識別子の1つに対応する歯科レセプトのデータをレセプトDB208から抽出する。
【0067】
次いで、ステップS3において、取得部304が、抽出部302により抽出された歯科レセプトのデータに含まれる歯式コードを取得する。
【0068】
次いで、ステップS4において、判断部306が、取得部304により取得された歯式コードに含まれる歯種コードおよび状態コードを特定することにより、歯種ごとの歯の状態を判断する。
【0069】
次いで、ステップS5において、残存歯数推定部308が、判断部306により判断された歯の状態に基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを判定し、推定された患者の残存歯数を計数することにより、残存歯数を推計する。
【0070】
次いで、ステップS6において、咬合支持数推定部310が、判断部306により判断された歯の状態に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数することにより、患者の咬合支持数を推計する。
【0071】
1つの患者識別子についてステップS6までの処理が終了すると、推定部312は入力された患者識別子の全てについてステップS6までの処理を行ったかを判定する。そして、入力された患者識別子の全てについて処理を行っていない場合は、次の患者識別子に対し、ステップS2以降の処理を行う(ステップS7のNoルート)。
【0072】
ステップS7において、入力された患者識別子の全てについて、ステップS2からステップS6までの処理を行ったと判定された場合(ステップS7のYesルート)、処理はステップS8に進み、推定された残存歯に関する情報を提供する。例えば、推定部312は、推計された残存歯数および咬合支持数をリスト化し、生成されたリストを表示部118に表示させ得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、ステップS8では、ユーザからの指示に応じて、推計された残存歯数および咬合支持数の値を、歯の生涯図、歯のパーセンタイル曲線、咬合三角等にプロットし、表示部118に表示させることとしてもよい。
【0074】
次に、図5から図8を参照し、残存歯数の推計についてより詳細に説明する。以下の説明では、現存歯および支台歯が残存歯として判断する例を示す。
【0075】
ステップS3において、取得部304は、レセプトDB208から、入力された患者氏名に関連付けられた患者識別子に対応する歯科レセプトのうち、診療年月が指定された開始月と終了月との間にある歯科レセプトのデータを抽出する。図5に示す例では、指定された開始月および終了月は、それぞれ2018年4月および2021年2月である。取得部304は、抽出された歯科レセプトの各々について、医療機関コードおよび歯式コードを取り出す。また、取得部304は、歯式マスタ204を検索し、取り出された歯式コードに対応する歯式名称を取り出す。そして、診療年月日ごとに、医療機関コード、歯式コード、および歯式名称が関連付けられた歯式の表が生成される。図5には、診療年月が2018年4月の医療機関コード9999999991の歯科レセプトについて処理が行われる例を示しており、上記の処理により歯式の表502が生成されている。
【0076】
次いで、残存歯数推定部308は、医療機関マスタ202を参照し、歯科レセプトに含まれる医療機関コードに対応する医療機関名を取り出す。次いで、歯種マスタ216を参照し、取り出された歯種コードに対応する歯種名称を取り出す。次いで、状態マスタ218を参照し、取り出された状態コードに対応する状態コード名称を取り出す。そして、患者識別子ごとに、入力された患者氏名、診療年月、医療機関コード、医療機関名が関連付けられる。また、この表に含まれる診療年月と医療機関コードの組に対して、該当する歯科レセプトから取り出された歯種コードおよび状態コードが関連付けられる。さらに、取り出された歯種コードおよび状態コードに対して歯種名称、状態コード名称がそれぞれ関連付けられる。このようにして、診療年月と医療機関コードの組に対して、歯種コード、歯種名称、状態コード、および状態コード名称が関連付けられた歯の状態の表504が生成される。
【0077】
図5を参照して上述した処理により生成された表504では、現存歯が1本、欠損歯が1本である。したがって、残存歯数は1本と推計される。
【0078】
図6および図7は、残存歯数の推計における後続の処理により生成される表を示す。図6は、2019年4月の医療機関コード9999999992を含む歯科レセプトのデータから生成される歯式の表602を示す。該当する歯科レセプトには、歯式コード101100から101830が記録されている。上述したように、歯式コードの左端から4桁目までが歯種コードであるから、表602には、歯種コード1011から1018が含まれている。このうち、歯種コード1011から1016までのコードに関し、状態コードは現存歯を示す0である。また、歯種コード1017に対応する状態コードは欠損歯を示す2、歯種コード1018に対応する状態コードは支台歯を示す3である。
【0079】
表7は、表602に基づいて生成される歯の状態の表702を示す。表702では、歯種コード1018に対応する右側上顎第3大臼歯の状態コードが現存歯を示す0から支台歯を示す3に変化している。図5の表504、および図7の表702から、現存歯は6本、支台歯は1本、欠損歯は1本と判定される。現存歯と支台歯とが残存歯と判断されることから、残存歯は7本と推計される。
