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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100417
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20230711BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230711BHJP
【FI】
G03B11/00
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001089
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】黒木 博行
【テーマコード(参考)】
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA26
2H083AA35
2H083AA36
5C122EA54
5C122FB17
5C122FF08
5C122GE04
5C122GE08
5C122GE11
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】撮像装置を大型化することなく、様々な光透過率を備える光学フィルタを撮像装置で使用可能にする。
【解決手段】撮像装置は、被写体からの光が入射する撮像面22aを備える撮像素子22と、光透過率を変更可能な電子式の第1の光学フィルタ24を備える第1のフィルタユニット16と、第1のフィルタユニット16を第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で第1の回転中心線C1を中心にして回動させる第1の駆動機構34とを有する。第1のフィルタリング位置が、撮像素子22の撮像面22aの前方に第1の光学フィルタ24が存在し、撮像面22aに到達する前の光が第1の光学フィルタ24を透過する位置であり、第1の退避位置が、第1のフィルタユニット16が撮像面22aの前方から外れる位置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
光透過率を変更可能な電子式の第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
前記第1のフィルタユニットを第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で第1の回転中心線を中心にして回動させる第1の駆動機構と、を有し、
前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在し、前記撮像面に到達する前の前記光が前記第1の光学フィルタを透過する位置であり、
前記第1の退避位置が、前記第1のフィルタユニットが前記撮像面の前方から外れる位置である、撮像装置。
【請求項2】
前記第1のフィルタユニットが、前記第1の駆動機構によって90度回動され、
前記第1の光学フィルタが、矩形状であって、
前記第1のフィルタリング位置と前記第1の退避位置との間の位置関係が、前記第1のフィルタリング位置および前記第1の退避位置の一方に位置する前記第1のフィルタユニットが90度回動すると他方に配置される位置関係であって、
前記第1のフィルタリング位置に位置する前記第1のフィルタユニットの前記第1の光学フィルタと前記第1の退避位置に位置する前記第1のフィルタユニットの前記第1の光学フィルタとが隣接するように、前記第1の回転中心線が位置決めされている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の回転中心線を中心にして90度回動するために必要な前記第1のフィルタユニットの移動範囲の前記撮像装置の左右方向の大きさが、前記第1のフィルタユニットが前記第1のフィルタリング位置に位置するときの前記第1のフィルタユニットの前記左右方向のサイズの2倍に比べて小さく、
前記第1の光学フィルタユニットの移動範囲の前記撮像装置の高さ方向の大きさが、前記第1のフィルタユニットが前記第1のフィルタリング位置に位置するときの前記第1のフィルタユニットの前記高さ方向のサイズの2倍に比べて小さい、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
光透過率が固定の第2の光学フィルタを備える第2のフィルタユニットと、
前記第2のフィルタユニットを第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間で第2の回転中心線を中心にして回動させる第2の駆動機構と、をさらに有し、
前記第2のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第2の光学フィルタが存在し、前記撮像面に到達する前の前記光が前記第2の光学フィルタを透過する位置であり、
前記第2の退避位置が、前記第2のフィルタユニットが前記撮像面の前方から外れる位置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2のフィルタユニットが、前記第2の駆動機構によって90度回動され、
前記第2の光学フィルタが、矩形状であって、
前記第2のフィルタリング位置と前記第2の退避位置との間の位置関係が、前記第2のフィルタリング位置および前記第2の退避位置の一方に位置する前記第2のフィルタユニットが90度回動すると他方に配置される位置関係であって、
前記第2のフィルタリング位置に位置する前記第2のフィルタユニットの前記第2の光学フィルタと前記第2の退避位置に位置する前記第2のフィルタユニットの前記第2の光学フィルタとが隣接するように、前記第2の回転中心線が位置決めされている、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の回転中心線を中心にして90度回動するために必要な前記第2のフィルタユニットの移動範囲の前記左右方向の大きさが、前記第2のフィルタユニットが前記第2のフィルタリング位置に位置するときの前記第2のフィルタユニットの前記左右方向のサイズの2倍に比べて小さく、
