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特開2023-100366電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法
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  • 特開-電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法 図1
  • 特開-電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法 図2
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  • 特開-電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法 図4
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  • 特開-電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100366
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230711BHJP
   H02J 1/12 20060101ALI20230711BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H02J1/00 304D
H02J1/00 306K
H02J1/12
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000981
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】片元 優太
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA02
5G165CA04
5G165DA01
5G165DA02
5G165DA07
5G165EA03
5G165EA04
5G165EA10
5G165FA01
5G165GA04
5G165HA02
5G165HA03
5G165HA04
5G165HA07
5G165HA10
5G165HA17
5G165JA01
5G165JA04
5G165JA07
5G165JA09
5G165KA02
5G165KA05
5G165KA08
5G165LA01
5G165LA02
5G165LA03
5G165MA10
5G165PA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA07
5G503AA08
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA12
5G503CC07
5G503CC08
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA02
5G503EA05
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置(25)は、自機がマスタとして機能する場合には、双方向DC-DCコンバータ(21)を制御して、線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行する。自機がスレーブとして機能する場合には、電圧計(20V)を通じて問合せを受領したときに、双方向DC-DCコンバータ(21)を制御して、自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、直流線路に、自機の要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、問合せに対する回答を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置であって、
直流母線と、
前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、
前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、
前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
自機である前記電力融通装置がマスタとして機能する場合には、
前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行し、
前記自機がスレーブとして機能する場合には、
前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行する、電力融通装置。
【請求項2】
前記直流線路から前記自機に出入りする入出力電流を検出する電流検出装置を、さらに備え、
前記制御装置は、前記自機がマスタとして機能する場合において、
前記電流検出装置を通じて前記回答を受領すると、受領した前記回答を用いて、電力融通を行うか否かの判断を実行し、さらに、
電力融通を行うと判断したときには、前記問合せを実行した時点から第1の所定時間以内に前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを停止することにより、電力融通を行うことを示す第1の判断結果を前記他機に伝達し、
電力融通を行わないと判断したときには、前記第1の所定時間を超過した時点以降も前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを継続することにより、電力融通を行わないことを示す第2の判断結果を前記他機に伝達する、請求項1に記載の電力融通装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記入出力電流の周波数分析を行って前記直流線路に接続された各々の前記要求について固有に定められた周波数の変調成分の大きさを検出することにより、各々の前記他機からの回答を受領する、請求項2に記載の電力融通装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記判断を実行するときに、前記他機からの要求に従って電力融通を行う場合に前記直流線路で融通される融通電力の大きさを求め、求めた融通電力の大きさが前記直流線路の容量よりも大きいときに、電力融通を行わないと判断する、請求項2または3に記載の電力融通装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記判断を実行するときに、複数の前記回答を基に判別した、電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数との差の値を求め、求めた差の値が所定の台数以上であるときに、電力融通を行わないと判断する、請求項2または3に記載の電力融通装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、
前記電圧検出装置を通じて前記第1の判断結果を受領すると、
前記自機が電力の提供を行う要求をしたときには、前記DC-DCコンバータを制御して、第2の所定時間の間、前記直流線路に定められた大きさの出力電流を出力し、
前記自機が電力の供給を受ける要求をした場合には、前記DC-DCコンバータを制御して、前記第2の所定時間の間、前記直流線路から定められた大きさの入力電流を受電し、
前記自機が電力の授受を行わないことの要求をした場合には、前記DC-DCコンバータを停止し、
前記電圧検出装置を通じて前記第2の判断結果を受領すると、
前記DC-DCコンバータを停止する、請求項2から5のいずれか1項に記載の電力融通装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、
前記蓄電装置の充電率に基づいて、前記要求を選択する、請求項1から6のいずれか1項に記載の電力融通装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、
マスタによる前記問合せが開始された時点から所定の時間が経過した時点で前記回答の実行を開始する、請求項1から7のいずれか1項に記載の電力融通装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記充電率の大きさに応じて、前記要求の緊急度を判別し、前記緊急度が高いほど、前記問合せを受領した時点から短い時間で前記回答を開始する、請求項7に記載の電力融通装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記自機がマスタとして機能する場合において、
前記回答を受領すると、受領した複数の前記回答を基に判別した、電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数と和の値を求め、求めた和の値が一定台数以上に達したことを検出したときに、または受領した複数の前記回答を基に前記直流線路で融通される融通電力の大きさを求め、求めた融通電力の大きさが前記直流線路の容量に達したことを検出したときに、または受領した複数の前記回答を基に電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数との差の値を求め、求めた差の値が所定の台数以上であるときに、前記問合せを停止する、請求項9に記載の電力融通装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、
前記回答を実行するときに、電力の提供を行うことの要求をする場合の要求電力の大きさ、または電力の供給を受ける要求をする場合の要求電力の大きさに応じて、前記出力電流の変調成分の大きさを定める、請求項1から10のいずれか1項に記載の電力融通装置。
【請求項12】
直流線路と、前記直流線路に接続された複数の電力融通装置とを備え、前記複数の電力融通装置の相互間で電力を融通可能な直流配電システムであって、