【0080】
図8は、残存歯数の推計における一連の処理の結果を示す。同図に示す例では、図7に示す処理に続き、2020年4月から2021年2月までのレセプトに基づいて残存歯数の推計が行われている。2020年4月の医療機関Cにおける診療の歯科レセプトによれば、右側上顎第2小臼歯の状態コードが0(現存歯)から3(支台歯)に変化しているが、状態コード3は残存歯と判断される。また、右側上顎第3大臼歯は状態コードが3(支台歯)から2(欠損歯)に変化しており、欠損歯と判断される。結果として、欠損歯は2本、残存歯は現存歯5本、および支台歯1本の合計6本と判断される。
【0081】
2020年5月から2020年10月の診療に関する歯科レセプトにおいて、記録されている歯種コードはいずれも現存歯を示しており、残存歯数に変化はない。次いで、2021年2月の診療に関する歯科レセプトにおいて、右側上顎切歯の状態コードが2(現存歯)から3(支台歯)に変化している。但し、支台歯は残存歯として判断されるため、残存歯数に変化はない。結果として、2021年2月の時点において推計される残存歯は6本である。
【0082】
以上のようにして、一人の患者についての残存歯数が推計される。この処理は、患者の人数分、すなわち指定された患者識別子の数分繰り返される。
【0083】
なお、図8に示す表を表示部118に表示させることとしてもよい。このような処理により、ユーザは残存歯の履歴を確認することができる。
【0084】
次に、残存歯数の推計において優先順位マスタ206を用いる処理について説明する。上述したように、残存歯数推定部308は、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行う。ここで、同じ月に異なる歯科レセプトのデータがレセプトDB208から抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、残存歯数推定部308は、優先順位マスタ206の照会を行う。そして、優先順位の高い状態コードを上記の同じ歯種に関連付ける。例えば、ある月の前半の歯科レセプトのデータにおいて、歯種コード1017(右側上顎第2大臼歯)に対応する状態コードが0(現存歯)であり、同じ月の後半の歯科レセプトのデータにおいて、歯種コード1017に対応する状態コードが3(支台歯)であると仮定する。表5に示す例では、状態コード0の優先順位は4であり、状態コード3の優先順位は2であるから、歯種コード1017に関連付けられる状態コードは3に更新される。また、同じ月の後半の歯科レセプトのデータにおいて、歯種コード1017に対応する状態コードが8(部近心隙)であると仮定する。この場合、状態コード8の優先順位は5であるから、状態コードは更新されず、0のままとなる。
【0085】
次に、歯種ごとの歯の状態に基づいて、患者の咬合支持数を推計する方法について説明する。
【0086】
図9および図10は咬合支持数の推計方法を説明する図である。咬合支持数は、実際の咬合状態は考慮せず、上顎と下顎の同名歯を数え、0から14までの15段階で算定する。図9では、上顎の歯と対応する下顎の歯を一対の歯として、両方の歯が残存歯である対は〇で、どちらかが欠損歯である対は咬合の欠損として×で示している。咬合支持数は上あごと下あごの対応する歯の対が残存歯である対の数の合計によって算出される。
【0087】
咬合支持数の計算では、図10に示すように、各歯種の状態を判断し、残存歯である場合は1が、欠損歯である場合は0が設定される。次いで、上顎と下顎の対応する歯種について、両方が1と設定されている対を咬合と判定する。そして、咬合と判定された対の数を計数する。図10に示す例において、咬合と判定された対は〇で、咬合の欠損と判定された対は×で示されている。また、推計される咬合支持数、すなわち○の数の合計は6である。
【0088】
(推計残存歯数および推計咬合支持数の連結)
一実施形態において、ステップS8において、表8に示すように患者氏名ごとに年齢、推計された残存歯数(推計残存歯数)、および推計された咬合支持数(推計咬合支持数)を関連付けた表を生成して表示させることとしてもよい。
【0089】
【表8】
【0090】
図11はステップS8で生成され表示され得るリストの例を示している。同図に示すリスト1100は、残存歯数の推計表1101と、咬合支持数の推計表1102とを含んでいる。また、リスト1100は、患者ごとに推計残存歯数および推計咬合支持数が示されている。残存歯数の推計表1101において、各歯種について残存歯の場合は1,欠損歯の場合は0を示す。また、咬合支持数の推計表1102では、咬合と判断された歯の対は1を、咬合の欠損と判断された対は0を示す。
【0091】
(患者別の情報提供) 次に、ステップS8において個々の患者に関する情報を生成して表示させる画面の例について説明する。
【0092】
(1)パーセンタイル曲線
図12は、ステップS8で生成され表示され得るパーセンタイル曲線の例を示している。パーセンタイル曲線は、ある集団100人の中での位置を表す曲線であり、縦軸は現存歯数を、横軸は年齢をそれぞれ示す。残存歯数推定部308は、図12に示すグラフにおいて、該当する患者の年齢に対応する位置に、推計された残存歯数を現存歯数と見做してプロットすることにより、患者がどの位置に属するか判定することができる。図12に示す例では、点Pは55歳で歯数が20本であり、同年齢の75%に相当すると判断される。
【0093】
(2)歯の生涯図
