(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100329
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】家電機器管理システム、家電機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20230711BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20230711BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G06F3/01 570
F25D11/00 101B
H04L12/28 500D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000902
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅井 正寛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴啓
【テーマコード(参考)】
3L045
5E555
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045LA15
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
5E555AA09
5E555AA76
5E555BA15
5E555BB01
5E555BB04
5E555BC01
5E555CA12
5E555CA42
5E555CB66
5E555CC01
5E555DA31
5E555DD11
5E555EA07
5E555EA09
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】
より簡便な構成で、非接触動作による家電機器の制御を実現することである。
【解決手段】
家電機器群10に含まれる家電機器と当該家電機器と接続する利用者端末2を有する家電機器管理システムにおいて、利用者端末2は、利用者の非接触動作を撮影する撮影部26と、撮影された前記非接触動作に応じた前記家電機器への制御指令を作成する制御指令作成部22と、作成された前記制御指令を、前記家電機器へ通知する通信部21を有し、前記家電機器は、通知された前記制御指令を受け付ける通信部104と、受け付けられた前記制御指令に応じた制御信号を作成する制御部101を有し、前記家電機器が前記制御信号に従って稼働する家電機器管理システムである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器と当該家電機器と接続する利用者端末を有する家電機器管理システムにおいて、
前記利用者端末は、
利用者の非接触動作を撮影する撮影部と、
撮影された前記非接触動作に応じた前記家電機器への制御指令を作成する制御指令作成部と、
作成された前記制御指令を、前記家電機器へ通知する通信部を有し、
前記家電機器は、
通知された前記制御指令を受け付ける通信部と、
受け付けられた前記制御指令に応じた制御信号を作成する制御部を有し、
前記制御信号に従って稼働する家電機器管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記利用者端末は、
複数の家電機器と接続し、
前記非接触動作に含まれる家電機器特定動作を用いて、前記複数の家電機器から特定家電機器を特定する家電機器特定部を有し、
前記利用者端末の通信部は、前記特定家電機器に、前記制御指令を通知する家電機器管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記制御指令作成部は、前記特定家電機器に応じた前記制御指令を作成する家電機器管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の家電機器管理システムにおいて、
前記制御部は、前記家電機器の複数の操作部に含まれる第1の操作部が稼働できない場合、第2の操作部が操作されることで、前記第1の操作部の機能を実行する機能切替部を有する家電機器管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記制御指令作成部は、前記非接触動作および前記家電機器の稼働内容が対応付けられた非接触動作管理情報を用いて、前記制御指令を作成し、
前記非接触動作管理情報は、前記利用者からの入力に従って作成される家電機器管理システム。
【請求項6】
利用者の利用する利用者端末と接続する家電機器において、
前記利用者端末から、前記利用者の非接触動作に応じた制御指令を受け付ける通信部と、
