(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100227
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】消音構造体
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230710BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20230710BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
F24F13/02 H
F24F13/24
G10K11/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000772
(22)【出願日】2022-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
3L080
5D061
【Fターム(参考)】
3L080AE02
5D061EE35
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によって、流動空間を大型化させることなく、通気性を確保できて広い周波数帯域での消音効果を得るための手段を提供する。
【解決手段】内部に気体を流動させ得、内外を画成する画壁に囲繞され、両端がそれぞれ内外に直接又は間接的に連通する開口を有する流動空間と、上記両端の開口の間で上記画壁に形成された、上記流動空間の内外を連通させる間隙と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に気体を流動させ得、内外を画成する画壁に囲繞され、両端がそれぞれ内外に直接又は間接的に連通する開口を有する流動空間と、
上記両端の開口の間で上記画壁に形成された、上記流動空間の内外を連通させる間隙と、を有することを特徴とする消音構造体。
【請求項2】
前記間隙は、気体の流動方向の下流側及び/又は上流側の端部近傍に配されることを特徴とする請求項1記載の消音構造体。
【請求項3】
前記間隙は、前記画壁の一部乃至全部を周方向及び/又は前記画壁の一部を気体の流動方向に沿って切欠いて形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の消音構造体。
【請求項4】
前記間隙は、長孔状に設けられ、前記画壁の周方向に沿って複数配設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の消音構造体。
【請求項5】
前記間隙は、気体の流動方向に間隔を存して複数配設されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の消音構造体。
【請求項6】
前記間隙を被覆し、前記間隙を介した気体の流入出を抑制するフィルタ部を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の消音構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間内での気柱の共鳴を抑制し消音する消音構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダクト、マフラ、及び換気スリーブ等の通気性を確保する構造物は、気体、風、又は熱等を通過させると同時に音も通過及び/又は発生させてしまうことから、騒音対策を要することがある。騒音対策としては振動板を備える吸音体をダクト内に配するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような吸音体では、例えば、音源の音波を受けると振動板が共鳴(共振)周波数帯域で共鳴(振動)する。これにより、吸音体内の空気層が圧縮と膨張とを繰り返し、音エネルギが熱エネルギに変換され吸音される。従って、ダクト内には、入射する音の周波数帯域に合わせた吸音ピーク周波数の吸音体が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の吸音体は、吸音ピーク周波数以外の周波数の音に対する吸音効果が著しく低下してしまうため、広い周波数帯域での消音には多数の種類の吸音体を配することが必要となり、ダクト内に設置することが困難となる他、吸音体を配するためにダクトを大型化させた場合にはダクトの設置場所が限定されるという問題がある。