前記複数の各電力融通装置には、請求項1から11のいずれか1項に記載の電力融通装置が用いられている、直流配電システム。
【請求項13】
直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、
前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、
前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行するステップ、を備える電力融通装置の制御方法。
【請求項14】
直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、
前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、
前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記自機の前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行するステップ、を備える電力融通装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流配電システムは、直流線路と、直流線路に接続された複数の電力融通装置とを備えている。複数の各電力融通装置は、直流線路に接続された双方向のDC-DCコンバータと、DC-DCコンバータに接続された発電装置、蓄電装置、及び負荷と、当該電力融通装置の各部を制御する制御装置とを有している。直流配電システムには、複数の電力融通装置に接続されるとともに、通信を用いて電力融通装置間の電力融通を集中管理するコントローラを備えたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、直流配電システムには、上記コントローラによる集中管理に代えて、各電力融通装置において、DC-DCコンバータの出力電圧と出力電流の制御を個別にドループ制御するものも知られている。このようなドループ制御を行うことにより、コントローラのシステムダウンに起因する電力融通の中断を抑えることが提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-288162号公報
【特許文献2】特許第6458891号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のような直流配電システムでは、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができないという問題点があった。
【0006】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る電力融通装置は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置であって、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、自機である前記電力融通装置がマスタとして機能する場合には、前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行し、前記自機がスレーブとして機能する場合には、前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行する。
【0008】
また、本開示の一側面に係る直流配電システムは、直流線路と、前記直流線路に接続された複数の電力融通装置とを備え、前記複数の電力融通装置の相互間で電力を融通可能な直流配電システムであって、前記複数の各電力融通装置には、上記いずれかの電力融通装置が用いられている。
【0009】
また、本開示の一側面に係る電力融通装置の制御方法は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行するステップと、を備える。
【0010】
また、本開示の他の一側面に係る電力融通装置の制御方法は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記自機の前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行するステップ、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置、直流配電システム、及び電力融通装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態1に係る直流配電システムの構成例を示す図である。
図2図1に示した電力融通装置の構成例を示す図である。
図3】直流配電システムの基本的な周期動作を説明する図である。
図4】各電力融通装置での出力電圧または出力電流の波形例を示すグラフである。
図5図4の時点t0から時点t1までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
図6図4の時点t1から時点t2までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
図7図4の時点t2から時点t3までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
図8図4の時点t3から時点t4までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
図9図4の時点t4から時点t5までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
図10】マスタの電力融通装置の具体的な動作例を示すフローチャートである。
図11】スレーブの電力融通装置の具体的な動作例を示すフローチャートである。
図12】は、変形例1での各電力融通装置の具体的な動作例を説明する図である。
図13】変形例1のスレーブの電力融通装置の具体的な動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る直流配電システム1の構成例を示す図である。図2は、図1に示した電力融通装置2の構成例を示す図である。なお、以下の説明では、複数の電力融通装置2が共通の直流線路3を共有して、直流線路3を介して電力融通装置2の相互間で電力融通を行う直流配電システム1に適用した場合について説明する。
【0014】
<直流配電システム1>
図1に示すように、本実施形態の直流配電システム1は、複数、例えば、N台(Nは、2以上の整数)の電力融通装置2A~2N(以下、“2”で総称する)と、複数の各電力融通装置2が接続された直流線路3とを備えている。
【0015】
また、本実施形態の直流配電システム1では、複数の電力融通装置2のうち、1つの電力融通装置、例えば、電力融通装置2Aがマスタの電力融通装置2として機能する。また、他の各電力融通装置2B~2Nが当該マスタの電力融通装置2に制御されるスレーブの電力融通装置2として機能する。
【0016】
また、本実施形態の直流配電システム1では、例えば、ラウンドロビンを用いて、マスタとして機能する電力融通装置2が所定の順番で入れ替わるようになっている。これにより、本実施形態の直流配電システム1では、複数の電力融通装置2において、1つの電力融通装置2がマスタとして順番に交代して機能する。この結果、本実施形態の直流配電システム1では、マスタの電力融通装置2での故障等に起因する直流配電システム1のシステム停止などの不具合の発生を確実に抑制することができる。また、本実施形態の直流配電システム1では、特定の電力融通装置2の後掲の蓄電装置に負担が集中することを回避することができる。
【0017】
<電力融通装置2>
図2に示すように、本実施形態の電力融通装置2は、電圧計20Vと、電流計20Iと、双方向DC-DCコンバータ21と、発電装置22と、蓄電装置23と、負荷24とを備えている。電圧計20Vは、直流線路3の線路電圧を検出する電圧検出装置である。電流計20Iは、直流線路3から電力融通装置2に出入りする入出力電流を検出する電流検出装置である。
【0018】
双方向DC-DCコンバータ21は、電圧計20V及び電流計20Iを介して直流線路3に接続されている。双方向DC-DCコンバータ21は、直流線路3と、電力融通装置2の直流母線20Lの間に接続されている。直流母線20Lには、発電装置22、蓄電装置23、及び負荷24が接続されている。この双方向DC-DCコンバータ21は、直流線路3に対して直流電力を双方向に伝達するDC-DCコンバータである。
【0019】
発電装置22は、太陽電池を含んでおり、当該太陽電池によって太陽光のエネルギーを光電変換して直流電力を発生する。発電装置22は、DC-DCコンバータを有しており、発生した直流電力をDC-DCコンバータを介して直流母線20Lに出力する。尚、発電装置22として、上記太陽電池以外に、例えば、風力発電機などの太陽光以外の自然エネルギーを利用するものや、コジェネレーションシステムや電動機などの非自然エネルギーを利用するものを用いることもできる。
【0020】
蓄電装置23は、二次電池などの蓄電池を含んでいる。蓄電装置23は、DC-DCコンバータを有しており、直流母線20Lから給電される直流電力を蓄電池に充電する。また、蓄電装置23は、蓄電池に蓄えられた電力を、直流母線20Lに放電する。また、蓄電装置23は、充電率としての蓄電池残量(SOC:State of Charge)を制御装置25に通知する。
【0021】
負荷24は、例えば、直流電力によって動作する電気機器などの直流負荷である。負荷24は、PCS(Power Conditioner System)を有しており、双方向DC-DCコンバータ21、発電装置22、または蓄電装置23からの直流電力がPCSによって負荷24に適した直流電力に変換された後、PCSから当該直流電力が供給されるようになっていてもよい。
【0022】
