(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100404
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】配管の抜き工法
(51)【国際特許分類】
F16L 1/028 20060101AFI20230711BHJP
F16L 55/40 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F16L1/028 N
F16L55/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001059
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桶川 智也
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰人
(57)【要約】
【課題】配管を確実に抜くことができる配管の抜き工法を提供する。
【解決手段】管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている配管10を前記管軸方向で抜く配管の抜き工法であって、前記配管10を前記管軸方向の一方端部を前、他方端部を後として前記管軸方向の一方側へ抜く抜き工程を備え、前記抜き工程は、前記配管10の前記他方端部の管端面を一方側へ押し、且つ前記配管10の前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くことで、前記配管10を前記管軸方向の一方側へ抜く配管10の抜き工法である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている配管を前記管軸方向で抜く配管の抜き工法であって、
前記配管を前記管軸方向の一方端部を前、他方端部を後として前記管軸方向の一方側へ抜く抜き工程を備え、
前記抜き工程は、前記配管の前記他方端部の管端面を一方側へ押し、且つ前記配管における前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くことで、前記配管を前記管軸方向の一方側へ抜く工程である配管の抜き工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を抜く配管の抜き工法に関する。
【背景技術】
【0002】
管軸方向の少なくとも途中部分がコンクリート中に埋設された配管を引き抜くための装置として、例えば、特許文献1に記載の管の引き抜き工具がある。この管の引き抜き工具は、内周面が引き抜かれる管の外周面と接触して該管を保持し且つ外周面をテーパ状としたコマと、一方のプレートと前記管を通し且つ周囲に前記コマが嵌る程度の穴が穿設してある他方のプレートとを3本のボルトで連結し、ナットで組み立て締め付けて構成され、前記コマを保持する管ホルダと、前記一方のプレートに連結されたシリンダ用シャフトと、油圧により前記シリンダ用シャフトを上方向に持ち上げるシリンダと、前記シリンダを設置した一方のプレートと床の上に設置する他方のプレートとを連結する3本のボルトとナットとで構成されるシリンダホルダと、で構成されている。
【0003】
前記構成によれば、前記シリンダの油圧を抜いて前記管ホルダを最下部に位置する状態とし、前記コマを管の外周面に当てて前記管ホルダの前記他方のプレートを取り付け、前記シリンダに油圧をかけてシリンダ用シャフトを上に移動させると、前記他方のプレートが前記コマのテーパ状の外周面に係止し、前記管ホルダが上方向に移動し、前記コマは前記管に食い込みつつ前記管ホルダの上へ移動するとともに前記管も上方向に移動する。こうして古い管を引き抜くことができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記管の引き抜き工具を用いて前記管を引き抜く場合、引き抜く対象の管が長かったり劣化していたりすると、引き抜きの途中で前記管が破断し、管の一部がコンクリート中に残ってしまうおそれがあった。なお、このような問題は、上方向への管の引き抜きを行う場合に限らず、管を抜く場合全般で生じていた。さらに、このような問題は、管の一部がコンクリート中に埋設されている場合に限らず、例えば、管が天井の裏面や床下のスラブ上に設けられることで隠蔽されている場合にも生じ、即ち、管軸方向の途中部分が覆われた管を抜く場合全般で生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、配管を確実に抜くことができる配管の抜き工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている配管を前記管軸方向で抜く配管の抜き工法であって、前記配管を前記管軸方向の一方端部を前、他方端部を後として前記管軸方向の一方側へ抜く抜き工程を備え、前記抜き工程は、前記配管の前記他方端部の管端面を一方側へ押し、且つ前記配管における前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くことで、前記配管を前記管軸方向の一方側へ抜く工程である配管の抜き工法である。
【0008】
前記工法によれば、前記抜き工程では、前記配管の前記他方端部の管端面を前記一方側に押し、且つ前記配管における前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くので、前記配管を前記管軸方向の一方側へ抜くときに、前記配管が前記管軸方向で破断することを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
よって、本発明によれば、前記配管の前記他方端部の管端面を前記一方側に押し、且つ前記配管の前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引いて前記配管を前記管軸方向の一方側へ抜くため、前記配管を確実に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る配管の抜き工法を適用する配管の断面図であって、索体本体を挿通した配管の断面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る配管切断装置を示す配管の断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る切断刃切断工程を示す配管の断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る配管の配管抜き取り工程を示す配管の断面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る配管の出口側抜き工程を示す配管の断面図であって、(a)は残存配管切断工程を示し、(b)は工具抜き取り工程を示し、(c)は配管抜き取り工程を示す図である。
【
図6】
図6は、同実施形態における切断部の正面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る中間抜き工程を示す配管の断面図であって、索体を挿通した配管の断面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る配置工程を示す配管の断面図であって、(a)は、他方側配置工程を示し、(b)は、一方側配置工程を示す。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る配管抜き取り工程を示す配管の断面図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る引き具の半断面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係る押し具の半断面図である。
【
図13】
図13は、別形態に係る引き具の半断面図であって、(a)は、引掛け部が収納された状態を示し、(b)は、引掛け部が突出した状態を示す。
【
図14】
