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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100364
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】室内機および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/70 20180101AFI20230711BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F1/0007 361F
F24F13/22 222
F24F13/22 228
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000979
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 定康
【テーマコード(参考)】
3L050
3L260
【Fターム(参考)】
3L050AA10
3L050BD05
3L050BF02
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA15
3L260BA34
3L260BA35
3L260CB72
3L260FA02
3L260FB73
(57)【要約】
【課題】ドレンポンプにおける異音の発生を低減しつつ、ドレンパンにおけるスライムの発生を抑制する。
【解決手段】室内機106は、熱交換器(室内熱交換器216)と、熱交換器に沿った溝部236を有し、熱交換器に対向して設けられるドレンパン230と、ドレンパンの洗浄水をドレンパンに直接的または間接的に供給する給水装置240と、熱交換器において凝縮してドレンパンに流下した凝縮水および洗浄水を、ドレンパンの溝部から吸引するドレンポンプ250と、給水装置およびドレンポンプの動作を制御する制御部(室内制御部260)と、を備え、制御部は、室内機に対する冷房運転の停止指令に応じてドレンポンプの動作を停止させた後に、ドレンパンの洗浄処理を少なくとも1回実行し、洗浄処理では、制御部は、給水装置の動作を開始させ、当該給水装置の動作開始より後にドレンポンプの動作を再開させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置に設けられる室内機であって、
熱交換器と、
前記熱交換器に沿った溝部を有し、前記熱交換器に対向して設けられるドレンパンと、
前記ドレンパンの洗浄水を前記ドレンパンに直接的または間接的に供給する給水装置と、
前記熱交換器において凝縮して前記ドレンパンに流下した凝縮水および前記洗浄水を、前記ドレンパンの前記溝部から吸引するドレンポンプと、
前記給水装置および前記ドレンポンプの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記室内機に対する冷房運転の停止指令に応じて前記ドレンポンプの動作を停止させた後に、前記ドレンパンの洗浄処理を少なくとも1回実行し、
前記洗浄処理では、前記制御部は、前記給水装置の動作を開始させ、当該給水装置の動作開始より後に前記ドレンポンプの動作を再開させる、室内機。
【請求項2】
前記洗浄処理では、前記制御部は、前記ドレンポンプの動作を再開させた後に前記給水装置の動作を停止させ、当該給水装置の動作停止よりも後に前記ドレンポンプの動作を再度停止させる、請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記制御部は、前記室内機に対する冷房運転の停止指令に応じて前記ドレンポンプの動作を停止させた後に、前記洗浄処理を複数回実行する、請求項1または2に記載の室内機。
【請求項4】
前記給水装置は、前記熱交換器に対して前記洗浄水を散布する散水部を備え、
前記散水部は、前記熱交換器に対して前記洗浄水を散布することにより、前記ドレンパンに前記洗浄水を間接的に供給する、請求項1から3のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項5】
前記給水装置は、前記ドレンパンに対して直接的に前記洗浄水を供給する供給部を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載の室内機を備える、空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機および空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器と、熱交換器で生じた凝縮水(ドレン水)を受け止めるドレンパンと、冷房運転中に動作し、ドレンパンから凝縮水を吸引して廃棄するドレンポンプとを備える室内機が広く利用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-85625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような室内機では、ドレンポンプの運転中(冷房運転中)は、ドレンパンに凝縮水が滞留しないため、ドレンパンにスライムが発生することはない。しかし、ドレンポンプの停止後(冷房運転の停止後)に、熱交換器からドレンパンに流下した凝縮水は、ドレンポンプによって吸引されず、ドレンパンに滞留することになる。そうすると、室内機の停止中に滞留した凝縮水によってドレンパンにスライムが発生してしまう。
