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特開2023-100453食器洗浄補助装置および食器洗浄システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100453
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】食器洗浄補助装置および食器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20230711BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20230711BHJP
   B65G 60/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A47L15/24
B65G47/91 B
B65G60/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001147
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】594117294
【氏名又は名称】日清医療食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮太
(72)【発明者】
【氏名】玉川 圭人
【テーマコード(参考)】
3B082
3F072
【Fターム(参考)】
3B082AA02
3B082AA03
3B082AA07
3F072AA07
3F072GA10
3F072GB03
3F072GB06
3F072GG00
3F072KA01
3F072KD03
3F072KD23
3F072KE04
(57)【要約】
【課題】搬送されてくる食器を確実にしかも迅速に収納することができ、食器の排出動作と食器の収納動作のタクトタイムを短縮できる食器洗浄補助装置等を提供すること。
【解決手段】食器洗浄補助装置10は、食器洗浄機1に並べて配置されて、洗浄された食器M、Nを排出する。食器洗浄補助装置10は、食器M、Nを食器洗浄機1から搬送方向Xに沿って搬送する搬送部20と、搬送部20により搬送される予め定めた種類の対応する食器Mを排出する排出操作部30と、排出操作部30により排出される対応する食器Mを収納する対応食器収納装置90を備え、対応食器収納装置90は、本体91と、本体91内に昇降可能に配置されて対応する食器を積み重ねる昇降板92と、積み重ねた対応する食器Mの高さに合わせて昇降板92の位置を降下させる駆動装置93とを有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器洗浄機に並べて配置されて、前記食器洗浄機により洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する前記食器を排出する排出操作部と、
前記排出操作部により排出される前記対応する前記食器を収納する対応食器収納装置と、
を備え、
前記対応食器収納装置は、
本体と、
前記本体内に昇降可能に配置されて前記対応する前記食器を積み重ねる昇降板と、
積み重ねた前記対応する前記食器の高さに合わせて前記昇降板の位置を降下させる駆動装置と、を有することを特徴とする食器洗浄補助装置。
【請求項2】
前記対応食器収納装置内には、積み重ねた前記対応する前記食器の倒れを防止する倒れ防止ポールが設けられており、積み重ねた前記対応する前記食器を取り出す際に前記昇降板を上昇させた状態では、前記昇降板は、前記倒れ防止ポールの上端よりも高い位置に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項3】
前記搬送部により搬送される前記対応する前記食器以外の非対応の食器を収納する非対応食器収納装置をさらに備え、
前記非対応食器収納装置は、
本体箱と、
前記本体箱内に昇降可能に配置されて前記非対応の前記食器を受ける受け板と、
前記非対応の前記食器の積み重ね高さに合わせて前記受け板を降下させる駆動操作装置と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項4】
前記非対応食器収納装置の一部分は、前記搬送部の下部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項5】
前記非対応食器収納装置を、前記搬送部の前記搬送方向に平行に移動させるアクチュエータを備えることを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項6】
前記搬送部の長さは、前記搬送方向に沿って伸縮自在であり、前記搬送部により搬送される前記非対応の前記食器は、前記非対応食器収納装置の中央付近に落下されることを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項7】
前記搬送部と、前記排出操作部と、前記対応食器収納装置と、前記非対応食器収納装置とは、相互に位置が固定された一体化構造になっていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項8】
食器を洗浄する食器洗浄機と、
前記食器洗浄機に並べて配置されて、前記食器洗浄機により洗浄された前記食器を排出するための食器洗浄補助装置と、を備える食器洗浄システムであって、
前記食器洗浄補助装置は、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する前記食器を排出する排出操作部と、
前記排出操作部により排出される前記対応する前記食器を収納する対応食器収納装置と、
を備え、
前記対応食器収納装置は、
本体と、
前記本体内に配置されて前記対応する前記食器を積み重ねる昇降板と、