図14は、別形態に係る引き手段の正面図あって、(a)は、引掛け部が収納された状態を示し、(b)は、引掛け部が突出した状態を示す。
【
図15】
図15は、別形態に係る引き手段を示す図であり、引き具の半断面図である。
【
図16】
図16は、別形態に係る押し手段を示す図であり、引き具の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る配管の抜き工法を、
図1乃至
図11を参照して説明する。この配管の抜き工法は、例えば、保護管9の内部に配置された既設の配管(以下、単に配管と称す)である旧内部配管10を、配管切断装置20(
図2参照)で周方向に切断して、管軸方向に分割して抜き取った後に、配管10に代わって保護管9の内部に配置される新配管(図示しない)に更新する配管更新方法として用いられる。
【0012】
以下の説明において、管軸方向とは配管10の軸方向に沿った方向であり、管軸方向には一方側と他方側とが規定される。ここで、管軸方向の一方側とは、保護管9から配管10を抜く方向における前側となる部分であり、管軸方向の他方側とは、保護管9から配管10を抜く方向における後側となる部分である。また、配管更新を行う作業者から見て、管軸方向で近い側を「手前側」と、遠い側を「奥側」と称する。なお、以下、説明の便宜上、
図1に示すように、配管10の左側の端部を「入口4」、配管10の右側の端部を「出口5」と称する。
【0013】
図1に示すように、建物における既設配管1(例えば、給湯配管および給水配管)は、保護管9と、保護管9の内部に配置された配管10とから構成される。配管10は、管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている。本実施形態の配管10は、保護管9に挿通されることで管軸方向の途中部分が覆われている。
【0014】
保護管9は、例えば発泡樹脂製の断熱材からなる。既設配管1は管状とされ、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管等から構成されたフレキシブルな配管10を、保護管9に挿通して形成される。配管10は、可撓性を有し、湾曲させることができる。新配管は、配管10と同じく、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等により形成されており、管軸方向で湾曲できるフレキシブルな配管である。
【0015】
本実施形態に係る配管更新方法を具体的に説明すると、(1)配管更新の前段階としての準備工程と、(2)配管10を保護管9から抜く抜き工程と、(3)抜き工程の後、新配管を配管挿入具により、奥側から手前側に引っ張って挿入する挿入工程と、を備えている。なお、この配管更新方法では、保護管9、配管10、及び新配管は、断面円形である。
【0016】
(1)準備工程について説明する。本実施形態の準備工程では、一本の既設配管1につき、既設配管1のうち床面に露出されている領域を、自由端とする。そのため、本実施形態の準備工程は、ヘッダー部材(図示せず)から既設配管1における配管10の一端部を外して入口4とし、水栓から既設配管1における配管10の他端部を外して出口5とする取り外しの工程である。なお、準備工程には、上記の説明以外に、配管更新を行うために必要な準備(例えば、配管切断装置20や新配管の用意)が含まれていてもよい。
【0017】
続いて、(2)抜き工程について説明する。抜き工程は、配管10を、保護管9から抜くことで取り除くための工程である。抜き工程は、配管10の抜き工法を適用して行われる。本実施形態の抜き工程では、配管10を周方向で切断して、管軸方向で切断配管10a,10d,10eに分離し、切断配管10a,10d,10eを保護管9から抜くことで、配管10を保護管9から抜く。ここで、本実施形態の説明では、出口5側に配置される残存配管10b(
図4参照)は、保護管9から抜くことが不可能であることを前提に説明する。そのため、本実施形態では、配管10を三つに分離して構成された切断配管10a,10d,10eを抜く場合を説明する。よって、本実施形態の抜き工程には、(2-1)入口側抜き工程と、(2-2)出口側抜き工程と、(2-3)中間抜き工程とが含まれる。
【0018】
(2-1)入口側抜き工程では、保護管9から切断配管10aを抜く。本実施形態では、作業者は、入口4側から切断配管10aを抜く。よって、入口側抜き工程の説明において、入口4側が管軸方向の一方側、且つ手前側であり、出口5側が管軸方向の他方側、且つ奥側となる。(2-1)入口側抜き工程には、(2-1A)配管切断工程と、(2-1E)配管抜き取り工程とが含まれる。
【0019】
図1~3に示すように、配管切断工程は、索体本体31を配管10に通す(2-1B)挿通工程と、挿通工程の後に行われて、切断部22を配管10の所定位置に配置される(2-1C)配置工程と、配置工程の後に行われて、切断部22により配管10の所定位置を切断する(2-1D)切断刃切断工程とを含むものとする。
【0020】
ここで、(2-1B)挿通工程、(2-1C)配置工程、(2-1D)切断刃切断工程について述べる前に、配管切断工程で用いる配管切断装置20について説明する。配管切断装置20は、次のような構成とされる。すなわち、
図2,3に示すように、駆動部23と、伝達軸24と、切断部22と、先行部25とを、入口4側から出口5側に向かって順に備える。
【0021】
図2に示すように、駆動部23は、伝達軸24を介して、切断部22に回転力を与える装置である。駆動部23として、一般的な回動式電動工具が用いられ、その本体26の先端には、駆動連結軸部(把手)27が着脱自在に連結される。
【0022】
伝達軸24は、駆動連結軸部27と、多重軸部28と、可撓性軸部29とを備えている。なお、駆動連結軸部27は、前述のように、駆動部23の本体26の先端に対して着脱自在に構成されている。
【0023】
多重軸部28は、駆動連結軸部27の軸線方向に延びた棒状の部材である。多重軸部28は、シャフト19(外軸部)と、シャフト19の内部に設けられる棒状の連結棒部(内軸部)19Aとを備える。シャフト19は金属製のフレキシブルチューブで構成されて、軸線方向に交差する径方向に可撓性を有する。シャフト19の先端には、後述する、可撓性軸部29を支持するよう構成された第一支持部35が配置されている。この第一支持部35は、可撓性軸部29よりも大径に構成され、且つ切断対象である配管10内に配置されるものであって、可撓性軸部29を支持するよう構成されている。具体的には、第一支持部35は、その外径が配管10の内径と同程度の大きさであり、配管10の内周面によって径方向への動きが規制されるように構成されている。また、第一支持部35は、径方向の中心で可撓性軸部29を支持しており、可撓性軸部29の少なくとも先端部が先端側へ突出するように支持されている。本実施形態では、第一支持部35は、可撓性軸部29の基端部を支持している。
【0024】
連結棒部19Aは、駆動連結軸部27の先端からシャフト19の先端まで設けられ、駆動連結軸部27の先端に連結されている。本実施形態において、連結棒部19Aは、自然状態において直線状のねじりコイルばねから構成される。そして、連結棒部19Aは、ねじりコイルばねから構成されているものの、シャフト19の内部に配置されていることにより、駆動部23からの回転駆動を受けて回転しても、可撓性の範囲としては、シャフト19の内周面と連結棒部19Aの外周面とで形成される隙間分だけの撓み量である。
【0025】
可撓性軸部29は、中心軸線が湾曲して撓むように可撓性を有しており、第一支持部35の管軸方向の他方側(出口5側)に、管軸方向の一定の領域の範囲で配置されている。本実施形態では、可撓性軸部29は、連結棒部19Aから管軸方向に延長された部分であり、可撓性軸部29は連結棒部19Aと一体形成されている。つまり、可撓性軸部29は、ねじりコイルばねから構成されている。あるいは、可撓性軸部29は、管軸方向の長さが異なる別部材として、連結棒部19Aを、ねじによって接続するようにした構成とすることもできる。
【0026】
