(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100339
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
B65H1/26 310L
B65H1/26 310Q
B65H1/26 310S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000913
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中山 美里
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FB01
3F343FC18
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA14
3F343HA22
3F343HA29
3F343HB03
3F343HC16
3F343HC17
3F343HC18
3F343KB02
3F343KB17
3F343LC13
3F343LC17
(57)【要約】
【課題】シート束を給送する際に発生するシート束の先端を揃える手間及び時間を削減するシート給送装置を提供する。
【解決手段】複数枚のシートSを積載可能とする積載台1と、複数枚のシートSを収納し積載台1に積載可能であるカセット300と、カセット300を介して積載台1に積載されたシートSを一枚ずつ分離し、給送する給送手段とを備え、カセット300は、シートSの給送方向先端の位置を規制する規制部材60を有することを特徴とするシート給送装置200。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを積載可能とする積載台と、
複数枚のシートを収納し前記積載台に積載可能であるカセットと、
前記カセットを介して前記積載台に積載された前記シートを一枚ずつ分離し、給送する給送手段とを備え、
前記カセットは、前記シートの給送方向先端の位置を規制する規制部材を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記カセットは、前記シートを収納するカセット本体と、前記規制部材と、前記規制部材と前記カセット本体に連結する連結軸とを備えることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記連結軸を中心に回動可能に前記カセット本体に設けられ、前記カセットに収納された前記シートの前記給送方向への移動を規制する第1位置と、前記シートの前記給送方向への移動を許容する第2位置を移動可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記シートの前記給送方向先端の位置を規制する規制面と、前記シートの上面を覆う規制部材上壁と、前記規制部材の位置を固定するためのロック部材を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記積載台は、前記シート及び前記カセットの幅方向の位置を規制し、前記ロック部材に対応するロック解除面を備えるシート幅規制部材を有することを特徴とする請求項4に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記カセットが前記積載台に積載され、前記給送方向へ移動されると、前記ロック部材が前記シート幅規制部材の案内面に当接して前記ロック解除面に案内され、前記ロック解除面に当接することで、前記ロック部材がロック解除状態となることを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記規制部材の大きさは、前記第2位置へ回動する際の回動範囲が、前記シートの取込手段であるピックアップローラに当たらないように前記規制部材の回動中心である前記連結軸の位置と設定されていることを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記カセットは、前記シートの幅方向が異なる大きさのシートを収納するシート収納部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記カセットは、前記規制部材の前記連結軸を前記シートの前記給送方向の下流側に配置し、前記カセット本体に設けられた開口部から前記シートの取込手段であるピックアップローラが進入し、前記シートを給送することを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給紙するシート給送装置及びこのシート給送装置を備えた画像読取装置に関し、例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンター、スキャナー等の各種装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置や画像形成装置に使用されるシート給送装置は、昇降可能な積載台と、積載台に積載されたシート束からシートを1枚ずつ分離して給送する分離手段を備えている。このようなシート給送装置は、積載台に載せたシート束の端が揃っていないと、シートの給送順が変わってしまったり、シートが斜めに給送されてしまったり等、給紙不良が発生するおそれがある。したがって、シート束を積載台に載せる前にシート束の端を揃えることが必要となり、手間及び時間がかかっていた。
