IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三谷セキサン株式会社の特許一覧

特開2023-100423フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法
<>
  • 特開-フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法 図1
  • 特開-フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法 図2
  • 特開-フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法 図3
  • 特開-フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法 図4
  • 特開-フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100423
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】フランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび上下ポールの接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/00 20060101AFI20230711BHJP
   E04H 12/12 20060101ALI20230711BHJP
   E04H 12/08 20060101ALI20230711BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04H12/00 Z
E04H12/12
E04H12/08
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001103
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000176512
【氏名又は名称】三谷セキサン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 寿典
【テーマコード(参考)】
5G367
【Fターム(参考)】
5G367AA02
(57)【要約】
【課題】
2つのポール1A、1Bを接合フランジで連結する際に、上側のポール1Bの下端に位置する接合フランジ3Bの上面に確認プレート10載せるだけで、ボルト、ナットの締め付け作業を効率化できる。
【解決手段】
確認プレート10はドーナツ状の薄板からなるプレート基体11を2分割して結合具21でつないである。確認プレート10は、接合フランジ1Bの上面5Bのボルト孔8に対応したボルト用開口20を設け、上面13でボルト用開口20の近傍にボルトの締め付け順序1~12を示す「数字」が表示されている。ボルト用開口20は、適用するボルト、ナットおよび座金などの連結構造体に較べて平面視で十分大きく形成され、かつ連結構造体に挟まれないような位置、形状および大きさで形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製または鋼管製などの下側の長尺物の上端に上側の長尺物を連結する際に、互いの接合フランジの連通したボルト孔にボルトを挿入して連結する際に使用し、以下のように構成したことを特徴とするフランジ連結用ボルト締めの確認プレート。
(1) 前記上側の長尺物の下端に位置する接合フランジの上面に載置できるプレート基体を形成し、前記プレート基体に前記上側の長尺物を挿通できる中央開口を備えた。
(2) 前記ボルト用開口は前記ボルト孔に対応して形成し、前記ボルト用開口の縁は、当該ボルト孔に適用されるボルト、ナット、および座金などの連結構造体に挟まれないような位置、形状および大きさで形成された。
(3) 前記プレート基体の上面であって、前記ボルト用開口の縁の近傍に、前記ボルト孔に挿入した前記ボルトを締める作業順番に対応した数字を表示した。
【請求項2】
以下のように構成した請求項1に記載したフランジ連結用ボルト締めの確認プレート。
(1) プレート基体はドーナツ状の形状であって、前記プレート基体は周方向に複数に分割されたプレート基体片から構成され、前記各プレート基体片は、使用時にプレート基体を形成でき、かつ不使用に互いに離反しないように結合具で連結された。
【請求項3】
上端に接合フランジを備えた下側のポールを地上に立設し、前記下側のポールの上端に、下端に接合フランジを備えた上側のポールを載せて、ボルト・ナットで上下の接合フランジを連結して、上下のポールを連結し、以下のように構成することを特徴とする上下ポールの接合方法。