このような可撓性軸部29は、径方向外側にはフリーな状態であるから、駆動部23からの回転によって、該回転に相当する分だけ回転する。可撓性軸部29の先端部には、切断部22を取付ける支持環36が外嵌されている。そして、支持環36(可撓性軸部29)の先端中央には、切断部22を入口4側で支持する杆状部材37が配置されている(
図6参照)。そして、杆状部材37の外周には、切断部22に螺合する雄ねじが形成されている。
【0027】
切断部22は、
図6に示すように、基部38と、切断刃部39とを備える。基部38は円筒状に形成され、管軸方向に延長されて、
図6に示すように、両側の一方基端端面40、他方基端端面41が管軸方向に直角となるよう、平行に形成されている。また、基部38の中心(一方基端端面40、他方基端端面41の間)には、中心孔42が形成され、中心孔42に雌ねじが形成されている。また、中心孔42の入口4側には、前記杆状部材37の雄ねじが螺合される。中心孔42の出口5側には、後述する一方連結体43の雄ねじが螺合される。
【0028】
切断刃部39は、基部38の中心軸線方向の一方側の外周面、すなわち一方基端端面40側から、基部38の径方向に沿って突出して一体的に形成されている。切断刃部39は、外径面44と、外径面44の回転方向(具体的には、
図6の切断部22を左側から見たときの反時計回りの方向)にあって、切断部22の回転を先行し、すくい面となる先行側面(採番しない)と、外径面44の反回転方向(具体的には、
図6の切断部22を左側から見たときの時計回りの方向)にあって、先行側面と対応する後行側面46と、管軸方向両側にある一方刃端面47、他方刃端面48とから構成される。先行側面は、基部38の径方向に立設される面である。
【0029】
また、外径面44と先行側面との接触部位が、配管10を内方から切断する刃先49とされている。外径面44は、刃先49から反回転方向に傾斜する傾斜面とされている。なお、刃先49を含む外径面44及び一方刃端面47,他方刃端面48の一部は、他の切断刃部39とは別体のビット(例えば超鋼から形成される)として設定される。
【0030】
図2,3に示すように、先行部25は、切断部22よりも配管10に先行して挿入される部分である。この先行部25は、先行連結部50と、索体51とを備えている。
【0031】
さらに、先行連結部50は、可撓性連結部52と、第二支持部53とを備える。可撓性連結部52は、切断部22の管軸方向の他方側に取付けられる前記一方連結体43と、一方連結体43に取付けられる可撓性連結部本体54と、可撓性連結部本体54に取付けられる他方連結体55とを、配管10の入口4から出口5に向かって順に備える。本実施形態では、可撓性連結部本体54は、一本のワイヤから構成される。また、可撓性連結部本体54は、管軸方向両側に、前述したように入口4側に配置された一方連結体43と、出口5側に配置された他方連結体55とを備えている。可撓性連結部本体54は、一方連結体43側、及び他方連結体55側に対して、可撓性連結部本体54を外嵌する環状部材56,56が、それぞれ配置されている。なお、環状部材56,56は、外周面が円形である。可撓性連結部本体54はワイヤから構成されているので、環状部材56,56の間は撓み易く、一方連結体43と環状部材56,56の間、及び他方連結体55と環状部材56,56の間は撓みにくい。ここで、可撓性連結部本体54において、環状部材56,56の間の撓み易い部分を易撓部56Aと称する。
【0032】
一方連結体43は、切断部22の管軸方向の他方側(出口5側)に取付けられて、可撓性連結部本体54を連結する部材である。一方連結体43には、切断部22の中心孔42の雌ねじに螺合する中心杆57が形成されている(
図6参照)。また、一方連結体43には、可撓性連結部本体54の端部を連結するための一方孔部58が形成されている。
【0033】
他方連結体55は、可撓性連結部本体54の管軸方向の他方側(出口5側)を支持し、また、後述する第二支持部53に連結された部材である。また、他方連結体55には、可撓性連結部本体54の端部を連結するための他方孔部59が形成されている。
【0034】
第二支持部53は、ベアリング治具から構成されている。第二支持部53は、蓋部60と治具本体61とを備えている。治具本体61は管軸方向の他方側(出口5側)で、連結体62に連結されている。治具本体61は、ベアリングによって蓋部60に連結されており、蓋部60と治具本体61とは、管軸方向において互いに相対回転自在に構成されている。この第二支持部53は、外周が円形状であり、可撓性連結部本体54よりも大径に構成されている。そして、第二支持部53は、切断対象の配管10内に配置されて、可撓性連結部本体54を支持するよう構成されている。具体的には、第二支持部53は、その外径が配管10の内径と同程度の大きさであり、配管10の内周面によって径方向への動きが規制されるように構成されている。また、第二支持部53は、径方向の中心で可撓性連結部52を支持している。
【0035】
索体51は、第二支持部53の治具本体61に取付けられた連結体62と、連結体62に連結された索体本体31とを備える。索体本体31はワイヤから構成され、配管10の内径より外径が細く形成されている。この索体本体31は、出口5に延長され、出口5に延長された部分が、駆動可能なウインチ等(図示せず)に巻回されている。
【0036】
次に(2-1B)挿通工程、(2-1C)配置工程、(2-1D)切断刃切断工程について述べる。まず、(2-1B)挿通工程は、前述のように、索体本体31を配管10に通す工程であり、この場合、挿通工程は、索体本体31を配管10の出口5から入口4に向かって通す工程である(
図1参照)。索体本体31は、配管10の内径より外径が細く形成されたワイヤである。このため、前記挿通が円滑である。
【0037】
(2-1C)配置工程について述べる。配置工程は、切断部22を、切断対象の配管10の管軸方向の途中位置である切断位置に配置する工程であり、可撓性軸部29の先端に切断部22を取り付けた組品を配管10内に入口4側から挿入することにより行われる。具体的には、配置工程は、
図2に示すように、切断部22を索体本体31に取付けて、配管10の内部の所定部位10cに配置させる工程である。配置工程では、入口4から突出された索体本体31の端部に、伝達軸24、切断部22、及び先行連結部50を組付けて構成される組付け品を取付ける。なお、伝達軸24、切断部22、先行連結部50どうしは、配管切断工程前に予め組付けておくことが好ましい。このとき、切断部22における基部38の中心孔42には、入口4側に杆状部材37の雄ねじが螺合され、中心孔42の出口5側に一方連結体43の雄ねじが螺合される。
【0038】
配置工程において、直接的には、入口4から突出された索体本体31に、連結体62が取付けられる。そして、前記ウインチを駆動して、索体本体31を配管10の内部に引込むように牽引させて、第二支持部53、可撓性連結部52、切断部22、可撓性軸部29、及び多重軸部28を配管10内に挿入する。牽引方向(挿入方向とも称す)として、
図2の矢印で示す。さらに索体本体31を牽引させて、切断部22を配管10の所定位置に配置する。この際、予め第二支持部53、可撓性連結部52、切断部22、可撓性軸部29、及び多重軸部28の管軸方向の長さを知ることで、切断部22が所定位置であるかどうかを知ることができる。ここで、配管10の切断位置となる切断部22の配置位置としては、配管10のうち、保護管9で覆われている途中部分の管軸方向のいずれかの位置であり、例えば、配管10の入口4から出口5側へ向けて、最初の湾曲部分を通過した辺りなどである。なお、本実施形態では、配管10を3つに切断して抜くため、最初の切断では、前記途中部分のうち、入口4側半分かそれより短い長さになるように切断する。そして、切断部22が所定位置に到達すると、索体本体31は牽引を停止した状態となり、これによって、切断部22は、可撓性軸部29と可撓性連結部52によって張られた状態となる。以上で、配置工程が完了する。
【0039】
(2-1D)切断刃切断工程について述べる。切断刃切断工程は、