【0003】
この点を鑑みて、特許文献1では、シートを事前に揃えて積載台に積載するためのケースが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、シート給送装置は、シートに画像を印刷する装置のため、定型紙など大きさが一定のシートを使用することが多く、シート束の後端が揃うと必然的にシート束の先端も揃う。そのため、カセットを用いてシート束の後端を揃えることで、シート束の先端を揃えることができた。しかしながら、シートに書かれた画像を読み取る装置は、定型紙だけでなく、様々な大きさのシートを給送する。したがって、シート束の後端は揃えることができても、シート束の先端は揃えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を鑑み、本発明に係るシート給送装置は、
複数枚のシートを積載可能とする積載台と、
複数枚のシートを収納し前記積載台に積載可能であるカセットと、
前記カセットを介して前記積載台に積載された前記シートを一枚ずつ分離し、給送する給送手段とを備え、
前記カセットは、前記シートの給送方向先端の位置を規制する規制部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート束を給送する際に発生するシート束の先端を揃える手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す断面図
【
図2】本発明の実施形態に係るシート給送装置の主要部の構成を概略的に示す断面図
【
図3】本実施形態に係るシート給送装置及びカセットの構成を概略的に示す斜視図
【
図4】本実施形態に係るカセットの構成を示す上面図及び断面図
【
図6】本実施形態に係るカセットの構成を示す斜視図(設置前)
【
図7】本実施形態に係るシート積載台1の構成を示す斜視図
【
図8】本実施形態に係るシート積載台及びカセットの構成を示す上面図
【
図9】本実施形態に係るシート積載台及びカセットの構成を示す上面図
【
図10】第2の実施形態に係るカセットの構成を示す斜視図
【
図11】第3の実施形態に係るカセットの構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明にかかるシート給送装置およびこれを備えた画像読取装置について、図を用いて説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、プリンター等の画像形成装置、或いは画像形成装置にスキャナー等の画像読み取り装置等の機能を適宜組み合わせて有する複合機タイプの画像形成装置であっても良く、該画像形成装置におけるシート給送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0010】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す模式的断面図である。
図2は、
図1のシート給送装置の主要部の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0012】
なお、
図1及び
図2等を用いて説明する各部は、不図示の制御部によって制御されている。
【0013】
図1及び
図2において、シート給送装置200はシート積載台1を備える。シート積載台1は、シート束Sを積載可能かつ、シート束Sを収納した箱状のカセット300が設置可能であり、カセット300(不図示)を積載した状態で昇降自在に構成されている。このカセット300については、後で詳細を説明する。
【0014】
シート積載台駆動モータ2は、シート積載台1を昇降させる。シート積載検知センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにカセット300に収納されたシートSがあることを後述する孔部51aを介して検知する。シート検知センサ3は、シート積載台1に積載されたカセット300のシート束Sがシート給送位置にあることを検知する。
【0015】