制御装置25は、電力融通装置2の各部を制御する。例えば、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21の動作を制御する。
【0023】
制御装置25は、電力融通装置2(自機)がマスタとして機能する場合及びスレーブとして機能する場合の双方に対応するように構成されている。すなわち、電力融通装置2がマスタとして機能する場合には、制御装置25は、後に詳述するように、スレーブとしての電力融通装置2(他機)に対して電力融通が必要か否かの問合せを行う。更に、制御装置25は、問合せに対する回答を用いて、直流配電システム1において、電力融通が可能か否かについて判断する。
【0024】
また、電力融通装置2がスレーブとして機能する場合には、制御装置25は、マスタとしての電力融通装置2からの問合せを受領したときに、その問合せに対する回答を実行する。この回答には、放電要求または充電要求が含まれている。ここでいう、放電要求とは、直流線路3に対して直流電力を放電することを要求することである。また、充電要求とは、直流線路3から直流電力を充電することを要求することである。また、回答には、電力の授受を行わない電力融通の要求なしの要求も含まれている。
【0025】
<動作例>
以下、本実施形態の直流配電システム1の動作について具体的に説明する。
【0026】
<直流配電システム1における、電力融通の基本的な周期動作>
まず、図3も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、電力融通の基本的な周期動作について具体的に説明する。図3は、直流配電システム1の基本的な周期動作を説明する図である。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の直流配電システム1では、マスタの電力融通装置2Aがスレーブの各電力融通装置2B~2Nに対して電力融通についての要求確認を行う要求確認期間(時点t0~時点t3)が設定されている。
【0028】
また、本実施形態の直流配電システム1では、上記要求確認期間に続いて、電力融通装置2Aを含む全ての電力融通装置2において、電力融通装置2Aが定めた電力融通に従って、直流配電システム1内で電力を融通する電力融通期間(時点t3~時点t5)が設定されている。
【0029】
<時点t0~時点t1での電力融通装置2の動作例>
次に、図4及び図5も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、時点t0~時点t1での電力融通装置2の動作例について具体的に説明する。図4は、各電力融通装置2での出力電圧または出力電流の波形例を示すグラフである。図5は、図4の時点t0から時点t1までの各電力融通装置2の動作を説明する図である。
【0030】
本実施形態の直流配電システム1では、時点t0以前において、マスタの電力融通装置2Aの制御装置25だけが、双方向DC-DCコンバータ21を制御して、出力電圧VAとして波形Vm0である一定の直流電圧を出力する。一方のスレーブの電力融通装置2B~2Nの制御装置25は、時点t0以前において、双方向DC-DCコンバータ21を停止させて、待機している。
【0031】
そして、時点t0において、電力融通装置2Aでは、制御装置25は双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3に出力される出力電圧VAを波形Vm1となるように制御する。波形Vm1とは、波形Vm0である一定の直流電圧に第1の周波数としての周波数fmを重畳して、当該直流電圧を電圧変調した波形である。
【0032】
すなわち、電力融通装置2Aは、波形Vm1である出力電圧VAを出力する。このように時点t0から時点t2までの間、マスタの電力融通装置2Aだけが、直流線路3の電圧制御を実施する。
【0033】
また、本実施形態の直流配電システム1では、時点t0~時点t1において、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は各々双方向DC-DCコンバータ21を停止させている。電力融通装置2B~2Nは、直流線路3の線路電圧を電圧計20Vで監視している。そして、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、電圧計20Vの検出電圧が時点t0で上記の変調された波形になったことを検出すると、各制御装置25は、電力融通装置2Aからの要求確認(上記問合せ)が開始されたと判断する。そして、各電力融通装置2B~2Nでは、蓄電装置23の蓄電池残量に基づき、上記要求確認に対する要求(回答)を決定する。
【0034】
<時点t1~時点t2での電力融通装置2の動作例>
次に、図4及び図6も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、時点t1~時点t2での電力融通装置2の動作例について具体的に説明する。図6は、図4の時点t1から時点t2までの各電力融通装置の動作を説明する図である。
【0035】
本実施形態の直流配電システム1では、上述の通り、時点t0から時点t2までの第1の所定時間T1において、電力融通装置2Aは、波形Vm1である出力電圧VAを出力する。また、図4に示すように、本実施形態の直流配電システム1では、電力融通装置2B~2Nは、時点t0から所定の時間が経過した時点t1で電力融通装置2Aからの上記問合せに対する回答を同じタイミングで行う。
【0036】
図6に示すように、例えば、電力融通装置2B及び2Nにおいて、制御装置25が上記回答として放電要求を行うと決定していると、制御装置25は時点t1で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3に出力する出力電流を波形I1となるように制御する。この結果、電力融通装置2B及び2Nからの出力電流IB及びINは、それぞれ図4に波形52及び55及び図6に波形i1,inにて示すように、波形Isである一定の直流電流に第2の周波数としての周波数fs1を重畳して、当該直流電流を電流変調した波形となる。
【0037】
尚、放電要求を示す出力電流の大きさI1(t)は、交流成分の振幅をIsacとすると、以下の(1)式で表される。
【0038】
I1(t) = Is+Isac×sin(2πfs1*t)―――(1)
【0039】
また、図6に示すように、例えば、電力融通装置2Cにおいて、制御装置25が上記回答として充電要求を行うと決定していると、制御装置25は時点t1で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3に出力される出力電流を波形I2となるように制御する。この結果、電力融通装置2Cからの出力電流ICは、それぞれ図4に波形53及び図6に波形i2にて示すように、波形Isである一定の直流電流に第3の周波数としての周波数fs2を重畳して、当該直流電流を電流変調した波形となる。
【0040】
尚、充電要求を示す出力電流の大きさI2(t)は、交流成分の振幅をIsacとすると、以下の(2)式で表される。
【0041】
I1(t) = Is+Isac×sin(2πfs2*t)―――(2)
【0042】
波形52及び波形53として示されるように、放電要求を行う電力融通装置2と充電要求を行う電力融通装置2とは、互いに周波数が異なる周波数fs1及び周波数fs2の出力電流を出力する。尚、周波数fm、周波数fs1、及び周波数fs2は、直流線路3の配線インピーダンスを考慮して、十分に低い値とされている。
【0043】
また、図6に示すように、例えば、電力融通装置2Dにおいて、制御装置25が上記回答として電力融通の要求なしと決定していると、制御装置25は時点t1で双方向DC-DCコンバータ21の停止を維持する。この結果、電力融通装置2Dからの出力電流IDは、図4に波形54にて示すように、0となる。
【0044】
電力融通装置2Aは、直流線路3からの入力電流を電流計20Iで監視している。電力融通装置2Aには、図6に波形i1+i2+i3+---+inにて示すように、電力融通装置2B~2Nの出力電流IB~INを重畳した重畳電流が入力電流として入力される。電力融通装置2Aは、電力融通装置2Aの電流計20Iにより入力電流を検出する。また、電力融通装置2B~2Nは、図4に示すように、電力融通装置2Aからの上記回答を時点t3まで継続して行う。
【0045】
そして、電力融通装置2Aの制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1が経過する時点t2以前において、上記入力電流(双方向DC-DCコンバータ21への重畳した入力電流)に対して、周波数分析、例えば、FET解析を行って、上記要求について固有に定められた周波数の変調成分の大きさを検出する。
【0046】
具体的には、制御装置25は、周波数fs1に変調された電流成分の大きさを検出して、放電要求をしたスレーブの電力融通装置2の台数を把握する。更に、制御装置25は、周波数fs2に変調された電流成分の大きさを検出して、充電要求をしたスレーブの電力融通装置2の台数を把握する。その後、制御装置25は、時点t2までに把握した放電要求の台数及び充電要求の台数を基に、電力融通が可能か否かについて判断する。
【0047】
このように、本実施形態では、電力融通装置2Aの制御装置25は、電力融通装置2Aへの入力電流(入力電流)の周波数分析を行って周波数の変調成分の有無を検出することにより、各々の電力融通装置2B~2Nからの各回答の内容を判別することができる。この結果、本実施形態では、電力融通装置2Aは、直流配電システム1をより適切に動作させることができる。
【0048】
<時点t2~時点t3での電力融通装置2の動作例>
次に、図4及び図7も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、時点t2~時点t3での電力融通装置2の動作例について具体的に説明する。図7は、図4の時点t2から時点t3までの各電力融通装置2の動作を説明する図である。
【0049】