受け付けられた前記制御指令に応じた制御信号を作成する制御部を有し、
前記制御信号に従って稼働する家電機器。
【請求項7】
請求項6に記載の家電機器において、
前記利用者端末は、複数の家電機器と接続可能であり、
前記通信部は、前記利用者端末において、前記非接触動作に含まれる家電機器特定動作を用いて前記複数の家電機器から当該家電機器が特定された場合に、前記制御指令を受け付ける家電機器。
【請求項8】
請求項7に記載の家電機器において、
前記通信部は、前記利用者端末から、当該家電機器に応じた前記制御指令を受け付ける家電機器。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の家電機器において、
前記制御部は、前記家電機器の複数の操作部に含まれる第1の操作部が稼働できない場合、第2の操作部が操作されることで、前記第1の操作部の機能を実行する機能切替部を有する家電機器。
【請求項10】
請求項9に記載の家電機器において、
前記制御指令は、前記非接触動作および前記家電機器の稼働内容が対応付けられた稼働対応情報を用いて作成され、
前記稼働対応情報は、前記利用者の入力に従って作成される家電機器。
【請求項11】
制御信号に従って稼働する家電機器と接続可能なコンピュータである利用者端末を、
利用者の非接触動作を撮影する撮影部と、
撮影された前記非接触動作に応じた前記家電機器への制御指令を作成する制御指令作成部と、
作成された前記制御指令を、前記家電機器へ通知する通信部として機能させ、
前記家電機器は、前記制御指令に応じた前記制御信号に従って稼働するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記通信部は、複数の家電機器と接続し、
さらに、前記利用者端末を、前記非接触動作に含まれる家電機器特定動作を用いて、前記複数の家電機器から特定家電機器を特定する家電機器特定部として機能させ、
前記通信部は、前記特定家電機器に、前記制御指令を通知するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記制御指令作成部は、前記特定家電機器に応じた前記制御指令を作成するプログラム。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記利用者端末をさらに、前記家電機器の複数の操作部に含まれる第1の操作部が稼働できない場合、第2の操作部が操作されることで、前記第1の操作部の機能を実行するための機能切替指示を作成する切替判定部として機能させるプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記制御指令作成部は、前記非接触動作および前記家電機器の稼働内容が対応付けられた稼働対応情報を用いて、前記制御指令を作成し、
前記稼働対応情報は、前記利用者の入力に従って作成されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫などの貯蔵庫を含む家電機器に係り、その動作、稼働、実行する機能(以下、単に稼働と称する)を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各家庭や職場などで、各種家電機器が広く利用されている。例えば、冷蔵庫、IH調理器、電子レンジといった調理関連の家電機器、掃除機、洗濯機など家事を来なうための家電機器が利用されている。これら家電機器に対して、利用者は各種操作を行うことで利用している。例えば、冷蔵庫の収納や取り出しの際に、利用者が手動で扉を開閉することが必要となる。一般的には、この操作においては、利用者がハンドル、ボタンといった部位に直接触れることで行われる。
【0003】
このように、家電機器の部位に直接接触すると、ケガややけどをしたり、衛生面での懸念が生じたりしてしまう。さらに、利用者には、家電機器付近まで移動するとの手間が発生してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1では、「ユーザの動作に基づいて加熱部の動作を制御可能な加熱調理器において、加熱調理器を利用するユーザの安全性を高める」技術が開示されている。より具体的には、「検出範囲内におけるユーザの動作に基づいて、加熱部の動作を制御可能であり、かつ、表示部の動作を制御可能な制御部」を有する加熱調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1では、ユーザの動作を特定するために、加熱調理器にカメラを設けている(
