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特開2023-100240調節可能な上半身接続部を有する着用型の補助装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100240
(43)【公開日】2023-07-18
(54)【発明の名称】調節可能な上半身接続部を有する着用型の補助装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091210
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】10 2022 100 206.3
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー エーベルハルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ ハーバウアー-リース
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707CY39
3C707HS23
3C707HT04
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK17
3C707XK24
3C707XK42
3C707XK53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物体を取り扱う際のユーザの負荷を効果的に軽減し、ユーザの解剖学的状態に柔軟に適応させることができる補助装置を提供する。
【解決手段】第1の支持体と第2の支持体とを有する支持構造とを備える着用型の補助装置に関し、前記第1の支持体と前記第2の支持体とは、それぞれ背部セクションとブームセクションとを有し、支持構造をオペレータの骨盤、腰部および/または腰部領域に結合するための下半身接続部と、オペレータの上半身に支持構造を結合するための上半身接続部と、オペレータの手または前腕領域にそれぞれ接続するための第1の手接続部および第2の手接続部と、を備え、第1の支持体が第1の上部接続点で上半身接続部に接続され、第2の支持体が第2の上部接続点で上半身接続部に接続され、前記上半身接続部は、前記第1の上部接続点と前記第2の上部接続点との相対位置が変更可能とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物(14)を持ち上げるおよび/または保持する際にオペレータ(12)を補助するための着用型の補助装置(10)であって、
-第1の支持体(22-1)および第2の支持体(22-2)を有する支持構造(16)であって、前記第1の支持体(22-1)および前記第2の支持体(22-2)は、それぞれ、背部セクション(24-1、24-2)およびブームセクション(26-1、26-2)を備え、その結果、オペレータ(12)が補助装置(10)を着用したときに、前記背部セクション(24-1、24-2)が後方に位置し、オペレータ(12)の背面に実質的に沿って延在し、前記ブームセクション(26-1、26-2)が後方から前方に延在する支持構造(16)と、
-前記オペレータ(12)の骨盤、腰部および/または腰部領域において前記支持構造(16)に結合される下半身接続部(18)と、
-前記オペレータ(12)の上半身、特に背部、肩部および/または胸部領域において前記支持構造(16)に結合される上半身接続部(20)と、
-前記オペレータ(12)の右手または前腕領域に取り付けるための第1の手接続部(40-1)であって、第1の長さ調整可能な連結装置(42-1)を介して第1の支持体(22-1)に連結される第1の手接続部(40-1)と、
-前記オペレータ(12)の左手または前腕領域に取り付けるための第2の手接続部(40-2)であって、第2の長さ調整可能な連結装置(42-2)を介して第2の支持体(22-2)に連結される第2の手接続部(40-2)と、を備え、
前記第1の支持体(22-1)は、第1の上部接続点(32-1)で前記上半身接続部(20)に接続され、前記第2の支持体(22-2)は、第2の上部接続点(32-2)で前記上半身接続部(20)に接続されているとともに、前記上半身接続部(20)は、前記第1の上部接続点(32-1)と前記第2の上部接続点(32-2)との相対的な位置が調節可能とされている
着用型の補助装置(10)。
【請求項2】
前記上半身接続部(20)は、前記第1の上部接続点(32-1)と前記第2の上部接続点(32-2)との間の距離が変更可能とされ、特に調整可能とされている、請求項1に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項3】
前記上半身接続部(20)は、前記着用型の補助装置(10)の前記第1の上部接続点(32-1)および/または前記第2の上部接続点(32-2)の正中面(50)の外側方向および内側方向の位置、ならびに前頭面(52)に対して前方方向および後方方向の位置が、特に互いに独立して変更可能、特に調節可能とされている、請求項1または2に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項4】
前記第1の支持体(22-1)および第2の支持体(22-2)には、補助装置(10)を着用したときに上部接続点(32-1、32-3)を外側方向および内側方向に移動させるように設計された第1の上部調整機構(112)がそれぞれ割り当てられ、且つ/または前記第1の支持体(22-1)および第2の支持体(22-2)には、前記補助装置(10)を着用したときに前記上部接続点(32-1、32-2)を前方方向および後方方向に移動させるように設計された第2の上部調整機構(114)がそれぞれ割り当てられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項5】