図13は、ステップS8で表示され得る歯の生涯図の例を示す。歯の生涯図は患者の年齢平均の現存歯数および咬合支持数を集計してグラフ化したものであり、横軸に年齢を、縦軸に現存歯数および咬合支持数をとる。まず、推定部312は、患者DB210の情報に基づいて、患者の生年月日から患者の年齢を特定する。次いで、横軸を年齢、縦軸を残存歯数または咬合支持数として各患者の値をプロットする。ここで、残存歯数を現存歯数と見做してプロットしている。図13に示す例では、患者の残存歯数がQ、咬合支持数がRである。この患者の残存歯数は、平均現存歯数の曲線上の点Q’に相当し、66歳と同等と判断することができる。また、この患者の咬合支持数は、平均咬合支持数の曲線上の点R’に相当し、66歳と同等と判断することができる。このようにして、現存歯数および咬合支持数に関し、同年代の患者と対象者との乖離の度合いを把握することができる。
【0094】
(3)咬合三角 図14は、ステップS8で生成され得る咬合三角の例を示す。咬合三角は、残存歯数を横軸、咬合支持数を縦軸とした散布図である。このグラフに患者の推計値をプロットすることにより、歯数と咬合支持数の相互関係から欠損歯列の悪化の度合いを把握することができる。咬合三角には第1エリアから第3エリアまでのエリアが設けられている。推定部312は、該当するエリアを表6に示すようにリスト化して表示することとしてもよい。さらに、表9に示すように、患者氏名に、推計残存歯数、推計咬合支持数、および咬合三角の該当エリアを関連付けた一覧を表示することとしてもよい。
【0095】
【表9】
【0096】
(4)Eichnerの分類
また、一実施形態において、Eichnerの分類を推定された咬合支持数に基づいて行い、この分類結果を提供することとしてもよい。この分類は左右の大臼歯群、小臼歯群の4つの咬合支持域における咬合支持の有無を基準とした欠損歯列の分類である。推定された咬合支持数は、上下顎の咬合支持を重視しているため欠損歯列の病態把握に適している。
【0097】
パーセンタイル曲線、歯の生涯図、咬合三角およびEichnerの分類等の残存歯情報は、例えば歯科検診の受診を勧奨するための案内に用いることができる。この場合、患者に個人別リスクを示すことで、歯科検診の受診を促すことができる。
【0098】
また、これらの情報を、口腔機能維持が必要な対象者の抽出や、定期的な歯科受診を促す指導材料とすることで、例えば糖尿病等の生活習慣病関連指導に役立てることができる。
【0099】
さらに、介護予防関連事業において、これらの情報を健康教室等の参加勧奨や指導対象者抽出等の際、口腔機能維持が必要な対象者の抽出や、定期的な歯科受診を促す指導材料とすることができる。
【0100】
一実施形態において、各患者がどのエリアに属するかによって患者のスクリーニングを行い、スクリーニングに応じて、歯科検診を促す等の指導を行う患者を特定することができる。
【0101】
(統計情報の提供)
次に、ステップS8において、推定部312が残存歯数または推計咬合支持数に基づく患者の集計を行い、集計の結果を表示させる実施形態について説明する。
【0102】
この場合、図4のステップS1において、ユーザにより入力部106を通じて多数の患者の情報の入力を受ける。例えば、患者の条件として、患者の住所(例えば、全国、特定の都道府県、または特定の市区町村の患者等)、受診した時期(例えば、過去5年等)を指定することができる。
【0103】
また、ステップS8では、推計残存歯数または推計咬合支持数に基づいて患者の統計処理を行う。統計処理において、推計残存歯数または推計咬合支持数に基づいて患者を分類することとしてもよい。
【0104】
ここで、患者の分類は、さらに、レセプトデータを参照して患者の加入する医療保険制度の種類に基づいて分類することを含み得る。例えば、保険者番号の左から2桁は、表10に示すように医療保険制度の区分を示す法別番号となっている。
【0105】
そこで、推定部312は、指定された患者のレセプトデータに含まれている保険者番号の法別番号を参照することにより、患者が加入する医療保険制度の区分にしたがって集計を行うことができる。
【0106】
【表10】
【0107】
例えば、推定部312は、保険者番号の法別番号がない(すなわち、保険者番号が6桁)の場合に国民健康保険制度の加入者と判定し、法別番号が「39」の場合に後期高齢者医療制度の加入者と判定してもよい。
【0108】
なお、患者の区分に基づく集計において、他の区分(例えば、法別番号「01」で示される全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の加入者)の患者の集計を行ってもよい。また、複数の区分をまとめて1つの種類として集計を行ってもよい。
【0109】
患者が加入する医療保険制度の判定は、被保険者マスタを用いて行う。図15は、被保険者マスタを用いた判定処理を行う残存歯情報提供装置100の記憶部104に記憶されるデータベースの例を示す。記憶部104は、図2に示すデータベースに加えて、被保険者マスタ220を記憶している。被保険者マスタ220は、表11に示すように、患者識別子に、保険者番号、被保険者番号、生年月日を関連付けて記憶する。
【0110】
【表11】
【0111】
推定部312は、被保険者マスタ220を参照することにより、加入者の各種情報を判定することができる。
【0112】
次いで、S1で指定された被保険者について、推計残存歯数または推計咬合支持数に基づく集計を行う。以下、この集計に基づいて提供される情報の例を示す。
【0113】
(1)推計残存歯数