図3に示すように、切断部22により配管10の所定位置を切断する工程である。なお、切断刃切断工程では、駆動連結軸部27に駆動部23が取付けられる。
【0040】
駆動連結軸部27に駆動部23が取付けられることによって、多重軸部28のシャフト19を固定したまま、連結棒部19Aが回転可能となり、したがって、連結棒部19Aに一体である可撓性軸部29が回転可能となる。また、配置工程では、索体本体31は牽引を停止されており、可撓性連結部52の可撓性連結部本体54は、ワイヤで構成されているから可撓性を備えている。したがって、駆動部23の回転駆動力によって、可撓性軸部29が回転すると、切断部22は、可撓性軸部29の中心軸線を中心に回転する。そして、可撓性軸部29の回転に連れ回るように、可撓性連結部本体54の易撓部56Aは、中心軸線を中心に回転する。このように、切断部22は、入口4側では可撓性軸部29に保持され、出口5側では可撓性連結部本体54(可撓性連結部52)に保持されて、配管10内で切断部22の回転中心CL(
図6参照)周りで回転する。
【0041】
なお、基部38の中心には中心孔42が形成されており、切断刃部39は、基部38の一方基端端面40側から突出しているため、切断部22の重心は基部38の中心にはなく、中心孔42の中心からずれた位置にある。しかしながら、切断部22は、中心孔42を通る杆状部材37、一方連結体43周りに回転するため、切断部22の重心の位置と切断部22の回転方向周りの回転とは関係が無い。すなわち、切断部22の回転中心CLと重心とは径方向で、ずれた配置となっている。
【0042】
配管10の中心軸線に可撓性軸部29の中心軸線を沿わせて配管10内に挿入された切断部22に対し、入口4側に配置された駆動部23から回転駆動力を与えて、該回転駆動力によって可撓性軸部29が中心軸線を中心に回転し、また、切断部22に対し、出口5側に配置された可撓性連結部本体54が可撓性連結部本体54の中心軸線を中心に回転することで、切断部22が可撓性軸部29、可撓性連結部本体54の回転と共にその回転中心周りで回転する。そして、可撓性軸部29と可撓性連結部本体54が、該回転の遠心力によって中心軸線が湾曲するように撓み、これにより、切断部22は、その回転中心が配管10の中心軸線(管軸)に対して、可撓性軸部29、可撓性連結部本体54の撓み分だけ径外方向に離れて、配管10の中心軸線の周囲を回動する。
【0043】
しかも、切断部22は、基部38に形成された中心孔42の入口4側には、杆状部材37の雄ねじが螺合され、出口5側には一方連結体43の雄ねじが螺合される。また、切断部22は回転方向に回転するように構成され、切断部22の刃先49は、基部38から突出されている。そして、切断部22を駆動部23の回転駆動力で回転させると、所定位置で、配管10を入口4側と出口5側とに切断できる。
【0044】
そして、駆動部23の回転駆動力により可撓性軸部29及び可撓性連結部本体54が撓んで、可撓性軸部29の先端部に取付けられた切断部22を撓み分だけ径外方向にずらして回動させて、配管10の内側に確実に当てることができるため、配管10を確実に切断できる。なお、切断刃切断工程では、配管10の途中部分のうち、入口4側の所定部分である切断配管10aは、残りの途中部分である残存配管10bよりも管軸方向の長さが短くなるように切断される。
【0045】
ところで、配管切断装置20は、駆動部23と切断部22との間に、可撓性軸部29よりも大径に構成され、且つ切断対象の配管10内に配置されて、可撓性軸部29を支持するよう構成された第一支持部35を備える。また、配管切断装置20は、切断対象の配管10内に配置されて、可撓性連結部本体54を支持するよう構成された第二支持部53を備える。
【0046】
よって、切断刃切断工程では、可撓性軸部29及び可撓性連結部本体54を中心軸線の周囲で回動させる際に、第一支持部35が可撓性軸部29を支持するように働き、第二支持部53が可撓性連結部本体54を支持するように働く。このため、第一支持部35及び第二支持部53が、可撓性軸部29及び可撓性連結部本体54の撓みの支点となるため、可撓性軸部29及び可撓性連結部本体54が確実に撓んで回転し、配管10を切断できる。
【0047】
なお、第二支持部53は、ベアリング治具から構成されており、蓋部60と治具本体61はベアリングによって連結されている。そして、蓋部60と治具本体61とは、管軸方向において互いに相対回転自在に構成されているため、可撓性連結部本体54が回転しても、索体本体31には回転力を与えない。そして、第一支持部35及び第二支持部53が位置保持されていても、切断部22は、入口4側と出口5側で可撓性の軸部で保持されているから充分に配管10内で撓み、切断部22が回転することで、配管10の所定部位10c(
図4参照)で切断することができる。すなわち、第一支持部35と第二支持部53(治具本体61)は、可撓性軸部29と可撓性連結部本体54の回転に対して非回転であり、配管10内で回転しない状態で可撓性軸部29と可撓性連結部本体54を支持している。また、第二支持部53は、可撓性軸部29や可撓性連結部本体54の回転を、索体本体31に伝達しないように縁切りする構成である。
【0048】
続いて、(2―1E)配管抜き取り工程について説明する。配管抜き取り工程では、配管10の抜き手段Aを用いる。そのため、(2-1E)配管抜き取り工程について述べる前に、配管10の抜き手段Aについて説明する。
【0049】
配管10の抜き手段Aは、例えば、保護管9に挿通されている配管10を、管軸方向に沿って保護管9から抜くためのものである。本実施形態の抜き手段Aは、押し手段Bと、引き手段Cとを備える。
【0050】
押し手段Bは、配管10を管軸方向の他方側から一方側に押すためのものである。押し手段Bは、当接手段B1と、移動手段B2とから構成される。本実施形態の押し手段Bは、配管切断装置20によって構成されている。
【0051】
当接手段B1は、配管10の管軸方向の他方側の管端面に当接する。そのため、当接手段B1は、配管10よりも管軸方向の他方側に配置されている。ここで、本実施形態の当接手段B1は、一方刃端面47によって構成されている。本実施形態において、切断配管10aの管軸方向の他方側の管端面は、切断刃部39により切断された形状となっている。よって、
図4に示すように、他方側の端面と一方刃端面47とは隙間なく当接している。
【0052】
移動手段B2は、当接手段B1を管軸方向の一方側に動かすものである。本実施形態の移動手段B2は、管軸方向で当接手段B1よりも一方側、即ち、抜く方向の前側に配置されている。具体的には、本実施形態の移動手段B2は、駆動部23(
図4にて図示しない)と、伝達軸24と、支持環36により接続される基部38と、から構成される。また、本実施形態の移動手段B2は、駆動部23を管軸方向の一方側に引っ張ることにより、一方刃端面47を管軸方向の一方側に動かしている。
【0053】
引き手段Cは、配管10の管軸方向の他方側の管端面よりも一方側で、配管10を管軸方向の一方側に引くためのものである。引き手段Cは、保持手段C1と、引張手段C2とを備える。
【0054】
保持手段C1は、配管10の管軸方向の他方側の管端面よりも一方側で、配管10を保持するためのものである。入口側抜き工程における保持手段C1は、作業者の手(図示しない)である。すなわち、本実施形態では、切断配管10aのうち、管軸方向で保護管9から露出している領域である入口4側の端部を、作業者が手で握ることによって、切断配管10aは保持手段C1によって保持されるのである。
【0055】
引張手段C2は、保持手段C1を管軸方向の一方側に引っ張る。入口抜き工程では、作業者が配管10を手で保持して引っ張るため、作業者自身が引張手段C2である。
【0056】
(2-1E)配管抜き取り工程では、管軸方向の他方側(抜き方向の後側)から、一方刃端面47を切断配管10aの管軸方向の他方側の管端面に当接する。また、切断配管10aの管軸方向の他方側の端面よりも一方側、本実施形態では、切断配管10aのうち、保護管9から露出している領域を作業者の手で保持する。そして、移動手段B2として構成される駆動部23と、伝達軸24と、基部38とを管軸方向の一方側(前側)に引っ張り、且つ切断配管10aを保持する作業者が管軸方向の一方側に引く。