前記第1の上部接続点(32-1)および第2の上部接続点(32-2)の相対位置を固定し、特に、前記第1の上部調整機構(112)および/または前記第2の上部調整機構(114)を固定するための固定装置が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項6】
前記第1の支持体(22-1)および前記第2の支持体(22-2)は、前記上半身接続部(20)に枢動可能に接続され、特に、前記第1の支持体(22-1)は、第1の上部ジョイント装置(106-1)を介して前記第1の上部接続点(32-1)において前記上半身接続部(20)に接続され、前記第2の支持体(22-2)は、第2の上部ジョイント装置(106-2)を介して前記第2の上部接続点(32-2)において前記上半身接続部(20)に接続され、さらに、前記第1の上部ジョイント装置(106-1)と前記第2の上部ジョイント装置(106-2)とは、それぞれ少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの枢動自由度を呈する、請求項1~5のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項7】
前記上半身接続部(20)は、前記支持体(22-1,22-2)に、特に上部ジョイント装置(106-1,106-2)を介して接続される上部力分配装置(110)を備え、前記上半身接続部(20)は、前記上部力分配装置(110)に接続され、前記オペレータ(12)の身体部に取り付けられる可撓性の上半身接続部装置(120)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項8】
上半身接続装置(120)は、少なくとも1つの織物部分(122)、特にベルト、ベルトシステム(118)またはカフの形態を含む、請求項7に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項9】
前記上部力分配装置(110)は、前記第1の支持体(22-1)と前記第2の支持体(22-2)との間に延在する基体(108)を備え、前記基体(108)は、特に前記上部ジョイント装置(106-1、106-2)を介して前記支持体(22-1、22-2)に配置される、請求項7または8に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項10】
前記上部力分配装置(110)は、力導入プレート(116)を備え、前記力導入プレート(116)は、一方の面において前記上半身接続装置(120)に接続され、他方の面において上部基体(108)に接続され、前記力導入プレート(116)から前記上部基体(108)までの距離、および/または前記力導入プレート(116)の頭部側および尾部側の位置が変更可能であり、特に調整可能である、請求項7~9のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項11】
第2の上部調整機構(114)が、相互に調整可能な3つのセグメント(126、128、130)を備え、第1のセグメント(126)は上部基体(108)に接続され、第2のセグメント(128)は、特に上部ジョイント装置(106-1、106-2)を介して前記支持体(22-1、22-2)に接続され、第3のセグメント(130)は、前記第1のセグメント(126)と前記第2のセグメント(128)との間に配置され、前記第1のセグメント(126)に枢動可能に接続され、特に、前記第1のセグメント(126)と前記第2のセグメント(128)とは互いに平行に方向付けられている、請求項4を参照する請求項9または10に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項12】
第1の支持体(22-1)は、第1の下部接続点(30-1)において、特に第1の下部ジョイント装置(48-1)を介して、前記下半身接続部(18)に特に枢動可能に接続され、前記第2の支持体(22-2)は、第2の下部接続点(30-2)において、特に、第2の下部ジョイント装置(48-1)を介して前記下半身接続部(18)に特に枢動可能に連結されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項13】
前記第1の下部ジョイント装置(48-1)および前記第2の下部ジョイント装置(48-2)は、それぞれ、前記補助装置(10)が着用されると、前記支持体(22 -1,22-2)の正中面(50)に対する傾斜角(α)および/または前記支持体(22 -1,22-2)の前頭面(52)に対する傾斜角(β)が、特に互いに独立して、特に、調整可能なように設計されている、請求項12に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項14】
前記下半身接続部(18)は、第1の下部接続点(30-1)および第2の下部接続点(30-2)の相対位置が可変であるように設計され、特に、補助装置(10)の着用時に、前記第1の下部接続点(30-1)および/または前記第2の下部接続点(30-2)は、前記正中面(50)に対して外側方向および内側方向の位置、および/または前記前頭面(52)に対して前方方向および後方方向の位置を特に互いに独立に変更可能とされ、更に特に調整可能とされている、請求項12または13に記載の着用型の補助装置(10)。
【請求項15】
前記上半身接続部(18)と前記下半身接続部(20)とは、前記上部接続点(32-1,32-2)と前記下部接続点(30- 1,30-2)との相対位置を、特に互いに独立して調整可能とされている、請求項12~14のいずれか1項に記載の着用型の補助装置(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータが荷重を吊り上げおよび/または保持することを支援するための着用型の補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
