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特開2023-100330電気掃除機の保守支援システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100330
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電気掃除機の保守支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230711BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20230711BHJP
   G16Y 40/40 20200101ALI20230711BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
A47L9/28 K
G16Y40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000903
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴裕
【テーマコード(参考)】
3B057
5L049
【Fターム(参考)】
3B057DA07
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】
電気掃除機1を含む家電機器とスマートフォンのような利用者端末2との連携により、効率的な保守支援を行うこと。
【解決手段】
電気掃除機1に対する保守を実現する電気掃除機の保守支援システムにおいて、前記電気掃除機1に設けられた複数の塵埃捕集部と、前記電気掃除機1に設けられ、各々が、前記複数の塵埃捕集部それぞれの状況を示すセンサデータを検知する複数のセンサと、前記センサデータに基づいて、前記電気掃除機1における保守の必要性を示す捕集状況を特定する利用者端末捕集状況特定部22と、前記捕集状況および当該前記捕集状況に応じた保守内容を出力する出力部28を備えた利用者端末2を有する電気掃除機の保守支援システム。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機に対する保守を実現する電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記電気掃除機に設けられた複数の塵埃捕集部と、
前記電気掃除機に設けられ、各々が、前記複数の塵埃捕集部それぞれの状況を示すセンサデータを検知する複数のセンサと、
前記センサデータに基づいて、前記電気掃除機における保守の必要性を示す捕集状況を特定する捕集状況特定部と、
前記捕集状況および当該前記捕集状況に応じた保守内容を出力する利用者端末を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記複数の塵埃捕集部は、フィルタおよび集塵室であり、
前記複数のセンサは、前記フィルタの目詰まり状況を検知する第1のセンサと、前記集塵室の塵埃の集積状況を検知する第2のセンサで構成され、
さらに、前記目詰まり状況および前記集積状況の少なくとも一方が所定条件を満たすかを判定し、前記所定条件が満たされる場合、前記捕集状況に応じた前記保守内容を特定する保守内容特定部を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記捕集状況特定部および前記保守内容特定部は、前記電気掃除機に設けられ、
前記電気掃除機は、さらに、
前記利用者端末へ、前記保守内容を通知する通信部を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記通信部は、前記保守内容を、前記電気掃除機の掃除が終了した際に通知する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記電気掃除機は、さらに、前記捕集状況を表示する表示部を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項6】
請求項2の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記捕集状況特定部は、前記電気掃除機に設けられ、
前記保守内容特定部は、前記利用者端末に設けられ、前記電気掃除機から通知された捕集状況に応じて、前記保守内容を特定し、
前記利用者端末は、前記保守内容を出力する出力部を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の電気掃除機の保守支援システムにおいて、
前記利用者端末は、前記保守内容が所定条件を満たす場合に、前記保守に関する前記電気掃除機の消耗品を発注する発注指示を作成する消耗品発注部を有する電気掃除機の保守支援システム。
【請求項8】
電気掃除機の保守支援に用いられるコンピュータである利用者端末を、
前記電気掃除機における複数の塵埃捕集部それぞれの状況を示すセンサデータを受け付ける通信部と、
前記センサデータに基づいて、前記電気掃除機における保守の必要性を示す捕集状況を特定する捕集状況特定部と、
前記捕集状況および当該前記捕集状況に応じた保守内容を出力する出力部として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記利用者端末をさらに、
前記捕集状況が所定条件を満たすかを判定し、前記所定条件が満たされる場合、前記捕集状況に応じた前記保守内容を特定する保守内容特定部として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記捕集状況は、前記電気掃除機の塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況および集塵室の塵埃の集積状況であって、
前記保守内容特定部は、前記目詰まり状況および前記集積状況の少なくとも一方が前記所定条件を満たすかを判定するプログラム。
【請求項11】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記通信部が、前記電気掃除機に、前記保守内容を通知することで、
前記電気掃除機で、前記保守内容を出力するプログラム。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記利用者端末をさらに、前記保守内容が所定条件を満たす場合に、前記保守に関する前記電気掃除機の消耗品を発注する発注指示を作成する消耗品発注部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機を含む家電機器に関する。その中でも特に、家電機器に対する保守を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器の一種である電気掃除機は、塵埃を含む空気を吸入(吸気)することで床面等の掃除を行っている。そして、吸気された空気中の塵埃が集積されることになる。このような塵埃の集積を行うため、電気掃除機に対して、何らかの保守作業が必要になる。例えば、保守作業として、塵埃捕集用フィルタの清掃や集塵室からの塵埃の廃棄などが挙げられる。