例えば、推定部312は、過去5年分の歯科レセプトについて、推計残存歯数が20本未満の患者の人数と20本以上の患者の人数の割合を計算し、以下の表12に示す表を生成して表示させることとしてもよい。
【0114】
【表12】
【0115】
図16は、過去5年分における国民健康保険の加入者の歯科レセプトについて推計残存歯数を計算し、残存歯数ごとに患者の人数を集計した結果表示されるグラフである。同図において、横軸は人数を、縦軸は残存歯数(本数)を示している。
【0116】
なお、後期高齢者医療制度の加入者についても同様に計算し、結果をグラフとして表示させることとしてもよい。さらに、国民健康保険の加入者および後期高齢者医療制度の加入者に対する集計結果を並べて画面上に表示させることとしてもよい。
【0117】
(2)推計残存歯数別有病率
一実施形態において、推計残存歯数または推計咬合支持数に基づく集計処理を、傷病別に行うこととしてもよい。レセプトのうち、医科レセプトのデータは傷病名コードを含む。そこで、推定部312は、残存歯数に基づく集計を行う際に、レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者数の集計を行うことができる。
【0118】
図17は、本実施形態に係る残存歯情報提供装置100の記憶部104に記憶されるデータベースの例を示す。記憶部104は、図15に示すデータベースに加えて、傷病名マスタ222を記憶している。傷病名マスタ222は、表13に示すように、傷病名コードに傷病名の文字列を関連付けて記憶する。
【0119】
【表13】
【0120】
上述したように、レセプトDB208には、歯科レセプトの他に医科レセプトも記録されている。残存歯情報提供装置100は、後述する残存歯情報を提供する際に、レセプトDB208に含まれた医科レセプトのデータから、表14に示す医科レセプトデータベースを生成する。医科レセプトデータベースは、患者識別子に関連付けて、保険者番号、被保険者番号、患者の診療年月、患者が受診した医療機関の医療機関コード、傷病名コードの情報が記憶される。
【0121】
【表14】
【0122】
推定部312は、医科レセプトデータベースおよび傷病名マスタ222の情報を用いて情報を提供する。次に、図18のフローチャートを参照し、本実施形態に係る残存歯情報提供装置100により実行される残存歯情報提供方法の手順について説明する。なお、本実施形態において、図4に示す処理と同様の処理についての詳細な説明は省略する。
【0123】
ステップS1において、ユーザにより入力部106を通じて患者の情報が入力される。患者の条件として、患者の住所(例えば、全国、特定の都道府県、または特定の市区町村の患者等)、受診した時期(例えば、過去5年等)を指定することができる。
【0124】
次いで、ステップS181において、抽出部302が、患者DB210から、患者氏名の入力によって指定された患者識別子を取り出す。そして、この指定された患者識別子の1つに対応する歯科レセプトおよび医科レセプトのデータをレセプトDB208から抽出し、医科レセプトデータベースを生成する。
【0125】
ステップS3からS5までの処理は、図4を参照して説明した処理と同様である。
【0126】
ステップS6において患者の咬合支持数を推計した後、処理はステップS182に進み、推定部312は、さらに、該当する医科レセプトに含まれる傷病名コードを抽出する。次いで、処理はステップS7に進む。
【0127】
ステップS8では、推計残存歯数に基づいて患者のサブグループ化を行う。さらに、サブグループの各々について、傷病名コード毎に患者数の集計を行う。そして、集計された患者数の情報を画面に表示させる。
【0128】
ここで、複数の傷病名をグループ化して患者の集計を行うこととしてもよい。例えば、医科レセプトにがん、心臓病、または脳卒中の傷病名コードが含まれている患者については、生活習慣病の患者としてグループ化し、当該グループ化された患者の集計を行うこととしてもよい。この場合、残存歯情報提供装置100は複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶する。推定部312は、残存歯数に基づく集計を行う際に、傷病グループごとに集計を行う。
【0129】
本実施形態において、記憶部104には、図19に示すように傷病定義マスタ224が記憶される。傷病定義マスタ224は、表15に示すように、傷病名コードに、傷病グループのコード(傷病グループコード)と、傷病グループ名の文字列(例えば、「生活習慣病」)とを関連付けて記憶する。
【0130】
【表15】
【0131】
推定部312は、傷病定義マスタ224を参照し、生活習慣病に該当する傷病名コード(例えば、傷病名コードa、b、c)が医科レセプトデータベースに含まれた患者について集計を行う。このようにして、推計残存歯数に基づくサブグループの各々について、生活習慣病の患者の集計を行うことができる。
【0132】
図20は、後期高齢者医療制度の加入者の5年分の歯科レセプトについて、推計残存歯数が20本未満の患者のサブグループと、20本以上の患者のサブグループにおける有病率の情報の例を示す。ここで、図20(a)は表形式で、図20(b)はグラフ形式で有病率を示している。
【0133】
なお、国民健康保険制度の加入者についても同様に計算して結果を表示させることとしてもよい。さらに、国民健康保険の加入者および後期高齢者医療制度の加入者に対する有病率の集計結果を並べて画面上に表示させることとしてもよい。
【0134】
(3)推計残存歯数別介護度