またダクト内に吸音体を配することによって通気性が悪化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、流動空間を大型化させることなく、通気性を確保できて広い周波数帯域での消音効果を得るための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の消音構造体は、内部に気体を流動させ得、内外を画成する画壁に囲繞され、両端がそれぞれ内外に直接又は間接的に連通する開口を有する流動空間と、上記両端の開口の間で上記画壁に形成された、上記流動空間の内外を連通させる間隙と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の消音構造体は、前記間隙が気体の流動方向の下流側及び/又は上流側の端部近傍に配されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の消音構造体は、前記間隙が前記画壁の一部乃至全部を周方向及び/又は前記画壁の一部を気体の流動方向に沿って切欠いて形成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の消音構造体は、前記間隙が長孔状に設けられ、前記画壁の周方向に沿って複数配設されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の消音構造体は、前記間隙が、気体の流動方向に間隔を存して複数配設されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の消音構造体は、前記間隙を被覆し、前記間隙を介した気体の流入出を抑制するフィルタ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造によって、流動空間を大型化させることなく、通気性を確保できて広い周波数帯域での消音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の消音構造体である管状体を示す断面図である。
【
図2】複数の間隙を有する管状体を示す断面図である。
【
図4】部分管状体の連結により形成される間隙を示す図である。
【
図8】本発明の消音構造体として成るトンネルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の消音構造体の実施形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の消音構造体である管状体1を示す断面図である。管状体1は、両端が開口して内側に気体を流下させるものである。また、管状体1は、内部に流体としての気体を流動させ得、内外を画成する画壁2に囲繞され、両端がそれぞれ内外に直接又は間接的に連通する開口を有する流動空間4と、両端部の開口の間で画壁2に形成された、上記流動空間における横断面積を変化させて上記流動空間に発生する気柱の共鳴を抑制する消音構造を成すための間隙6と、を有する。
【0015】
具体的に管状体1は、内外を画成する画壁2、両端を開口させて成る開口部3a、3b等を有し、延在方向に対する直交断面が略無端状を成す。また、画壁2によって囲繞される流動空間4には、一方の開口部3aを介して外部から気体が流入すると共に、流入した気体が他方の開口部3bに向かって流下し得る。勿論、管状体1は、他方の開口部3bを介して外部から気体が流入すると共に、一方の開口部3aに向かって流下し得るように用いてもよい。
【0016】
なお、管状体1は、直管形状を有するが、曲管状やL字形状、M字形状、N字形状、V字形状等であってもよい。このように折れ曲がったように形成されていてもよく、また分枝路を有していてもよい。
画壁2には、周方向に沿って一部を切欠くことで間隙6が形成される。勿論、間隙6は、画壁2の一部を気体の流動方向に沿って切欠いて形成してもよいことは言うまでもない。
【0017】
間隙6は、流動空間4の内外に連通することで、後述する管状体1内部で生じる共鳴音を抑制するように機能する。管状体1における間隙6の位置は、適宜設定し得、例えば、開口部3a、3bの中間位置、気体の流動方向に沿って中間位置よりも上流側の位置及び/又は下流側の位置等が有り得る。ここでは間隙6は、流動方向の下流側の端部である開口部3b側の端部近傍に配する。
