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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100199
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】発熱機能付き衣類
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
A41D13/005 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000708
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】591160811
【氏名又は名称】山喜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】山内 知子
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 和良
(72)【発明者】
【氏名】土岐 保
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
(57)【要約】
【課題】より適切に使用者の体を温めることが可能な発熱機能付き衣類を提供する。
【解決手段】衣類本体2と発熱体を有する発熱機能付き衣類1において、衣類本体2に対する発熱体の配置位置を変更する位置変更手段50,60を備えたものとし、発熱体を複数の配置位置から選択される一の配置位置に配した状態で着用可能なものとする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類本体と発熱体を有し、
前記衣類本体に対する前記発熱体の配置位置を変更する位置変更手段を備え、
前記発熱体を複数の配置位置から選択される一の配置位置に配した状態で着用可能であることを特徴とする発熱機能付き衣類。
【請求項2】
前記衣類本体は、上半身に着用する衣類であり、
前記配置位置は、前記衣類本体の内側であり、且つ、着用時に使用者の後側の位置となることを特徴とする請求項1に記載の発熱機能付き衣類。
【請求項3】
前記位置変更手段は、互いに係合する本体側係合部と発熱体側係合部を有し、
前記本体側係合部と前記発熱体側係合部とが係合することで、前記発熱体が所定の配置位置に配されることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱機能付き衣類。
【請求項4】
内部に前記発熱体を収容する収容部材を有し、前記収容部材の外側に前記発熱体側係合部が設けられており、
前記本体側係合部と前記発熱体側係合部の係合が解除されることで、前記収容部材が前記衣類本体から分離することを特徴とする請求項3に記載の発熱機能付き衣類。
【請求項5】
前記衣類本体は、上半身に着用する衣類であり、
延設体を有し、
前記延設体は、前記衣類本体の内側部分に片持ち状に取り付けられ、上下方向に延びる部分であり、
前記延設体の長手方向の位置が異なる各部に前記本体側係合部が配されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の発熱機能付き衣類。
【請求項6】
前記延設体は、第一延設体係合部を有し、
前記延設体の長手方向の位置が異なる各部に前記第一延設体係合部が配され、
前記衣類本体の裏地部分には、前記第一延設体係合部と係合する第二延設体係合部が設けられており、
前記第一延設体係合部の一部と前記第二延設体係合部が係合することで、前記延設体が上下で離れたそれぞれの位置で前記衣類本体と連結されることを特徴とする請求項5に記載の発熱機能付き衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体を有する発熱機能付き衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品工場等で行われる冷凍庫内での作業のように、作業者が快適と感じる気温をはるかに下回る環境で長時間の作業に従事する場合がある。このような場合に、作業者が着用する衣類として、例えば、特許文献1に開示された暖房用衣類がある。
【0003】
特許文献1の暖房用衣類は、衣類本体であるガウンに電気ヒータを取り付けて形成されたものであり、ガウンの腰と背中の大部分に亘って、可撓性を有するフィルム状の自己温度制御型電気ヒータが配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3008373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示された暖房用衣類では、使用者の腰と背中の大部分と隣接する位置でヒータが発熱する。このため、使用者によっては、体の不必要な部分まで温まってしまい、着用時に不快感を覚えてしまうという問題があった。
すなわち、暖房用衣類は、様々な人が着用するものであり、体のうちで重点的に温めたい部分や温めたくない部分が使用者によって異なる。このため、人によっては、体の温めたくない部分が温まってしまうため、不快に感じてしまうことがあった。
