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特開2023-100303メイン装置、サブ装置、及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100303
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】メイン装置、サブ装置、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/42 20060101AFI20230711BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G06F13/42 320A
G06F13/38 340C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000852
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 高浩
【テーマコード(参考)】
5B077
【Fターム(参考)】
5B077DD11
5B077FF04
(57)【要約】
【課題】クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができるサブ装置を提供する。
【解決手段】サブ装置(200)は、受信部(202)と、ステータス信号送信部(201、209)と、リード用メモリ(208)と、ステータス設定部(210)と、を備える。前記受信部は、メイン装置(100)からのリードコマンドを受信するように構成される。前記ステータス信号送信部は、ステータス信号を前記メイン装置に送信するように構成される。前記ステータス設定部は、前記リード用メモリにリードデータを準備できたか否かを判定し、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できた場合に、前記ステータス信号を第1状態にし、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できていない場合に、前記ステータス信号を第2状態にするように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン装置からのリードコマンドを受信するように構成される受信部と、
ステータス信号を前記メイン装置に送信するように構成されるステータス信号送信部と、
リード用メモリと、
前記リード用メモリにリードデータを準備できたか否かを判定し、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できた場合に、前記ステータス信号を第1状態にし、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できていない場合に、前記ステータス信号を第2状態にするように構成されるステータス設定部と、
を備える、サブ装置。
【請求項2】
前記ステータス設定部は、前記リード用メモリにリードデータを準備できたと判定した場合であっても、前記リード用メモリが空であるときには、前記ステータス信号を前記第2状態にするように構成される、請求項1に記載のサブ装置。
【請求項3】
前記ステータス信号送信部は、前記受信部によるリードコマンドの受信をトリガーとして、前記ステータス信号を送信する、請求項1又は請求項2に記載のサブ装置。
【請求項4】
ライト用メモリと、
ライトコマンドに対する肯定応答信号を生成するように構成される肯定応答信号生成部と、を備え、
前記受信部は、前記メイン装置からのライトコマンドも受信するように構成され、
前記肯定応答信号生成部は、前記ライト用メモリへのデータの連続書き込みが可能であるか否かを判定し、前記連続書き込みが可能な場合に前記肯定応答信号を生成するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のサブ装置。
【請求項5】
リードコマンドをサブ装置に送信するように構成される送信部と、
前記サブ装置からのステータス信号を受信するように構成されるステータス信号受信部と、
前記ステータス信号が第1状態であるときに前記送信部に前記リードコマンドを再送させ、前記ステータス信号が第2状態であるときに前記サブ装置からのデータ読み出しを行うように構成される制御部と、
を備える、メイン装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のサブ装置と、請求項5に記載のメイン装置と、を備える、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、互いに通信を行うメイン装置及びサブ装置、並びに上記メイン装置及び上記サブ装置を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイン装置がI2C通信を使ってサブ装置からデータを読み出す通信システムが、各種の電気機器に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-96960号公報(段落0021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記通信システムにおいて、サブ装置側でデータの準備が完了するまでにサブ装置からメイン装置にデータが送信されると、メイン装置は誤ったデータを読み出すという不具合が発生する。