【0018】
また、間隙6は、その数、形、周方向に沿った長さ、軸方向に沿った長さ(幅)、周方向に対する傾斜(向き)、管状体1における位置等は、管状体の管径、管長、内部を流れる気流の流速、密度等或いは内部で生じ得る気柱共鳴の周波数帯域等に応じて適宜設定し得る。そのため間隙6或いは近設される複数の間隙6から構成される間隙6群領域は、気体の流動方向に沿って間隔を空けて複数配することができる。流動方向に沿って複数の間隙6を配する場合の間隔は、等間隔であっても非等間隔であってもよい。例えば、間隙6は、管状体1内で生じ得る気柱共鳴の気柱の波長の関数倍(例えば、1/4波長の整数倍等)等のように設定することができる。
【0019】
なお、間隙6及び/又は間隙6群領域は、画壁2全域に対する開口部分の密度、即ち開口率や、総開口面積が小さ過ぎると騒音低減或いは消音効果が過小となることに注意する。ここで開口率は、二つの開口端の間の領域における画壁2の総内周面積に対する間隙6の開口の総面積の割合と定義することができる。また、管状体1の軸方向(管状体1内を流れる気体の流動方向)に沿って複数の間隙6を離間させて設けている場合(例えば
図2参照)、各間隙6が気柱の延伸を妨げる擬似的な開口端となる軸直交方向切断部7として機能し得る。即ち、開口率は、
図2に示すように開口端3a及び軸直交方向切断部7の間に間隙6が存するときには、開口端3aから軸直交方向切断部7までの領域A内において開口が全く存在していないと仮定した仮想の画壁2の内周面積に対する、実際の間隙6の開口の総面積の割合として扱うことができる。勿論、軸方向に離間させて軸直交方向切断部7を設け、その間に間隙6を設けている場合においては、軸直交方向切断部7間の領域において、開口率を設定することもできる。
【0020】
ここで、
図3は間隙6の形状例を示す図である。間隙6は、
図3(a)に示すように、管状体1の軸心に対して直交する軸直交方向に沿って延びるスリット状に形成することができる。また間隙6を軸直交方向に沿って画壁2に複数形成してもよい。また、
図3(b)に示すように軸直交方向に対して傾斜した方向に延在するように、間隙6の向きを設定してもよい。
【0021】
また、
図3(c)に示すように複数の間隙6を二列に配設する等、一又は複数列に配設するようにしてもよい。また、間隙6の形状は、特に限定されるものではなく、
図3(d)に示す周方向に沿った長さよりも軸方向(或いは気体の流動方向ともいう。)に沿って長い長孔形状、
図3(e)に示す丸孔形状、
図3(f)に示す長円形状、その他、楕円形状、星形状、多角形状等としてもよい。
【0022】
また、管状体1を複数の部分管状体の連結によって構成し、部分管状体同士の連結部分に間隙を形成してもよい。例えば、
図4(a)に示すように部分管状体40を、部分管状体42の内径よりも小径に形成し、部分管状体40を部分管状体42内に挿入して連結した際に、両部分管状体40、42間に間隙6を形成してもよい。勿論、
図4(b)に示すように部分管状体40が部分管状体42と比して大径に形成し、部分管状体40内に部分管状体42を挿入してもよい。
また、
図4(c)に示すように同径の部分管状体40、42の内、一方の部分管状体42の端部を他方の部分管状体40の端部の内径よりも縮径させ、部分管状体40内に、部分管状体42の端部を挿入して連結した際に、両部分管状体40、42間に間隙6を形成してもよい。勿論、部分管状体40の端部を、部分管状体42の端部の内径よりも縮径させてもよいことは言うまでもない。
また、
図4(d)に示すように、部分管状体40、42を離間させて配置することで、両部分管状体40、42間に間隙6を形成してもよい。なお、部分管状体40、42同士は、不図示の連結部材によって互いに連結する等、適宜手段で連結することができる。なお、気体の流動方向における部分管状体40、42の配置は、部分管状体40を上流側に設定してもよく、或いは部分管状体42を上流側に設定してもよい。
【0023】
また、間隙6の周方向に沿った長さは、特に限定されるものではないが、管状体1の周方向の長さに対して六割以上の長さに設定する。また、間隙6の幅、即ち、周方向に直交し且つ管状体1の軸方向に平行な方向の長さ(間隙6の幅という。)は、特に限定されるものではないが、微小な幅、例えば、1mmに設定しても消音構造として機能し得る。
【0024】
