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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100306
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】シンセサイザ
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/08 20060101AFI20230711BHJP
   H03L 7/093 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H03L7/08 220
H03L7/093
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000856
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荻原 守
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA04
5J106BB10
5J106CC01
5J106CC21
5J106CC41
5J106CC52
5J106DD05
5J106DD07
5J106DD08
5J106FF07
5J106GG07
5J106GG19
5J106KK03
5J106KK26
5J106LL01
5J106LL04
5J106QQ08
5J106QQ09
5J106RR02
5J106RR20
5J106SS02
5J106SS03
(57)【要約】
【課題】出力周波数のノイズ成分を低減でき、かつ、出力周波数の収束を短時間に行える新規なシンセサイザを提供する。
【解決手段】シンセサイザ10は、基準発振源11と、常時オン状態とされシンセサイザの出力帯域をカバーする単一のVCO13と、基準発振源の出力信号及びVCOの出力信号の位相を比較し、比較によってロックした信号を出力するPLL回路15と、VCOに対し出力帯域をカバーし得る制御電圧を出力し、かつ、PLL回路のリファレンスリーク起因のノイズを減衰する第1回路17と、VCOの出力端とシンセサイザの出力端との間に設けられ、シンセサイザの出力端側の負荷変動の、VCO側への影響を軽減する第2回路と、シンセサイザの出力オフ時に、VCOの出力負荷及び当該シンセサイザの出力負荷それぞれを所定インピダンスに終端する第3回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準発振源と、VCOと、前記基準発振源の出力信号及び前記VCOの出力信号の位相を比較し、前記比較によってロックした信号を出力するPLL回路と、を備えるシンセサイザにおいて、
前記VCOとしての、常時オン状態とされ当該シンセサイザの出力帯域をカバーする単一のVCOと、
前記VCOに対し前記出力帯域をカバーし得る制御電圧を出力し、かつ、前記PLL回路のリファレンスリーク起因のノイズを減衰する第1回路と、
前記VCOの出力端と当該シンセサイザの出力端との間に設けられ、当該シンセサイザの出力端側の負荷変動の、前記VCO側への影響を、軽減する第2回路と、
当該シンセサイザの出力オフ時に、前記VCOの出力負荷及び当該シンセサイザの出力負荷それぞれを所定インピダンスに終端する第3回路と、
を備えたことを特徴とするシンセサイザ。
【請求項2】
前記第1回路は、オペアンプと、抵抗器と、コンデンサとを含み、5Vを超える出力電圧までをスイングでき、かつ、アクティブフィルタを構成する回路であることを特徴とする請求項1に記載のシンセサイザ。
【請求項3】
前記第2回路は、前記VCOの出力端に入力端が接続された可変アッテネータと、前記可変アッテネータの出力端に入力端が接続され、出力端が前記第3回路に接続された増幅器と、で構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のシンセサイザ。
【請求項4】
前記第3回路は、
前記第2回路の出力端を当該シンセサイザの出力端に接続する第1状態、及び、前記第2回路の出力端を前記所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第1スイッチ手段と、
