(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100409
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/20 20060101AFI20230711BHJP
H02K 5/18 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H02K1/20 A
H02K5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001068
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】平井 百合名
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB10
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD28
5H601DD30
5H601EE12
5H601GA02
5H601GA22
5H601GE06
5H601GE12
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD12
(57)【要約】
【課題】冷却用のフィンを備えたものにあって、十分な冷却性能を確保しながらも、設置場所によってフィンの一部が外部と干渉してしまうことを容易に回避する。
【解決手段】実施形態の回転電機は、電磁鋼板を積層して構成される固定子鉄心と、前記固定子鉄心の外周面部に軸方向に延びて設けられる複数の冷却用フィン部材とを備え、前記冷却用フィン部材は、ばね性を有する板材を、内側を冷却風の流通が可能な形態で、且つ、外周側に軸方向に延びて折返し部が来るように二つ折り状態に折曲げて構成されると共に、内周側に位置する縁部の両側に取付用フランジを一体に備えて構成され、固定子鉄心の外周面において、該固定子鉄心と面接触するように着脱可能に取付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板を積層して構成される固定子鉄心と、
前記固定子鉄心の外周面部に軸方向に延びて設けられる複数の冷却用フィン部材とを備え、
前記冷却用フィン部材は、ばね性を有する板材を、内側を冷却風の流通が可能な形態で、且つ、外周側に軸方向に延びて折返し部が来るように二つ折り状態に折曲げて構成されると共に、内周側に位置する縁部の両側に取付用フランジを一体に備えて構成され、
前記固定子鉄心の外周面において、該固定子鉄心と面接触するように着脱可能に取付けられる回転電機。
【請求項2】
前記固定子鉄心の外周部には、前記冷却用フィン部材の取付用フランジが軸方向に挿入可能な溝部が複数個設けられている請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記冷却用フィン部材には、前記固定子鉄心の軸方向端部に位置して、折曲げにより、該固定子鉄心の端部に係止して前記電磁鋼板同士を結束させる結束部が一体に設けられている請求項1又は2記載の回転電機。
【請求項4】
筒状のフレームと、このフレームの内周部に設けられた固定子鉄心と、前記フレームの軸方向端部に設けられ回転軸を支持するモータブラケットと、前記フレームの外周面部に軸方向に延びて設けられる複数の冷却用フィン部材とを備え、
前記冷却用フィン部材は、ばね性を有する板材を、内側を冷却風の流通が可能な形態で、且つ、外周側に軸方向に延びて折返し部が来るように二つ折り状態に折曲げて構成されると共に、内周側に位置する縁部の両側に取付用フランジを一体に備えて構成され、
前記フレームの外周面において、該フレームと面接触するように着脱可能に取付けられる回転電機。
【請求項5】
前記フレームの外周部には、前記冷却用フィン部材の取付用フランジが軸方向に挿入可能な溝部が複数個設けられている請求項4記載の回転電機。
【請求項6】
