(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100319
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20220101AFI20230711BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20230711BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F21/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000875
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】安達 岳郎
(72)【発明者】
【氏名】村蒔 克也
(72)【発明者】
【氏名】服部 宗孝
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA28
5E555AA53
5E555AA58
5E555AA74
5E555AA76
5E555BA21
5E555BA22
5E555BB21
5E555BB22
5E555BC04
5E555BC14
5E555CA24
5E555CB02
5E555CC01
5E555DA01
5E555DB18
5E555DB56
5E555DC07
5E555DC18
5E555DC21
5E555DC29
5E555DD03
5E555DD06
5E555EA03
5E555EA09
5E555EA10
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】一定期間内に操作がない場合に自動ログアウトを行うとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を監視できることを課題とする。
【解決手段】モニタ画面5を備え、制御対象機器を制御する制御装置10であって、
一定期間内にオペレータによる操作がない場合に、特定の操作以外の操作を受け付けない操作制限状態とする自動ログアウト部3と、
前記操作制限状態においても、前記モニタ画面に、前記制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を表示するプロセス進捗状況表示部1と、を備えたことを特徴とする制御装置10とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタ画面を備え、制御対象機器を制御する制御装置であって、
一定期間内にオペレータによる操作がない場合に、特定の操作以外の操作を受け付けない操作制限状態とする自動ログアウト部と、
前記操作制限状態においても、前記モニタ画面に、前記制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を表示するプロセス進捗状況表示部と、を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記特定の操作は、前記プロセス進捗状況の表示を切替える表示切替操作であり、
前記表示切替操作により、複数種類の前記プロセス進捗状況を表示できることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記特定の操作は、再度ログインを行うログイン操作であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ログイン操作は、オペレータの認証を含むことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者によるデータ改ざんを防止するとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況をログアウト時にもモニタ可能な制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品の生産ではコンピュータ化(自動化)システムを備えた生産機器が多く使用されている。一方で、これらの装置のオペレーションに関しては、製品の安全性、有効性を確保するため、権限を持ったオペレータ以外の第三者による操作を厳しく制限することが求められている。日本の規制当局も加盟するPIC/S(医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム)では、このような第三者による権限のない操作を防止するため、当該オペレータが持ち場を離れた場合に無活動ログアウト機能を備えることを推奨している。(PIC/S ガイダンス文書PI 041-1 参照)
【0003】
オペレータによる操作が行われない期間(無活動期間)は、セキュリティのためには短ければ短いほど好ましいが、正規のオペレーションのためには長い方が便利である。特に、オペレータにとっては、特別なんらかのオペレーションのための操作はしないものの、プロセスの進捗状況を確認するためには、モニタ画面がいつでも見られることが必要である。一方で、オペレータが持ち場を離れた場合は速やかにログアウト機能が働くことが望ましく、自動ログアウトまでの無活動期間は1~3分程度に設定するのが妥当と考えられる。
しかしながら、コンピュータ化システムでは、オペレータが持ち場を離れたのか、操作をしない状態で監視のみをしているかの区別はつかず、ボタン操作が行われない期間は無活動期間と判断せざるを得ず、この期間を経過した後はモニタ画面を消す、ないしは他の無関係の画面に切り替える(スクリーンセーバー機能を働かせる等)のが一般的に行われている。
【0004】
特許文献1には、端末装置への入力が一定時間ないことを検出すると自動的にログアウトして、オペレータの離席等による第3者の不正なオペレーションを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開昭62-75753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ログアアウトした状態でのモニタ画面においては、制御対象機器のプロセスの進捗状況を表示することができず、オペレータが制御対象機器の状態を監視できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、一定期間内に操作がない場合に自動ログアウトを行うとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を監視できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、モニタ画面を備え、制御対象機器を制御する制御装置であって、