前記第2のフィルタユニットの移動範囲の前記高さ方向の大きさが、前記第2のフィルタユニットが前記第2のフィルタリング位置に位置するときの前記第2のフィルタユニットの前記高さ方向のサイズの2倍に比べて小さい、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の光学フィルタが、前記第1の光学フィルタの光路長と同一の光路長を備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1のフィルタユニットが前記第1のフィルタリング位置に位置するときは前記第2のフィルタユニットが前記第2の退避位置に位置し、前記第1のフィルタユニットが前記第1の退避位置に位置するときは前記第2のフィルタユニットが前記第2のフィルタリング位置に位置するように、前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構とが同期する、請求項4から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構に動力を供給する共通の動力源を、さらに有する、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記動力源が、ユーザによって操作される回転ノブである、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の回転中心線と前記第2の回転中心線が、同一直線上に位置する、請求項4から10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1および第2の駆動機構が、ラックアンドピニオン機構であって、
前記第1の駆動機構が、前記第1のフィルタユニットに形成されて前記第1の回転中心線を中心にして回転するピニオン部と係合する第1のラックを備え、
前記第2の駆動機構が、前記第2のフィルタユニットに形成されて前記第2の回転中心線を中心にして回転するピニオン部と係合する第2のラックを備える、請求項4から11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光透過率が変更可能なND(Neutral Density)フィルタユニットを備える撮像装置が開示されている。NDフィルタユニットは、光透過率が互いに異なる複数のNDフィルタと、複数のNDフィルタを支持する回転ディスクとを含んでいる。複数のNDフィルタは、回転ディスクの回転中心線を中心とする周方向に並んで回転ディスクに設けられている。回転ディスクが回転することにより、1つのNDフィルタが撮像素子の前方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/155908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された撮像装置の場合、使用しない複数のNDフィルタの退避スペースが必要になり、その結果として、撮像装置が大型化する。
【0005】
そこで、本開示は、撮像装置を大型化することなく、様々な光透過率を備える光学フィルタを撮像装置で使用可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
光透過率を変更可能な電子式の第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
前記第1のフィルタユニットを第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で第1の回転中心線を中心にして回動させる第1の駆動機構と、を有し、
前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在し、前記撮像面に到達する前の前記光が前記第1の光学フィルタを透過する位置であり、
前記第1の退避位置が、前記第1のフィルタユニットが前記撮像面の前方から外れる位置である、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、撮像装置を大型化することなく、様々な光透過率を備える光学フィルタを撮像装置で使用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
図2】フィルタモジュールの後方斜視図
図3】フィルタモジュールの分解後方斜視図
図4A】第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置しつつ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後面図
図4B】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置しつつ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に位置する状態のフィルタモジュールの後面図
図5A】実施例の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図
図5B】比較例1の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図
図5C】比較例2の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図
図6A】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に向かって回動しつつ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に向かって回動している状態のフィルタモジュールの後面図