すなわち、従来の暖房用衣類は、それぞれの使用者に合わせて体の適切な位置を温めるという点において、改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、より適切に使用者の体を温めることが可能な発熱機能付き衣類を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、衣類本体と発熱体を有し、前記衣類本体に対する前記発熱体の配置位置を変更する位置変更手段を備え、前記発熱体を複数の配置位置から選択される一の配置位置に配した状態で着用可能であることを特徴とする発熱機能付き衣類である。
【0008】
本様相の発熱機能付き衣服は、それぞれの使用者が自分にとって好ましい位置に発熱体を配して着用できるので、それぞれの使用者がより適切に体を温めることができる。
【0009】
上記した様相は、前記衣類本体は、上半身に着用する衣類であり、前記配置位置は、前記衣類本体の内側であり、且つ、着用時に使用者の後側の位置となることが好ましい。
【0010】
係る様相によると、使用者が冷えを感じにくい衣類を提供できる。
【0011】
上記した様相は、前記位置変更手段は、互いに係合する本体側係合部と発熱体側係合部を有し、前記本体側係合部と前記発熱体側係合部とが係合することで、前記発熱体が所定の配置位置に配されることが好ましい。
【0012】
係る様相によると、簡単な操作で配置位置の変更が可能となる。
【0013】
上記した好ましい様相は、内部に前記発熱体を収容する収容部材を有し、前記収容部材の外側に前記発熱体側係合部が設けられており、前記本体側係合部と前記発熱体側係合部の係合が解除されることで、前記収容部材が前記衣類本体から分離することがより好ましい。
【0014】
係る様相によると、採用した発熱体の形によらず、簡単な操作で配置位置の変更が可能となる。また、発熱体が使用者の体に直接接触することを防止し、使用者の体が温まりすぎることを防止できるので、使用者の体を適切に温めることができる。
【0015】
上記した好ましい様相は、前記衣類本体は、上半身に着用する衣類であり、延設体を有し、前記延設体は、前記衣類本体の内側部分に片持ち状に取り付けられ、上下方向に延びる部分であり、前記延設体の長手方向の位置が異なる各部に前記本体側係合部が配されていることがより好ましい。
【0016】
係る様相によると、衣類本体の内側部分の外観を美しくすることができる。
【0017】
上記したより好ましい様相は、前記延設体は、第一延設体係合部を有し、前記延設体の長手方向の位置が異なる各部に前記第一延設体係合部が配され、前記衣類本体の裏地部分には、前記第一延設体係合部と係合する第二延設体係合部が設けられており、前記第一延設体係合部の一部と前記第二延設体係合部が係合することで、前記延設体が上下で離れたそれぞれの位置で前記衣類本体と連結されることがさらに好ましい。
【0018】
係る様相によると、発熱体の配置位置を変更する作業がやり易く、且つ、使用時の延設体の意図しない位置ずれを防止できる。また、猫背の使用者が衣類本体を着用する場合や、使用者が自身にとって適切なサイズよりも大きなサイズの衣類本体を着用した場合であっても、適切に体を温めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、より適切に使用者の体を温めることが可能な発熱機能付き衣類を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る上着を人が着用した状態を示す説明図であり、(a)は、前側からみた様子を示し、(b)は、後側からみた様子を示す。
図2図1の上着を示す斜視図であり、前側部分のファスナーを開けた状態を示す。
図3図1の上着を示す斜視図であり、各部を図2とは異なる姿勢とした図であって、(a)は、帯状部が下方側に延びた状態を示し、(b)は、(a)の帯状部の下側部分を上方に捲り上げた状態を示す。
図4図2の上着を示す正面図であり、2つの前身頃部をより開いた状態を示す図であって、(a)は、帯状部が下方側に延びた状態を示し、(b)は、(a)の帯状部の下側部分を上方に捲り上げた状態を示す。
図5図4の内ポケット部を示す説明図であって、内ポケット部の内部を透過して示す。
図6図3(b)の袋状部の周辺を拡大して示す斜視図である。
図7図4とは異なる配置位置に袋状部を取り付ける様子を示す正面図であり、(a)は、帯状部が上方に捲り上げられた状態を示し、(b)は、帯状部が下方側に延びた状態を示す。
図8図4図7とは異なる配置位置に袋状部を取り付ける様子を示す正面図であり、(a)は、帯状部が上方に捲り上げられた状態を示し、(b)は、帯状部が下方側に延びた状態を示す。
図9図2の上着を人が着用するときに、自身にとって適正なサイズよりも大きなサイズを着用する際の様子を示す図であり、左図は、帯側係合部材の本体側係合部材との係合位置を黒塗りで示す説明図であり、右図は、帯側係合部材の左図で示す位置と本体側係合部材を係合させた上着を人が着用した状態を示す概念図であり、(a)と(b)は、それぞれ異なる位置で帯側係止部材を本体側係合部材と係合させた状態を示す。