【0057】
これにより、一方刃端面47が切断配管10aの管軸方向の他方側の管端面を奥側から手前側に押しつつ、他方側の管端面よりも一方側においては、作業者によって切断配管10aが手前側に引かれる。そのため、切断配管10aは、抜き方向の前後の二か所で、管軸方向の一方側に抜く力が加わるから、切断配管10aを管軸方向の一方側に動きやすくなる。よって、切断配管10aを保護管9から抜き取ることができる。以上で、(2-1)入口側抜き工程が完了する。
【0058】
入口側抜き工程の後は、保護管9内に残った配管を抜く(2-2)出口側抜き工程を行う。この出口側抜き工程には、(2―2A)残存配管抜き確認工程、(2―2B)残存配管切断工程、(2―2F)工具抜き工程、(2―2G)配管抜き取り工程が含まれる。
【0059】
出口側抜き工程では、まず、保護管9内に残った残存配管10bに対して、保護管9から抜くことができるかの確認である(2-2A)残存配管抜き確認工程を行う。この残存配管抜き確認工程で残存配管10bが保護管9から抜けない場合には、残存配管10bを、管軸方向で複数に分離した切断配管10d,10eとし、保護管9から各切断配管10d,10eを抜くことになる。なお、本実施形態の残存配管抜き確認工程では、出口5側から保護管9から残存配管10bを抜くことを試みて、残存配管10bを保護管9から抜くことができるかの確認を行う。そして、上述したように、残存配管10bは、保護管9から抜くことが不可能である。そのため、残存配管10bを管軸方向で切断して、切断配管10d,10eに分離する。
【0060】
残存配管抜き確認工程の後は、残存配管10bを、管軸方向で複数に分離した切断配管10d,10eに分離する(2-2B)残存配管切断工程を行う。この残存配管切断工程は、上述した(2-1A)配管切断工程と同様である。そのため、残存配管切断工程は、配管切断工程と同様に、(2-2C)挿通工程、(2-2D)配置工程、(2-2E)切断刃切断工程を含んでいる。これら各工程については説明を省略する。なお、保護管9内に残っている残存配管10bは、先の切断刃切断工程の切断位置である端部10c(
図4参照)が保護管9内に配置されるが、切断部22は、この端部を入口側端部として残存配管10bに挿入される。そして、
図5(a)(b)に示すように、本実施形態では、(2-1D)切断刃切断工程によって残存配管10bは、出口5側の切断配管10eと保護管9内に残る切断配管10dとに分離される。
【0061】
図5(a)(b)に示すように、(2-2F)工具抜き取り工程では、伝達軸24、切断部22、先行連結部50を抜き取る。本実施形態では、索体本体31を切断配管10d,10eに挿通した状態で、伝達軸24、切断部22、先行連結部50が入口4側から抜き取られる。
【0062】
(2-2G)配管抜き取り工程について説明する。配管抜き取り工程では、作業者が出口5側から切断配管10eを抜き取る。ここで、配管抜き取り工程では、抜き手段Aを用いて切断配管10eを保護管9から抜き取る。具体的に、(2―2)出口側抜き工程における(2―2G)配管抜き取り工程では、抜き手段Aとして引き手段Cのみを用いる。この引き手段Cは、上述したように、保持手段C1としての作業者の手と、引張手段C2としての作業者自身により構成されている。即ち、配管抜き取り工程では、出口5側を管軸方向の一方側(抜き方向の前側)、入口4側を管軸方向の他方側(抜き方向の後側)として、作業者自らが切断配管10eを保持してから手前側に引くことによって、切断配管10eが保護管9から管軸方向で抜かれる。よって、
図5(c)に示すように、保護管9内において、管軸方向の全域が覆われた切断配管10dが残る。以上が、(2-2)出口側抜き工程の説明である。
【0063】
続いて、
図7~9に示すように、(2-3)中間抜き工程について説明する。中間抜き工程では、保護管9内から切断配管10dを抜く。ここで、中間抜き工程では、抜き手段Aを用いる。そのため、中間抜き工程について詳述する前に、抜き手段Aについて説明する。
【0064】
本実施形態において、中間抜き工程にて用いられる抜き手段Aは、前述の(2―1)入口側抜き工程、(2-2)出口側抜き工程で用いられた抜き手段Aとは異なるように構成されている。具体的に、中間抜き工程で用いられる抜き手段Aは、配管抜き装置である。配管抜き装置は、切断配管10dを管軸方向の一方側に引く配管引き装置7と、切断配管10dを管軸方向の他方側から一方側に押す配管押し装置8とを備える。配管引き装置7が引き手段Cであり、配管押し装置8が押し手段Bである。なお、本実施形態では、配管引き装置7と配管押し装置8とは、それぞれが別体して構成される。
【0065】
図7に示すように、配管引き装置7は、引き具70と、引き具70を管軸方向の一方側に動かす一方牽引部7aとを備える。本実施形態の配管引き装置7は、引き具70を管軸方向の他方側に動かす他方牽引部7dを備える。
【0066】
引き具70は、一方牽引部7aと他方牽引部7dとを中継している。
図10に示すように、この引き具70は、保護管9内に挿入される引き本体部71と、索体7b,7eを支持する索体支持部701,702とを備える。
【0067】
図10に示すように、本実施形態の引き本体部71には、軸線方向(
図10の一点鎖線が伸びる方向)に貫通し、後述する索体8bを挿通可能な索体挿通部703が形成されている。そのため、本実施形態の引き本体部71は、筒状である。引き本体部71は、切断配管10dに挿入可能な挿入部72と、引き本体部71の管軸方向の全域が切断配管10d内に挿入されることを規制する規制部73とを備える。
【0068】
挿入部72は、径方向で切断配管10dの内径より小さく構成されている。挿入部72は、外周が円形状である。挿入部72の外周面には、切断配管10dの内周面に当接する引掛け部72aが形成されている。
【0069】
引掛け部72aは、引き具70を切断配管10d内に挿入した際には切断配管10dに食い込み不能で、かつ、引き具70を切断配管10dから抜く際には切断配管10dに食い込み可能に構成されている。本実施形態では、引掛け部72aが切断配管10dの内周面に食い込むことで、保持手段C1は切断配管10dを保持する。そのため、本実施形態の引掛け部72aは、保持手段C1として構成される。また、本実施形態の引掛け部72aは、抜く方向の後側から前側に進むにつれて径方向の外側に広がる形状に構成されている。具体的に、引掛け部72aは、切断配管10dの内径よりも径外方向に広がるように構成されている。また、本実施形態の引掛け部72aは、径方向で縮径可能で、且つ径方向で元に戻るように拡径可能に構成されている。よって、本実施形態では、引き具70が索体支持部702側から切断配管10d内に挿入された際には、引掛け部72aの抜き方向の後側が切断配管10dの内周面に当接して、引掛け部72aが径方向で縮径する。一方で、引き具70を抜き方向の後側から前側に動かし、引き具70を切断配管10dから抜く際には、引掛け部72aが径方向で元に戻るように拡径して、引掛け部72aが切断配管10dに食い込む。
【0070】
本実施形態の引掛け部72aは、周方向において、挿入部72の外周上に複数設けられている。また、引掛け部72aは、挿入部72の軸線方向に複数(
図10では、軸線方向に二つ)設けられている。
【0071】
規制部73は、切断配管10dの内径よりも大きく構成されている。そのため、
図9に示すように、引き本体部71を索体支持部702側から切断配管10d内に挿入すると、当接面73a(
図10参照)が切断配管10dの管端面に当接する。よって、管軸方向の一方側から切断配管10dに挿入された引き具70が、切断配管10d内を移動して、管軸方向の他方側から抜けるといった事態を防止している。
【0072】
索体支持部701,702は、引き本体部71の軸線方向の両端部に形成されている。本実施形態の索体支持部701,702は、径方向に貫通する貫通孔701a,702aを有し、略コ字状に形成されている。そのため、
図7に示すように、貫通孔701a,702aに先端取付部7c,7fを通すことで、索体支持部701,702が索体7b,7eを支持している。
