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特開2023-100384法肩接近警報装置、法肩接近警報プログラム及び法肩接近警報システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100384
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】法肩接近警報装置、法肩接近警報プログラム及び法肩接近警報システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20230711BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20230711BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230711BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E02F9/24 B
G08B21/24
G08B25/10 D
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001016
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522008595
【氏名又は名称】株式会社山陽測器
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 実稚久
(72)【発明者】
【氏名】荒井 一範
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太
(72)【発明者】
【氏名】前田 正敏
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 彰洋
【テーマコード(参考)】
2D015
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB03
2D015HA03
2D015HB05
5C086AA14
5C086AA22
5C086AA52
5C086AA53
5C086BA13
5C086BA22
5C086CA25
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087DD02
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE11
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG06
5C087GG17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】法肩に対する作業機の接近を高精度に検出し、適切な法肩接近警報を行う法肩接近警報装置を提供する。
【解決手段】法肩接近警報システム1において、地山掘削作業において作業機20の法肩への接近を警報する法肩接近警報装置100は、掘削する地山の地形データから切り出された標高毎の断面データを記憶し、作業機20の位置及び標高を検出し、作業機20の現在の標高に対応する断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定し、法肩に対する作業機20の接近に応じて警報を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報装置であって、
掘削する地山の地形データから切り出された標高毎の断面データを記憶する断面データ記憶手段と、
前記作業機の位置及び標高を検出する位置・標高検出手段と、
前記作業機の現在の標高に対応する前記断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定する法肩特定手段と、
前記法肩に対する前記作業機の接近に応じて警報を行う法肩接近警報手段と、を備えることを特徴とする法肩接近警報装置。
【請求項2】
地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報プログラムであって、
コンピュータを請求項1に記載の法肩接近警報装置として動作させることを特徴とする法肩接近警報プログラム。
【請求項3】
地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報システムであって、
掘削する地山の地形データから任意の標高の断面データを切り出し可能な断面データ切り出し手段と、
前記作業機の位置及び標高を検出する位置・標高検出手段と、
前記作業機の現在の標高に対応する前記断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定する法肩特定手段と、
前記法肩に対する前記作業機の接近に応じて警報を行う法肩接近警報手段と、を備えることを特徴とする法肩接近警報システム。
【請求項4】
前記地形データは、3つの座標データで特定される三角形の組み合わせで表現され、
前記断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と前記三角形との交点座標を算出し、該交点座標をメッシュ上に展開し、交点座標が存在するメッシュを繋げて前記断面データとすることを特徴とする請求項3に記載の法肩接近警報システム。