図10】(a)は、上記した実施形態とは異なる実施形態に係る上着を示す正面図であり、(b)は、(a)の主要部分を示す説明図である。
図11】(a)は、上記した各実施形態とは異なる実施形態に係る上着を示す正面図であり、(b)は、(a)の主要部分を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る上着1(発熱機能付き衣類)について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、上下方向、前後方向、左右方向については、特に断りのない限り、図1の状態を基準として説明する。
【0022】
上着1は、図1乃至図3で示されるように、上着本体2(衣類本体)と、帯状部3(延設体、図2図3参照)と、袋状部4(収容部材、図3(b)参照)と、袋状部4の内部に収容されたヒータ(発熱体、図視しない)を有している。
【0023】
上着本体2は、図1で示されるように、人が上半身に着用する衣服であり、本実施形態では所謂ジップパーカーを採用している。すなわち、本実施形態の上着本体2は、図1図2で示されるように、前側中央に位置するファスナーを操作することで、前開きが可能なように胴回り部分が形成されている。
この上着本体2は、図1図2で示されるように、大別して前身頃部10と、後身頃部11と、袖部12と、フード部13を有する。各部は、着用時に外側部分を形成する表地部分と、着用時に使用者の体側に面する裏地部分を縫い合わせて形成されている。このため、各部の表地部分と裏地部分の間には空間が形成される。
【0024】
本実施形態の上着本体2には、図1で示されるように、片側(左側)の前身頃部10の表側にスイッチ部材20(詳しくは、後述する)が取り付けられている。また、図3図4等で示されるように、表側(外側)にスイッチ部材20が取り付けられた前身頃部10の裏側に、内ポケット部21が設けられている。
さらに、後身頃部11の裏側には、図3(b)、図4(b)等で示されるように、2つの配線引出孔25と、本体側帯係合部26(第二延設体係合部)が設けられている。
【0025】
内ポケット部21は、図4図5で示されるように、上側部分に開口を有し、内部に物を収容可能なように袋状に形成された部分である。また、本実施形態の内ポケット部21は、開口部分にファスナー(留め具であり、開閉手段)が設けられており、開口部分を開状態で維持させることと、閉状態で維持させることが可能となっている。
また、内ポケット部21の内部には、図5で示されるように、内壁部分に貫通孔30が設けられている。この貫通孔30は、内ポケット部21の内部空間と、上着本体2の表地部分と裏地部分の間に形成される空間とを連通する孔である。なお、本実施形態では、この貫通孔30が形成されている部分及びその周辺に、補強部材31が添え当てられている。補強部材31は、弾性を有するゴム製の丸板状部材にスリットを設けて形成された部材であり、内ポケット部21の内壁部分を形成する生地に縫い付けることで、内ポケット部21の内壁部分に取り付けられている。そして、この補強部材31のスリットと、上記した内壁部分の貫通孔30とが重なって一連の孔を形成している。
【0026】
ここで、本実施形態の上着1は、先端側に接続端子35が取り付けられた配線部材36を有しており、配線部材36の先端側部分が貫通孔30から内ポケット部21の内部空間に向かって引き出された状態となっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態の接続端子35は、USB(Universal Serial Bus)規格に基づくコネクタであり、USBオスコネクタである。
【0027】
このため、配線部材36は、先端側部分をモバイルバッテリー(外部電源部材、図示しない)に接続することができる。詳細には、モバイルバッテリーを内ポケット部21の内部に収容した状態とし、内ポケット部21の内部で配線部材36の先端側部分(接続端子35)とモバイルバッテリーを接続できる。なお、このとき、内ポケット部21の開口は、開状態としてもよく、閉状態としてもよい。
【0028】
ここで、配線部材36は、スイッチ部材20(図1(a)等参照)まで延びている。さらに、スイッチ部材20とヒータ(図示しない)もまた、図示しない配線部材によって電気的に接続されている。したがって、配線部材36の先端側部分にモバイルバッテリーを接続すると、モバイルバッテリーと、スイッチ部材20と、ヒータ(図示しない)は、配線部材(導線)によって電気的に接続された状態となる。このとき、これらを電気的に接続する配線部材は、大部分が上着本体2の表地部分と裏地部分の間に形成される空間に配された状態となる。
【0029】
またこのとき、モバイルバッテリーは、ヒータに電気を給電する給電部材として機能する。そして、スイッチ部材20は、使用者がヒータ(図示しない)を操作するための操作手段として機能する。すなわち、使用者がスイッチ部材20の釦部分を手動で押圧することで、ヒータが発熱動作を開始し、もう一度押圧することで発熱動作が停止される。
【0030】
