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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100322
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
F16C29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000888
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 信
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA25
3J104AA36
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA72
3J104AA74
3J104BA22
3J104BA33
3J104BA69
3J104DA17
3J104DA18
3J104EA01
3J104EA04
(57)【要約】
【課題】転動体を円滑に循環させて、円滑にスライダを摺動させることができる直動案内ユニットを提供する。
【解決手段】直動案内ユニット10aは、レール11aと、スライダ21aと、転動体と、を備える。スライダ21aは、ケーシング22aと、エンドキャップ23a,23bと、転動体をケーシング22aに保持させる保持板41bと、を含む。保持板41bは、長手方向において、ケーシング22aが位置する領域と重複する第1領域51aと、ケーシング22aが位置する領域から長手方向に突出する第2領域52a,52bと、を含む。エンドキャップ23a,23bは、第2領域52a,52bを受け入れる受け入れ凹部53a,53bを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、
前記レールに相対移動可能に取り付けられ、前記第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、
前記第1軌道面と前記第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備え、
前記スライダは、
前記軌道路と並行する第1循環路が設けられ、前記第2軌道面を含むケーシングと、
前記ケーシングの長手方向の一方側に配置され、前記軌道路と前記第1循環路とを接続する第2循環路が設けられるエンドキャップと、
前記転動体を前記ケーシングに保持させる保持板と、を含み、
前記複数の転動体は、前記軌道路、前記第1循環路および前記第2循環路によって構成される環状路を循環しており、
前記保持板は、長手方向において、
前記ケーシングが位置する領域と重複する第1領域と、
前記ケーシングが位置する領域から長手方向に突出する第2領域と、を含み、
前記エンドキャップは、前記第2領域を受け入れる受け入れ凹部を含む、直動案内ユニット。
【請求項2】
前記スライダは、前記ケーシングの長手方向の両側に配置される一対の前記エンドキャップを含み、
前記第2領域は、長手方向において前記第1領域の両側に設けられており、
前記受け入れ凹部は、前記一対のエンドキャップの双方に設けられている、請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
一方の前記エンドキャップ側に突出する前記第2領域の長さと、他方の前記エンドキャップ側に突出する前記第2領域の長さとは、等しい、請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記保持板は、
前記転動体と接触して前記転動体を案内する保持部材と、
前記保持部材を前記ケーシングに固定する固定部材と、を含み、
前記固定部材には、前記第1領域および前記第2領域が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記固定部材は、板状であって、厚さ方向に見て矩形状である、請求項4に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記受け入れ凹部は、長手方向に見て、
第1壁面と、
前記第1壁面と対向して配置される第2壁面と、
前記第1壁面と前記第2壁面とを接続する第3壁面と、から構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動案内ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
転動体としてのローラを含む直動案内ユニットが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の直動案内ユニットは、軌道レールと、軌道レールを相対移動するスライダと、ローラをスライダに保持させる保持板と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6895811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の直動案内ユニットにおいては、スライダは、ローラが移動するリターン路を含むケーシングと、ローラの方向転換を行う方向転換路をそれぞれ含む一対のエンドキャップと、から構成されている。ローラは、リターン路と、方向転換路と、軌道路とから構成される循環路内を循環している。また、一対のエンドキャップはそれぞれ、ケーシングに取り付けられ、固定されている。