【0073】
また、本実施形態の索体支持部701,702には、軸線方向に貫通し、索体8bを挿通するための索体挿込部701b,702bが形成されている。なお、
図10に示すように、本実施形態の索体挿込部701b,702bは、中心が中心軸線(
図10の一点鎖線)よりも径方向の片側にずれて形成されている。
【0074】
中間抜き工程において、一方牽引部7aは、引張手段C2として構成される。一方牽引部7aは、索体7bと、索体7bを牽引するウインチ(図示しない)とを備える。本実施形態では、先端取付部7cを貫通孔701aに通して、索体7bが索体支持部701に支持される。そして、ウインチで索体7bを管軸方向の一方側に牽引することで、一方牽引部7aが引き具70を管軸方向の一方側に動かす。
【0075】
他方牽引部7dは、索体7eと、索体7eを管軸方向の他方側に牽引するウインチ(図示しない)とを備える。本実施形態では、先端取付部7fが貫通孔702aに通されることにより、索体7eが索体支持部702に支持される。なお、索体7eは、後述する索体挿通部803に挿通される。
【0076】
図7に示すように、配管押し装置8は、押し具80と、押し具80を管軸方向の一方側に動かす一方牽引部8aとを備える。本実施形態の配管押し装置8は、押し具80を管軸方向の他方側に動かす他方牽引部8dを備える。
【0077】
図11に示すように、押し具80は、一方牽引部8aと他方牽引部8dとを中継している。この押し具80は、保護管9内に挿入される押し本体部81と、索体8b,8eを支持する索体支持部801,802とを備える。
【0078】
図11に示すように、本実施形態の押し本体部81は、軸線方向(
図11の一点鎖線が伸びる方向)に貫通し、索体7eを挿通可能な索体挿通部803が形成されている。そのため、本実施形態の押し本体部81は、筒状に構成されている。押し本体部81は、切断配管10dに挿入可能な挿入部82と、押し本体部81の管軸方向の全域が切断配管10d内に挿入されることを規制する規制部83とを備える。挿入部82は、径方向で切断配管10dの内径より小さく構成されている。挿入部82は、外周が円形状である。
【0079】
規制部83は、径方向で切断配管10dの内径よりも大きく構成されている。そのため、例えば、押し本体部81を索体支持部801側から切断配管10d内に挿入した際には、当接面83aが切断配管10dの管端面に当接する。そのため、配管押し装置8では、当接面83aが当接手段B1として構成されている。
【0080】
索体支持部801,802は、押し本体部81の軸線方向の両端部に形成されている。本実施形態の索体支持部801,802は、径方向に貫通する貫通孔801a,802aを有し、略コ字状に形成されている。そのため、
図7に示すように、貫通孔801a,802aに先端取付部8c,8fを通すことで、索体支持部801,802が索体8b,8eを支持している。また、本実施形態の索体支持部801,802には、軸線方向に貫通し、索体7eを挿通するための索体挿込部801b,802bが形成されている。なお、
図11に示すように、本実施形態の索体挿込部801b,802bは、中心が中心軸線(
図11に示す一点鎖線)よりも径方向の片側にずれて形成されている。
【0081】
中間抜き工程において、一方牽引部8aは、移動手段B2として構成される。一方牽引部8aは、索体8bと、索体8bを牽引するウインチ(図示しない)とを備える。本実施形態では、先端取付部8cを貫通孔801aに通して、索体8bが索体支持部801に支持される。そして、ウインチで索体8bを管軸方向の一方側に牽引することで、一方牽引部8aが引き具80を管軸方向の一方側に動かす。
【0082】
他方牽引部8dは、索体8eと、索体8eを管軸方向の他方側に牽引するウインチ(図示しない)とを備える。本実施形態では、先端取付部8fが貫通孔802aに通されることにより、索体8eが索体支持部802に支持される。なお、索体8eは、索体挿通部703に挿通される。
【0083】
(2-3)中間抜き工程には、(2-3A)挿通工程と、(2-3B)配置工程と、(2-3E)配管抜き取り工程とが含まれる。
【0084】
図7に示すように、(2-3A)挿通工程では、索体8b,7eを切断配管10dに通す。ここで、本実施形態の挿通工程では、索体支持部702が保護管9内に向かうように引き具70を配置し、索体挿通部703及び索体挿込部701b,702bに挿通した索体8bを入口4から出口5に向かって切断配管10dに挿通させる。また、索体支持部801が保護管9内に向かうように押し具80を配置し、索体挿通部803及び索体挿込部801b,802bに挿通した索体7eを出口5から入口4に向かって切断配管10dに挿通させる。その後、管軸方向の一方側では、先端取付部7c,7fを貫通孔701a,702aに通して索体7b,7eを索体支持部701,702に支持させることで、一方牽引部7aと他方牽引部7dを引き具70に連結させると共に、管軸方向の他方側では、先端取付部8c,8fを貫通孔801a,802aに通して索体8b,8eを索体支持部801,802に支持させることで、一方牽引部8aと他方牽引部8dを押し具80に連結させる。
【0085】
(2-3B)配置工程は、抜き手段Aを、切断配管10dの両端に配置する工程である。本実施形態の配置工程は、押し手段Bである配管押し装置8を用いる(2-3C)他方側配置工程と、引き手段Cである配管引き装置7を用いる(2-3D)一方側配置工程とを行う。
【0086】
図8(a)に示すように、(2-3C)他方側配置工程では、当接手段B1を切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面に当接させる。本実施形態の他方側配置工程では、一方牽引部8aにおいて、ウインチで索体8bを管軸方向の一方側に引くことにより、押し具80が索体7eにガイドされながら、管軸方向の他方側から一方側に移動して保護管9内に挿入される。そして、押し具80が保護管9内を移動し、挿入部82が管軸方向の他方側から切断配管10d内に挿入される。また、当接手段B1である当接面83aが切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面に当接する。なお、当接面83aが切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面に当接することで、押し具80の管軸方向一方側への移動が停止する。
【0087】
図8(b)に示すように、(2-3D)一方側配置工程では、引掛け部72aを管軸方向の一方側から切断配管10d内に挿入する。本実施形態の一方側配置工程では、他方牽引部7dにおいて、ウインチで索体7eを管軸方向の他方側に引くことにより、引き具70が索体8bにガイドされながら管軸方向の一方側から他方側に移動し、保護管9内に挿入される。そして、引き具70が保護管9内を移動し、挿入部72が管軸方向の一方側から切断配管10d内に挿入され、当接面73aが切断配管10dの管軸方向の一方側の管端面に当接することで、引き具70の管軸方向の他方側への移動が停止する。
【0088】
ここで、挿入部72が切断配管10d内に挿入される際には、引掛け部72aは切断配管10dの内周面に当接する。そのため、挿入部72が抜き方向の前側から後側で切断配管10d内を進んでいくにつれて、引掛け部72aは縮径する。よって、本実施形態の一方側配置工程では、引掛け部72aは、切断配管10dに挿入された状態で切断配管10dには食い込むことなく、切断配管10dの内周面に当接している。
【0089】
図9に示すように、(2-3D)配管抜き取り工程では、引張手段C2と移動手段B2により、保持手段C1と当接手段B1とを管軸方向の一方側に動かす。本実施形態の一方牽引部7a,8aでは、同時期に、ウインチにより、索体7b,8bを管軸方向の一方側(
図9に示す矢印の方向)に牽引する。これにより、配管引き装置7では、引き具70が管軸方向の一方側(抜き方向の前側)に動く。その際、切断配管10dの内周面に当接している引掛け部72aが、径方向で元に戻るべく拡径して切断配管10dの内周面に食い込む。よって、保持手段C1が切断配管10dを保持しながら、引張手段C2が保持手段C1を管軸方向の一方側に引く。