電力融通装置2Aの制御装置25は、時点t0から時点t2までの第1の所定時間T1以内において、電力融通が可能と判断する場合には、制御装置25は、時点t2において、出力電圧VAを波形Vm0となるように制御する。これにより、電力融通装置2Aからの出力電圧VAは、図4に波形50及び図7に波形Vm0にて示すように、波形Vm0である一定の直流電圧となる。この結果、制御装置25は、電力融通を行うことを示す第1の判断結果をスレーブの各電力融通装置2B~2Nに伝達する。
【0050】
また、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、時点t2以内において、波形Vm0である出力電圧VAを検出することにより、電力融通装置2Aから電力融通が実施されることが通知されたと判断する。そして、各制御装置25は、図4に示すように、時点t2から所定時間経過後の時点t3まで上記回答に応じた出力電流を継続して出力する。
【0051】
一方、電力融通装置2Aの制御装置25は、時点t2までに把握した放電要求の台数及び充電要求の台数を基に、電力融通が不可能であると判断した場合には、時点t2が経過した後、一定時間の経過後に、双方向DC-DCコンバータ21を制御して、出力電圧VAを波形Vm0となるように制御する。すなわち、制御装置25は、時点t2が経過した後、一定時間の間、波形Vm1である出力電圧VAの出力を継続する。この結果、制御装置25は、電力融通を行わないことを示す第2の判断結果をスレーブの各電力融通装置2B~2Nに伝達する。
【0052】
また、電力融通装置2B~2Nは、電圧計20Vを用いて直流線路3の線路電圧を監視しているので、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、時点t2以降に波形Vm0である一定の直流電圧を検出する。
【0053】
これにより、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、時点t2以降も直流線路3の線路電圧が変調された波形Vm1であることから、電力融通装置2Aから電力融通が実施されない旨が通知されたと判断して、双方向DC-DCコンバータ21を停止する。
【0054】
尚、上記の説明以外に、電力融通装置2B~2Nにおいて、放電要求の回答を行う出力タイミングと、充電要求の回答を行う出力タイミングとを時点t1から互いに異なる時点で時点t2までの間に2つに分けて実施する構成でもよい。
【0055】
<時点t3~時点t4での電力融通装置2の動作例>
次に、図4及び図8も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、時点t3~時点t4での電力融通装置2の動作例について具体的に説明する。図8は、図4の時点t3から時点t4までの各電力融通装置2の動作を説明する図である。
【0056】
電力融通装置2Aの制御装置25は、時点t3から時点t4までの第2の所定時間T2において、図4に波形50及び図8に波形Vm0にて示すように、波形Vm0である出力電圧VAを出力する。
【0057】
<電力融通を実施する場合の動作例>
電力融通装置2Bの制御装置25は、時点t2で放電要求が認められたと判断している。この結果、制御装置25は、図4に波形52及び図8に波形Idにて示すように、第2の所定時間T2の間、所定の放電電流の波形Idとなるように出力電流IBの制御を行う。
【0058】
電力融通装置2Cの制御装置25は、時点t2で充電要求が認められたと判断している。この結果、制御装置25は、電力融通装置2Aの出力電圧VAと同様に、第2の所定時間T2の間、双方向DC-DCコンバータ21からの出力電圧VCを波形Vm0になるように制御する。そして、この電力融通装置2Cには、図4に波形53にて示すように、一定の電流値Id’である入力電流が入力される。
【0059】
電力融通装置2Dの制御装置25は、時点t2で要求なしが認められたと判断している。この結果、制御装置25は、図4に波形54にて示すように、第2の所定時間T2の間、双方向DC-DCコンバータ21を停止して、出力電流IDを0で維持する。
【0060】
<電力融通を実施しない場合の動作例>
また、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、時点t2経過後の一定時間が経過した時点で、電力融通が実施されないと判断するので、各制御装置25は、第2の所定時間T2の間、双方向DC-DCコンバータ21を停止して、その出力電流を0で維持する。
【0061】
以上のように、時点t3から時点t4までの第2の所定時間T2において、電力融通装置2B~2Nは、電力融通の実施有無及び実施内容に応じて、適切に動作するので、直流配電システム1をも適切に動作させることができる。
【0062】
<時点t4~時点t5での電力融通装置2の動作例>
次に、図4及び図9も用いて、本実施形態の直流配電システム1における、時点t3~時点t4での電力融通装置2の動作例について具体的に説明する。図9は、図4の時点t4から時点t5までの各電力融通装置2の動作を説明する図である。
【0063】
電力融通装置2Aの制御装置25は、時点t4において第2の所定時間T2の終了を検知すると、電力融通の期間が終了したと判断する。そして、制御装置25は、時点t4から所定時間経過後の時点t5までの間、図4に波形50及び図9に波形Vm0にて示すように、波形Vm0である出力電圧VAを出力する。
【0064】
電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、電力融通装置2Aの制御装置25と同様に、時点t4において電力融通の期間が終了したと判断する。そして、電力融通装置2B~2Nの各制御装置25は、図4に示すように、双方向DC-DCコンバータ21を停止して、対応する出力電流IB~INを0とする。
【0065】
その後、本実施形態の直流配電システム1では、時点t5において、全ての電力融通装置2の各制御装置25が全ての電力融通装置2の出力電流が0となったことを検知する。そして、各制御装置25は、当該時点t5を時点t0として、1つの電力融通装置2をマスタの電力融通装置2として新たな電力融通を開始する。
【0066】
次に、図10及び図11も用いて、本実施形態のマスタ及びスレーブの各電力融通装置2の動作について具体的に説明する。図10は、マスタの電力融通装置の具体的な動作例を示すフローチャートである。図11は、スレーブの電力融通装置の具体的な動作例を示すフローチャートである。尚、以下の説明では、マスタの電力融通装置2及びスレーブの電力融通装置2として、それぞれ電力融通装置2A及び電力融通装置2B~2Nが機能する場合を例示して説明する。
【0067】
<マスタの電力融通装置2A(自機)の動作例>
まず、図10を用いて、電力融通装置2Aの動作について具体的に説明する。電力融通装置2Aでは、制御装置25は時点t0で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3を介して電力融通装置2B~2Nへ出力する出力電圧を波形Vm1となるように制御する(ステップS1)。具体的には、電力融通装置2Aは、双方向DC-DCコンバータ21を制御して、上記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、電力融通装置2B~2N(他機)に電力融通が必要か否かについての問合せを実行する。
【0068】
次に、電力融通装置2Aでは、制御装置25が電力融通装置2B~2Nからの出力電流を受電することにより、上記問合せに対する回答を受領する。すなわち、制御装置25は、直流線路3から双方向DC-DCコンバータ21への入力電流(電力融通装置2Aへの上記入力電流)を受電する。そして、制御装置25は、入力電流に基づき、電力融通装置2B~2Nからの回答で示された、放電要求をした電力融通装置2の台数及び充電要求をした電力融通装置2の台数を算出する(ステップS2)。
【0069】
また、直流配電システム1では、電力融通装置2Aへの上記回答は、例えば、電力融通装置2Aが上記問合せをした時点t0から所定の時間が経過した時点t1で全てのスレーブの電力融通装置2B~2Nから同じタイミングで同時に行わるようになっている。
【0070】
続いて、電力融通装置2Aでは、制御装置25が、上記問合せを実行した時点t0から第1の所定時間T1以内(つまり、時点t2まで)において、上記放電要求をした電力融通装置2の台数と上記充電要求をした電力融通装置2の台数とを検出する。そして、制御装置25は、検出した台数を基に電力融通の開始条件を満たすか否かについて判別する(ステップS3)。
【0071】
具体的にいえば、制御装置25は、例えば、放電要求をした電力融通装置2の台数または充電要求をした電力融通装置2の台数から、直流配電システム1における、総融通電力の大きさ(つまり、直流線路3で融通する融通電力の大きさ)を各々求める。そして、制御装置25は、求めた融通電力の大きさが直流線路3の容量(例えば、定格電力)を上回るか否かについて判別する。
【0072】
そして、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内において、融通電力の大きさが上記容量を上回らないことを判別すると、制御装置25は、ステップS2で算出された各台数が電力融通の開始条件を満たすと判別する(ステップS3でYES)。つまり、制御装置25は、電力融通が可能であると判断して、制御装置25は時点t2で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3を介して電力融通装置2B~2Nへ出力する出力電圧を波形Vm0となるように制御する(ステップS4)。
【0073】
言い換えれば、制御装置25は、電力融通を行うと判断したときには、上記問合せを実行した時点t0から第1の所定時間T1以内に線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを停止する。これにより、制御装置25は、電力融通を行うことを示す第1の判断結果を電力融通装置2B~2Nに伝達する。この結果、直流配電システム1では、電力融通装置2Aが電力融通装置2B~2Nに対し上記問合せの期間の終了を通知し、所定期間が経過した時点t3で、電力融通装置2A~2Nにおいて、電力融通が開始される。
