(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100393
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】仕切体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20230711BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20230711BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04B1/94 W
E04B1/94 V
E04B2/74 551Z
E04B1/80 100P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001044
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】竹永 伸明
(72)【発明者】
【氏名】松原 道彦
(72)【発明者】
【氏名】門川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小川 政彦
(72)【発明者】
【氏名】村松 克己
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 剛
(72)【発明者】
【氏名】川島 幸哲
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊彦
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DE01
2E001HB02
2E001HB04
2E001HF03
(57)【要約】
【課題】施工性を高めることが可能となる、仕切体を提供すること。
【解決手段】仕切体10は、構造物1の空間を仕切るためのものであって、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材20と、第1仕切材20の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材30であり、断熱性及び耐火性を有し、且つ第1仕切材20を支持する第2仕切材30と、を備え、第1仕切材20を、第2仕切材30よりも構造物1の内側に配置した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の空間を仕切るための仕切体であって、
断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材と、
前記第1仕切材の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材であり、断熱性又は/及び耐火性を有し、且つ前記第1仕切材を支持する第2仕切材と、
を備える仕切体。
【請求項2】
前記第2仕切材の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材を備える、
請求項1に記載の仕切体。
【請求項3】
前記第3仕切材は、鉄板又はアルミ複合板である、
請求項2に記載の仕切体。
【請求項4】
前記第1仕切材の外側表面を覆うように設けられる遮湿材を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の仕切体。
【請求項5】
前記第1仕切材を、前記第2仕切材よりも前記構造物の内側に配置した、
請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の空間を仕切る壁材の耐火性又は/及び断熱性を高める技術の一つとして、壁材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付けることにより、断熱発泡層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、上述したように、壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付けるので、ポリウレタン系樹脂が壁部材の周辺に飛散しやすいことから、断熱発泡層の層厚にバラつきが生じやすく、且つ作業環境を悪化させるおそれがあった。また、ポリウレタン系樹脂の吹付作業の際に一定の作業空間が必要になることから、当該作業空間を十分に確保できない場合には、当該吹付作業に多大な労力が生じるおそれがあった。以上のことから、壁材の如き仕切体の施工性の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工性を高めることが可能となる、仕切体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の仕切体は、構造物の空間を仕切るための仕切体であって、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材と、前記第1仕切材の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材であり、断熱性又は/及び耐火性を有し、且つ前記第1仕切材を支持する第2仕切材と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の仕切体は、請求項1に記載の仕切体において、前記第2仕切材の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材を備える。