前記冷却用フィン部材には、前記フレームの軸方向端部に位置して、折曲げにより、前記モータブラケットに係止して該フレームと結束させる結束部が一体に設けられている請求項4又は5記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却用フィン部材を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種産業機器用の回転電機例えばモータとしては、回転軸の後端部に冷却用の送風ファンを設けて構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。このモータは、円筒状のフレームの前後両端部に、モータブラケットをボルト締めにより取付け、モータブラケットから後方に突出した回転軸の後端部に、例えばプロペラ型の送風ファンを取付けて構成されている。そして、前記フレームの外周部には、円周方向に並んで軸方向に延びる複数本の冷却用のフィンが一体に設けられ、それらフィンに沿って冷却風が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような外周部に冷却用フィンを有するモータでは、ユーザにおける設置場所によっては、冷却用フィンの一部において、外周方向への突出高さが他の機械などに干渉して、邪魔になる場合がある。従来では、そのような場合には、冷却用フィンの一部を削って除去するなどの対応がなされるが、それでは、冷却用フィンの一部を削るといった面倒な作業が必要となると共に、モータの冷却性能が低下してしまう懸念もある。
そこで、冷却用のフィンを備えたものにあって、十分な冷却性能を確保しながらも、設置場所によってフィンの一部が外部と干渉してしまうことを容易に回避することができる回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の第1の回転電機は、電磁鋼板を積層して構成される固定子鉄心と、前記固定子鉄心の外周面部に軸方向に延びて設けられる複数の冷却用フィン部材とを備え、前記冷却用フィン部材は、ばね性を有する板材を、内側を冷却風の流通が可能な形態で、且つ、外周側に軸方向に延びて折返し部が来るように二つ折り状態に折曲げて構成されると共に、内周側に位置する縁部の両側に取付用フランジを一体に備えて構成され、前記固定子鉄心の外周面において、該固定子鉄心と面接触するように着脱可能に取付けられている。
【0006】
実施形態の第2の回転電機は、筒状のフレームと、このフレームの内周部に設けられた固定子鉄心と、前記フレームの軸方向端部に設けられ回転軸を支持するモータブラケットと、前記フレームの外周面部に軸方向に延びて設けられる複数の冷却用フィン部材とを備え、前記冷却用フィン部材は、ばね性を有する板材を、内側を冷却風の流通が可能な形態で、且つ、外周側に軸方向に延びて折返し部が来るように二つ折り状態に折曲げて構成されると共に、内周側に位置する縁部の両側に取付用フランジを一体に備えて構成され、前記フレームの外周面において、該フレームと面接触するように着脱可能に取付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、モータの全体構成を概略的に示す縦断側面図
【
図5】冷却用フィン部材の正面図と側面図とを並べて示す図
【
図6】第2の実施形態を示すもので、モータの要部構成を示す縦断側面図
【
図7】第3の実施形態を示すもので、冷却用フィン部材の取付の様子を示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、例えば各種産業機器用の回転電機としてのモータに適用した実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、複数の実施形態間で共通する部分には、同一符号を付して詳しい説明や新たな図示を省略することとする。また、図面では、モータの軸方向すなわち回転軸の中心線の延びる方向を左右方向として示しており、
図1等では、左側を負荷側である前側、右側を反負荷側である後側としている。
【0009】
(1)第1の実施形態
図1~
図5を参照して、第1の実施形態について述べる。本実施形態では、例えばエレベータの巻上機の駆動源として用いられるSPM形モータに適用したものであり、いわゆるフレームレスのモータ1として構成されている。
図1は、本実施形態に係るモータ1の全体構成を概略的に示している。ここで、モータ1は、全体として円筒状をなす固定子2の軸方向両端部にモータブラケット3、4を備えて構成されている。固定子2の内周部には、回転子5が配置されている。
【0010】
前記回転子5は、回転子鉄心6の外周部に複数個の永久磁石7を備えて構成され、回転子鉄心6の中心部を貫通するように、回転軸8が固定されている。前記モータブラケット3、4には、夫々軸受9、10が取付けられている。これら軸受9、10により、前記回転軸8が回転自在に支持されている。図示はしないが、回転軸8の先端部(図で左側)には、シーブと称される滑車が取付けられる。前記回転軸8の後端部には、冷却用のファン11が取付けられている。このファン11は、回転により前方(図で左側)に向けて冷却風を送風するように構成されている。前記モータブラケット4には、前記ファン11を覆うファンカバー16が設けられている。