【0005】
上記不具合の発生を防止するための対策としては、メイン装置は、データが準備できていることをサブ装置が保証できる最大の時間待って、メイン装置はサブ装置にデータ送信を指示する構成とする。この構成の場合、サブ装置が早くデータを準備できたときには、メイン装置は、無駄な時間を待つことになる。その結果、通信のオーバーヘッドが大きくなり、通信に時間がかかる。
【0006】
上記不具合の発生を防止するための対策としては、I2Cのクロックストレッチという規格を利用する(例えば特許文献1参照)。クロックストレッチを利用すれば、サブ装置からメイン装置によるクロックの生成を抑制できるので、メイン装置の待機時間をサブ装置のデータ準備時間に応じて最適化できる。しかしながら、クロックストレッチはオプション規格であるため、メイン装置がクロックストレッチの機能を実装しているとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されているサブ装置は、受信部と、ステータス信号送信部と、リード用メモリと、ステータス設定部と、を備える。前記受信部は、メイン装置からのリードコマンドを受信するように構成される。前記ステータス信号送信部は、ステータス信号を前記メイン装置に送信するように構成される。前記ステータス設定部は、前記リード用メモリにリードデータを準備できたか否かを判定し、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できた場合に、前記ステータス信号を第1状態にし、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できていない場合に、前記ステータス信号を第2状態にするように構成される。
【0008】
また、本明細書に開示されているメイン装置は、送信部と、ステータス信号受信部と、制御部と、を備える。前記送信部は、リードコマンドをサブ装置に送信するように構成される。前記ステータス信号受信部は、前記サブ装置からのステータス信号を受信するように構成される。前記制御部は、前記ステータス信号が第1状態であるときに前記送信部に前記リードコマンドを再送させ、前記ステータス信号が第2状態であるときに前記サブ装置からのデータ読み出しを行うように構成される。
【0009】
また、本明細書に開示されている通信システムは、上記構成のサブ装置と、上記構成のメイン装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示されている発明によれば、クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの一構成例を示す図である。
図2図2は、ライトパケットの概略構成例を示す模式図である。
図3図3は、リードパケットの概略構成例を示す模式図である。
図4図4は、メイン装置がリードパケットをサブ装置に送信する場合の通信システムの概略動作を示すフローチャートである。
図5図5は、メイン装置がライトパケットをサブ装置に送信する場合の通信システムの概略動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る通信システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<通信システムの構成>
図1は、実施形態に係る通信システムの一構成例を示す図である。図1に示す通信システムSYS1は、メイン装置100と、サブ装置200と、を備える。メイン装置100及びサブ装置200は、メイン装置100から出力されるクロック信号に基づきI2C通信を行う。
【0013】
メイン装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、プログラムメモリ102と、データメモリ103と、バス104と、パケット用メモリ105と、送信部106と、送受信切替部107と、リード用メモリ108と、ステータス信号受信部109と、を備える。
【0014】
CPU101は、プログラムメモリ102に記憶されているプログラムに従ってメイン装置100全体を制御する。
【0015】
プログラムメモリ102はプログラムを記憶し、データメモリ103はデータを記憶する。
【0016】
バス104は、CPU101と、プログラムメモリ102と、データメモリ103と、パケット用メモリ105と、リード用メモリ108と、ステータス信号受信部109と、を相互に接続する。
【0017】
パケット用メモリ105は、パケットを一時的に記憶する。パケット用メモリ105としては、例えばFIFO(First-In First Out)を用いることができる。
【0018】