図3参照)。このため、特許文献1においては、加熱調理器といった家電機器の大型化や構成の複雑化といった課題が存在する。さらに、家電機器の機能によっては、耐熱性、耐寒性、防塵、などを考慮する必要がある。そこで、本発明では、より簡便な構成で、非接触動作による家電機器の制御を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、スマートフォンといった利用者端末と家電機器を連携させて、非接触動作による家電機器の稼働を制御する。
【0008】
より具体的には、家電機器と当該家電機器と接続する利用者端末を有する家電機器管理システムにおいて、前記利用者端末は、利用者の非接触動作を撮影する撮影部と、撮影された前記非接触動作に応じた前記家電機器への制御指令を作成する制御指令作成部と、作成された前記制御指令を、前記家電機器へ通知する通信部を有し、前記家電機器は、通知された前記制御指令を受け付ける通信部と、受け付けられた前記制御指令に応じた制御信号を作成する制御部を有し、前記家電機器が前記制御信号に従って稼働する家電機器管理システムである。
【0009】
また、本発明には、家電機器管理システムを構成する上記の家電機器や利用者端末自身も含まれる。さらに、本発明には、利用者端末をコンピュータとして機能させるプログラムも含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非接触動作による家電機器の制御を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における冷蔵庫の外観を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における冷蔵庫の内部を示す側面断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における冷蔵庫の制御に関する機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態における家電機器管理システムのシステム構成図である。
【
図5】実施例1における利用者端末のハードウエア構成図である。
【
図6】実施例1で用いられる非接触動作管理情報を示す図である。
【
図7A】実施例1で用いられる機能管理情報212の第一の例を示す図である。
【
図7B】実施例1で用いられる機能管理情報212の第二の例を示す図である。
【
図8】実施例1および2における全体処理フローを示すフローチャートである。
【
図9】実施例1におけるステップS22の詳細フローを示すフローチャートである。
【
図10】実施例2における利用者端末のハードウエア構成図である。
【
図11】実施例2で用いられる稼働内容特定情報を示す図である。
【
図12A】実施例2で用いられる冷蔵庫機能管理情報を示す図である。
【
図12B】実施例2で用いられる洗濯機機能管理情報を示す図である。
【
図13】実施例2で用いられる家電機器特定情報を示す図である。
【
図14】実施例2におけるステップS22の詳細フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、家電機器の例として、冷蔵庫1や洗濯機4、ロボット掃除機5を用いて説明する。なお、本実施形態では、スマートフォンなどの利用者端末2と連携して、利用者の非接触動作に応じた家電機器の制御を行う。なお、非接触動作とは、カメラのような撮影装置で撮影可能なジェスチャやモーションと呼ばれる身振りや手話、指文字のような各種動作が含まれる。
【0013】
以下、本実施形態の構成について説明する。なお、本実施形態における処理フローについては、複数の具体例が想定される。このため、まず、本実施形態の構成を説明し、次に、処理フローの詳細を実施例1、2として後述する。但し、上述の利用者端末2の実装例については、実施例で異なるため、各実施例において説明する。
【0014】
まず、本実施形態における冷蔵庫1について説明する。
図1は、本実施形態における冷蔵庫1の外観を示す正面図である。
図1において、冷蔵庫1は、前方が開口した箱体11(外箱)にて外郭を構成している。箱体11の前方には、開口部を開閉する扉12が備えられている。箱体11は、冷蔵庫1の上部を構成する天板11a、底部を構成する底板11b、左右側部を構成する側板11cおよび背部を構成する背面板11d(図示せず)を有する。
【0015】
また、本実施形態の扉12は、第一段扉12a、第二段扉12b、第三段扉12cおよび第四段扉12dを有する。また、本実施形態の第一段扉12aおよび第二段扉12bは、それぞれ左右に開く2つの部位で構成される。なお、扉12の数や構成は、これらに限定されない。そして、第一段扉12aには、利用者の非接触動作を撮影する冷蔵庫カメラ103および表示操作パネル105が設けられている。なお、冷蔵庫カメラ103および表示操作パネル105については、追って説明する。