一実施形態において、残存歯数ごとに患者の数を集計した結果を示す図15のグラフに、介護度の情報を加えることとしてもよい。この場合、残存歯情報提供装置100は、患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶する。推定部312は、残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された介護認定区分ごとに集計を行うことができる。
【0135】
図21は、本実施形態に係る残存歯情報提供装置100の記憶部104に記憶されるデータベースの例を示す。記憶部104は、図19に示すデータベースに加えて、介護認定情報DB226および介護認定区分マスタ228を記憶している。介護認定情報DB226は、表16に示すように、患者識別子に介護認定区分コードを関連付けて記憶する。
【0136】
【表16】
【0137】
また、介護認定区分マスタ228は、表17に示すように介護認定区分コードと介護認定区分名の文字列とを対応付けて記憶する。
【0138】
【表17】
【0139】
このようにテーブルを記憶することにより、推定部312は、介護認定DB226を参照し、推計残存歯数の各々について、介護認定区分ごとの患者の集計を行うことができる。
【0140】
図22は、過去5年分における国民健康保険の加入者の歯科レセプトについて推計残存歯数を計算し、残存歯数ごとに患者の数を集計した結果を示したグラフである。同図に示す例では、横軸に人数を、縦軸に残存歯数(本数)を示している。また、各推計残存歯数について、該当する残存歯数の患者の総数における、各介護認定区分に属する患者の割合を示している。
【0141】
なお、上述した統計情報の提供に関する実施形態では、推計残存歯数に基づいて集計を行った例を説明したが、推計咬合支持数に基づいて集計を行うこととしてもよい。
【0142】
(患者別の医科情報、介護情報、推計残存歯数および推計咬合支持数の連結)
図23は、ステップS8で生成され表示され得るリストの例を示している。同図に示すリスト2300は、図11と同様に、残存歯数の推計表と、咬合支持数の推計表とを含んでいる。また、リスト2300は、患者ごとに推計残存歯数および推計咬合支持数が示されている。加えて、歯科レセプトから取得される歯科医療費の情報が示されている。
【0143】
さらに、リスト2300には患者ごとに医科レセプトから取得した情報の表2302と、介護認定情報DB226から取得した情報の表2304とを含んでいる。
【0144】
表2302において、医科受診の有無の欄には、患者(被保険者)ごとに医科レセプトを検索した結果、医科レセプトが存在する場合に●印が表示される。また、糖尿病、高血圧症等の傷病名の欄には、該当する傷病名コードが医科レセプトに含まれる場合に●印が表示される。また、入院医療費および入院外医療費には、医科レセプトに含まれる入院医療費および入院外医療費の情報が表示される。
【0145】
表2304には、患者(被保険者)ごとに介護認定情報DB226および介護認定区分マスタ228を参照した結果、該当する介護認定区分名が表示される。
【0146】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、他の種々の変形および修正が可能である。また、以上説明した複数の実施形態は、適宜それぞれの形態を二つ以上組み合わせて使用することが可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0147】
100 残存歯情報提供装置
102 通信部
104 記憶部
106 入力部
108 制御部
112 CPU
114 RAM
116 ROM
118 表示部
120 バス
202 医療機関マスタ
204 歯式マスタ
206 優先順位マスタ
208 レセプトDB
210 患者DB
212 プログラム記憶部
214 データ記憶部214
216 歯種マスタ
218 状態マスタ
220 被保険者マスタ
224 傷病定義マスタ
226 介護認定情報DB
228 介護認定区分マスタ
302 抽出部
304 取得部
306 判断部
308 残存歯数推定部
310 咬合支持数推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得する取得手段であって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、取得手段と、
前記取得手段により取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する推定手段と、
を備え
前記推定手段は、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供する、残存歯情報提供装置。
【請求項2】
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得する取得手段であって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、取得手段と、
前記取得手段により取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供する推定手段と、
を備え、
前記推定手段は、推定された残存歯に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供する、残存歯情報提供装置。
【請求項3】