上記のように管状体1は、画壁2に間隙6を設けたことで、断面積が不連続に拡大乃至無限大に近似できる程増大している為、軸方向(気体の流動方向)における間隙位置においては空間が開放されることによって、疑似的な開放端状と成ると共に、音波のエネルギ密度の著しい低下が生じ、音圧レベルを低下させることができる。また、流動空間4での管状体1が共振し得る周波数(共鳴周波数)がシフトし、その周波数における気柱振動を抑制し、共鳴音(騒音)の発生を抑制することができる。このように管状体1に間隙6を設ければよいため、通気性を確保しながらも、管状体1を大型化させることなく、広い周波数帯域での消音効果を得ることができる。
【0025】
管状体1は、種々の部材に適用することができる。管状体1を毒性対象減消装置に適用した例を示す。毒性対象減消装置とは、室内等に設置され、空気中に浮遊する毒性対象を減消させるものである。
図5は毒性対象減消装置10を示す斜視図、
図6は毒性対象減消装置10を示す断面図である。毒性対象減消装置10は、管状体1の軸心を略鉛直方向に向けた縦置きの姿勢で使用される。また、毒性対象減消装置10は、吸込口12を介して装置外の空気を装置内部に取り込み略鉛直方向に沿って流下させると共に、空気中の毒性対象を減消(例えば、分解、不活化、滅菌等)させる。そして、毒性対象を減消させた空気を排出口14から外部に排出する。
【0026】
なお、毒性対象とは、菌やウイルス等の病原微生物の他、有害分子を含んだホルムアルデヒドや亜硫酸ガス、亜硝酸ガス等を含むものであって少なくとも人体に対して毒性を有し、空気と共に移動する対象物である。
【0027】
毒性対象減消装置10は、管状体1を挟んで上部に吸込口12を具える外気導入部11、下部に排出口14を具える空気排出部13等を具え、各部の内部空間を接続するように各部が連結されて成る。即ち、吸込口12から導入されている空気を管状体1の内側を通過させて排出口14から排出するように、各部を連結させる。
【0028】
勿論、外気導入部11と空気排出部13の位置は、これに限定するものではなく、外気導入部11を管状体1の下部に配し、空気排出部13を管状体1の上部に配することもできる。また、毒性対象減消装置10は、縦置きの姿勢以外の、横置きの姿勢で使用することも可能であることは言うまでもない。即ち、管状体1の向きは適宜設定し得るものであり、鉛直方向に対して傾斜乃至直交させた向きに使用することも可能である。
【0029】
また、
図6に示すように、毒性対象減消装置10の内部には、毒性対象減消手段としての紫外線放出部16、装置内部で空気の流動を発生させる流動発生部18等が配される。具体的に紫外線放出部16は、管状体1内で管状体1の軸心と平行に延在するように配し、流動発生部18は空気排出部13内で管状体1近傍に配する。
外気導入部11は、管状体1の上側端部に接続されており、頂部に吸込口12を有する他、後述する紫外線放出部16から放出された紫外線が吸込口12を通して装置外に漏出するのを防止するルーバ20等を有する。
【0030】
空気排出部13は、管状体1の間隙6を囲繞するように、管状体1の下側端部を収容し得る部材であり、流動発生部18や、各部に電力を供給するための不図示の電力供給部等を配設する。また空気排出部13の周面には、排出口14が設けられる。排出口14は、複数設けられ、総開口面積が吸込口12の開口面積を超えるように、各々の開口面積や配設数等が設定される。即ち、軸方向視で略矩形状を成す空気排出部13において、四面の外周面にそれぞれ複数の排出口14を設けている。
【0031】
排出口14の軸方向に沿った配設位置は、適宜位置に設定し得るが、管状体1の下端部よりも上方に設定した場合は、空気排出部13内には、管状体1の下端部から排出口14まで空気の流動を案内する案内路等を設けてもよい。
【0032】
紫外線放出部16は、紫外線によってターゲットである毒性対象の分解、不活化、消毒、除菌、殺菌、滅菌等の減消を行う。紫外線放出部16は、殺菌灯、紫外線ランプ、紫外線LED等の紫外線光源を有するものであり、長尺状の直管形状を成し、軸方向視で略放射状に紫外線を放出する。なお、紫外線放出部16の形状は、直管形状に限定するものではなく、例えば、電球形状、環形状、曲線形状等に設定し得る。
【0033】
