(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100236
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物、および成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230710BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230710BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20230710BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20230710BHJP
C08L 67/03 20060101ALI20230710BHJP
C08L 81/02 20060101ALI20230710BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L67/00
C08L67/02
C08L69/00
C08L67/03
C08L81/02
C08J5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071763
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022000606
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉原 崇嗣
(72)【発明者】
【氏名】北口 貴之
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA07
4F072AA08
4F072AB09
4F072AD27
4F072AD28
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4J002AA011
4J002CF031
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4J002GC00
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4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】成形時の流動性、成形品としたときの外観、耐熱性、耐衝撃性等の機械的物性の何れにも優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】相対粘度が1.45以下、ガラス転移温度が25℃以上であるポリエステル樹脂(A)と、ISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定したメルトマスフローレートが20g/10分以下である熱可塑性樹脂(B)とを含有する、樹脂組成物である。ポリエステル樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が、(A)/(B)=0.1/99.9~30/70であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対粘度が1.45以下、ガラス転移温度が25℃以上であるポリエステル樹脂(A)と、ISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定したメルトマスフローレートが20g/10分以下である熱可塑性樹脂(B)とを含有する、樹脂組成物。
【請求項2】
ポリエステル樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が、(A)/(B)=0.1/99.9~30/70である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリエステル樹脂(A)の融点が80℃以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分を含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂から選択される1種以上である、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
下記条件で測定した際のバーフローによる射出流動長が70mm以上である、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
条件;射出成形機(FANUC社製、S2000i-100B型)を用い、厚み1mm、幅20mm、長さ330mmの専用金型を用い、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、および射出速度100mm/秒で溶融し、流動させる。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物を含む、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性に優れる樹脂組成物、および成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等の熱可塑性樹脂は加熱により流動性を示すことから、多くの成形品へ用いられており、例えば、電気電子関係部品、自動車部品、雑貨などの各種分野において広く利用されている。これらの熱可塑性樹脂は溶融粘度が高く、メルトマスフローレート値が低いことから、流動性に乏しいという問題がある。
【0003】
上記の問題を解決するために、例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステルを溶融混錬し、成形品としたときの機械的物性(例えば、耐衝撃性)や外観を維持しつつ、ポリカーボネート樹脂の流動性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された樹脂組成物においては、流動性と機械的特性とのバランスや、成形時の耐熱性、成形品としたときの外観が十分でないことがあった。
本発明は、上記のような従来技術の問題に鑑みて、成形時の流動性、成形品としたときの外観、耐熱性、耐衝撃性等の機械的物性の何れにも優れる樹脂組成物を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の相対粘度やガラス転移温度を有するポリエステル樹脂(A)と、ポリエステル樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記(1)~(7)のとおりである。
(1)相対粘度が1.45以下、ガラス転移温度が25℃以上であるポリエステル樹脂(A)と、ISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定したメルトマスフローレートが20g/10分以下である熱可塑性樹脂(B)とを含有する、樹脂組成物。
