(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100424
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】包装容器内の残存酸素濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/39 20060101AFI20230711BHJP
B65B 31/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G01N21/39
B65B31/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001104
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G059
3E053
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059DD12
2G059EE01
2G059GG01
2G059HH01
2G059HH06
2G059KK02
2G059MM05
3E053AA06
3E053BA01
3E053BA05
3E053CA01
3E053CB02
3E053DA03
3E053DA04
3E053FA01
3E053GA20
3E053JA10
(57)【要約】
【課題】包装機の下流側アウトラインにおいて包装容器内に残存した酸素の濃度を順次測定することができる包装容器内の残存酸素濃度測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の包装容器内の酸素濃度測定方法は、包装機Pの下流側アウトライン11に配されたロボット20のロボットハンド21にレーザー式ガス濃度計Mが組み込まれ、ロボットハンド21により包装容器Hが把持されることでレーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に設けられた包装機にて被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の残存酸素濃度を下流側アウトラインにて測定する包装容器内の残存酸素濃度測定方法であって、前記包装機の前記下流側アウトラインに配されたロボットのロボットハンドにレーザー式ガス濃度計が組み込まれ、前記ロボットハンドにより前記包装容器が把持されることで前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定されることを特徴とする包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項2】
前記包装容器内の残存酸素濃度測定方法は、前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定される工程の後、測定された包装容器内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定する判定工程と、良品と不良品とを仕分けする仕分け工程を行う請求項1に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項3】
前記ロボットはロボットパレタイザーである請求項2に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項4】
上流側に設けられた包装機にて被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の残存酸素濃度を下流側アウトラインにて測定する包装容器内の残存酸素濃度測定方法であって、前記包装機の前記下流側アウトラインに配された搬送コンベアのコンベアスピードに同期して移動可能な移動部にレーザー式ガス濃度計が設けられ、前記搬送コンベアのコンベアスピードに同期して前記移動部が移動することで前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定されることを特徴とする包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項5】
前記移動部は、前記搬送コンベアの搬送方向に沿って配された単軸ユニットのスライダーであり、前記レーザー式ガス濃度計は、前記スライダーにより、前記搬送コンベアの搬送方向に沿って往復動可能に構成されている請求項4に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項6】
前記レーザー式ガス濃度計は、前記スライダーに設けられた昇降機構により昇降可能に構成されている請求項5に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【請求項7】
前記包装容器内の残存酸素濃度測定方法は、前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定される工程の後、測定された包装容器内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定する判定工程と、良品と不良品とを仕分けする仕分け工程を行う請求項4ないし6のいずれかに記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側に設けられた包装機の下流側アウトラインにおける包装容器内の残存酸素濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物が特に食品の場合、保存期間、賞味期限を長くするために、包装時に包装容器内に残留する空気を排除して窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。例えば特許文献1には、包装容器内に被包装物を投入すると共に、包装容器に挿入したノズルから不活性ガスを充填して不活性ガスと包装容器内の酸素との置換作用を行なう不活性ガス充填方法が開示されている。
【0003】