【0008】
請求項3に記載の仕切体は、請求項2に記載の仕切体において、前記第3仕切材は、鉄板又はアルミ複合板である。
【0009】
請求項4に記載の仕切体は、請求項1から3のいずれか一項に記載の仕切体において、前記第1仕切材の外側表面を覆うように設けられる遮湿材を備える。
【0010】
請求項5に記載の仕切体は、請求項1から4のいずれか一項に記載の仕切体において、前記第1仕切材を、前記第2仕切材よりも前記構造物の内側に配置した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の仕切体によれば、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材と、第1仕切材の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材であり、断熱性又は/及び耐火性を有し、且つ第1仕切材を支持する第2仕切材と、を備えるので、従来技術(壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付ける技術)に比べて、断熱性及び耐火性を有する仕切体の施工の際に、環境負荷を低減しながら施工効率及び施工精度を高めることができ、仕切体の施工性を高めることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の仕切体によれば、第2仕切材の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材を備えるので、第3仕切材によって仕切体の耐火性及び意匠性を高めることができ、仕切体の使用性を高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の仕切体によれば、第3仕切材が、鉄板又はアルミ複合板であるので、第3仕切材を比較的容易に製造でき、第3仕切材の製造性を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の仕切体によれば、第1仕切材の外側表面を覆うように設けられる遮湿材を備えるので、仕切体の遮湿性を高めることができ、仕切体の使用性を一層高めることができる。
【0015】
請求項5に記載の仕切体によれば、第1仕切材を、第2仕切材よりも構造物の内側に配置したので、第1仕切材を、第2仕切材よりも構造物の外側に配置した場合に比べて、構造物における仕切体よりも内側の空間の断熱性を高めることができると共に、構造物の外側から内側への火炎の流入を抑制でき、仕切体の使用性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る構造物を示す概要図である(一部断面図で示す)。
【
図4】実施の形態2に係る仕切体を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る仕切体の変形例を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【
図6】実施の形態2に係る仕切体の変形例を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る仕切体の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、構造物の空間を仕切るための仕切体に関する。
【0019】
ここで、「構造物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、オフィスビル、商業施設、公共施設、及びアパートやマンションの如き集合住宅等の建築構造物や、トンネル等の土木構造物を含む概念であるが、実施の形態では、オフィスビルとして説明する。
【0020】
また、「仕切体」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、構造物の躯体(一例として、壁材、天井材等)、構造物の躯体に取り付けられる内装材(一例として、バックパネル材等)、及び外装材(一例として、フロントパネル材等)を含む概念であるが、実施の形態では、外壁用(具体的には、カーテンウォール用)のバックパネル材として説明する。
【0021】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0022】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る仕切体について説明する。この実施の形態1は、後述の第1仕切材及び後述の第2仕切材を備える形態である。
【0023】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る仕切体が適用される構造物(具体的には、オフィスビル)の構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係る構造物を示す概要図である(一部断面図で示す)。