【0005】
そこで、冷房運転の停止後、所定期間に亘ってドレンポンプの運転を継続し、ドレンパンから凝縮水を吸引することが考えられる。しかし、冷房運転の停止後において、熱交換器に付着している凝縮水は量が少なく、また、熱交換器からの凝縮水の流下には、ある程度の時間を要する。このため、冷房運転の停止後において、少量の凝縮水が長期間に亘ってドレンパンに流下することになる。したがって、熱交換器から凝縮水が流下し切るまで、ドレンポンプの運転を継続すると、ドレンポンプは、凝縮水に加えて空気を吸引することになる。そうすると、ドレンポンプにおいて異音が発生し、室内機のユーザに不快感や不安感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、ドレンポンプにおける異音の発生を低減しつつ、ドレンパンにおけるスライムの発生を抑制することが可能な室内機、および、空気調和装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の室内機は、空気調和装置に設けられる室内機であって、熱交換器と、熱交換器に沿った溝部を有し、熱交換器に対向して設けられるドレンパンと、ドレンパンの洗浄水をドレンパンに直接的または間接的に供給する給水装置と、熱交換器において凝縮してドレンパンに流下した凝縮水および洗浄水を、ドレンパンの溝部から吸引するドレンポンプと、給水装置およびドレンポンプの動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、室内機に対する冷房運転の停止指令に応じてドレンポンプの動作を停止させた後に、ドレンパンの洗浄処理を少なくとも1回実行し、洗浄処理では、制御部は、給水装置の動作を開始させ、当該給水装置の動作開始より後にドレンポンプの動作を再開させる。
【0008】
また、洗浄処理では、制御部は、ドレンポンプの動作を再開させた後に給水装置の動作を停止させ、当該給水装置の動作停止よりも後にドレンポンプの動作を再度停止させてもよい。
【0009】
また、制御部は、室内機に対する冷房運転の停止指令に応じてドレンポンプの動作を停止させた後に、洗浄処理を複数回実行してもよい。
【0010】
また、給水装置は、熱交換器に対して洗浄水を散布する散水部を備え、散水部は、熱交換器に対して洗浄水を散布することにより、ドレンパンに洗浄水を間接的に供給してもよい。
【0011】
また、給水装置は、ドレンパンに対して直接的に洗浄水を供給する供給部を備えてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、上記室内機を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドレンポンプにおける異音の発生を低減しつつ、ドレンパンにおけるスライムの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る空気調和装置を説明する図である。
図2】室内機の鉛直断面を示す図である。
図3】化粧パネルを外した室内機を鉛直下方から見た図である。
図4】ドレンパンおよび化粧パネルを鉛直上方から見た図である。
図5】室内制御部による制御を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
[空気調和装置100]
図1は、本実施形態に係る空気調和装置100を説明する図である。図1に示すように、空気調和装置100は、リモートコントローラ102と、室外機104と、室内機106と、冷媒循環路108とを備える。
【0017】
リモートコントローラ102は、ユーザの操作入力を受け付ける。リモートコントローラ102に入力された情報は、後述する室内制御部260に送信される。
【0018】
室外機104は、屋外に設けられる。室内機106は、屋内に設けられる。本実施形態に係る空気調和装置100は、1または複数の室内機106を備える。
【0019】
冷媒循環路108は、冷媒が循環する流路である。冷媒循環路108は、室外機104および室内機106に冷媒を循環させる。
【0020】
続いて、室外機104および室内機106について具体的に説明する。
【0021】
[室外機104]
図1に示すように、室外機104は、四方弁150と、室外熱交換器152と、室外送風機154と、暖房用膨張弁156と、圧縮機160と、アキュムレータ162と、駆動部164と、室外制御部170とを含む。
【0022】
四方弁150は、冷媒入口150a、冷媒出口150b、第1ポート150c、および、第2ポート150dを有する。四方弁150の第1ポート150cおよび第2ポート150dは、冷媒循環路108に接続される。空気調和装置100を冷房として機能させる場合、四方弁150は、冷媒入口150aと第1ポート150cとを連通させ、冷媒出口150bと第2ポート150dとを連通させる。空気調和装置100を暖房として機能させる場合、四方弁150は、冷媒入口150aと第2ポート150dとを連通させ、冷媒出口150bと第1ポート150cとを連通させる。