ライトパケットは、サブ装置200のデータメモリ207にデータを書き込むためのパケットである。図2は、ライトパケットの概略構成例を示す模式図である。
【0019】
図2に示すライトパケットは、先頭から順に、I2C規格で規定されている第一バイト1、I2C規格で規定されているデータ2が並ぶ構成である。
【0020】
第一バイト1は、サブ装置IDと方向に関する情報を含む。図2に示す例では、方向が「0」になっている。この「0」は、メイン装置100からサブ装置200への情報の書き込みが行われることを示している。ライトパケットでは、この「0」は、サブ装置200のメモリアドレスとメモリへの書き込みが行われることを示している。
【0021】
データ2の内容は、ユーザ側が自由に決めることができる。図2に示す例のデータ2では、ライトコマンドである「0」、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:8]、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[7:0]、サブ装置200のデータメモリ207に書き込まれるデータ1~4、及びチェックサムが並ぶ。ライトコマンドである「0」は、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:0]にデータを書き込むことを示している。
【0022】
リードパケットは、サブ装置200のデータメモリ207からデータを読み出すためのパケットである。図3は、リードパケットの概略構成例を示す模式図である。
【0023】
図3に示すリードパケットは、先頭から順に、I2C規格で規定されている第一バイト11、I2C規格で規定されているデータ12、I2C規格で規定されている第一バイト13~15が並ぶ構成である。
【0024】
第一バイト11、13~15それぞれは、サブ装置IDと方向に関する情報を含む。
【0025】
図3に示す例では、第一バイト11における方向が「0」になっている。この「0」は、メイン装置100からサブ装置200への情報の書き込みが行われることを示している。リードパケットでは、この「0」は、サブ装置200のメモリからの読み出しを定義するデータを書き込むことを示している。
【0026】
データ12の内容は、ユーザ側が自由に決めることができる。図3に示す例のデータ12では、「1」、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:8]、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[7:0]、及びチェックサムが並ぶ。ここでの「1」は、サブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:0]からデータを読み出すことを示している。
【0027】
図3に示す例では、第一バイト13~15における方向が「1」になっている。この「1」は、メイン装置100がサブ装置200からの読み込みを行うことを示している。つまり、この「1」は、先に指定したサブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:0]からデータを読み出すことを指示するリードコマンドである。
【0028】
図3に示す例では、メイン装置100による第一バイト13の送信後に、メイン装置100による第2状態(0x00)のステータス信号ST1の受信があるため、第2状態(0x00)のステータス信号ST1がメイン装置100によって認識されてから所定の待機時間を経て、メイン装置100によって第一バイト14が送信される。
【0029】
また、図3に示す例では、メイン装置100による第一バイト14の送信後に、メイン装置100による第2状態(0x00)のステータス信号ST2の受信があるため、第2状態(0x00)のステータス信号ST2がメイン装置100によって認識されてから所定の待機時間を経て、メイン装置100によって第一バイト15が送信される。
【0030】
そして、図3に示す例では、メイン装置100による第一バイト15の送信後に、メイン装置100が第1状態(0x81)のステータス信号ST3、リードデータRD1、チェックサムCS1を受信することになる。そのため、メイン装置100による第一バイト15の送信後には、リードコマンドを含む第一バイトは送信されない。
【0031】
送信部106は、ライトパケット又はリードパケットを送信する。
【0032】
送受信切替部107は、送信処理と受信処理とを切り替える。
【0033】
リード用メモリ108は、サブ装置200のデータメモリ207から読み出したデータを一時的に記憶する。リード用メモリ108としては、例えばFIFOを用いることができる。
【0034】
ステータス信号受信部109は、サブ装置200から送られてくるステータス信号を受信する。
【0035】
サブ装置200は、送受信切替部201と、受信部202と、ライト用メモリ203と、バス204と、CPU205と、プログラムメモリ206と、データメモリ207と、リード用メモリ208と、送信データ生成部209と、ステータス設定部210と、を備える。