(2)ポリエステル樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が、(A)/(B)=0.1/99.9~30/70である、(1)の樹脂組成物。
(3)ポリエステル樹脂(A)の融点が80℃以上である、(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分を含有する、(1)~(3)の何れかの樹脂組成物。
(5)熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂から選択される1種以上である、(1)~(4)の何れかの樹脂組成物。
(6)下記条件で測定した際のバーフローによる射出流動長が70mm以上である、(1)~(5)の何れかの樹脂組成物。
条件;射出成形機(FANUC社製、S2000i-100B型)を用い、厚み1mm、幅20mm、長さ330mmの専用金型を用い、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、および射出速度100mm/秒で溶融し、流動させる。
(7)(1)~(6)の何れかの樹脂組成物を含む、成形品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物は、成形時の流動性、成形品としたときの外観、耐熱性、機械的物性の何れにも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、相対粘度が1.45以下、ガラス転移温度が25℃以上であるポリエステル樹脂(A)と、ISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定したメルトマスフローレートが20g/10分以下である熱可塑性樹脂(B)とを含有する。
【0009】
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、主として、ジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるものである。本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)を含有することにより、成形時の流動性、成形品としたときの外観、耐熱性、耐衝撃性等の機械的物性の何れにも優れる。
ジカルボン酸成分としては、本発明の特性を損なわない範囲であれば特に制限はなく用いることができる。そのようなジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、3-tert-ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。中でも、耐熱性を向上させるため、芳香族ジカルボン酸を含有することが好ましく、テレフタル酸またはイソフタル酸を含有することがより好ましく、両者を含有することがさらに好ましい。テレフタル酸またはイソフタル酸の合計の含有量が、酸成分100モル%中、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0010】
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、2,2-ビス[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。これらのグリコール成分は単独で用いてもよいし、併用してもよい。中でも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましく、これらの合計の含有量が、グリコール成分100モル%中、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
グリコール成分としては、流動性や機械的特性に優れることから、1,2-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。さらに、含有量を低減させてもポリエステル樹脂(A)の添加効果に優れることから、1,2-プロパンジオールが特に好ましい。
【0011】
ポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲で、ヒドロキシカルボン酸成分を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2-ヒドロキシセバシン酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、2-メチル-2-ヒドロキシコハク酸、酒石酸、テトラヒドロキシアジピン酸、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、乳酸、β-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシフェニルステアリン酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシモノカルボン酸を用いる場合、その含有量は、構成成分の合計100 モル%のうち、50モル%以下とすることが好ましく、40モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
【0012】
ポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲で、モノカルボン酸、モノアルコールを含有させてもよい。モノカルボン酸、モノアルコールを用いる場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分、グリコール成分100モル%に対して、1モル%未満とすることが好ましく、0.1モル%未満とすることがより好ましく、0モル%とすることがさらに好ましい。一般的に、モノカルボン酸、モノアルコールをエステル化反応前に仕込み、重縮合反応を進めた場合、分子鎖の延長を阻害し、結果として必要な分子量が得られなくなる。そのため、ポリエステル樹脂の粘度を、本発明の範囲とし難くなる場合がある。
【0013】
モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
【0014】
ポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲で、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールを含有させてもよい。3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込む場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはグリコール成分100モル%に対して、5モル%以下とすることが好ましく、4モル%以下とすることがより好ましく、3モル%以下とすることがさらにより好ましい。
【0015】