図2において、シートの給送部の一例としてのピックアップローラ4(取り込み手段)は、シート積載台1上にあるカセット300に収納されたシートSをシート積載台1から送り出す。ピックアップローラ駆動モータ5は、ピックアップローラ4を回転させる。
図2では、シートSの上面がシート取込位置にあり、ピックアップローラ4を回転させればシートSの取り込みが始まる状態である。
【0016】
また、ピックアップローラ4はシート給送位置とシート給送位置よりも上方の退避位置とに不図示の駆動手段によって移動できる。ピックアップローラ4はシートSを取り込むときは給送位置に移動され、取り込みが終わったら退避位置に移動される。
【0017】
給送ローラ6は、給送モータ8によって、シートSを搬送方向下流側に給送する方向に回転するよう駆動されている。分離ローラ7は、シートSを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モータ9から常時受けている。
【0018】
給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートSが1枚存在するときは、上記トルクリミッタが伝達する分離ローラ7がシートを上流側に押し戻す方向の回転力の上限値より、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によってシートが下流側に給送される方向への回転力の方が上回る。よって、分離ローラ7は給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
【0019】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートSが複数枚存在するときは、分離ローラ7はシートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上位のシートS以外が下流側に搬送されないようにする。
【0020】
このように、給送ローラ6がシートSを下流側に給送する作用と、分離ローラ7のシートSを下流側に搬送されないようにする作用とによって、シートが重なった状態で給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部に送り込まれたとき、最も上のシートSのみ下流側に給送され、それ以外のシートは下流側に搬送されないようにし、重なったシートSを分離給送する。
【0021】
よって、給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42(シート分離部)を構成する。なお、本実施形態では、分離ローラ対42を使用しているが、分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした分離ベルトローラ対を使用してもよい。また、分離ローラ7のローラをパッドに置き換え、シートSに当接することで下流側へ複数枚のシートSが搬送されることを防ぐようにしてもよい。
【0022】
このように構成されたピックアップローラ4、給送ローラ6、分離ローラ7などからなるシートピックアップ部によって、シート積載台1上にあるカセット300に収納されたシートSが1枚ずつに分離されて、シート給送装置200内部に取り込まれる。
【0023】
また、分離されたシートSが通過する位置に重送検知センサ30を備えることで、分離ローラ対(シート分離部)によってシートSが一枚ずつに分離できているかを検知する。本実施形態においては重送検知センサ30として超音波の送受信部を用いた検出装置を用いており、搬送路を跨いだ送受信部間における超音波の減衰量によって重送を検知することができる。
【0024】
搬送モータ10は、分離された1枚のシートSを、画像読取ユニット14、15によってシートSの画像の読み取りが行われる画像読取位置まで搬送し、さらに排出位置まで搬送するために、その他のローラ(シート搬送部)を駆動する。また、搬送モータ10は、シートSの読み取りに最適な速度や、シートSの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。
【0025】
ニップ隙間調整モータ11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、或いは分離ローラ7に対してシートを介して給送ローラ6が圧接する圧接力を調整する。これにより、シートの厚みに適合した隙間、或いは圧接力が調整され、シートを分離することができる。
【0026】
レジストクラッチ19は、搬送モータ10の回転駆動力をレジストローラ18(シート搬送部)に伝達、または、当該伝達を遮断する。レジストローラ17、18で構成されるレジストローラ対の回転を停止することにより、給送されるシートSの先端をレジストローラ対のニップ部に突き当てて、シートSの斜行を補正する。
【0027】