そして、製品検査において、被包装物を包装した包装容器内に残存する酸素濃度を測定する方法として、本件出願人が、例えば特許文献2にレーザー式ガス濃度測定装置による測定方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3742042号公報
【特許文献2】特許第5124719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、上記レーザー式ガス濃度測定装置による包装容器内の酸素濃度の測定を、上流側に設けられた包装機の下流側アウトラインにおいて行う方法を想起し本発明を成したものであり、すなわち、本発明の課題は、包装機の下流側アウトラインにおいて包装容器内に残存した酸素の濃度を順次測定することができる包装容器内の残存酸素濃度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、上流側に設けられた包装機にて被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の残存酸素濃度を下流側アウトラインにて測定する包装容器内の残存酸素濃度測定方法であって、前記包装機の前記下流側アウトラインに配されたロボットのロボットハンドにレーザー式ガス濃度計が組み込まれ、前記ロボットハンドにより前記包装容器が把持されることで前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定されることを特徴とする包装容器内の残存酸素濃度測定方法である(請求項1)。
【0007】
前記包装容器内の残存酸素濃度測定方法は、前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定される工程の後、測定された包装容器内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定する判定工程と、良品と不良品とを仕分けする仕分け工程を行うことが好ましい(請求項2)。前記ロボットはロボットパレタイザーであってもよい(請求項3)。
【0008】
また、上記課題を解決するものは、上流側に設けられた包装機にて被包装物を充填しガス置換して包装された包装容器内の残存酸素濃度を下流側アウトラインにて測定する包装容器内の残存酸素濃度測定方法であって、前記包装機の前記下流側アウトラインに配された搬送コンベアのコンベアスピードに同期して移動可能な移動部にレーザー式ガス濃度計が設けられ、前記搬送コンベアのコンベアスピードに同期して前記移動部が移動することで前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定されることを特徴とする包装容器内の残存酸素濃度測定方法である(請求項4)。
【0009】
前記移動部は、前記搬送コンベアの搬送方向に沿って配された単軸ユニットのスライダーであり、前記レーザー式ガス濃度計は、前記スライダーにより、前記搬送コンベアの搬送方向に沿って往復動可能に構成されていることが好ましい(請求項5)。前記レーザー式ガス濃度計は、前記スライダーに設けられた昇降機構により昇降可能に構成されていることが好ましい(請求項6)。前記包装容器内の残存酸素濃度測定方法は、前記レーザー式ガス濃度計により包装容器内の残存酸素濃度が測定される工程の後、測定された包装容器内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定する判定工程と、良品と不良品とを仕分けする仕分け工程を行うことが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、包装機の下流側アウトラインにおいて製品移載ロボット等各種ロボットによって包装容器内に残存した酸素の濃度を順次測定することができる。
請求項2に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、上記請求項1の効果に加え、良品判定の後、良品と不良品とを仕分けすることができる。
請求項3に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、ロボットパレタイザーの基本構造を使用して、上記請求項1および2の効果を奏することができる。
請求項4に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、包装機の下流側アウトラインにおいて搬送中に包装容器内に残存した酸素の濃度を順次測定することができる。
請求項5に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、レーザー式ガス濃度計が搬送コンベアの搬送方向に沿って戻る動作を繰り返すことで、順次搬送されてくる包装容器内の残存酸素濃度を測定することができる。
請求項6に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、レーザー式ガス濃度計を昇降させることで、順次搬送されてくる包装容器内の残存酸素濃度をより確実に測定することができる。
請求項7に記載の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、上記請求項4の効果に加え、良品判定の後、良品と不良品とを仕分けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)の一実施例を説明するための平面概略図である。
【
図2】
図1に示した包装容器内の残存酸素濃度測定方法を説明するための正面概略図である。
【
図3】
図1に示した包装容器内の残存酸素濃度測定方法においてレーザー式ガス濃度計を組み込んだロボットハンドを説明するための説明図である。
【
図4】本発明の包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第2の発明)の一実施例を説明するための平面概略図である。
【
図5】
図4に示した包装容器内の残存酸素濃度測定方法を説明するための正面概略図である。
【
図6】