図2は、仕切体を示す斜視図である。
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。
【0025】
ここで、
図2のX方向を構造物の左右方向又は幅方向(-X方向を構造物の左方向、+X方向を構造物の右方向)、
図1のY方向を構造物の前後方向(+Y方向を構造物の前方向、-Y方向を構造物の後方向)、
図1のZ方向を構造物の上下方向(+Z方向を構造物の上方向、-Z方向を構造物の下方向)と称する。
【0026】
構造物1は、例えば鉄骨造(又は鉄筋コンクリート造)の建築構造物(具体的には、建設中の複数の階層を有するオフィスビル)であり、
図1に示すように、床材2、柱材(図示省略)、梁材3、壁材4、耐火材5、及び仕切体10を備えている。
【0027】
(構成-床材)
床材2は、構造物1の階層を構成するものであり、相互に間隔を隔てて上下方向に向けて複数並設される。
【0028】
(構成-柱材)
柱材2は、床材2を支持するものであり、床材2同士の相互間(すなわち、構造物1の各階層の空間)に複数設けられる。
【0029】
(構成-梁材)
梁材3は、床材2を支持するものであり、各床材2の下面と当接可能な位置に複数設けられたり、又は同一階の床材2同士の相互間に設けられる。
【0030】
(構成-壁材)
壁材4は、床材2同士の相互間を仕切るためのものであり、床材2同士の相互間に複数設けられる。
【0031】
また、これら複数の壁材4は、耐力壁材(図示省略)及び非耐力壁材4aを備えている。
【0032】
このうち、耐力壁材は、構造物1の自重や外力を支持するための壁材である。この耐力壁材は、実施の形態1では、内壁として機能するように構成されており、例えば公知の耐力壁用の壁材(一例として、鉄筋コンクリート製の壁材等)で構成され、構造物1の内側に立設されている。
【0033】
また、非耐力壁材4aは、構造物1の自重を直接負担しない壁材である。この非耐力壁材4aは、実施の形態1では、外壁として機能するように構成されており、具体的には、例えば公知の非耐力壁用の壁材(一例として、アルミカーテンウォール、ガラスカーテンウォール等)で構成され、
図1に示すように、構造物1の外縁に立設されている。
【0034】
(構成-耐火材)
耐火材5は、構造物1の躯体1a(具体的には、床材2、柱材、梁材3、壁材4等)の耐火性を高めるための部材である。この耐火材5は、例えば公知の耐火被覆材(一例として、巻付けタイプの耐火被覆材(例えば、マキベエ(登録商標))、又は吹付タイプの耐火被覆材)を用いて構成され、
図1に示すように、床材2、柱材、梁材3、壁材4、又は/及び躯体1aの周辺部材に設けられている。特に、実施の形態1では、仕切体10の周辺に設けられている。
【0035】
(構成-仕切体)
仕切体10は、構造物1の空間を仕切るためのものである。この仕切体10は、実施の形態1では、非耐力壁材4a用のバックパネル材として機能するように構成されている。具体的には、
図1に示すように、仕切体10は、非耐力壁材4aよりも構造物1の内側において、非耐力壁材4aと間隔を隔てて立設されており、仕切体10の上端部が接続部材11及び図示しない固定具を介して非耐力壁材4aに対して接続されていると共に、仕切体10の下端部が非耐力壁材4aに取り付けられた嵌合部材12に嵌合されている。
【0036】
また、仕切体10の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、仕切体10が耐火性能及び断熱性能を有するように構成されており、具体的には、
図1から
図3に示すように、第1仕切材20及び第2仕切材30を備えている。
【0037】
(構成-仕切体-第1仕切材)
図1に戻り、第1仕切材20は、仕切体10の基本構造体の一部であり、略板状体又は略シート状体にて形成されており、
図1から
図3に示すように、第1仕切材20が上下方向に略沿うように設けられている。
【0038】
また、第1仕切材20の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0039】
すなわち、第1仕切材20の正面形状については、
図2に示すように、略長方形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略長方形状以外の多角形状(一例として、略正方形状等)、略円形状、又は略楕円形状に設定してもよい。
【0040】
また、第1仕切材20の左右方向の長さについては、非耐力壁材4aの左右方向の長さと略同一に設定しており、一例として、1800mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、非耐力壁材4aの左右方向の長さよりも短く、又はそれよりも長く設定してもよい。
【0041】
また、第1仕切材20の前後方向の長さ(すなわち、第1仕切材20の厚さ)については、所定の基準(例えば、各種の法令又は規格等で定められる基準等)に合致する仕切体10の耐火性能又は/及び断熱性能(例えば、外壁の耐火認定基準(30分耐火・1時間耐火)の耐火性能等)に応じた長さに設定している。一例として、25mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記仕切体10の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さより長く設定してもよい。