【0023】
室外熱交換器152は、冷媒循環路108に設けられる。室外熱交換器152は、冷媒循環路108を流れる冷媒と、屋外の空気とで熱交換を行う。
【0024】
室外送風機154は、室外熱交換器152に空気を送る。室外送風機154は、例えば、ファンで構成される。室外送風機154は、室外熱交換器152による屋外の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0025】
暖房用膨張弁156は、冷媒循環路108における、室外熱交換器152と、後述する室内機106(室内膨張弁218)との間に設けられる。暖房用膨張弁156は、暖房時、空気調和装置100を暖房として機能させるため、減圧機構として作動する。また、暖房用膨張弁156は、冷房時、全開となり、室内機106へ向かう凝縮した冷媒(液)の抵抗にならないようにしている。
【0026】
圧縮機160は、冷媒を圧縮する。圧縮機160の吐出側は、四方弁150の冷媒入口150aに接続される。圧縮機160の吸入側は、四方弁150の冷媒出口150bに接続される。圧縮機160は、四方弁150の冷媒出口150bから吸入した冷媒を圧縮して、四方弁150の冷媒入口150aに吐出する。したがって、圧縮機160が駆動されることにより、冷媒循環路108を冷媒が循環する。
【0027】
アキュムレータ162は、四方弁150の冷媒出口150bと、圧縮機160の吸入側との間に設けられる。アキュムレータ162は、気液分離装置である。アキュムレータ162は、蒸発器(室外熱交換器152または室内熱交換器216)において蒸発しきれなかった冷媒(液体)を、冷媒(気体)から分離する。
【0028】
駆動部164は、圧縮機160を駆動する。駆動部164は、例えば、ガスエンジン、または、電動機である。
【0029】
室外制御部170は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。室外制御部170は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。室外制御部170は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して室外機104全体を管理および制御する。
【0030】
[室内機106]
図1に示すように、1または複数の室内機106は、冷媒循環路108における、室外熱交換器152と、四方弁150の第2ポート150dとの間に設けられる。
【0031】
図2は、室内機106の鉛直断面を示す図である。図3は、化粧パネル300を外した室内機106を鉛直下方から見た図である。図4は、ドレンパン230および化粧パネル300を鉛直上方から見た図である。なお、図3中、理解を容易にするために、ドレンパン230およびドレンポンプ250を省略する。図4中、理解を容易にするために、化粧パネル300を破線で示す。
【0032】
図2に示すように、室内機106は、室内機本体210と、化粧パネル300とを含む。
【0033】
室内機本体210は、天井10に埋め込まれる。図2図3に示すように、室内機本体210は、外装212と、断熱材214と、室内熱交換器216と、室内膨張弁218と、室内送風機220と、ドレンパン230と、給水装置240と、ドレンポンプ250と、室内制御部260と、を含む。
【0034】
外装212は、筒形状である。外装212は、例えば、矩形筒形状(ここでは、四角筒形状)である。外装212の下面は、開放されている。外装212の上面および側面は、板で構成される。
【0035】
断熱材214(図3中、クロスハッチングで示す)は、外装212の内周面に設けられる。断熱材214は、後述する室内熱交換器216から外部への熱の移動および外部から室内熱交換器216への熱の移動を抑制する。
【0036】
室内熱交換器216(熱交換器)は、外装212内に設けられる。室内熱交換器216は、冷媒と、屋内の空気とで熱交換を行う。本実施形態において、室内熱交換器216は、接続部216a、216bと、環状部216cとを有する。
【0037】
接続部216aは、外装212を貫通する。接続部216aは、冷媒循環路108を介して、暖房用膨張弁156に接続される。
【0038】
接続部216bは、外装212を貫通する。本実施形態において、接続部216aと接続部216bとは略平行に設けられる。接続部216bは、冷媒循環路108を介して、四方弁150の第2ポート150dに接続される。
【0039】
環状部216cは、接続部216aおよび接続部216bに連続し、外装212内に配される。環状部216cは、断熱材214(外装212)の内周に沿った環状である。
【0040】
室内膨張弁218は、接続部216aに設けられる。本実施形態において、室内膨張弁218は、接続部216aにおける断熱材214の内側に設けられる。室内膨張弁218は、冷媒を減圧する。
【0041】
室内送風機220は、室内熱交換器216に空気を送る。室内送風機220は、例えば、ファンで構成される。室内送風機220は、室内熱交換器216による屋内の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0042】