【0074】
続いて、電力融通装置2Aでは、制御装置25は電力融通が開始された時点t3から第2の所定時間T2が経過したか否かについて判別する。更に、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3への出力電流が0Aであるかについて判別する(ステップS5)。そして、制御装置25は、時点t3から第2の所定時間T2が経過したこと、または上記出力電流が0Aであることを判別しないと(ステップS5でNO)、制御装置25は待機状態となる。
【0075】
一方、制御装置25は、時点t3から第2の所定時間T2が経過したこと、及び上記出力電流が0Aであることを判別すると(ステップS5でYES)、制御装置25は、直流配電システム1における、電力融通の期間が終了したと判断して、時点t4で動作を停止する。
【0076】
また、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内において、融通電力の大きさが上記容量を上回ることを判別すると、制御装置25は、ステップS2で算出された各台数が電力融通の開始条件を満たないと判別する(ステップS3でNO)。つまり、制御装置25は、第1の所定時間T1を経過しても電力融通の開始条件が満たされないと判別して、電力融通は不可能であると判断する。
【0077】
また、ステップS3において、電力融通装置2Aの制御装置25が、直流線路3で融通する融通電力の大きさと直流線路3の容量とを用いて、電力融通が可能か否かについて判断しているので、電力融通装置2Aは、電力融通の可否を適切に定めることができる。この結果、本実施形態の直流配電システム1では、当該直流配電システム1を適切に動作させることができる。
【0078】
そして、制御装置25は、第1の所定時間T1が経過した後、一定時間の経過後に、双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3を介して電力融通装置2B~2Nへ出力する出力電圧を波形Vm0となるように制御する(ステップS6)。
【0079】
言い換えれば、制御装置25は、電力融通を行わないと判断したときには、時点t0から第1の所定時間T1を超過した時点t2以降も、上記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを継続する。これにより、制御装置25は、電力融通を行わないことを示す第2の判断結果を電力融通装置2B~2Nに伝達する。この結果、直流配電システム1では、電力融通装置2Aが時点t0から第1の所定時間T1が経過した時点t2以降に電力融通装置2B~2Nに対し上記問合せの期間の終了を通知するとともに、電力融通装置2A~2Nは、動作を停止する。
【0080】
尚、上記の説明では、ステップS3において、上記融通電力の大きさが直流線路3の容量よりも大きい場合に、電力融通が不可能であると判断する場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、放電要求を回答とした電力融通装置2の台数と、充電要求を回答とした電力融通装置2の台数との差の値を求め、求めた差の値が所定の台数以上である場合に、電力融通が不可能であると判断してもよい。
【0081】
この場合は、電力融通装置2Aでは、制御装置25は融通電力に対する直流線路3での回路損失の比率が大きくなるか否かについて判別することができる。この結果、電力融通装置2Aは直流配電システム1における、電力融通の可否を適切に定めることができ、直流配電システム1を適切に動作させることができる。
【0082】
<スレーブの電力融通装置2B~2N(他機)の動作例>
次に、図11を用いて、電力融通装置2B~2Nの動作について具体的に説明する。図11に示すように、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は直流線路3の電圧が変調された波形Vm1となるように制御された電圧であるか否かについて判別する(ステップS11)。つまり、制御装置25は、電力融通装置2Aから直流線路3を介して双方向DC-DCコンバータ21に入力される入力電圧が波形Vm1であるか否かについて判別する。制御装置25は、入力電圧が波形Vm1でないことを判別すると(ステップS11でNO)、制御装置25は、待機状態となる。
【0083】
一方、制御装置25は、入力電圧が波形Vm1であることを判別すると(ステップS11でYES)、制御装置25は、時点t1までに、蓄電装置23の蓄電池残量に基づき、上記回答として上記放電要求を行うか否かについて判断する(ステップS12)。具体的には、制御装置25は、上記蓄電池残量が第1の閾値(例えば、70%)以上であるか否かについて判定する。
【0084】
そして、制御装置25は、蓄電池残量が第1の閾値以上であることを確認することにより、放電要求の回答を行うと判断すると(ステップS12でYES)、制御装置25は、時点t1で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3に出力される出力電流を波形I1となるように制御する(ステップS13)。これにより、電力融通装置2Aでは、その双方向DC-DCコンバータ21に対して直流線路3から波形I1となるように制御された出力電流が上記入力電流として入力される。
【0085】
次に、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は電力融通装置2Aからの上記問合せを受領した時点t0から第1の所定時間T1以内に上記線路電圧から周波数fmの交流成分が消えたか否かについて判別する(ステップS14)。
【0086】
具体的にいえば、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に双方向DC-DCコンバータ21に入力する入力電圧が波形Vm0であるか否かについて判別する。そして、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別したときに(ステップS14でYES)、制御装置25は、電力融通装置2Aから上記問合せの期間の終了が通知されるとともに、放電要求が認められたと判断する。
【0087】
その後、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は放電要求が認められたと判断した時点t2から所定期間が経過した時点t3を判別する。そして、制御装置25は、時点t3から双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3への出力電流を所定の放電電流の波形Idとなるように当該出力電流の制御を、第2の所定時間T2の間、継続する(ステップS15)。
【0088】
そして、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は時点t3から第2の所定時間T2が経過した時点t4で、電力融通の期間が終了したと判断して、その動作を停止する(ステップS16)。
【0089】
一方、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25が時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別しなかったときに(ステップS14でNO)、制御装置25は、電力融通装置2Aから放電要求が認められなかったと判断する。そして、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は、ステップS16に進んで、その動作を停止する。
【0090】
また、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25が放電要求の回答を行わないと判別すると(ステップS12でNO)、制御装置25は蓄電装置23の蓄電池残量に基づき、上記回答として上記充電要求を行うか否かについて判断する(ステップS17)。具体的には、制御装置25は、上記蓄電池残量が第2の閾値(例えば、50%)未満であるか否かについて判定する。
【0091】
そして、制御装置25は、蓄電池残量が第2の閾値未満であることを確認することにより、充電要求の回答を行うと判断すると(ステップS17でYES)、制御装置25は、時点t2で双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3に出力される出力電流を波形I2となるように制御する(ステップS18)。これにより、電力融通装置2Aでは、その双方向DC-DCコンバータ21に対して直流線路3から波形I2となるように制御された出力電流が上記入力電流として入力される。
【0092】
次に、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は電力融通装置2Aからの上記問合せを受領した時点t0から第1の所定時間T1以内に上記線路電圧から周波数fmの交流成分が消えたか否かについて判別する(ステップS19)。
【0093】
具体的にいえば、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に双方向DC-DCコンバータ21に入力する入力電圧が波形Vm0であるか否かについて判別する。そして、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別したときに(ステップS19でYES)、制御装置25は、電力融通装置2Aから上記問合せの期間の終了が通知されるとともに、充電要求が認められたと判断する。
【0094】