【0042】
また、第1仕切材20の上下方向の長さについては、非耐力壁材4aの上下方向の長さよりも短く設定しており、一例として、1200mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、非耐力壁材4aの上下方向の長さ以上に設定してもよい。
【0043】
また、第1仕切材20の材質については、断熱性及び耐火性を有する限り任意に構成することができるが、実施の形態1では、巻付けタイプの耐火被覆材(例えば、マキベエ(登録商標))で構成されている。
【0044】
(構成-仕切体-第2仕切材)
図1に戻り、第2仕切材30は、仕切体10の基本構造体の他の一部であって、第1仕切材20を支持するためのものである。この第2仕切材30は、略板状体にて形成されており、第1仕切材20の2つの主面(第1仕切材20の主たる面。
図2では、第1仕切材20の前面及び後面。)の少なくともいずれか一方を覆うように設けられている。具体的には、
図1から
図3に示すように、第1仕切材20の前面において、当該第1仕切材20に略沿うように設けられている(すなわち、第1仕切材20が、第2仕切材30よりも構造物1の内側に配置されている)。
【0045】
また、第2仕切材30の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0046】
すなわち、第2仕切材30の正面形状については、第1仕切材20の正面形状と略同一に設定しており、具体的には、略長方形状に設定している。
【0047】
また、第2仕切材30の左右方向の長さについては、第1仕切材20の左右方向の長さと略同一に設定していると共に、第2仕切材30の上下方向の長さについては、第1仕切材20の上下方向の長さと略同一に設定している(すなわち、第2仕切材30は、第1仕切材20の前面全体にわたって設けられている)。
【0048】
また、第2仕切材30の前後方向の長さ(すなわち、第2仕切材30の厚さ)については、所定の基準に合致する仕切体10の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さに設定しており、一例として、20mmから25mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記仕切体10の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さより長く設定してもよい。
【0049】
また、第1仕切材20と第2仕切材30との接続方法については任意であるが、実施の形態1では、相互に間隔を隔てて左右方向及び上下方向に略沿って並設された複数の固定具13によって、第1仕切材20を第2仕切材30に対して接続している。ただし、これに限らず、例えば、耐熱性を有する接着剤によって、第1仕切材20を第2仕切材30に対して接続してもよい。
【0050】
また、第2仕切材30の材質については、断熱性及び耐火性を有する限り任意に構成することができるが、実施の形態1では、ケイ酸カルシウム板で構成されている。ただし、これに限らず、例えば、断熱性及び耐火性を有する木毛セメント板で構成されてもよい。あるいは、断熱性のみを有するポリウレタン系断熱板、又は耐火性のみを有する石膏板で構成されてもよい。
【0051】
以上のような仕切体10により、従来技術(壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付ける技術)に比べて、断熱性及び耐火性を有する仕切体10の施工の際に、環境負荷を低減しながら施工効率及び施工精度を高めることができる。特に、第1仕切材20と第2仕切材30とを接続した後に、これらを設置位置に設けることにより、当該設置位置周辺の空間(
図1では、空間S等)が比較的狭い場合でも仕切体10をスムーズに施工することができる。したがって、仕切体10の施工性を高めることが可能となる。
【0052】
また、第1仕切材20を、第2仕切材30よりも構造物1の内側に配置したので、第1仕切材20を、第2仕切材30よりも構造物1の外側に配置した場合に比べて、構造物1における仕切体10よりも内側の空間の断熱性を高めることができると共に、構造物1の外側から内側への火炎の流入を抑制でき、仕切体10の使用性を高めることができる。
【0053】
(仕切体の施工方法)
続いて、仕切体10の施工方法について説明する。
【0054】
仕切体10の施工方法は、仕切体10を施工するための方法であり、形成工程、第1設置工程、及び第2設置工程を含んでいる。
【0055】
(仕切体の施工方法-形成工程)
最初に、形成工程について説明する。
【0056】
形成工程は、仕切体10を形成する工程である。
【0057】
具体的には、仕切体10が設置される設置現場又は工場において、
図2に示すように、複数の固定具13によって、第1仕切材20を第2仕切材30に対して接続することにより、形成する。
【0058】