補助装置は、荷物を持ち上げるときにユーザに地面に向かう方向に作用する荷重を伝達し、または、少なくとも選択された身体領域、例えばオペレータの腰部領域のみを介して使用者の関節および筋肉システムに分散するために使用することができる。
【0003】
補助装置は、例えば、ユーザの作業場に設置される固定装置または半移動装置として設計することが知られている。例えば、チューブリフター、ロープバランサーまたはマニピュレータのような固定式のリフティング補助具は、従来技術に記載されているが、このリフティング補助具により、物品をピックアップし、1つの位置から別の位置に移動させることができる。しかし、このような補助装置は、柔軟性に制限があり、容易に新しい場所に運び込んで使用できるようにすることができない。
【0004】
補助装置はまた、ユーザが着用することができる完全な移動型装置として設計することも知られている。このような移動型補助装置は、通常、補助装置をオペレータの身体に結合することができ、補助装置と身体との間で力を伝達することができる1つ以上の身体接続部を有する。
【0005】
例えば、いわゆる外骨格が知られており、これは、荷物を吊り上げるための吊り上げ補助装置として使用することができる。つり上げ過程の運動連鎖全体を本質的に外骨格によって再現する、即ち荷重を受ける肢と着用者の運動の自由度(外骨格の「関節」)を外骨格によってできるだけ正確に複製する構成が知られている。このような解決策は、人体形態の外骨格としても知られている。しかし、このような外骨格には複雑さの理由から、人体のすべての自由度がマッピングされるわけではなく、その結果、運動制限が生じ、従って使用の容易さが減少するという欠点がある。さらに、そのような外骨格は重いことが多く、したがって扱いにくい。
【0006】
互いに関連して移動可能な支持要素と、支持要素に堅固に接続された多数の身体取り付け点とを有する非人体形態の吊上げ補助具が、WO 2014/195373 A1から公知である。
【0007】
公知の補助装置は、原則として、ユーザの特定の解剖学的状態に限定された範囲にしか適合させることができないから、身体と補助装置との間の力伝達に負の影響を及ぼし得る。さらに、公知の補助装置においては、オペレータのための移動の自由、従ってユーザのための快適な着用が決まって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2014/195373 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、物体を取り扱う際のユーザの負荷を効果的に軽減し、ユーザの解剖学的状態に柔軟に適応させることができる補助装置を提供することを目的とする。さらに、補助装置は、ユーザのために高度の移動自由度を可能にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する補助装置によって達成される。補助装置は、オペレータが物体を持ち上げ、および/または保持することを補助するために人が身体に着用することができる装置(「身体に着用された持ち上げ補助装置」)の意味で、荷物を持ち上げ、および/または保持することを補助するための着用型の補助装置として設計される。別の言い方をすれば、補助装置は、人が着用できるように設計され、人は補助装置を着用して別の場所に移動することができる。特に、この装置は、オペレータが背中に着用できるように設計される。
【0011】
この補助装置は、荷重の重力および/または慣性力を吸収し、この力をオペレータの特定の身体領域に向け直すように設計された支持構造を備える。
【0012】
支持構造は、第1の支持体(右側)と、第1の支持体から分離された第2の支持体(左側)とを含む。第1および第2の支持体はそれぞれ、背部セクションおよびブームセクションを有する。補助装置がオペレータによって着用されると、支持体は、背部セクションが後方、すなわち背部側、換言すれば身体の「背中側」に配置され、本質的にオペレータの腰部から始まって背部に沿って頭側に延び、即ち股関節から始まってオペレータの背部に沿って頭側に延在するように設計される。このことは、背部セクションがオペレータの背面と正確に平行に走らなければならないことを必ずしも意味しない。ブームセクションは、補助装置が着用されると、後方から前方すなわち腹側、言い換えれば「体の後方から前方」に延在するように設計される。オペレータが直立している場合、背部セクションは、特に、実質的に垂直に延在し、ブームセクションは、少なくともセクション内で水平に延在する。この点に関して、背部セクションは垂直支持体を形成することができ、ブームセクションは水平支持体を形成することができる。
【0013】
背部セクションおよび/またはブームセクションは、長手方向に沿って直線であってもよく、または、長手方向に沿って少なくとも一部の区間において湾曲していてもよい。ブームセクションは、特に背部セクションに接続することができる。ブームセクションは、それぞれ補助装置を着用したときにオペレータの肩上に延在することが好ましい。背部セクションとブームセクションとは、一体的に形成されてもよく、別々に形成されてもよい。特に、背部セクションは、ブームセクションに、例えば、第1および/または第2のブーム枢動軸(後述参照)の周りに回動可能に接続することができる。特に、背部セクションとブームセクションとは、本質的に寸法安定であるように設計される。例えば、支持体は、管材および/または所定の長さに切断されたプロフィール材から形成することが考えられる。補助装置を異なる身体のサイズ、特に背中の長さに適合させることができるように、それぞれの支持体自体の背部セクションが可変長に設計されていると有利である。また、ブームセクションの長さは可変とすることが考えられる。