当該シンセサイザの出力端を前記第2回路の出力端に接続する第1状態、及び、当該シンセサイザの出力端を前記所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第2スイッチ手段と、で構成してあることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシンセサイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力周波数のノイズ成分を低減でき、かつ、出力周波数の収束を短時間に行えるシンセサイザに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のほとんどのシンセサイザは、フェーズロックループ(PLL)方式のものである。この種のシンセサイザの従来例として、特許文献1に開示されたものがある。
図4は、特許文献1に開示されたシンセサイザ90を示したブロック図である。このシンセサイザ90は、複数個の電圧制御型発振器(以下、VCO)91a、・・91nと、分周器93と、位相比較器95と、基準発振源97と、を備えている。
【0003】
このシンセサイザ90では、複数個のVCO91a・・91nのうちの1つが選択され、選択されたVCOの信号が分周器93によって分周されて、位相比較信号Spが生成される。位相比較器95は、位相比較信号Spと基準発振源97からの基準信号Ssとの位相を比較し、位相が一致した信号をロックする。これにより、VCOの出力はロックされて、シンセサイザ90の出力信号が生成される。なお、基準信号Ssは、基準発振源97の出力信号そのものの場合、又は、基準発振源97の信号を分周した信号の場合がある。
【0004】
このシンセサイザ90では、VCOの信号の分周比を変更することによって、結果的に、シンセサイザ90の出力を基準信号の周波数のステップで可変できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にも記載されているように、複数個のVCOを切り替えて使用するシンセサイザの場合、VCOの切換自体が、シンセサイザの出力信号のノイズ発生原因になるという問題がある(特許文献1の課題欄)。
然も、VCOを切り替える際、位相比較信号が瞬間的に途絶えるため、位相検出の効果であるロックが外れてしまうので、再度のロックの時間すなわち出力周波数の収束時間が長くなってしまうという問題がある((特許文献1の課題欄)。
また、所望とする広帯域での信号を1つのVCOで構成できれば、VCO切換に起因するノイズ発生の問題や出力周波数の収束時間が長くなるという問題を除去できて好ましいが、その具体的な手段は難しいと記載されている(特許文献1の従来技術の欄の第6行)。
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従って、この出願の目的は、出力周波数のノイズ成分を低減でき、かつ、出力周波数の収束を短時間に行える新規なシンセサイザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的の達成を図るため、この発明によれば、基準発振源と、VCOと、前記基準発振源の出力信号及び前記VCOの出力信号の位相を比較し、前記比較によってロックした信号を出力するPLL回路と、を備えるシセサイザにおいて、
前記VCOとしての、常時オン状態とされ当該シンセサイザの出力帯域をカバーする単一のVCOと、
前記VCOに対し前記出力帯域をカバーし得る制御電圧を出力し、かつ、前記PLL回路のリファレンスリーク起因のノイズを減衰する第1回路と、
前記VCOの出力端と当該シンセサイザの出力端との間に設けられ、当該シンセサイザの出力端側の負荷変動の、前記VCO側への影響を、軽減する第2回路と、
当該シンセサイザの出力オフ時に、前記VCOの出力負荷及び当該シンセサイザの出力負荷それぞれを所定インピダンスに終端する第3回路と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明を実施するに当たり、前記第1回路は、オペアンプと、抵抗器と、コンデンサとを含み、5Vを超える出力電圧までをスイングでき、かつ、アクティブフィルタを構成する回路であることが好ましい。
【0009】
この発明を実施するに当たり、前記第2回路は、前記VCOの出力端に入力端が接続された可変アッテネータと、前記可変アッテネータの出力端に入力端が接続され、出力端が前記第3回路に接続された増幅器と、で構成することが好ましい。
【0010】