その後、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は充電要求が認められたと判断した時点t2から所定期間が経過した時点t3を判別する。そして、制御装置25は、時点t3から双方向DC-DCコンバータ21から直流線路3への出力電圧を波形Vm0となるように当該出力電圧の制御を、第2の所定時間T2の間、継続する(ステップS20)。
【0095】
そして、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は時点t3から第2の所定時間T2が経過した時点t4で、電力融通の期間が終了したと判断して、その動作を停止する(ステップS21)。
【0096】
一方、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25が時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別しなかったときに(ステップS19でNO)、制御装置25は、電力融通装置2Aから充電要求が認められなかったと判断する。そして、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は、ステップS21に進んで、その動作を停止する。
【0097】
また、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25が充電要求の回答を行わないと判断すると(ステップS17でNO)、電力融通装置2Aへの回答として、電力融通の要求なしと決定する。具体的には、制御装置25は、蓄電装置23の蓄電池残量が第2の閾値以上前記第1の閾値未満であることを確認したときに、制御装置25は、電力融通装置2Aに対して、電力融通を要求しないと決定する。そして、制御装置25は、時点t1で双方向DC-DCコンバータ21を停止させることにより、電力融通装置2Aへの回答として電力融通の要求なしを通知する。
【0098】
また、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は電力融通装置2Aからの上記問合せを受領した時点t0から第1の所定時間T1以内に上記線路電圧から周波数fmの交流成分が消えたか否かについて判別する(ステップS22)。
【0099】
具体的にいえば、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に双方向DC-DCコンバータ21に入力する入力電圧が波形Vm0であるか否かについて判別する。そして、制御装置25は、時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別したときに(ステップS22でYES)、制御装置25は、電力融通装置2Aから上記問合せの期間の終了が通知されるとともに、電力融通の要求なしが認められたと判断する。
【0100】
その後、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は電力融通の要求なしが認められたと判断した時点t2から所定期間が経過した時点t3で、双方向DC-DCコンバータ21の停止を、第2の所定時間T2の間、継続して、動作を停止した状態で待機する(ステップS23)。
【0101】
一方、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25が時点t0から第1の所定時間T1以内に入力電圧が波形Vm0であることを判別しなかったときに(ステップS22でNO)、制御装置25は、電力融通装置2Aから電力融通の要求なしが認められなかったと判断する。そして、電力融通装置2B~2Nでは、制御装置25は、第2の所定時間T2の間、動作を停止した状態で待機せずに、その動作を停止する。
【0102】
以上のように、本実施形態の直流配電システム1は、直流線路3と、直流線路3に接続された複数の電力融通装置2とを備えている。電力融通装置2は、直流母線20Lと、直流母線20Lにそれぞれ接続された発電装置22、負荷24、及び蓄電装置23とを備える。また、電力融通装置2は、直流母線20Lと直流線路3とに接続された双方向DC-DCコンバータ21と、直流線路3の線路電圧を検出する電圧計20Vと、直流線路3から出入りする入出力電流を検出する電流計20Iと、制御装置25と、を備える。
【0103】
制御装置25は、マスタの電力融通装置2として機能する場合には、双方向DC-DCコンバータ21を制御して、上記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、電力融通装置2B~2Nに電力融通が必要か否かについての問合せを実行する。
【0104】
また、制御装置25は、スレーブとして機能する場合には、電圧計20Vを通じて上記問合せを受領したときに、双方向DC-DCコンバータ21を制御する。そして、制御装置25は、自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかを決定する。さらに、制御装置25は、決定した要求に応じて、直流線路3に、当該自機の要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、上記問合せに対する回答を実行する。これにより、本実施形態では、直流配電システム1における、電力融通装置2の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる。
【0105】
具体的にいえば、直流配電システムにおいて、直流線路で用いられる電線は、通常、直流配電システムに含まれる電力融通装置の定格電流値の総和(つまり、直流線路3の容量)を基に選定されている。このため、例えば、新規の電力融通装置を追加する場合に、直流線路の容量を大きくするなどのために上記電線を変更する工事を実施することが要求されることがある。
【0106】
これに対して、本実施形態の直流配電システム1では、複数の電力融通装置2のうち、いずれかの電力融通装置2がマスタとして機能し、残りの電力融通装置2はスレーブとして機能する。そして、本実施形態の直流配電システム1では、マスタの電力融通装置2が上記のようにスレーブの電力融通装置2の運転状態や直流線路3全体で融通される電力の総量などを監視して電力融通を実行できるか否かについて判断する。この結果、本実施形態の直流配電システム1では、新規の電力融通装置2を追加する場合でも、上記電線を変更する工事を行うことなく、直流配電システム1のシステム変更を柔軟に実施することができる。
【0107】
また、本実施形態では、制御装置25は、自機がマスタとして機能する場合において、電流計20Iを通じて上記回答を受領すると、受領した回答を用いて、電力融通を行うか否かの判断を実行する。さらに、制御装置25は、電力融通を行うと判断したときには、上記問合せを実行した時点t0から第1の所定時間T1以内に上記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを停止する。これにより、制御装置25は、電力融通を行うことを示す第1の判断結果をスレーブの電力融通装置2に伝達する。また、制御装置25は、電力融通を行わないと判断したときには、第1の所定時間T1を超過した時点t2以降も上記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを継続する。これにより、制御装置25は、電力融通を行わないことを示す第2の判断結果をスレーブの電力融通装置2に伝達する。これにより、本実施形態の直流配電システム1では、通信を用いた集中管理を行うことなく、電力融通を適切に行うことができる。また、本実施形態の直流配電システム1では、電力融通装置2の追加等のシステム変更の柔軟な実施を確実に行うことができる。
【0108】
また、本実施形態では、スレーブの電力融通装置2の制御装置25は、マスタの電力融通装置2からの問合せを受領したときに、蓄電装置23の蓄電率(蓄電池残量)に基づいて、上記要求を選択して回答を実行している。これにより、本実施形態では、マスタの電力融通装置2は、スレーブの電力融通装置2に対して融通を行う電力量を適切に決定することができ、直流配電システム1を適切に動作させることができる。
【0109】
また、本実施形態では、スレーブの電力融通装置2の制御装置25は、放電要求または充電要求の回答を実行するときに、上記問合せが開始された時点t0から所定の時間が経過した時点t1で当該回答の実行を開始する。これにより、マスタの電力融通装置2は、スレーブの電力融通装置2から同じタイミングで回答を受領することとなる。この結果、本実施形態では、マスタの電力融通装置2は、電力融通を行うか否かの判断を直ちに実行することが可能となる。従って、本実施形態では、直流配電システム1をより適切に動作させることができる。
【0110】
〔変形例1〕
本開示の変形例1について、図12を用いて具体的に説明する。変形例1での各電力融通装置の具体的な動作例を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0111】
本変形例1と上記実施形態1との主な相違点は、スレーブの電力融通装置2において、上記蓄電池残量(充電率)の大きさを基に、マスタの電力融通装置2からの問合せを受領した時点t0から回答を行う時点までの遅延時間を決定する。そして、決定した遅延時間に達した時点で当該回答を実行する点である。
【0112】
言い換えれば、本変形例1のスレーブの電力融通装置2では、制御装置25は、充電率の大きさに応じて、上記要求の緊急度を判別し、当該緊急度が高いほど、上記問合せを受領した時点t0から短い時間で上記回答を開始する。
【0113】
具体的にいえば、本変形例1では、図12に示すように、スレーブの電力融通装置2B~2Gの各制御装置25は、蓄電装置23の蓄電池残量(SOC)の大きさを基に、上記遅延時間としての待機時間を決定している。更に、各制御装置25は、蓄電池残量が満充電の値または放電終止の値に近いほど、待機時間を短い値に決定している。
【0114】