【0003】
ここで、保守作業を効率的に行うためには、塵埃捕集用フィルタや集塵室の状況を把握することが有効である。例えば、特許文献1では、「塵室を出て電動送風機へ向かう空気が通過するフィルタの目詰まりを検知する」技術が開示されている。より具体的には、特許文献1には、「電動送風機8の稼働により吸い込まれたごみはダストカップ内に溜まる。ダストカップを出て電動送風機8へ向かう空気はフィルタを通過する。ダストカップ内に溜まったごみの量はごみセンサ16で検知し、電動送風機8の風量は、電動送風機8の電流の変化に基づいて風量検知部62で検知する。ごみセンサ16による検知結果が所定のごみ量以下であることを示し、かつ、風量検知部62による検知結果が所定の風量以下であること示した場合、フィルタ目詰まり判定部64は、フィルタに目詰まりが生じていると判定する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-301878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、所定の風量である設定レベル以下になった場合に警報を出力している。この結果、フィルタの掃除が可能となる。ここで、電気掃除機を始めとする家電機器については、スマートフォンなどの利用者端末と連携することが実現されている。このような連携により、保守支援を始めとする家電機器の効率的な管理が可能となる。しかしながら、特許文献1では、利用者端末との連携については考慮されていなかった。そこで、本発明では、電気掃除機を含む家電機器と利用者端末との連携により、効率的な保守支援を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明では、利用者端末と連携して、電気掃除機等の家電機器の複数の塵埃捕集部における保守の必要性を示す捕集状況に応じた保守支援を実行する。
【0007】
より具体的には、電気掃除機に対する保守を実現する電気掃除機の保守支援システムにおいて、前記電気掃除機に設けられた複数の塵埃捕集部と、前記電気掃除機に設けられ、各々が、前記複数の塵埃捕集部それぞれの状況を示すセンサデータを検知する複数のセンサと、前記センサデータに基づいて、前記電気掃除機における保守の必要性を示す捕集状況を特定する捕集状況特定部と、前記捕集状況および当該前記捕集状況に応じた保守内容を出力する利用者端末を有する電気掃除機の保守支援システムである。
【0008】
なお、本発明には、電気掃除機を含む家電機器、利用者端末も含まれる。さらに、これらを用いて、保守支援方法やこれを実行するためのプログラムおよびこれを格納する媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、家電機器の状況に応じた管理、例えば、電気掃除機における捕集状況に応じた保守支援を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における電気掃除機の外観を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態における掃除機本体の内部構成を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態におけるシステム構成図である。
図4】本発明の一本実施形態における制御部の機能ブロック図である。
図5】本発明の一本実施形態における利用者端末のハードウエア構成図である。
図6】本発明の一実施形態で用いられる消耗品情報を示す図である。
図7】本発明の一実施形態で用いられる保守基準情報を示す図である。
図8】本発明の一実施形態で用いられる顧客情報を示す図である。
図9】本発明の一実施形態で用いられる保守情報を示す図である。
図10A】実施例1における処理フローを示すフローチャート(その1)である。
図10B】実施例1および2におけるステップS203およびS206の詳細を示すフローチャートである。
図10C】実施例1における処理フローを示すフローチャート(その2)である。
図11】実施例1における複数の捕集状況を統合的に出力した内容を示す図である。
図12】実施例1における塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況をグラフィカルに出力する態様を示す図である。
図13】実施例2における処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、電気掃除機を例にして説明する。なお、本発明は、保守が行われる家電機器であれば、電気掃除機に限定されない。例えば、空気清浄機、洗濯機、乾燥機なども本発明の対象となる。さらに、掃除機も自走式のいわゆるロボット掃除機も本発明の対象となる。また、保守には、清掃、消耗品や部品の交換・補充、修理、点検なども含まれる。点検においては、故障予兆に応じた点検や点検結果に応じた作業も含まれる。
【0012】
本実施形態では、電気掃除機での塵埃の捕集状況に応じて、保守支援を行う。但し、本発明は、これに限定されず、家電機器の機能の実行状況に応じて、保守支援が行うことが可能であればよい。また、本実施形態では、この保守として、運転制御、清掃、消耗品の交換、その発注、保守作業員への保守依頼を実行する。なお、これらは例示であり、本発明ではこれらに限定されず、また、その一部のみを実行してもよい。
【0013】
以下、本実施形態の構成について説明する。なお、本実施形態における処理フローについては、複数の具体例が想定される。このため、まず、本実施形態の構成を説明し、処理フローの詳細については、実施例1および2として後述する。
【0014】
まず、本実施形態における保守対象である電気掃除機1について説明する。図1は、本実施形態における電気掃除機1の外観を模式的に示す斜視図である。図1において、電気掃除機1は、掃除機本体10、ヘッド本体16および延長管17を有し、ヘッド本体16から吸気される塵埃を含む空気が延長管17を介して、掃除機本体10に吸い込まれる。また、掃除機本体10は、モータケース部11、集塵部12、ハンドル部13、表示部14、吸気口15および排気口18を有する。次に、これら掃除機本体10について説明する。
【0015】