【0090】
一方で、配管押し装置8では、索体8bを管軸方向の一方側に牽引することで、当接手段B1としての当接面83aが切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面を一方側に押しながら、押し具80が管軸方向の一方側に移動する。よって、切断配管10dを管軸方向の一方側へ動かして保護管9から抜き取ることができる。
【0091】
上記のように、本実施形態による配管の抜き工法は、次に記載した通りである。即ち、本実施形態は、管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている配管10を前記管軸方向で抜く配管の抜き工法であって、前記配管10を前記管軸方向の一方端部を前、他方端部を後として前記管軸方向の一方側へ抜く抜き工程を備え、前記抜き工程は、前記配管10の前記他方端部の管端面を一方側へ押し、且つ前記配管10における前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くことで、前記配管10を前記管軸方向の一方側へ抜く工程である配管10の抜き工法である。
【0092】
前記工法によれば、前記抜き工程では、前記配管10の前記他方端部の管端面を前記一方側に押し、且つ前記配管10における前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引くので、前記配管10を前記管軸方向の一方側へ抜くときに、前記配管10が前記管軸方向で破断することを防止できる。
【0093】
よって、本実施形態によれば、前記配管10の前記他方端部の管端面を前記一方側に押し、且つ前記配管10の前記他方端部の管端面よりも前記管軸方向の一方側を保持して引いて前記配管10を前記管軸方向の一方側へ抜くため、前記配管10を確実に抜くことができる。
【0094】
また、本実施形態の引き具70では、索体挿込部801b,802bの中心が軸線よりも径方向の片側にずれて形成されている。そのため、(2-3A)挿通工程において、一方牽引部7a、他方牽引部7dを引き具70に連結させる際には、索体7b,7eと索体8bとの干渉を低減できる。なお、押し具80においても同様である。
【0095】
本実施形態の(2-3C)他方側配置工程では、押し手段Bである配管押し装置8を用いて、切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面に当接面83aを当接した。一方で、(2-3D)一方側配置工程では、引き手段Cである配管引き装置7を用いて、引掛け部72aを切断配管10d内に挿入した。即ち、
図8(a)(b)に示すように、本実施形態の(2-3B)配置工程では、管軸方向の一方側と他方側とで、それぞれ独立する配管引き装置7と配管押し装置8とを用いたため、管軸方向での配管10の長さを気にすることなく、抜き手段Aである配管抜き装置を適用できる。
【0096】
また、本実施形態の(2-3E)配管抜き取り工程において、引き手段C側では、引張手段C2で保持手段C1を管軸方向の一方側に動かし、押し手段B側では、移動手段B2で当接手段B1を管軸方向の一方側に動かす。そのため、保持手段C1と当接手段B1とを動かす手段が別々であるため、切断配管10dを保護管9から抜く際の配管抜き装置に加わる負担を配管引き装置7と配管押し装置8で分散できる。
【0097】
また、本実施形態の(2-3C)他方側配置工程と(2-3D)一方側配置工程では、押し具80、引き具70それぞれが索体7e、8bにガイドされながら、保護管9内に挿入される。そのため、押し具80、引き具70を保護管9内に挿入しやすい。
【0098】
次に、(3)挿入工程を説明する。挿入工程では、保護管9の内部に、新配管を挿入する。挿入工程では、初めに、あらかじめ、索状の呼び線を保護管9内に挿入して、該呼び線によって索体本体(図示しない)を保護管9の出口から入口まで牽引して挿通し、入口4側から露出した索体本体に配管挿入具(図示しない)を取り付ける。ここで、配管挿入具は、保護管9内に挿入可能に構成されている。そして、入口4側で配管挿入具を索体本体に取り付けてから、配管挿入具を新配管の先端部に取り付けて固定する。
【0099】
新配管の先端部に配管挿入具が固定されてから、索体本体をウインチの駆動によって出口5から牽引し、新配管の先端部を入口4から出口5まで移動させる。新配管の先端部が出口5から露出すると挿入工程が完了する。以上の工程で、本実施形態の配管更新は完了する。
【0100】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0101】
上記実施形態では、保護管9の内部に配管10が配置されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、配管10が土中やコンクリートに埋設されている場合や、壁や床に固定されている場合のように、所定の場所に固定された配管10でもあっても、本発明の配管の抜き工法は採用可能である。なお、この場合も含めて、上記実施形態における挿入工程は不要としてもよい。
【0102】
本発明の配管の抜き工法としては、配管を引き手段と押し手段とを用いて抜く抜き工程として説明したが、配管を引き手段と押し手段とを用いて抜く抜き工程と、引き手段だけを用いて配管を抜く引き抜き工程と、押し手段だけを用いて配管を抜く押し抜き工程と、を配管の設置状況に応じて選択する抜き工法としても考えられる。具体的には、配管を周方向で切断せずに、抜き工程、引き抜き工程、押し抜き工程を選択して配管を抜く抜き工法、或いは配管を管軸方向で複数に分離するように切断した複数の切断配管に対して、各々、抜き工程、引き抜き工程、押し抜き工程を選択して配管を抜く抜き工法が考えられる。前記工法によれば、各現場における配管の状況に応じて、例えば、保護管から配管を抜く態様を柔軟に変更して対応可能にできる。なお、上記変更には、例えば、配管を保護管から抜き終える前に工程を変更する場合も含まれていてもよい。
【0103】
上記実施形態の(2-1C)配置工程は、切断部22を配管10の内部の所定位置10cに配置することにより行われていたが、これに限らず、切断部22を配管10の外部で所定位置10cに配置されるような場合でもよい。このような場合としては、例えば、管軸方向で二か所以上が覆われている配管10を切断するような場合が考えられる。
【0104】
上記実施形態では、配管10を周方向で切断して分離した切断配管10a,10d,10eとし、それぞれを入口側抜き工程、出口側抜き工程、中間抜き工程という別々の工程で、保護管9から管軸方向に抜くようにした。しかし、これに限らず、例えば、配管10を周方向で切断して分離せずに、配管10を保護管9から抜くようにしてもよい。この場合、配管10を切断することがないため、工程を簡素ができ、作業者の負担軽減にも寄与できる。また、保護管9から抜かれる配管10の態様としては、例えば、配管10の内周面上に付着した塵芥を除去するべく、内周面を切削した配管10であってもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、(2-2)出口側抜き工程として、(2-2A)残存配管抜き確認工程を行い、残存配管10bを保護管9から抜くことは不可能であることを確認し、その後、(2-2B)残存配管切断工程を行った。しかし、例えば、(2-2A)残存配管抜き確認工程で、残存配管10bを保護管9から抜くことが可能である場合には、残存配管10bを保護管9から抜くことで、それ以降の(2-2B)残存配管切断工程や、(2-3)中間抜き工程などを行わなくてもよい。なお、この場合、残存配管10bは入口4側又は出口5側のどちらから抜くようにしてもよい。
【0106】
上記実施形態の(2-2G)配管抜き取り工程では、抜き手段Aとして引き手段Cのみを用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば、抜き手段Aとして押し手段Bのみを用いてもよいし、引き手段Cと押し手段Bとの組み合わせでもよい。