【0014】
補助装置はまた、オペレータの上半身に支持構造を結合するための上半身接続部、特に上半身接続部を含む。特に、上半身接続部は、支持構造をオペレータの背部、肩部および/または胸部領域に連結するように設計することができる。
【0015】
補助装置はまた、オペレータの骨盤、腰部および/または腰部領域に支持構造を結合するための下半身接続部、特に腰部接続部を含む。特に、下半身接続部は、支持構造をオペレータの脚部、例えば大腿、膝または下肢に取り付けるようには設計されていない。
【0016】
上半身接続部と下半身接続部は、特に、身体と支持構造との間で力が伝達されるように設計されている。特に、上半身接続部は、支持構造の死重、静的平衡に必要な支持反力、および支持体のガイド力を体内に導入するように設計することができる。下半身接続部は、特に、荷重の取扱いに起因する力およびモーメントを身体に導入するように設計することができる。特に、上半身接続部および/または下半身接続部は、支持構造をオペレータの身体領域に固定し、したがってオペレータの身体上に補助装置を保持するように設計される。この点に関して、上半身接続部および/または下半身接続部は、特に支持構造を上半身接続部および/または下半身接続部によって身体に連結することによって、オペレータが補助装置を「着用」できるように設計される。上半身接続部および/または下半身接続部は、支持構造に取り外し可能に接続することができ、特に、再び装着および脱着を繰り返すことができる。上半身接続部と下半身接続部は、好ましくは、互いに離れた位置に配置され、特に、支持構造上に互いに力結合される。これは、保持された荷重から直接生じる垂直力は、使用者の上半身には導入されないか、またはごく一部しか導入されないという利点を有する。
【0017】
補助装置は、オペレータの右手または前腕領域、例えば、オペレータの右の手首および/または手根部に接続するための、第1の(右)手接続部も含む。第1の手接続部は、第1の支持体、特に第1の支持体のブームセクションの自由端に、長さが可変である第1の接続装置を介して接続される。
【0018】
補助装置はまた、オペレータの左手または前腕領域、例えばオペレータの左の手首および/または手首に取り付けるための第2の(左)手接続部を含む。第2の手接続部は、第2の長さ調整可能な接続装置を介して、第2の支持体、特に第2の支持体のブームセクションの自由端に接続される。
【0019】
手接続部は、人の手と補助装置との間のリンクとして機能する。保持された負荷の重さおよび慣性力は、手接続部および接続装置を介して支持構造に導入され、次いで、オペレータの身体の選択された領域に身体接続部を介して導入することができる。提案された補助装置においては、サポートは、特にオペレータの手首から開始される。手接続部は、好ましくは、人間の手が吊り上げられる物体を把持するために使用されるように設計され、これは、その汎用性の点で技術的把持システムよりも優れている。この目的のために、手動接続は異なる方法で設計することができる。例えば、手首および場合によっては手根部を包むカフとしての実施形態が考えられる。
【0020】
長さ調節可能な接続装置は、特に引張ケーブルとして設計することができる。この点に関して、第1の引張ケーブルを介して第1の手接続部を第1の支持体に接続することができ、第2の引張ケーブルを介して第2の手接続部を第2の支持体に接続することができる。特に、ケーブルを駆動するための共通のまたはそれぞれの駆動装置を設けることができる。このようにして、オペレータに対する能動的支持、例えば、吊り上げ作業または荷重の静的保持を達成することができる。少なくとも1つの駆動装置は、特に、支持構造上に保持することができる。特に、引張ケーブルのケーブルは、ケーブルガイドを介して、好ましくは、それぞれの支持体内を走行し、支持体、特にブームセクションからケーブル偏向装置を介して出るように導かれる。
【0021】
提案された補助装置において、第1の支持体、特に第1の支持体の背部セクションは、第1の上部接続点で上半身接続部に接続され、第2の支持体、特に第2の支持体の背部セクションは、第2の上部接続点で上半身接続部に接続される。また、上半身接続部は、特に、第1の上部接続点と第2の上部接続点との相対位置が調整されるように設計される。
【0022】
このような構成により、補助装置をオペレータの背中の形状に柔軟に適応させることが可能となり、したがってオペレータの上半身に効率的に力を導入することが可能となる。さらに、このような補助装置により、作業者は、補助装置を着用したときにできるだけ妨げられないように作業活動を行うことができるように、着用快適性が向上する。特に、上半身接続は、第1の上部接続点および第2の上部接続点の相対位置を変更するように設計された少なくとも1つの調整機構を含む。
【0023】
特に有利には、上半身接続部は、第1の上部接続点と第2の上部接続点との間の距離を調整することができるように設計することができる。上半身接続は、特に、オペレータによって補助装置が着用されるときに、第1の上部接続点および/または第2の上部接続点の位置が、正中面に対して外側方向および/または内側方向に、すなわち、特に正中面に対して直交するように変更され得るように設計することができる。この文脈では、解剖学的構造において一般的なように、正中面は、前方身体壁から後方身体壁まで延び、身体を左右対称に分割する特に垂直な身体平面を示す。このような構成により、上半身接続部をオペレータの所与の背面幅に適合させることが可能となり、したがって、オペレータに最適な適合状態で補助装置を設定することが可能となる。
【0024】
上半身接続部は、オペレータが補助装置を着用したときに、前方(腹側)方向および/または後方(背側)方向における第1の上部接続点および/または第2の上部接続点の位置を、特に前頭面に対して調整することができるように設計することもできる。これにより、オペレータの背中までのサポートの距離を調整することが可能になる。