まず、モータケース部11には、吸気力の発生源となる部品が格納される。また、集塵部12は、吸気口15を介して吸気される空気の塵埃を集積する集塵室121を有する。また、ハンドル部13は、利用者が保持して掃除を行うために用いられる。また、表示部14は、電気掃除機1の掃除モードや運転状況などを表示する。なお、表示部14と一体もしくは別構成で、操作部を設けることが望ましい。また、排気口18は、集塵室121を経由して流れる空気を、掃除機本体10から排気する。
【0016】
次に、上述の掃除機本体10の詳細を、説明する。図2は、本実施形態における掃除機本体10の内部構成を模式的に示す図である。図2において、掃除の際に吸気された空気が、図の下部から上部へ、つまり、矢印の方向に流れる。
【0017】
まず、モータケース部11には、バッテリ111、モータ112およびファン113が格納されている。ここでは、バッテリ111を電源としてモータ112を動作させることで、ファン113が回転し、吸気力を発生させる。そして、電流センサ103がモータ112とバッテリ111の間に設けられる。電流センサ103は、モータ112へ流入する電流値を検知する。この結果、制御部105がファン113の回転数を算出し、この回転数に基づいて目詰まり状態を特定することが可能になる。なお、電流センサ103は、第1のセンサの一例であり、これに代わりもしくはこれに加え、電圧センサも併せて用いてもよい。なお、ファン113は、吸引力を発生する回転ファンおよび排気を情報に流す固定ファンで構成してもよい。
【0018】
また、集塵部12には、吸気口15と接続され、延長管17から流れる空気に含まれる塵埃を集積する集塵室121が設けられている。そして、集塵部12の空気の下流側には、塵埃捕集用フィルタ102が設けられる。この塵埃捕集用フィルタ102を吸気された空気が流れることで、塵埃が除かれる。なお、集塵室121をいわゆる紙パックで実現した場合、当該紙パックは塵埃捕集用フィルタ102として用いられる。また、電気掃除機1として、いわゆるサイクロン式の掃除機を用いる場合、メッシュフィルタを設けてもよい。さらに、集塵室121として、いわゆるダストカップを用いることも可能である。
【0019】
さらに、集塵部12には、集塵室121に集積される塵埃を検知する塵埃センサ104が設置される。塵埃センサ104は、第2のセンサの一例であり、例えば、光センサユニットで実現される。つまり、光センサユニットは、発光部と受光センサで構成され、発光部で発行された光を、受光センサで検知する。この検知された光の量、強さなどで、集積された塵埃の量を検知できる。このために、光センサユニットは、吸気口15付近に設けられることが望ましいが、集塵室121内に設けられてもよい。また、光センサユニットの他、重量センサ、位置センサ、赤外線センサなどを用いてもよい。さらに、これらを併用してもよい。またさらに、これらセンサ類は、第1のセンサ、第2のセンサに限定されず、3以上のセンサを用いてもよい。なお、これらセンサ類は、集塵室121や塵埃捕集用フィルタ102などの塵埃捕集部の状況を示すセンサデータを検知できればよい。
【0020】
また、空気の下流側(図2の上部)には、排気フィルタ101が設けられ、これを通って集塵室121からの空気が排気口18から排出される。
【0021】
また、掃除機本体10には、電気掃除機1の運転を制御する制御部105が設けられる。また、制御部105は、電流センサ103、塵埃センサ104と接続し、これらのセンサデータを受け付ける。このため、制御部105は、センサデータを用いた制御などの各種演算を実行する。そして、制御部105は、表示部14と接続し、掃除モードや運転状況などをこれに出力する。
【0022】
さらに、制御部105は、通信部106と接続する。この通信部106は、スマートフォンなどの利用者端末2やネットワーク8と接続し、運転や保守に関する通信を行う。ここで、本実施形態では、保守支援を、利用者端末2や他のコンピュータを用いて実行する。以下、この保守支援を行うためのシステム構成について説明する。
【0023】
図3は、本実施形態におけるシステム構成図である。図3において、利用者端末2が、電気掃除機1と通信可能である。利用者端末2と電気掃除機1は、ルータ7やネットワーク8を介して通信してもよいし、近距離無線通信機能などを利用して接続してもよい。この通信により、利用者端末2は、電気掃除機1に対する保守を含む管理機能を実行することが可能となる。
【0024】
また、利用者端末2は、ネットワーク8を介して、各種コンピュータと接続する。これらコンピュータは、本実施形態での管理機能を実現するために、利用者端末2と連携して処理を行う。そして、これらコンピュータには、家電管理装置3、保守管理者端末4、保守作業員端末5や消耗品販売装置6が含まれる。
【0025】
以下、図3に示す各装置の概要について説明する。電気掃除機1は、本実施形態における保守対象であり、消費者である利用者によって掃除に用いられる。電気掃除機1の構成については、上述のとおりであるが、制御部105により、保守のための情報処理を実行する。ここで、図4を用いて、制御部105の詳細を説明する。図4は、本実施形態における制御部105の機能ブロック図である。制御部105は、通信部106と接続し、電気掃除機捕集状況特定部151、電気掃除機保守内容特定部152、入力部153、出力部154、制御信号作成部155および記憶部156を有する。制御部105は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能であり、各部は専用ハードウエアやプログラムといったソフトウエアで実現できる。
【0026】
まず、電気掃除機捕集状況特定部151は、センサデータに基づき、電気掃除機1の捕集状況を特定する。本実施形態の捕集状況とは、電気掃除機1における汚れや塵埃捕集の度合を示し、保守の必要性を示す情報である。そして、本実施形態では、捕集状況として、集塵室121への塵埃の集積状況や塵埃捕集用フィルタ102の目詰まり状況を用いる。この集積状況は、集積された塵埃の量(体積、重量)が含まれる。また、目詰まり状況には、空気の流れ易さが含まれる。
【0027】
但し、捕集状況は、これらに限定されない。例えば、サイクロン式の電気掃除機におけるメッシュフィルタの目詰まり状況や排気フィルタ101の目詰まり状況も含まれる。なお、捕集状況は、保守の必要性を示す度合を示す情報の一種であり、他の情報を用いてもよい。例えば、排気フィルタ101や塵埃補修用フィルタ102などの各種部品の劣化状況やバッテリ111の充電量も含まれる。
【0028】
また、電気掃除機保守内容特定部152は、捕集状況に応じた保守内容を特定する。保守内容には、消耗品の交換、発注や清掃などの推奨される保守の種別を含む情報である。なお、電気掃除機捕集状況特定部151および電気掃除機保守内容特定部152の機能は、利用者端末2で実行してもよく、これらは、必須でなく省略可能である。
【0029】