【0005】
ここで、直動案内ユニットにおいて、エンドキャップに対して外部から衝撃や負荷が加えられると、ケーシングに対する位置がずれてしまうおそれがある。そうすると、転動体が循環する循環路にずれが生じ、転動体が円滑に循環できない。その結果、円滑なスライダの摺動が確保できないこととなる。このような課題に対して、特許文献1に開示の技術では、対応することが困難である。
【0006】
そこで、転動体を円滑に循環させて、円滑にスライダを摺動させることができる直動案内ユニットを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備える。スライダは、軌道路と並行する第1循環路が設けられ、第2軌道面を含むケーシングと、ケーシングの長手方向の一方側に配置され、軌道路と第1循環路とを接続する第2循環路が設けられるエンドキャップと、転動体をケーシングに保持させる保持板と、を含む。複数の転動体は、軌道路、第1循環路および第2循環路によって構成される環状路を循環している。保持板は、長手方向において、ケーシングが位置する領域と重複する第1領域と、ケーシングが位置する領域から長手方向に突出する第2領域と、を含む。エンドキャップは、第2領域を受け入れる受け入れ凹部を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記直動案内ユニットによれば、転動体を円滑に循環させて、円滑にスライダを摺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す直動案内ユニットの概略断面図である。
図3図3は、図1に示す直動案内ユニットの概略断面図である。
図4図4は、図1に示す直動案内ユニットに含まれるスライダを示す概略斜視図である。
図5図5は、図4に示すスライダの一部を分解して示す分解斜視図である。
図6図6は、図4に示すスライダを図4中のVI-VIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
図7図7は、図4に示すスライダに含まれる第2のエンドキャップを矢印Yで示す向きに見た図である。
図8図8は、図7に示すエンドキャップを図7中のVIII-VIIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示の直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備える。スライダは、軌道路と並行する第1循環路が設けられ、第2軌道面を含むケーシングと、ケーシングの長手方向の一方側に配置され、軌道路と第1循環路とを接続する第2循環路が設けられるエンドキャップと、転動体をケーシングに保持させる保持板と、を含む。複数の転動体は、軌道路、第1循環路および第2循環路によって構成される環状路を循環している。保持板は、長手方向において、ケーシングが位置する領域と重複する第1領域と、ケーシングが位置する領域から長手方向に突出する第2領域と、を含む。エンドキャップは、第2領域を受け入れる受け入れ凹部を含む。
【0011】
本開示の直動案内ユニットによると、保持板は、長手方向において、ケーシングが位置する領域と重複する第1領域と、ケーシングが位置する領域から長手方向に突出する第2領域と、を含む。そして、エンドキャップは、第2領域を受け入れる受け入れ凹部を含む。そうすると、保持板の第2領域をエンドキャップの受け入れ凹部に嵌め込んで、スライダを組み立てることができる。このような構成によると、転動体をケーシングに保持させる保持板のうちの長手方向に突出する第2領域がエンドキャップの受け入れ凹部に嵌め込まれているため、ケーシングに対するエンドキャップの位置決めを確実に行うことができる。そうすると、エンドキャップに外部から衝撃や負荷が加えられた場合でも、ケーシングに対してエンドキャップの位置がずれるおそれを低減することができる。したがって、軌道路やケーシングに設けられた第1循環路に対してエンドキャップに設けられた第2循環路の位置がずれるおそれを低減することができ、軌道路および第1循環路と第2循環路との円滑な連なりを確保することができる。その結果、スライダ内において転動体を円滑に循環させることができ、スライダを円滑に摺動させることができる。
【0012】
上記直動案内ユニットにおいて、スライダは、ケーシングの長手方向の両側に配置される一対のエンドキャップを含んでもよい。第2領域は、長手方向において第1領域の両側に設けられていてもよい。受け入れ凹部は、一対のエンドキャップの双方に設けられていてもよい。このようにすることにより、一対のエンドキャップの双方において、ケーシングに対して位置がずれるおそれを低減することができる。したがって、スライダ内において転動体をより円滑に循環させることができ、スライダをより円滑に摺動させることができる。