【0025】
有利な実施形態の枠組みにおいて、上半身接続部は、第1の上部調整機構を有してよく、これは、補助装置が着用されたときに、第1および/または第2の上部接続点の位置を正中面に対して外側方向および/または内側方向に移動させ、したがって、支持体間の距離を互いに調整するように設計される。第1および第2の上部接続点の位置を互いに独立して設定することができるように、第1および第2の支持体は、それぞれ、補助装置が着用されたときにそれぞれの支持体の上部接続点を正中面に対して外側方向および/または内側方向に移動可能に設計された第1の上部調整機構を割り当てると都合がよい。例えば、上半身接続部、特に上半身接続部の基部に保持された歯付きラック上に支持体をそれぞれ保持し、歯付きラック機構を介して外側方向および内側方向に可動とすることがと考えられる。
【0026】
代替的または追加的に、上半身接続部は、補助装置が着用されたときに前頭面に対して前方および/または後方方向における第1および/または第2の上部接続点の位置を変更するように設計された第2の上部調整機構を有してよく、したがって、特に、支持体のオペレータの背面に対する距離を変更するように設計される。第1および第2の支持体がそれぞれ第2の上部調整機構を割り当てられ、補助装置が着用されたときに、それぞれの支持体の上部接続点を前頭面に対して前方方向および後方方向に変位させるように設計されている場合、特に有利であることが証明されている。この点に関して、各支持体は、それ自身の第1の上部調整機構および/または第2の上部調整機構に割り当てることができる。
【0027】
例えば、作業プロセスの間にオペレータの解剖学的構造にうまく適応させた後の補助装置の望ましくない調整を防止するために、補助装置が、第1および第2の上部接続点の相対的位置を決定するためのロック装置を備えていても有利であり得る。特に、第1および/または第2の調整機構は、例えば、対応するラッチ機構を介してロック可能であるように設計することができる。
【0028】
有利な発展例の枠組みにおいて、第1および第2の支持体は、それぞれ、上半身接続部に連結され得る。このように支持体を上半身接続部に連結することにより、支持構造と上半身接続部との相対的な移動が可能となり、補助装置が着用されたときのオペレータの移動の自由度が増大する。特に、第1の支持体は、第1の上部ジョイント装置を介して第1の上部接続点で上半身接続部に接続され、第2の支持体は、第2の上部ジョイント装置を介して第2の上部接続点で上半身接続部に接続される。第1の上部ジョイント装置および第2の上部ジョイント装置の各々が、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの枢動自由度を有している場合、すなわち、特に、支持体が上部身体接続に対して少なくとも3度の自由度に沿って移動することができるように設計されている場合には、特に有利であることを証明することができる。
【0029】
有利な実施形態の枠組みにおいて、上半身接続部は、支持体、特に支持体の背部セクションに接続された上部力分配装置を含むことができる。上半身接続部は、上半身接続装置に接続され、オペレータの上半身領域に接続するために、特にオペレータの解剖学に適合させることができる柔軟な上半身接続装置を備えてもよい。上部力配分装置は、特に、支持体からの力を吸収し、それらを上半身接続装置に向け直すように設計されており、この装置は、オペレータの身体に力を導入する。
【0030】
上半身接続装置は、特に、少なくとも1つの織物部分を備え、特に、織物部分によって構成することができる。少なくとも1つの織物部分は、例えば、ベルトまたはカフの形態で設計することができる。例えば、上半身接続装置がベルトシステムを備えることも考えられる。特に、ベルトシステムは、補助装置がオペレータによってバックパックのように着用されるように設計することができる。
【0031】
有利な実施形態の枠組みにおいて、特に上部力分配装置は、前記支持体が上部ジョイント装置を介して配置される上部基体を有してよい。好ましくは、上部基体は、第1の支持体と第2の支持体との間、特に第1の支持体の背部セクションと第2の支持体の背部セクションとの間に延在する。この点において、上部基体は、第1と第2の支持体との間の上部接続部材として機能する。上部基体は、1つ又は複数の部品で構成することができる。
【0032】
力の効果的な導入のために、上部力分配装置が、オペレータの背面領域への水平力の導入を支持するための力導入プレートを備える場合にも有利であり得る。力導入プレートは、特に、補助装置が着用されるときに、力導入プレートが、オペレータの背面、特に背面の中央に平行に整列されるように、上半身接続部に配置される。力導入プレートは、好ましくは、特に、力導入プレートと上部基体との間の距離、従って基体と背部セクションとの間の距離を調整できるように、上部基体に接続される。力導入プレートはまた、好ましくは、上半身接続装置、例えば、力導入プレートが、特に、頭部、すなわち、オペレータの頭部の方向、または尾部、すなわち、オペレータの殿部の方向において位置を調整することができるように上述のベルトシステムに接続される。例えば、上述したベルトシステムの長さを変更することにより、力導入プレートの位置を頭側または尾側に変更することができると考えられる。このような構成は、力導入プレートの位置をオペレータの解剖学的状態に柔軟に適応させることを可能にし、従って、身体を達成するために効果的な力の印加を可能にする。
【0033】
有利な実施形態の枠組みにおいて、第2の上部調整機構は、互いに相対的に調整することができる3つのセグメントを備えることができ、第1のセグメントは、上部力分配装置、特に上部基体に接続され、第2のセグメントは、特に上部ジョイント装置を介して、それぞれの支持体に接続される。次いで、第3のセグメントは、特に、第1および第2のセグメントの間に配置され、第1のセグメントに枢動可能に、かつ第2のセグメントに枢動可能に接続される。このような構成により、背面からの上部接続点の距離を簡単に設定することができる。第2の上部調整機構は、好ましくは、第1のセグメントと第2のセグメントとが常に互いに平行に並ぶように設計される。