また、入力部153は、電流センサ103や塵埃センサ104からセンサデータを受け付けたり、利用者端末2から制御指令を受け付けたりする。なお、制御指令は、電気掃除機1に設けられた操作部から受け付けてもよい。また、出力部154は、モータ112などへの制御信号や利用者端末2に対する捕集状況やセンサデータを出力する。なお、捕集状況やセンサデータは、通信部106を介して、通信されることになる。
【0030】
また、制御信号作成部155は、上述の制御指令やセンサデータに従って、モータ112などへの制御信号を作成する。なお、センサデータは、保守に用いられる電流センサ103や塵埃センサ104以外のデータを用いてもよい。また、制御信号は、モータ112以外の制御対象にも出力されることを阻害しない。
【0031】
そして、記憶部156には、上述の処理を実行するための情報が記憶される。例えば、捕集状況に対する閾値が記憶される。電気掃除機捕集状況特定部151は、この閾値以上の保守状況である場合、保守内容を出力するように判定する。以上で、図4の説明を終わり、図3の説明に戻る。
【0032】
図3において、利用者端末2は、利用者により操作され、スマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)とった各種コンピュータで実現できる。そして、利用者端末2は、通信部21、利用者端末捕集状況特定部22、利用者端末保守内容特定部23、消耗品発注部24、保守依頼部25、制御指令作成部26、入力部27、出力部28および記憶部29を有する。まず、通信部21は、ルータ7やネットワーク8と通信する機能を有する。また、通信部21は、近距離無線通信機能により、電気掃除機1と接続する機能を有する。
【0033】
また、利用者端末捕集状況特定部22および利用者端末保守内容特定部23は、電気掃除機捕集状況特定部151および電気掃除機保守内容特定部152と同様の機能を有する。なお、利用者端末捕集状況特定部22および利用者端末保守内容特定部23についても、省略可能であり、電気掃除機1を始めとする他の装置でその機能実行してもよい。
【0034】
また、消耗品発注部24は、特定された保守内容に従って、消耗品の発注、注文を行うための発注指示を作成する。また、保守依頼部25は、特定された保守内容に従って、製造メーカ、販売業者もしくは家電機器の保守専用業者などの保守作業員の保守を依頼する保守依頼を作成する。また、制御指令作成部26は、利用者端末捕集状況特定部22や利用者端末保守内容特定部23での出力や利用者からの入力に従って、電気掃除機1を制御するための制御指令を作成する。
【0035】
また、入力部27は、利用者からの操作を受け付ける。また、出力部28は、利用者端末2の処理結果などが出力され、表示部として実現できる。さらに、記憶部29には、利用者端末2での処理を実行するための各種情報が記憶される。
【0036】
ここで、図5を用いて、利用者端末2の詳細を説明する。図5は、本実施形態における利用者端末2のハードウエア構成図である。図5では、利用者端末2を、スマートフォンで実現した例で説明する。図2において、利用者端末2は、タッチパネル201、処理装置202、通信装置203および記憶装置204を有する。
【0037】
タッチパネル201は、利用者からの入力を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル201は、図3の入力部27および出力部28に該当する。このため、タッチパネル201の代わりもしくはこれに加えて、マウスやキーボードのような入力装置およびディスプレイのような出力装置を設けてもよい。
【0038】
処理装置202は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する掃除機保守支援プログラム205に従って演算を実行する。このため、処理装置202で行う処理は、図3の利用者端末捕集状況特定部22、利用者端末保守内容特定部23、消耗品発注部24、保守依頼部25、制御指令作成部26での処理に該当する。
【0039】
通信装置203は、ネットワーク8やルータ7を介して、電気掃除機1などの他の装置との通信を行う。また、通信装置203は、近距離無線通信機能を有し、これにより電気掃除機1と通信してもよい。以上のように、通信装置203は、図3の通信部21に該当する。
【0040】
記憶装置204は、掃除機保守支援プログラム205、消耗品情報211および保守基準情報212を記憶する。このため、記憶装置204は、図3の記憶部29に該当する。また、掃除機保守支援プログラム205は、電気掃除機1の保守支援を行うプログラムであって、いわゆるアプリで実現できる。また、掃除機保守支援プログラム205は、捕集状況特定モジュール206、保守内容特定モジュール207、消耗品発注モジュール208、保守依頼モジュール209および制御指令作成モジュール210を有する。なお、これらは、独立したプログラム(アプリ)として実現してもよいし、これらの一部の組合せでプログラム(アプリ)を構成してもよい。さらに、掃除機保守支援プログラム205は、他の機能が含まれることを阻害しない、例えば、掃除機保守支援プログラム205を複数の家電機器を制御、管理するための統合管理プログラム(アプリ)として実現してもよい。なお、掃除機保守支援プログラム205や電気掃除機1で用いられるプログラムは、各記憶部などの記憶媒体に格納されることになる。
【0041】
なお、掃除機保守支援プログラム205の各モジュールと図3の各部の対応関係は、以下のとおりである。
捕集状況特定モジュール206:利用者端末捕集状況特定部22
保守内容特定モジュール207:利用者端末保守内容特定部23
消耗品発注モジュール208:消耗品発注部24
保守依頼モジュール209:保守依頼部25
制御指令作成モジュール210:制御指令作成部26
また、消耗品情報211は、保守支援に用いられ、電気掃除機1などの家電機器の消耗品の残量(ストック)に関する情報である。図6は、本実施形態で用いられる消耗品情報211を示す図である。図6において、消耗品情報211は、家電機器ごとに、消耗品、消耗品ごとの残量、消耗品ごとの発注基準値を示している。ここで、家電機器は、利用者の利用ないし保有している家電機器を識別する。
【0042】
また、消耗品は、該当の家電機器で用いられる消耗品を識別する。残量は、利用者が購入済などで未使用の消耗品の数量を示す。残量は、利用者からの手入力であってもよいし、購入履歴を用いて算出してもよい。発注基準値は、消耗品の発注(購入)を促す残量を示す。例えば、「塵埃捕集用フィルタ102」の残量が「2」以下となった場合に、タッチパネル201等に発注を促す情報を表示するための閾値(基準値)である。この発注基準値は、利用者の手入力で変更可能としてもよいし、予め機械的に設定される値を用いてもよい。さらに、本実施形態の消耗品情報211は、複数の家電機器の情報であるが、電気掃除機1といった1つの家電機器の情報であってもよい。