ただし、これに限らず、例えば、第2仕切材30が木毛セメント板である場合には、工場等において、第2仕切材30の成型と同時に、第1仕切材20を第2仕切材30に対して打ち込み施工することにより、形成してもよい。あるいは、第2仕切材30の成型後に、複数の固定具13によって、第1仕切材20を第2仕切材30に対して接続することにより、形成してもよい。
【0059】
(仕切体の施工方法-第1設置工程)
次に、第1設置工程について説明する。
【0060】
第1設置工程は、形成工程の前又は形成工程の後において、非耐力壁材4aを設置する工程である。
【0061】
具体的には、非耐力壁材4aを構造物1の外縁に立設し、当該立設した非耐力壁材4aを周辺の躯体1a(例えば、床材2、柱材等)に対して固定具等によって接続されることにより、設置する。
【0062】
(仕切体の施工方法-第2設置工程)
続いて、第2設置工程について説明する。
【0063】
第2設置工程は、形成工程及び第1設置工程の後において、
図1に示すように、仕切体10を設置する工程である。
【0064】
具体的には、まず、仕切体10を、非耐力壁材4aよりも構造物1の内側において、非耐力壁材4aと間隔を隔てて立設する。次に、仕切体10の上端部を、接続部材11及び固定具を介して非耐力壁材4aに対して接続する。続いて、仕切体10の下端部を、非耐力壁材4aに取り付けられた嵌合部材12に嵌合することにより、仕切体10を設置する。
【0065】
このような施工方法により、従来技術(壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付ける技術)に比べて、断熱性及び耐火性を有する仕切体10の施工の際に、環境負荷を低減しながら施工効率及び施工精度を高めることができ、仕切体10の施工性を高めることが可能となる。
【0066】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材20と、第1仕切材20の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材30であり、断熱性及び耐火性を有し、且つ第1仕切材20を支持する第2仕切材30と、を備えるので、従来技術(壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付ける技術)に比べて、断熱性及び耐火性を有する仕切体10の施工の際に、環境負荷を低減しながら施工効率及び施工精度を高めることができ、仕切体10の施工性を高めることが可能となる。
【0067】
また、第1仕切材20を、第2仕切材30よりも構造物1の内側に配置したので、第1仕切材20を、第2仕切材30よりも構造物1の外側に配置した場合に比べて、構造物1における仕切体10よりも内側の空間の断熱性を高めることができると共に、構造物1の外側から内側への火炎の流入を抑制でき、仕切体10の使用性を高めることができる。
【0068】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る仕切体について説明する。この実施の形態2は、後述する第3仕切材をさらに備える形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0069】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る構造物の構成について説明する。
【0070】
実施の形態2に係る構造物1は、実施の形態1に係る構造物1と略同一に構成されている。ただし、仕切体110の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0071】
(構成-仕切体の構成の詳細)
仕切体110は、実施の形態2では、非耐力壁材用のバックパネル材として機能し、且つ耐火性能及び断熱性能を有するように構成されており、具体的には、
図4に示すように、第1仕切材20、第2仕切材30、及び第3仕切材40を備えている。
【0072】
(構成-仕切体の構成の詳細-第1仕切材)
実施の形態2に係る第1仕切材20は、実施の形態1に係る第1仕切材20と略同一に構成されている。
【0073】
(構成-仕切体の構成の詳細-第2仕切材)
実施の形態2に係る第2仕切材30は、実施の形態1に係る第2仕切材30と略同一に構成されている。ただし、第2仕切材30の具体的な大きさの詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0074】
すなわち、第2仕切材30の左右方向の長さについては、第1仕切材20の左右方向の長さと略同一に設定していると共に、第2仕切材30の上下方向の長さについては、第1仕切材20の上下方向の長さと略同一に設定している。
【0075】
また、第2仕切材30の前後方向の長さ(すなわち、第2仕切材30の厚さ)については、第3仕切材40が設けられることから、所定の基準に合致する仕切体110の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さであり、且つ実施の形態1に係る第2仕切材30の前後方向の長さよりも短く設定しており、一例として、6mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、実施の形態1に係る第2仕切材30の前後方向の長さと略同一に設定してもよい。