図4に示した包装容器内の残存酸素濃度測定方法を説明するための右側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明(第1の発明)では、包装機Pの下流側アウトライン11に配されたロボット20のロボットハンド21にレーザー式ガス濃度計Mが組み込まれ、ロボットハンド21により包装容器Hが把持されることで、レーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定される包装容器H内の残存酸素濃度測定方法を実現した。
【0013】
また、本発明(第2の発明)では、包装機Pの下流側アウトライン11の搬送ライン12に配された搬送コンベア15のコンベアスピードに同期して移動可能な移動部71にレーザー式ガス濃度計Mが設けられ、搬送コンベア15のコンベアスピードに同期して移動部71が移動することで、レーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が測定される包装容器内の残存酸素濃度測定方法を実現した。
【実施例0014】
本発明の包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)を
図1ないし
図3に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法は、上流側に設けられた包装機Pにて被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器H内の残存酸素濃度を下流側アウトライン11にて測定する包装容器H内の残存酸素濃度測定方法であって、包装機Hの下流側アウトライン11に配されたロボット20のロボットハンド21にレーザー式ガス濃度計Mが組み込まれ、ロボットハンド21により包装容器Hが把持されることでレーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定されることを特徴とする包装容器内の残存酸素濃度測定方法である。以下、詳述する。
【0015】
この実施例の包装機Pは、
図1または
図2に示すように、ロータリー式ガス充填包装機であり、給袋工程(ステーション1)、賞味期限等の印字工程(ステーション2)、包装容器の開口工程(ステーション3)、被包装物の充填工程(ステーション4)、ノズル挿入及び仮付けシール工程(ステーション5)、ガス置換・モミホグシ工程(ステーション6・ステーション7)、トップシール工程(ステーション8)、シール冷却工程(ステーション9)、製品取出し工程(ステーション10)の10工程を各ステーション(1~10)で行い製品(食品)を量産する包装機である。
【0016】
包装機Pの機台60上には、縦向きの間欠回転軸(図示しない)を回転自由に支持したスタンド61が設けられ、その間欠回転軸に取り付けた円盤状回転体62には、包装容器Hを掴着又は釈放するための10個のグリップ対gが等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。
【0017】
なお、この実施例の包装機Pは、円盤状回転体62を間欠回転駆動させるロータリー式ガス充填包装機であるが、本発明の包装機はこれに限定されるものではなく、公知の直線移動方式またはトラック方式の包装機でもよい。このトラック方式の包装機とは、例えば直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する移動体に多数のグリップ対を直立姿勢または水平姿勢に変換自在に設け、給袋工程で供給される包装容器を各グリップ対に支持して当該包装容器を開口工程、被包装物充填工程、ガス充填工程、袋口のシール工程等の各工程に間欠停止させて被包装物の袋詰めを行うようにした構造のものをいう。また、本発明の包装機は、シート状のフィルムを製袋しつつ被包装物を当該袋内に充填包装する縦ピロー包装機または横ピロー包装機等であってもよい。
【0018】
また、この実施例においては、被包装物Sは食品であるがこれに限定されるものではなく、例えば医療用輸液などの食品以外のものも広く包含される。また、この実施例においては、包装容器は包装袋であるがこれに限定されるものではなく、例えば、輸液バッグ、瓶、プラスチック成形容器など、包装袋以外のものも広く包含される。
【0019】
下流側アウトライン11は、包装機Pの下流に配されて被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器Hを搬送または仕分け等行うためのラインであり、この実施例では、包装機Pに連結された搬送ライン12と、搬送ライン12の下流側に設けられ良品を搬送するため良品側ライン13と、搬送ライン12の下流側に設けられ不良品を搬送するため不良品側ライン14を有している。
【0020】
ロボット20は、包装機Hの下流側アウトライン11に配され、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器(ガス充填包装品)Hに対して例えば移載作業、仕分け作業、各種検査等を行うロボットであって、この実施例ではロボットパレタイザーである。ただし、本願におけるロボットはロボットパレタイザーに限定されるものではなく、下流側アウトライン11において包装容器(ガス充填包装品)Hに対して何らかの作業を行うロボットであって包装容器Hを把持するロボットハンドを備えることが可能なものを広く包含する。例えば垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット(スカラロボット)、直角座標ロボット、パラレルリンクロボットなどのパラレルロボットなども広く本発明におけるロボットの範疇に包含される。
【0021】
そして、この実施例の包装容器H内の残存酸素濃度測定方法では、包装機Hの下流側アウトライン11に配されたロボット20のロボットハンド21にレーザー式ガス濃度計Mが組み込まれ、ロボットハンド21により包装容器Hが把持されることでレーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定される。
【0022】
レーザー式ガス濃度計Mは、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装容器H内の酸素濃度を測定するものであり、
図2または
図3に示すように、ロボットハンド21の先端部22の下方に組み込まれている。
【0023】