【0011】
さて、前記固定子2について、
図2~
図5も参照して述べる。前記固定子2は、固定子鉄心12に巻線13を装着して構成されている。このとき、周知のように、前記固定子鉄心12は、例えば電磁鋼板12aを所定の形状、即ち内周側に開口するスロットを有したほぼリング板状に打抜き、その打抜いた電磁鋼板12aを軸方向に多数枚積層して構成されている。そして、前記固定子鉄心12の外周面部には、軸方向に延びる放熱用の冷却用フィン部材14が、円周方向に並んで複数個設けられる。
【0012】
前記冷却用フィン部材14は、熱伝導性の良好なばね性を有する金属製の板材、例えばアルミニウムの薄板材から構成され、
図4、
図5に示すように、放熱部14aと、取付用フランジ14bと、結束部14cとを一体に有している。具体的には、前記放熱部14aは、前記板材を、外周側即ち
図4等で上側に軸方向に延びて折返し部が来るように、軸方向に見てU字状に、つまり二つ折り状態に折曲げて構成されて、側面から見て軸方向に長い長方形状に構成されている。この放熱部14aの軸方向の長さは、固定子鉄心12の軸方向の長さと同等とされている。この放熱部14aにおいては、U字状に折曲げられた部分の内側部分も、前記ファン11による冷却風が流通する。
【0013】
前記取付用フランジ14bは、前記放熱部14aの折返し側とは反対側の基端側の縁部(
図4等で下端部)全体から両側方(
図5で左右)に延出するように一体に設けられている。そして、前記結束部14cは、前記取付用フランジ14bの前後の端部から、軸方向に延びて突出するように一体に設けられ、全体で4箇所に設けられている。後述するように、この結束部14cは、固定子鉄心12の軸方向両端部に位置して、内周側に折曲げられることにより、該固定子鉄心12の端部に係止して前記電磁鋼板12a同士を結束させるように構成されている。
【0014】
上記構成の冷却用フィン部材14に対し、本実施形態では、前記固定子鉄心12の外周部には、前記取付用フランジ14bが軸方向に挿入可能な溝部15が、固定子鉄心12の軸方向全体に延びて円周方向に並んで複数個設けられている。
図3に示すように、前記各溝部15は、固定子鉄心12の外周面で開放するような凹部を形成し且つ、その凹部の底部から円周方向両側に空洞を拡げるような形態、つまり軸方向に見て凸形状で形成されている。溝部15は、固定子鉄心12の両端面で開口する。尚、溝部15の形状は、固定子鉄心12を構成する電磁鋼板12aの打抜きの段階で、対応する形状に打抜かれ、電磁鋼板12aが多数枚積層されることにより、軸方向に連続した溝部15とされる。
【0015】
上記構成の冷却用フィン部材14は、固定子鉄心12の溝部15に対し、放熱部14aの基端部が溝部15の凹部に位置し、両取付用フランジ14bが夫々拡がり部に位置するように、軸方向から挿入されることにより、着脱可能に取付けられる。このとき、冷却用フィン部材14は、板ばね材料から構成されているので、そのばね性を利用して、溝部15内における保持力を得ると共に、取付用フランジ14bを溝部15内壁に密着させて面接触力を得ることができる。また、冷却用フィン部材14を全ての溝部15に取付けても良いが、複数個の溝部15のうち必要な位置にのみ選択的に取付けることができる。そして、
図2に示すように、冷却用フィン部材14の溝部15への挿入後に、結束部14cを内周側に折曲げることにより、固定子鉄心12の端部に係止して電磁鋼板12a同士の結束力を得ることができる。
【0016】
このような本実施形態のモータ1の固定子2によれば、次のような作用、効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、固定子鉄心12の外周面部に設けられる複数の冷却用フィン部材14が、固定子鉄心12とは別体とされていると共に、固定子鉄心12に着脱可能に取付けられる。従って、冷却用フィン部材14を、固定子鉄心12の外周面部の外部と干渉する虞のある位置には、取付けずに済ませる或いは取外すことができ、外部との干渉のない位置にのみ冷却用フィン部材14を設けることができる。このとき、冷却用フィン部材14の取付用フランジ14bは固定子鉄心12と面接触し、また、冷却用フィン部材14の放熱部14aが二つ折り型なので、外周方向に大型化することなく、1個の冷却用フィン部材14で広い放熱面積が得られ、しかも放熱部14aの内側を冷却風が流通する。