【0076】
(構成-仕切体の構成の詳細-第3仕切材)
第3仕切材40は、仕切体110の基本構造体の他の一部である。この第3仕切材40は、略板状体にて形成されており、第2仕切材30の外側表面を覆うように設けられており、具体的には、
図4に示すように、第2仕切材30の前面において、当該第2仕切材30に略沿うように設けられている。
【0077】
また、第3仕切材40の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態2では以下の通りに設定している。
【0078】
すなわち、第3仕切材40の正面形状については、第2仕切材30の正面形状と略同一に設定しており、具体的には、略長方形状に設定している。
【0079】
また、第3仕切材40の左右方向の長さについては、第2仕切材30の左右方向の長さと略同一に設定していると共に、第3仕切材40の上下方向の長さについては、第2仕切材30の上下方向の長さと略同一に設定している(すなわち、第3仕切材40は、第2仕切材30の前面全体にわたって設けられている)。
【0080】
また、第3仕切材40の前後方向の長さ(すなわち、第3仕切材40の厚さ)については、所定の基準に合致する仕切体110の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さに設定しており、一例として、4mm程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記仕切体110の耐火性能又は/及び断熱性能に応じた長さより長く設定してもよい。
【0081】
また、第1仕切材20、第2仕切材30、及び第3仕切材40の接続方法については任意であるが、実施の形態2では、相互に間隔を隔てて左右方向及び上下方向に略沿って並設された複数の固定具13によって、第1仕切材20及び第3仕切材40の各々を第2仕切材30に対して接続している。ただし、これに限らず、例えば、耐熱性を有する接着剤によって、第1仕切材20及び第3仕切材40の各々を第2仕切材30に対して接続してもよい。
【0082】
また、第3仕切材40の材質については、耐火性及び平滑性(具体的には、所定値以上の平滑度)を有する限り任意に構成することができるが、実施の形態2では、アルミ複合板で構成されている。ただし、これに限らず、例えば、鉄板(一例として、焼付塗装が施された鉄板)で構成されてもよい。これにより、第3仕切材40を比較的容易に製造でき、第3仕切材40の製造性を高めることができる。
【0083】
以上のような仕切体110により、第3仕切材40によって仕切体110の耐火性及び意匠性(具体的には、仕切体110における非耐力壁材4a側の側面の意匠性)を高めることができ、仕切体110の使用性を高めることができる。
【0084】
(仕切体の施工方法)
続いて、仕切体110の施工方法について説明する。
【0085】
実施の形態2に係る仕切体110の施工方法は、実施の形態1に係る仕切体10の施工方法と略同一であるので、その説明を省略する。
【0086】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、第2仕切材30の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材40であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材40を備えるので、第3仕切材40によって仕切体110の耐火性及び意匠性を高めることができ、仕切体110の使用性を高めることができる。
【0087】
また、第3仕切材40が、鉄板又はアルミ複合板であるので、第3仕切材40を比較的容易に製造でき、第3仕切材40の製造性を高めることができる。
【0088】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0089】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0090】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0091】
(仕切体について)
上記実施の形態1、2では、仕切体が、外壁用上のバックパネル材として機能するように構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、天井材として機能するように構成されてもよい。一例として、仕切体は、屋根材よりも下方において、屋根材と間隔を隔てて水平に配置されてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態1では、仕切体10が、第1仕切材20及び第2仕切材30を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第1仕切材20及び第2仕切材30に加えて、遮湿材を備えてもよい(なお、実施の形態2に係る仕切体110についても略同様とする)。
【0093】
この遮湿材は、湿気が構造物1の内部に流入するのことを防止するためのものであり、例えば湿分を実質的に透過しない公知の遮湿材(一例として、ポリオレフィン製の遮湿材等)で構成され、第1仕切材20の外側表面を覆うように設けられてもよい(具体的には、第1仕切材20の外側表面全体を覆うように設けられる)。これにより、仕切体10の遮湿性を高めることができ、仕切体10の使用性を高めることができる。
