(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100394
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】シート製品生産ラインの解析システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230711BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230711BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001045
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】森 俊三
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100AA58
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100EE14
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】煩雑な入力作業を要することなく、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素をより容易かつより正確に把握することができる解析システムを提供する。
【解決手段】解析システム100は、時刻特定部125、取得部126、記憶部143及び停止時間算出部144を有する。時刻特定部125は、PTP機の停止時刻を特定する。取得部126は、入力された停止要因装置情報及び停止事由を取得する。記憶部143は、取得部126が取得した停止要因装置情報等と時刻特定部125が特定した停止時刻とを関連付けて記憶する。停止時間算出部144は、停止要因装置情報、停止事由又はこれらの組合わせを抽出対象要素として、記憶部143に記憶された情報に基づき、抽出対象要素ごとに、抽出対象要素に起因したPTP機の停止時間を算出する。管理用表示部141では、算出された停止時間の大小に応じた順序で抽出対象要素を表示可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部形成手段により形成された前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、
前記取着手段によって前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを打抜くことで、前記ポケット部に内容物が充填されてなるブリスタシートを得る打抜手段とを有する、前記ブリスタシートを製造するためのブリスタシート製造装置と、
前記ブリスタシート製造装置の下流に設けられ、製造された前記ブリスタシートに対し所定の処理を施す1又は複数の後工程装置とを備え、
製造された前記ブリスタシートに対し前記処理が施されてなるシート製品を生産するためのシート製品生産ラインの解析システムであって、
前記シート製品生産ラインを稼働させて前記シート製品を生産している状態においては、前記後工程装置による単位時間当たりの前記ブリスタシートの処理可能数が、前記ブリスタシート製造装置による単位時間当たりの前記ブリスタシートの製造数よりも多いものとなるように設定されており、
前記ブリスタシート製造装置の停止時刻を特定する時刻特定手段と、
前記ブリスタシート製造装置及び1又は複数の前記後工程装置のうち前記ブリスタシート製造装置の停止の要因となった装置を示す情報である停止要因装置情報、及び、該停止の理由である停止事由を入力するための入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記停止要因装置情報及び前記停止事由を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記停止要因装置情報及び前記停止事由と、前記時刻特定手段により特定された前記停止時刻とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記停止要因装置情報、前記停止事由、又は、前記停止要因装置情報及び前記停止事由の組合わせを抽出対象要素として、前記記憶手段に記憶された情報に基づき、前記抽出対象要素ごとに、前記抽出対象要素に起因した前記ブリスタシート製造装置の停止時間を算出可能な停止時間算出手段と、
前記停止時間算出手段により算出された前記ブリスタシート製造装置の停止時間の大小に応じた順序で、前記抽出対象要素を表示可能な表示手段とを具備することを特徴とするシート製品生産ラインの解析システム。
【請求項2】
前記停止事由を、前記シート製品の生産に必要な必須停止事由と、前記シート製品の生産に不必要であって削減可能な削減可能停止事由とに分類する事由分類手段を有し、
前記停止時間算出手段は、前記抽出対象要素ごとに、前記削減可能停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間を算出可能に構成され、
前記表示手段は、前記削減可能停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間の大小に応じた順序で、前記抽出対象要素を表示可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【請求項3】
前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間として許容される上限時間を記憶する上限時間記憶手段を有し、
前記事由分類手段は、前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間のうち前記上限時間を超過した停止時間に対応する前記停止事由を、前記削減可能停止事由に分類可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【請求項4】
前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止回数として許容される上限回数を記憶する上限回数記憶手段を有し、
前記事由分類手段は、前記必須停止事由のうち前記上限回数を超過した回数に対応する前記停止事由を、前記削減可能停止事由に分類可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【請求項5】
前記取得手段は、前記入力手段としての前記ブリスタシート製造装置及び前記後工程装置のうちの少なくとも一方から入力される所定の要因特定用信号に基づき、前記停止要因装置情報及び前記停止事由の少なくとも一方を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【請求項6】
少なくとも前記取得手段を有する情報処理装置を備え、
前記ブリスタシート製造装置及び前記後工程装置のうちの前記ブリスタシート製造装置のみが、前記情報処理装置との間で通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容してなるブリスタシートを製造するとともに、製造されたブリスタシートに処理を施してなるシート製品を生産可能なシート製品生産ラインの、解析を行うためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤等の内容物が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
かかるPTPシートは、PTP機及び後工程装置を有してなるシート製品生産ラインを用いて製造されるとともに各種処理が施される。PTP機は、PTPシートを製造するための装置である。PTP機は、搬送される帯状の容器フィルムを予熱する手段、予熱された容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、ポケット部に内容物を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
後工程装置は、PTP機により製造されたPTPシートに対し各種処理を施す装置である。後工程装置としては、例えば、PTPシートを集積する集積機、集積された複数のPTPシートに対しバンド結束を施すバンド機、PTPシートの袋詰めを行うピロー機、複数のPTPシートを箱詰めする箱詰め機(例えば、カートナやケーサといった装置)などを挙げることができる。そして、後工程装置を経て得られたシート製品(例えば、箱詰めされた複数のPTPシートなど)が最終的に出荷される。
【0005】
上記のようなシート製品生産ラインでは、稼働率の向上が常に求められており、稼働率の向上のためには、生産ラインを構成する各種生産設備の稼働状態を正確に把握する必要がある。
【0006】