【0016】
次に、
図2は、本実施形態における冷蔵庫1の内部を示す側面断面図である。
図1において、冷蔵庫1は、その内部に内箱13が設けられている。なお、箱体11と内箱13の間に、発泡断熱材が充填されていることが望ましい。そして、内箱13により形成される空間である貯蔵室14(庫内)は、第一貯蔵室14a、第二貯蔵室14b、第三貯蔵室14cおよび第四貯蔵室14dで構成される。また、これら各貯蔵室は、それぞれ第一段扉12a、第二段扉12b、第三段扉12cおよび第四段扉12dと対応している。
【0017】
また、本実施形態では、第一貯蔵室14aに食品を収納する棚15aおよび棚15bが設けられている。また、第二貯蔵室14bに食品を収納する容器16aが設けられている。また、第三貯蔵室14cも、第二貯蔵室14bと同様に、容器16bが設けられている。なお、これら第一貯蔵室14a、第二貯蔵室14bおよび第三貯蔵室14cは、いわゆる冷蔵室であり、食品として野菜、加工食品や調味料などを収納する。さらに、第四貯蔵室14dは、いわゆる冷凍庫であり、容器の一種である製氷皿等の容器16dが設けられている。
【0018】
また、貯蔵室14には、庫内温度センサ102が設けられ、これで検知された庫内温度に応じて、冷蔵庫1の稼働が制御される。このために、本実施形態では、制御部101が、庫内温度センサ102から庫内温度を受け付け、この庫内温度に従って制御信号を作成し、圧縮機17を制御する。
【0019】
さらに、扉12ごとに、アクチュエータ106がそれぞれ設けられている。そして、制御部101で作成された制御信号に従って、アクチュエータ106が稼働し、各扉12の開閉を制御する。また、冷蔵庫1は、制御部101と接続し、利用者端末2などの他の装置と通信するための通信部104を有する。
【0020】
次に、稼働の制御に関する冷蔵庫1の制御系の構成について説明する。
図3は、本実施形態における冷蔵庫1の制御に関する機能ブロック図である。
図3において、制御主体である制御部101が、他の構成と通信路を介して接続されている。まず、制御部101は、庫内温度センサ102や冷蔵庫カメラ103といったセンサ類と接続している。ここで、庫内温度センサ102は、上述のように貯蔵室14,つまり、冷蔵庫1の庫内の温度を検知する。冷蔵庫カメラ103は、第一段扉12aに設けられ、利用者の非接触動作を撮影する。なお、利用者の非接触動作は利用者端末2で撮影してもよく、冷蔵庫カメラ103は省略可能である。
【0021】
また、制御部101は、表示操作パネル105と接続し、利用者からの操作を受け付けたり、制御の内容や冷蔵庫1の状況などを表示したりする。また、制御部101は、通信部104を介して、利用者端末2などの他の装置と通信する。この通信内容には、利用者からの操作等に応じた制御指令が含まれ、これに従って制御部101は冷蔵庫1の稼働を制御する。なお、表示操作パネル105は、タッチパネルで実現でき、複数の操作を受け付けられる。
【0022】
さらに、制御部101は、制御対象であるアクチュエータ106や圧縮機17と接続する。このために、制御部101は、これらアクチュエータ106や圧縮機17に制御信号を出力し、これらでは制御信号に従って稼働する。上述のように、アクチュエータ106は、制御信号に従って、扉の開閉を実行する。また、圧縮機17は、制御信号に従って稼働し、庫内温度を変更することになる。なお、制御部101は、センサ類の制御や電源共有を行うセンサ制御部と、主制御部に分けて構成してもよい。
【0023】
またさらに、制御部101は、制御信号作成部107、故障検出部108および機能切替部109を有する。制御信号作成部107は、上述したように利用者の操作やセンサ類の検知データなどに応じて制御信号を作成する。また、故障検出部108は、冷蔵庫1で発生した故障を含む異常を検出する。その中でも特に、表示操作パネル105の操作機能ないし操作部位について異常を検出する。また、機能切替部109は、検出された異常の発生機能ないし部位を、他の機能ないし部位で置き換える機能を有する。つまり、代替機能や代替操作に置き換える。以上の機能を実行するために、制御部101は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能である。そして、制御部101の制御信号作成部107、故障検出部108および機能切替部109は図示しない記憶部に記憶されたプログラムを用いて実現してもよいし、専用ハードウエアとして実現してもよい。
【0024】
以上のように、冷蔵庫1は、制御部101で作成される制御信号に従って、その稼働が制御される。これと同様に、洗濯機4、ロボット掃除機5も制御部を有し、この制御部に従って稼働することになる。これら、洗濯機4やロボット掃除機5の詳細の説明は割愛する。