図2に示すように、ドレンパン230は、室内熱交換器216に対向して設けられる。ドレンパン230は、例えば、抗菌機能を有する樹脂で構成される。また、ドレンパン230の中央には開口230aが形成される。開口230aは、室内機本体210の室内送風機220に対向する。開口230aは、例えば、円形状である。
【0043】
図4に示すように、ドレンパン230の四隅には、水平方向に突出した突出部232が設けられる。また、ドレンパン230における隣り合う突出部232の間に、切り欠き234が形成される。切り欠き234の外周面は、後述する化粧パネル300の吹出口304に沿った形状を有する。
【0044】
また、ドレンパン230の上面には、溝部236が形成される。溝部236は、室内熱交換器216(環状部216c)の下面に対向する。溝部236は、室内熱交換器216(環状部216c)に沿った環状である。
【0045】
図2に戻って説明すると、溝部236の一部に窪み236aが形成される。窪み236aは、溝部236の底面より下方に陥没した部分である。また、本実施形態において、溝部236は、第1領域236bから第2領域236cに向かって下方に傾斜する。第2領域236cは、窪み236aが形成される領域である。第1領域236bは、溝部236における第2領域236cから最も遠い領域である。
【0046】
給水装置240は、室内熱交換器216に対して、ドレンパン230の洗浄水を散布することにより、ドレンパン230に洗浄水を間接的に供給する。本実施形態において、洗浄水は、例えば、水道水である。図2図3に示すように、本実施形態において、給水装置240は、給水管242と、主管244(散水部)と、複数の散水ノズル246(散水部)と、散水弁248とを含む。
【0047】
給水管242の上流端は、水道管に接続される。給水管242の下流端は、主管244に連続する。主管244は、外装212(断熱材214)内における室内熱交換器216の外方に設けられる。主管244は、室内熱交換器216を囲繞する環状である。主管244と室内熱交換器216とは、所定間隔離隔する。複数の散水ノズル246は、所定間隔離隔して主管244に設けられる。散水ノズル246の開口は、室内熱交換器216の外周面に対向する。
【0048】
散水弁248は、給水管242に設けられる。散水弁248は、給水管242に形成される流路を開閉する。散水弁248は、後述する室内制御部260によって開閉制御される。室内制御部260による散水弁248の開閉制御については、後に詳述する。
【0049】
ドレンポンプ250は、室内熱交換器216において凝縮してドレンパン230に流下した凝縮水および洗浄水を、ドレンパン230の溝部236から吸引する。ドレンポンプ250の吸引口は、溝部236の窪み236aに臨む。吸引された凝縮水および洗浄水は、外部に廃棄される。ドレンポンプ250の動作は、室内制御部260によって制御される。室内制御部260によるドレンポンプ250の動作の制御については、後に詳述する。
【0050】
室内制御部260(制御部)は、CPUを含む半導体集積回路で構成される。室内制御部260は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。室内制御部260は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して室内機106全体を管理および制御する。
【0051】
本実施形態において、室内制御部260は、外装212の外周面に設置される。室内制御部260は、室内送風機220、給水装置240(散水弁248)およびドレンポンプ250の動作を制御する。室内制御部260による具体的な制御については、後に詳述する。
【0052】
図2に示すように、化粧パネル300は、外装212および室内熱交換器216を下方から覆う。化粧パネル300は、室内機本体210の外装212の下面に対向して設けられる。本実施形態において、化粧パネル300は、例えば、四角形状である。化粧パネル300は、吸入口302と、吹出口304とを有する。
【0053】
吸入口302は、化粧パネル300の略中央に形成される。吸入口302は、室内送風機220と対向して形成される。吸入口302は、例えば、略四角形状である。吸入口302には、不図示のフィルタが設けられている。
【0054】
吹出口304は、化粧パネル300における吸入口302の外方に形成される。本実施形態において、吹出口304は4つ形成される。吹出口304は、例えば、四角形状である。
【0055】
[室内制御部260による制御]
続いて、室内制御部260による制御について説明する。図5は、室内制御部260による制御を説明するタイミングチャートである。
【0056】
リモートコントローラ102を通じて、空気調和装置100(室内機106)の運転開始を受け付けると、室内制御部260は、室内送風機220の動作を開始させる。
【0057】
そうすると、屋内の空気は、図2中、破線の矢印で示すように、化粧パネル300の吸入口302を通じて、外装212内に導かれる。そして、空気は、室内熱交換器216を通過して化粧パネル300の吹出口304から屋内へと吹き出される。なお、空気は、室内熱交換器216を通過する過程で、冷媒と熱交換され、空気調和装置100が暖房として機能する場合には加熱され、冷房として機能する場合には冷却される。