【0013】
上記直動案内ユニットにおいて、一方のエンドキャップ側に突出する第2領域の長さと、他方のエンドキャップ側に突出する第2領域の長さとは、等しくてもよい。このようにすることにより、組み立て時における保持板の取り付けの方向性を気にしなくてもよいため、組み立て性の向上を図ることができる。
【0014】
上記直動案内ユニットにおいて、保持板は、転動体と接触して転動体を案内する保持部材と、保持部材をケーシングに固定する固定部材と、を含んでもよい。固定部材には、第1領域および第2領域が設けられていてもよい。このようにすることにより、保持部材により転動体を適切に案内することができ、かつ保持部材を確実に固定部材により固定することができる。また、第1領域および第2領域を固定部材に設けることにより、固定部材を介してエンドキャップに対する保持部材の位置決めを確実にすることができる。したがって、転動体をさらに円滑に循環させることができる。
【0015】
上記直動案内ユニットにおいて、固定部材は、板状であって、厚さ方向に見て矩形状であってもよい。このような構成の固定部材の形状は比較的単純であるため、生産性の向上を図ることができる。
【0016】
上記直動案内ユニットにおいて、受け入れ凹部は、長手方向に見て、第1壁面と、第1壁面と対向して配置される第2壁面と、第1壁面と第2壁面とを接続する第3壁面と、から構成されていてもよい。このようにすることにより、第1壁面および第2壁面との間に形成される開口側から固定部材を容易に嵌め込むことができる。したがって、組み立て性の向上を図ることができる。
【0017】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0018】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。図2および図3は、図1に示す直動案内ユニットの概略断面図である。図2および図3は、後述する長手方向に垂直な平面で切断した場合の断面を示す。図2は、後述するケーシングを含む平面で切断した場合の断面を示し、図3は、後述する第1のエンドキャップを含む平面で切断した場合の断面を示す。図4は、図1に示す直動案内ユニットに含まれるスライダを示す概略斜視図である。図5は、図4に示すスライダの一部を分解して示す分解斜視図である。図6は、図4に示すスライダを図4中のVI-VIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図7は、図4に示すスライダに含まれる後述する第2のエンドキャップを矢印Yで示す向きに見た図である。図8は、図7に示すエンドキャップを図7中のVIII-VIIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。なお、図6においては、理解を容易にする観点から、後述するローラを併せて図示している。
【0019】
図1図8を参照して、本開示の実施の形態1に係る直動案内ユニット10aは、軌道レールであるレール11aと、スライダ21aと、転動体としての複数のローラ20a,20b,20c,20dと、を含む。レール11aは、長手方向であるY方向に真っ直ぐに延びる構成である。実施の形態1に係る直動案内ユニット10aは、転動体として複数のローラ20a,20b,20c,20dを含むことにより、例えば転動体がボールである場合と比較して、サイズをコンパクトにしながら定格荷重を大きくすることができる。本実施形態においては、直動案内ユニット10aは、いわゆる4条列の直動案内ユニットである。
【0020】
まず、レール11aの構成について説明する。レール11aは、Z方向に間隔をあけて配置されるレール上端面12aおよびレール下端面12bと、X方向に間隔をあけて配置される第1レール側面13aおよび第2レール側面13bと、Y方向に間隔をあけて配置されるレール前端面14aおよびレール後端面14bと、を含む。すなわち、レール11aは、長手方向に沿ってそれぞれ平行に延びる第1レール側面13aおよび第2レール側面13bを含む。レール11aは、長手方向に互いに平行に延びる一対の第1軌道溝15a,15bを有する。第1軌道溝15aは、第1レール側面13aに設けられる。第1軌道溝15bは、第2レール側面13bに設けられる。
【0021】
第1軌道溝15aは、第1軌道面16a,16bと、側壁面17aと、から構成されている。第1軌道面16aは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール上端面12a側に設けられている。第1軌道面16bは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール下端面12b側に設けられている。側壁面17aは、第1軌道面16aおよび第1軌道面16bのそれぞれに連なって設けられている。第1軌道溝15bも第1軌道溝15aと同様に、第1軌道面16c,16dと、側壁面17bと、から構成されている。第1軌道面16cは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール上端面12a側に設けられている。第1軌道面16dは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール下端面12b側に設けられている。側壁面17bは、第1軌道面16cおよび第1軌道面16dのそれぞれに連なって設けられている。すなわち、レール11aは、長手方向に延びる第1軌道面16a,16b,16c,16dを含む。このようなレール11aを含む直動案内ユニット10aは、工作機械や組み立て装置、搬送機械等に好適に用いられる。