【0025】
以上で、本実施形態における冷蔵庫1を中心とした家電機器の構成についての説明を終わる。続いて、本実施形態における他の装置の構成について説明する。
図4は、本実施形態における実施形態における家電機器管理システムのシステム構成図である。
図4において、冷蔵庫1、洗濯機4、ロボット掃除機5、利用者端末2および家電機器管理装置3が、ルータ6やネットワーク7を介して接続されている。ここで、冷蔵庫1、洗濯機4、ロボット掃除機5といった家電機器群10は、これらに限定されず、他の家電機器を含めてもよいし、1つの家電機器のみを用いてもよい。なお、家電機器管理システムは、冷蔵庫1といった家電機器および利用者端末2を有すればよく、他の装置は省略可能である。なお、ルータ6については、いわゆる家電サーバと呼ばれるコンピュータを用いてもよい。
【0026】
以下、上述した冷蔵庫1等の家電機器以外の装置について、説明する。まず、利用者端末2は、家電機器の利用者により操作され、スマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)とった各種コンピュータで実現できる。そして、利用者端末2は、通信部21、制御指令作成部22、非接触動作認識部23、非接触動作判定部24、切替判定部25、撮影部26、入力部27、出力部28および記憶部29を有する。
【0027】
まず、通信部21は、ルータ6やネットワーク7と通信する機能を有する。また、通信部21は、近距離無線通信機能もしくはルータ6を介して、冷蔵庫1などの家電機器と接続することになる。また、制御指令作成部22は、利用者の非接触動作に応じた家電機器を制御するための制御指令を作成する。また、非接触動作認識部23は、撮影された利用者の非接触動作を、画像認識技術を用いて認識する。また、非接触動作判定部24は、認識された非接触動作の示す制御内容を判定する。このために、非接触動作判定部24は、家電機器特定部241および稼働内容特定部242を有することが望ましい。家電機器特定部241は、認識された非接触動作に基づいて、家電機器を特定する。また、稼働内容特定部242は、非接触動作で要求される家電機器の稼働内容を特定する。
【0028】
また、切替判定部25は、家電機器で検出された異常の発生機能ないし部位を、他の機能ないし部位で置き換えるための機能切替指示を作成する。なお、これら制御指令作成部22、非接触動作認識部23、非接触動作判定部24および切替判定部25は、CPU(Central Processing Unit)といった処理装置がプログラムに従った演算を実行することで実現できる。
【0029】
また、撮影部26は、利用者の非接触動作を撮影する。また、入力部27は、利用者からの操作を受け付ける。また、出力部28は、利用者端末2の処理結果などが出力され、例えば、表示部として実現できる。さらに、記憶部29には、利用者端末2での処理を実行するための各種情報やプログラムが記憶される。
【0030】
次に、家電機器管理装置3は、家電機器の製造業者、販売業者や保守業者などで運用されるサイトを実現するためのコンピュータで構成できる。このため、家電機器管理装置3は、家電機器についての情報提供、ソフトウエアのアップロード、保守依頼受付などを実現する。以上で、本実施形態の説明を終わり、以下、本実施形態の具体例である実施例1および2について説明する。
【実施例0031】
実施例1は、利用者端末2の機能を、家電機器群10を統合的に管理、制御する家電機器管理プログラム206で実行する例である。
図5は、本実施例における利用者端末2のハードウエア構成図である。
図5において、利用者端末2は、タッチパネル201、処理装置202、通信装置203、記憶装置204およびカメラ205を有する。
【0032】
タッチパネル201は、利用者からの入力を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル201は、
図4の入力部27および出力部28に該当する。このため、タッチパネル201の代わりもしくはこれに加えて、マウスやキーボードのような入力装置およびディスプレイのような出力装置を設けてもよい。
【0033】
処理装置202は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する家電機器管理プログラム206に従って演算を実行する。このため、処理装置202で行う処理は、
図4の制御指令作成部22、非接触動作認識部23、非接触動作判定部24および切替判定部25での処理に相当する。
【0034】