【請求項5】
前記断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と1つの前記三角形との交点が2つの場合、2つの交点間の距離を求め、交点間距離が前記メッシュのサイズよりも小さいときは、2つの交点の交点座標を前記メッシュ上に展開し、交点間距離が前記メッシュのサイズよりも大きいときは、2つの交点の交点座標と、2つの交点間を補完する補完点座標を前記メッシュ上に展開することを特徴とする請求項4に記載の法肩接近警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報装置、法肩接近警報プログラム及び法肩接近警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザ、油圧ショベルなどの作業機を用いた土木作業では、危険エリアを特定し、危険エリアへの進入を防止する対策が必要となる場合がある。このような対策としては、図11に示すように、危険エリアと作業エリアとの境界に所定間隔で鉄ピン501を打ち込み、鉄ピン501間にトラロープ502を張設して危険エリアを明示する方法(第1の方法)や、地図データなどに基づいて危険エリアを特定し、作業機の危険エリアへの接近に応じて警報を行う方法(第2の方法)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-224625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地山を掘削する地山掘削作業では、作業の進捗に応じて危険エリア(法肩位置)が変化するため、第2の方法を適用することが難しい。また、第1の方法は、多くの地山掘削現場で実施されているが、法肩位置が変化する毎に、人力で鉄ピンやトラロープを移設する必要があるため、施工費の上昇や工事期間の長期化が課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報装置であって、掘削する地山の地形データから切り出された標高毎の断面データを記憶する断面データ記憶手段と、前記作業機の位置及び標高を検出する位置・標高検出手段と、前記作業機の現在の標高に対応する前記断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定する法肩特定手段と、前記法肩に対する前記作業機の接近に応じて警報を行う法肩接近警報手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報プログラムであって、コンピュータを請求項1に記載の法肩接近警報装置として動作させることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、地山掘削作業において作業機の法肩への接近を警報する法肩接近警報システムであって、掘削する地山の地形データから任意の標高の断面データを切り出し可能な断面データ切り出し手段と、前記作業機の位置及び標高を検出する位置・標高検出手段と、前記作業機の現在の標高に対応する前記断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定する法肩特定手段と、前記法肩に対する前記作業機の接近に応じて警報を行う法肩接近警報手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の法肩接近警報システムであって、前記地形データは、3つの座標データで特定される三角形の組み合わせで表現され、前記断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と前記三角形との交点座標を算出し、該交点座標をメッシュ上に展開し、交点座標が存在するメッシュを繋げて前記断面データとすることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の法肩接近警報システムであって、前記断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と1つの前記三角形との交点が2つの場合、2つの交点間の距離を求め、交点間距離が前記メッシュのサイズよりも小さいときは、2つの交点の交点座標を前記メッシュ上に展開し、交点間距離が前記メッシュのサイズよりも大きいときは、2つの交点の交点座標と、2つの交点間を補完する補完点座標を前記メッシュ上に展開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、作業機の現在の標高に対応する断面データに基づいて、掘削している地山の法肩を特定するので、法肩に対する作業機の接近を高精度に検出し、適切な法肩接近警報を行うことが可能になる。その結果、鉄ピンやトラロープによる法肩位置の明示が不要となり、施工費の削減や工事期間の短縮も可能になる。
また、請求項2の発明によれば、スマートフォンなどのコンピュータを利用して適切な法肩接近警報を行うことが可能になる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果が得られる。また、掘削する地山の地形データから任意の標高の断面データを切り出し可能な断面データ切り出し手段を備えるので、地山の地形データを入手すれば、本発明の法肩接近警報をワンストップで実施することが可能になる。