【0022】
レール11aには、レール上端面12aからレール下端面12bに至るようZ方向に貫通する複数の貫通孔18が設けられる。複数の貫通孔18は、Y方向において間隔をあけて設けられる。貫通孔18は、例えば直動案内ユニット10aの使用時において、レール11aを所定の箇所に取り付ける際にそれぞれ有効に利用される。なお、貫通孔18は、レール上端面12a側の開口が大きくレール下端面12b側の開口が小さくなるよう、段差を設けて形成されている。
【0023】
次に、スライダ21aの構成について説明する。スライダ21aは、レール11aに相対移動可能に取り付けられる。本実施形態においては、スライダ21aは、レール11aに摺動可能に跨架される。スライダ21aには、Z方向に凹む凹部24aが設けられており、この凹部24aにレール11aが嵌め込まれるようにして取り付けられている。すなわち、スライダ21aは、レール11aに跨るように取り付けられ、Y方向に移動可能な構成である。
【0024】
スライダ21aは、ケーシング22aと、一対のエンドキャップ23a,23b、具体的には、第1のエンドキャップ23aと、第2のエンドキャップ23bと、ローラ20a,20b,20c,20dをケーシング22aに保持させる保持板41a,41bと、を含む。保持板41a,41bの構成については、後に詳述する。第1のエンドキャップ23aは、ケーシング22aの長手方向の一方側、具体的には、長手方向においてケーシング22aのうちのレール前端面14a側に配置される。第2のエンドキャップ23bは、ケーシング22aの長手方向の他方側、具体的には、長手方向においてケーシング22aのうちのレール後端面14b側に配置される。すなわち、スライダ21aは、ケーシング22aの長手方向の両側に配置される一対のエンドキャップ23a,23bを含む。第1のエンドキャップ23aには、Y方向に貫通する貫通孔が設けられている。第1のエンドキャップ23aおよび第2のエンドキャップ23bは共に、長手方向を厚さ方向としたいわゆる板状である。第1のエンドキャップ23aは、貫通孔を利用して、複数のボルト26a,26b,26c,26dによりケーシング22aに連結されている。また、エンドキャップ23aには、潤滑油を供給するための供給孔25aが設けられている。エンドキャップ23bについても、同様である。
【0025】
なお、スライダ21aは、第1のエンドキャップ23aの長手方向の一方側に配置されるエンドシール27a,27bと、潤滑油を付与する潤滑部材28aと、を含む(特に図5参照)。エンドシール27aおよび潤滑部材28aは、ボルト26a,26b,26c,26dにより第1のエンドキャップ23aに取り付けられている。第2のエンドキャップ23bは、第1のエンドキャップ23aと同様に、エンドシール27bおよび潤滑部材と共に複数のボルトによりケーシング22aに連結されている。なお、ケーシング22aにはZ方向に貫通する複数の貫通孔29が設けられている。複数の貫通孔29は、本実施形態においては6つ設けられている。6つの貫通孔29はそれぞれ、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて設けられており、例えばスライダ21aと他の部材とを連結する際に利用される。
【0026】
ケーシング22aは、第1軌道面16a,16b,16c,16dにそれぞれ対向する第2軌道面32a,32b,32c,32dを含む(特に図2参照)。ローラ20aが転動する軌道路31aは、第1軌道面16aと第2軌道面32aとから構成される。ローラ20bが転動する軌道路31bは、第1軌道面16bと第2軌道面32bとから構成される。ローラ20cが転動する軌道路31cは、第1軌道面16cと第2軌道面32dとから構成される。ローラ20dが転動する軌道路31dは、第1軌道面16dと第2軌道面32dとから構成される。
【0027】
ケーシング22aには、軌道路31a,31b,31c,31dとそれぞれ並行する第1循環路33a,33b,33c,33dが設けられている。第1循環路33a,33b,33c,33dは、リターン路とも呼ばれる。第1循環路33a内には、第1分割部材35aおよび第2分割部材36aを組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ34aが配置されている。スリーブ34a内を複数のローラ20aが移動する。同様に、第1循環路33b内には、第1分割部材35bおよび第2分割部材36bを組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ34bが配置されている。第1循環路33c内には、第1分割部材35cおよび第2分割部材36cを組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ34cが配置されている。第1循環路33d内には、第1分割部材35dおよび第2分割部材36dを組み合わせて形成される中空円筒状のスリーブ34dが配置されている。