【0017】
これにより、1個の冷却用フィン部材14による冷却性能を高いものとすることができ、言い換えれば、取付け個数を一部減らしても、全体として必要な冷却性能を得ることができる。また、冷却用フィン部材14のばね性を利用して、固定子鉄心12に取付けたり、密着させたりすることが可能となる。この結果、本実施形態によれば、冷却用のフィン14を備えたものにあって、十分な冷却性能を確保しながらも、設置場所によってフィン14の一部が外部と干渉してしまうことを容易に回避することができるという優れた効果を得ることができる。
【0018】
特に本実施形態では、固定子鉄心12の外周部に、冷却用フィン部材14の取付用フランジ14bが軸方向に挿入可能な複数個の溝部15を設けるようにした。これにより、取付用フランジ14bを溝部15に対し軸方向に挿入することで、冷却用フィン部材14を所定の位置に容易に取付けることができる。このとき、冷却用フィン部材14のばね性を利用して、溝部15内における保持力を得ると共に、取付用フランジ14bを溝部15の内面に密着させて面接触力を得ることが可能となる。冷却用フィン部材14の、固定子鉄心12の溝部15からの取外しも容易となる。
【0019】
更に、本実施形態では、冷却用フィン部材14に、固定子鉄心12の軸方向端部に位置して、折曲げにより、該固定子鉄心12の端部に係止して電磁鋼板12a同士を結束させる結束部14cを一体に設けた。これにより、結束部14cにより、固定子鉄心12の電磁鋼板12a同士が結束されるようになるので、その分だけ、電磁鋼板12aの結束のための構成を省略することが可能となる。従って、冷却用フィン部材14に、冷却に加えて電磁鋼板12aを結束する機能が付加され、実用的機能をより高めることができる。
【0020】
(2)第2の実施形態
図6は、第2の実施形態における回転電機としてのモータ21の要部構成を示しており、上記第1の実施形態と異なる点について説明する。即ち、モータ21は、例えば全体として円筒状をなす金属製のフレーム22の内周部に、固定子23が設けられ、固定子23の内周側に、回転子が設けられている。前記固定子23は、電磁鋼板を積層して構成される固定子鉄心24に、巻線25を装着して構成されている。
【0021】
前記フレーム22の軸方向両端部には、モータブラケット26、27が取付けられている。モータブラケット26、27には、回転子に固定された回転軸を支持する軸受が設けられている。
図6では、回転子、回転軸、軸受、ファン、ファンカバー等の図示を省略している。そして、前記フレーム22の外周面部には、軸方向に延びる放熱用の冷却用フィン部材28が、円周方向に並んで複数個設けられる。
【0022】
前記冷却用フィン部材28は、熱伝導性の良好なばね性を有する金属製の板材、例えばアルミニウムの薄板材から構成され、詳しく図示はしないが、放熱部28aと、取付用フランジ28bと、結束部28cとを一体に有している。この場合、冷却用フィン部材28は、上記第1の実施形態における、冷却用フィン部材14と同等の構成を備えており、詳しい説明を省略する。但し、結束部28cは、フレーム22の軸方向端部に位置して、折曲げにより、前記モータブラケット26、27の外面の外周端部に係止して該フレーム22と結束させるように設けられている。
【0023】
また、上記構成の冷却用フィン部材28に対し、本実施形態では、前記フレーム22の外周部には、前記取付用フランジ28bが軸方向に挿入可能な溝部29が、フレーム22の軸方向全体に延びて円周方向に並んで複数個設けられている。詳しい図示は省略するが、この溝部29も、前記第1の実施形態における溝部15と同等の形状を備えている。前記冷却用フィン部材28は、フレーム22の溝部29に対し、軸方向から挿入されることにより、フレーム22の外周面に着脱可能に取付けられる。そして、冷却用フィン部材28の溝部29への挿入後に、結束部28cを内周側に折曲げることにより、モータブラケット26、27の端部に係止してフレーム22に対する結束力を得ることができる。
【0024】
上記構成を備える第2の実施形態によれば、フレーム22の外周面部に設けられる複数の冷却用フィン部材28が、フレーム22とは別体とされていると共に、フレーム22に対し着脱可能に取付けられる。従って、冷却用フィン部材28を、フレーム22の外周面部のうち外部と干渉する虞のある位置には、取付けずに済ませる或いは取外すことができ、外部との干渉のない位置にのみ冷却用フィン部材28を設けることができる。このとき、冷却用フィン部材28の取付用フランジ28bはフレーム22と面接触し、また、冷却用フィン部材28の放熱部28aが二つ折り型なので、外周方向に大型化することなく、1個の冷却用フィン部材28で広い放熱面積が得られ、しかも放熱部28aの内側を冷却風が流通する。