この点、従来技術として、生産設備の各々に対し、故障などの要因を入力するための要因入力キーを備えてなる設備稼働状態記録装置を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この技術では、要因入力キーとして、人的な停止要因により生産設備が停止した場合にその停止要因を入力するための第1の停止要因入力手段と、故障等により生産設備が停止した場合にその停止要因を入力するための第2の停止要因入力手段とが設けられている。そして、生産設備が停止したときには、第1又は第2の停止要因入力手段によって具体的な停止要因が入力されることで、人的停止要因や故障等の具体的な記録が可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、シート製品の生産性を高めるべく、シート製品生産ラインに対し上記従来技術を適用することが考えられる。しかしながら、シート製品生産ラインは、PTP機及び後工程装置を備えており、複数の生産設備によって構成されている。そのため、シート製品生産ラインに上記従来技術を適用した場合には、生産ラインの停止時に、生産設備ごとに設けられた設備稼働状態記録装置に対する入力作業をそれぞれ行わなければならず、入力作業に大変な手間を要するおそれがある。また、生産設備ごとに停止要因が入力・記憶されるため、稼働率の向上という点でどの生産設備に問題があるのかを把握することが難しくなる。
【0009】
さらに、シート製品生産ラインにおいては、後工程装置による処理可能スピードが、PTP機によるPTPシートの製造スピードよりも十分に高くされていることがある。このような場合、後工程装置における短時間の停止は、シート製品生産ラインの稼働率に何ら影響を及ぼさないことがある。このような稼働率に何ら影響を及ぼしていない情報が設備稼働状態記憶装置に入力されると、生産ラインの稼働率に影響を及ぼす要因、換言すれば、稼働率向上の点で改善すべき要素が分かりにくくなるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、煩雑な入力作業を要することなく、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素をより容易かつより正確に把握することができるシート製品生産ラインの解析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部形成手段により形成された前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に内容物が充填された前記容器フィルムに対し、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、
前記取着手段によって前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを打抜くことで、前記ポケット部に内容物が充填されてなるブリスタシートを得る打抜手段とを有する、前記ブリスタシートを製造するためのブリスタシート製造装置と、
前記ブリスタシート製造装置の下流に設けられ、製造された前記ブリスタシートに対し所定の処理を施す1又は複数の後工程装置とを備え、
製造された前記ブリスタシートに対し前記処理が施されてなるシート製品を生産するためのシート製品生産ラインの解析システムであって、
前記シート製品生産ラインを稼働させて前記シート製品を生産している状態においては、前記後工程装置による単位時間当たりの前記ブリスタシートの処理可能数が、前記ブリスタシート製造装置による単位時間当たりの前記ブリスタシートの製造数よりも多いものとなるように設定されており、
前記ブリスタシート製造装置の停止時刻を特定する時刻特定手段と、
前記ブリスタシート製造装置及び1又は複数の前記後工程装置のうち前記ブリスタシート製造装置の停止の要因となった装置を示す情報である停止要因装置情報、及び、該停止の理由である停止事由を入力するための入力手段(例えば手入力を行うための入力用機器及び/又は自動的に入力を行うブリスタシート製造装置等)と、
前記入力手段によって入力された前記停止要因装置情報及び前記停止事由を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記停止要因装置情報及び前記停止事由と、前記時刻特定手段により特定された前記停止時刻とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記停止要因装置情報、前記停止事由、又は、前記停止要因装置情報及び前記停止事由の組合わせを抽出対象要素として、前記記憶手段に記憶された情報に基づき、前記抽出対象要素ごとに、前記抽出対象要素に起因した前記ブリスタシート製造装置の停止時間を算出可能な停止時間算出手段と、
前記停止時間算出手段により算出された前記ブリスタシート製造装置の停止時間の大小に応じた順序で、前記抽出対象要素を表示可能な表示手段とを具備することを特徴とするシート製品生産ラインの解析システム。
【0013】
上記手段1によれば、シート製品生産ラインを稼働させてシート製品を生産している状態においては、後工程装置による単位時間当たりのブリスタシートの処理可能数(最大処理数)が、単位時間当たりに製造されるブリスタシートの数よりも多いものとされている。すなわち、後工程装置による処理可能スピードは、ブリスタシートの製造スピードよりも高いものとされている。そのため、ブリスタシート製造装置の停止は、シート製品生産ラインの稼働率に直接的な影響を与える。
【0014】
その上で、上記手段1では、シート製品生産ラインの稼働率に直接的な影響を与えることとなるブリスタシート製造装置の停止が生じると、時刻特定手段により、ブリスタシート製造装置の停止時刻が特定される。さらに、入力手段によって、ブリスタシート製造装置及び1又は複数の後工程装置のうち前記停止の要因となった装置を示す情報である停止要因装置情報と、該停止の理由である停止事由とが入力され、取得手段によってこれら情報が取得される。例えば、ブリスタシート製造装置の停止が該装置自体によるものである場合、停止要因装置情報として「ブリスタシート製造装置」が取得され、ブリスタシート製造装置の停止が1の後工程装置によるものである場合、停止要因装置情報として「1の後工程装置」が取得される。また、停止事由として、例えば「清掃」、「ワーク詰まり」、「休憩」といった停止の要因となった理由が取得される。そして、記憶手段において、停止要因装置情報及び停止事由と、ブリスタシート製造装置の停止時刻とが関連付けて記憶される。
【0015】
さらに、停止時間算出手段によって、停止要因装置情報、停止事由、又は、これらの組合わせを抽出対象要素として、記憶手段に記憶された情報に基づき、抽出対象要素ごとに、抽出対象要素に起因したブリスタシート製造装置の停止時間が算出可能とされる。より詳しくは、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合には、ブリスタシート製造装置の停止要因となった装置ごとに、これら装置に起因した停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、停止要因となった装置が「ブリスタシート製造装置」及び「1の後工程装置」である場合、「ブリスタシート製造装置」に起因した停止時間と、「1の後工程装置」に起因した停止時間とを算出することができる。また、停止事由を抽出対象要素とした場合には、停止事由ごとに、これら停止事由に起因した停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、停止事由が「清掃」及び「休憩」である場合、「清掃」に起因した停止時間と、「休憩」に起因した停止時間とを算出することができる。さらに、抽出対象要素を停止要因情報装置及び停止事由の組合わせとした場合には、これらの組合わせごとに、これら組合わせに起因した停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、抽出対象要素が「ブリスタシート製造装置」又は「1の後工程装置」と「清掃」又は「休憩」との組合わせである場合、「清掃」に伴う「ブリスタシート製造装置」の停止に起因した停止時間など、最大計4(2×2)種類の停止時間をそれぞれ算出することができる。
【0016】
そして、上記手段1によれば、表示手段において、停止時間算出手段により算出された停止時間の大小に応じた順序で、抽出対象要素を表示することができる。例えば、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合において、ブリスタシート製造装置に起因した停止時間が30分間であり、1の後工程装置に起因した停止時間が10分間であるときには、ブリスタシート製造装置及び1の後工程装置がこの順序で表示される。従って、ブリスタシート製造装置の停止時間を長いものとする抽出対象要素、すなわち、シート製品生産ラインの稼働率に対し特に影響を与えている要素であり、稼働率の効果的な向上という点で特に改善すべき要素をより容易にかつより正確に把握することができる。
【0017】
また、上記手段1によれば、シート製品生産ラインの停止が生じたときにシステムへと人手で入力すべき情報は、多くても(取得手段が取得するための)停止要因装置情報及び停止事由で済む。従って、煩雑な入力作業が不要となり、シート製品生産ラインの管理に係る利便性の向上などを図ることができる。
【0018】
手段2.前記停止事由を、前記シート製品の生産に必要な必須停止事由と、前記シート製品の生産に不必要であって削減可能な削減可能停止事由とに分類する事由分類手段を有し、
前記停止時間算出手段は、前記抽出対象要素ごとに、前記削減可能停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間を算出可能に構成され、