(1) 前記下側のポールの接合フランジと前記上側のポールの接合フランジを重ね、前記下側のポールの接合フランジのボルト孔と、前記上側のポールの接合フランジのボルト孔を連通させ、両接合フランジの連通したボルト孔にボルト、ナット、および必要な座金を取り付ける。
(2) 両接合フランジの連通したボルト孔に前記ボルトを挿入する前又はボルトを挿入した後で、前記上側のポールの接合フランジの上面に、確認プレートを載置し、前記確認プレートのボルト用開口内に前記ボルト孔が位置するように調整する。
(3) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットを締める。
(4) 以上のようにして、前記上側のポールと前記下側のポールを接合する。
【請求項4】
確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットを締める操作を以下のように行うことを特徴とする請求項3に記載の上下ポールの接合方法。
(1) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットの一次締めを行う。
(2) 前記一次締めが完了したボルトの軸、ナットおよび必要な座金と、確認プレートのボルト用開口から露出する接合フランジの上面とに、略垂直方向のマーカー線を記載する。
(3) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、前記マーカー線を使って、各ボルト・ナットを所定角度だけ締める本締めを行う。
(4) 以上のようにして、前記上側のポールと前記下側のポールを接合する。
【請求項5】
上側のポールと下側のポールを接合した後、前記上側のポールの接合フランジの上面から確認プレートを取り外すことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の上下ポールの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管やポールなどの長尺物を長さ方向に接合フランジで連結する際に使用するフランジ連結用ボルト締めの確認プレートおよび、この確認用プレートを使用した上下ポールの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱などに使用される鋼管を連結するには、地上で必要長さに連結して連結したポールを立てる場合、連結作業は容易であるが、立てる際に連結部分に負荷が掛かり、また、連結した長いポールを立てる際に重機を必要とするなど施工が大がかりとなっていた。
そこで、通常は、連結用の接合フランジを設けた短いポール(例えば、5~10m程度)を使用し、一番下のポールを地面に埋設して、以降上にポールをつないでいた。この場合、確実に接合フランジの連結作業ができかつそれを確認できる施工管理が求められ、かつ高所作業となるので、作業の安全と効率化が求められていた。とりわけ、連結作業が高所でなされるため、これに適応した安全で効率的な作業が求められていた。
例えば、接合フランジをボルトで接合する場合には、ボルトの締め付けトルクの管理と、ボルトを締め付ける作業順序を管理する必要があった。通常、ボルトの締め付けは、偏りを防ぐため、対角状にボルトを締めていた。これを効率的に進めるため、接合フランジに、締め付け順序(例えば、1、2、・・・と締め付け順を表す数字)を現場で手書きし、あるいは工場で締め付け順序を刻印していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-44952公報
【特許文献1】特開2008-101325公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に接合フランジが鋼製であり、従来の手書きによる記入は、記入し難かったり、現場の粉塵や風雨により記入した数字が擦れたり消えることがあった。また、接合フランジに刻印する場合では、接合フランジ径や、接合フランジにもうけられたボルトの数などが様々であり、かつ屋外でも見やすいように深く刻印する場合には、刻印装置が煩雑となる問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ボルトの締め付け順序を記載した確認プレートを構成して、この確認プレートを接合フランジに載せて作業をするので、前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの発明は、コンクリート製または鋼管製などの下側の長尺物の上端に上側の長尺物を連結する際に、互いの接合フランジの連通したボルト孔にボルトを挿入して連結する際に使用し、以下のように構成したことを特徴とするフランジ連結用ボルト締めの確認プレートである。