図6B図6Aに続く第1および第2のフィルタユニットの回動状態を示すフィルタモジュールの後面図
図6C図6Bに続く第1および第2のフィルタユニットの回動状態を示すフィルタモジュールの後面図
図6D図6Cに続く第1および第2のフィルタユニットの回動状態を示すフィルタモジュールの後面図
図7】第1のフィルタユニットの分解後方斜視図
図8】NDフィルタアセンブリの前方斜視図
図9】NDフィルタアセンブリの部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。なお、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
【0013】
図1に示すように、本開示の一実施の形態に係る撮像装置10は、フィルタモジュール12を有する。撮像装置10は、いわゆる一眼レフカメラである。
【0014】
図2は、フィルタモジュールの後方斜視図である。また、図3は、フィルタモジュールの分解後方斜視図である。
【0015】
図2および図3に示すように、本実施の形態の場合、フィルタモジュール12は、筺体14と、第1のフィルタユニット16と、第2のフィルタユニット18とを有する。
【0016】
筺体14は、例えばアルミダイカストなどの金属材料から作製されており、第1および第2のフィルタユニット16、18を支持する。また、本実施の形態の場合、筺体14は、被写体からの光が透過する保護ガラス20を備える。
【0017】
図2に示すように、保護ガラス20に間隔をあけて撮像装置10の光軸LAの延在方向(すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向))に対向し、被写体からの光が入射するする撮像面22aを備える撮像素子22を、撮像装置10は有する。撮像素子22は、CCD、CMOSなどの光電変換素子であって、保護ガラス20を介して撮像面22aに入射した被写体からの光(被写体の像)から被写体の画像データを作成する。なお、光軸LAは、撮像素子22の撮像面22aに対して直交し、矩形状の撮像面22aの中心を通過する。
【0018】
本実施の形態の場合、図2および図3に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の光学フィルタ24と、第1の光学フィルタ24の外周部を支持する枠状の第1のフレーム構造体26とを備える。また、第2のフィルタユニット18は、第2の光学フィルタ28と、第2の光学フィルタ28の外周部を支持する第2のフレーム構造体30とを備える。
【0019】
本実施の形態の場合、第1の光学フィルタ24は、光透過率が変更可能な電子式のNDフィルタ、例えば液晶方式のフィルタである。第1の光学フィルタ24に印加する駆動電圧を変更することにより、第1の光学フィルタ24の光透過率が変化する。第2の光学フィルタ28は、光透過率が変更不可能な、すなわち光透過率が固定のフィルタ、例えばガラスである。本実施の形態の場合、第1および第2の光学フィルタ24、28は、撮像素子22の撮像面22aと同様に、矩形状である。
【0020】
第1のフィルタユニット16、すなわち第1の光学フィルタ24を支持する第1のフレーム構造体26は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に延在する第1の回転中心線C1を中心にして回動可能に、筺体14に支持されている。第2のフィルタユニット18、すなわち第2の光学フィルタ28を支持する第2のフレーム構造体30は、撮像装置10の前後方向に延在する第2の回転中心線C2を中心にして回動可能に、筺体14に支持されている。
【0021】
本実施の形態の場合、図2および図3に示すように、第1および第2の回転中心線C1、C2は、同一直線上に位置する。そのため、第1のフィルタユニット16は、第2のフィルタユニット18に対して前方で回動する。第1および第2の回転中心線C1、C2が同一直線上に位置することにより、第1および第2のフィルタユニット16、18を回動可能に支持する支持シャフト32を共通化することができる。
【0022】
図3に示すように、フィルタモジュール12は、第1のフィルタユニット16を第1の回転中心線C1を中心として回動させる第1の駆動機構34と、第2のフィルタユニット18を第2の回転中心線C2を中心にして回動させる第2の駆動機構36とを有する。
【0023】
本実施の形態の場合、第1および第2の駆動機構34、36は、いわゆるラックアンドピニオン機構である。
【0024】
第1の駆動機構34は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在し、その左右方向に移動可能に筺体14に支持された第1のラック38と、第1のラック38と係合して左右方向に移動させる第1の駆動ギヤ40とを備える。第1のラック38は、第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体26に形成されたピニオン部26aと係合する。第1の駆動ギヤ40の回転によって第1のラック38が左右方向に移動することにより、ピニオン部26aが第1の回転中心線C1を中心にして回転する。その結果、第1のフィルタユニット16が第1の回転中心線C1を中心にして回動する。
【0025】
第2の駆動機構36は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在し、その左右方向に移動可能に筺体14に支持された第2のラック42と、第2のラック42と係合して左右方向に移動させる第2の駆動ギヤ44とを備える。第2のラック42は、第1のラック38に対して後方で且つ平行に延在している。また、第2のラック42は、第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体30に形成されたピニオン部30aと係合する。第2の駆動ギヤ44の回転によって第2のラック42が左右方向に移動することにより、ピニオン部28aが第2の回転中心線C2を中心にして回転する。その結果、第2のフィルタユニット18が第2の回転中心線C2を中心にして回動する。