通信装置203は、ネットワーク7やルータ6を介して、冷蔵庫1などの他の装置との通信を行う。また、通信装置203は、近距離無線通信機能を有し、これにより冷蔵庫1を含む家電機器と通信してもよい。以上のように、通信装置203は、
図4の通信部21に該当する。
【0035】
記憶装置204は、家電機器管理プログラム206、非接触動作管理情報211および機能管理情報212を記憶する。このように、本実施例の家電機器管理プログラム206は、記憶装置204といった記憶媒体に格納される。
【0036】
また、家電機器管理プログラム206は、いわゆるアプリで実現でき、制御指令作成モジュール207、非接触動作認識モジュール208、非接触動作判定モジュール209および切替判定モジュール210を有する。ここで、非接触動作判定モジュール209は、家電機器特定モジュール2091、稼働内容特定モジュール2092として構成してもよい。なお、これら各モジュールは、独立したプログラム(アプリ)として実現してもよいし、これらの一部の組合せでプログラム(アプリ)を構成してもよい。さらに、家電機器管理プログラム206に、他の機能が含まれることを阻害しない。
【0037】
なお、家電機器管理プログラム206の各モジュールと
図4の各部の対応関係は、以下のとおりである。
制御指令作成モジュール207:制御指令作成部22
非接触動作認識モジュール208:非接触動作認識部23
非接触動作判定モジュール209:非接触動作判定部24
家電機器特定モジュール2091:家電機器特定部241
稼働内容特定モジュール2092:稼働内容特定部242
切替判定モジュール210:切替判定部25
また、
図5において、利用者端末2は、カメラ205を有する。これは、
図4の撮影部26に相当し、利用者の非接触動作を撮影する。
【0038】
次に、非接触動作管理情報211は、非接触動作に基づいて、制御内容を特定するための情報である。ここでの、制御内容とは、家電機器の特定やその稼働内容が含まれる。
図6は、本実施例で用いられる非接触動作管理情報211を示す図である。
図6において、非接触動作管理情報211は、非接触動作と家電機器、稼働内容がそれぞれ対応付けられている。ここで、非接触動作と家電機器が対応付けられることで、家電機器群10、つまり、複数の家電機器のうち、いずれを家電機器管理プログラム206により制御させるかを特定することができる。すなわち、この情報を用いることで、ある非接触動作がなされた場合の制御対象の家電機器が特定される。また、非接触動作と稼働内容を対応付けることで、ある非接触動作がなされた場合における扉を開くといった家電機器の稼働内容が特定される。なお、非接触動作管理情報211には、利用者端末2、表示操作パネル105、撮影部26や冷蔵庫カメラ103を介して利用者から入力される指示に応じて、非接触動作を登録できる。つまり、非接触動作管理情報211は、利用者からの入力に従って作成できる。
【0039】
次に、機能管理情報212は、家電機器に異常が発生した場合、代替機能や代替操作(代替部位/操作)に置き換えるための情報である。本実施例では、表示操作パネル105で代表される操作部位での異常を対象としている。
図7Aは、本実施例で用いられる機能管理情報212の第一の例を示す図である。また、
図7Bは、本実施例で用いられる機能管理情報212の第二の例を示す図である。第一の例は比較的単純な機能について異常が発生した場合に有効な例であり、第二の例はより複雑な機能に対応可能な例である。以下、それぞれについて説明する。
【0040】
まず、
図7Aにおいて、機能管理情報212は、家電機器ごとに、故障部位、機能、代替部位/機能が対応付けられている。故障部位は、操作部位を特定するためのボタンを示す項目である。機能は、該当の故障部位における機能を示す項目である。代替部位/操作は、故障部位が機能しないもしくは機能が不十分である場合、代替となる部位や機能、操作を示す項目である。
【0041】
また、
図7Bにおいて、機能管理情報212は、家電機器ごとに、メニュー、代替部位/操作が対応付けられている。ここで、メニューとは、家電機器における複数の機能の組合せで実現する機能を特定する項目である。このメニューのために、専用ボタンを用意することや表示操作パネル105へ複数の機能を入力することが想定される。
図7Bでは、このようなメニューに対して、ショートカット操作というべき簡単な操作で代替することを想定している。なお、
図7Bの代替部位/操作は、
図7Aと同様である。さらに、
図7Aや
図7Bの代替部位/機能は、家電機器に外付けされた足踏みペダルなど外部部位を設定してもよい。この結果、代替部位として、外部部位を用いることが可能となる。
【0042】
次に、本実施例の処理フローについて説明する。
図8は、実施例1および2における全体処理フローを示すフローチャートである。以下、本フローチャートの説明においては、