(1) 前記上側の長尺物の下端に位置する接合フランジの上面に載置できるプレート基体を形成し、前記プレート基体に前記上側の長尺物を挿通できる中央開口を備えた。
(2) 前記ボルト用開口は前記ボルト孔に対応して形成し、前記ボルト用開口の縁は、当該ボルト孔に適用されるボルト、ナット、および座金などの連結構造体に挟まれないような位置、形状および大きさで形成された。
(3) 前記プレート基体の上面であって、前記ボルト用開口の縁の近傍に、前記ボルト孔に挿入した前記ボルトを締める作業順番に対応した数字を表示した。
【0007】
また、上記において、以下のように構成したフランジ連結用ボルト締めの確認プレートである。
(1) プレート基体はドーナツ状の形状であって、前記プレート基体は周方向に複数に分割されたプレート基体片から構成され、前記各プレート基体片は、使用時にプレート基体を形成でき、かつ不使用に互いに離反しないように結合具で連結された。
【0008】
また、方法の発明は、上端に接合フランジを備えた下側のポールを地上に立設し、前記下側のポールの上端に、下端に接合フランジを備えた上側のポールを載せて、ボルト・ナットで上下の接合フランジを連結して、上下のポールを連結し、以下のように構成することを特徴とする上下ポールの接合方法である。
(1) 前記下側のポールの接合フランジと前記上側のポールの接合フランジを重ね、前記下側のポールの接合フランジのボルト孔と、前記上側のポールの接合フランジのボルト孔を連通させ、両接合フランジの連通したボルト孔にボルト、ナット、および必要な座金を取り付ける。
(2) 両接合フランジの連通したボルト孔に前記ボルトを挿入する前又はボルトを挿入した後で、前記上側のポールの接合フランジの上面に、確認プレートを載置し、前記確認プレートのボルト用開口内に前記ボルト孔が位置するように調整する。
(3) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットを締める。
(4) 以上のようにして、前記上側のポールと前記下側のポールを接合する。
【0009】
また、前記において、確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットを締める操作を以下のように行うことを特徴とする上下ポールの接合方法である。
(1) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、予め設定したトルクで、前記ボルト・ナットの一次締めを行う。
(2) 前記一次締めが完了したボルトの軸、ナットおよび必要な座金と、確認プレートのボルト用開口から露出する接合フランジの上面とに、略垂直方向のマーカー線を記載する。
(3) 前記確認プレートの上面に表示された順番に従い、前記マーカー線を使って、各ボルト・ナットを所定角度だけ締める本締めを行う。
(4) 以上のようにして、前記上側のポールと前記下側のポールを接合する。
【0010】
さらに、前記において、上側のポールと下側のポールを接合した後、前記上側のポールの接合フランジの上面から確認プレートを取り外すことを特徴とする上下ポールの接合方法である。
【0011】
前記における長尺物は、例えば、電柱やネット張る際に使用するポールで、主にコンクリート製を想定しているが、上下につなぐために鋼製の接合フランジを備える構造であれば、鋼管製などにも適用できる。
【0012】
また、前記における「ボルト、ナット、および座金などの連結構造体に挟まれないような位置、形状および大きさ」とは、プレート基体(特にボルト用開口)が「座金と接合フランジとの間」「座金とナット(またはボルトの頭部)との間」などに挟まれなような位置、形状および大きさにあることを意味し、ボルト、ナットの締め付けトルクに影響を与えないことが必要である。したがって、プレート基体とボルト、ナット、および座金との多少の接触は許容される。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、接合フランジのボルト孔(ボルト)に対応した位置に、ボルト用開口を形成し、ボルト開口の近傍にボルトを締める順序を表示して確認プレートを構成したので、作業者は確認プレートのみを見ながらボルト締め作業を順序良く実施できる。さらにボルト用開口の縁は、ボルト、ナット、座金などの連結構造体に挟まれない位置、形状、大きさとしたので、締め付けトルクに影響を与えることなく、高所での作業を効率化、かつ安全化できる。