この発明を実施するに当たり、前記第3回路は、前記第2回路の出力端を当該シンセサイザの出力端に接続する第1状態、及び、前記第2回路の出力端を前記所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第1スイッチ手段と、当該シンセサイザの出力端を前記第2回路の出力端に接続する第1状態、及び、当該シンセサイザの出力端を前記所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第2スイッチ手段と、で構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明のシンセサイザでは、VCOとして常時オン状態かつ当該シンセサイザの出力帯域をカバーする単一のVCOを用いるので、(a)VCOを複数個用いてそれらを選択的にオン/オフする場合に比べ、ノイズ発生を低減でき、かつ、(b)PLL動作が途絶えることがないから、出力周波数を変える際の再度のPLL動作が途切れる程度を低減でき、かつ、(c)当該VCOの電源にフィルタを接続することによるさらなるノイズ低減もできる。また、複数個のVCOを用いる場合、それぞれのVCOが、不要なスプリアスの発生源になるし、また、スプリアスを軽減するためのシールド構造等が必要になるが、本発明は、それらも回避できる。
また、第1回路は、上記VCOが上記出力帯域をカバーできるよう所定範囲の制御電圧を出力し、かつ、リファレンスリークを減衰するので、VCOを、所望の通りに動作させることが出来る。
また、第2回路は、前記VCO側と当該シンセサイザの出力端との緩衝を軽減し、第3回路は、当該シンセサイザの出力オフ時に、前記VCOの出力負荷及び当該シンセサイザの出力負荷それぞれを、所定インピダンスに終端するので、当該シンセサイザの出力オフ時に、シンセサイザの内部回路とシンセサイザの出力端子とを確実に分離できる。そのため、当該シンセサイザに接続される外部機器等との整合を保ちつつ、当該シンセサイザのオフを、安定にかつ所望の通りに実現できる。
従って、出力周波数のノイズ成分を低減でき、かつ、出力周波数の収束を短時間に行える新規なシンセサイザを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のシンセサイザ10を説明するためのブロック図である。
図2】実施形態のシンセサイザ10に具わるVCO13の具体的な回路例を説明するための図である。
図3】実施形態のシンセサイザ10に具わる第1回路17の具体的な回路例を説明するための図である。
図4】従来のシンセサイザ90を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明のシンセサイザの実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。
【0014】
1.シンセサイザの構成
図1は、実施形態のシンセサイザ10を説明するためのブロック図である。実施形態のシンセサイザ10は、基準発振源11と、VCO13と、PLL回路15と、第1回路17と、第2回路19と、第3回路21と、D/A変換器23と、制御部(CPU)25と、電源用のローパスフィルタ(LPF)27と、出力用のローパスフィルタ(LPF)29と、を備えている。以下、各構成成分それぞれの構成を説明する。
【0015】
基準発振源11は、PLL回路に対し基準信号を発するものである。基準発振源11は、シンセサイザ10の仕様に応じた任意のもので構成でき、例えば、高安定の水晶発振器、さらには他の高安定信号源で構成できる。なお、基準発振源11は、原発振をそのまま基準信号として用いる場合、あるいは、原発振を分周した周波数を基準信号として用いる場合のいずれの構成のものでも良い。分周した信号を基準信号に用いる場合、分周回路は、基準発振源11が内蔵しても良いし、PLL回路15が内蔵しても良い。
【0016】
VCO13は、常時オン状態とされ当該シンセサイザ10の出力帯域をカバーする単一のVCOである。このようなVCOは、任意好適な回路で構成できるが、例えば図2に示した回路によって構成できる。
図2に示したVCO13は、第1回路17からの信号が入力されるインタフェース部13aと、インタフェース部13aに接続された共振部13bと、共振部13bに接続された帰還部13cと、入力端13dと、出力端13eと、電源接続端子13fと、を備えるものである。