【0034】
支持構造は、支持体を介してのみ下半身接続部に結合されると考えられる。しかしながら、力を効率的に導入するためには、第1の支持体が第1の下部接続点で下半身接続部に接続され、第2の支持体が第2の下部接続点で下半身接続部に接続される場合に有利であることが分かる。有利な発展例の枠組みにおいて、第1の支持体および第2の支持体は、それぞれ、下半身接続部に関節によって接続されてもよい。特に、第1の支持体は、第1の下部ジョイント装置を介して第1の下部接続点で下半身接続部に接続することができ、第2の支持体は、第2の下部ジョイント装置を介して第2の下部接続点で下半身接続部に接続することができる。このような構成は、オペレータの移動の自由度をさらに増加させる。さらに、支持体を下半身接続部に連接させることにより、特に両方の支持体が下半身接続部に接続される場合、上部接続点間の距離を下部接続点間の距離とは独立に設定することができる。
【0035】
第1の下部ジョイント装置および第2の下部ジョイント装置がそれぞれ少なくとも2つ、特に3つの枢動自由度を有する場合、特に有利であることが証明されている。特に、第1の下部ジョイント装置および第2の下部ジョイント装置は、補助装置が着用されるとき、正中面に対する支持体の傾斜角および/または前頭面に対する支持体の傾斜角を、特に互いに独立して調整することができるように、それぞれ設計することができる。このような実施形態では、上半身接続のための上述の調整オプションにより、特に下部接続点間の距離が固定されている場合、支持体を正中面および前頭面に対して傾斜させることができる。好ましくは、第1の支持体および第2の支持体は、それぞれボールジョイントを介して下半身接続部に接続され得る。
【0036】
また、身体への力の効率的な導入のために、補助装置を、下半身接続部の領域内のオペレータの身体寸法に可変的に適合させることができる場合も有利である。この目的のために、下半身接続部は、特に第1の下部ジョイント装置および第2の下部ジョイント装置の第1の下部接続点および第2の下部接続点の相対位置が、特に調整されるように設計することができる。このように、上半身接続部の上述の調節可能性と組み合わせて、異なる解剖学的構造を再現することができる。下半身接続部が、オペレータによって補助装置が着用されたときの第1の下部接続点および/または第2の下部接続点の位置が、正中面に対して外側方向および/または内側方向に調整でき、且つ/または、特に、前頭面に対して前方方向および/または後方方向に調整できるように設計される場合、特に有利であり得る。これにより、下半身接続部を、オペレータの腰部の幅および/または対応する腰部の丸みに適応させ、第1および/または第2の下部接続点からオペレータの背部までの距離を設定することが可能になる。
【0037】
上半身接続部と下半身接続部とが、上部接続点の相対位置と下部接続点の相対位置とを、特に、互いに独立に調整できるように設計されている場合には、特に有利である。このような構成により、例えば広い肩と狭い腰部との組合せなど、異なる解剖学的構造の組合せをマッピングすることが可能になる。これは、特に、下半身接続部および/または上半身接続部と、上半身接続部および/または下半身接続部を有する支持体のジョイント接続部と、の調整可能性を組み合わせることによって促進され得る。
【0038】
有利な実施形態の枠組みにおいて、第1の支持体のブームセクションは、第1の支持体の背部セクションに枢動可能に接続され得、第2の支持体のブームセクションは、第2の支持体の背部セクションに枢動可能に接続され得る。それぞれのブームセクションは、好ましくは、それぞれの背部セクション上に配置され、第1の、特に垂直のブーム枢動軸が背部セクションの長手軸に平行に回動可能である。これにより、補助装置を着用したとき、特に後方部分を枢動させる必要なく、伸長ブームセクション分を左または右に枢動させることが可能になる。代替的または追加的に、それぞれのブームセクションは、背部セクションの縦軸およびブームセクションの縦軸に直交する、特に水平な第2のブーム枢動軸の周りを枢動可能にするように、背部セクション上に配置することができる。これにより、ブームセクションを「上」または「下」に枢動させることができ、背部セクションを枢動させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、図面を参照して、以下により詳細に説明される。
図1図1は、補助装置の一実施形態の略図である。
図2図2は、補助装置の使用状況を説明するための略図である。
図3図3は、補助装置の上半身接続部の平面図での略図である。
図4図4は、上半身接続部の身体接続装置を説明するための略図である。
図5図5は、上半身接続部の一実施形態の正面図での略図である。
図6図6は、上半身接続部の一実施形態の背面図での略図である。
図7図7は、調整可能性を説明するための補助装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明および図面において、同一または対応する特徴に対して同一の参照記号が使用される。
【0041】
図1は、簡略化された概略図において、参照番号10によって全体的に示される、着用型の補助装置を示す。補助装置10は、荷物14(図2参照)を持ち上げ、および/または搬送するときに、オペレータ12を支持するように設計されている。以下に詳細に説明するように、補助装置10は、オペレータ12によって着用され、搬送される移動装置の意味で設計される。
【0042】