前記表示手段は、前記削減可能停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間の大小に応じた順序で、前記抽出対象要素を表示可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【0019】
上記手段2によれば、事由分類手段によって、停止事由を、シート製品の生産に必要であって削減不能な必須停止事由と、シート製品の生産に不必要であって削減可能な削減可能停止事由とに分類することができる。必須停止事由としては、例えば、「清掃」や「休憩」、「製造されるブリスタシートの品種切換のための作業(品種切換作業)」などを挙げることができる。一方、削減可能停止事由としては、例えば、「ワーク詰まり(例えば、内容物やブリスタシートの詰まり)」や「スクラップ満杯(スクラップを収容する容器の満杯)」などを挙げることができる。
【0020】
さらに、停止時間算出手段によって、抽出対象要素ごとに、削減可能停止事由に係るブリスタシート製造装置の停止時間が算出可能とされる。より詳しくは、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合には、ブリスタシート製造装置の停止要因となった装置ごとに、これら装置に起因した、削減可能停止事由に係る停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、停止要因となった装置が「ブリスタシート製造装置」及び「1の後工程装置」である場合、「ブリスタシート製造装置」に起因した停止時間のうち削減可能停止事由に係る時間と、「1の後工程装置」に起因した停止時間のうち削減可能停止事由に係る時間とを算出することができる。また、停止事由を抽出対象要素とした場合には、削減可能停止事由ごとに、これら削減可能停止事由に起因した停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、停止事由が「清掃」、「ワーク詰まり」及び「スクラップ満杯」である場合、削減可能停止事由である「ワーク詰まり」や「スクラップ満杯」に起因した各停止時間を算出することができる。さらに、抽出対象要素を停止要因情報装置及び停止事由の組合わせとした場合には、これらの組合わせごとに、これら組合わせに起因した、削減可能停止事由に係る停止時間をそれぞれ算出することができる。例えば、抽出対象要素が「ブリスタシート製造装置」又は「1の後工程装置」と「ワーク詰まり」又は「休憩」との組合わせである場合、「ブリスタシート製造装置」に起因した停止時間のうち「ワーク詰まり」に係る時間と、「1の後工程装置」に起因した停止時間のうち「ワーク詰まり」に係る時間とを算出することができる。
【0021】
その上で、上記手段2によれば、表示手段において、削減可能停止事由に係る停止時間の大小に応じた順序で、抽出対象要素を表示することができる。例えば、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合において、ブリスタシート製造装置に起因した停止時間のうち削減可能停止事由に係る時間が5分間であり、1の後工程装置に起因した停止時間のうち削減可能停止事由に係る時間が10分間であるときには、1の後工程装置及びブリスタシート製造装置がこの順序で表示される。従って、ブリスタシート製造装置の停止時間を長いものとする抽出対象要素であって、削減可能停止事由に係るもの、すなわち、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素であって、改善に伴う影響がシート製品の生産に及ばない(シート製品の生産に必ずしも必要ではない)要素をより容易にかつより正確に把握することができる。
【0022】
手段3.前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間として許容される上限時間を記憶する上限時間記憶手段を有し、
前記事由分類手段は、前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止時間のうち前記上限時間を超過した停止時間に対応する前記停止事由を、前記削減可能停止事由に分類可能に構成されていることを特徴とする手段2に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【0023】
上記手段3によれば、事由分類手段は、必須停止事由に係るブリスタシート製造装置の停止時間のうち上限時間を超過した停止時間に対応する停止事由を、削減可能停止事由に分類することができる。これにより、例えば、品種切換や定期メンテナンスなどの作業(つまり必須停止事由)に起因してブリスタシート製造装置が停止した場合において、その作業が上限時間内に終了しなかったときには、上限時間を超過した停止時間(作業時間)に対応する停止事由を削減可能停止事由として扱うといったことが可能となる。従って、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素を一層容易にかつ一層正確に把握することができる。また、改善すべき要素の見落としをより確実に防止することができる。
【0024】
手段4.前記必須停止事由に係る前記ブリスタシート製造装置の停止回数として許容される上限回数を記憶する上限回数記憶手段を有し、
前記事由分類手段は、前記必須停止事由のうち前記上限回数を超過した回数に対応する前記停止事由を、前記削減可能停止事由に分類可能に構成されていることを特徴とする手段2又は3に記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【0025】
上記手段4によれば、事由分類手段は、必須停止事由のうち上限回数を超過した回数に対応する停止事由を、削減可能停止事由に分類することができる。これにより、例えば、品種切換や定期メンテナンスなどの作業(つまり必須停止事由)に起因してブリスタシート製造装置が停止した場合において、一定期間内におけるその作業による停止回数が上限回数を超えたときには、上限回数を超過した回数に対応する停止事由を削減可能停止事由として扱うといったことが可能となる。従って、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素を一層容易にかつ一層正確に把握することができる。また、改善すべき要素の見落としをより確実に防止することができる。
【0026】
手段5.前記取得手段は、前記入力手段としての前記ブリスタシート製造装置及び前記後工程装置のうちの少なくとも一方から入力される所定の要因特定用信号に基づき、前記停止要因装置情報及び前記停止事由の少なくとも一方を取得可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【0027】
上記手段5によれば、取得手段は、前記入力手段としてのブリスタシート製造装置及び後工程装置のうちの少なくとも一方から入力される所定の要因特定用信号に基づき、停止要因装置情報及び停止事由の少なくとも一方を取得することができる。従って、停止事由などを人手で入力することによる手間やミスが少なくなり、シート製品生産ラインの管理に係る利便性向上などをより効果的に図ることができる。
【0028】
手段6.少なくとも前記取得手段を有する情報処理装置を備え、
前記ブリスタシート製造装置及び前記後工程装置のうちの前記ブリスタシート製造装置のみが、前記情報処理装置との間で通信可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のシート製品生産ラインの解析システム。
【0029】
上記手段6によれば、ブリスタシート製造装置及び後工程装置のうちのブリスタシート製造装置のみが、取得手段などを有する情報処理装置との間で通信可能とされている。従って、後工程装置を同様に通信可能とする場合と比べて、システムをより簡素化することができるとともに、システムの製造やメンテナンス等に係るコストを効果的に低減させることができる。尚、ブリスタシート製造装置と情報処理装置との間では、例えばブリスタシート製造装置の停止に係る信号(上記手段5の要因特定用信号)などが通信される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】シート製品生産ライン及び解析システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】シート製品及びその生産過程で得られるシート結束体などを示す斜視模式図である。
【
図6】装置間で送受信される信号や、信号の受信時におけるメインタブレットPCの動作を簡単に説明するための説明図である。
【
図7】解析システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図9】記憶される停止時刻や停止要因装置情報などの一例を示す図である。
【
図14】停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合において、削減可能停止事由に係る停止時間の順に並べられた情報の一例を示す図である。
【
図15】停止事由を抽出対象要素とした場合に表示される情報の一例を示す図である。
【
図16】停止要因装置情報及び停止事由の組合わせを抽出対象要素とした場合に表示される情報の一例を示す図である。
【