搬送ローラ20、21で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ22、23で構成される搬送ローラ対、及び
図1に示すさらに下流側のローラ対は、シートを排出積載部44に搬送する。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対、レジストローラ対、各搬送ローラ対及び下流側のローラ対により搬送されるシートSを案内する。
【0028】
レジスト前センサ32は、レジストローラ17、18で構成されるレジストローラ対の上流側に配設され、搬送されるシートSを検知する。レジスト後センサ33は、レジストローラ17、18で構成されるレジストローラ対の下流側に配設され、搬送されるシートSを検知する。
【0029】
レジスト後センサ33によってシートSが検知されると、不図示の制御部によって画像読取ユニット14、15に対し画像の読み取り指示が出され、搬送されるシートSの画像が読み取られる。画像読取ユニット14、15によって読み取られたシートSの画像は、不図示のインターフェース部を介して情報処理装置などの外部装置に対して送信される。
【0030】
次に、
図3~5を用いてカセット300の詳細について説明する。
【0031】
図3は、カセット300とカセット300を設置するシート給送装置200の斜視図である。
図4はシートSを収納したカセット300の上面図と断面図である。
図5はカセット300の規制部材60の動作を示す断面図であり、(a)は設置前、(b)は設置途中、(c)は設置後・全開の状態を示す。
【0032】
図3に示すように、シート積載台1には、カセット300の幅方向を規制するシート幅規制部材90がシート幅の左右に二箇所設けられている。シート幅規制部材90は、シートSの幅方向に移動可能となっており、不図示の連動機構によって、二箇所のシート幅規制部材90は、連動して左右対称に移動する。これにより、幅方向のサイズが異なるカセット300が設置された場合でも、シート積載台1に積載されたカセット300の幅方向の中心位置が一定に保たれる。
【0033】
また、シート幅規制部材90は、不図示の固定部材によりシート幅方向の位置を固定可能に設けられている。これにより、シート幅規制部材90をシートSの幅に合わせたあと位置が固定されるため、シート幅規制部材90を不意に触ってしまった場合でも、シート幅規制部材の位置が一定に保たれる。
【0034】
なお、シート積載台1は、シート束Sを収納したカセット300だけでなく、シート束Sのみでも積載可能である。シート束Sの枚数が少なく、カセット300が不要な場合は、シート束Sを直接シート積載台1に積載して使用してもよい。
【0035】
カセット300は、シート給送装置200に対して、矢印Aで示すシート給送方向に移動させることで設置可能に設けられている。
図4において、カセット300は、シート給送方向(矢印A方向)に左右対称な形状であり、シートSを収納するカセット本体50と、カセット本体50に収納されるシートSの先端の位置を規制する規制部材60と、規制部材60をカセット本体50に連結する連結軸70を有する。
【0036】
カセット本体50は、シートSを積載するカセット積載面51と、シートSの幅方向の規制をするカセット内壁52、シートSの高さ方向で積載枚数を規制するカセット上壁53を備える。また、カセット本体50は、シートSを挿入するための挿入口であるシート挿入口50aを有する。カセット積載面51は、シート積載検知センサ12によってカセット300に収納されたシートSを検知するための孔部51aを有する。
【0037】
図4~7を用いてカセット300の規制部材60の構成、動作について説明する。
図6は、カセット300の斜視図と規制部材60のロック部材80の拡大図である。
図7は、シート積載台1の斜視図である。
【0038】
図4に示すように、規制部材60は、シートSの給送方向先端の位置を規制する規制面を有する規制壁61と、上面のシートSを覆う規制部材上壁62と、規制部材60の位置を固定するためのロック部材80を備える。このロック部材80については、後で詳細を説明する。
【0039】
図5に示すように、規制部材60は、連結軸70を中心に回動可能に設けられ、カセット300に収納されたシートSの給送方向(矢印A方向)への移動を規制する第1位置(
図5(a)参照)と、シートSの給送方向への移動を許容する第2位置(
図5(c)参照)を移動可能となっている。
図5(c)は第2位置の全開状態を示している。
【0040】
図5に示すように、規制部材60は、不図示のねじりコイルばね(付勢部材)によって、矢印B方向、すなわち、第2位置の方向へ回動するよう付勢されている。
【0041】
図4のD-D断面図及び