配線引出孔25は、図4(b)、図6等で示されるように、後身頃部11の裏地に形成された貫通孔であり、上着本体2の表地部分と裏地部分の間に形成される空間と外部を連通する。なお、本実施形態の配線引出孔25は、縦長のスリット状の孔としている。この配線引出孔25は、袋状部4に収容されたヒータに連なる配線部材が引き出される孔であり、左右で離れた位置に一つずつ形成されている。
【0031】
本体側帯係合部26は、図3(b)、図4(b)等で示されるように、2つで一対の本体側係合部材40によって構成されており、それぞれの本体側係合部材40が左右方向で離れた位置に形成されている。
本実施形態の本体側係合部材40は、概形が略正方形となるシート状に形成された面ファスナーであり、後身頃部11の裏地に縫い付けられることで、後身頃部11に一体に取り付けられている。なお、特に限定されるものではないが、図4(b)で示されるように、本実施形態では、一方の配線引出孔25の下方側に一方の本体側係合部材40が位置し、もう一方の配線引出孔25の下方側に他方の本体側係合部材40が位置している。
【0032】
帯状部3は、図3図4で示されるように、概形が略長方形状となる薄いシート状の部分であり、詳細には、上側の2つの角部分を切り落としたような略長方形状の部分である。本実施形態の帯状部3は、上着本体2の裏地部分と同じ生地で形成されている。
【0033】
この帯状部3は、上側の一部が上着本体2に縫い付けられることで、上着本体2に片持ち状に取り付けられている。したがって、図4(a)で示されるように、帯状部3の長手方向の一端側に位置する部分(図4(a)の太線で示す部分)が、上着本体2との境界に位置する部分となる。
詳細には、正面視で上辺となる上辺部3aが、フード部13と後身頃部11の境界と連続する部分となる。また、同正面視で、上辺部3aと連続して斜めに延びる傾斜辺部3bが、後身頃部11と袖部12の境界と連続する部分となる。なお、この傾斜辺部3bは、上着1の通常使用時に、正面視において、左右方向の外側に向かうにつれて下側に延びる部分となる。
【0034】
本実施形態の帯状部3は、図4(a)で示されるように、通常使用時において、後身頃部11の上端側部分から下側部分よりもやや上側(裾よりもやや上側)に位置する部分までを覆うように延びた状態となる。すなわち、通常使用時において、使用者の首の付け根部分と向き合う位置から、腰のやや上側と向き合う位置までの間で延びた状態となる。
【0035】
ここで、帯状部3は、図3図4等で示されるように、第一主面部45と第二主面部46を有する。第一主面部45と第二主面部46は、帯状部3の厚さ方向の両側にそれぞれ位置する部分である。第一主面部45は、上着1の通常使用時に着用者側を向く面を形成する部分であり、第二主面部46は、上着1の通常使用時に後身頃部11の裏地部分と向き合う面を形成する部分である。
【0036】
帯状部3の第二主面部46側には、図3(b)、図4(b)等で示されるように、帯側係合部50(位置変更手段、本体側係合部、第一延設体係合部)が設けられている。
帯側係合部50は、2つで一対の帯側係合部材51によって構成されており、それぞれの帯側係合部材51が左右方向で離れた位置に形成され、互いに平行となるように延びている。つまり、帯側係合部50は、それぞれが上下方向に細長く延びた2条の帯側係合部材51によって構成されている。2つの帯側係合部材51は、通常使用時において、帯状部3の上端近傍から下端よりもやや上方に離れた位置までの間で延びた状態となる。言い換えると、帯状部3の長手方向における片側端部近傍から、他方端部よりもやや長手方向の中心側に離れた位置まで延びており、帯状部3の長手方向における大部分に亘って延びている。
【0037】
本実施形態の帯側係合部材51は、面ファスナーであり、上記した本体側係合部材40と係合可能である。詳細には、帯側係合部材51は、本体側係合部材40よりも上下方向が長く、本体側係合部材40と幅方向の長さ(左右方向の長さ)が同一又は略同一となっている。
したがって、帯側係合部材51と本体側係合部材40を係合させるとき、帯側係合部材51の長手方向(延設方向)で連続するいずれかの一部分と、本体側係合部材40とを係合させることとなる。詳細には、2つの帯側係合部材51の一方の一部分と、2つの本体側係合部材40の一方を係合させ、帯側係合部材51の他方の一部分と、本体側係合部材40の他方を係合させることで、帯側係合部50と本体側帯係合部26が係合する。このことにより、帯状部3の自由端側の一部が上着本体2に係止された状態となる。詳細には、帯状部3の自由端側の一部が後身頃部11の内側部分であり、裏地側部分に係止された状態となる。
【0038】
袋状部4は、図4図6で示されるように、2つの略長方形状の布状(シート状)部材を重ね合わせた状態とし、周縁部分を縫い合わせて形成している。このため、袋状部4には、内部にヒータ等の部材を収容可能な収容空間が形成される。
この収容空間は、具体的には、袋状部4の三方(図6では左右それぞれと下方)と、残り一方(図6では上方)の一部分を閉塞して形成される空間である。この袋状部4は、縁部分の一方(図6では上方)にケーブル挿通孔55を有しており、このケーブル挿通孔55を介して収容空間と外部が連通している。
【0039】