図17】停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合において、必須停止事由に係る停止時間の順に並べられた情報の一例を示す図である。
【
図18】別の実施形態において、上限回数記憶部を有するメインタブレットPCの概略構成を示すブロック図である。
【
図19】記憶される上限回数の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態における解析システム100は、ブリスタシートとしてのPTPシート1(
図2参照)を製造するとともに、製造されたPTPシート1に対し所定の処理を施してなるシート製品9(
図5参照)を生産するためのシート製品生産ライン200に適用されている。解析システム100の説明に先立って、PTPシート1及びシート製品生産ライン200(以下、単に「生産ライン200」という)について説明する。
【0032】
まず、PTPシート1について説明する。PTPシート1は、
図2,3に示すように、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0033】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0034】
また、各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。尚、各フィルム3,4の材料やポケット部2の数・位置、ポケット部2に収容される内容物などについては、上記に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0035】
次いで、生産ライン200について説明する。
図1に示すように、生産ライン200は、上流側から順に、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54を備えている。本実施形態では、PTP機10が「ブリスタシート製造装置」を構成する。また、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54がそれぞれ「後工程装置」を構成する。
【0036】
PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54は、それぞれ直接又はコンベアを介して接続されている。尚、コンベアは、必要に応じてPTPシート1や後述するシート結束体7などの各種ワークを貯留するためのバッファ機能を備えていてもよい。
【0037】
さらに、PTP機10は、所定の壁によって隔てられた第1室R1及び第2室R2のうちの第1室R1に配置されている。一方、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54は、第2室R2に配置されている。
【0038】
次に、PTP機10の構成についてより詳しく説明する。
図4に示すように、PTP機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3が巻回されてなる原反11が設けられており、ここから送り出された容器フィルム3が所定経路を通って搬送される。PTP機10は、容器フィルム3の搬送経路に沿って、上流側から順に、フィルム自動継ぎ装置12、予熱装置15、ポケット部形成装置16、充填装置21、検査装置22,シール装置25、スリット形成装置33、刻印装置34及びシート打抜装置37を備えている。本実施形態では、ポケット部形成装置16が「ポケット部形成手段」を構成し、同様に、充填装置21が「充填手段」を、シール装置25が「取着手段」を、シート打抜装置37が「打抜手段」を、それぞれ構成する。
【0039】
フィルム自動継ぎ装置12は、原反11の容器フィルム3が消費されたときに、該容器フィルム3の終端部と、予めセットされた予備の原反11(不図示)の容器フィルム3の始端部とを自動的に接続する。
【0040】
予熱装置15は、容器フィルム3の予熱を行う。ポケット部形成装置16は、所定の金型等を用いて、予熱された容器フィルム3にポケット部2を形成する。
【0041】
充填装置21は、錠剤5を一列に並んだ状態で収容する筒状のシュート、及び、該シュートの出口を開閉可能なシャッタ(それぞれ不図示)を備えており、所定のタイミングにて前記シャッタを開くことでポケット部2に錠剤5を充填する。尚、充填装置21は、錠剤5を吸着可能な吸着ドラム(不図示)を備え、吸着解除によりポケット部2に錠剤5を充填するものであってもよい。
【0042】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行う。
【0043】
シール装置25は、加熱機能を有する加熱ロール25aと、容器フィルム3を連続搬送するフィルム送りロール25bとを備えており、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3にカバーフィルム4を取着する。より詳しくは、加熱ロール25aへとカバーフィルム4が案内されており、容器フィルム3とカバーフィルム4とが両ロール25a,25b間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着される。容器フィルム3にカバーフィルム4が取着されることで、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。本実施形態では、PTPフィルム6が「ブリスタフィルム」を構成する。
【0044】
スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する。刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す。尚、
図2では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0045】
シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0046】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって集積機51へと搬送される。一方、PTPフィルム6における打抜き後に残ったスクラップ部分は、裁断装置41により所定寸法に裁断された上で、スクラップ用ホッパ43に貯留される。
【0047】
尚、PTP機10においては、上記各種装置で行われる各処理に対応すべく、容器フィルム3やPTPフィルム6の搬送態様が、連続搬送又は間欠搬送に適宜変更される。このような搬送態様の変更による容器フィルム3等の弛み防止などを図るべく、容器フィルム3等の搬送経路における所定位置には、容器フィルム3等のテンションを一定範囲内で保つためのテンションロールが設けられている。
【0048】
また、PTP機10は、制御装置45及び通信装置46を備えている。制御装置45は、CPU、RAM、ROM及び記憶媒体などを備えたコンピュータシステムにより構成されており、前記記憶媒体には、装置の動作制御を行うためのプログラム及びパラメータが記憶されている。制御装置45は、記憶されたプログラム及びパラメータに基づき、PTP機10を構成する各装置(ポケット部形成装置16、充填装置21、シール装置25、シート打抜装置37など)の起動、停止、動作タイミング、動作速度、加熱温度、加熱時間、付与圧力などを制御する。
【0049】
また、制御装置45は、PTP機10を構成する各装置の動作状態を管理しており、動作状態に異常が生じてPTPシート1の製造に支障が生じた場合には、各装置の動作を停止させることで、PTP機10の稼働を停止させる。さらに、制御装置45は、集積機51から後述する停止指令が入力された場合にも、PTP機10の稼働を停止させる。勿論、制御装置45は、生産ライン200のオペレータ等による停止操作がなされた場合にも、PTP機10の稼働を停止させる。
【0050】
通信装置46は、PTP機10(特に制御装置45)及び解析システム100(特に後述するメインタブレットPC111)との間における無線通信を担う装置である。
【0051】
本実施形態では、PTP機10の稼働を開始(再開)したとき、換言すれば、PTP機10の停止が終了したとき、通信装置46を介して、PTP機10(制御装置45)から解析システム100(メインタブレットPC111)に対し、停止終了信号と停止を終了した時刻を示す停止終了時刻信号とが送信される(
図6参照)。尚、時刻は、制御装置45に設けられた時計機能から取得される。時刻には、時分の情報のみならず、年月日の情報も含まれる。
【0052】
また、PTP機10自体における動作状態の異常によりPTP機10の稼働が停止したときには、通信装置46を介して、PTP機10(制御装置45)から解析システム100(メインタブレットPC111)に対し、第一異常停止信号、停止した時刻を示す停止開始時刻信号及び要因特定用信号が送信される(
図6参照)。要因特定用信号には、停止要因装置情報及び停止事由が含まれる。
【0053】
ここで、停止要因装置情報とは、PTP機10及び複数の後工程装置(集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54)のうちPTP機10の停止となった装置を示す情報である。また、停止事由は、PTP機10の停止の理由である。尚、停止要因装置情報は、PTP機10及び後工程装置の全てを意味する情報となることがある。但し、PTP機10自体における動作状態の異常によりPTP機10の稼働が停止した場合、要因特定用信号に含まれる停止要因装置情報が示す装置はPTP機10のみとなる。