一定期間内にオペレータによる操作がない場合に、特定の操作以外の操作を受け付けない操作制限状態とする自動ログアウト部と、
前記操作制限状態においても、前記モニタ画面に、前記制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を表示するプロセス進捗状況表示部と、を備えたことを特徴とする制御装置を提供するものである。
【0009】
この構成により、一定期間内に操作がない場合に自動ログアウトして第三者のオペレーションを防ぐとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況をオペレータが監視できる。
【0010】
制御装置において、前記特定の操作は、前記プロセス進捗状況の表示を切替える表示切替操作であり、
前記表示切替操作により、複数種類の前記プロセス進捗状況を表示できる構成としてもよい。
【0011】
この構成により、自動ログアウト中においても、複数種類のプロセス進捗状況を監視することができる。
【0012】
制御装置において、前記特定の操作は、再度ログインを行うログイン操作である構成としてもよい。
【0013】
この構成により、自動ログアウト中において再度ログイン操作を行うことができる。
【0014】
制御装置において、前記ログイン操作は、オペレータの認証を含む構成としてもよい。
【0015】
この構成により、第三者による権限のないログイン操作を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の制御装置により、一定期間内に操作がない場合に自動ログアウトを行うとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1における制御装置を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1における第1のプロセス進捗状況表示画面である測定値表示画面を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1における第2のプロセス進捗状況表示画面である警報画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
本発明の実施例1について、
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における制御装置を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における第1のプロセス進捗状況表示画面である測定値表示画面を示す図である。
図3は、本発明の実施例1における第2のプロセス進捗状況表示画面である警報画面を示す図である。
【0019】
実施例1における制御装置10は、制御対象機器Cからの情報によりプロセスの進捗状況をモニタ画面に表示する機能を有するプロセス進捗状況表示部1、プロセス進捗状況画面又は操作画面を表示するタッチパネルからなるモニタ画面5、モニタ画面5のタッチパネルから操作された情報に基づいて操作画面を表示する機能を有するとともに制御対象機器Cに対してタッチパネルから操作された情報を伝達する操作画面表示部2、モニタ画面5のタッチパネルに対してオペレータの操作が行われない時間を計測して、定められた期間を計測するタイマー部4と、タイマー部4からのタイムアップ情報に基づいて、制御装置10を自動ログアウトし、第三者の操作を防ぐ操作制限状態とする自動ログアウト部3を備えている。なお、制御装置10を自動ログアウトしても制御対象機器Cは生産を継続するものである。
【0020】
実施例1におけるプロセス進捗状況表示部1、操作画面表示部2、自動ログアウト部3、及びタイマー部4はPLCで構成されており、
図1は、機能を分かりやすく説明するためのブロック図である。
【0021】
なお、実施例1においては、モニタ画面5がタッチパネルで構成されるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、モニタ画面を液晶等のディスプレイのみとし、別途、スイッチ部を設けるように構成してもよい。
【0022】
また、実施例1においては、プロセス進捗状況表示部1、操作画面表示部2、自動ログアウト部3、及びタイマー部4はPLCで構成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、CPUを設けてコンピュータソフトでプロセス進捗状況表示部1、操作画面表示部2、自動ログアウト部3、及びタイマー部4を構成してもよく、ハードウエアでプロセス進捗状況表示部1、操作画面表示部2、自動ログアウト部3、及びタイマー部4を構成してもよい。
【0023】
実施例1においては、制御対象機器Cは水分値測定装置である。この制御対象機器Cの測定状況やエラー情報が逐一、プロセス進捗状況表示部1に伝達される。また、モニタ画面5のタッチパネルから入力された操作情報は操作画面表示部2から制御対象機器Cに伝達されて制御対象機器Cを制御する。
【0024】
なお、実施例1においては、制御対象機器Cを水分測定装置としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、造粒装置、コーティング装置、混合装置、打錠装置、印刷装置等の医薬品を製造する装置を制御対象機器Cとしてもよい。
【0025】
実施例1におけるプロセス進捗状況表示部1は、複数のプロセス進捗状況を表示できる。つまり、制御対象機器Cから伝達された測定情報やエラー情報をモニタ画面5に表示する。また、操作画面表示部2は、制御対象機器Cに対する制御を行うための操作画面をモニタ画面5に表示する。実施例1における第1のプロセス進捗状況表示画面を