【0036】
送受信切替部201は、送信処理と受信処理とを切り替える。
【0037】
受信部202は、ライトパケット又はリードパケットを受信する。受信部202によってライトパケット又はリードパケットが受信されると、CPU205は、割り込み処理を開始する。
【0038】
ライト用メモリ203は、データメモリ207に書き込むためのデータを一時的に記憶する。ライト用メモリ203としては、例えばFIFOを用いることができる。
【0039】
バス204は、ライト用メモリ203と、CPU205と、プログラムメモリ206と、データメモリ207と、リード用メモリ208と、ステータス設定部210と、を相互に接続する。
【0040】
CPU205は、プログラムメモリ206に記憶されているプログラムに従ってサブ装置200全体を制御する。
【0041】
プログラムメモリ206はプログラムを記憶し、データメモリ207はデータを記憶する。
【0042】
リード用メモリ208は、データメモリ207から読み出したデータを一時的に記憶する。リード用メモリ208としては、例えばFIFOを用いることができる。
【0043】
送信データ生成部209は、メイン装置100に送信するためのデータを生成する。
【0044】
ステータス設定部210は、ステータス信号を第1状態または第2状態に設定する。
【0045】
<メイン装置がリードパケットをサブ装置に送信する場合の通信システムの概略動作>
次に、図4に示すフローチャートを参照して、メイン装置100がリードパケットをサブ装置200に送信する場合の通信システムの概略動作を説明する。
【0046】
まず、メイン装置100の動作を説明する。ステップS101において、送信部106が第一バイトを送信する。その後、送信部106がデータを送信する(ステップS102)。その後、送信部106がリードコマンドを送信する(ステップS103)。その後、ステータス信号受信部109がステータス信号を受信する(ステップS104)。
【0047】
ステップS104に続くステップS105において、CPU101は、ステータス信号が第1状態であるか否かを判定する。
【0048】
CPU101によってステータス信号が第1状態でないと判定された場合(ステップS105のNO)、ステータス信号が第2状態であると判定されてから、換言すると第2状態のステータス信号が認識されてから、所定の待機時間を経てステップS103に戻ってリードコマンドの送信が繰り返される。なお、ステータス信号は第1状態であるか第2状態であるかのいずれであるため、CPU101によってステータス信号が第1状態でないと判定された場合は、CPU101によってステータス信号が第2状態であると判定された場合と同義である。
【0049】
一方、CPU101によってステータス信号が第1状態であると判定された場合(ステップS105のYES)、ステップS106に移行する。
【0050】
ステップS106において、メイン装置100はリードデータを受信する。リードデータはリード用メモリ108に一時的に記憶された後、データメモリ103に書き込まれる。
【0051】
続いて、サブ装置200のソフトウェア及びハードウェアそれぞれの動きを説明する。ステップS201において、受信部202が第一バイトを受信する。
【0052】
ステップS201において、受信部201が第一バイトを受信する。その後、受信部201がデータを受信する(ステップS202)。受信部202によってデータが受信されると、ステータス設定部210は、準備ビットをクリアして「0」にする(ステップS203)。
【0053】
そして、ステップS203に続くステップS204において受信部201がリードコマンドを受信すると、CPU205は、割り込み処理によってリードデータの準備を開始する(ステップS205)。具体的には、CPU205は、データにおいて指定されているアドレスに応じてデータメモリ207からデータを読み出してリード用メモリ208に書き込む処理を開始する。
【0054】
その後、CPU205は、リードデータをリード用メモリ208に書き込む処理を続ける(ステップS206)。
【0055】
ステップS206に続くステップS207において、CPU205は、リードデータの準備、すなわちリードデータのリード用メモリ208への書き込みが完了しているか否かを確認する。リードデータの準備が完了していない場合(ステップS207のNO)、ステップS206に戻る。一方、リードデータの準備が完了している場合(ステップS207のYES)、CPU205は、ステータス設定部10において記憶されている準備ビットを「1」にセットする(ステップS208)。ステップS208の処理が終了すると、サブ装置200のソフトウェアの動きが終了する。
【0056】
ステップS204に続くステップS209において準備ビットのセットが完了しているか否か、言い換えると準備ビットが「1」否かを判定する。より具体的には、ステータス設定部210は、準備ビットのセットが完了しており且つリード用メモリ208が空でないか否かを判定する。
【0057】