【0028】
第2のエンドキャップ23bには、第2循環路37a,37b,37c,37dが設けられている(特に図7参照)。第2循環路37a,37b,37c,37dは、方向転換路とも呼ばれる。第2循環路37a,37b,37c,37dはそれぞれ、複数のローラ20a,20b,20c,20dを移動可能とするように、第2のエンドキャップ23bの厚さ方向において円弧状に凹んだ形状である。また、第2循環路37a,37b,37c,37dを円弧状とするために、スペーサ38が用いられる(特に図3参照)。第2循環路37aは、軌道路31aと第1循環路33aとを接続する。第2循環路37bは、軌道路31bと第1循環路33bとを接続する。第2循環路37cは、軌道路31cと第1循環路33cとを接続する。第2循環路37dは、軌道路31dと第1循環路33dとを接続する。なお、第1のエンドキャップ23aにも同様に、軌道路31aと第1循環路33aとを接続する第2循環路、軌道路31bと第1循環路33bとを接続する第2循環路、軌道路31cと第1循環路33cとを接続する第2循環路および軌道路31dと第1循環路33dとを接続する第2循環路がそれぞれ設けられている。複数のローラ20aは、軌道路31a、第2のエンドキャップ23bの第2循環路37a、第1循環路33aおよび第1のエンドキャップ23aの第2循環路によって構成される環状路を循環している。複数のローラ20bは、軌道路31b、第2のエンドキャップ23bの第2循環路37b、第1循環路33bおよび第1のエンドキャップ23aの第2循環路によって構成される環状路を循環している。複数のローラ20cは、軌道路31c、第2のエンドキャップ23bの第2循環路37c、第1循環路33cおよび第1のエンドキャップ23aの第2循環路によって構成される環状路を循環している。複数のローラ20dは、軌道路31d、第2のエンドキャップ23bの第2循環路37d、第1循環路33dおよび第1のエンドキャップ23aの第2循環路によって構成される環状路を循環している。
【0029】
次に、ローラ20a,20b,20c,20dをケーシング22aに保持させる保持板41a,41bの構成について説明する。保持板41aは、ローラ20a,20bのそれぞれの端面と接触してローラ20a,20bを案内する保持部材42aと、保持部材42aをケーシング22aに固定する固定部材43aと、を含む。同様に、保持板41bは、ローラ20c,20dのそれぞれの端面と接触してローラ20c,20dを案内する保持部材42bと、保持部材42bをケーシング22aに固定する固定部材43bと、を含む。本実施形態においては、固定部材43a,43bはそれぞれ、板状であって、厚さ方向(X方向)に見て矩形状である。固定部材43a,43bはそれぞれ、長手方向に延びる形状である。
【0030】
保持部材42a,42bにはそれぞれ、X方向に凹む溝部44a,44bが設けられている(特に図2参照)。溝部44a,44b内に固定部材43a,43bを嵌め込むことができる。また、保持部材42a,42bには、X方向に貫通する貫通孔45が設けられている。貫通孔45は、Y方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、貫通孔45は2つ設けられている。固定部材43a,43bには、厚さ方向であるX方向に貫通するボルト穴46が設けられている。ボルト穴46は、Y方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、固定部材43a,43bに設けられるボルト穴46はそれぞれ、2つであって、貫通孔45に対応する位置である。溝部44a,44b内に固定部材43a,43bを嵌め込み、貫通孔45およびボルト穴46を利用して、固定ボルト47により保持部材42a,42bを挟み込むようにして、ケーシング22aと固定部材43a,43bとを固定する。このようにして、保持板41a,41bはそれぞれ、ローラ20a,20b,20c,20dをケーシング22aに保持させる。
【0031】
ここで、保持板41bは、長手方向において、ケーシング22aが位置する領域と重複する第1領域51aと、ケーシングが位置する領域から長手方向に突出する第2領域52a,52bと、を含む。具体的には、保持板41bに含まれる固定部材43bに、上記第1領域51aおよび第2領域52a,52bが設けられている。ケーシング22aの長手方向(Y方向)の長さと、第1領域51aの長手方向(Y方向)の長さは、同じである。本実施形態においては、第2領域52a,52bは、長手方向において、第1領域51aの両側に設けられている。また、一方のエンドキャップである第1のエンドキャップ23a側に突出する第2領域52aの長さと、他方のエンドキャップである第2のエンドキャップ23b側に突出する第2領域52bの長さとは、等しい。