図6に示すように、規制部材60のロック部材80は、カセット内壁52にある係合穴52aに係合する係合部81と、シート幅方向において係合部81より突出する操作部82を有する。
【0042】
図4のD-D断面図に示すように、ロック部材80は、規制部材60に保持され、矢印F方向、G方向に移動可能に設けられている。不図示のコイルばね(付勢部材)によって、ロック部材80は、係合部81が係合穴52aに係合する方向(矢印G方向)に付勢される。
【0043】
図4のD-D断面図<ロック状態>は、係合部81と係合穴52aが係合した状態である。この状態から、コイルばね(付勢部材)の付勢力より強い力で操作部82を矢印F方向に移動させると、係合部81も同様に矢印F方向に移動する。これにより、係合部81は、係合穴52aから外れた状態、すなわち、
図4のD-D断面図<ロック解除状態>となる。
【0044】
図6に示すように、カセット300をシート積載台1に設置する前に、ねじりコイルばね(付勢部材)より強い力で、規制部材60を矢印C方向に手動で回動させることで、規制部材60は、
図5(c)の第2位置から
図5(a)の第1位置へ移動可能となっている。
【0045】
図4のD-D断面図のN部拡大図に示すように、係合部81は、規制部材60が第2位置から第1位置へ移動する途中にカセット内壁52に当接する箇所に、斜面81aを形成している。規制部材60が第2位置から第1位置へ移動するとき、係合部81の斜面81aはカセット内壁52から矢印F方向の力を受ける。これにより、規制部材60を第2位置から第1位置へ移動する動作によって、係合部81は係合穴52aに係合しロック状態になる。
【0046】
図7に示すように、シート積載台1にあるシート幅規制部材90は、カセット300のシート幅方向の位置を規制するカセット本体幅規制面94、ロック部材80を係合穴52aと係合しない位置へ移動させるロック解除面91を有する。
【0047】
また、シート幅規制部材90は、ロック部材80をロック解除面91へ案内する案内面92と、補助案内面93を有する。このとき、カセット本体幅規制面94とロック解除面91は同一面となっており、カセット300以外のシート束Sもロック解除面91の高さまでシートの幅方向を規制可能となっている。ロック解除面91は、カセット300に当接する側の側面に設けられ、案内面92、補助案内面93よりシート給送方向下流側に位置する。
【0048】
次に、カセット300のシート積載台1への設置動作による規制部材60の動作について詳細を説明する。
図8、
図9はシート積載台1にシートSが積載されたカセット300を設置する時の上面図であり、
図8(a)は設置前、
図8(b)及び
図9(a)は設置途中、
図9(b)は設置後を示す。
【0049】
まず、ユーザーは、カセット300をシート積載台1へ設置する前に、シート幅規制部材90を、シート幅が最大幅になるよう配置する。カセット本体50のシート幅方向の長さが、シート幅規制部材90の最大幅より小さい場合は、シート幅規制部材90のカセット本体幅規制面94をカセット本体50の幅に合わせ、シート幅規制部材90の位置を不図示の固定部材によって固定する。
【0050】
そして、カセット300の規制部材60を第1位置に配置し、シート挿入口50aからシートSをカセット300内に挿入する。このとき、カセット上壁53をカセット積載面51より上方、かつ、シート挿入口50aを規制部材60より上方に配置した状態で、シート束Sの底面をカセット積載面51に接触させながら、シートSをカセット300に挿入する。挿入されたシートSの先端は、重力の作用によりカセット積載面51に沿って規制部材60側へ移動し、規制壁61に当接して停止する。これにより、シート束Sの先端は、揃った状態となる。
【0051】
上記を言い換えると、シート挿入口50aを上にして、シートSをカセット300に挿入する。この状態でカセット300を振ることで、シートSを整列させると好ましい。
【0052】
図8(a)に示すように、シート束Sを収納したカセット300をシート積載台1へ設置する方向(矢印A方向)に移動させながらシート積載台1に載せると、カセット本体50はカセット本体幅規制面94によってシートの幅方向を案内され、操作部82は補助案内面93によってシートの幅方向を案内される。
【0053】
このとき、
図4のD-D断面図に示すロック部材80の係合部81は、不図示のコイルばね(付勢部材)により矢印G方向に付勢され、カセット内壁52に係合した状態(ロック状態)となっている。すなわち、規制部材60は第1位置に位置し、シートSは、シート給送方向(矢印A方向)への移動を規制される。
【0054】
この状態から、カセット300をシート積載台1へ設置する方向(矢印A方向)へ移動させると、
図8(b)に示すように、カセット300の操作部82は、シート幅規制部材90の案内面92に当接し、徐々にF方向に移動する。このとき、