【0107】
上記実施形態では、引張手段C2と移動手段B2として、索体7b,8bをそれぞれのウインチで牽引することで、一方牽引部7a,8aそれぞれが保持手段C1と当接手段B1を動かすように構成した。しかし、例えば、一つの牽引手段により、保持手段C1と当接手段B1とを管軸方向の一方側に動かすようにしてもよい。この場合、一つの牽引手段が引張手段C2と移動手段B2とになる。
【0108】
上記実施形態では、ウインチで索体7bを牽引することにより、引き具70が管軸方向の一方側に動き、引掛け部72aが拡径して切断配管10dの内周面に食い込み、保持手段C1が切断配管10dを保持しながら、引張手段C2が保持手段C1を管軸方向の一方側に引いていた。しかし、保持手段C1を管軸方向の一方側に動かすことについては、例えば、上記引張手段C2で保持手段C1を管軸方向の一方側に引くことに加えて又は代えて、保持手段C1を管軸方向の他方側から管軸方向の一方側(抜き方向の後側から前側)に押すことで、保持手段C1を管軸方向の一方側に動かすことが考えられる。
【0109】
上記実施形態では、配管引き装置7が他方牽引部7dを備えるように構成されていたが、これに限らず、配管引き装置7は他方牽引部7dを備えなくてもよい。この場合、引き具70は、索体支持部702を備えなくてもよいし、押し具80は、索体挿通部803や、索体挿込部801b,802bはなくてもよい。また、(2―3A)挿通工程では、索体7eを出口5から入口4に挿通する必要がなくなる。また、配管押し装置8が他方牽引部8dを備えなくてもよい。
【0110】
上記実施形態では、引掛け部72aは、周方向で挿入部72の外周上に複数設けられている場合について説明したが、これに限らず、周方向で挿入部72の外周上に一つだけ設けられているような場合でもよい。また、上記実施形態では、引掛け部72aは、挿入部72の軸線方向に二つ設けられている場合について説明したが、これに限らず、軸線方向に設けられている数を増減させてもよい。
【0111】
上記実施形態では、引き本体部71は規制部73を有するように構成されていたが、これに限らず、例えば、引き本体部71は規制部73を有しなくてもよい。すなわち、切断配管10dの管軸方向の他方側の管端面よりも管軸方向の一方側で、保持手段C1として構成される引掛け部72aが切断配管10dに食い込むことで切断配管10dを保持すればよい。
【0112】
上記実施形態では、索体挿込部701b,702b,801b,802bは、中心が中心軸線よりも径方向の片側にずれて形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、中心に中心軸線が通るように構成されていてもよい。
【0113】
上記実施形態では、配管10を管軸方向で分断して構成した切断配管10a,10d,10eを引き抜く場合について説明したが、これに限らず、例えば、径方向で配管10を分断した状態で、配管を引き抜くようにしてもよい。この場合、例えば、配管10を径方向に切断する切断治具で配管10を径方向に切断しながら、配管10を管軸方向の一方側から抜くようにしてもよい。
【0114】
上記実施形態では、(2)抜き工程とは別に(1)準備工程を設けたが、例えば、準備工程は、抜き工程の中に含まれる一工程であってもよい。
【0115】
上記実施形態では、(2-3C)他方側配置工程を行った後に、(2-3D)一方側配置工程を行ったが、これに限らず、一方側配置工程を行った後に他方側配置工程を行ってもよい。
【0116】
上記実施形態では、
図10に示すように、引き具70が索体8bを通すために、索体挿込部701b,702bや索体挿通部703を備えていたが、これに限らず、例えば、
図12に示すように、引き具70は索体挿込部701b,702bや索体挿通部703を備えなくてもよい。なお、押し具80についても同様である。
【0117】
上記実施形態では、切断配管10dへの挿入する際に、切断配管10dの内周面に当接することで径内方向に縮径した引掛け部72aが、抜き方向の後側から前側に引かれて径方向で元に戻るように拡径することにより、切断配管10dに食い込むように構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、
図13,14に示すように、引き具70を配管10内に挿入した後、挿入部72に収納された引掛け部72aが拡径して配管10の内周面に食い込むようにしてもよい。ここで、
図13(a)(b)では、配管10内で引き具70が軸線方向(
図13の左右の方向)で伸びることにより、予め挿入部72に収納された引掛け部72aが、径外方向に突出して配管10に食い込む。また、
図14(a)(b)では、配管10内に引き具70が挿入されてから、予め挿入部72に収納された引掛け部72aが径外方向に突出して配管10の内周面に当接する。そして、引き具70が抜き方向の後側から前側に引かれることにより、引掛け部72aが配管10の内周面に食い込む。
【0118】
上記実施形態では、引掛け部を配管の内周面に当接することで、引き具で配管を保持するように構成したが、これに限らず、例えば、径方向で、引掛け部を配管に食い込ませるようにしてもよい。この場合、
図13,14に示すように、挿入部に形成された引掛け部が配管内で径外方向に起立するように構成されてもよい。具体的に、
図13に示す引き具は、管軸方向で伸縮されるように構成され、
図13(a)に示すように、配管内に挿入部が挿入された状態で、引き具が管軸方向に延びることで、挿入部内に収納された引掛け部が径外方向に動き、配管に食い込むように構成されている。一方で、
図14に示す引き具では、
図14(a)に示すように挿入部を配管内に挿入した後、
図14(b)に示すように、挿入部の外周面に設けられた引掛け部が径外方向に起立することで、配管の内周面に当接する。
【0119】
上記実施形態では、
図7~10に示すように、引掛け部72aを配管10の内周面に当接しながら、配管10を保持するように構成したが、これに限らず、例えば、
図15に示すように、引掛け部が螺旋状の突起が形成され、該突起が配管の内周面に食い込むことで、配管を保持するように構成されていてもよい。この場合、挿入部72を配管10に挿入するに際しては、例えば、駆動部で、引き具70を管軸方向まわりに回転させながら、挿入部72を配管10内に挿入することで、引掛け部72aで配管10内に螺旋状の溝を形成することが考えられる。
【0120】
上記実施形態では、押し具80が
図11に示すように構成されていたが、これに限らず、例えば、押し具80は、
図16のように構成されていてもよい。即ち、挿入部82は、配管に挿通されるように構成されていてもよい。この場合、押し具80は、管軸方向で配管よりも長く構成される。そのため、配管の管軸方向の全域で、配管の折れを防止できる。また、
図16に示す押し具において、挿入部82は、手前側から奥側に進むにつれて、径方向で短くなる形状に構成されている。そのため、挿入部82を配管に挿入しやすい。また、
図16に示す押し具80において、索体8bが挿入部82に挿入されることで、索体支持部801は索体8bを支持するように構成されている。なお、索体支持部802が、索体8eを挿入することで索体を支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…既設配管、4…入口、5…出口、9…保護管、10…配管、10a…切断配管、10b…残存配管、11…新配管、19…シャフト、19A…連結棒部、20…配管切断装置、22…切断部、23…駆動部、24…伝達軸、25…先行部、27…駆動連結軸部、28…多重軸部、29…可撓性軸部、31…索体本体、35…第一支持部、37…杆状部材、38…基部、39…切断刃部、42…中心孔、43…一方連結体、46…後行側面、47…一方刃端面、49…刃先、50…先行連結部、51…索体、52…可撓性連結部、53…第二支持部、54…可撓性連結部本体、55…他方連結体、56,56…環状部材、56A…易撓部、57…中心杆、60…蓋部、61…治具本体、62…連結体