より詳細には、本実施形態の袋状部4には、2つのケーブル挿通孔55が形成されている。2つのケーブル挿通孔55は、ケーブル挿通孔55の開口を上側に向けた姿勢としたとき、左右方向で離れたそれぞれの位置に一つずつ配される。2つのケーブル挿通孔55の間の部分では、2つの布状部材が縫い合わされて閉塞されている。
【0040】
ここで、袋状部4には、図6等で示されるように、上記した2つの配線引出孔25からそれぞれ引き出された配線部材が、2つのケーブル挿通孔55のそれぞれから内部に引き込まれている。そして、2つのケーブル挿通孔55のそれぞれから引き込まれた配線部材が、袋状部4の内部(収容空間内)でヒータ(図視しない)と接続されている。
【0041】
袋状部4は、図6で示されるように、外部に露出する2つの外側面を有する。すなわち、通常使用時に使用者側を向く第一外側面部58と、通常使用時に後身頃部11側を向く第二外側面部を有している。この第一外側面部58と第二外側面部は、収容空間を挟んで逆側に位置する面をそれぞれ形成する。そして、一方の外側面である第一外側面部58には、袋側係合部60(位置変更手段、発熱体側係合部)が設けられている。
【0042】
袋側係合部60は、2つで一対の袋側係合部材61によって構成されている。2つの袋側係合部材61は、袋状部4を2つのケーブル挿通孔55の開口が上側を向く姿勢(以下、通常姿勢とも称す)としたとき、左右方向で離れた位置にそれぞれ形成され、互いに平行に延びた状態となる。詳細には、袋状部4を通常姿勢としたとき、2つの袋側係合部材61は、袋状部4の上端から下端までの間で延びている。
【0043】
本実施形態の袋側係合部材61は、面ファスナーであり、上記した帯側係合部材51(図4(b)等参照)と係合可能である。
詳細には、袋側係合部材61は、帯側係合部材51よりも長手方向の長さが短く、帯側係合部材51と幅方向の長さ(左右方向の長さ)が同一又は略同一となっている。そして、袋側係合部材61と帯側係合部材51を係合させる際には、2つの袋側係合部材61をそれぞれ別の帯側係合部材51と係合させる。
【0044】
詳細には、袋側係合部材61と帯側係合部材51を係合させる際、袋側係合部材61は、帯側係合部材51の長手方向(延設方向)で連続するいずれかの一部分と係合させる。すなわち、一方の袋側係合部材61と一方の帯側係合部材51の一部分を係合させ、他方の袋側係合部材61と他方の帯側係合部材51の一部分を係合させることで、袋側係合部60と帯側係合部50が係合した状態となる。このことにより、帯状部3に袋状部4が取り付けられた状態となる。すなわち、袋状部4が帯状部3を介して上着本体2に取り付けられた状態となる。対して、袋側係合部60と帯側係合部50の係合を解除すると、袋状部4が帯状部3及び上着本体2から分離した状態となる。
【0045】
なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、袋状部4に収容するヒータ(図示しない)として、コードヒータのような線状に延びるヒータを採用している。すなわち、袋状部4に収容するヒータは、発熱線と、発熱線を被覆する絶縁体を有するヒータとしてもよい。また、これに限らず、可撓性を有するシート状のヒータとすることや、パネル状のヒータとすることも考えられる。本実施形態によると、様々な形のヒータを採用できる。また、特に限定されるものではないが、本実施形態では、袋状部4の収容空間に、ヒータと共にサーモスタットを収容している。すなわち、本実施形態の上着1は、ヒータが稼働時に規定温度以上となったとき、自動でヒータの稼働(発熱動作)を停止する安全装置を有している。
【0046】
ここで、本実施形態の上着1は、図7図8等で示されるように、ヒータが収容された袋状部4の帯状部3への取り付け位置を変更することで、ヒータの配置位置を変更可能となっている。このことにつき、以下で詳細に説明する。
【0047】
本実施形態の上着1は、袋状部4を帯状部3に取り付けた状態とし、且つ、帯状部3の自由端側の一部を後身頃部11の一部に係止した状態として使用する。
ここで、上記したように、帯側係合部材51は、帯状部3の長手方向における片側端部近傍から、他方端部よりもやや片側端部側に離れた位置までの間で延びている。そして、この帯側係合部材51は、袋側係合部材61よりも長手方向の長さが長い。
【0048】
このため、2つの帯側係合部材51に2つの袋側係合部材61を係合させ、帯側係合部50と袋側係合部60を係合させるとき、帯側係合部材51の一部と袋側係合部材61を係合させることとなる。詳細には、帯側係合部材51のうち、長手方向における位置が異なる各部のいずれかと、袋側係合部材61を係合させる。
【0049】
例えば、図7で示されるように、帯側係合部材51のうち、通常使用時に上側に位置する部分と袋側係合部材61を係合させることで、袋状部4が通常使用時に上側となる位置に取り付けられる。
対して、図8で示されるように、帯側係合部材51のうち、通常使用時に下側に位置する部分と袋側係合部材61を係合させることで、袋状部4が通常使用時に下側となる位置に取り付けられる。
【0050】