図4や
図5に示す各部を処理主体として説明する。また、家電機器として、主に冷蔵庫1を用いて説明する。
【0043】
まず、ステップS21において、利用者端末2の撮影部26が、利用者の非接触動作を撮影する。なお、本ステップは、冷蔵庫カメラ103で撮影を行い、撮影された画像データを冷蔵庫1の通信部104から利用者端末2の通信部21に通知することで実行してもよい。
【0044】
また、ステップS21において、非接触動作認識部23が撮影された非接触動作を認識し、非接触動作判定部24が、認識結果に用いて制御内容を特定する。このステップS22の詳細について、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施例におけるステップS22の詳細フローを示すフローチャートである。
【0045】
図9のステップS221において、非接触動作認識部23が撮影された画像データである非接触動作に対して、画像処理技術を用いて認識する。次に、ステップS222において、非接触動作認識部23が、非接触動作を認識できるかを判定する。この結果、認識できていれば(可)、ステップS223に遷移する。また、認識できていければ(不可)、ステップS227に遷移する。そして、ステップS227において、非接触動作認識部23が出力部28を用いて、非接触動作を認識できなかったことを示すエラーを出力する。
【0046】
また、ステップS223において、非接触動作判定部24の家電機器特定部241が、非接触動作管理情報211から、認識された非接触動作に対応する制御対象となる特定家電機器を特定する。この際、上述の家電機器特定動作を用いることになる。そして、ステップS224において、家電機器特定部241が、非接触動作管理情報211に非接触動作に該当する家電機器があるかを判定する。この結果、ある場合(有)、ステップS225に遷移する。また、ない場合(無)、ステップS227に遷移し、家電機器特定部241が出力部28を用いて、特定家電機器がないことを示すエラーを出力する。なお、本ステップでは、入力部27に対する利用者からの入力に応じて、家電機器を特定してもよい。
【0047】
また、ステップS225において、非接触動作判定部24の稼働内容特定部242が、非接触動作管理情報211から、認識された非接触動作に対応する特定家電機器で行う稼働内容を特定する。この際、稼働内容特定動作が用いられることになる。そして、ステップS226において、稼働内容特定部242が、非接触動作管理情報211に非接触動作に該当する稼働内容があるかを判定する。この結果、ある場合(有)は、ステップS23に遷移する。また、ない場合(無)は、ステップS227に遷移し、家電機器特定部241が出力部28を用いて、該当する稼働内容がないことを示すエラーを出力する。また、ステップS227が終了すると、利用者からの指示に応じてステップS21に遷移することが望ましい。このことで、撮影を含む制御指示についてのリトライが可能になる。
【0048】
以上で、
図9の説明を終わるが、本実施例では、ステップS222およびS223の家電機器の特定を省略してもよい。なお、非接触動作には、家電機器を特定する家電機器特定動作と稼働内容を特定する稼働内容特定動が含まれる。そして、非接触動作として、初めに家電機器特定動作を行い、次に、稼働内容特定動作を行うことなど、動作順序をルール化して記憶部29に記憶しておくことが望ましい。また、家電機器特定動作と稼働内容特定動作を別体系としてルール化して記憶部29に記憶しておいてもよい。別体系とは、左手の動作を、家電機器特定動作とし、右手の動作を、稼働内容動作とするように体の部位を変えることや動作の速度・大きさなどを変えることが含まれる。さらに、別体系として、家電機器動作と稼働内容特定動作が重複しないように定めてもよい。
【0049】
次に、
図8に戻り、本実施例の処理フローについての説明を続ける。ステップS23において、制御指令作成部22が、ステップS22で特定された特定家電機器に応じ、稼働内容に従った制御指令を作成する。ここで、家電機器ごとに、制御指令が異なる体系で管理されていることがあるため、特定家電機器に応じた制御指令が作成されることが望ましい。そして、ステップS24において、制御指令作成部22が通信部21を用いて、作成された制御指令を、特定家電機器に通知する。ここで、特定家電機器とは、ステップS223やS224で特定された家電機器であることが望ましいが、別途利用者から指定された家電機器を特定家電機器としてもよい。なお、以下、制御指令の通知先は、冷蔵庫1とする。
【0050】