【0032】
そして、第1のエンドキャップ23aには、第2領域52aを受け入れる受け入れ凹部53aが形成されている。同様に、第2のエンドキャップ23bには、第2領域52bを受け入れる受け入れ凹部53bが形成されている。受け入れ凹部53bは、長手方向に見て、第1壁面54aと、第1壁面54aと対向して配置される第2壁面55aと、第1壁面54aと第2壁面55aとを接続する第3壁面56aと、から構成されている(特に図8参照)。受け入れ凹部53bは、板状の第2のエンドキャップ23bを厚さ方向(Y方向)に貫通していない。保持板41aについても同様の構成であり、保持板41aは、保持部材42aと、第1領域および第2領域が設けられた固定部材43aと、を含む。受け入れ凹部53aについても、同様である。
【0033】
上記直動案内ユニット10aによると、固定部材43bは、長手方向において、ケーシング22aが位置する領域と重複する第1領域51aと、ケーシング22aが位置する領域から長手方向に突出する第2領域52a,52bと、を含む。そして、第1のエンドキャップ23aは、第2領域52aを受け入れる受け入れ凹部53aを含む。また、第2のエンドキャップ23bは、第2領域52bを受け入れる受け入れ凹部53bを含む。そうすると、固定部材43bの第2領域52a,52bをそれぞれのエンドキャップ23a,23bの受け入れ凹部53a,53bに嵌め込んで、スライダ21aを組み立てることができる。固定部材43aに関しても、同様である。このような構成によると、ケーシング22aに固定される固定部材43a,43bのうちの長手方向に突出する第2領域52a,52bがエンドキャップ23a,23bの受け入れ凹部53a,53bに嵌め込まれているため、ケーシング22aに対するエンドキャップ23a,23bの位置決めを確実に行うことができる。そうすると、エンドキャップ23a,23bに外部から衝撃や負荷が加えられた場合でも、ケーシング22aに対してエンドキャップ23a,23bの位置がずれるおそれを低減することができる。したがって、軌道路31a,31b,31c,31dやケーシング22aに設けられた第1循環路33a,33b,33c,33dに対してエンドキャップ23a,23bに設けられた第2循環路37a,37b,37c,37dの位置がずれるおそれを低減することができ、軌道路31a,31b,31c,31dおよび第1循環路33a,33b,33c,33dと第2循環路37a,37b,37c,37dとの円滑な連なりを確保することができる。その結果、スライダ21a内においてローラ20a,20b,20c,20dを円滑に循環させることができ、スライダ21aを円滑に摺動させることができる。
【0034】
本実施形態においては、保持板41a,41bは、ローラ20a,20b,20c,20dと接触してローラ20a,20b,20c,20dを案内する保持部材42a,42bと、保持部材42a,42bをケーシング22aに固定する固定部材43a,43bと、を含み、固定部材43a,43bにはそれぞれ、第1領域51aおよび第2領域52a,52bが設けられている。よって、保持部材42a,42bによりローラ20a,20b,20c,20dを適切に案内することができ、かつ保持部材42a,42bを確実に固定部材43a,43bにより固定することができる。また、第1領域51aおよび第2領域52a,52bを固定部材43a,43bに設けることにより、固定部材43a,43bを介してエンドキャップ23a,23bに対する保持部材42a,42bの位置決めを確実にすることができる。したがって、ローラ20a,20b,20c,20dをさらに円滑に循環させることができる。
【0035】
本実施形態においては、スライダ21aは、ケーシング22aの長手方向の両側に配置される一対のエンドキャップ23a,23bを含む。そして、第2領域52a,52bは、長手方向において第1領域51aの両側に設けられている。また、受け入れ凹部53a,53bは、一対のエンドキャップ23a,23bの双方に設けられている。よって、一対のエンドキャップ23a,23bの双方において、ケーシング22aに対して位置がずれるおそれを低減することができる。したがって、スライダ21a内においてローラ20a,20b,20c,20dをより円滑に循環させることができ、スライダ21aをより円滑に摺動させることができる。
【0036】
本実施形態においては、一方のエンドキャップ23a側に突出する第2領域52aの長さと、他方のエンドキャップ23b側に突出する第2領域52bの長さとは、等しい。よって、組み立て時における固定部材43a,43bの取り付けの方向性を気にしなくてもよいため、組み立て性の向上を図ることができる。
【0037】
本実施形態においては、固定部材43a,43bは、板状であって、厚さ方向に見て矩形状である。このような構成の固定部材43a,43bの形状は比較的単純であるため、生産性の向上を図ることができる。
【0038】
本実施形態においては、受け入れ凹部53a,53bは、長手方向に見て、第1壁面54aと、第1壁面54aと対向して配置される第2壁面55aと、第1壁面54aと第2壁面55aとを接続する第3壁面56aと、から構成されている。よって、第1壁面54aおよび第2壁面55aとの間に形成される開口側から固定部材43a,43bを容易に嵌め込むことができる。したがって、組み立て性の向上を図ることができる。