つまり、袋状部4は、帯状部3の第二主面部46のうち、帯状部3の長手方向の位置が異なる複数個所のいずれかを取り付け位置(配置位置)とすることができる。言い換えると、袋状部4は、帯状部3の長手方向で連続する領域から選択される一部分を取り付け位置とすることができる。そして、上記したように、袋状部4の内部にはヒータが収容されているので、袋状部4の取り付け位置(配置位置)を変更すると、ヒータの配置位置が変更される。以上のことから、本実施形態の上着1は、ヒータの配置位置を複数個所から選択される一つの位置とすることが可能であり、ヒータを選択した配置位置に配して使用可能となっている。
付言しておくと、袋状部4(ヒータ)の配置位置は、当然のことながら、適宜変更することが可能であり、上記した位置の他、例えば、図7で示される位置よりもやや下側の位置としてもよい。同様に、図7で示される位置と図8で示される位置の間となる位置でもよく、図8で示される位置よりもやや上側の位置でもよい。
【0051】
このように、本実施形態の上着1は、ヒータの配置位置を使用者の首の付け根の後側となる位置、背中の各部の後側となる位置、腰の後側となる位置等、使用者の後側の様々な位置とすることができる。したがって、上着1は、使用者が温めたい場所をしっかりと温め、且つ、あまり温めたくない場所を温めずに使用できる。
【0052】
本実施形態の上着1では、帯側係合部材51のうち、袋側係合部材61と係合させない部分の一部が、本体側係合部材40と係合する部分となる。すなわち、帯側係合部50は、袋状部4(ヒータ)を取り付けるための係合部でもあり、帯状部3の自由端側の一部を上着本体2に取り付ける(係止する)ための係合部でもある。
【0053】
そして、図8(a)で示されるように、帯側係合部50と本体側帯係合部26を係合解除すると、片持ち状に取り付けられた帯状部3の自由端側を捲り上げることが可能となる。このことから、本実施形態の上着1は、袋状部4の配置位置を変更する作業がやり易いものとなる。すなわち、袋状部4の配置位置を変更する際、帯側係合部材51と袋側係合部材61の係合を解除し(帯側係合部50と袋側係合部60を係合解除し)、袋状部4を上着本体2及び帯状部3から一時的に分離する。その後、帯側係合部材51の別の部分と袋側係合部材61を係合させ、帯状部3の別の位置に袋状部4を取り付けることとなる。本実施形態のように、帯状部3を捲り上げることが可能であると、帯状部3から袋状部4を取り外す作業を行うとき、袋状部4が目視し易く、また、袋状部4の周囲に広くスペースを確保した状態で作業できるので、作業がやり易い。
【0054】
また、使用時には、帯側係合部50と本体側帯係合部26を係合することで、帯状部3が長手方向で離れた2か所で上着本体2と連結された状態となる。このことにより、使用時における帯状部3の意図しない位置ずれ等を防止できる。
また、本実施形態の上着1は、図8(b)等で示されるように、通常使用時に帯状部3が配線引出孔25、配線部材、袋状部4、本体側係合部材40等を前側から覆った状態とすることができる。このため、これらが目立たず、上着1の内部を自然な外観とすることができる。
【0055】
ここで、帯側係合部50と本体側帯係合部26を係合させる際においても、図9で示されるように、帯側係合部材51のうち、長手方向における位置が異なる各部のいずれかの部分と、本体側係合部材40を係合させることができる。
【0056】
具体的には、本実施形態の上着1を通常使用するとき、図9(a)で示されるように、帯側係合部材51のうちで帯状部3の自由端近傍に位置する部分(図9(a)の左図において黒塗りで示す部分)と本体側係合部材40を係合させることを想定している。
ここで、図9(a)の右図で示すように、体の小さい人が上着1を着用する場合について考える。この場合、図9(a)の右図で示すように、着用者にとって上着1が適正なサイズではない(大きすぎる)ため、服が浮いてしまう状態、すなわち、人と服(帯状部3)の間に大きな隙間が形成される状態となってしまう。この場合、人の体と袋状部4(ヒータ)とが離れすぎてしまうので、人の体を十分に温めることができない。
【0057】
このような場合、本実施形態の上着1では、図9(b)で示されるように、帯側係合部材51のうち、通常使用時とは異なる一部分(図9(b)の左図において黒塗りで示す部分)と本体側係合部材40を係合させることができる。
すなわち、帯側係合部材51のうち、より帯状部3の固定端側となる部分と本体側係合部材40を係合させることができる。このように係合させることで、帯状部3の固定端側の部分が張った状態となる。詳細には、帯状部3のうち、上端の上着本体2と連結している部分から、下側で上着本体2と連結している部分(帯側係合部材51と本体側係合部材40が係合している部分)までの間が張った状態となる。このことにより、あたかも後身頃部11の裾側部分が上側に引き上げられたような状態となり、体の小さな人や猫背の人が着用したときの服の浮きを少なくし、袋状部4(ヒータ)をより人に近い位置に配することが可能となる。
【0058】
以上のように、本実施形態の上着1によると、帯状部3と上着本体2の係合位置を適宜変更することで、体の小さい人や猫背の人が着用する場合でも、袋状部4(ヒータ)を人に近い位置に配することが可能となる。すなわち、より適切に着用者を温めることが可能となる。
【0059】