すなわち、図12に示すように、電力融通装置2B~2Dの各制御装置25は、SOCの値がそれぞれ90%、80%、及び70%を検知すると、例えば、1s、2s、及び3sの待機時間を決定する。また、電力融通装置2E~2Gの各制御装置25は、SOCの値がそれぞれ40%、30%、及び20%を検知すると、例えば、3s、2s、及び1sの待機時間を決定する。
【0115】
本変形例1では、マスタの電力融通装置2の制御装置25は、スレーブの電力融通装置2からの回答として放電要求及び充電要求を受領したときに、当該放電要求の要求数と当該充電要求の要求数との和の値を求める。そして、制御装置25は、求めた和の値が所定の数以上に達したことを検知した場合に、スレーブの電力融通装置2への問合せを停止する。これにより、本変形例1では、他のスレーブの電力融通装置2からの回答の受け入れが終了される。
【0116】
具体的には、図12に示すように、マスタの電力融通装置2の制御装置25は、要求確認の開始を行った時点t0から1秒の待機時間後に電力融通装置2B及び2Gからの放電要求及び充電要求を受領する。更に、制御装置25は、1秒の待機時間が経過すると、電力融通装置2C及び2Fからの放電要求及び充電要求を受領する。
【0117】
そして、制御装置25は、放電要求の要求数と充電要求の要求数との和の値を求め、求めた和の値が所定の数以上に達したことを検知した場合に、残りの電力融通装置2D及び2Eからの回答の受け入れを終了する。この結果、直流配電システム1では、電力融通装置2D及び2Eの各制御装置25は、1秒の待機時間を経過することなく、双方向DC-DCコンバータ21を停止することによって停止状態で維持される。一方、電力融通装置2B、2C、2F、及び2Gの間で電力融通が行われる。
【0118】
<変形例1の動作例>
次に、図13も参照して、本変形例1での動作例について具体的に説明する。図13は、変形例1のスレーブの電力融通装置2の具体的な動作例を示すフローチャートである。尚、以下の説明では、上記実施形態1のスレーブの電力融通装置2とは異なる動作について主に説明する。
【0119】
図13のステップS31に示すように、制御装置25は、放電要求を行うと決定した後に、上記のように待機時間TDを決定して、待機時間TDの間、マスタの電力融通装置2への回答を行わない。
【0120】
その後、制御装置25は、上記線路電圧から周波数fmの交流成分が消えたか否かについて判別する(ステップS32)。そして、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21への入力電圧が波形Vm0であることを検知することにより、周波数fmの交流成分が消えたと判別する(ステップS32でYES)。そして、制御装置25は、電力融通装置2Aから上記問合せの期間の終了が通知されるとともに、放電要求が認められたと判断する。そして、制御装置25は、実施形態1と同様に、ステップS13に進む。
【0121】
一方、制御装置25が、周波数fmの交流成分が消えたことを判別しなかったときに(ステップS32でNO)、制御装置25は、電力融通装置2Aから放電要求が認められなかったと判断する。そして、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21を停止して、ステップS23に進む。
【0122】
図13のステップS33に示すように、制御装置25は、充電要求を行うと決定した後に、上記のように待機時間TDを決定して、待機時間TDの間、マスタの電力融通装置2への回答を行わない。
【0123】
その後、制御装置25は、上記線路電圧から周波数fmの交流成分が消えたか否かについて判別する(ステップS34)。そして、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21への入力電圧が波形Vm0であることを検知することにより、周波数fmの交流成分が消えたと判別する(ステップS32でYES)。そして、制御装置25は、電力融通装置2Aから上記問合せの期間の終了が通知されるとともに、充電要求が認められたと判断する。そして、制御装置25は、実施形態1と同様に、ステップS13に進む。
【0124】
一方、制御装置25が、周波数fmの交流成分が消えたことを判別しなかったときに(ステップS32でNO)、制御装置25は、電力融通装置2Aから充電要求が認められなかったと判断する。そして、制御装置25は、双方向DC-DCコンバータ21を停止して、ステップS23に進む。
【0125】
以上のように、本変形例1では、スレーブの電力融通装置2において、制御装置25は充電率の大きさに応じて、要求の緊急度を判別し、緊急度が高いほど、問合せを受領した時点t0から短い時間で回答を開始している。これにより、マスタの電力融通装置2は、充電率の大きさに余剰または枯渇のリスクが高いスレーブの電力融通装置2を優先的に電力融通することができ、直流配電システム1をより適切に動作させることができる。
【0126】
また、本変形例1では、制御装置25は、放電要求の要求数と充電要求の要求数との和の値を求める。そして、制御装置25は、求めた和の値が所定の数以上に達したことを検知した場合に、上記問合せを停止して、残りの電力融通装置2からの回答の受け入れを終了する。これにより、本変形例1では、スレーブの電力融通装置2において、要求の緊急度が判別された場合でも、マスタの電力融通装置2は、電力融通の可否をより適切に定めることができ、直流配電システム1をより適切に動作させることができる。
【0127】
尚、上記の説明以外に、マスタの電力融通装置2において、制御装置25は、受領した複数の回答を基に直流線路3で融通される融通電力の大きさを求める。そして、制御装置25は、求めた融通電力の大きさが直流線路3の容量に達したことを検出したときに、上記問合せを停止して、残りの電力融通装置2からの回答の受け入れを終了してもよい。また、制御装置25は、受領した複数の回答を基に電力の提供を行う要求をしたスレーブの電力融通装置2の台数と電力の供給を受ける要求をしたスレーブの電力融通装置2の台数との差の値を求める。そして、制御装置25は、求めた差の値が所定の台数以上であるときに、上記問合せを停止して、残りの電力融通装置2からの回答の受け入れを終了してもよい。
【0128】
〔変形例2〕
本開示の変形例2について、具体的に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0129】
本変形例2と上記実施形態1との主な相違点は、スレーブの電力融通装置2において、制御装置25は放電要求または充電要求で要求する要求電力の大きさに応じて、出力電流の大きさを定めて、回答を実行する点である。
【0130】
本変形例2では、スレーブの電力融通装置2は、マスタの電力融通装置2への放電要求または充電要求を実行する際に,融通電力に応じて出力電流を変化させるように構成されている。
【0131】
具体的にいえば、スレーブの電力融通装置2の融通電力の基準電力が、例えば、1kWである場合を説明する。この場合、電力融通装置2が2kWの放電要求を実行するときは、制御装置25は双方向DC-DCコンバータ21からの出力電流が波形I1の2倍の波形2I1となるように制御する。
【0132】
また、電力融通装置2が2kWの充電要求を実行するときは、制御装置25は双方向DC-DCコンバータ21からの出力電流が波形I2の2倍の波形2I2となるように制御する。これにより、スレーブの電力融通装置2は、マスタの電力融通装置2に対して、2台分の放電要求または充電要求の回答を実行することができる。
【0133】
これにより、本変形例2では、スレーブの各電力融通装置2がマスタの電力融通装置2に対して回答を行う際に、融通を要求する要求電力に応じて出力電流を変化させることとなり、スレーブの電力融通装置2毎の電力容量に合わせた電力融通が可能となる。
【0134】
〔ソフトウェアによる実現例〕
電力融通装置2の各機能ブロック(特に、制御装置25)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0135】
後者の場合、電力融通装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。
【0136】
上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0137】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る電力融通装置は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置であって、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、自機である前記電力融通装置がマスタとして機能する場合には、前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行し、前記自機がスレーブとして機能する場合には、前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行する。
【0138】
上記構成によれば、直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置を提供することができる。
【0139】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記直流線路から前記自機に出入りする入出力電流を検出する電流検出装置を、さらに備え、前記制御装置は、前記自機がマスタとして機能する場合において、前記電流検出装置を通じて前記回答を受領すると、受領した前記回答を用いて、電力融通を行うか否かの判断を実行し、さらに、電力融通を行うと判断したときには、前記問合せを実行した時点から第1の所定時間以内に前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを停止することにより、電力融通を行うことを示す第1の判断結果を前記他機に伝達し、電力融通を行わないと判断したときには、前記第1の所定時間を超過した時点以降も前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることを継続することにより、電力融通を行わないことを示す第2の判断結果を前記他機に伝達してもよい。