また、確認プレートに予めボルトを締める順序を表示したので、個々のポールの接合フランジに数字を刻印または記入する作業を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態でポールに適用した例の概略した正面図を表し、(a)は接合前、(b)は接合作業中、(c)は接合完了後、をそれぞれ表す。
図2】この発明の確認プレートで、(a)はプレート片を合わせた状態の確認プレートの平面図、(b)は確認プレートを適用する前の図で、ポールで図1(a)のA-A拡大断面図、(c)は確認プレートを使用してプレートを接合中の図で、図1(b)のB-B拡大断面図、をそれぞれ表す。
図3】この発明の確認プレートの他の実施形態で、(a)はプレート片を合わせた状態の確認プレートの平面図、(b)は確認プレートを適用する前の平面図、を表す。
図4】同じく、この発明の確認プレートの他の実施形態で、(a)はプレート片を合わせた状態の確認プレートの平面図、(b)は確認プレートを適用する前の平面図、を表す。
図5図1(b)のC部拡大図で一部を破折した図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.確認プレート10を適用するポール1(長尺物)
【0016】
長尺物の例として、電柱用などで使用されるポール1を設定して、ポール1は下側のポール1Aの上端に、鋼製の接合フランジ3Aが固定され、上側のポール1Bの下端に鋼製の接合フランジ3Bが固定されている。
接合フランジ3Aの接合面4Aと接合フランジ3Bの接合面4B(下側の接合フランジ3Aの下面と上側の接合フランジ3Bの下面)がほぼ同一で、接合用のボルト孔8、8が上下で一致している。この実施形態では、接合フランジ3A、3Bは円形のドーナツ状の構造で、12個のボルト孔8、8が円周方向同間隔で形成されている(図2(b))。
また、上側のポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bは操作面として、確認プレート10を置けるように略平坦面に形成されている。
また、接合フランジ3A、3Bの厚さ方向の面を側面6A、6Bとする。
【0017】
2.確認プレート10の構成
【0018】
(1) 使用する上側のポール1Bに対応させて、外径D1、内径D2の円形ドーナツ状のプレート基体11を形成する。プレート基体11の外径D1はポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bに対応して、上面5Bの外周7Bから外方の突出しないように形成されている。また、内径D2はポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bに対応して、接合フランジ3Bの上面5Bの内径(すなわち上面5Bに位置するポール1Bの外径)と同等または若干大きく形成されている。
【0019】
(2) プレート基体11に、接合フランジ3A、3Bのすべてのボルト孔8、8に対応した位置と大きさで、かつプレート基体11の外周縁16から中心側に向けて、ボルト用開口20、20を形成する。この実施形態では、ボルト用開口20、20は、ボルト孔8、8の配置に応じて、1対1に対応して、12個が外周方向に均等に形成される(図2(b))。
ボルト用開口10は、中心側が半円で、円に接するように外周縁16に至る形状となり、すなわち、円形よりやや深く形成されている。一般に、座金(ワッシャー)28は適用するボルト24の頭部36やナット27より大形に形成されているので(図5)、接合フランジ3Bに適用する座金(ワッシャー)28などの連結構造体より平面視で大きく形成される。より具体的には、ボルト24、ナット27、座金28を使って、接合フランジ3Bの接合作業をする際に、座金28(座金つきボルト、座金付きナットも同様)が、プレート基体11(プレート基体片13A、13B)のボルト用開口20の縁部を挟まないように、形成されている(図5)。
【0020】
(3) プレート基体11の上面13には、使用するボルト24、24(ナット28、28)の締め付け(本締め)をする作業順序に対応して1~2の「数字」が表示されている。通常はボルト24、24(ナット28、28)の締め付けは対角状に作業をするので、「数字」は直径方向から若干ずれた位置に順に表示されている。「数字」は、どのボルト用開口20(ボルト孔8=すなわちボルト24、ナット28)の「数字」を区別ができるようにボルト用開口20の近傍のプレート基体11の上面13に記載されている。
【0021】
(4) 以上のようにして確認プレート10を形成する(図2(a))。なお、プレート基体11の下面の構成は、任意であるが、上面11aと同様に「数字」を記載しておくこともできる(図示していない)。