紫外線放出部16から放出される紫外線は、波長が100~400nm程度であることが好ましく、特に250~270nm近傍に設定することがより望ましい。勿論、紫外線は、少なくとも毒性対象を減消させ得るものであれば波長が260nm未満の近紫外線(UV-C)、遠紫外線(波長10~200nm)、極端紫外線(波長10~121nm)等であってもよい。また、波長が300nmを超える近紫外線(UV-A、UV-B)であってもよく、これらを複合して用いてもよい。
【0034】
流動発生部18は、装置内部で空気の流動を発生させるファン構造を有し、管状体1近傍に配設される。ファン構造は、回転軸周りに複数枚の羽根を設けたプロペラ、駆動モータ等によって構成される。従って流動発生部18は、軸流ファン、遠心ファン、斜流ファン、遠心軸流ファン、渦流ファン、横断流ファン等とすることができる。流動発生部18のファンを回転させることによって、装置周囲の空気を装置内部に導入し、所定の流路に沿って流下させる。
【0035】
また、管状体1は、内周面の一部又は全部に紫外線放出部16からの紫外線を反射する紫外線反射性を有する紫外線反射面を具える。このような紫外線反射面としては、紫外線を反射させるコールドミラーが有り得、例えば管状体1の内周面に誘電体を多層にわたって蒸着させた誘電体多層膜によって形成することができる。或いはコールドミラーを蒸着させた薄板を管状体1の内周面に張り付けたり、管状体1の内側に配置したりして紫外線反射面を設けてもよい。
【0036】
誘電体多層膜は、高屈折率材料の誘電体薄膜と、低屈折率材料の誘電体薄膜とを交互に積層することによって構成することもできる膜である。高屈折率材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO2 )、酸化アルミニウム(AL2 O3 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )等が有り得る。低屈折率材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2 )、過酸化亜鉛(ZnO2 )、フッ化マグネシウム(MgF2 )等が有り得る。
【0037】
管状体1の内周面における紫外線反射面の配設箇所は適宜設定し得、例えば管状体1の内周面において軸方向及び/又は周方向に沿って断続的に設けることもできる。
【0038】
また、紫外線反射面の厚みは、適宜設定し得るが、多層膜によって形成する場合、一層当たりの厚みを、例えば反射させる紫外線の波長の1/4の整数倍(紫外線の波長の1/4の奇数倍又は偶数倍)に設定することが出来る。具体的には反射させる対象となる紫外線の波長を253.7(nm)と設定した場合、一層の厚みを63.4(nm)(即ち、波長の1/4の1倍)、126.8(nm)(即ち、波長の1/4の2倍)、190.3(nm)(波長の1/4の3倍)程度等に設定する。勿論、反射層6を多層膜によって形成する場合の一層当たりの膜厚は、数10μm程度の所謂厚膜であってもよく、数μm程度の所謂薄膜であってもよく、数nm以下の所謂超薄膜であってもよい。
【0039】
管状体1は、横断面を略無端形状とすることで紫外線放出部16を囲繞し、紫外線を内側で高次に、即ち多数回繰り返し反射するように、内周面に反射層を配設したが、勿論、反射層を管状体1の外周面(外側表面)に配設して管状体1の基材を透過した紫外線を内側に反射させてもよい。その場合の管状体1は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の樹脂材料やガラス系材料等の紫外線、赤外線、可視光を透過させる透明性の材料から選択される一種以上によって形成することができる。なお、透明性を有する材料としては、金属材料、セラミック等の窯業系材料、セメント等の水硬性材料、炭素材料等を加えた透明性の材料であってもよい。
【0040】
上記のように管状体1に反射層を設けることにより、紫外線放出部16から放出される紫外線が内部で高次に反射する。結果、管状体1内部では、紫外線が増幅して成る高線量で且つ高密度の紫外線領域が作出される。
【0041】
また管状体1に配される間隙6は、少なくとも紫外線領域よりも下流側に配するものとする。即ち、紫外線放出部16と流動発生部18との間に間隙6が位置するように、管状体1における間隙6の配設箇所を設定する。
【0042】
上述の毒性対象減消装置10による毒性対象の減消処理及び空気の流動について説明する。先ず毒性対象減消装置10の電源スイッチ(不図示)のON操作や、紫外線放出部16及び流動発生部18を動作させるための入力操作を行う。