図2に示し、第2のプロセス進捗状況表示画面を
図3に示す。
【0026】
第1のプロセス進捗状況表示画面は、水分測定装置の測定値を逐一表示する測定値表示画面20である。水分測定装置は、何らかの液体に光源からの光を照射して透過した光量を測定し吸光値を求めて水分量を算出し製薬機械を制御するものである。測定値表示画面20は水分値表示21、吸光値表示22、レシピや工程を示す工程表示23、及び測定した水分値又は吸光値の計時変化をグラフで示すグラフ表示24を有している。また、スイッチ部25を有していて、表示切替スイッチ26を押すことにより、測定値表示画面20と後述する警報画面30とを切替えて表示することができる。
【0027】
第2のプロセス進捗状況表示画面は、警報画面30を示している。制御対象機器Cの水分測定装置における16種類のエラー情報を警報表示部31に表示される。また、測定値表示画面20と同様にスイッチ部32を有していて、表示切替スイッチ33を押すことにより、測定値表示画面20と警報画面30とを切替えて表示することができる。
【0028】
なお、実施例1においては、プロセス進捗状況表示画面を測定値表示画面20と警報画面30の2種類としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、3種類以上としてもよいし、1種類としてもよい。表示するプロセス進捗状況が1種類であれば、表示切替スイッチは設ける必要がない。また、プロセス進捗状況表示画面における測定値表示画面20に替えて、生産個数や稼働率等の生産状況を表示するようにしてもよい。
【0029】
モニタ画面5のタッチパネルを使用してオペレータが操作を行うことで制御対象機器Cである水分測定装置への制御を行う。オペレータの操作が一段落して一定期間操作が行われない無活動期間となると、タイマー部4が予め定められた所定期間をカウントしてタイムアップしたらアラームを自動ログアウト部3に伝達する。すると、自動ログアウト部3は、自動ログアウトして特定の操作以外の操作を受け付けない操作制限状態とするとともに、プロセス進捗状況表示部1及び操作画面表示部2に指示してプロセス進捗状況表示部1からのプロセス進捗状況のみを表示する。つまり、操作画面表示部2からの操作画面を表示している場合、自動ログアウトによりプロセス進捗状況表示部1からのプロセス進捗状況表示に切替えられる。また、プロセス進捗状況表示部1からのプロセス進捗状況を表示している場合に自動ログアウトした場合、タッチパネルのスイッチ部25における操作可能なスイッチを表示切替スイッチ26のみに限定するとともにプロセス進捗状況の表示を継続する。即ち、自動ログアウト時にも操作可能な特定の操作とは、表示切替スイッチによる表示切替操作である。
【0030】
実施例1においては、操作画面表示部2からの操作画面を表示している場合、自動ログアウトによりプロセス進捗状況表示部1からの測定値表示画面20に表示が切り替わる。また、プロセス進捗状況表示部1からのプロセス進捗状況を表示している場合に自動ログアウトした場合、表示されていた測定値表示画面20又は警報画面30を継続して表示する。
【0031】
なお、実施例1においては、操作画面表示部2からの操作画面を表示している場合、自動ログアウトによりプロセス進捗状況表示部1からの測定値表示画面20に表示が切り替わるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、自動ログアウトによりプロセス進捗状況表示部1からの警報画面30に表示が切り替わるようにしてもよい。
【0032】
また、実施例1におけるタイマー部4においてタイムアップする所定期間は、1分間としているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2分以上としてもよいし、1分未満としてもよく、任意の所定期間を予め設定できる。
【0033】
自動ログアウトにより、プロセス進捗状況の表示のみとされることで、タッチパネルの操作可能なスイッチが測定値表示画面20と警報画面30とを切替える表示切替スイッチのみとなる。これにより、自動ログアウト中に第三者による予期しない操作を防止することができ、製薬機械で生産される薬の品質を確保することができる。
【0034】
従来は自動ログアウトにより、モニタ画面5は何も表示がされないかスクリーンセーバー等の表示となっていたため、制御対象機器Cのプロセス進捗状況が把握できず正常稼働しているかどうかがわからなかった。それが、本発明の制御装置10により自動ログアウト中も制御対象機器Cのプロセス進捗状況が表示されるため、制御対象機器Cの監視を継続して行うことができるとともに、警報表示により異常を早期に発見して対処することができる。
【0035】
また、自動ログアウト時にも操作可能な特定の操作に、ログイン操作を加えることで再度ログインが可能になる。つまり、自動ログアウト中に再度ログインする場合は、図示しないスイッチ操作によりログイン操作を行う。その場合、操作権限を有するオペレータか否かを判断するために、オペレータの認証を行う。オペレータの認証は、パスワード認証、指紋認証、瞳認証、顔認証等、任意の認証法を適用することができる。
【0036】
さらに、実施例1においては、表示切替操作とログイン操作を自動ログアウト時にも操作可能な特定の操作としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、プロセス進捗状況画面を印刷する印刷操作や画面の拡大・縮小表示操作等の制御対象機器Cに対する操作以外の操作を加えることができる。
【0037】
このように、実施例1においては、モニタ画面を備え、制御対象機器を制御する制御装置であって、
一定期間内にオペレータによる操作がない場合に、特定の操作以外の操作を受け付けない操作制限状態とする自動ログアウト部と、
前記操作制限状態においても、前記モニタ画面に、前記制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を表示するプロセス進捗状況表示部と、を備えたことを特徴とする制御装置により、一定期間内に操作がない場合に自動ログアウトを行うとともに、制御対象機器におけるプロセスの進捗状況を監視できる。