3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0016】
ポリエステル樹脂(A)の相対粘度は、1.45以下であり、1.00~1.45であることが好ましく、1.05~1.43であることがより好ましく、1.10~1.41であることがさらにより好ましい。ポリエステル樹脂(A)の相対粘度が1.45を超えると、本発明の樹脂組成物は、成形品としたときの外観に劣るものとなる。また、成形時の流動性が十分に向上しない場合がある。一方、1.00未満であると、耐熱性や機械的物性が劣る場合がある。なお、ポリエステル樹脂(A)の相対粘度は、フェノール/1,1,2,2,-テトラクロロエタンの等質量混合溶媒に1質量%の濃度で溶解し、ウベローデ粘度管を用い20℃にて測定した値を指す。
ポリエステル樹脂(A)の相対粘度を上記範囲とするには、例えば、共重合組成や分子量を調節することができる。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、本発明の特性を損なわない範囲であれば特に制限はなく、流動性と機械的特性の何れにも、いっそう優れることから、500~10000であることが好ましく、500~8000であることがより好ましく、1000~8000であることがさらにより好ましい。
【0018】
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、25℃以上であり、30℃以上であることが好ましく、30~200℃であることがより好ましく、40~150℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が25℃未満であると、本発明の樹脂組成物は、成形品としたときの耐熱性、耐衝撃性に劣るものとなる。また、200℃を超えると、成形時の流動性や、成形品としたときの外観に劣る場合がある。ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度を上記範囲とするには、例えば、共重合組成や分子量を調節することができる。
【0019】
ポリエステル樹脂(A)の融点は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、130℃以上であることがさらにより好ましい。融点が80℃未満であると、耐熱性や機械的強度に劣る場合がある。なお、樹脂組成物の成形時により低い温度で成形することができることから、融点は230℃以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)の融点を上記範囲とするには、例えば、共重合組成を調節する。
【0020】
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、本発明の特性を損なわない範囲であれば特に制限はなく、50mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が50mgKOH/gを超えると、耐熱性に劣ることがある。
【0021】
ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、本発明の特性を損なわない範囲であれば特に制限はなく、100mgKOH/g以下であることが好ましく、82mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(A)の水酸基価が100mgKOH/gを超えると、耐熱性に劣ることがある。
【0022】
次に、ポリエステル樹脂(A)の製造方法の一例について説明する。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、減圧下で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進め、不活性雰囲気下、3官能以上のカルボン酸を添加して解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。
【0023】
エステル化反応において、反応温度は180~260℃とすることが好ましく、反応時間は2.5~10時間とすることが好ましく、4~6時間とすることがより好ましい。
【0024】
重縮合反応において、反応温度は、220~280℃とすることが好ましい。減圧度は、130Pa以下とすることが好ましい。減圧度が130Paより高いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60~180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
【0025】
重縮合触媒としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ-n-ブチルチタネート、n-ブチルヒドロキシオキソスズ等の公知の金属化合物のほか、有機スルホン酸系化合物等を挙げることができる。
有機スルホン酸系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、m-またはp-ベンゼンジスルホン酸、1,3,5-ベンゼントリスルホン酸、o-、m-またはp-スルホ安息香酸、ベンズアルデヒド-o-スルホン酸、アセトフェノン-p-スルホン酸、アセトフェノン-3,5-ジスルホン酸、o-、m-またはp-アミノベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、2-アミノトルエン-3-スルホン酸、フェニルヒドロキシルアミン-3-スルホン酸、フェニルヒドラジン-3-スルホン酸、1-ニトロナフタレン-3-スルホン酸、チオフェノール-4-スルホン酸、アニソール-o-スルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、o-、m-またはp-クロルベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ブロモベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ニトロベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼン-2,4-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-3,5-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-2,5-ジスルホン酸、2-ニトロトルエン-5-スルホン酸、2-ニトロトルエン-4-スルホン酸、2-ニトロトルエン-6-スルホン酸、3-ニトロトルエン-5-スルホン酸、4-ニトロトルエン-2-スルホン酸、3-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、2-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、3-