また、請求項4の発明によれば、地形データは、3つの座標データで特定される三角形の組み合わせで表現され、断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と三角形との交点座標を算出し、該交点座標をメッシュ上に展開し、交点座標が存在するメッシュを繋げて断面データとするので、簡易的な処理で地形データから断面データを切り出すことができ、その結果、パーソナルコンピュータ程度の処理能力で断面データを算出できるだけでなく、スマートフォン程度の記憶容量で断面データを記憶することが可能になる。
また、請求項5の発明によれば、断面データ切り出し手段は、任意の標高の水平面と1つの三角形との交点が2つの場合、2つの交点間の距離を求め、交点間距離がメッシュのサイズよりも小さいときは、2つの交点の交点座標をメッシュ上に展開し、交点間距離がメッシュのサイズよりも大きいときは、2つの交点の交点座標と、2つの交点間を補完する補完点座標をメッシュ上に展開するので、メッシュ上に連続した断面データを展開し、法肩位置を精度良く特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る法肩接近警報システム及び法肩接近警報装置が適用される地山掘削作業の説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る法肩接近警報システム及び法肩接近警報装置の構成を示す図である。
図3】地形データの例を示す図である。
図4】地形データから断面データを切り出すための第1工程を示す図である。
図5】(a)は地形データから断面データを切り出すための第2工程を示す図、(b)は第3工程を示す図である。
図6】地形データから断面データを切り出すための第4工程を示す図である。
図7】地形データから断面データを切り出すための第5工程を示す図である。
図8】断面データの表示例を示す図である。
図9】作業機、法肩及び接近領域を示す図である。
図10】法肩接近警報装置の制御手順を示すフローチャートである。
図11】従来の危険エリア明示方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る法肩接近警報システム1及び法肩接近警報装置100は、地山10の掘削作業において作業機20の法肩11への接近を警報する。なお、法肩11とは、法面12の最上端を意味する。
【0009】
図2に示すように、法肩接近警報システム1は、空撮により地山10の3次元の地形データを取得するドローン200と、地形データから標高毎(例えば、1m単位)の断面データを切り出す断面データ切り出し装置300と、法肩11に対する作業機20の接近に応じて警報を行う法肩接近警報装置100と、を備える。なお、本実施形態では、ドローン200を用いて地山10の地形データを取得するが、ドローン200を使用しない測量方法で取得した地形データを用いてもよい。
【0010】
断面データ切り出し装置300は、例えば、専用ソフトをインストールしたパーソナルコンピュータで構成される。元となる地形は、例えば、図3に示すように、LandXML形式のTIN(3次元の頂点をもつ三角形の集まり)データで構成されている。断面を作成する高さ(標高)は事前に決定する。例えば、1m毎であれば、標高で500m、501m…のように断面を切り出す。スマートフォンで扱うデータ量の制限(描画速度や衝突判定時間)から、できあがる断面は事前にメッシュ化されたものとする。任意の大きさのメッシュサイズを指定する。
【0011】
具体的な手順を下記に示す。
1.LandXML形式のファイルからTINデータを読み込み、三角形のリストを作成する。
2.三角形のリストの最小高さから最大高さまでを指定ピッチ毎に処理を行う。
(ア)三角形リストの中で最小の高さを求め、その水平面と交差もしくは接する三角形を探す。
(イ)求まった三角形と水平面の交点(1点または2点)を求める。
(ウ)求まった点が1点のときは、交点リストに追加する。
(エ)求まった点が2点のときは、2点間の距離を求め、その距離がメッシュサイズ未満の時は2点を交点リストに追加する。メッシュサイズ以上の時は、2点と、2点間をメッシュサイズで補完した点を交点リストに追加する。
(オ)交点リストをメッシュに展開する。
(カ)全てのメッシュに対して、隣接するメッシュがあるときそれらをグループ化する。隣接とは、任意のメッシュの周囲8方向のどこかにメッシュが存在するときのこと。
(キ)ア~カを指定ピッチ分高さを上げて最大高さを超えるまで繰り返す。
3.求めたグループ毎にファイルデータベースに登録する。
4.作られたデータベースファイルを法肩接近警報装置100の記憶領域にコピーすることで、法肩接近警報装置100は、グループ毎に連続した線分として描画し、法肩を示す境界線を表示することが可能になる。また、法肩接近警報装置100は、作業機20の位置と境界線との距離を常時演算することで、作業機20の法肩11への接近を警報することが可能になる。
【0012】
つぎに、断面データの演算例について、図4図7を参照して説明する。
【0013】
地形データが図4に示すような三角形で構成されている場合、ある高さの水平面で断面を作成した時を考える。つまり、断面の高さに交差する、もしくは接する三角形だけを抽出する。
【0014】