前記患者の診療年月の入力を受ける入力手段をさらに備え、前記抽出手段は入力された診療年月に対応するレセプトのデータを前記レセプトデータベースから抽出し、
前記推定手段は、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行う、請求項1または2に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項4】
前記状態コードは優先順位と関連付けられており、前記推定手段は、同じ月に異なるレセプトのデータが抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、優先順位の高い状態コードを前記同じ歯種に関連付ける、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記残存歯数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項6】
前記推定手段は、前記咬合支持数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記残存歯数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項8】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記残存歯数に基づく集計を行う、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項9】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項またはに記載の残存歯情報提供装置。
【請求項10】
前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項11】
前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行う、請求項から10のいずれか一項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項12】
前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項13】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記推定手段は、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記咬合支持数に基づく集計を行う、請求項1に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項14】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記咬合支持数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項1または1に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項15】
前記残存歯情報提供装置は、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項1に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項16】
前記残存歯情報提供装置は、前記患者識別子と介護認定区分の情報とを対応付けてさらに記憶し、前記推定手段は、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、記憶された前記介護認定区分ごとに集計を行う、請求項1から1のいずれか一項に記載の残存歯情報提供装置。
【請求項17】
コンピュータが実施する残存歯情報提供方法であって、
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出するステップと、
前記抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得するステップであって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、ステップと、
前記取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供するステップと、
を含み、
前記提供するステップは、推定された残存歯を計数し、計数された値を残存歯数として提供する、残存歯情報提供方法。
【請求項18】
コンピュータが実施する残存歯情報提供方法であって、
レセプトデータベースから、指定された患者の患者識別子に対応するレセプトのデータを抽出するステップと、
前記抽出された前記レセプトのデータから歯式コードを取得するステップであって、前記歯式コードは、歯種コードと状態コードとを含み、前記状態コードは残存歯に属するコードを含む、ステップと、
前記取得された前記歯式コードに基づいて、歯種ごとに残存歯であるか否かを推定し、推定された残存歯に関する情報を提供するステップと、
を含み、
前記提供するステップは、推定された残存歯に基づいて、上顎および下顎の対応する歯種の残存歯の対を計数し、計数された値を咬合支持数として提供する、残存歯情報提供方法。
【請求項19】
前記患者の診療年月の入力を受けるステップをさらに備え、前記抽出するステップは入力された診療年月に対応するレセプトのデータを前記レセプトデータベースから抽出し、