上記した実施形態では、帯状部3に対して袋状部4を介してヒータを取り付けたが、本発明はこれに限るものでない。パネル状のヒータに面ファスナー等の係合部を設け、ヒータを帯状部3に取り付けることも考えられる。すなわち、発熱体側係合部は、袋状部4ではなくヒータ(発熱体を有する部材)に設けることが考えられる。
上記した実施形態では、帯状部3に対して袋状部4を取り付けたが、本発明はこれに限るものではない。帯状部3を設けず、後身頃部11に面ファスナー等の係合部を設け、袋状部4を介して又は上記のように直接ヒータを取り付けることも考えられる。すなわち、本体側係合部は、帯状部3ではなく後身頃部11に設けることが考えられる。
【0060】
上記した実施形態では、帯状部3と袋状部4を係合する係合部として、帯側係合部50と袋側係合部60を設け、それぞれの係合部材(帯側係合部材51、袋側係合部材61)に面ファスナーを採用した。また、帯状部3と上着本体2を係合する係合部として、帯側係合部50と本体側帯係合部26を設け、それぞれ係合部材(帯側係合部材51、本体側係合部材40)に面ファスナーを採用した。
すなわち、帯状部3に設けた帯側係合部50が、帯状部3に袋状部4を取り付けるための係合部と、帯状部3の一部を上着本体2と連結させるための係合部を兼ねるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。帯状部3に設ける袋状部4を取り付けるための係合部と、帯状部3の一部を上着本体2と連結させるための係合部は、それぞれ別に設けてもよい。
【0061】
また、それぞれの係合部における係合部材は、面ファスナーに限らず、例えば、スナップボタンのようなボタンであってもよい。例えば、対となる帯側係合部と袋側係合部や、帯側係合部と本体側帯係合部の一方をスナップボタンのオスを列状に配して構成し、他方をスナップボタンのメスを列状に配して構成するといったことも考えられる。またスナップボタンのオスメスに替わって、一方にボタンの列を形成し、他方にボタンホールの列を形成するといったことも考えられる。
しかしながら、上記したように上下方向で連続する領域から選択される一部分を取り付け位置とすることが可能な構成とした方が、より様々な位置に袋状部(ヒータ)を取り付け可能とする(配置位置をより多くする)という観点から好ましい。
【0062】
上記した実施形態では、接続端子35をUSBオスコネクタとしたが、本発明はこれに限るものでない。外部電源部材、すなわち、ヒータに電力を供給する部材に接続できる規格であればよい。また、外部電源部材は、必ずしも内ポケット部21の内部に収容しなくてもよく、例えば、使用者のベルト等に取り付けたホルダー部材に外部電源部材を保持した状態とし、内ポケット部21の外部で外部電源部材と接続端子35を接続してもよい。この場合、内ポケット部21を設けず、前身頃部10の裏地部分や後身頃部11の裏地部分から配線部材36を引き出してもよい。
【0063】
上記した実施形態では、帯状部3を裏地部分と同じ生地で形成したが、これに限らず、別の生地で形成してもよい。あえて別の生地として目立たせることで、デザイン性を高めることも考えられる。また、裏地部分と類似する生地(色、質感(織り方)、生地の素材の少なくともいずれかが同じ生地)で形成してもよい。
【0064】
上記した実施形態では、袋状部4(ヒータ)の配置位置を変更する位置変更手段として、対となる帯側係合部50と袋側係合部60を設けた。すなわち、帯側係合部50と袋側係合部60が係合することで、袋状部4が一の配置位置に取り付けられる(配される)ものとした。そして、帯側係合部50と袋側係合部60を係合解除し、袋側係合部60を帯側係合部50の他の部分と係合させることで、袋状部4が他の配置位置に取り付けられるものとした。
つまり、上記した位置変更手段は、衣類本体側(衣類本体又は衣類本体に取り付けた部材(帯状部))に設けた本体側係合部と、発熱体側(発熱体を含んで構成される部材のいずれかの部分)に設けた発熱体係合部によって構成されるものとした。そして、複数の位置で本体側係合部と発熱体係合部が係合可能なものとした。しかしながら、本発明の位置変更手段は、上記した実施形態のものに限るものではない。
【0065】
例えば、上着101,201(発熱機能付き衣類)は、図10図11で示されるように、ヒータ(図示しない)を収容した袋状部104,204に対し、紐部材161,261(位置変更手段)の一部を取り付けて形成してもよい。
以下、上記した実施形態とは異なる実施形態に係る上着101,201(発熱機能付き衣類)について説明する。なお、以下の説明において、上記したものと同様の部分については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態の上着101は、図10で示されるように、後身頃部111の裏地部分に紐挿通孔165が設けられている。紐挿通孔165は、裏地部分を貫通する貫通孔であり、表地部分と裏地部分の間に形成される空間と外部を連通する孔である。詳細には、2つの発熱体側挿通孔165aと、2つの他端側挿通孔165bから構成される4つの紐挿通孔165が形成されている。
詳細には、一つの発熱体側挿通孔165aと一つの他端側挿通孔165bが並んで形成される孔の列が、左右方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0067】