【0094】
(第2仕切材について)
上記実施の形態1では、第2仕切材30が、第1仕切材20の前面のみに設けられていると説明したが、これに限らない。
図5は、実施の形態1に係る仕切体10の変形例を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【0095】
例えば、第2仕切材30が、第1仕切材20の後面のみに設けられてもよい(すなわち、第1仕切材20が、第2仕切材30よりも構造物1の外側に配置されてもよい)。あるいは、
図5に示すように、第2仕切材30(具体的には、実施の形態1に係る第2仕切材30の厚さの半分程度の厚さを有する第2仕切材30)が、第1仕切材20の前面及び後面の両方に設けられてもよい(なお、実施の形態2に係る第2仕切材30についても略同様とする)。
【0096】
(第3仕切材について)
上記実施の形態2では、第3仕切材40が、第2仕切材30の外側表面のみを覆うように構成されていると説明したが、これに限らない。
図6は、実施の形態2に係る仕切体110の変形例を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【0097】
例えば、
図6に示すように、第3仕切材40が、第2仕切材30の外側表面全体と、第1仕切材20及び第2仕切材30の上端部及びその近傍部分と、第1仕切材20及び第2仕切材30の下端部及びその近傍部分とを覆うように構成されてもよい。具体的には、第3仕切材40が、第2仕切材30の外側表面全体を覆う第1仕切片41と、第1仕切材20及び第2仕切材30の上端部及びその近傍部分を覆う第2仕切片42と、第1仕切材20及び第2仕切材30の下端部及びその近傍部分を覆う第3仕切片43とを備えてもよい。これにより、第1仕切材20、第2仕切材30、及び第3仕切材40の接続性を高めることができる。
【0098】
(付記)
付記1の仕切体は、構造物の空間を仕切るための仕切体であって、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材と、前記第1仕切材の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材であり、断熱性又は/及び耐火性を有し、且つ前記第1仕切材を支持する第2仕切材と、を備える。
【0099】
付記2の仕切体は、付記1に記載の仕切体において、前記第2仕切材の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材を備える。
【0100】
付記3の仕切体は、付記2に記載の仕切体において、前記第3仕切材は、鉄板又はアルミ複合板である。
【0101】
付記4の仕切体は、付記1から3のいずれか一項に記載の仕切体において、前記第1仕切材の外側表面を覆うように設けられる遮湿材を備える。
【0102】
付記5の仕切体は、付記1から4のいずれか一項に記載の仕切体において、前記第1仕切材を、前記第2仕切材よりも前記構造物の内側に配置した。
【0103】
(付記の効果)
付記1に記載の仕切体によれば、断熱性及び耐火性を有する略板状又は略シート状の第1仕切材と、第1仕切材の2つの主面の少なくともいずれか一方を覆うように設けられる略板状の第2仕切材であり、断熱性又は/及び耐火性を有し、且つ第1仕切材を支持する第2仕切材と、を備えるので、従来技術(壁部材に対してポリウレタン系樹脂を吹き付ける技術)に比べて、断熱性及び耐火性を有する仕切体の施工の際に、環境負荷を低減しながら施工効率及び施工精度を高めることができ、仕切体の施工性を高めることが可能となる。
【0104】
付記2に記載の仕切体によれば、第2仕切材の外側表面を覆うように設けられる略板状の第3仕切材であり、耐火性及び平滑性を有する第3仕切材を備えるので、第3仕切材によって仕切体の耐火性及び意匠性を高めることができ、仕切体の使用性を高めることができる。
【0105】
付記3に記載の仕切体によれば、第3仕切材が、鉄板又はアルミ複合板であるので、第3仕切材を比較的容易に製造でき、第3仕切材の製造性を高めることができる。
【0106】
付記4に記載の仕切体によれば、第1仕切材の外側表面を覆うように設けられる遮湿材を備えるので、仕切体の遮湿性を高めることができ、仕切体の使用性を一層高めることができる。
【0107】
付記5に記載の仕切体によれば、第1仕切材を、第2仕切材よりも構造物の内側に配置したので、第1仕切材を、第2仕切材よりも構造物の外側に配置した場合に比べて、構造物における仕切体よりも内側の空間の断熱性を高めることができると共に、構造物の外側から内側への火炎の流入を抑制でき、仕切体の使用性を一層高めることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 構造物
1a 躯体
2 床材
3 梁材
4 壁材
4a 非耐力壁材
5 耐火材
10 仕切体
11 接続部材
12 嵌合部材
13 固定具
20 第1仕切材
30 第2仕切材
40 第3仕切材
41 第1仕切片
42 第2仕切片
43 第3仕切片
110 仕切体
S 空間