【0043】
また、保守基準情報212は、捕集状況を含む電気掃除機1の状況に応じて行う保守を示す情報である。図7は、本実施形態で用いられる保守基準情報212を示す図である。図7において、保守基準情報212は、家電機器、保守コード、状況、対処、対応者が記録される。ここで、家電機器は、消耗品情報211の家電機器と同様である。保守コードは、該当の家電機器で発生するエラーなどの状況を識別するコードであり、エラーコードを用いることもできる。また、状況は、保守コードに対応する状況を示す情報である。なお、保守コードおよび状況は、一方のみを用いてもよい。また、対処は、家電機器で発生した状況への対処、つまり、保守の内容を示す。さらに、対応者は、対処を実行する主体を示す。本実施形態では、利用者自身で対応可能か、専門家である保守作業員であるかを区別する。
【0044】
なお、消耗品情報211および保守基準情報212は、後述の家電管理装置3における顧客情報331や保守情報332を用いることで、省略可能である。また、消耗品情報211および保守基準情報212は、利用者端末2以外の装置に記憶してもよい。さらに、これらを1つの情報として構成してもよい。
【0045】
以上で、利用者端末2の説明を終わり、図3に戻り、家電管理装置3について説明する。家電管理装置3は、サーバ等のコンピュータで実現される。また、家電管理装置3は、上述のように電気掃除機1の製造メーカ等で運用され、電気掃除機1やその利用者に関する管理を行う。このために、家電管理装置3は、通信部31、保守管理部32および記憶部33を有する。通信部31は、ネットワーク8を介して他の装置と通信する。
【0046】
また、保守管理部32は、電気掃除機1やその利用者の他、様々な家電機器及びその利用者についての管理業務を行う。その中でも特に、保守支援を実行する。この保守支援には、保守作業員の手配のための情報処理が含まれるが、その内容は後述するっ処理フローで説明する。なお、保守管理部32の機能は、CPUといった処理装置がプログラムに従った演算を実行することで実現できる。
【0047】
また、記憶部33は、管理業務に用いられる顧客情報331および保守情報332を記憶する。このため、記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)といった記憶装置で実現できる。また、記憶部33は、家電管理装置3の外部にデータベースシステムとして構成してもよい。
【0048】
以下、顧客情報331および保守情報332について、説明する。まず、顧客情報331は、家電機器の顧客(各利用者)やその家電機器、消耗品を管理するための情報である。図8は、本実施形態で用いられる顧客情報331を示す図である。図8において、顧客情報331は、顧客、住所、連絡先、家電機器、消耗品、残量および発注基準値を有する。顧客は、家電機器を入手した利用者を示す。住所および連絡先は、該当の顧客の属性を示す情報である。顧客の属性を示す情報は、これらに限定されず、省略も可能である。家電機器は、顧客が利用する家電機器を示す。そして、消耗品、残量および発注基準値は、消耗品情報211と同様の情報である。なお、消耗品情報211を用いてる場合、消耗品、残量および発注基準値は省略してもよい。また、顧客情報331については、顧客に関する情報と、消耗品情報211該当する情報に分けて管理してもよい。
【0049】
次に、保守情報332は、家電に発生した状況に対応するために行われる保守作業員の保守を支援するための情報である。図9は、本実施形態で用いられる保守情報332を示す図である。図9において、保守情報332は、顧客、家電機器、保守コード、状況、保守作業員、作業、日程が含まれる。顧客および家電機器は、保守作業が必要な顧客および家電機器を示す。保守コードおよび状況は、保守基準情報212と同様である。保守作業員は、保守作業が割当てられた保守作業員を示す。作業は、保守作業員が行うべき作業を示す。また、日程は、該当の作業を行う予定を示す。なお、保守情報332は、作業が完了するまで管理するものとし、それ以降のレコードは削除ないし無効化されてもよい。以上で、家電管理装置3の説明を終わる。
【0050】
次に、保守管理者端末4は、保守作業を指示する保守管理者が用い、コンピュータで実現できる。また、保守管理者端末4は、家電管理装置3へ指示を出力したり、その処理結果を出力したりする。なお、保守管理者端末4をいわゆるコールセンタに設け、テレフォンオペレータが利用してもよい。
【0051】
また、保守作業員端末5は、保守作業員が用いる携帯用の端末装置であり、スマートフォンやタブレットで実現される。そして、保守作業員端末5には、保守情報332の少なくとも一部が通知され、これに基づき家電機器の保守作業を行う。
【0052】
また、消耗品販売装置6は、いわゆるECサイト、オンラインショップや電子モールなどと称されるwebサイトを実現するためのサーバである。このため、消耗品販売装置6はサーバ等のコンピュータで実現され、家電機器の消耗品の販売を可能としている。なお、消耗品販売装置6は、消耗品の販売に限らず、家電機器の販売を実現してもよい。
【0053】
また、ルータ7は、家庭内など電気掃除機1を利用する利用エリアでの通信を仲介する装置であり、電気掃除機1、利用者端末2やネットワーク8と接続する。そして、ネットワーク8は、各種装置の通信を実現する通信網であり、インターネットで実現できる。
【0054】
以上で、本実施形態の説明、特にその構成についての説明を終わり、以下、本発明の処理フローの例を、実施例1および2として説明する。
【実施例0055】
以下、実施例1における保守支援のための処理フローを、図10A図10Cのフローチャートを用いて説明する。なお、本実施例および実施例2では、処理主体として図1図4の各部を用いて説明する。
【0056】
まず、図10Aは、実施例1における処理フローを示すフローチャート(その1)である。S101において、電気掃除機1が掃除を開始する。これは、利用者から電気掃除機1に対する操作に応じて実行してもよいし、利用者端末2からの制御指令に従って実行してもよい。このために、制御部105の制御信号作成部155は、利用者の操作や制御指令に応じた制御信号を作成し、出力部154がこれをモータ112などの制御対象へ出力する。
【0057】
また、ステップS102において、電流センサ103および塵埃センサ104が、センサデータを検知する。電流センサ103がモータ112へ流入する電流値を検知し、塵埃センサ104が集塵室121の塵埃の集積量を検知する。なお、以降、各センサデータについて、以下の処理を実行する。次に、ステップS103において、制御部105の入力部153が、ステップS101で検知されたセンサデータを受け付ける。
【0058】