また、ステップS11において、冷蔵庫1の通信部104が、通知された制御指令を受け付ける。次に、ステップS12において、制御部101の制御信号作成部107が、受け付けられた制御指令に従った制御信号を作成する。そして、ステップS13において、制御信号作成部107が、制御対象のあるアクチュエータ106や圧縮機17に制御信号を出力する。この結果、制御対象は、制御信号に従って稼働する。例えば、アクチュエータ106は、扉12を開閉する。また、圧縮機17の稼働により庫内温度を調整できる。
【0051】
また、ステップS14において、故障検出部108が、冷蔵庫1、特に、表示操作パネル105で異常の一種である故障が発生しているかを判定する。なお、本ステップは適宜実行され、ステップS13との順序は特に問わない。ステップS14の結果、故障を検出しない場合(無)、処理を終了する。故障を検出した場合(有)、ステップS15に遷移する。そして、ステップS15において、故障検出部108が通信部104を用いて、故障部位ないし機能を含む故障情報を、利用者端末2に通知する。
【0052】
次に、ステップS25において、利用者端末2の通信部21が、故障情報を受け付ける。そして、ステップS26において、切替判定部25が、故障情報で示される故障部位ないし機能の代替部位/操作を示す機能切替指示を作成する。このために、切替判定部25は、機能管理情報212を用いて、故障情報に含まれる故障部位ないし機能に対応する代替部位/操作を特定する。つまり、切替判定部25は、家電機器の複数の操作部に含まれる第1の操作部が稼働できない場合、第2の操作部が操作されることで、前記第1の操作部の機能を実行するための機能切替指示を作成することになる。そして、これを受けて、ステップS27において、切替判定部25が通信部21を用いて、機能切替指示を冷蔵庫1に通知する。
【0053】
また、ステップS16において、冷蔵庫1の通信部104は、機能切替指示を受け付ける。そして、ステップS17において、機能切替部109が、機能切替指示に基づいて、冷蔵庫1の機能を切替える。このために、機能切替部109は、故障部位ないし機能と、受け付けられた機能切替指示に含まれる代替部位/操作の対応表を作成し、図示しない記憶部に記憶することが望ましい。そして、制御信号作成部107は、この対応表を参照して、制御信号を作成したり、その出力先を変更したりできる。以上のように、機能切替部109が、異常が発生した故障部位である第1の操作部が稼働できない場合、代替部位/操作である第2の操作部が操作されることで、第1の操作部の機能を実行することになる。
【0054】
以上で、実施例1の説明を終了するが、本発明は本実施例に限定されない。例えば、冷蔵庫1以外の家電機器にも適用できる。
次に、実施例2について説明する。実施例1では、家電機器群10を統合的に管理、制御する家電機器管理プログラム206を用いるが、本実施例では家電機器ごとの管理プログラム(アプリ)を用いる例である。以下、本実施例について説明する。
ここで、制御指令作成モジュール207、稼働内容特定モジュール2092、切替判定モジュール210は、実施例1と同様の機能を有するが、実施例1と異なり対象の家電機器が冷蔵庫1に限定される。
また、洗濯機管理プログラム2062や掃除機管理プログラム2063も同様のモジュールや情報を有する。例えば、洗濯機管理プログラム2062や掃除機管理プログラム2063が、洗濯機機能管理情報2122や掃除機機能管理情報2123を有することになる。
さらに、非接触動作対応プログラム213が、各管理プログラムで共通的に処理する非接触動作の認識、判定や家電機器の特定を行う。このために、非接触動作対応プログラム213は、非接触動作認識モジュール208、非接触動作判定モジュール209および家電機器特定モジュール2091を有する。これら各モジュールは、実施例1のそれと同様である。
なお、本実施例の各種プログラムは、記憶装置204といった記憶媒体に格納される。また、なお、家電機器特定情報2111や稼働内容特定情報2112には、利用者端末2、表示操作パネル105、撮影部26や冷蔵庫カメラ103を介して利用者から入力される指示に応じて、非接触動作を登録できる。つまり、家電機器特定情報2111や稼働内容特定情報2112は、利用者からの入力に従って作成できる。
次に、ステップS2201において、家電機器特定モジュール2091に従って処理装置202が、該当のアプリを起動する。このために、処理装置202は、ステップS224で特定された家電機器の管理プログラムを特定する。つまり、冷蔵庫管理プログラム2061、洗濯機管理プログラム2062、掃除機管理プログラム2063の何れかが起動される。
そして、起動されたアプリに従って処理装置202が、実施例1と同様にステップS225以降の処理を実行する。以上で、実施例2の説明を終了するが、本発明は本実施例にも限定されない。例えば、冷蔵庫1以外の家電機器にも適用できる。