レーザー式ガス濃度計Mは、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器31を有するレーザー発生部32と、発信器31から発振されるレーザー光Lを受光する受信器33を有するレーザー受光部34とを有しており、ロボットハンド21の先端部22が包装容器Hを把持すると包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定する。
【0024】
具体的には、レーザー発生部32とレーザー受光部34は、ロボットハンド21の先端部22が包装容器Hを把持すると、
図3に示すように、包装容器Hの上方側より両側に対向して配されて包装容器H内の残存酸素濃度が順次測定される。
【0025】
レーザー式ガス濃度計Mは、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、それを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。
【0026】
より具体的には、レーザー発生部32の発信器31から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部32の先端部36内を通過して包装容器H内に侵入し、レーザー受光部34の受信器33に受光されるように構成されている。発信器31から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、包装容器H内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部34の受信器33に受光されたレーザー光の吸光度に基づいて包装体H内に残留している酸素ガスのガス濃度が測定される。
【0027】
また、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37は、包装容器Hを吸着可能とする吸着機構42、43を有している。これにより、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37と被測定物(包装容器H)との密着性を確保できると共に、包装容器H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0028】
具体的には、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37は、
図3に示すように、吸引穴44,45を備えた連通路46,47に流量調整弁(図示しない)や圧力計(図示しない)を介して真空ポンプ等の真空源(図示しない)が取り付けられて吸引可能な吸着機構42,43をそれぞれ有している。
【0029】
また、この実施例のレーザー式ガス濃度計Mは、連通路46,47とレーザー経路48,49とがそれぞれ連通し、吸着機構42,43による吸引により、レーザー発光部32とレーザー受光部34のレーザー経路48,49内も真空雰囲気下となるように構成されている。これにより、レーザー経路48,49内の残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めることができる。
【0030】
ロボットハンド21の先端部22による包装容器Hの把持は、一対の包装容器把持機構50a,50bにより行われる。具体的には、この実施例の包装容器把持機構50は、包装容器Hの底部の下方に両側からそれぞれ侵入して上面で底部を保持する一対の底部保持部51a,51bと、底部保持部51a,51bとそれぞれ一体的に構成され底部保持部51a,51bを水平方向に往復動可能とする一対の被往復動部52a,52bと、被往復動部52a,52bを往復動させる駆動部(図示しない)を有しており、底部保持部51a,51bが包装容器Hの底部下方に両側からそれぞれ侵入してそれらの上面で底部を保持することで、ロボットハンド21の先端部22によって包装容器Hが把持されるように構成されている。
【0031】
この実施例のロボット(この実施例ではパレタイザー)20は、
図1に示すように、搬送ライン12の下流側端部付近に配されている。ロボット(この実施例ではパレタイザー)20は、回動可能に配置された基台部23と、包装容器Hを保持するためのロボットハンド21と、ロボットハンド21の基端側を軸支してロボットハンド21の先端部22側を上下方向円弧状に回動可能とする回動用軸部24と、ロボットハンド21の先端部22側を上下動させるための昇降部25とを有している。
【0032】
また、この実施例のロボット20は、レーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が測定される工程の後、測定された包装容器H内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定するように構成されている。具体的には、この判定工程は、制御部(図示しない)が、包装容器H内の残存酸素濃度が設定された基準値より低い場合は良品と判定し、包装容器H内の残存酸素濃度が設定された基準値以上である場合は不良品と判定することにより行われる。
【0033】
さらに、この実施例のロボット20は、測定された包装容器H内の残存酸素濃度により良品であるか不良品であるかを判定した後、良品と不良品とを仕分けする仕分け工程を行うように構成されている。
【0034】
つぎに、この実施例における包装容器内の残存酸素濃度測定方法の作用について説明する。
包装機Pに連結された搬送ライン12により、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装容器Hが順次搬送されて下流側端部に位置すると、
図1に示すようにロボットハンド21が搬送ライン12に沿った方向に位置して、ロボットハンド21の先端部22側が昇降部25により搬送ライン12の水平レベルまで降下する。その状態で、
図2に示すように、包装容器把持機構50a,50bの底部保持部51a,51bが包装容器Hの両側から底部の下方にそれぞれ侵入して上面で底部を保持する。ロボットハンド21の先端部22が包装容器把持機構50a,50bにより包装容器Hを保持すると、ロボットハンド21の先端部22側が昇降部25により上昇する。この上昇の間に、レーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が測定された後、良品か不良品かが判定される。