補助装置10は、荷重支持力、特にオペレータ12によって保持される荷重14の重量および/または慣性力を吸収し、それをオペレータ12の特定の身体領域に伝達するように設計された支持構造16を備える。この目的のために、補助装置10は、支持構造16をオペレータ12の骨盤、腰部および/または腰部領域に結合するための下半身接続部18を備える。下半身接続部18は、例えば、オペレータ12の腰部を固定するヒップベルト(図示せず)を有してよい。補助装置10は、支持構造16をオペレータ12の上半身に結合するための上半身接続部20も含む(以下に詳細に説明する)。
【0043】
支持構造16は、第1の(右)支持体22-1と第2の(左)支持体22-2とを含む。図1から分かるように、支持体22-1、22-2はそれぞれ、背部セクション24-1、24-2およびブームセクション26-1、26-2を備える。図示の例では、背部セクション24-1、24-2は、支持コネクタ28を介してブームセクション26-1、26-2に接続されているが、これは概略的にのみ示されている。また、背部セクション24-1,24-2は、対応するブームセクション26-1,26-2と一体に形成されていると考えられる。ブームセクション26-1、26-2は、対応するブームジョイント(図示せず)を介して対応する背部セクション24-1、24-2に枢動可能に接続されることも考えられる。例えば、ブームジョイントは、それぞれのブームセクション26-1、26-2が、背部セクション24-1、24-2の長手軸54に平行な第1の特に垂直なブーム枢動軸を中心に、および/または背部セクション24-1、24-2の長手軸54に対して、およびブームセクション26-1、26-2の長手軸55に対して、第2の特に水平なブーム枢動軸に対して枢動できるように設計することができる。
【0044】
図1に概略的に示すように、第1の支持体22-1は、第1の下部接続点30-1において下半身接続部18に接続され、第1の上部接続点32 - 1において上半身接続部20に接続される。従って、第2の支持体22-2は、第2の下部接続点30-2において下半身接続部18に、第2の上部接続点32-2において上半身接続部20に接続される(後述)。
【0045】
図2から分かるように、補助装置10は、オペレータ12によって補助装置10が着用されると、背部セクション24-1、24-2が後方に、すなわちオペレータ12の背面側34上に配置され、オペレータ12の背中部に沿って(例えば、図2において、垂直に)下半身接続部18から本質的に頭蓋側に延在するように設計される(図2において矢印36参照)。ブームセクション26-1、26-2は、補助装置10が着用されると、それらが後方から前方、すなわち、オペレータ12の後方34から前方38まで、特にオペレータの肩上に延在するように設計される。
【0046】
図示の実施例では、背部セクション24-1、24-2およびブームセクション26-1、26-2は互いに直交している。しかし、図示されていない構成の場合には、他の構成も考えられる。例えば、各ブームセクション26-1,26-2は、背部セクション24-1,24-2に隣接し、補助装置10を着用するとブームセクション26-1,26-2が後方から前方に延在するような曲率を有すると考えられる。
【0047】
補助装置10はまた、オペレータ12の右手または前腕領域に取り付けるための第1の手接続部40-1と、オペレータ12の左手または前腕領域に取り付けるための第2の手接続部40-2とを含む。図に概略的に示すように、第1の手接続部40-1は、第1の特に長さが可変の接続装置42-1を介して、第1の支持体22-1のブームセクション26-1に接続される。第2の手接続部40-2は、第2の特に長さが可変の接続装置42-2を介して、第2の支持体22-2のブームセクション26-2に接続されている。一例として、好ましくは、接続装置42-1、42-2は、駆動される引張ケーブル44-1、44-2とすることができる。補助装置10はまた、好ましくは支持構造16(図2参照)に取り付けられる、各引張ケーブル44-1、44-2のための共通または別個の駆動装置46を有してよい。次いで、補助装置10は、各引張ケーブル44-1、44-2、特に支持体22に対して、駆動装置46から手接続部40-1、40-2にケーブルを案内するように適合された一体型ケーブルガイド(図示せず)を含むことができる。特に、ケーブルは、ケーブル偏向装置(図示せず)を介してブームセクション26-1、26-2の自由端に出すことができる。
【0048】
図3は、簡略化された概略図において、上半身接続部20の一例の構成を平面図で示す。図示の実施例では、上半身接続部20は、背部セクション24-1、24-2の間に配置され、上部接続点32-1、32-2でそれに接続される上部基体108を備える。基体108は、支持体22-1、22-2から力を吸収し、方向転換するように設計された上部力分配装置110の一部である。
【0049】
上半身接続部20はまた、上部力分配装置110の一部でもある力導入プレート116を備える。例えば、好ましくは、力導入プレート116は、上部基体108と力導入プレート116との間の距離、従って上部基体108と背部セクションとの間の距離を特に調整することができるように、上部基体108に摺動可能に取り付けられる。
【0050】
図4に例示するように、力導入プレート116はベルトシステム118に接続されており、このベルトシステム118を介して補助装置10をオペレータ12の上半身に接続することができる。この点に関して、ベルトシステム118は、上半身接続装置120を形成する。一例として、好ましくは、ベルトシステム118は、好ましくは織物で作ることができる複数のベルト122を含む。ベルトシステム118は、例えば、補助装置10がバックパックのように着用されるように設計される。特に、力導入プレート116をベルトシステム118に接続して、力導入プレート116の位置を変位させることができ、かくして、上半身接続部20の位置を頭部側36または尾部側104に変更することができる。