積み重ねた前記対応する前記食器の高さに合わせて前記昇降板の位置を降下させる駆動装置と、を有することを特徴とする食器洗浄システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を順次排出する食器洗浄補助装置および食器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は、例えば食堂や、病院等の医療施設や介護施設等において用いられている。通常、この種の食器洗浄機による食器洗浄業務には、少なくとも2名の作業者が必要である。現状では、人による食器洗浄業務は、次のような作業手順で行われる。まず、下膳作業では、喫食後の食器が下膳車に載せて洗浄室に戻ってくると、作業者が残飯を処分し、食器を水に漬け置きする。漬け置きは、原則として食器の種類毎に分けて行う。
【0003】
次に、食器洗浄機の入り口側の作業では、作業者が漬け置きした食器を下洗いした後、食器洗浄機のコンベア上に食器を順次置いていく。さらに、食器洗浄機の出口側の作業では、別の作業者が、食器洗浄機から出てきた食器を、1枚ずつ食器カゴに重ねて収めていくか、または複数の食器を重ねてから食器カゴに収めていく。食器が食器カゴにおいて満載になったら、作業者は食器カゴを食器乾燥庫に移動する。
【0004】
特許文献1には、食器整理装置が提案されている。この食器整理装置では、食器洗浄機が洗浄した食器をホルダの底部に投入して、食器をホルダ内で順次積み上げながら、積み上げた食器をホルダ内で押出爪によりさらに押し上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-112225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように人による食器洗浄および食器の積み重ね業務では、食器洗浄機の入口側に食器洗浄作業者が1人と、出口側に食器の積み重ね作業者が1人の少なくとも2人の作業者が必要である。しかし、労働人口の減少により労働力の確保が難しく、食器洗浄および食器の積み重ね業務における省力化が不可欠である。
【0007】
また、特許文献1に記載の食器整理装置では、食器をホルダ内の底部に投入した後、ホルダ内ではホルダ内の底部を空けるために、底部から一旦食器を押し上げないと、次の食器をホルダ内の底部に投入できない。このため、食器をホルダ内に次々とスムーズに投入して収納することが難しい。しかも、押し上げた状態で積み重ねた食器は、押上爪によりさらに押し上げておく必要あることから、食器のスムーズな積み重ね作業を行って収納することが難しい。
さらに、ホルダ内の底部では、食器を一列の状態にしなければならず、多くの食器枚数を処理することが困難となる。
従って、複数の食器の形状や大きさに応じて食器を保持して確実に排出することがスムーズに行えず、食器の形状や大きさに応じて食器を排出して収納する動作のタクトタイムを短縮できないという課題が生じる。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、搬送されてくる食器を確実にしかも迅速に収納することができ、食器の排出動作と食器の収納動作のタクトタイムを短縮できる食器洗浄補助装置および食器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明によれば、食器洗浄機に並べて配置されて、前記食器洗浄機により洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、前記食器を前記食器洗浄機から搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する前記食器を排出する排出操作部と、前記排出操作部により排出される前記対応する前記食器を収納する対応食器収納装置と、を備え、前記対応食器収納装置は、本体と、前記本体内に昇降可能に配置されて前記対応する前記食器を積み重ねる昇降板と、積み重ねた前記対応する前記食器の高さに合わせて前記昇降板の位置を降下させる駆動装置と、を有することを特徴とする食器洗浄補助装置により、解消される。
【0010】
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置では、対応食器収納装置の昇降板は、搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する食器を対応食器収納装置に収納する際に、対応する食器の枚数の増加に応じて降下させることができる。
このため、昇降板上において最も高い位置に積み重ねられる対応する食器の位置(トップラインの位置)は、一定にすることができることから、排出操作部が対応する食器を昇降板上に次々と積み上げる際の積み上げ位置を一定に保つことができる。
従って、排出操作部は、上下方向への動作を少なくできるかあるいは不要となる。これにより、搬送されてくる食器を確実にしかも迅速に収納することができ、食器の排出動作と食器の収納動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄処理業務の省力化を図ることができる。
【0011】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置の前記対応食器収納装置内には、積み重ねた前記対応する前記食器の倒れを防止する倒れ防止ポールが設けられており、積み重ねた前記対応する前記食器を取り出す際に前記昇降板を上昇させた状態では、前記昇降板は、前記倒れ防止ポールの上端よりも高い位置に位置決めされることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置の対応食器収納装置には倒れ防止ポールが設けられているので、対応食器収納装置内で積み重ねられた対応する食器が倒れるのを防げる。