【0026】
第1の駆動機構34により、第1のフィルタユニット16は、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で、第1の回転中心線C1を中心にして回動する。また、第2の駆動機構36により、第2のフィルタユニット18は、第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間で、第2の回転中心線C2を中心にして回動する。
【0027】
図4Aは、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置しつつ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後面図である。また、図4Bは、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置しつつ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に位置する状態のフィルタモジュールの後面図である。
【0028】
図4Aに示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の駆動機構34に回動されて、第1のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するとき、第1の光学フィルタ24が撮像素子22の撮像面22aの前方に存在する。それにより、保護ガラス20を透過して撮像面22aに到達する前の被写体からの光が、第1の光学フィルタ24を透過する。その結果、第1の光学フィルタ24によってフィルタ処理された被写体からの光が撮像面22aに入射する。
【0029】
また、図4Bに示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の駆動機構34に回動されて、第1の退避位置に配置される。具体的には、第1のフィルタユニット16は、第1の退避位置として、撮像素子22の撮像面22aの前方から外れた位置に退避する。本実施の形態の場合、第1のフィルタユニット16は、撮像面22aの前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第1のフィルタユニット16に妨害されることなく、すなわち第1の光学フィルタ24を透過することなく、撮像面22aに入射する。
【0030】
図4Bに示すように、第2のフィルタユニット18は、第2の駆動機構36に回動されて、第2のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するとき、第2の光学フィルタ28が撮像素子22の撮像面22aの前方に存在する。保護ガラス20を透過して撮像面22aに到達する前の被写体からの光が、第2の光学フィルタ28を透過する。その結果、第2の光学フィルタ28によってフィルタ処理された被写体からの光が撮像面22aに入射する。なお、第2のフィルタリング位置は、第1のフィルタリング位置に対して後方に位置する。
【0031】
また、図4Aに示すように、第2のフィルタユニット18は、第2の駆動機構36に回動されて、第2の退避位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18は、第2の退避位置として、撮像素子22の撮像面22aの前方から外れた位置に退避する。本実施の形態の場合、第2のフィルタユニット18は、撮像面22aの前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第2のフィルタユニット18に妨害されることなく、すなわち第2の光学フィルタ28を透過することなく、撮像面22aに入射する。なお、第2の退避位置は、第1の退避位置に対して後方に位置する。
【0032】
本実施の形態の場合、図4Bに示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の駆動機構34により、第1の回転中心線C1を中心にして実質的に90度回動される。したがって、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間の位置関係は、第1のフィルタリング位置および第1の退避位置の一方に位置する第1のフィルタユニット16が90度回動すると他方に配置される位置関係である。それにより、第1のフィルタリング位置に位置する第1のフィルタユニット16の第1の光学フィルタ24(24’)の姿勢(二点鎖線)と、第1の退避位置に位置するときに第1の光学フィルタ24の姿勢(実線)が90度異なる。すなわち、第1の光学フィルタ24の長手方向が、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)から高さ方向(Z軸方向)に変化する。
【0033】
また、第1のフィルタリング位置に位置する第1の光学フィルタ24(24’)と第1の退避位置に位置する第1の光学フィルタ24とが、互いに重なることなく、可能な限り隣接するように、第1のフィルタユニット16の第1の回転中心線C1が位置決めされている。例えば、本実施の形態の場合、第1の光学フィルタ24を通過することなく、且つ、第1のフィルタリング位置するときの第1の光学フィルタ24(24’)の左下角部近くに(撮像装置10の前方から見た場合)、第1の回転中心線C1が位置決めされている。
【0034】
このような第1の回転中心線C1により、第1の光学フィルタ24、すなわち第1のフィルタユニット16の移動範囲を、第1の光学フィルタ24が撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動する場合に比べて小さくすることができる。その結果、撮像装置10の大型化、特に左右方向への大型化を抑制することができる。また、左右方向への大型化による撮像装置10の意匠性の低下を抑制することができる。