【0054】
併せて、集積機51から後述する停止指令が入力されたことによりPTP機10の稼働が停止したときには、通信装置46を介して、PTP機10(制御装置45)から解析システム100(メインタブレットPC111)に対し、第二異常停止信号、停止開始時刻及び要因特定用信号が送信される(
図6参照)。この要因特定用信号は、集積機51から送られる後述のアラーム信号に基づき設定される。この要因特定用信号も、停止要因装置情報及び停止事由を含むものである。但し、この要因特定用信号に含まれる停止要因装置情報が示す装置は、集積機51、バンド機52、ピロー機53又は箱詰め機54となる。
【0055】
さらに、オペレータ等の操作によりPTP機10の稼働が停止したときには、通信装置46を介して、PTP機10(制御装置45)から解析システム100(メインタブレットPC111)に対し、通常停止信号及び停止開始時刻信号が送信される(
図6参照)。
【0056】
図1に戻り、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54について説明する。
【0057】
集積機51は、製造されたPTPシート1を所定数ごとに積み上げた上で、積み上げたPTPシート1を次工程を担当するバンド機52に受け渡す。
【0058】
バンド機52は、積上げられた複数のPTPシート1を所定のバンド7aによって結束するとともに、これにより得られたシート結束体7(
図5参照)を次工程を担当するピロー機53に受け渡す。
【0059】
ピロー機53は、複数のシート結束体7の袋詰めを行うとともに、これにより得られたシート収容袋8(
図5参照)を次工程を担当する箱詰め機54に受け渡す。
【0060】
箱詰め機54は、複数のシート収容袋8の箱詰め処理を行うことで、複数のPTPシート1が箱詰めされてなるシート製品9を製造する。このシート製品9は、必要に応じて複数個まとめられた上で最終的に出荷される。
【0061】
また、本実施形態では、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54は、装置の異常等により処理の継続に支障が生じた場合に、直上流の装置に対し停止指令及びアラーム信号を出力する。停止指令が入力された装置は、その直上流の装置に対し、入力された停止指令及びアラーム信号を出力するとともに、動作を停止する。停止指令は、最終的にPTP機10(制御装置45)に入力され、停止指令が入力されたPTP機10は稼働を停止する。
【0062】
尚、本実施形態において、生産ライン200を稼働させてシート製品9を生産している状態においては、後工程装置(集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54)による単位時間当たりのPTPシート1の処理可能数が、PTP機10による単位時間当たりのPTPシート1の製造数よりも多いものとされている。すなわち、後工程装置による処理スピードは、PTPシート1の製造スピードよりも高いものとされている。従って、PTP機10の停止は、生産ライン200の稼働率に直接的な影響を与えることとなる。一方で、後工程装置(集積機51等)が停止したとしても、その停止時間が短時間であれば、稼働再開後に処理の遅れを十分に挽回することができる。そのため、後工程装置の停止は、生産ライン200の稼働率に影響を与えないことがある。
【0063】
次いで、解析システム100について説明する。解析システム100は、PTP機10の停止に係る各種データを記憶するとともに、このデータに基づく解析用の情報を管理者などに提供するためのものである。本実施形態において、解析システム100は、それぞれCPU、RAM、ROM及び記憶媒体などを備えたメインタブレットPC111、サブタブレットPC112及び管理用PC113を備えている。各タブレットPC111,112は、それぞれタッチパネルを備えており、持ち運び可能である。
【0064】
メインタブレットPC111は、第2室R2での使用を想定して該第2室R2に配置されている。一方、サブタブレットPC112は、第1室R1での使用を想定して該第1室R1に配置されている。勿論、各タブレットPC111,112の配置場所・使用場所についてはこれらに限定されるものではない。本実施形態では、メインタブレットPC111が「情報処理装置」を構成する。
【0065】
メインタブレットPC111は、
図7に示すように、メイン表示部121、メイン入力部122、上限時間記憶部123、停止情報受取部124、時刻特定部125、取得部126、記憶部127、事由分類部128及びメイン表示制御部129を備えている。尚、停止情報受取部124、時刻特定部125、取得部126、事由分類部128及びメイン表示制御部129の各機能は、上記CPU、ROM、RAMなどの各種ハードウェア及び記憶媒体に記憶された所定のソフトウェアにより実現される。本実施形態では、上限時間記憶部123が「上限時間記憶手段」を構成し、同様に、時刻特定部125が「時刻特定手段」を、取得部126が「取得手段」を、事由分類部128が「事由分類手段」を、それぞれ構成する。
【0066】
メイン表示部121は、前記タッチパネルによって構成されており、各種情報を表示する。メイン表示部121で表示される情報は、メイン表示制御部129によって制御される。
【0067】
メイン入力部122は、前記タッチパネルによって構成されており、メインタブレットPC111に対する情報の入力に利用される。
【0068】
上限時間記憶部123は、前記記憶媒体によって構成されており、上限時間を記憶する。上限時間とは、後述する必須停止事由によるPTP機10の停止時間として許容される最大の時間をいう。上限時間は、メイン入力部122を利用して変更可能である。本実施形態では、上限時間記憶部123において、停止事由(特に後述する必須停止事由)ごとに単位時間当たり(例えば1日当たり)の上限時間が記憶されている(
図8参照)。
【0069】
停止情報受取部124は、PTP機10の停止に係る情報を該PTP機10から受取る。本実施形態において、停止情報受取部124は、PTP機10の停止に係る情報として、停止終了信号、第一異常停止信号、第二異常停止信号、通常停止信号、停止終了時刻信号、停止開始時刻信号及び要因特定用信号をPTP機10から受取可能である。
【0070】
時刻特定部125は、PTP機10の停止時刻、すなわち、PTP機10の停止が開始された時刻(停止開始時刻)と、PTP機10の停止が終了した時刻(停止終了時刻)とを特定する。
【0071】
より詳しくは、時刻特定部125は、停止情報受取部124が停止終了時刻信号を受信した場合には、該信号に基づき、PTP機10の停止終了時刻を特定する。一方、時刻特定部125は、停止情報受取部124が停止開始時刻信号を受信した場合には、該信号に基づき、PTP機10の停止開始時刻を特定する。
【0072】
取得部126は、PTP機10(特に制御装置45)やメイン入力部122、後述するサブ入力部132からの入力に基づき、停止要因装置情報及び停止事由を取得する。停止事由には、必須停止事由及び削減可能停止事由が含まれる。
【0073】
必須停止事由とは、シート製品9の生産に必要な事由をいう。必須停止事由としては、例えば、「清掃」、「休憩」、「品種切換」、「ロット切換」、「定期メンテナンス」、「生産準備」、「生産指示待ち」などを挙げることができる。
【0074】
例えば、「品種切換」は、製造されるPTPシート1の品種を切換えるための作業をいい、「ロット切換」は、PTPシート1やシート製品9のロット番号を切換えるための作業をいう。また、「生産準備」は、シート製品9の生産に必要な各種準備作業をいい、「生産指示待ち」は、準備作業などの後において、管理者などからの生産開始指示を待っている状態をいう。
【0075】
削減可能停止事由とは、停止事由のうち、シート製品9の生産に不必要であって削減することが可能な事由をいう。削減可能停止事由としては、例えば、「ワーク詰まり」、「材料継ぎ失敗」、「スクラップ満杯」、「シリンダ動作異常」、「シール温度異常」、「スリッタ調整」、「検査装置の調整」及び「製品の状態精度確認」などを挙げることができる。
【0076】
「ワーク詰まり」は、PTPシート1やシート結束体7、シート収容袋8などのワークが搬送経路にて詰まって、下流に搬送されない状態となったことを意味する。「材料継ぎ失敗」は、フィルム自動継ぎ装置12による容器フィルム3の接続に失敗が生じたことを意味する。「スクラップ満杯」とは、スクラップ用ホッパ43に貯留されたスクラップが限度量を超えたことを意味する。「シリンダ動作異常」とは、PTP機10における所定の装置(例えば加熱ロール25a等)を作動させるためのシリンダに関連する異常が生じたことを意味する。「シール温度異常」とは、シール装置25によるフィルム3,4の加熱温度に異常が生じたことを意味する。尚、これらの異常は、図示しないセンサ等によって自動的に検知することができる。上記のような異常が検知されると、制御装置45によってPTP機10の稼働が自動的に停止される。
【0077】
また、「スリッタ調整」は、スリット形成装置33に対する調整作業を意味する。「検査装置の調整」は、検査装置22における検査条件などの調整作業を意味する。「製品の状態精度確認」は、オペレータ等が製造されたPTPシート1やシート製品9の状態を確認する作業をいう。これら作業を行う際には、オペレータ等の操作によってPTP機10の稼働が停止されることがある。