そして、ステップS104において、制御部105の電気掃除機捕集状況特定部151が、受け付けられたセンサデータから電気掃除機1の捕集状況を特定する。より具体的には、電気掃除機捕集状況特定部151は、集塵室121への塵埃の集積状況や塵埃捕集用フィルタ102の目詰まり状況を示す数値を算出する。集積状況は、集積量そのものの他、集塵室121の容量に対する割合を用いることができる。なお、の割合には、満杯を100%として算出することが含まれる。同様に、目詰まり状況も、空気を流さない場合を100%としてその割合を用いることができる。
【0059】
次に、ステップS105において、電気掃除機捕集状況特定部151が、表示部14に、ステップS104で特定された捕集状況を表示する。なお、本ステップは省略してもよい。この場合、利用者端末2で該当の表示を行うことが望ましい。
【0060】
また、ステップS106において、電気掃除機捕集状況特定部151が、通信部106を用いて、利用者端末2に対して、ステップS104で特定された捕集状況を通知する。なお、この通知は、ルータ7やネットワーク8を介してもよいし、近距離無線通信機能で直接行ってもよい。
【0061】
なお、ステップS104~ステップS106においては、捕集状況には、電気掃除機1の運転状況を含めてもよい。この場合、運転状況には、故障や故障の予兆を示す情報などの保守コードを含めることが望ましい。例えば、モータ112などの温度を温度センサが所定値以上を示す場合に、故障ないしその予兆と判定できる。さらに、モータ112やファン113の回転数に基づいて、故障ないしその予兆を判定してもよいし、バッテリ111の残量が一定値以下の場合や減少スピードにより、劣化と判定してもよい。
【0062】
次に、ステップS201において、利用者端末2の通信部21が、捕集状況を受信する。なお、ここでは、捕集状況の受信をトリガに、利用者端末2の機能、例えば、掃除機保守支援プログラム205を起動してもよい。
【0063】
また、ステップS201を実行する際、受信した捕集状況を、出力部28が出力してもよい。ここで、この出力内容を、図11および図12を用いて説明する。なお、この出力内容は、ステップS104において電気掃除機1の表示部14に表示してもよい。
【0064】
図11は、本実施例における複数の捕集状況を統合的に出力した内容を示す図である。図11では、捕集状況として、塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況と、集塵室の集塵状況(ゴミの量)を出力部28に出力している。図11(a)、(b)のそれぞれにおいて、その上部には塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況が、下部には集塵室の集塵状況(ゴミの量)が示されている。そして、本実施例では、捕集状況の度合に応じて、表示の態様を変更している。
【0065】
つまり、図11(a)は(b)と比較して、集塵室の集塵状況の度合が大きくなっている。これは、集塵室の保守の必要性が高い状況であることも示している。このため、図11(a)では、集塵室の集塵状況をより大きく出力している。逆に、図11(b)では、塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況をより大きく出力している。さらに、図11(a)においては、廃棄が必要なほど塵埃(ゴミ)が集積している。そこで、「ゴミを捨ててください」とのメッセージも出力される。
【0066】
また、本実施例では、目詰まり状況やゴミの量を、数字(%出力)およびグラフなどでグラフィカルに表示している。このため、利用者は電気掃除機1の保守の必要性を総合的に判断できる。但し、数字およびグラフィカルな出力は、一方のみの表示としてもよい。次に、グラフィカルな出力の一態様を、目詰まり状況を例に説明する。
【0067】
図12は、本実施例における塵埃捕集用フィルタの目詰まり状況をグラフィカルに出力する態様を示す図である。図12では、(a)(b)(c)の順で、目詰まり度合が大きくなっている。そこで、本実施例では、(a)(b)(c)の順で、目詰まりの度合に応じて、表示の濃淡を変更している(度合が大きいほど濃い出力)。この結果、利用者は直感的に保守の必要性を把握できる。以上で、出力内容の説明を終わるが、これら出力内容は、後述の実施例2でも用いてもよい。
【0068】
次に、図10Aに戻り、処理フローの説明を続ける。ステップS202において、利用者端末保守内容特定部23が、受信した捕集状況を、予め記憶部29に記憶された閾値と比較する。この閾値とは、捕集状況について、何らかの保守が必要かを判定するための値である。例えば、塵埃の集積量が、集塵室121の容量の85%などと規定できる。このため、閾値は、捕集状況毎に設けることが望ましい。この比較の結果、閾値以下の場合は(Yes)本処理フローを終了する。また、閾値を超えた場合は(No)ステップS203に遷移する。この結果、ステップS206での保守内容の特定処理が実行される。
【0069】
次に、ステップS203において、利用者端末保守内容特定部23が、電気掃除機1の運転の変更が必要かを判定する。この判定においては、上述の運転状況、特に、故障やその予兆を示す情報が用いられることが望ましい。例えば、利用者端末保守内容特定部23は、温度センサで検知された温度が所定値以上の場合、運転停止との変更が必要と判定する。この結果、変更が「要」の場合はステップS204に遷移する。また、「不要」の場合、ステップS206に遷移する。なお、本ステップの詳細について、図10Bを用いて、ステップS206と共に後述する。さらに、本ステップは、省略してもよい。
【0070】
また、ステップS204において、制御指令作成部26が、ステップS203の判定結果に応じて、制御指令の一種である変更指示を作成する。この変更指示には、モータ112の低速化や停止が含まれる。次に、ステップS205において、制御指令作成部26が、通信部21を用いて電気掃除機1に、作成された変更指示を通知する。なお、ステップS204やS205を実行した場合でも、ステップS206を実行することが望ましい。
【0071】
次に、ステップS107において、電気掃除機1の通信部106が、変更指示を受け付ける。そして、制御部105の制御信号作成部155が、受け付けられた変更指示に応じた制御信号を作成する。この結果、電気掃除機1は、変更指示に応じた制御信号に従って運転を行う。
【0072】
また、ステップS206において、利用者端末保守内容特定部23が、捕集状況に応じて保守内容を特定する。保守内容とは、推奨される保守種別を含む情報である。本実施例では、保守種別ととして、清掃、消耗品の交換、消耗品の発注、保守作業員での保守依頼を用いる。そして、他の条件も加味して、利用者端末保守内容特定部23が、保守内容を特定する。本実施例では、利用者端末保守内容特定部23が、保守内容として、利用者による「清掃/交換」、消耗品の「発注」、保守作業員への「保守依頼」の何れかを判定する。この結果、「清掃/交換」と判定された場合、ステップS207に遷移する。「発注」と判定された場合、ステップS209に遷移する。さらに、「保守依頼」と判定された場合、ステップS211に遷移する。