【0140】
上記構成によれば、制御装置は、自機がマスタとして機能する場合において、上記回答を用いて、電力融通を行うか否かの判断を実行する。さらに、電力融通を行うと判断したときには、第1の判断結果を他機に伝達し、電力融通を行わないと判断したときには、第1の判断結果とは異なる動作を用いて、第2の判断結果を他機に伝達する。これにより、電力融通装置の追加等のシステム変更の柔軟な実施を確実に行うことができる。
【0141】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記入出力電流の周波数分析を行って前記直流線路に接続された各々の前記要求について固有に定められた周波数の変調成分の大きさを検出することにより、各々の前記他機からの回答を受領してもよい。
【0142】
上記構成によれば、制御装置は、入出力電流の周波数分析を行って周波数の変調成分の大きさを検出することにより、各々の他機からの回答の内容を容易に判別することができる。この結果、マスタの電力融通装置は、直流配電システムをより適切に動作させることができる。
【0143】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記判断を実行するときに、前記他機からの要求に従って電力融通を行う場合に前記直流線路で融通される融通電力の大きさを求め、求めた融通電力の大きさが前記直流線路の容量よりも大きいときに、電力融通を行わないと判断してもよい。
【0144】
上記構成によれば、マスタの電力融通装置は、電力融通の可否を適切に定めることができ、直流配電システムを適切に動作させることができる。
【0145】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記判断を実行するときに、複数の前記回答を基に判別した、電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数との差の値を求め、求めた差の値が所定の台数以上であるときに、電力融通を行わないと判断してもよい。
【0146】
上記構成によれば、マスタの電力融通装置は、融通電力に対する直流線路での回路損失の比率が大きくなるか否かについて判別することができる。この結果、マスタの電力融通装置は、電力融通の可否を適切に定めることができ、直流配電システムを適切に動作させることができる。
【0147】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、前記電圧検出装置を通じて前記第1の判断結果を受領すると、前記自機が電力の提供を行う要求をしたときには、前記DC-DCコンバータを制御して、第2の所定時間の間、前記直流線路に定められた大きさの出力電流を出力し、前記自機が電力の供給を受ける要求をした場合には、前記DC-DCコンバータを制御して、前記第2の所定時間の間、前記直流線路から定められた大きさの入力電流を受電し、前記自機が電力の授受を行わないことの要求をした場合には、前記DC-DCコンバータを停止し、
前記電圧検出装置を通じて前記第2の判断結果を受領すると、前記DC-DCコンバータを停止してもよい。
【0148】
上記構成によれば、スレーブの電力融通装置は、電力の提供を行う要求が認められると、第2の所定時間の間、直流線路に定められた大きさの出力電流を出力する。また、スレーブの電力融通装置は、電力の供給を受ける要求が認められると、第2の所定時間の間、直流線路から定められた大きさの入力電流を受電する。また、スレーブの電力融通装置は、電力の授受を行わないことの要求が認められると、DC-DCコンバータを停止する。更に、スレーブの電力融通装置は、電力融通を行わないことが伝達されると、DC-DCコンバータを停止する。これにより、電力融通の実施有無及び実施内容に応じて、スレーブの電力融通装置が適切に動作することができ、直流配電システムをも適切に動作させることができる。
【0149】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、前記蓄電装置の充電率に基づいて、前記要求を選択してもよい。
【0150】
上記構成によれば、制御装置は、マスタの電力融通装置に対して蓄電装置の充電率を基に要求を選択して回答を行うので、マスタの電力融通装置は、各々の他機に対して融通を行う電力量を適切に決定することができ、直流配電システムを適切に動作させることができる。
【0151】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、マスタによる前記問合せが開始された時点から所定の時間が経過した時点で前記回答の実行を開始してもよい。
【0152】
上記構成によれば、マスタの電力融通装置は、各々の他機から同じタイミングで回答を受領することとなる。この結果、マスタの電力融通装置は、電力融通を行うか否かの判断を直ちに実行することが可能となる。従って、直流配電システムをより適切に動作させることができる。
【0153】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記充電率の大きさに応じて、前記要求の緊急度を判別し、前記緊急度が高いほど、前記問合せを受領した時点から短い時間で前記回答を開始してもよい。
【0154】
上記構成によれば、マスタの電力融通装置は、充電率の大きさに余剰または枯渇のリスクが高いスレーブの電力融通装置を優先的に電力融通することができ、直流配電システムをより適切に動作させることができる。
【0155】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記自機がマスタとして機能する場合において、前記回答を受領すると、受領した複数の前記回答を基に判別した、電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数と和の値を求め、求めた和の値が一定台数以上に達したことを検出したときに、または受領した複数の前記回答を基に前記直流線路で融通される融通電力の大きさを求め、求めた融通電力の大きさが前記直流線路の容量に達したことを検出したときに、または受領した複数の前記回答を基に電力の提供を行う要求をした前記他機の台数と電力の供給を受ける要求をした前記他機の台数との差の値を求め、求めた差の値が所定の台数以上であるときに、前記問合せを停止してもよい。
【0156】
上記構成によれば、マスタの電力融通装置は、各々の他機において要求の緊急度が判別された場合でも、電力融通の可否をより適切に定めることができ、直流配電システムをより適切に動作させることができる。
【0157】
上記一側面に係る電力融通装置において、前記制御装置は、前記自機がスレーブとして機能する場合において、前記回答を実行するときに、電力の提供を行うことの要求をする場合の要求電力の大きさ、または電力の供給を受ける要求をする場合の要求電力の大きさに応じて、前記出力電流の変調成分の大きさを定めてもよい。
【0158】
上記構成によれば、各々の各他機が、マスタの電力融通装置に対して回答を行う際に、融通を要求する要求電力に応じて出力電流を変化させることとなり、他機毎の電力容量に合わせた電力融通が可能となる。
【0159】
また、本開示の一側面に係る直流配電システムは、直流線路と、前記直流線路に接続された複数の電力融通装置とを備え、前記複数の電力融通装置の相互間で電力を融通可能な直流配電システムであって、前記複数の各電力融通装置には、上記いずれかの電力融通装置が用いられている。
【0160】
上記構成によれば、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる直流配電システムを提供することができる。
【0161】
また、本開示の一側面に係る電力融通装置の制御方法は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記DC-DCコンバータを制御して、前記線路電圧の大きさに所定の変調を加えることにより、前記他機に電力融通が必要か否かについての問合せを実行するステップと、を備える。
【0162】
上記構成によれば、直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置の制御方法を提供することができる。
【0163】
また、本開示の一側面に係る電力融通装置の制御方法は、直流線路に接続された他の電力融通装置である他機との間で電力を融通可能な電力融通装置の制御方法であって、前記電力融通装置は、直流母線と、前記直流母線にそれぞれ接続された発電装置、負荷、及び蓄電装置と、前記直流母線と前記直流線路とに接続されたDC-DCコンバータと、前記直流線路の線路電圧を検出する電圧検出装置と、制御装置と、を備え、前記電圧検出装置を通じて前記問合せを受領したときに、前記DC-DCコンバータを制御して、前記自機が、電力の提供を行うか、電力の供給を受けるか、電力の授受を行わないか、のうちのいずれの要求を行うかに応じて、前記直流線路に、前記自機の前記要求について固有に定められた周波数で大きさが変調された出力電流を出力するか、または、出力電流を出力しないことにより、前記問合せに対する回答を実行するステップ、を備える。
【0164】
上記構成によれば、直流配電システムにおける、電力融通装置の追加等のシステム変更を柔軟に実施することができる電力融通装置の制御方法を提供することができる。
【0165】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
1 直流配電システム
2、2A~2N 電力融通装置
3 直流線路
20V 電圧計(電圧検出装置)
20I 電流計(電流検出装置)
20L 直流母線
21 双方向DC-DCコンバータ
22 発電装置
23 蓄電装置
24 負荷
25 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13