【0078】
取得部126の説明に戻る。取得部126は、停止情報受取部124が要因特定用信号を受信したときには、この要因特定用信号に基づき停止要因装置情報及び停止事由を取得する。
【0079】
一方、取得部126は、停止情報受取部124が通常停止信号を受信したときには、後述する停止情報入力画面151を用いて、各入力部122,132によって入力された停止要因装置情報及び停止事由を取得する。停止情報入力画面151及びこれを用いた情報の入力については、後に説明する。
【0080】
記憶部127は、前記記憶媒体によって構成されており、各種情報の記憶を行う。記憶部127は、取得部126が停止要因装置情報などを取得すると、取得部126によって取得された情報(停止要因装置情報及び停止事由)と、時刻特定部125により特定された停止時刻(停止開始時刻及び停止終了時刻)とを関連付けて記憶する(
図9参照)。つまり、PTP機10の停止が生じたとき、記憶部127には、その停止の要因となった装置を示す情報と、その停止の理由と、その停止時刻(停止開始時刻及び停止終了時刻)とが関連付けて記憶される。また、後述する管理者入力欄151bを利用して情報が入力されたときには、この情報も関連付けて記憶される。尚、これら情報は、より正確には、記憶部127における所定のファイルに記憶される
事由分類部128は、停止事由を、必須停止事由又は前記削減可能停止事由に分類し、その分類結果を記憶部127に記憶する。
【0081】
停止事由の分類について詳述すると、事由分類部128は、停止事由などが記憶部127に記憶されるときに、基本的には記憶部127などに予め記憶された所定のデータテーブルを用いて、その停止事由を必須停止事由又は削減可能停止事由に分類する。前記データテーブルは、停止事由ごとに、その停止事由が必須停止事由であるのか、又は、削減可能停止事由であるのかを決定するための情報を有している。
【0082】
但し、事由分類部128は、所定のタイミング(例えば予め決められた1の時刻)で、各必須停止事由に係るPTP機10の各停止時間(例えば1日分の合計停止時間)を、該PTP機10の停止時刻(停止開始時刻及び停止終了時刻)から算出する。その上で、事由分類部128は、算出した必須停止時間に係る停止時間と、(上限時間記憶部123に記憶された)該必須停止事由についての上限時間とを比較し、停止時間が上限時間を超過する場合に、その超過した停止時間に係る必須停止事由を削減可能停止事由に分類する。例えば、「品種切換」という停止事由は、基本的には必須停止事由に分類されるが、作業に時間を要すること等により「品種切換」に係る停止時間が上限時間を超過したときには、その超過した停止時間に係る「品種切換」は削減可能停止事由に分類される(
図9の最下段参照)。
【0083】
また、事由分類部128は、必要に応じて、超過した停止時間に係る停止事由の変更を行う。例えば、事由分類部128は、「品種切換」から「品種切換超過」といった停止事由に変更し、変更内容を記憶部127に記憶させる(
図9の最下段参照)。
【0084】
さらに、上記のように、基本的には必須停止事由と分類される停止事由が削減可能停止事由と分類されたときには、メイン表示制御部129による表示制御によって、メイン表示部121において超過対応入力画面152(
図10参照)が表示可能となる。この超過対応入力画面152は、停止時間の超過が生じる要因となった装置を示す停止要因装置情報を入力するために利用される。
【0085】
そして、この超過対応入力画面152を用いて、その停止事由に係る停止要因装置情報が入力されると、入力された情報が記憶部127に記憶される。例えば、「品種切換」に係る停止時間が上限時間を超過した場合において、その超過が「ピロー機」に起因して生じた場合には、停止要因装置情報として「ピロー機」という情報が入力されて記憶される(
図9の最下段参照)。
【0086】
メイン表示制御部129は、メイン表示部121にて表示される情報を制御する。メイン表示制御部129は、
図11に示すように、通常、メイン表示部121にて基本画面153を表示させる。
【0087】
基本画面153には、記憶部127に記憶された情報に基づき、PTP機10の停止時刻、PTP機10の停止要因となった装置(停止要因装置)、PTP機10の停止事由、停止事由の分類(必須停止事由又は削減可能停止事由)が表示される。本実施形態では、停止時刻の順に、停止要因装置などの各種情報が並ぶように設定されている。勿論、基本画面153にて表示される情報やその並び順については適宜変更してもよい。
【0088】
また、メイン表示制御部129は、停止情報受取部124が通常停止信号を受け取ったときには、
図12に示すように、メイン表示部121にて停止情報入力画面151を表示させることが可能となる。
【0089】
停止情報入力画面151には、停止要因装置情報及び停止事由を入力するための複数の停止情報入力ボタン151aと、管理者名などを入力するための管理者入力欄151bと、オペレータ等が自由に情報を入力するための自由入力ボタン151cと、状態表示欄151dとが設けられている。
【0090】
停止情報入力ボタン151aは、PTP機10や集積機51、「全体」等に対応するそれぞれの枠の中に配置されており、停止事由を示すための文字などが付されている。尚、「全体」とは、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54の全体を意味する。例えば、「清掃」に起因するPTP機10の停止が生じたときには、メインタブレットPC111に対し、「全体」の枠の中に位置する「清掃」と表示されたボタンが操作されることで、停止要因装置情報として「全体」が入力され、停止事由として「清掃」が入力される。
【0091】
管理者入力欄151bは、生産ライン200の管理者やオペレータ等を特定するための情報を入力するための欄である。この欄に氏名などの情報が入力された上で、停止情報入力ボタン151aが操作されることで、メインタブレットPC111に対し、停止要因装置情報や停止事由とともに、管理者やオペレータ等に関する情報が入力される。
【0092】
自由入力ボタン151cは、例えばPTP機10の停止要因に関する詳細や、稼働の再開のために行った対応などの情報を記入するためのファイルを呼び出すためのボタンである。このファイルは、記憶部127に保存された、停止要因装置情報などをそれぞれ関連付けて記憶するものである。このファイルに情報を入力することで、この入力された情報と停止要因装置情報等とを関連付けて記憶させることができる。
【0093】
状態表示欄151dは、PTP機10の状態や、停止情報入力ボタン151aを用いた停止要因装置情報等の入力有無などを表示する。例えば、PTP機10が稼働中であれば、「生産中」といった表示がなされる。また、停止要因装置情報等が入力されていない場合には、「選択無」といった表示がなされる。
【0094】
さらに、メイン表示制御部129は、停止情報受取部124が第一異常停止信号又は第二異常停止信号を受け取ったときにも、メイン表示部121にて停止情報入力画面151を表示させる。但し、この場合には、停止情報入力ボタン151aを用いた、停止要因装置情報及び停止事由の入力を行うことができないように、停止情報入力画面151の調整などが行われる。
【0095】
さらに、メイン表示制御部129は、上記の通り、基本的には必須停止事由に分類される停止事由が削減可能停止事由と分類されたときには、メイン表示部121にて超過対応入力画面152(
図10参照)を表示させることが可能となる。
【0096】
超過対応入力画面152には、停止要因装置情報を入力するための装置入力欄152aと、入力決定ボタン152bとが設けられている。装置入力欄152aにおいては、「PTP機」、「集積機」、「バンド機」、「ピロー機」、「箱詰め機」又は「全て」が選択可能とされる。そして、装置入力欄152aにて装置を選択した上で、最終的に入力決定ボタン152bが操作されることにより、停止要因装置情報が入力される。
【0097】
次に、サブタブレットPC112について説明する。
図7に示すように、サブタブレットPC112は、サブ表示部131、サブ入力部132及びサブ表示制御部133を備えている。尚、これらの各機能は、メインタブレットPC111と同様に、各種ハードウェア及びソフトウェアにより実現される。サブタブレットPC112は、メインタブレットPC111との間で無線通信可能に構成されている。
【0098】
サブ表示部131は、タッチパネルによって構成されており、各種情報を表示する。本実施形態において、サブ表示部131には、サブ表示制御部133による制御によって、メイン表示部121にて表示されている情報と同様の情報(例えば、停止情報入力画面151等)が表示されるようになっている。
【0099】
サブ入力部132は、タッチパネルによって構成されており、サブタブレットPC112に対する情報の入力に利用される。本実施形態では、サブ入力部132によって入力された情報は、メイン入力部122によって入力された情報と同様に扱われる。従って、例えば、サブ表示部131に表示された停止情報入力画面151を用いて、サブ入力部132により停止要因装置情報及び停止事由を入力したときには、これら情報は、サブタブレットPC112からメインタブレットPC111へと送信される。送信された停止要因装置情報などは取得部126によって取得された上で、記憶部127に記憶される。本実施形態では、停止要因装置情報及び停止事由を入力するための入力部122,132、及び、停止要因装置情報及び停止事由を含む要因特定用信号を入力するPTP機10(特に制御装置45)によって「入力手段」が構成される。