また、本実施形態の上着101は、左右方向に離れた位置にそれぞれ配された2つの紐部材161を有している。紐部材161は、いずれも一端側が発熱体側挿通孔165aに挿通され、後身頃部111の表地部分と裏地部分の間の空間まで延びている。
ここで、この後身頃部111内の内部空間には、ヒータが収容された袋状部104(収容部材)が配されている。そして、紐部材161の長手方向における一端側部分は、この袋状部104に固定された状態となっている。
対して、それぞれの紐部材161の他端側は、他端側挿通孔165bに挿通され、後身頃部111内の内部空間まで延びている。そして、紐部材161の長手方向における他側部分は、この空間内で後身頃部111に縫い付けられて一体に固定されている。
【0068】
ここで、紐部材161の長手方向における中途部分には、紐止め部材168が取り付けられている。紐止め部材168は、所謂コードストッパーである。
【0069】
以上のことから、2つの紐部材161のそれぞれの長手方向における一端側部分を引き上げることで、袋状部104が上側に移動する。そして、それぞれの紐部材161に取り付けられた紐止め部材168により、この状態を維持することで、袋状部104(ヒータ)が上側に配された状態となる。
逆に、2つの紐部材161のそれぞれの長手方向における一端側部分を下方に移動させ、それぞれの紐止め部材168でこの状態を維持することで、袋状部104(ヒータ)が下側に配された状態となる。
すなわち、本実施形態の上着101は、上下方向で連続する領域から選択される一部分を袋状部104(ヒータ)の配置位置とすることができる。
【0070】
続いて、上着201もまた、図11で示されるように、後身頃部211の裏地部分に紐挿通孔265が設けられている。紐挿通孔265は、後身頃部211の裏地部分を貫通する貫通孔であり、後身頃部111の表地部分と裏地部分の間に形成される空間と外部を連通する孔である。詳細には、2つの上側挿通孔265aと、2つの下側挿通孔265bから構成される4つの紐挿通孔265が形成されている。
詳細には、一の上側挿通孔265aと一の下側挿通孔265bが上下方向で離れた位置に配されており、一つの上側挿通孔265aと一つの下側挿通孔265bからなる組が、左右方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0071】
また、本実施形態の上着201は、左右方向に離れた位置にそれぞれ配された2つの紐部材261を有している。本実施形態の紐部材261は、いずれも環状に連続した状態となっており、上下方向で離れた位置に形成される上側挿通孔265a、下側挿通孔265bのそれぞれに挿通されている。すなわち、紐部材261の一部は、上側挿通孔265aから、後身頃部211の表地部分と裏地部分の間の空間を経て、下側挿通孔265bまでの間で延びている。言い換えると、環状に延びる紐部材261の一部が後身頃部211の内部空間に配された状態となっている。
ここで、後身頃部211内の内部空間には、ヒータが収容された袋状部204(収容部材)が配されている。そして、紐部材261の長手方向における一部分が、この袋状部204に固定されている。
【0072】
また、紐部材261の他の一部は、後身頃部211の裏地部分よりも着用時に使用者側となる位置に配される。すなわち、上側挿通孔265a、下側挿通孔265bの一方から外部に引き出され、他方まで延び、他方から後身頃部211内の内部空間に入っている。そして、この紐部材261の他の一部における中途部分には、紐止め部材168が取り付けられている。
【0073】
本実施形態の上着201においても、2つの紐部材261を操作し、2つの紐部材261の袋状部204に固定されている部分を上方に移動させ、袋状部204を上方に移動させる。そして、それぞれの紐部材261に取り付けられた紐止め部材168により、この状態を維持することで、袋状部204(ヒータ)が上側に配された状態となる。
逆に、2つの紐部材261の袋状部204に固定されている部分を下方に移動させ、それぞれの紐止め部材168でこの状態を維持することで、袋状部104(ヒータ)が下側に配された状態となる。
すなわち、本実施形態の上着201は、上下方向で連続する領域から選択される一部分を袋状部204(ヒータ)の配置位置とすることができる。
【0074】
以上のように、本発明の位置変更手段は、発熱体を含んで構成される部材に直接又は間接的に取り付けられ、自身(位置変更手段)の一部を移動させることで、発熱体を含んで構成される部材を移動させることが可能な部材でもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,101,201 上着(発熱機能付き衣類)
2 上着本体(衣類本体)
3 帯状部(延設体)
4,104,204 袋状部(収容部材)
26 本体側帯係止部(第二延設体係合部)
50 帯側係合部(位置変更手段、本体側係合部、第一延設体係合部)
60 袋側係合部(位置変更手段、発熱体側係合部)
161,261 紐部材(位置変更手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11