【0073】
ここで、ステップS207については、記憶部29に保守種別や対応者と捕集状況を対応付けて記憶しておき、利用者端末保守内容特定部23はこれを用いて処理してもよいし、運転状況に含まれる保守コードを用いてもよい。この後者の詳細を、ステップS203の説明を合わせて説明する。
【0074】
図10Bは、本実施例におけるステップS203およびS206の詳細を示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、後述の実施例2でも同様である。また、図10Bにおいて、ステップS2031~ステップS2033はステップS203の詳細を示す。また、ステップS2061~ステップS2066はステップS206の詳細を示す。
【0075】
まず、ステップS2031において、利用者端末保守内容特定部23が、受け付けた複数の捕集状況のそれぞれが、電気掃除機1の運転変更が必要かを判定する。この結果、いずれの捕集状況が運転の変更が必要でないことを示す場合(不要)、ステップS206に遷移する。1つの捕集状況が運転の変更が必要であることを示す場合(1つの変更要)、ステップS204に遷移し、その捕集状況に応じた変更指示が作成される。さらに、複数の捕集状況において運転変更が必要であることを示す場合(複数変更要)、ステップS2032に遷移する。
【0076】
また、ステップS2032において、利用者端末保守内容特定部23が、変更される運転の種類が同種であるかを判定する。ここで、運転の種類とは、モータ112の回転速度の低下、向上、停止などが含まれる。この結果、それぞれ異なる変更を行う、つまり、同種でない場合(No)、ステップS204に遷移し、それぞれに対応する変更指示が作成される。
【0077】
また、同種である場合、ステップS2033に遷移する。そして、ステップS2033において、利用者端末保守内容特定部23が、運転に関する変更量、例えば、回転速度の低下量が最も多いものを選択する。そして、ステップS204に遷移し、最も多い変更量を実現するための変更指示が作成される。
【0078】
以上で、ステップS203の詳細を終了し、続いてステップS206の詳細を説明する。ここでは、保守コードを用いて、保守内容を特定する例を説明する。まず、ステップS2061において、利用者端末保守内容特定部23が、複数の捕集状況の1つを選択する。そして、利用者端末保守内容特定部23が、選択された捕集状況についての保守コードと、保守基準情報212の保守コードを突き合せて、「対応者」を特定する。そして、「対応者」が保守作業員である場合(No)、ステップS2062に遷移する。また、「対応者」が顧客である場合(Yes)、ステップS2063に遷移する。なお、保守コードは、ステップS201で取得されたものとする。なお、本ステップでは、顧客で対処可能でない(保守作業員での対応が必要)と判定された場合、故障や故障予兆へ対応することができる。
【0079】
次に、ステップS2062において、利用者端末保守内容特定部23が、複数の捕集状況それぞれについて、ステップS602の処理が終了したかを判定する。この結果、残りの捕集状況がある場合(No)、ステップS2061に戻る。また、各捕集状況について処理されている場合(Yes)、ステップS211に遷移する。
【0080】
また、ステップS6031において、利用者端末保守内容特定部23が、選択された捕集状況についての保守コードと、保守基準情報212の保守コードを突き合せて、「対処」が清掃であるか、交換であるかを特定する。この結果、清掃である場合、ステップS2065に遷移する。また、交換である場合、ステップS2064に遷移する。
【0081】
また、ステップS2064において、利用者端末保守内容特定部23が、選択された捕集状況についての保守コードに該当する「状況」を保守基準情報212から特定する。そして、利用者端末保守内容特定部23が、特定された「状況」と、消耗品情報211を突き合せて、該当の「残量」と「発注基準値」を比較する。そして、該当の消耗品の残量があるかが判定される。その結果、「残量」の方が多い場合(有)、ステップS2055に遷移する。また、「残量」の方が少ない場合(無)、ステップS2066に遷移する。
【0082】
また、ステップS2065において、利用者端末保守内容特定部23が、ステップS206と同様の処理を実行する。この結果、残りの捕集状況がある場合(No)、ステップS2061に戻る。また、各捕集状況について処理されている場合(Yes)、ステップS208に遷移する。
【0083】
また、ステップS2066において、利用者端末保守内容特定部23が、ステップS206と同様の処理を実行する。この結果、残りの捕集状況がある場合(No)、ステップS2061に戻る。また、各捕集状況について処理されている場合(Yes)、ステップS209に遷移する。以上で、ステップS206の詳細の説明を終了する。なお、複数の捕集状況のそれぞれで保守が必要な場合、各処理が並行的に実行される。
【0084】
次に、図10Aに戻り処理フローについての説明を続ける。ステップS207において、利用者端末保守内容特定部23が、出力部28を用いて、清掃ないし交換する内容を出力し、利用者に対して推奨される保守内容を提示する。そして、ステップS208において、利用者端末保守内容特定部23が、利用者による消耗品の交換を条件として、消耗品情報211を更新する。具体的には、交換された消耗品の「残量」を使用した数量分減じる。
【0085】
また、ステップS209において、消耗品発注部24が、ステップS206で「発注」と判定された消耗品を発注するための情報を、出力部28に出力する。ここでは、消耗品を識別する情報や数量を入力するための情報が出力される。
【0086】
そして、ステップS210において、消耗品発注部24が通信部21を用いて、利用者により指示される発注対象の消耗品およびその数量を含む発注指示作成し、これを消耗品販売装置6に通知する。
【0087】
また、ステップS211において、保守依頼部25が、ステップS206で「保守依頼」と判定された保守を依頼するための情報を、出力部28に出力する。
【0088】
そして、ステップS212において、保守依頼部25が通信部21を用いて、利用者により指示される保守依頼を、家電管理装置3に送信する。この保守依頼には、顧客やこの属性情報、保守対象の家電機器、保守コードないし状況の他、利用者の希望日時を含めてもよい。
【0089】