【0100】
サブ表示制御部133は、メインタブレットPC111からサブタブレットPC112に送られた表示制御に係る情報に基づき、サブ表示部131における表示を制御する。
【0101】
次に、管理用PC113について説明する。管理用PC113は、生産ライン200の管理者等が解析システム100によって収集された情報の確認・分析などを行うために利用される。管理用PC113は、管理用表示部141、管理用入力部142、記憶部143、停止時間算出部144及び管理用表示制御部145を備えている。管理用PC113は、メインタブレットPC111との間で無線通信可能に構成されている。本実施形態では、管理用表示部141が「表示手段」を構成し、停止時間算出部144が「停止時間算出手段」を構成する。
【0102】
管理用表示部141は、例えば液晶ディスプレイ等により構成されており、記憶部143に記憶された情報などの各種情報を表示する。
【0103】
管理用入力部142は、例えばキーボードやマウスなどから構成されており、管理用PC113に対する情報の入力に用いられる。
【0104】
記憶部143は、メインタブレットPC111の記憶部127が保有する情報と同一内容の情報を記憶する。本実施形態では、記憶部127に対し情報を記憶する際に、その情報と同内容の情報がメインタブレットPC111から管理用PC113に送信される。そして、その送信された情報が記憶部143にて記憶されることで、記憶部143は、基本的には、前記記憶部127が保有する情報と同一内容の情報を記憶した状態となっている。本実施形態では、記憶部143が「記憶手段」を構成する。
【0105】
停止時間算出部144は、停止要因装置情報、停止事由、又は、停止要因装置情報及び停止事由の組合わせを抽出対象要素として、記憶部143に記憶された情報(
図9参照)に基づき、抽出対象要素ごとに、抽出対象要素に起因したPTP機10の停止時間(例えば1日分の合計停止時間など)を算出する。例えば、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合、停止時間算出部144は、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54ごとに、これら装置に起因したPTP機10の停止時間を算出可能である。尚、このような停止時間として、管理者等が指定した一定期間分の停止時間を算出可能としてもよい。
【0106】
また、停止時間算出部144は、抽出対象要素ごとに、必須停止事由に係る停止時間と削減可能停止事由に係る停止時間とを算出することが可能である。例えば、停止要因装置情報を抽出対象要素とした場合、停止時間算出部144は、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54ごとに、これら装置に起因したPTP機10の停止時間のうち、必須停止事由に係る時間と削減可能停止事由に係る停止時間とをそれぞれ算出することができる。
【0107】
管理用表示制御部145は、管理用表示部141にて表示される情報を制御する。管理用表示制御部145は、
図13に示すように、管理用表示部141にて条件指定画面154を表示させることが可能である。
【0108】
条件指定画面154は、抽出対象要素と、停止時間算出部144によって算出される、抽出対象要素に対応する停止時間とを管理用表示部141にて表示するために用いられる。条件指定画面154には、例えば、抽出対象要素を指定するための要素指定欄154aと、停止事由の種類を選択するための事由選択欄154bと、入力決定ボタン154cとが設けられている。
【0109】
要素指定欄154aでは、抽出対象要素を選択可能である。抽出対象要素は、上記の通り、停止要因装置情報、停止事由、又は、停止要因装置情報及び停止事由の組合わせであり、計3種類である。
【0110】
事由選択欄154bでは、停止事由の種類を選択可能である。選択可能な停止事由の種類は、必須停止事由、削減可能停止事由又はこれら事由の双方である。
【0111】
そして、最終的に入力決定ボタン154cが操作されることで、各欄154a,154bにおいて選択された情報が管理用PC113に取り込まれ、その情報に基づき、停止時間算出部144によってPTP機10の停止時間が算出される。
【0112】
その上で、管理用表示制御部145は、管理用表示部141において、算出された停止時間の大小に応じた順序で、抽出対象要素及び停止時間を表示させる。
【0113】
例えば、要素指定欄154aにて「停止要因装置」が選択され、事由選択欄154bにて「削減可能停止事由」が選択された状態で入力決定ボタン154cが操作されると、停止時間算出部144によって、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54ごとに、これら装置に起因したPTP機10の停止時間のうち削減可能停止事由に係る停止時間が算出される。その上で、管理用表示制御部145によって、例えば
図14に示すように、算出された停止時間の大小に応じた順序で、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54(つまり抽出対象要素)と、これら装置に係るPTP機10の各停止時間とが管理用表示部141にて表示される。
【0114】
また、例えば、要素指定欄154aにて「停止事由」が選択され、事由選択欄154bにて「削減可能停止事由」が選択された状態で入力決定ボタン154cが操作されると、停止時間算出部144によって、停止事由ごとに、これら停止事由に起因したPTP機10の停止時間のうち削減可能停止事由に係る停止時間が算出される。その上で、管理用表示制御部145によって、例えば
図15に示すように、算出された停止時間の大小に応じた順序で、各停止事由と、該停止事由に係るPTP機10の各停止時間とが管理用表示部141にて表示される。
【0115】
さらに、例えば、要素指定欄154aにて「停止要因装置+停止事由」が選択され、事由選択欄154bにて「削減可能停止事由」が選択された状態で入力決定ボタン154cが操作されると、停止時間算出部144によって、停止要因装置情報及び停止事由の組合わせごとに、これら組合わせに起因したPTP機10の停止時間のうち削減可能停止事由に係る停止時間が算出される。その上で、管理用表示制御部145によって、例えば
図16に示すように、算出された停止時間の大小に応じた順序で、停止要因装置情報及び停止事由の組合わせと、該組合わせに係るPTP機10の各停止時間とが管理用表示部141にて表示される。
【0116】
また、例えば、要素指定欄154aにて「停止要因装置」が選択され、事由選択欄154bにて「必須停止事由」が選択された状態で入力決定ボタン154cが操作されると、PTP機10、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54ごとに、これら装置に起因したPTP機10の停止時間のうち必須停止事由に係る停止時間が算出される。そして、例えば
図17に示すように、管理用表示部141において、算出された停止時間の大小に応じた順序で、停止要因装置情報などが表示される。
【0117】
以上詳述したように、本実施形態によれば、PTP機10の停止時間を長いものとする抽出対象要素、すなわち、生産ライン200の稼働率に対し特に影響を与えている要素であり、稼働率の効果的な向上という点で特に改善すべき要素をより容易にかつより正確に把握することができる。
【0118】
また、生産ライン200の停止が生じたときに解析システム100へと人手で入力すべき情報は、多くても(取得部126が取得するための)停止要因装置情報及び停止事由で済む。従って、煩雑な入力作業が不要となり、生産ライン200の管理に係る利便性の向上などを図ることができる。
【0119】
加えて、事由分類部128によって、停止事由を、必須停止事由と削減可能停止事由とに分類することができる。そして、管理用表示部141において、削減可能停止事由に係る停止時間の大小に応じた順序で、抽出対象要素を表示することができる。従って、PTP機10の停止時間を長いものとする抽出対象要素であって、削減可能停止事由に係るもの、すなわち、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素であって、改善に伴う影響がシート製品9の生産に及ばない(シート製品9の生産に必ずしも必要ではない)要素をより容易にかつより正確に把握することができる。
【0120】
さらに、事由分類部128は、必須停止事由に係るPTP機10の停止時間のうち上限時間を超過した停止時間に対応する停止事由を、削減可能停止事由に分類することができる。これにより、例えば、品種切換や定期メンテナンスなどの作業(つまり必須停止事由)に起因してPTP機10が停止した場合において、その作業が上限時間内に終了しなかったときには、上限時間を超過した停止時間(作業時間)に対応する停止事由を削減可能停止事由として扱うといったことが可能となる。従って、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素を一層容易にかつ一層正確に把握することができる。また、改善すべき要素の見落としをより確実に防止することができる。