ここで、入力インタフェース部13aは、入力端13d及び接地の間に接続したコンデンサC1と、入力端13d及び共振部13bの間に接続したインダクタL1とで構成したものである。このインタフェース部13aは、第1回路17からの不要な高周波信号の結合を疎にするものである。
共振部13bは、2個のバリキャップダイオードD1,D2と、3つのコンデンサC2,C3,C4と、2個のインダクタL2,L3とを、用いたものである。
具体的には、インダクタL1の他端及び接地の間に接地側がアノードとなるよう接続したバリキャップダイオードD1と、バリキャップダイオードD1のカソードにカソードが接続したバリキャップダイオードD2と、バリキャップダイオードD2のアノードから、T字回路上に順次に接続したインダクタL2,コンデンサC2、コンデンサC3、インダクタL3及びコンデンサC4とで構成してある。
帰還部13cは、NPN型のトランジスタTrと、トランジスタTrのバイアス電圧を設定している抵抗R1、R2と、トランジスタTrの増幅率を設定しているコンデンサC5、C6と、帰還部13及び電源接続端子13f間に接続したインダクタL4と、出力端13e及び接地間に接続したコンデンサC7と、で構成してある。トランジスタTrのエミッタを、VCO13の出力端13eに接続してあり、かつ、当該エミッタは抵抗器R3を介して接地してある。従って、共振部13bと帰還部13cとで発振ループを構成している。
このVCO13の場合、入力端13dに、第1回路17からVCOの制御電圧Vcontが、入力される。また、このVCO13の場合、2個のバリキャップダイオードD1,D2を用いているため、バリキャップダイオードを1個用いる場合に比べ、周波数可変幅を広くできる。
【0017】
PLL回路15は、基準発振源11の出力信号及びVCO13の出力信号の位相を比較し、この比較によってロックした信号を出力するものである。なお、この比較では、VCO13の出力信号を分周した信号が比較信号とされる。また、基準発振源11の信号は、原発振そのものでも、それを分周した信号でも良く、シンセサイザ10の仕様に応じ決める。PLL回路15は、任意好適な回路によって構成できる。この例のPLL回路15は、VCO13が出力する信号を所定分周比で分周する回路を内蔵している。
【0018】
第1回路17は、VCO13に対しシンセサイザ10の出力帯域をカバーし得る制御電圧(Vcont)を出力し、かつ、PLL回路15のリファレンスリーク起因のノイズを減衰するものである。この第1回路17は、任意好適な回路によって構成できるが、この実施形態の場合、図3に示したような、オペアンプ17aと、3個のコンデンサC11、C12,C13と、5個の抵抗器R11、R12,R13,R14,R15と、を含み、5Vを超える出力電圧でスイングでき、かつ、アクティブフィルタを構成する回路で構成してある。
具体的には、第1回路17は、オペアンプ17aと、入力端17b及び接地の間に接続したコンデンサC11と、入力端17b及びオペアンプ17aの反転入力の間に接続した抵抗器R11と、オペアンプ17aの反転入力及び出力間に接続した抵抗器R12及びコンデンサC12の直列回路と、オペアンプ17aの出力及び出力端17cの間に接続した抵抗器R13と、出力端17c及び接地の間に接続したコンデンサC13と、オペアンプ17aの非反転入力に中点が接続された抵抗器ラダーR14,R15と、を備えた回路で構成してある。
【0019】
図3に示したこの第1回路17の場合、オペアンプ17aを用いているので、出力電圧は0~15Vの範囲でスイングするため、VCO13に対し、5Vを十分に超える制御電圧(Vcont)を出力できる。従って、VCO13の周波数可変幅を、シンセサイザ10が必要とする出力帯域をカバーできる可変幅にできる。しかも、抵抗器R11~R13及びコンデンサC11~C13の値を選択することによって3ポールの4次のローパスフィルタを構成できるので、PLL回路15のリファレンスリーク起因のノイズを減衰できる。
【0020】
第2回路19は、第1スイッチ手段21aの切換時に生じる負荷変動及びシンセサイザ10の出力端側の負荷変動の、VCO13側への影響を、軽減するものである。第2回路19は、VCO13の出力端13e(図2参照)と、シンセサイザ10の出力端10aとの間の任意の箇所に設けることが出来る。ただし、第2回路19は、VCO13の出力端13e(図2参照)と、第1スイッチ手段21aの入力端子との間に設けることが好ましい。この位置に設ける方が、上記した第2回路19の効果を得やすい。