つまり、本実施形態では、ステータス設定部210は、リード用メモリ208にリードデータを準備できたと判定した場合であっても、リード用メモリ208が空であるときには、ステータス信号を第2状態にする。これにより、例えばCPU205の処理が不適切であってリード用メモリ208が空であるときに、リード用メモリ208からデータが読み出されることを禁止することができるため、フェールセーフ設計を実現することができる。
【0058】
なお、本実施形態とは異なり、ステータス設定部210は、準備ビットが「1」である場合にステータス信号を第1状態にし、準備ビットが「0」である場合にステータス信号を第2状態にしてもよい。
【0059】
準備ビットが「0」であるという条件及びリード用メモリ208が空であるという条件の少なくとも一つが満たされる場合(ステップS209のNO)、ステータス設定部210は、ステータス信号を第2状態にし、送受信切替部201及び送信データ生成部209は、第2状態であるステータス信号をメイン装置100に送信し(ステップS210)、その後ステップS204に戻る。
【0060】
一方、準備ビットが「1」であり且つリード用メモリ208が空でない場合(ステップS209のYES)、ステータス設定部210は、ステータス信号を第1状態にし、送受信切替部201及び送信データ生成部209は、第1状態であるステータス信号をメイン装置100に送信する(ステップS211)。
【0061】
ステップS211に続くステップS212において、送受信切替部201及び送信データ生成部209は、リード用メモリ208に記憶されているリードデータをメイン装置100に送信する。ステップS212の処理が終了すると、サブ装置200のハードウェアの動きが終了する。
【0062】
上述した動作によって、リード用メモリ208にリードデータを準備できると遅滞なくメイン装置100がリードデータを受信することができる。したがって、通信システムSY1は、クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができる。
【0063】
<メイン装置がライトパケットをサブ装置に送信する場合の通信システムの概略動作>
次に、図5に示すフローチャートを参照して、メイン装置100がライトパケットをサブ装置200に送信する場合の通信システムの概略動作を説明する。
【0064】
まず、メイン装置100の動作を説明する。ステップS111において、送信部106が第一バイトを送信する。次に、送信部106がデータの最初のバイト(図2に示す例では、ライトコマンドである「0」及びサブ装置200のデータメモリ207のアドレス[14:8])を送信する。
【0065】
次に、CPU101は、データの最初のバイトの送信から一定時間が経過するまでに肯定応答信号が返信されているかを確認する(ステップS113)。肯定応答信号が返信されていなければ(ステップS113のNO)、リトライ処理(ステップS114)が開始されてステップS112に戻り、データの再送が実行される。
【0066】
一方、肯定応答信号が返信されていれば(ステップS113のYES)、送信部106がデータの残りのバイトを送信し(ステップS115)、その後フローを終了する。
【0067】
続いて、サブ装置200の動作を説明する。ステップS213において、受信部202が第一バイトを受信する。
【0068】
次に、受信部202がデータの差一緒のバイトを受信する(ステップS214)。ステップS214に続くステップS215において、CPU205は、準備ビットが1であるか否かを確認する。ライトコマンド受信中の準備ビットが1でなければ(ステップS215のNO)、CPU205は、ライト用メモリ203へのデータの連続書き込みが可能でないと判定し、肯定応答信号を生成せずにフローを終了する。
【0069】
一方、準備ビットが1であれば(ステップS215のYES)、CPU205は、ライト用メモリ203へのデータの連続書き込みが可能であると判定し、肯定応答信号を生成し、送受信切替部201及び送信データ生成部209を用いて肯定応答信号をメイン装置100に返信し(ステップS216)、その後フローを終了する。
【0070】
ここで、ステータス設定部210は、受信部202によってライトパケットのデータが最後まで受信されると、準備ビットをクリアして「0」にする。そして、ステータス設定部210は、ライト用メモリ203が空になると、準備ビットを「1」にセットする。
【0071】
上述した動作によって、サブ装置200においてデータの書き込みが間に合わない事態を回避することができる。
【0072】
<適用例>
図6は、通信システムSYS1の適用例を示す図である。図6に示す適用例では、メイン装置100はMPU(micro processor unit)であり、サブ装置200はモータドライバIC(integrated circuit)である。メイン装置100であるMPUは、サブ装置200であるモータドライバを制御する。サブ装置200であるモータドライバは、メイン装置100であるMPUの制御に従って、モータ300を駆動する。
【0073】
なお、図6に示す適用例は単なる例示に過ぎない。例えば、サブ装置200は、センサIC、電源IC等であってもよい。