【0121】
加えて、取得部126は、「入力手段」としてのPTP機10(制御装置45)から入力される要因特定用信号に基づき、停止要因装置情報及び停止事由を取得することができる。従って、停止事由などを人手で入力することによる手間やミスが少なくなり、生産ライン200の管理に係る利便性向上などをより効果的に図ることができる。
【0122】
また、PTP機10及び後工程装置のうちのPTP機10のみが、メインタブレットPC111との間で通信可能とされている。従って、後工程装置を同様に通信可能とする場合と比べて、解析システム100をより簡素化することができるとともに、解析システム100の製造やメンテナンス等に係るコストを効果的に低減させることができる。
【0123】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0124】
(a)上記実施形態において、事由分類部128は、必須停止事由に係るPTP機10の停止時間と、上限時間記憶部123に記憶されたその停止事由についての上限時間とを比較し、停止時間が上限時間を超過する場合に、その超過した停止時間に対応する停止事由を削減可能停止事由に分類する。
【0125】
これに対し、事由分類部128は、必須停止事由のうち、上限回数記憶部123a(
図18参照)に記憶された上限回数を超過した回数に対応する停止事由を、削減可能停止事由に分類可能なものであってもよい。上限回数記憶部123aには、停止事由(特に必須停止事由)ごとに、必須停止事由に係るPTP機10の停止回数として許容される、単位時間当たり(例えば1日当たり)の上限回数が設定されている(
図19参照)。本例では、上限回数記憶部123aが「上限回数記憶手段」を構成する。このように事由分類部128を構成することで、上限回数記憶部123aにおいて「品種超過」に対応する上限回数が例えば1回に設定されていると、1日に「品種切換」に伴うPTP機10の停止が3回あったときには、2回目及び3回目に対応する「品種切換」は削減可能停止事由に分類されることとなる。そのため、稼働率の効果的な向上という点で改善すべき要素を一層容易にかつ一層正確に把握することができる。また、改善すべき要素の見落としをより確実に防止することができる。
【0126】
尚、事由分類部128は、上限時間及び上限回数の双方を利用して、必須停止事由を削減可能停止事由に分類可能なものであってもよい。
【0127】
(b)上記実施形態において、取得部126は、PTP機10や後工程装置(集積機51)等の異常に伴いPTP機10が停止したときには、要因特定用信号に基づき、停止要因装置情報及び停止事由を自動的に取得するように構成されている。これに対し、PTP機10や後工程装置(集積機51)等の異常に伴いPTP機10が停止したときには、オペレータ等が入力部122,132によって停止要因装置情報などをメインタブレットPC111へと入力するものとし、その入力に基づき取得部126が停止要因装置情報などを取得するように構成してもよい。
【0128】
(c)上記実施形態では、タブレットPC111,112を2台設ける例を挙げているが、1台又は3台以上のタブレットPCを設けてもよい。タブレットPCを1台のみ設ける場合には、この1台のタブレットPCが上記実施形態におけるメインタブレットPC111として機能するように構成してもよい。また、タブレットPCを3台以上設ける場合には、1のタブレットPCが上記メインタブレットPC111として機能し、その他のタブレットPCが上記サブタブレットPC112として機能するように構成してもよい。
【0129】
勿論、タブレットPC以外のコンピュータ(例えばノートパソコンなど)を用いてもよい。
【0130】
(d)上記実施形態において、事由分類部128や上限時間記憶部123は、メインタブレットPC111に設けられているが、これらを管理用PC113に設けるようにしてもよい。つまり、停止事由の分類機能を管理用PC113に設けてもよい。この場合には、記憶部143に記憶された情報を対象として停止事由の分類が行われる。
【0131】
また、管理用PC113は、生産ライン200の設置場所から離れた遠隔地に設置してもよい。
【0132】
(e)上記実施形態では、PTP機10及びメインタブレットPC111間で通信可能に構成されており、後工程装置(集積機51等)の異常に伴いPTP機10が停止したときに、後工程装置からではなく、PTP機10からメインタブレットPC111へと各種信号が送信されるように構成されている。これに対し、後工程装置に通信装置を設けることによって後工程装置及びメインタブレットPC111間で通信可能に構成し、後工程装置の異常に伴いPTP機10が停止したときには、該後工程装置からメインタブレットPC111に対し各種信号(例えば、要因特定用信号など)が直接送信されるように構成してもよい。
【0133】
(f)上記実施形態において、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54は、その直上流の装置に対し停止指令を送るものとされているが、PTP機10に対し停止指令を直接送るものであってもよい。この場合、PTP機10によって、停止指令を発信した後工程装置以外の後工程装置を停止させるように構成してもよい。
【0134】
(g)上記実施形態では、後工程装置として、集積機51、バンド機52、ピロー機53及び箱詰め機54を挙げているが、後工程装置はこれらに限定される訳ではなく、適宜変更してもよい。
【0135】
(h)各種資料や報告書などの書面データにおける適切な位置に、記憶部127,143に記憶された情報を自動的に埋め込んで、該書面データの作成を補助する機能を設けてもよい。尚、前記書面データは、例えばブラウザや表計算ソフトなどの汎用性のあるアプリケーションを利用して表示可能なものであることが好ましい。
【0136】
(i)上記実施形態では、1の停止時刻(停止開始時刻及び停止終了時刻)に対し1の停止事由のみが対応するようになっているが、1の停止時刻に対し複数の停止事由が対応可能となるように構成してもよい。例えば、停止開始時刻が16:00であり、停止終了時刻が16:50である場合に、16:00~16:30に対し1の停止事由が対応し、16:30~16:50に対しその他の停止事由が対応可能となるように構成してもよい。
【0137】
(j)上記実施形態では、管理用PC113のみが、停止時間の大小に応じた順序で抽出対象要素等を表示する機能を有しているが、タブレットPC111,112がこの機能を持つようにしてもよい。
【0138】
(k)上記実施形態では、各種表(例えば
図14~17の表)を用いて、停止時間の大小に応じた順序で停止要因装置情報などが表示されるように構成されているが、情報の表示態様については適宜変更可能である。例えば、グラフなどを用いて停止要因装置情報などが表示されるように構成してもよい。
【0139】
(l)上記実施形態において、取得部126は、要因特定用信号に基づき、停止要因装置情報及び停止事由の双方を取得するように構成されているが、両者のうちの一方のみを取得するように構成されていてもよい。
【0140】
(m)上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0141】
(n)上記実施形態では、PTP機10の稼働中に停止情報入力画面151が表示されないように構成されているが、該画面151を表示させた上で停止情報入力ボタン151aを用いた、停止要因装置情報及び停止事由の入力を行うことができないように構成してもよい。
【0142】
(o)上記実施形態において、停止情報受取部124が第一異常停止信号又は第二異常停止信号を受け取ったときには、停止情報入力ボタン151aを用いた、停止要因装置情報及び停止事由の入力を行うことができないようになっているが、停止情報入力ボタン151aを用いた、停止要因装置情報及び停止事由の入力を可能としてもよい。この場合には、例えば第一異常停止信号又は第二異常停止信号を停止情報受取部124が受け取るとともに生産ライン200が停止した後に、生産ライン200を再稼働することなく(例えば生産ライン200を再稼働する前に)「清掃」や「休憩」を行うときの記録が容易になる。
【符号の説明】
【0143】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、9…シート製品、10…PTP機(ブリスタシート製造装置、入力手段)、16…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、21…充填装置(充填手段)、25…シール装置(取着手段)、37…シート打抜装置(打抜手段)、51…集積機(後工程装置)、52…バンド機(後工程装置)、53…ピロー機(後工程装置)、54…箱詰め機(後工程装置)、100…解析システム、111…メインタブレットPC(情報処理装置)、122…メイン入力部(入力手段)、123…上限時間記憶部(上限時間記憶手段)、123a…上限回数記憶部(上限回数記憶手段)、125…時刻特定部(時刻特定手段)、126…取得部(取得手段)、132…サブ入力部(入力手段)、141…管理用表示部(表示手段)、143…記憶部(記憶手段)、144…停止時間算出部(停止時間算出手段)、200…シート製品生産ライン。