この実施形態の場合の第2回路19は、VCO13の出力端13eに入力端が接続された可変アッテネータ19aと、可変アッテネータ19aの出力端に入力端が接続され、出力端が第3回路21に接続された増幅器19bと、で構成してある。なお、可変アッテネータ19aの制御端子にD/A変換器23を接続してある。また、D/A変換器23には、シンセサイザ10の制御部(CPU)25を接続してある。D/A変換器23及び制御部(CPU)25については、後述する。また、増幅器19bは、逆方向利得が小さいものを用いてあり、例えば逆方向の入力信号を-10dB以上、より好ましくは-20dB以上に減衰できるものが好ましい。
【0021】
第3回路21は、シンセサイザ10の出力オフ時に、VCO13の出力負荷及びシンセサイザ10の出力負荷それぞれを所定インピダンスに終端するものである。この実施形態の第3回路21は、第2回路19の出力端、すなわち増幅器19bの出力端をシンセサイザ10の出力端10aに接続する第1状態、及び、第2回路の出力端を所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第1スイッチ手段21aと、シンセサイザ10の出力端(この例では出力用のLPFの入力端)を第2回路の出力端に接続する第1状態、及び、当該シンセサイザの出力端を記所定インピダンスに終端する第2状態のいずれかに選択的に切り替える第2スイッチ手段と21bと、で構成してある。第1スイッチ手段21a、第2スイッチ手段21b各々は、上記終端を実現するため、一端を、所定の抵抗Rを介して接地してある。第1スイッチ手段21a、第2スイッチ手段21b各々は、制御部25からの制御信号によって切換られる。
【0022】
D/A変換器23は、制御部25から出力されるシンセサイザ10の出力レベルを変更する信号を、D/A変換して可変アッテネータ19aに出力するものである。
制御部25は、シンセサイザ10の動作を司るものである。具体的には、上記した可変アッテネータ19a、第1スイッチ手段21a、第2スイッチ手段21bに対する制御信号や、シンセサイザ10の使用者による出力周波数の変更指示に応じた各種処理を司る。
【0023】
電源用のLPF27は、電源側の雑音がVCO13に及ぶのを軽減するものであり、シンセサイザ10の仕様に応じた任意の回路で構成できる。
出力用のLPF29は、シンセサイザ10の出力帯域は通過しそれ以外の帯域は急峻に減衰するものであり、シンセサイザ10の仕様に応じた任意の回路で構成できる。
【0024】
2.シンセサイザの動作
次に、この発明のシンセサイザの理解を深めるために、シンセサイザ10の動作について簡単に説明する。
シンセサイザ10がオン状態にされると、VCO13は常にオン状態になる。シンセサイザ10の使用者が所望とする周波数の信号の出力を要求すると、それに応じてPLL回路15はVCO13の信号を所定の分周比で分周して比較信号を生成する。また、PLL回路15は、従来同様に、この比較信号と基準発振源11からの基準信号(原発振又は原発振の分周信号)との位相比較をし、この比較でロックした信号を、第1回路17に出力する。第1回路17は、ロックした信号に応じ、VCOの制御電圧VcontをVCO13に出力する。従って、VCO13は、使用者が所望とする周波数を出力する。従って、分周比を変えることで、基準信号の周波数のステップでシンセサイザの出力を可変できる。ただし、本発明では、VCO13が単一のものかつ常時オン動作のものであるため、発明の効果の欄で説明した通り、従来に比べ、ノイズが生じにくく、かつ、周波数収束の時間が短いシンセサイザを実現できる。
一方、本発明のシンセサイザ10では、シンセサイザの出力をオフしたい場合、VCO13は動作状態のまま、第1スイッチ手段21a及び第2スイッチ手段21b各々を、終端抵抗Rの側に切り替える。これにより、シンセサイザ10の出力端10aはVCO13と分離されると共に、所定のインピダンスに終端される。従って、外部機器に対し悪影響なしに出力をオフにできる。
【符号の説明】
【0025】
10:実施形態のシンセサイザ、 11a:シンセサイザ10の出力端子
13:VCO、 15:PLL回路
17:第1回路、 19:第2回路
19a:可変アッテネータ、 19b:増幅器
21:第3回路、 21a:第1スイッチ手段
21b:第2スイッチ手段、 23:D/A変換器
25:制御部、 27:電源用LPF
29:出力用LPF
図1
図2
図3
図4