【0058】
なお、空気調和装置100が冷房として機能する場合、室内熱交換器216において、空気に含まれる水蒸気が凝縮し凝縮水となる。こうして生じた凝縮水は、ドレンパン230の溝部236に滞留する。このため、図5に示すように、リモートコントローラ102を通じて、冷房運転の開始(ON)を受け付けた場合、室内制御部260は、室内送風機220の動作開始とともに、ドレンポンプ250の動作を開始させる(ON)。
【0059】
また、本実施形態において、室内制御部260は、リモートコントローラ102を通じて、室内機106に対する冷房運転の停止指令(OFF)を受け付けると、室内送風機220の動作を停止させ、室内送風機220の動作停止から時間Ta経過後に、ドレンポンプ250の動作を停止させる。時間Taは、第1領域236bに落下した凝縮水または洗浄水が、第2領域236c(窪み236a)に流下するまでの時間である。時間Taは、例えば、3分程度である。
【0060】
このように、室内制御部260が、室内機106に対する冷房運転の停止指令に応じてドレンポンプ250の動作を停止させることにより、ドレンポンプ250による空気の吸引を抑制することができる。したがって、室内機106は、ドレンポンプ250における異音の発生を低減することができ、室内機106のユーザに不快感や不安感を与えてしまう事態を回避することが可能となる。
【0061】
ただし、冷房運転の停止後において、室内熱交換器216に残存した凝縮水がドレンパン230に流下する。ドレンパン230に凝縮水が残っているとスライムが生じるおそれがある。スライムの原因となるバクテリアおよびバクテリアの栄養素は、化粧パネル300の吸入口302を通じて屋内から吸い込まれる空気に含まれる。バクテリアおよびバクテリアの栄養素は、冷房運転中に、室内熱交換器216の外表面に生じた凝縮水に拡散される。凝縮水に拡散されたバクテリアおよびバクテリアの栄養素がドレンパン230に流下した場合であっても、ドレンポンプ250の動作中は、凝縮水がドレンパン230によって吸引されるため、ドレンパン230にスライムは発生しない。しかし、ドレンポンプ250の動作停止後、所定時間が経過すると、ドレンパン230に滞留した凝縮水によって、スライムが発生する。
【0062】
そこで、室内制御部260は、ドレンポンプ250の動作を停止させた後に洗浄処理を複数回(例えば、3回)実行する。図5に示すように、洗浄処理は、待機処理S110、開弁処理S120、ドレンポンプ再開処理S130、閉弁処理S140、ドレンポンプ停止処理S150を含む。
【0063】
[待機処理S110]
待機処理S110は、ドレンポンプ250の動作を停止させてから時間Tbが経過するまで、待機する処理である。時間Tbは、例えば、3分程度である。
【0064】
[開弁処理S120]
開弁処理S120は、待機処理S110直後に実行される。換言すれば、開弁処理S120の実行により、待機処理S110が終了する。
【0065】
開弁処理S120は、室内制御部260が、散水弁248を開弁させる(給水装置240の動作を開始させる)処理である。開弁処理S120を実行することにより、洗浄水が、給水管242、主管244、および、散水ノズル246を通じて、室内熱交換器216に散布される。そして、室内熱交換器216に散布された洗浄水は、室内熱交換器216の外表面を流下して、ドレンパン230の溝部236に落下する。
【0066】
[ドレンポンプ再開処理S130]
ドレンポンプ再開処理S130は、開弁処理S120が実行されてから時間Tdの経過後に実行される。時間Tdは、窪み236aに所定量の水(凝縮水および洗浄水)が貯留されるまでの時間である。所定量は、ドレンポンプ250が空気を吸い込むことなく、水のみを吸い込むことができる水位に基づいて決定される。
【0067】
ドレンポンプ再開処理S130は、室内制御部260が、ドレンポンプ250の動作を再開させる処理である。
【0068】
このように、室内制御部260が、給水装置240の動作開始より後にドレンポンプ250の動作を再開させることにより、ドレンポンプ250による空気の吸引を抑制することができる。したがって、室内機106は、ドレンポンプ250における異音の発生を低減することができ、室内機106のユーザに不快感や不安感を与えてしまう事態を回避することが可能となる。
【0069】
[閉弁処理S140]
閉弁処理S140は、ドレンポンプ再開処理S130の後に実行される。閉弁処理S140は、開弁処理S120が実行されてから時間Tc経過後に実行される。時間Tcは、時間Ta、Tbより長く、例えば、5分程度である。
【0070】
閉弁処理S140は、室内制御部260が、散水弁248を閉弁させる(給水装置240の動作を停止させる)処理である。
【0071】
[ドレンポンプ停止処理S150]
ドレンポンプ停止処理S150は、閉弁処理S140を実行してから、時間Ta経過後に実行される。ドレンポンプ停止処理S150は、室内制御部260がドレンポンプ250の動作を再度停止させる処理である。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る室内機106の室内制御部260は、室内機106に対する冷房運転の停止指令に応じて、まずドレンポンプ250の動作を停止し、その後(時間Tb経過後)に洗浄処理を実行する。これにより、給水装置240は、室内機106の停止後に室内熱交換器216から流下した凝縮水を洗浄水で押し流して、ドレンパン230を洗浄することができる。したがって、室内機106は、ドレンポンプ250における異音の発生を低減しつつ、ドレンパン230におけるスライムの発生を抑制することが可能となる。