【0074】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本明細書に開示されている発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0075】
例えば、上記実施形態ではI2C通信が用いられているが、I2C通信に限定されず、メイン装置100及びサブ装置200がメイン装置100から出力されるクロック信号に基づき通信を行うのであればI2C通信以外の通信であってもよい。メイン装置100及びサブ装置200がメイン装置100から出力されるクロック信号に基づき通信を行うI2C通信以外の通信としては、例えばSPI通信を挙げることができる。
【0076】
以上説明したサブ装置(200)は、メイン装置(100)からのリードコマンドを受信するように構成される受信部(202)と、ステータス信号を前記メイン装置に送信するように構成されるステータス信号送信部(201)と、リード用メモリ(208)と、前記リード用メモリにリードデータを準備できたか否かを判定し、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できた場合に、前記ステータス信号を第1状態にし、前記リード用メモリに前記リードデータを準備できていない場合に、前記ステータス信号を第2状態にするように構成されるステータス設定部(210)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0077】
上記第1の構成であるサブ装置は、クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができる。
【0078】
上記第1の構成であるサブ装置において、前記ステータス設定部は、前記リード用メモリにリードデータを準備できたと判定した場合であっても、前記リード用メモリが空であるときには、前記ステータス信号を前記第2状態にするように構成される構成(第2の構成)であってもよい。
【0079】
上記第2の構成であるサブ装置は、リード用メモリが空であるときにリード用メモリからデータが読み出されることを禁止することができるため、フェールセーフ設計を実現することができる。
【0080】
上記第1又は第2の構成であるスイッチ制御回路において、前記ステータス信号送信部は、前記受信部によるリードコマンドの受信をトリガーとして、前記ステータス信号を送信する構成(第3の構成)であってもよい。
【0081】
上記第3の構成であるサブ装置は、ステータス信号を適切なタイミングで送信することができる。
【0082】
上記第1~第3いずれかの構成であるスイッチ制御回路において、ライト用メモリと、ライトコマンドに対する肯定応答信号を生成するように構成される肯定応答信号生成部と、を備え、前記受信部は、前記メイン装置からのライトコマンドも受信するように構成され、前記肯定応答信号生成部は、前記ライト用メモリへのデータの連続書き込みが可能であるか否かを判定し、前記連続書き込みが可能な場合に前記肯定応答信号を生成するように構成される構成(第4の構成)であってもよい。
【0083】
上記第4の構成であるサブ装置は、データの書き込みが間に合わない事態を回避することができる。
【0084】
以上説明したメイン装置(100)は、リードコマンドをサブ装置に送信するように構成される送信部(106)と、前記サブ装置からのステータス信号を受信するように構成されるステータス信号受信部(109)と、前記ステータス信号が第1状態であるときに前記送信部に前記リードコマンドを再送させ、前記ステータス信号が第2状態であるときに前記サブ装置からのデータ読み出しを行うように構成される制御部(101)と、を備える構成(第5の構成)である。
【0085】
上記第5の構成であるメイン装置は、クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができる。
【0086】
以上説明した通信システム(SYS1)は、上記第1~第4いずれかの構成であるサブ装置と、上記第5の構成であるメイン装置と、を備える構成(第6の構成)である。
【0087】
上記第6の構成である通信システムは、クロックストレッチを利用することなく通信時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0088】
1、11、13~15 第一バイト
2、12 データ
100 メイン装置
101、205 CPU
102、206 プログラムメモリ
103、207 データメモリ
104、204 バス
105 パケット用メモリ
106 送信部
107、201 送受信切替部
108、208 リード用メモリ
109 ステータス信号受信部
200 サブ装置
202 受信部
203 ライト用メモリ
209 送信データ生成部
210 ステータス設定部
300 モータ
CS1 チェックサム
RD1 リードデータ
ST1~ST3 ステータス信号
SYS1 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6