【0039】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態においては、第2領域52a,52bは、長手方向において第1領域51aの両側に設けられていることとしたが、これに限らず、第1領域51aのいずれか一方側に突出する第2領域52a,52bを含む構成としてもよい。この場合、二つの固定部材43a,43bにおいて、第1のエンドキャップ23a側にのみ突出する第2領域52aを設ける構成としてもよいし、固定部材43aについては、第1のエンドキャップ23a側にのみ突出する第2領域52aを設け、固定部材43bについては、第2のエンドキャップ23b側にのみ突出する第2領域52bを設ける構成としてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態においては、受け入れ凹部は、第1壁面と、第2壁面と、第3壁面とから構成される溝状としたが、これに限らず、受け入れ凹部は、エンドキャップ23a,23bを厚さ方向に貫通する貫通孔であってもよい。この貫通孔は、長手方向に見て、固定部材43a,43bの外形形状に沿った内壁面から構成されることとしてもよい。このようにすることにより、よりケーシング22aに対するエンドキャップ23a,23bの位置のずれを低減することができる。
【0041】
なお、上記実施の形態においては、固定部材43a,43bは、板状であって、厚さ方向に見て矩形状であることとしたが、このような形状に限らず、例えば、第2領域52a,52bに相当する部分について、第1領域51aよりも細い形状としたり、また、第1領域51aよりも太い形状としてもよい。また、第2領域52a,52bについては、長手方向に見て、受け入れ凹部53a,53bのそれぞれと係合する、例えば鈎爪状の形状を有していてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態においては、一方のエンドキャップ23a側に突出する第2領域52aの長さと、他方のエンドキャップ23b側に突出する第2領域52bの長さとは、等しいこととしたが、これに限らず、第2領域52a,52bの突出する長さを異ならせることとしてもよい。また、第2領域52a,52bの長さに応じて、受け入れ凹部53a,53bの形状も変更することにしてもよい。こうすることにより、エンドキャップ23a,23bの取り付けの方向性が生まれ、エンドキャップ23a,23bをそれぞれ、ケーシング22aの所望の位置に取り付けることができる。
【0043】
なお、上記実施の形態においては、保持板に含まれる固定部材に第1領域および第2領域が設けられることとしたが、これに限らず、保持板に含まれる保持部材に第1領域および第2領域が設けられることとしてもよい。また、保持板が、固定部材を含まず、上記した保持部材としての機能、すなわち、ケーシングに取り付けられる保持板が、転動体と接触し転動体を案内する構成とし、保持板に上記第1領域および第2領域が設けられることとしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態においては、転動体としてローラを用いることとしたが、これに限らず、転動体としてボールを用いることとしてもよい。また、上記実施の形態における直動案内ユニットは、4条列であることとしたが、これに限らず、例えば2条列であってもよい。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
10a 直動案内ユニット、11a レール、12a レール上端面、12b レール下端面、13a 第1レール側面、13b 第2レール側面、14aレール前端面、14b レール後端面、15a,15b 第1軌道溝、16a,16b,16c,16d 第1軌道面、17a,17b 側壁面、18,29,45 貫通孔、20a,20b,20c,20d ローラ、21a スライダ、22a ケーシング、23a エンドキャップ(第1のエンドキャップ)、23b エンドキャップ(第2のエンドキャップ)、24a 凹部、25a 供給孔、26a,26b,26c,26d ボルト、27a,27b エンドシール、28a 潤滑部材、31a,31b,31c,31d 軌道路、32a,32b,32c,32d 第2軌道面、33a,33b,33c,33d 第1循環路、34a,34b,34c,34d スリーブ、35a,35b,35c,35d 第1分割部材、36a,36b,36c,36d 第2分割部材、37a,37b,37c,37d 第2循環路、38 スペーサ、41a,41b 保持板、42a,42b 保持部材、43a,43b 固定部材、44a,44b 溝部、46 ボルト穴、47 固定ボルト、51a 第1領域、52a,52b 第2領域、53a,53b 受け入れ凹部、54a 第1壁面、55a 第2壁面、56a 第3壁面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8