【0025】
これにより、1個の冷却用フィン部材28による冷却性能を高いものとすることができ、言い換えれば、取付け個数を一部減らしても、全体として必要な冷却性能を得ることができる。また、冷却用フィン部材28のばね性を利用して、フレーム22に取付けたり、密着させたりすることが可能となる。この結果、本実施形態によれば、冷却用のフィン28を備えたものにあって、十分な冷却性能を確保しながらも、設置場所によってフィン28の一部が外部と干渉してしまうことを容易に回避することができるという優れた効果を得ることができる。
【0026】
特に本実施形態では、フレーム22の外周部に、冷却用フィン部材28の取付用フランジ28bが軸方向に挿入可能な複数個の溝部29を設けるようにした。これにより、取付用フランジ28bを溝部29に対し軸方向に挿入することで、冷却用フィン部材28を所定の位置に容易に取付けることができる。このとき、冷却用フィン部材28のばね性を利用して、溝部29内における保持力を得ると共に、取付用フランジ28bを溝部29の内面に密着させて面接触力を得ることが可能となる。冷却用フィン部材28の、フレーム22の溝部29からの取外しも容易となる。
【0027】
更に、本実施形態では、冷却用フィン部材28に、フレーム22の軸方向端部に位置して、折曲げにより、モータブラケット26、27の端部に係止してフレーム22と結束させる結束部28cを一体に設けた。これにより、結束部28cにより、フレーム22とモータブラケット26、27とが結束されるようになるので、その分だけ、モータブラケット26、27の取付けのための構成を省略することが可能となる。従って、冷却用フィン部材28に、冷却に加えてモータブラケット26、27を結束する機能が付加されるようになり、実用的機能をより高めることができる。
【0028】
(3)第3の実施形態、その他の実施形態
図7は、第3の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態と異なる点は、冷却用フィン部材31の構成にある。本実施形態の冷却用フィン部材31は、上記第1の実施形態の冷却用フィン部材14を、固定子鉄心12の軸方向に2分割した如き形態の、第1、第2の2つの分割フィン32、33から構成されている。これら第1、第2の分割フィン32、33は、放熱部32a、33aと、取付用フランジ32b、33bとを一体に有しており、第1の分割フィン32の一端部には、結束部32cを一体に有し、第2の分割フィン33の他端部には、結束部33cを一体に有している。
【0029】
この実施形態では、第1の分割フィン32は、固定子鉄心12の溝部15に対し、一端側(図で左側)から挿入され、第2の分割フィン33は、固定子鉄心12の溝部15に対し、他端側(図で右側)から挿入されて取付けられる。この第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。これと共に、冷却用フィン部材31の組付時に、第1、第2の分割フィン32、33の夫々の溝部15に対する挿入量(長さ)を小さくすることができる。これにより、第1、第2の分割フィン32、33の挿入時の抵抗が比較的小さく済み、挿入作業性を高めることができる。
【0030】
尚、上記各実施形態では、冷却用フィン部材14、28の放熱部14a、28aを、断面U字型に構成したが、断面V字型に構成しても良い。また、冷却用フィン部材14、28の結束部14c、28cは必ずしも設けなくても良い。固定子鉄心やフレームに溝部を設けずに、ボルト締め、溶接、ろう付け等の手段で冷却用フィン部材を取付ける構成としても良い。その他、本発明は、エレベータ用のモータに限らず、各種の用途や種類の回転電機に適用することが可能である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
図面中、1、21はモータ(回転電機)、2、23は固定子、3、4、26、27はモータブラケット、5は回転子、8は回転軸、9、10は軸受、11はファン、12、24は固定子鉄心、12aは電磁鋼板、13は巻線、14、28、31は冷却用フィン部材、14a、28a、32a、33aは放熱部、14b、28b、32b、33bは取付用フランジ、14c、28c、32c、33cは結束部、15、29は溝部、32、33は分割フィンを示す。