【0035】
良品と判定されると、基台部23が
図1中、半時計回りに回動して、良品を搬送するため良品側ライン13の先端部の上方にロボットハンド21の先端部22が移動する。その状態で、ロボットハンド21の先端部22が昇降部25により降下して良品側ライン13の先端部に包装容器Hを載置すると共に包装容器把持機構50a,50bの底部保持部51a,51bが包装容器Hの両側にそれぞれ移動して包装容器Hの保持が解除される。良品側ライン13の先端部に載置された包装容器Hは、良品側ライン13にて搬送されて箱詰め等がなされる。なお、この実施例では、良品は良品側ライン13にて搬送されるが、直接パレットへ搬送してもよい。
【0036】
他方、不良品と判定されると、基台部23が
図1中、時計回りに回動して、不良品を搬送するため不良品側ライン14の先端部の上方にロボットハンド21の先端部22が移動する。その状態で、ロボットハンド21の先端部22が昇降部25により降下して不良品側ライン14の先端部に包装容器Hを載置すると共に包装容器把持機構50a,50bの底部保持部51a,51bが包装容器Hの両側にそれぞれ移動して包装容器Hの保持が解除される。不良品側ライン14の先端部に載置された包装容器Hは、不良品側ライン14にて搬送されて外部に排出される。
【0037】
上記のように、この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法によれば、ロボットパレタイザーの基本構造を使用して、包装機Pの下流側アウトライン11において包装容器H内に残存した酸素の濃度を順次測定され、その後、良品・不良品判定および仕分けを行うことができる。なお、この実施例では、下流側アウトライン11は一つであるがこれに限定されるものではなく、複数の下流側アウトライン11が設けられてもよい。
この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第2の発明)と前述した包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)との基本的な相違点は、包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)が、搬送ライン12の端部側に配されたロボット(例えば移載ロボット)20等により包装容器H内の残存酸素濃度が測定されるのに対して、この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第2の発明)は、搬送ライン12に配された搬送コンベア15のコンベアスピードに同期して移動可能な移動部71にレーザー式ガス濃度計Mが設けられ、搬送コンベア15のコンベアスピードに同期して移動部71が移動する間にレーザー式ガス濃度計Mにより包装容器H内の残存酸素濃度が測定される点である。以下、詳述するが、前述した包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)を適用した装置と同一構成について同一符号を付し説明を省略する。
この実施例の移動部71は、搬送コンベア15の搬送方向に沿って上方に配された単軸ユニット70のスライダー71であり、レーザー式ガス濃度計Mはレーザー式ガス濃度計取付部74を介してスライダー71に取り付けられている。
具体的には、レーザー式ガス濃度計Mは、スライダー71に垂下して取り付けられたレーザー式ガス濃度計取付部74により保持されていると共に、スライダー71に設けられた昇降機構(シリンダー)75により昇降可能に構成されている。この昇降機構75により、搬送コンベア15により順次搬送されてくる包装容器Hに対して、レーザー式ガス濃度計Mを上方より降下させることでレーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37を当接させることができ、上昇させることで包装容器Hに対する当接を解除することができる。
搬送コンベア15はエンコーダー16が設置されたコンベアであり、エンコーダー16からの出力信号に基づいて駆動モーター17によるコンベアベルト18のコンベアスピードが調整可能に構成されている。
そして、この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法では、搬送ライン12に配された搬送コンベア15のコンベアスピードと、レーザー式ガス濃度計Mを移動可能とする移動部71の搬送方向へのスピードを同期させ、さらに、昇降機構75によってレーザー式ガス濃度計Mを上方より降下させることでレーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37を包装容器Hに当接させた状態で移動部71の搬送方向への移動中に包装容器H内の残存酸素濃度が測定されるように作用する。その後、前述した包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第1の発明)と同様に、包装容器H毎に良品か不良品かが判定され、下流側に配された仕分けロボット(例えばレーザー式ガス濃度計を有しない一般的なパレタイザー)等により仕分けされる。
移動部71の搬送方向への移動中に包装容器H内の残存酸素濃度が測定されると、移動部71が逆方向に戻り、次位の包装容器Hに同様の動作を繰り返すことで、順次搬送されてくる包装容器内の残存酸素濃度を測定することができる。なお、この実施例の包装容器内の残存酸素濃度測定方法では、4組の移動部71およびレーザー式ガス濃度計Mが同時に上記動作を繰り返すことで一度に4つの包装容器H内の残存酸素濃度を測定できるが、これに限定されるものではなく、同時に測定する包装容器Hの数は適宜設計変更可能である。また、この実施例では、下流側アウトライン11または搬送ライン12は一つであるが、これに限定されるものではなく、複数の下流側アウトライン11または複数の搬送ライン12が設けられてもよい。
以上のように、包装容器内の残存酸素濃度測定方法(第2の発明)によれば、包装機Pの下流側アウトライン11において搬送中に包装容器H内に残存した酸素の濃度を順次測定することができる。