以上で、図10Aの説明を終了するが、ステップS210およびステップS212以降の処理は、図10Cに続く。図10Cは、実施例1における処理フローを示すフローチャート(その2)である。
【0090】
図10Cでは、ステップS301において、家電管理装置3の通信部31が、ステップS212で通知された保守依頼を受け付ける。次に、ステップS302において、保守管理部32が、保守依頼と保守情報332を用いて、保守依頼に応じた保守スケジュールを作成する。
【0091】
次に、保守管理部32が通信部31をも用いて、保守スケジュールを保守管理者端末4に提示する。図10Cでは、保守管理者端末4に提示するフローとなっているが、利用者端末2や保守作業員端末5に提示してもよい。ここで、利用者端末2に提示する場合、利用者からの許諾を示す指示に応じて、保守スケジュールを確定してもよい。さらに、保守スケジュールの確定は、保守管理者端末4や保守作業員端末5からの指示に応じて行ってもよい。そして、保守管理部32は、作成若しくは確定された保守スケジュールを用いて、保守情報332を更新する。
【0092】
また、ステップS401において、保守管理者端末4が、提示された保守スケジュールを表示する。そして、ステップS401において、保守管理者端末4が、保守作業員端末5に保守スケジュールに応じた作業指示を通知する。これを受けて、ステップS501において、保守作業員端末5が作業指示を表示する。この結果、保守作業員は、行うべき保守作業を確認できる。
【0093】
また、ステップS601において、消耗品販売装置6が、ステップS210で通知された発注指示を受け付ける。そして、ステップS602において、消耗品販売装置6が、与信などの決済処理、消耗品の引当や発送処理含む販売処理を実行する。この結果、利用者は必要とする消耗品を購入することが可能となる。なお、ステップS602を実行した際、消耗品販売装置6が、販売ないし発送通知を、利用者端末2に送信し、利用者端末2の消耗品発注部24がこれに応じて消耗品情報211の残量を更新することが望ましい。なお、この更新は、ステップS210の際に実行してもよいし、利用者が利用者端末2に入力することで実現してもよい。
【0094】
以上で、実施例1の説明を終了する。なお、ステップS207、S209およびS211においては、利用者端末保守内容特定部23は、掃除が終わった際などの所定時期に出力部28を用いて出力を行ってもよい。
【実施例0095】
次に、実施例2について説明する。実施例2では、電気掃除機1で実行した一部のステップを、利用者端末2で実行させている。このため、以下では、実施例1との相違を中心に説明する。
【0096】
図13は、実施例2における処理フローを示すフローチャートである。まず、ステップS101~ステップS103は、実施例1(図10A)と同様の処理である。
【0097】
次に、ステップS109において、電気掃除機1の通信部106により、ステップS103で取得されたセンサデータを、利用者端末2に通知する。
【0098】
次に、ステップS213において、利用者端末2の通信部21が、通知されたセンサデータを受け付ける。そして、ステップS214において、利用者端末捕集状況特定部22が、捕集状況を特定する。これは、実施例1のステップS104での電気掃除機捕集状況特定部151の処理と同様である。
【0099】
次に、ステップS215において、利用者端末捕集状況特定部22が通信部21を用いて、特定された捕集状況を電気掃除機1に通知する。この際、ステップS201と同様に、利用者端末捕集状況特定部22が出力部28で捕集状況を出力することが望ましい。
【0100】
また、ステップS110において、電気掃除機1の通信部106が、利用者端末2からの捕集状況を受け付ける。そして、ステップS105において、実施例1と同様に、電気掃除機捕集状況特定部151が、表示部14に、ステップS110で受け付けられた捕集状況を表示する。
【0101】
また、利用者端末2では、ステップS215以降に、実施例1と同様にステップS202以降の処理を実行する。この内容は、図10Bおよび図10Cも含め、実施例1と同じである。このため、これらの説明は割愛する。以上の各実施例によれば、電気掃除機1について、複数の塵埃捕集部の状況に応じた、総合的な保守支援が可能となる。
【0102】
以上で、各実施例の説明を終わるが、本発明はこれらに限定されない。例えば、図10A図10B図13の各ステップにおける電気掃除機1と利用者端末2の各ステップの分担については様々なバリエーションが想定される。例えば、各ステップを、電気掃除機1単体で実行してもよい。この場合、電気掃除機保守内容特定部152が、特定された保守内容を、通信部106を用いて、利用者端末2にpush配信することになる。
【0103】
また、電気掃除機捕集状況特定部151と利用者端末捕集状況特定部22は、少なくとも一方があればよく、捕集状況特定部とも称することができる。また同様に、電気掃除機保守内容特定部152および利用者端末保守内容特定部23も、少なくとも一方があればよく、保守内容特定部とも称することができる。さらに、捕集状況特定部や保守内容特定部を家電管理装置3に設け、家電管理装置3と電気掃除機1や利用者端末2と連携したり、家電管理装置3単体で処理したりしてもよい。また、センサでの検知対象も塵埃捕集用フィルタ102などの塵埃捕集部に限定されず、モータ112などを対象としてもよい。このため、家電機器の状況は、捕集状況に限定されない。
【0104】
さらに、本発明の対象は、電気掃除機1に限定されず、様々な家電機器に適用でき、複数の家電機器について並行して適用することもできる。また、保守についても例示他消耗品の交換に限らず、点検などの様々な作業も対象とすることができる。
【符号の説明】
【0105】
1…電気掃除機、10…掃除機本体、101…排気フィルタ、102…塵埃捕集用フィルタ、103…電流センサ、104…塵埃センサ、105…制御部、151…電気掃除機捕集状況特定部、152…電気掃除機保守内容特定部、153…入力部、154…出力部、155…制御信号作成部、156…記憶部、106…通信部、11…モータケース部、111…バッテリ、112…モータ、113…ファン、12…集塵部、121…集塵室、13…ハンドル部、14…表示部、15…吸気口、16…ヘッド本体、17…延長管、18…排気口、2…利用者端末、21…通信部、22…利用者端末捕集状況特定部、23…利用者端末保守内容特定部、24…消耗品発注部、25…保守依頼部、26…制御指令作成部、27…入力部、28…出力部、29…記憶部、3…家電管理装置、31…通信部、32…保守管理部、33…記憶部、331…顧客情報、332…保守情報、4…保守管理者端末4、5…保守作業員端末、6…消耗品販売装置、7…ルータ、8…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13