【0035】
なお、第1の光学フィルタ24をその短手方向である撮像装置10の高さ方向(Z軸方向)に平行移動させる場合、撮像装置10の高さ方向のサイズを大きくする必要がある、または第1の光学フィルタ24を小型化、すなわち撮像素子22を小型化する必要がある。しかし、その場合、撮像装置10の意匠性または性能が大きく損なわれる。
【0036】
撮像装置10の意匠性に関して補足する。
【0037】
図5Aは、実施例の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図である。また、図5Bは、比較例1の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図である。さらに、図5Cは、比較例2の撮像装置のレイアウトを概略的に示す正面図である。
【0038】
図5A図5Cそれぞれは、第1のフィルタユニット16が90度回動する場合(実施例1)、第1のフィルタユニット16が撮像装置の左右方向(Y軸方向)に平行移動する場合(比較例1)、および第1のフィルタユニット16が高さ方向(Z軸方向)に平行移動する場合(比較例2)それぞれのレイアウトを概略的に示している。
【0039】
図5Aに示すように、撮像装置10は、正面から見た場合、本体部10aとグリップ部10bとに大別される。本体部10aの正面シルエット(正面から見た輪郭形状)が、撮像装置10の意匠性に大きく影響する。例えば、撮像装置10がいわゆる一眼レフカメラのデザインである場合、本体部10aの撮像装置10の左右方向(Y軸方向)のサイズr1が高さ方向(Z軸方向)のサイズr2の約1.2~1.8倍であるのが好ましい。この撮像装置10の本体部10aの正面シルエットの意匠性を維持しつつ、本体部10a内に、撮像素子22、撮像素子22に関連する部品、および第1のフィルタユニット16を格納する必要がある。なお、グリップ部10b内には、バッテリ(図示せず)が格納されている。
【0040】
図5Aに示すように、撮像装置10の本体部10aの正面シルエットは、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)のサイズr1が高さ方向(Z軸方向)のサイズr2に比べて大きい矩形状である。また、撮像装置10の意匠性を考慮すると、この矩形状の本体部10aの正面シルエットの中心を撮像装置10の光軸LAが通過する。
【0041】
また、撮像装置10の本体部10aに、撮像素子22に関連する部品の格納領域SAが内含する必要がある。撮像素子22に関連する部品としては、例えば、撮像素子22が搭載される基板、撮像素子22を冷却する冷却装置などがある。また、撮像装置10が手振れ補正機能を備える場合、撮像素子22を撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に変位するアクチュエータが、撮像素子22に関連する部品に含まれる。したがって、格納領域SAは、撮像素子22に対して所定の位置関係および所定の大きさを備える。
【0042】
さらに、第1の回転中心線C1を中心にして実質的に90度回動する第1のフィルタユニット16の移動範囲MA(ハッチング部分)が、撮像装置10の本体部10aに内含する必要がある。
【0043】
第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するときの第1のフィルタユニット16の撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)のサイズそれぞれをs1、s2とする。この場合、第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの左右方向および高さ方向の大きさm1、m2は、数式1および数式2で表すことができる。
【数1】
【数2】
【0044】
格納領域SAと移動範囲MAを内含するために必要な本体部10aの左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)のサイズr1、r2は、数式3および数式4で表すことができる。
【数3】
【数4】
【0045】
図5Bに示す比較例1の撮像装置110の場合、第1のフィルタユニット16は、回動せずに、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動する。撮像素子22の前方から退避するとき、第1のフィルタユニット16は本体部110aの左側に平行移動する。なお、グリップ部110bにはバッテリが存在するため、第1のフィルタユニット16は、グリップ部110b内には移動することができない。
【0046】
図5Bに示す比較例1の撮像装置110の場合、第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)の大きさm3、m4は、数式5および数式6で表すことができる。また、格納領域SAと移動範囲MAを内含するために必要な本体部10aの左右方向のサイズr3は、数式7で表すことができる。
【数5】
【数6】
【数7】
【0047】
また、図5Cに示す比較例2の撮像装置210の場合、第1のフィルタユニット16は、回動せずに撮像装置210の高さ方向(Z軸方向)に平行移動する。撮像素子22の前方から退避するとき、第1のフィルタユニット16は、本体部110aの上側に平行移動する。
【0048】
図5Cに示す比較例2の撮像装置210の場合、第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)の大きさm5、m6は、数式8および数式9で表すことができる。また、格納領域SAと移動範囲MAを内含するために必要な本体部210aの高さ方向のサイズr4は、数式10で表すことができる。