【0073】
なお、室内機106に対する冷房運転の停止指令に応じて、給水装置240の動作を開始させることも考えられる。しかし、この場合、ドレンパン230に供給された洗浄水に、室内機106の運転中にドレンパン230に流下した凝縮水が混入してしまい、ドレンパン230の洗浄効果が低下してしまうという問題がある。また、この場合、ドレンポンプ250を動作させ続けるため、ドレンポンプ250の寿命が短くなってしまう。
【0074】
そこで、本実施形態に係る室内制御部260は、室内機106に対する冷房運転の停止指令に応じて、まずドレンポンプ250の動作を停止し、その後に洗浄処理を実行する。これにより、室内機106は、洗浄処理においてドレンパン230に供給された洗浄水への凝縮水の混入を抑制することができる。したがって、室内機106は、洗浄水によるドレンパン230の洗浄効果を向上させることが可能となる。また、ドレンポンプ250が無駄に運転される時間を削減することができ、ドレンポンプ250の寿命を延長することが可能となる。
【0075】
また、上記したように、給水装置240は、洗浄水として水道水を供給する。水道水には、塩素等の殺菌成分が含まれている。したがって、給水装置240は、ドレンパン230におけるスライムの発生を抑制することができる。
【0076】
また、上記したように、室内制御部260は、洗浄処理において、ドレンポンプ再開処理S130の実行後に閉弁処理S140を実行し、閉弁処理S140の実行後にドレンポンプ停止処理S150を実行する。これにより、室内機106は、ドレンパン230を洗浄した後の洗浄水を確実に外部に廃棄することができる。
【0077】
また、上記したように、本実施形態に係る室内制御部260は、洗浄処理を複数回実行する。これにより、室内機106は、ドレンパン230をより洗浄することができる。
【0078】
また、上記したように、給水装置240が室内熱交換器216に洗浄水を散布することにより、室内熱交換器216の外表面に付着した凝縮水を洗浄水で洗い流すことができる。これにより、室内機106は、ドレンパン230のみならず、室内熱交換器216の外表面へのスライムの発生を防止することが可能となる。
【0079】
また、上記したように、ドレンパン230の溝部236は、第1領域236bから第2領域236cに向かって下方に傾斜する。これにより、ドレンパン230は、凝縮水および洗浄水を溝部236に残すことなく、ドレンポンプ250に確実に吸引させることができる。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
例えば、上述した実施形態において、給水装置240が散水弁248を備える構成を例に挙げた。しかし、散水弁248に代えて、または、加えて、給水管242に洗浄水を吐出するポンプを備えていてもよい。この場合、室内制御部260は、開弁処理S120において、ポンプの動作を開始し、閉弁処理S140において、ポンプの動作を停止する。
【0082】
また、上記実施形態において、室内制御部260が、洗浄処理を複数回実行する場合を例に挙げた。しかし、室内制御部260は、洗浄処理を少なくとも1回実行すればよい。
【0083】
また、上記実施形態において、給水装置240が、主管244および散水ノズル246を有する散水部を備える場合を例に挙げた。つまり、給水装置240が室内熱交換器216に洗浄水を散布する散水部を備える場合を例に挙げた。しかし、給水装置240は、ドレンパン230に対して直接的に洗浄水を供給する供給部を備えてもよい。この場合、供給部は、ドレンパン230の溝部236の第1領域236bに洗浄水を供給するとよい。これにより、ドレンパン230に残った凝縮水を洗浄水で押し流すことができる。
【0084】
また、上記実施形態において、室内制御部260が、室内機106に対する冷房運転の停止指令を受け付けると、室内送風機220を停止する場合を例に挙げた。しかし、室内制御部260は、室内機106に対する冷房運転の停止指令を受け付けた後、室内熱交換器216の外表面に付着した凝縮水が落下するまでの間、室内送風機220を停止せずともよい。これにより、室内熱交換器216の外表面に付着した凝縮水の落下を促進させることができる。
【0085】
また、上記実施形態において、洗浄水として水道水を例に挙げた。しかし、洗浄水は、スライムの発生を抑制することができればよく、洗浄剤や抗菌剤を含む水であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
100 空気調和装置
106 室内機
216 室内熱交換器(熱交換器)
230 ドレンパン
236 溝部
240 給水装置
244 主管(散水部)
246 散水ノズル(散水部)
248 散水弁
250 ドレンポンプ
260 室内制御部(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5