これにより、紫外線放出部16から紫外線を放出し管状体1内部に高線量且つ高密度の紫外線領域を作出する。即ち、紫外線放出部16から放出された紫外線は、管状体1内側の紫外線反射面によって複数回反射(高次反射)を繰り返す。結果、紫外線の線量が増幅して紫外線領域が作出される。
【0043】
また、流動発生部18のプロペラが回転することで、吸込口12、管状体1、排出口14の順に空気を通過させるように流動が発生する。具体的には、プロペラの回転によって管状体1内の空気が排出口14に向かって流動して外部に排出される。また、毒性対象減消装置10内(管状体1内)が負圧となるため、吸込口12を介して毒性対象を含んだ外部の空気が吸引される。
【0044】
従って、毒性対象減消装置10内部には、外部の空気が吸込口12を介して導入されると共に、管状体1内を流下して排出口14から排出されるように、空気の流路が形成される。更に該流路の途中に紫外線領域を作出しているため、空気中の毒性対象が紫外線によって減消されて排出口14からは毒性対象が減消された後の空気が排出される。
【0045】
上記の毒性対象減消装置10は、内部に空気の流動を発生させるため、管状体1において気柱が共鳴し得るが、管状体1の間隙6を設けた箇所が管状体1の内径を変化させる領域となって気柱の共鳴を阻害して空気の流動に伴う管状体1内部での騒音発生を抑制することができる。また、本発明の管状体1によれば、プロペラ、ファン、羽根の回転によって流動発生部18の周りで発生する周期的に密度が変化してなる気体流による騒音を低減させることも可能である。即ち、流動発生部18の周囲を覆う毒性対象減消装置10の内部に配設されるハウジングと、周期的に密度が変化してなる気体流との相互干渉によるハウジング振動によって生じる振動音と、この振動音の管状体1への伝達によって発生する管伝達騒音を本発明の消音機構によって消音乃至低減することができる。
【0046】
なお、管状体1に間隙6を設けたことで、間隙6を介して空気が流出(或いは流入)して流量低下や流速低下を引き起こす。このため管状体1内で流動する空気の流量及び流速が低下し得る。そこで
図7に示すように管状体1の外周面に間隙6を被覆するフィルタ部22を設けてもよい。フィルタ部22は、空気が通過可能で、且つ間隙6を介した空気の流出(或いは流入)を抑制して、空気の流速、流量低下を防止、抑制し得る形状(例えば、メッシュ形状、スポンジ状、連続気泡状、不連続気泡状、織布状、不織布状等)を有する。
【0047】
また、フィルタ部22は、管状体1の外周面に限定せず、内周面に設けるようにしてもよい。また、フィルタ部22は、少なくとも間隙6を被覆可能であれば、管状体1の全周を被覆するように装着してもよく、管状体1の周面一部を被覆してもよい。管状体1の周面一部を被覆するフィルタ部22を配する場合、複数のフィルタ部22によって間隙6全域を被覆してもよいが、一部の間隙6のみを被覆するようにフィルタ部22を配してもよい。
また、フィルタ部22に抗菌性、抗ウイルス性を有するコートを施したり、抗菌性や抗ウイルス性を発現する材料を含有させて構成することで、フィルタ部22に付着したり、接触した細菌類やウイルスを減消させるように構成してもよい。
【0048】
このようなフィルタ部22を設けることにより、管状体1内での気柱の共鳴を抑制しながらも、流動する空気の流量及び流速の低下を抑制できる。また、毒性対象減消装置1においては、流動発生部18による空気の流動性(流動効率)を向上させることができ、空気中の毒性対象の減消処理効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明の消音構造体を管状体とした場合を例に説明したが、消音構造体は内部に気体が流動し得る流動空間を有するものであれば、ダクトや管路等の通気経路を有する構造物や装置等に適用することが出来、更にトンネル等の空洞を有する建造物に適用することも可能である。例えば
図8に示すように、トンネルの開口端部30近傍に間隙32を設けることで、トンネル内で発生する気柱共鳴が原因となる騒音を低減乃至消音することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…管状体、2…画壁、4…流動空間、6…間隙、10…毒性対象減消装置、12…吸込口、14…排出口、16…紫外線放出部、18…流動発生部、22…フィルタ部。