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、5-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、6-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、3,5-ジニトロベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-フルオロベンゼンスルホン酸、4-クロロ-3-メチルベンゼンスルホン酸、2-クロロ-4-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、4-スルホフタル酸、2-スルホ安息香酸無水物、3,4-ジメチル-2-スルホ安息香酸無水物、4-メチル-2-スルホ安息香酸無水物、5-メトキシ-2-スルホ安息香酸無水物、1-スルホナフトエ酸無水物、8-スルホナフトエ酸無水物、3,6-ジスルホフタル酸無水物、4,6-ジスルホイソフタル酸無水物、2,5-ジスルホテレフタル酸無水物、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、メチオン酸、シクロペンタンスルホン酸、1,1-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸無水物、3-プロパンジスルホン酸、β-スルホプロピオン酸、イセチオン酸、ニチオン酸、ニチオン酸無水物、3-オキシ-1-プロパンスルホン酸、2-クロルエタンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、β-フェニルエタンスルホン酸、α-フェニルエタンスルホン酸、クロルスルホン酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、5-スルホサリチル酸ジメチル、4-スルホフタル酸トリメチル等、およびこれらの塩が挙げられる。
【0026】
触媒の添加量は、重合度の調整や、着色の抑制の観点から、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1~20×10-4モルとすることが好ましい。
【0027】
解重合反応において、反応温度は160~280℃とすることが好ましく、160~220℃とすることがより好ましく、反応時間は、0.5~5時間とすることが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂(B)について、以下に述べる。
熱可塑性樹脂(B)は、ISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定したメルトマスフローレート(MFR)が20g/10分以下である。本発明においては、特定のポリエステル樹脂を含有するため、MFRが20g/10分以下と低い熱可塑性樹脂を主成分とするものであっても、流動性が向上された樹脂組成物とすることができる。
熱可塑性樹脂(B)としては、従来知られている各種の熱可塑性エンジニアリングプラスチックが挙げられ、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体、シンジオタクチックポリスチレン、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のナイロン系重合体、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、耐熱ABS等の特殊なスチレン系樹脂や耐熱アクリル系樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。中でも、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂など非晶性の熱可塑性樹脂は、一般的にメルトマスフローレートが低い傾向があり、成形流動性が低く、本発明の効果が顕著に発現するため好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)の割合(質量比)は、流動性、機械的物性、耐熱性、外観をバランスよく向上させるために、(A)/(B)=0.1/99.9~30/70であることが好ましく、0.3/99.7~20/80がより好ましく、0.5/99.5~10/90がさらに好ましい。ポリエステル樹脂(A)の割合が、上記範囲を外れて少ないと、流動性に劣る場合がある。一方、上記範囲を超えて多いと、機械的物性、耐熱性、外観に劣る場合がある。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で、さらに他の樹脂や、任意の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、硬化剤、無機粒子や、その他熱安定剤、着色顔料等を挙げることができる。
【0031】
硬化剤としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有ポリマー、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。硬化剤を含有することで、樹脂組成物の耐溶剤性を向上することができる。硬化剤の配合は、本発明の樹脂組成物の不揮発性成分が100質量部に対して1~10質量部であることが好ましく、1~8質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂(B)、ポリエステル樹脂(A)、および必要に応じて、上記の任意の添加剤を公知の手法で混合する。混合方法としては、例えば、溶融混練が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂(B)と、ポリエステル樹脂(A)を、公知の方法で、均一に溶融混合して、樹脂組成物を得る。
より具体的には、各々の成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーを用いて均一にドライブレンドした後、溶融混練し、その混練物を押出する。その後、冷却工程、カッティング工程、および乾燥工程を経て、ペレット化する。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができるが、分散性向上の観点から、二軸押出機を使用することが好ましい。
【0033】
本発明の成型品は、本発明の樹脂組成物を含むものである。成形品の成形方法は、特に制限されず、本発明の樹脂組成物を用い、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法等により成形する方法が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、耐熱性に優れているため、射出成形時の分解ガスに由来するシルバーの外観不良の発生を抑制することができる。