【数8】
【数9】
【数10】
【0049】
図5A図5Cに示すように、第1のフィルタユニット16が第1の回転中心線C1を中心にして90度回動する場合、その移動に必要な移動範囲MAの面積は、左右方向(Y軸方向)または高さ方向(Z軸方向)に平行移動する場合に比べて大きくなる。
【0050】
しかしながら、実施例における第1のフィルタユニット16が90度回動するために必要な移動範囲MAの左右方向の大きさm1は、比較例1における第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの左右方向の大きさm3に比べて小さい、すなわち第1のフィルタユニット16の左右方向のサイズs1の2倍に比べて小さい。また、実施例における第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの高さ方向の大きさm2は、比較例2における第1のフィルタユニット16の移動範囲MAの高さ方向の大きさm6に比べて小さい、すなわち第1のフィルタユニット16の高さ方向のサイズs2の2倍に比べて小さい。
【0051】
その結果、図5A図5Cに示すように、第1フィルタユニット16が第1の回転中心線C1を中心にして90度回動する実施例の場合、第1のフィルタユニット16が左右方向(Y軸方向)または高さ方向(Z軸方向)に平行移動する比較例1および比較例2に比べて、撮像装置の意匠性に与える影響が少ない。すなわち、撮像装置はいわゆる一眼レフカメラのデザインを得ることができる。比較例1の場合、撮像装置110の本体部110aは、左右方向に極端に長い矩形状の正面シルエットになり、一眼レフカメラのデザインから離れる。また、比較例2の場合、撮像装置210の本体部210は、正方形に近い正面シルエットになり、一眼レフカメラのデザインから離れる。
【0052】
本実施の形態の場合、図4Bに示すように、第2のフィルタユニット18は、第2の駆動機構36により、第2の回転中心線C2を中心にして実質的に90度回動される。したがって、第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間の位置関係は、第2のフィルタリング位置および第2の退避位置の一方に位置する第2のフィルタユニット18が90度回動すると他方に配置される位置関係である。それにより、第2のフィルタリング位置に位置する第2のフィルタユニット18の第2の光学フィルタ28の姿勢(実線)と、第2の退避位置に位置するときに第2の光学フィルタ28(28’)の姿勢(二点鎖線)が90度異なる。すなわち、第2の光学フィルタ28の長手方向が、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)から高さ方向(Z軸方向)に変化する。
【0053】
また、第2のフィルタリング位置に位置する第2の光学フィルタ28と第2の退避位置に位置する第2の光学フィルタ28(28’)とが、互いに重なることなく、可能な限り隣接するように、第2のフィルタユニット18の第2の回転中心線C2が位置決めされている。例えば、本実施の形態の場合、第2の光学フィルタ28を通過することなく、且つ、第2のフィルタリング位置するときの第2の光学フィルタ28の左下角部近くに(撮像装置10の前方から見た場合)、第2の回転中心線C2が位置決めされている。
【0054】
このような第2の回転中心線C2により、第2の光学フィルタ28、すなわち第2のフィルタユニット18の移動範囲を、第2の光学フィルタ28が撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動する場合に比べて小さくすることができる。その結果、撮像装置10の大型化、特に左右方向への大型化を抑制することができる。また、左右方向への大型化による撮像装置10の意匠性の低下を抑制することができる。
【0055】
なお、第2の光学フィルタ28をその短手方向である撮像装置10の高さ方向(Z軸方向)に平行移動させる場合、撮像装置10の高さ方向のサイズを大きくする必要がある、または第2の光学フィルタ28を小型化、すなわち撮像素子22を小型化する必要がある。しかし、その場合、撮像装置10の意匠性または性能が大きく損なわれる。
【0056】
第2のフィルタユニット18も、第1のフィルタユニット16と同様に実質的に90度回動するので、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)または高さ方向(Z軸方向)に平行移動する場合に比べて、撮像装置10の意匠性に大きく影響しない。
【0057】
すなわち、第2の回転中心線C2を中心にして90度回動するために必要な第2のフィルタユニット18の移動範囲の左右方向の大きさが、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するときの第2のフィルタユニット18の左右方向のサイズの2倍に比べて小さい。また、第2のフィルタユニットの移動範囲の高さ方向の大きさが、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するときの第2のフィルタユニット18の高さ方向のサイズの2倍に比べて小さい。その結果、撮像装置10は、いわゆる一眼レフカメラのデザインを得ることができる。
【0058】
本実施の形態の場合、第1の駆動機構34による第1のフィルタユニット16の回動動作と、第2の駆動機構36による第2のフィルタユニット18の回動動作は同期する。
【0059】