図4のD-D断面図に示すロック部材80の係合部81も同様に移動し、係合部81は、カセット内壁52の係合穴52aとの係合が解除された状態(ロック解除状態)に向かって移動する。
【0055】
図8(b)の状態から、カセット300をシート積載台1へ設置する方向(矢印A方向)へ移動させると、
図9(a)に示すように、カセット300の操作部82は、シート幅規制部材90のロック解除面91に当接し、F方向への移動が完了する。
【0056】
このとき、
図4のD-D断面図に示すロック部材80の係合部81も同様に移動し、カセット内壁52の係合穴52aとの係合が解除された状態(ロック解除状態)になる。そして、規制部材60は、ねじりコイルばね(付勢部材)の付勢力により第2位置へ移動する。すなわち、規制部材60は第2位置に位置し、シートSはシート給送方向(矢印A方向)への移動可能となる。
【0057】
さらに、
図9(a)の状態から、カセット300をシート積載台1へ設置する方向(矢印A方向)へ移動していくと、
図9(b)に示すように、カセット300は、シート積載台1への移動が完了し、シート給送可能位置に設置される。
【0058】
なお、
図5(a)に示すように、シート幅規制部材90は、ピックアップローラ4よりシート給送方向上流側、かつ、シート幅方向において、シート積載台1が上昇するときピックアップローラ4と当たらない位置に配置される。
図5(b)に示すようにカセット300がシート積載台1の給送可能位置(
図5の(c))へ向かう途中、すなわち、規制部材60が
図9(a)の位置にあるとき、規制部材60は、第2位置へ移動する。
【0059】
したがって、カセット300をシート積載台1に設置する際、操作部82がロック解除面91に当接する位置にカセット300が到達したときに規制部材60が第2位置へ回動するが、その位置における規制部材60の回動範囲(回動軌跡)が、ピックアップローラ4に当たらないよう、規制部材60の回動中心である連結軸70の位置と規制部材60の大きさが設定される。
【0060】
そして、シート積載検知センサ12はカセット300にある孔部51aを通して、シート積載台1にカセット300に収納されたシートSがあることを検知する。シート給送装置200に接続された不図示の操作装置からの給送動作開始の指示が出ると、シート積載台1、及び、カセット300は給送位置へ上昇する。カセット300の規制部材60が第2位置にあることにより、ピックアップローラ4は、カセット300に積載された上面のシートSを給送可能となる。
【0061】
上述したように本実施形態によれば、シート束Sは、カセット300に挿入するだけでシート束の先端が揃った状態となる。したがって、ユーザーは、シート束Sの先端を揃える手間及び時間が不要になる。
【0062】
なお、カセット300を複数利用し、シート束Sをカセット300に事前に収納しておくことで、シート給送動作が終わったら、すぐにカセット300をシート積載台1に設置することができる。従来に比べ、シート束Sをシート積載台1に積載するときに発生する手間がかからなくなるため、大量のシート束Sを給送するときの作業時間を短縮することができる。
【0063】
〔第2の実施形態〕
図10を用いて第2の実施形態に係るカセット300の詳細について説明する。
図10は、第2の実施形態に係るカセット300の斜視図である。なお、本実施形態におけるカセット300は、第1の実施形態と略同等の構成のため、同等の機能を有する部材においては、同一符号を付し、詳細の説明は省略する。
【0064】
第2の実施形態は、シートSの幅方向の大きさが異なるシート束Sにおいても、シート束Sの先端を揃えることができる構成となっている。
図10に示すように、カセット本体50は、カセット本体50内においてシートSの幅方向の大きさが小さい第2シートS2を収納するための第2シート収納部50bを有する。
【0065】
第2シート収納部50bは、シートS2の幅方向の規制をする収納部内壁50b1、第2シートS2の高さ方向で積載枚数を規制する収納部上壁50b2を備える。第2シート収納部50bは、シート挿入口50aからシート給送方向(矢印A方向)に向けて延設して設けられ、シートSを給送する時に、ピックアップローラ4に当たらないように、規制部材60に覆われる部分は収納部内壁50b1のみが延設して配置される。幅方向の大きさが大きい第1シートS1はカセット本体50内に収納し、幅方向の大きさが小さい第2シートS2は、カセット本体50の第2シート収納部50b内に収納する。
【0066】
シート給送装置200に接続された不図示の操作装置からの給送動作開始の指示が出て、カセット300内のシート束Sが給送位置へ移動すると、ピックアップローラ4は、まず、カセット300に積載された上面の第1シートS1を給送する。その後、シート幅方向の大きさが小さい第2シートS2を給送する。このとき、第2シートS2収納部50bがない場合、ユーザーはシートSの幅方向の大きさが小さい第2シートS2が、ピックアップローラ4に接触する位置に配置されるよう、慎重に収納する必要があるため、手間及び時間がかかる。