【0022】
(5) 確認プレート10は、直径方向の切断線12、12aにより、半円のように周方向に2つに分割して、確認プレート片10A、10Bに分離される構造とすることが望ましい。この場合、切断線12に対応して、確認プレート片10Aの端縁14A、確認プレート片10Bの端縁14B、として、切断線12aに対応して、確認プレート片10Aの端縁15A、確認プレート片10Bの端縁15B、とする(図2(a)(b))。
また、この場合、確認プレート片10Aの一側の端縁14A付近(切断線12付近)の外周方向に連結凸部18を形成し、確認プレート片10Bの一側の端縁14B付近(切断線12付近)の外周方向に連結凸部18を形成する(図2(a)(b))。また、各連結凸部18、18はそれぞれ、透孔19が設けられて、透孔19、19に、環状のワイヤーなどの結合具21を通して、対応する確認プレート片10A、10Bが分離しないように(離れても紛失しないように)ゆるくまとめられている(図2(a))。
【0023】
(6) 確認プレート10(プレート基体11)の厚さは、保形され、かつねじれが生じないような強度を保てば任意であるが、この実施形態では、ボルト・ナットの締め付け作業の作業性を考慮して、ボルト用開口20内に位置する座金28の厚さより、若干薄く形成してある(図5)。
ただし、確認プレート10は、ボルト24、ナット27、座金28を接合フランジ3A、3Bに装着する際に、ボルト用開口20の縁付近で接合フランジ3Bの上面5Bと座金28との間、座金28とナット27の間に挟まれない難いようにある程度の厚さを必要とする。通常は、ボルト24の頭部26を下にして取り付けるが、ボルト24の頭部26を接合フランジ3B側に位置させた場合には、ボルト用開口20の縁付近で、接合フランジ3Bの上面5Bと座金28(またはボルト24の頭部26)との間、座金28とボルト24の頭部26との間に挟まれない難いようにある程度の厚さを必要とする。要は、ボルト24、ナット27、座金28などを連結構造体とした場合、確認プレート10は、連結構造体の間、または連結構造体と接合フランジ3Bの上面5Bとの間に挟まれにない難いようなある程度の厚さを必要とすることになる。
なお、上記における挟まれないような厚さは、通常は座金28を使用するので、座金28の厚さの3分の1~2分の1程度より厚いことが望ましい。
【0024】
3.ポール1A、1Bの接合作業
【0025】
(1) 地面に下側のポール1Aを設置して、ポール1の上方から、上側のポール1Bを吊り下げて(図1(a))、下側のポール1Aの接合フランジ3Aの接合面(上面)4Aに、上側のポール1Bの接合フランジ3Bの接合面(下面)4Bを重ねて、総てのボルト孔8、8を連通させる。
続いて、ボルト孔8、8に、ボルト(高力ボルト)24を通して、ボルト24の軸25に座金28、28、ナット27を取り付けて、仮締めする。座金28、ナット27は上側のポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bに位置している。
【0026】
(2) 続いて、上側のポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bに確認プレート10を、上面13を上にして、接合フランジ3Bのボルト孔8(既にボルト24、ナット27、座金28が設置済み)とボルト用開口20を一致させて載置する(図1(b))。この際、確認プレート10は、確認プレート片10A、10B分割されているので、上側のポール1Bを挟むようにして、容易に設置できる。なお、この際、確認プレート10は、ボルト用開口20の中心部にボルト孔8(ボルト軸25)を位置させれば、確認プレート10が、接合フランジ3Bの上面5Bと座金28との間により挟まれ難くなる。
また、この際、確認プレート片10A、10Bは、連結具(ワイヤー)21で連結してあるので、現場に異なる仕様の確認プレート10があっても、同じ仕様の確認プレート片10A、確認プレート片10Bの組合せが混ざることなく、かつ確認プレート10A、確認プレート10Bが紛失することなく、設置作業を効率化できる。また、作業中に連結具(ワイヤー)21をポール1A、1Bの足場や作業者に係止しておけば、確認プレート10(確認プレート片10A、確認プレート片10B)が誤って地面に落下することを防止できる。
【0027】
(3) なお、確認プレート10の取り付けは、予め上側のポール1Bの接合フランジ3Bの上面5Bに位置させておき、その後に、接合フランジ3A、3Bのボルト孔8にボルト24を挿通させることもできる。
【0028】