前記提供するステップは、歯種ごとに残存歯であるか否かの推定を月毎に行う、請求項17または18に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項20】
前記状態コードは優先順位と関連付けられており、前記提供するステップは、同じ月に異なるレセプトのデータが抽出され、かつ同じ歯種において異なる歯式が存在する場合、前記優先順位の高い状態コードを前記同じ歯種に関連付ける、請求項19に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項21】
前記提供するステップは、前記残存歯数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項1に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項22】
前記提供するステップは、前記咬合支持数をパーセンタイル曲線、歯の生涯図、または咬合三角にプロットして表示させる、請求項18に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項23】
前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項1に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項24】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記提供するステップは、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって前記残存歯数に基づく集計を行う、請求項2に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項25】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記残存歯数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項2または2に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項26】
前記コンピュータは、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項2に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項27】
前記コンピュータは、前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報をさらに記憶し、前記提供するステップは、前記残存歯数に基づく集計を行う際に、記憶された前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項2から2のいずれか一項に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項28】
前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく患者の集計を行い、前記集計の結果を表示させる、請求項18に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項29】
前記レセプトのデータは前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報を有し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項28に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項30】
前記レセプトのデータは傷病名コードを含み、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記レセプトのデータに含まれる傷病名コードを抽出し、前記咬合支持数に応じて患者のサブグループ化を行い、サブグループの各々について、抽出された前記傷病名コードごとに対応する患者の集計を行う、請求項28または29に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項31】
前記コンピュータは、複数の傷病名コードを傷病グループに対応付けてさらに記憶し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、前記傷病グループごとに集計を行う、請求項30に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項32】
前記コンピュータは、前記患者の加入する医療保険制度を識別する情報さらに記憶し、前記提供するステップは、前記咬合支持数に基づく集計を行う際に、記憶された前記医療保険制度を識別する情報にしたがって集計を行う、請求項28から3のいずれか一項に記載の残存歯情報提供方法。
【請求項33】
コンピュータを、請求項1ないし1のいずれかに記載の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項34】
コンピュータを、請求項1ないし1のいずれかに記載の残存歯情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。