具体的には、図4Aに示すように、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置(すなわち撮像素子22の撮像面22aの前方の位置)に位置するときは第2のフィルタユニット18が第2の退避位置(すなわち撮像面22aの前方から外れた位置)に位置するように、第1および第2のフィルタユニット16、18の回動動作が同期する。また、図4Bに示すように、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置に位置するときは第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するように、第1および第2のフィルタユニット16、18の回動動作が同期する。そのために、第1の駆動機構34と第2の駆動機構36とが同期する。
【0060】
本実施の形態の場合、図2および図3に示すように、第1の駆動機構34の第1の駆動ギヤ40と第2の駆動機構36の第2の駆動ギヤ44とが互いに係合する。また、第2の駆動ギヤ44は、第1の駆動機構34と第2の駆動機構36に動力を供給する動力源である動力伝達ギヤ46に係合している。この動力伝達ギヤ46は、撮像装置10の前面に配置され、ユーザが回転操作する回転ノブ48に連結している。
【0061】
図4Aに示す状態からユーザが回転ノブ48を回転させると動力伝達ギヤ46が回転し、それにより、第1の駆動ギヤ40と第2の駆動ギヤ44が同期回転する。その結果、第1の駆動ギヤ40に係合する第1のラック38が右方向に移動し(撮像装置10の前方から見た場合)、第2の駆動ギヤ44に係合する第2のラック42が反対方向、すなわち左方向に移動する。第1のラック38と第2のラック42それぞれが互いに反対方向に移動することにより、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18とが互いに逆方向に回動する。
【0062】
図6A図6Dは、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に向かって回動しつつ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に向かって回動している状態のフィルタモジュールの後面図である。
【0063】
図6A図6Dに示すように、図4Aに示す状態からユーザが回転ノブ48を正回転させると、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置から第1の退避位置に向かって回動しつつ、第2のフィルタユニット18が第2の退避位置から第2のフィルタリング位置に向かって回動する。回動の途中、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)にオーバーラップする。本実施の形態の場合、第2のフィルタユニット18は、第1のフィルタユニット16の後方を通過する。
【0064】
図4Bに示す状態からユーザが回転ノブ48を逆回転させると、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置から第1のフィルタリング位置に向かって回動しつつ、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置から第2の回避位置に向かって回動する。
【0065】
このような第1の駆動機構34と第2の駆動機構36の同期動作により、1つの回転ノブ48を回転させるだけで、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18とを同時に回動させることができる。すなわち、ユーザは、回転ノブ48を正方向または逆方向に回転させるだけで、第1の光学フィルタ24または第2の光学フィルタ28を撮像素子22の撮像面22aの前方に配置することができる。その結果、ユーザは、第1の光学フィルタ24から第2の光学フィルタ28に、またはその逆に使用する光学フィルタを簡単に変更することができる。
【0066】
なお、本実施の形態の場合、第1の光学フィルタ24は、光透過率が変更可能な電子式のNDフィルタであって、第2の光学フィルタ28は、光透過率が固定のフィルタ、例えばガラスである。第1の光学フィルタ24から第2の光学フィルタ28に変更したときにピントが変わらないように、第2の光学フィルタ28は、第1の光学フィルタ24の光路長と実質的に同一の光路長を備えている。
【0067】
また、本実施の形態の場合、撮像装置10は、第1の光学フィルタ24の光透過率を検出するセンサユニット50を有する。
【0068】
図7は、第1のフィルタユニットの分解後方斜視図である。また、図8は、NDフィルタアセンブリの前方斜視図である。そして、図9は、NDフィルタアセンブリの部分断面図である。
【0069】
図7図9に示すように、センサユニット50は、第1のフィルタユニット16に設けられている。センサユニット50は、LEDなどの光源52と、光源52から出力された光を分光して第1および第2の光L1、L2を出射する導光部材54と、第1の光L1の強度を検出する第1の光センサ56と、第2の光L2の強度を検出する第2の光センサ58とを含んでいる。
【0070】
なお、本実施の形態の場合、第1のフィルタユニット16において、第1の光学フィルタ24は、ガラス板60、62の間、およびガラス板64、66の間それぞれに設けられている。一方の第1の光L1は、2枚の第1の光学フィルタ24と4枚のガラス板60~66とを透過して第1の光センサ56に入射する。他方の第2の光L2は、ガラス板62、64のみを透過して第2の光センサ58に入射する。
【0071】
第1の光学フィルタ24の光透過率が所定の光透過率である場合(すなわち第1の光学フィルタ24に印加される駆動電圧が所定の電圧である場合)、第1の光センサ56によって検出される第1の光L1の強度と第2の光L2の強度との間の強度差は、所定の強度差である。第1の光学フィルタ24の駆動電圧が所定の電圧にもかかわらず、第1の光L1と第2の光L2の強度差が所定の強度差と異なる場合には、劣化や故障などの異常が第1の光学フィルタ24に生じていると判断することができる。
【0072】
本実施の形態の場合、センサユニット50は、第1のフィルタユニット16に設けられている。したがって、センサユニット50は、第1のフィルタユニット16の位置に関係なく、第1の光学フィルタ24の光透過率を検出することができる。