また、本発明の樹脂組成物はせん断速度依存性が高く、金型内の流動末端で、その流動が容易に停止するため、成形品におけるバリのような欠陥を抑制することができる。さらに、このバリの抑制により保圧を十分に加えることができるため、ヒケも抑制することができる。したがって、本発明の樹脂組成物では、厚さ0.3~1.5mm程度の薄肉、かつ大型の成形品を容易に得ることができる。
【0034】
本発明の成形品は、各種の薄肉成形品として用いることができる。本発明の成形品は、例えば、電気・電子分野におけるスイッチやコネクター等の機構部品やハウジング類;自動車分野におけるアンダーボンネット部品や外装部品;機械分野におけるギアやベアリングリテーナー等に好適に用いられる。
【0035】
本発明の成形品は、薄肉であっても、優れた耐熱性および外観を有する。したがって、アルミニウムの蒸着等の表面加工において、歪みを生じることがない。しかも、アンダーコートを形成することなく、直接成形体の表面に蒸着膜を安定して形成することができるためプロセスの簡略化が期待できる。
【0036】
本発明の成形品では、その表面にアルミニウム等の蒸着層を形成することで、平滑でかつ優れた鏡面を有した成形品とすることができる。また、アンダーコートなしに直接成形品の表面に蒸着膜を形成した場合であっても、長期使用に耐え得るような耐久性が得られる。
【0037】
本発明の成形品の優れた蒸着適性を活かして、表面に蒸着膜を形成した成形品を、例えば、自動車やオートバイ等のヘッドライトやリアランプにおけるエクステンションリフレクタ、回転灯におけるリフレクタ部品に好適に用いることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、前記特性を有するため、例えば、電球やLED等の部品として用いた場合、長期にわたって発光時の熱に曝されても、成形品の変色および変形、成形品からのアウトガスの発生、ならびに蒸着膜の成形品からの剥離等が抑制され、初期の高輝度性能を維持することが期待できる。
【実施例0039】
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0040】
[1.評価方法]
(1)ポリエステル樹脂の組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、ECA500型NMR)を用いて、1H-NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた。
分解能:500MHz
溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸
温度:25℃
また、1H-NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
【0041】
(2)ポリエステル樹脂の酸価、水酸基価
(酸価)
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=10/1(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
【0042】
(水酸基価)
試料を3g秤量し、ピリジンを50ml添加して溶解した。さらに無水酢酸のピリジン溶液(12%(V/V))を5ml加え、60℃の温度条件下でアセチル化を約1時間行った。その後、1,4-ジオキサンを50ml添加して、さらにクレゾールレッドとチモールブルー混合指示薬を数滴添加した。こうして溶解した溶液を0.5N-KOHメタノール溶液で滴定し、ブランク試験の滴定量との差異から、対象となる物質の水酸基価(eq/t)を求めた。
ただし、上記の方法を用いた際に、試料が十分に溶解せずに析出してしまう場合がある。その場合は、後述にあるとおり試料の1H-NMR測定をおこなって、組成を求めたうえで、水酸基価を求めた。
【0043】
(3)ポリエステル樹脂の相対粘度
ポリエステル樹脂をフェノール/1,1,2,2,-テトラクロロエタンの等質量混合溶媒に1質量%の濃度で溶解し、ウベローデ粘度管を用いて20℃にて、試料溶液および溶媒の流下時間を測定し、下記式により相対粘度を求めた。
相対粘度:ηrel=t/t0
t:ポリエステル樹脂溶液の流下時間
t0:溶媒の流下時間
【0044】
(4)ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、下記装置、条件にてGPC分析を行い、ポリスチレン換算により求めた。
送液ユニット(島津製作所製、LC-10ADvp型)
紫外-可視分光光度計(島津製作所製、SPD-6AV型)
検出波長:254nm
溶媒:テトラヒドロフラン
ポリエステル樹脂がテトラヒドロフランに溶解しない場合は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いて数平均分子量を測定した。
【0045】
(5)ポリエステル樹脂のガラス転移温度、融点
ポリエステル樹脂を10mg秤量し、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、Diamond型DSC、検出範囲:-50℃~200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
また、ポリエステル樹脂を10mg秤量し、前記装置を用いて、窒素気流中、-50℃から昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、昇温時の融解温度のピークをポリエステル樹脂の融点とした。
【0046】
(6)バーフローの流動長評価
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i-100B型)を用いて、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。測定条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、および設定射出速度100mm/秒とした。金型には、厚み1mm、幅20mm、長さ330mmのバーフロー試験用金型を用いた。
◎:バーフロー流動長が80mm以上
○:バーフロー流動長が70mm以上、80mm未満
△:バーフロー流動長が60mm以上、70mm未満
×:バーフロー流動長が60mm未満
【0047】
(7)外観評価、および耐熱性評価
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i-100B型)および所定の金型を用いて、射出成形し、厚さ2mmの板状成形体を得た。
射出成形の条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、設定射出速度100mm/秒、成形サイクル30秒とした。金型には、8000番の鏡面加工を施され、厚さ2mmの板状成形体を得るための金型を用いた。得られた板状成形体の全表面に、アンダーコートすることなくアルミニウムを蒸着した。表面にアルミニウムの蒸着膜が形成された成形体の表面について目視により下記の基準で判定し、外観評価とした。また、蒸着前の成形体の表面についてシルバー発生の有無により下記の基準で判定し、耐熱性評価とした。