【0067】
第2シート収納部50bがあることにより、シートSの幅方向の大きさが小さい第2シートS2の幅方向が収納部内壁50b1によって規制されるため、第2シート収納部50bにシートを挿入するだけで、ピックアップローラ4に接触する位置に配置される。これにより、シートSの幅方向の大きさが異なるシート束Sにおいても、容易にシート束Sをカセット300に収納することができる。
【0068】
〔第3の実施形態〕
図11を用いて第3の実施形態に係るカセット300の詳細について説明する。
図11は、第3の実施形態に係るカセット300の斜視図である。なお、本実施形態におけるカセット300は、第1の実施形態と略同等の構成のため、同等の機能を有する部材に置いては、同一符号を付し、詳細の説明は省略する。
【0069】
第1の実施形態では、規制部材60はシートの先端と当接する規制壁61及び、規制部材上壁62を有する構成を例示したが、第3の実施形態では、規制部材60の連結軸70をシート給送方向下流側に配置し、規制部材上壁62をなくした構成となっている。
【0070】
この場合、ピックアップローラ4とカセット300に収納されたシートSの上面が接触可能とするため、カセット300のシートの上面側に開口部54が設けられている。すなわち、カセット本体50及び規制部材60に設けられた開口部54からピックアップローラ4が進入し、最上位のシートSを給送する構成となっている。
【0071】
また、カセット300を載せたシート積載台1が上昇するとき、規制部材60及びカセット本体50は、ピックアップローラ4と干渉しない位置に配置される。特に、規制部材60は、シートSの幅方向においてピックアップローラ4とずれた位置に配置されている。
【0072】
これにより、シート積載台1が上昇してカセット300が給送位置に移動したとき、ピックアップローラ4は、カセット300に積載された上面のシートSを給送することができる。第1の実施形態と比較するとカセット300の構成は複雑化するが、規制部材60の重量が軽くなるため、ねじりコイルばね(付勢部材)の付勢力を小さくすることができる。また、開口部54からシートSの先端の状態を見ることができるため、シートSの先端の折れ曲がりがないか事前確認が可能となる。
【0073】
なお、規制部材60の動作は、第1の実施形態と同様であるが、本実施形態においては、規制部材60は、シートSの幅方向でピックアップローラ4との位置がずれているため、規制部材60が回動してもピックアップローラ4とは干渉することはなく、ロック解除面91をより下流側に設けることができる。これにより、規制部材60によるシートSの先端の規制が解除された状態で、カセット300がシート積載台1上を移動する距離が短くなり、シートSの先端がばらけることをより低減することができる。
【0074】
以上、上述した実施形態では、シート給送装置に対して設置可能なカセットを例示したが、これに限定されるものではない。シート給送装置に設置可能なオプションとしてシート給送装置を搭載した画像読取以外の画像処理装置(プリンタや複合機、FAX等)であっても良い。
【0075】
すなわち、カセットが積載台に設置可能であり、カセットからシートを送り出す給送手段を備えた装置においても本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
S シート、シート束
S1 第1シート
S2 第2シート
1 シート積載台
1a シート積載面
2 シート積載台駆動モータ
3 シート検知センサ
4 ピックアップローラ
5 ピックアップローラ駆動モータ
6 給送ローラ
7 分離ローラ
8 給送モータ
9 分離モータ
10 搬送モータ
11 ニップ隙間調整モータ
12 シート積載検知センサ
14、15 画像読取ユニット
17、18 レジストローラ
19 レジストクラッチ
20、21、22、23 搬送ローラ
30 重送検知センサ
32 レジスト前センサ
33 レジスト後センサ
40 上ガイド板
41 下ガイド板
42 分離ローラ対(シート分離部)
44 排出積載部
200 シート給送装置
300 カセット
50 カセット本体
50a シート挿入口
50b 第2シート収納部
50b1 収納部内壁
50b2 収納部上壁
51 カセット積載面
51a 孔部
52 カセット内壁
52a 係合穴
53 カセット上壁
54 開口部
60 規制部材
61 規制壁
62 規制部上壁
70 連結軸
80 ロック部材
81 係合部
81a 斜面
82 操作部
90 シート幅規制部材
91 ロック解除面
92 案内面
93 補助案内面
94 カセット本体幅規制面