(4) 続いて、予め設定されたトルク値で、確認プレート10に記載の「数字」の順番1~12に従い、対角状にボルト24(ナット27)の一次締めを行う。なお、この作業は、接合フランジ3Bの高さ、すなわちポール1Aの上端部付近の高さであり、高所作業となる。
一次締めが完了した時点で、接合フランジ3Bの上面5B側、すなわち確認プレート10の上面13側で、ボルト軸25、ナット27、座金28、接合フランジ3Bの上面5Bに、縦方向(垂直方向)で途切れのないマーカー線30を記入する(図5)。この際、接合フランジ3Bの上面5Bへのマーカー線30は、確認プレート10のボルト用開口20から露出した位置でマーカー線30を記入できる。
【0029】
(5) 続いて、通常の作業と同様に、ナット28の回転によるマーカー線30のずれを確認しながら、予め設定された角度(例えば90°や120°)だけ、ボルト24(ナット27)を締めて、本締めが完了する。
【0030】
(6) 以上のようにして、上側のポール1Bと下側のポール1Aの連結が完了したので、接合フランジ3Bの上面5Bから確認プレート20を撤去して地上で回収する(図1(c))。
なお、撤去した確認プレート20は同一仕様の他の上側のポール1と下側のポール2の連結に使用できる。
【0031】
(7) また、ここで、確認プレート10は、ボルト24を所定のトルク値などで締め付けが完了した後に取り外したが、締め付けが完了した後にも確認プレート10を接合フランジ3Bに残置することもできる(図示していない)。
【0032】
4.他の実施形態
【0033】
(1) 前記実施形態において、プレート基体11の外径D1を、適用する接合フランジ3Bの外径(外周7)と同等かやや小さく形成したが、外径D11を接合フランジBの外径(外周7)より十分小さく形成することもできる(図3)。この場合、確認プレート10の幅(「D1―D2」の2分の1)が小さくなるので、確認プレート10の強度を確保し、曲げが生じないような厚さなどで構成する。
【0034】
(2) また、前記実施形態において、ボルト用開口20をプレート基体11の外周縁16から中心に向けて形成したが、ボルト用開口20を内周縁17から放射状に形成して、確認プレート10を構成することもできる(図4)。この場合は確認プレート10の外周縁16は凹凸が無い円形に形成される。
また、ボルト用開口20は、プレート基体11の外周縁16および内周縁17のいずれにも開口しないような円形などに形成することもできる(図示していない)。
【0035】
(3) また、前記実施形態において、プレート基体11の外径D1、内径D2は適用する上側の接合フランジ3Bの外径、内径(上側のポールの径)に応じて適宜選択する。また、ボルト用開口20の数や大きさも接合フランジ3A,3Bの接合に使用するボルトの数、ボルト孔の位置、使用する座金の大きさなどにより、調整して構成する(図示していない)。
また、平面視正方形の接合フランジ3Bなども同様に適用でき、接合フランジ3Bの構造に対応して構成する(図示していない)。
【0036】
(4) また、前記実施例において、プレート基体11は、厚さ数mm程度の鋼製やアルミ製を想定しているが、材質、厚さ(厚さの条件は前記のとおり)は任意である。また、プレート基体11が接合フランジ3Bの上面5Bから脱落しないように、磁石を固定し、あるいは磁力を付加(鋼製の場合)することもできる(図示していない)。
【0037】
(5) また、前記実施形態において、確認プレート10(プレート基体11)に接合フランジ3のボルト孔8の1つに対応して、ボルト用開口20を形成したが、複数のボルト孔8、8に対応する1つのボルト用開口20を形成することもできる(図示していない)。この場合には、例えば、1つのボルト用開口20内に2つのボルト孔8、8が位置する構造となるが、確認プレート10(プレート基体11)で、ボルト孔8、8に対応してボルト用開口20の両側の近傍に「数字」が記載される。
【符号の説明】
【0038】
1A、1B ポール(長尺物)
3A、3B ポールの接合フランジ
4A、4B 接合フランジの接合面
5B 接合フランジ(上側のポール)の上面
6A、6B 接合フランジの側面
7A、7B 接合フランジの外周縁
8 ボルト孔
10 確認プレート
10A、10B 確認プレート片
11 プレート基体
12、12a プレート基体の切断線
13 確認プレート(プレート基体)の上面
14A、14B、15A、15B 確認プレート片の端縁
16 確認プレート(プレート基体)の外周縁
17 確認プレート(プレート基体)の内周縁
18 連結凸部
19 連結凸部の透孔
20 確認プレート(プレート基体片)のボルト用開口
21 結合具(ワイヤー)
24 ボルト(高力ボルト)
25 ボルトの軸部
26 ボルトの頭部
27 ナット
28 座金
30 マーカー線
図1
図2
図3
図4
図5