【0048】
(外観評価)
○:蒸着面が鏡面で外観が良好である。
×:蒸着面が荒れ、蒸着面が曇り、外観不良である。
【0049】
(耐熱性評価)
○:成形体全体にシルバーの発生は見られず外観が良好である。
△:成形体のゲート部にシルバーが発生し、若干の外観不良が生じている。
×:成形体全体にシルバーが発生し、外観不良である。
【0050】
(8)シャルピー衝撃強度(耐衝撃性)
得られた樹脂組成物を、上記外観評価の射出成形条件と同様にして射出成形し、試験片(V字型切込み付き、ISO316に規定されるサイズ)を得た。得られた試験片を用いて、ISO規格179-1eAにしたがってシャルピー衝撃強度を測定した。
◎◎:10kJ/m2以上
◎:7kJ/m2以上、10kJ/m2未満
○:5kJ/m2以上、7kJ/m2未満
△:3kJ/m2以上、5kJ/m2未満
×:3kJ/m2未満
本発明においては、上記(6)~(8)の評価が何れも△以上であることが好ましく、何れも〇以上であることがより好ましい。
【0051】
[2.原料]
(I)ポリエステル樹脂(A)
調製例1~6の手順により、実施例および比較例で用いるポリエステル樹脂(a1)~(a8)を得た。
【0052】
調整例1
テレフタル酸858g、イソフタル酸858g、エチレングリコール493g、ネオペンチルグリコール624gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃ で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:イソフタル酸:エチレングリコール:ネオペンチルグリコール=50:50:77:58(モル比)とした。次いで、触媒としてテトラブチルチタネートを0.7g(全酸成分の合計1モルあたり2×10-4モル)添加した後、系の温度を240℃ に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、230℃になったところでネオペンチルグリコールを97g(全酸成分の合計1モルあたり0.09モル)添加し、230℃で1時間攪拌して解重合反応を行った。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておきシート状に払い出した。これを室温まで冷却し、粉砕することでポリエステル樹脂(a1)を得た。仕込み組成を表1に、ポリエステル樹脂の組成および特性を表2に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
調製例2~8
仕込組成を、表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂(a1)と同様にして、ポリエステル樹脂(a2)~(a8)をそれぞれ得た。結果を表2に示す。
【0056】
なお、表1中の略語は、以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸
TMA:トリメリット酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
1,4-BD:1,4-ブタンジオール
1,2-PD:1,2-プロパンジオール
1,4-CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
【0057】
(II)熱可塑性樹脂(B)
(b1)ポリカーボネート樹脂(住化ポリカーボネート社製、SDポリカ200-3、極限粘度25℃:0.645dl/g、MFR:3g/10分)
(b2)ポリアリレート樹脂(ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。極限粘度25℃:0.54dl/g、ガラス転移温度Tg:195℃、MFR<1g/10分)
MFRはISO1133に準じ、温度300℃、荷重1.2kgで測定した値である。
【0058】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(a1)と、熱可塑性樹脂(b1)とを、(a1)/(b1)=10/90(質量比)の割合でドライブレンドし、混合物を得た。その後、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製、商品名「CE-W-1」)を用いて、ベント部を一か所有するスクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)の主供給口に、上記の混合物を供給した。そして、押出機にて混合物を溶融混練し、本発明の樹脂組成物を得た。ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取った。押出機の条件は、バレル温度340℃、ベント減圧度-0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmとした。ストランド状に引き取られた樹脂組成物を温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングすることにより、ペレット状の樹脂組成物を得た。ペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機内にて120℃で12時間以上乾燥した。このペレット状の樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0059】
【0060】
実施例2~5、実施例10~12、比較例1および2
用いるポリエステル樹脂(A)、および熱可塑性樹脂(B)の種類を、表3または表4のように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物をそれぞれ得た。得られた樹脂組成物を用いて各種評価をおこなった。評価結果を表3または表4に示す。
【表4】
【0061】
実施例6~9
ポリエステル樹脂(A)、および熱可塑性樹脂(B)の混合割合を、表3のように変更した以外は、実施例3と同様にして、樹脂組成物をそれぞれ得た。得られた樹脂組成物を用いて各種評価をおこなった。評価結果を表3に示す。
【0062】
比較例3および4
ポリエステル樹脂(A)を用いずに、熱可塑性樹脂(B)のみを、表3のとおりに用いて、各種評価をおこなった。評価結果を表4に示す。
【0063】
実施例1~12で得られた本発明の樹脂組成物は、流動性、外観、耐熱性、機械的物性のバランスに優れるものであった。
【0064】
比較例1では、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が25℃未満であったため、得られた樹脂組成物は、耐熱性や機械的物性に劣るものとなった。
【0065】
比較例2では、ポリエステル樹脂(A)の相対粘度が1.45を超えるものであったため、得られた樹脂組成物は、成形品としたときの外観に劣るものとなった。
【0066】
比較例3、4では、本発明にて規定するポリエステル樹脂(A)を用いなかったため、流動性に劣るものであった。