【0051】
上半身接続部は、第1の調整機構112を備え、この第1の調整機構112は、第1の上部接続点32-1および第2の上部接続点32-2の位置を正中面50に対して外側方向または内側方向に変化させ、したがって、第1の上部接続点32-1および第2の上部接続点32-2から基体108までの距離(図3において二重矢印124によって示される)を変化させるように設計される。このようにして、支持体22-1、22-2間の距離を調整することができる。例えば、第1の上部調整機構112は、左側の歯付きラック77-1および右側の歯付きラック77-2を備えてよく、このラックを介して、支持体22-1、22-2は、基体108(図6も参照)上に摺動可能に取り付けられる。
【0052】
上半身接続部20はまた、第2の上部調整機構114を備え、この第2の上部調整機構114は、上部接続点32-1、32-2を前頭面52に対して前方に(図3の矢印72参照)、または前頭面52に対して後方に(図3の矢印74参照)変化させ、特に調整するように設計される。第2の上部調整機構114の例示的な構成は、図3においてのみ概略的に示される。例えば、第2の上部調整機構114は、3つのセグメント126、128、130を含む。図3から分かるように、第1のセグメント126は、上部基体108、特に第1の調整機構112、76に接続されている。第2のセグメント128は、それぞれの支持体22-1、22-2に接続されている。第3のセグメント130は、第1のセグメント126と第2のセグメント128の間に配置され、ピボット接続132を介して第1のセグメント126と第2のセグメント128との両方に接続されている。例えば、図に示されるように、第2の上部調整機構114は、第1のセグメント126と第2のセグメント128とが常に互いに平行に配置されるように設計される。
【0053】
任意選択的に、第1の支持体22-1は、第1の上部接続点32-1において第1の上部ジョイント装置106-1を介して上半身接続部20に接続され、第2の支持体22-2は、第2の上部接続点32-2において第2の上部ジョイント装置106-2を介して上半身接続部20に接続される。上部ジョイント装置106-1、106-2の例示的な構成が図5に示され、上部調整機構112、114のみが示される。図示の例では、上部ジョイント装置106-1、106-2は、それぞれ3つの枢動自由度を有する。具体的には、上部ジョイント装置106-1、106-2は、それぞれ、第1の枢動軸136を中心とする第1の枢動自由度(図5の矢印134によって示される)を有する。上部ジョイント装置106-1、106-2は、それぞれ、第1の枢動軸136に直交する第2の枢動軸140を中心とする第2の枢動自由度(図5の矢印138によって示される)を有する。さらに、上部ジョイント装置106-1、106-2は、それぞれ、支持体22-1、22-2の長手軸54に沿った平行自由度(図5において、二重矢印142によって示される)を有する。補助装置10が着用されると、第1の枢動軸136は、正中面50に対して直交して配向され、第2の枢動軸140は、前頭面52に対して直交して配向される(図3参照、図5における図面の平面に対応)。
【0054】
図示された例では、第1の枢動自由度134は、第1および第2の調整機構112、114(図6も参照)を介して上部基体108に接続された第1の枢動ジョイント144によって提供される。第2の枢動自由度138は、第1の枢動ジョイント144に接続された第2の枢動ジョイント146によって提供される。並進自由度は、第2の枢動ジョイント146に接続され、それぞれの支持体22-1、22-2が、長手軸54に沿って変位することができるように収容される変位スリーブ148によって提供される。変位スリーブ148は、好ましくは、支持体22-1、22-2が変位スリーブ148内に収容され、その長手軸54の周りを枢動することができるように設計される。上半身接続部20は、正中面50に対して対称に形成されることが好ましい。
【0055】
上述した上半身接続部20の例示的な構成は、図6に示されており、同一のまたは対応する特徴に対して使用される同一の参照番号が示されている。図示の例では、上部ジョイント装置(106-1、106-2)は、それぞれ、第1および第2の枢動軸136、140に直交する第3の枢動軸152を中心とする任意の第3の枢動ジョイント150をさらに含む。
【0056】
図1に示すように、任意選択的に第1の支持体22-1は、第1の下部ジョイント装置48-1を介して第1の下部接続点30-1において下半身接続部18に接続することができ、第2の支持体22-2は、第2の下部ジョイント装置48-2を介して第2の下部接続点30-2において下半身接続部18に接続することもできる。図中の例では、下部ジョイント装置48-1、48-2は、ボールジョイント56-1、56-2として設計されている。この点において、下部ジョイント装置48-1,48-2は、それぞれの支持体22-1、22-2の正中面50に対する傾斜角α(図7のcf)、およびそれぞれの支持体22-1、22-2の前頭面52に対する傾斜角を変化させることができる。また、下半身接続部18は、任意選択的に、補助装置10を着用したときに、下部接続点30-1と30-2との間の距離および/または位置を、前頭面52に対して前方方向または後方方向に調整可能に設計することもできる。
【0057】
補助装置10の有利な効果は、支持体22-1、22-2の上半身接続部20への関節接続と、上半身接続部20の上述の調整可能性との組合せから生じることができる。図7に概略的に示すように、上部ジョイント装置106-1、106-2と組み合わせて上部接続点32-1、32-2の距離を変更することにより、支持体22-1、22-2の正中面50に対する傾斜角αを調整することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】