【0073】
以上のような本実施の形態によれば、撮像装置を大型化することなく、様々な光透過率を備える光学フィルタを撮像装置で使用可能になる。
【0074】
具体的には、本実施の形態と異なり、光透過率がそれぞれ異なる複数の光学フィルタを使用する場合、使用しない残りの複数の光学フィルタの退避スペースが必要になる。それに対して、本実施の形態によれば、第1の光学フィルタ24が、光透過率を変更可能な1つの電子式フィルタであるので、退避スペースが小さくて済む。
【0075】
また、本実施の形態の場合、矩形状の第1の光学フィルタ24は、矩形状であって、第1の退避位置に向かって90度回動する。これにより、第1の光学フィルタ24のその長手方向(Y軸方向)に平行移動して退避する場合に比べて、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)のサイズの大型化を抑制することができる。
【0076】
さらに、本実施の形態の場合、図4Aおよび図4Bに示すように、第2の光学フィルタ28(第2のフィルタユニット18)の第2の退避位置は、第1の光学フィルタ24(第1のフィルタユニット16)の第1の退避位置に対して後方に位置する、すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向)に並んでいる。その結果、第1の退避位置と第2の退避位置が撮像装置10の左右方向(Y軸方向)または高さ方向(Z軸方向)に並んでいる場合に比べて、撮像装置10の意匠性、いわゆる一眼レフカメラの意匠性の低下を抑制することができる。
【0077】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0078】
例えば、上述の実施の形態の場合、図3に示すように、撮像装置10は、光透過率が変更不可能なガラスなどである第2の光学フィルタ28を有する。また、その第2の光学フィルタ28は、第1の光学フィルタ24の光路長と実質的に同一の光路長を備えている。これにより、第1の光学フィルタ24から第2の光学フィルタ28に変更しても、ピントが合った状態を維持することができる。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。第1の光学フィルタ24が第1のフィルタリング位置(撮像素子22の撮像面22aの前方位置)から退避してもピントが合った状態を別の機構で維持できるのであれば、第2の光学フィルタ28、すなわち第2のフィルタユニット18を省略することが可能である。
【0079】
また、上述の実施の形態の場合、図3に示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18を回動させる第1および第2の駆動機構34、36は、いわゆるラックアンドピニオン機構である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、2つのモータが、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれを回動させてもよい。
【0080】
さらに、上述の実施の形態の場合、第1および第2のフィルタユニット16、18は、ユーザが回転ノブ48を回転させることによって回動する、すなわち手動によって回動する。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、ユーザがボタンを押すと、モータが、第1および第2のフィルタユニット16、18を回動させてもよい。
【0081】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、図7図9に示すように、第1の光学フィルタ24の光透過率を検出するセンサユニット50は、第1のフィルタユニット16に設けられている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。センサユニット50は、フィルタモジュール12の筺体14に設けてもよい。この場合、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置(図4A)に位置するときにその第1の光学フィルタ24の光透過率を検出することができる筺体14上の位置に、センサユニット50は設けられる。
【0082】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、光透過率を変更可能な電子式の第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、前記第1のフィルタユニットを第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で第1の回転中心線を中心にして回動させる第1の駆動機構と、を有し、前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在し、前記撮像面に到達する前の前記光が前記第1の光学フィルタを透過する位置であり、前記第1の退避位置が、前記第1のフィルタユニットが前記撮像面の前方から外れる位置である。
【0083】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0084】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、光透過率が異なる複数のNDフィルタを備える撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
16 第1のフィルタユニット
22 撮像素子
22a 撮像面
24 第1の光学フィルタ
34 第1の駆動機構
C1 第1の回転中心線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9