つぎに、図5の(a)に示すように、対象となった三角形と断面との交点P1を求める。ここで、図5の(c)に示すように、交点P1間の距離W1がメッシュサイズW2より広いときは、図5の(d)に示すように、メッシュサイズW2より狭くなるように点P2を補完する。図5の(b)に示すように、メッシュサイズW2より交点P1間が短い場合は、2つの交点P1をリストに登録し、メッシュサイズW2より交点P1間の距離W1が長い場合は、2つの交点P1と補完した点P2をリストに登録する。
【0015】
つぎに、図6の左側に示すように、登録された交点P1、補完点P2をメッシュMに展開する。図6の右側に示すように、交点P1又は補完点P2が存在していたメッシュMだけを有効とする。隣接する有効なメッシュMがあるときは、それを一つのグループGとして登録する。図7に示す例では、3つのグループG1~G3が登録される。法肩接近警報装置100側では、メッシュMの中心座標をグループG1~G3毎に連続した線分で結び、境界線として描画することで、断面のエッジとして表現することができる(図7の右側参照)。このエッジを危険区域の境界である法肩11と認識し、法肩11に接近した場合に警報を発することが可能になる。
【0016】
法肩接近警報装置100は、例えば、専用アプリ(法肩接近警報プログラム)をインストールしたスマートフォンで構成される。法肩接近警報装置100は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、掘削する地山10の地形データから切り出された標高毎の断面データを記憶する断面データ記憶手段と、作業機20の位置及び標高を検出する位置・標高検出手段と、作業機20の現在の標高に対応する断面データに基づいて、掘削している地山10の法肩11を特定する法肩特定手段と、法肩11に対する作業機20の接近に応じて警報を行う法肩接近警報手段と、を備える。なお、位置・標高検出手段は、作業機20に設けた測位システム(GNSS)から位置情報や標高情報を取得してもよいし、スマートフォンの測位機能から位置情報や標高情報を取得してもよい。
【0017】
図8及び図9は、法肩接近警報装置100の表示画面を示しており、この表示画面には、法肩11の位置A、作業機20の現在位置B、危険区域幅Cなどが画像表示されるとともに、GNSSとの接続状況D、作業機20の現在の標高E、現在設定されている危険区域幅Cなどが文字表示される。また、危険区域幅表示部の下方には、上向き三角ボタンUBと下向き三角ボタンDBが表示され、そのタッチ操作によって危険区域幅Cを変更できるようになっている。
【0018】
つぎに、上記のような機能構成を実現する法肩接近警報装置100の制御手順について、図10を参照して説明する。
【0019】
図10に示すように、法肩接近警報装置100は、現在設定されている危険区域幅Cを読み込んだ後(S1)、作業機20の現在の位置情報及び標高情報を取得するとともに(S2)、現在の標高に対応する断面データを読み込む(S3)。つぎに、法肩接近警報装置100は、読み込んだ断面データから法肩11の位置を特定するとともに(S4)、作業機20から法肩11までの距離L1を算出し(S5)、距離L1を危険区域幅Cと比較する(S6)。法肩接近警報装置100は、距離L1が危険区域幅Cよりも小さいと判断した場合、所定の警報(ブザー音、警報音声、警報表示など)を実行する(S7)。
【0020】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、地山掘削作業において作業機20の法肩11への接近を警報する法肩接近警報システム1であって、掘削する地山の地形データから任意の標高の断面データを切り出し、作業機20の位置及び標高を検出し、作業機20の現在の標高に対応する断面データに基づいて、掘削している地山の法肩11を特定し、法肩11に対する作業機20の接近に応じて警報を行うので、法肩11に対する作業機20の接近を高精度に検出し、適切な法肩接近警報を行うことが可能になる。その結果、鉄ピンやトラロープによる法肩位置の明示が不要となり、施工費の削減や工事期間の短縮も可能になる。また、掘削する地山の地形データから任意の標高の断面データを切り出すので、地山の地形データを入手すれば、本発明の法肩接近警報をワンストップで実施することが可能になる。
【0021】
また、地形データは、3つの座標データで特定される三角形の組み合わせで表現されており、任意の標高の水平面と三角形との交点座標を算出し、該交点座標をメッシュ上に展開し、交点座標が存在するメッシュを繋げて断面データとするので、簡易的な処理で地形データから断面データを切り出すことができ、その結果、パーソナルコンピュータ程度の処理能力で断面データを算出できるだけでなく、スマートフォン程度の記憶容量で断面データを記憶することが可能になる。
【0022】
また、任意の標高の水平面と1つの三角形との交点が2つの場合は、2つの交点間の距離を求め、交点間距離がメッシュのサイズよりも小さいときは、2つの交点の交点座標をメッシュ上に展開し、交点間距離がメッシュのサイズよりも大きいときは、2つの交点の交点座標と、2つの交点間を補完する補完点座標をメッシュ上に展開するので、メッシュ上に連続した断面データを展開し、法肩位置を精度良く特定することが可能になる。
【符号の説明】
【0023】
1 法肩接近警報システム
10 地山
11 法肩
12 法面
20 作業機
100 法肩接近警報装置
200 ドローン
300 断面データ切り出し装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11