しかも、作業者が、対応食器収納装置内から積み重ねられた食器を取り出して回収する場合に、例えば上から複数回に分けて回収して、そして最後に残りの対応する食器を回収する際には、昇降板を上昇させた状態では、昇降板は、倒れ防止ポールの上端よりも高い位置に位置決めできる。
従って、作業者は、倒れ防止ポールの存在が邪魔にならずに、倒れ防止ポールと最後に残りの対応する食器とが接触せずに容易に回収できる。
【0013】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置は、前記搬送部により搬送される前記対応する前記食器以外の非対応の食器を収納する非対応食器収納装置をさらに備え、前記非対応食器収納装置は、本体箱と、前記本体箱内に昇降可能に配置されて前記非対応の前記食器を受ける受け板と、前記非対応の前記食器の積み重ね高さに合わせて前記受け板を降下させる駆動操作装置と、を有することを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、前記食器洗浄補助装置の受け板は、非対応食器収納装置の本体箱内で、昇降可能に配置されている。
このため、受け板の高さ位置を調整することで、非対応の食器の落下する高さを小さくできることから、非対応の食器を収納する時に非対応の食器が受け板上に落下する衝撃を緩和できる。
さらに、受け板の位置を下げていくことで、非対応の食器の収納枚数の増加を図ることができる。
【0015】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置の前記非対応食器収納装置の一部分は、前記搬送部の下部に配置されていることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置の非対応食器収納装置の一部分が搬送部の下部に滑り込ませるように配置されているので、食器洗浄補助装置全体の大型化は抑制しながら、非対応食器収納装置の大型化が可能で非対応の食器の収納枚数を増やすことができる。
そして、非対応食器収納装置内で非対応の食器が積み重なって壁を形成してしまう現象を防ぎ、非対応の食器は非対応食器収納装置内に満遍なく収納できる。
【0016】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置の前記非対応食器収納装置を、前記搬送部の前記搬送方向に平行に移動させるアクチュエータを備えることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置の非対応食器収納装置は、非対応の食器の積み重ね状況に応じて、アクチュエータにより搬送方向に平行に移動できる。
このため、非対応食器収納装置内で非対応の食器が積み重なって壁を形成してしまう現象を防ぎ、非対応の食器は非対応食器収納装置内に満遍なく収納される構成となる。。
【0017】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置の前記搬送部の長さは、前記搬送方向に沿って伸縮自在であり、前記搬送部により搬送される前記非対応の前記食器は、前記非対応食器収納装置の中央付近に落下されることを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置の搬送部の長さが伸縮自在であり、搬送部の長さを調整することで、非対応の食器を非対応食器収納装置の中央付近に落下させることができる。
また、搬送部の下部に非対応食器収納装置の一部を配置するスペースがない場合であっても、非対応食器収納装置内で非対応の食器が積み重なって壁を形成してしまう現象を防ぐことができ、非対応の食器は非対応食器収納装置内に満遍なく収納される構成となる。
【0019】
好ましくは、前記食器洗浄補助装置の前記搬送部と、前記排出操作部と、前記対応食器収納装置と、前記非対応食器収納装置とは、相互に位置が固定された一体化構造になっていることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明の食器洗浄補助装置の搬送部と排出操作部と対応食器収納装置と非対応食器収納装置とは、相互に位置が固定された一体化構造になっていることから、相互に位置ずれするのを無くすことができるので、食器洗浄補助装置を食器洗浄機に対して設定する作業を容易となる。
【0020】
前記課題は、本発明によれば、食器を洗浄する食器洗浄機と、前記食器洗浄機に並べて配置されて、前記食器洗浄機により洗浄された前記食器を排出するための食器洗浄補助装置と、を備える食器洗浄システムであって、前記食器洗浄補助装置は、前記食器を前記食器洗浄機から搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する前記食器を排出する排出操作部と、前記排出操作部により排出される前記対応する前記食器を収納する対応食器収納装置と、を備え、前記対応食器収納装置は、本体と、前記本体内に配置されて前記対応する前記食器を積み重ねる昇降板と、積み重ねた前記対応する前記食器の高さに合わせて前記昇降板の位置を降下させる駆動装置と、を有することを特徴とする食器洗浄システムにより、解消される。
【0021】
前記構成によれば、本発明の食器洗浄システムの対応食器収納装置の昇降板は、搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する食器を対応食器収納装置に収納する際に、対応する食器の枚数の増加に応じて降下する。
このため、昇降板上において最も高い位置に積み重ねられる対応する食器の位置(トップラインの位置)を一定にすることができることから、排出操作部が対応する食器を昇降板上に次々と積み上げる際の積み上げ位置を一定に保つことができる。
従って、排出操作部は、上下方向への動作を少なくできるかあるいは不要となる。これにより、搬送されてくる食器を確実にしかも迅速に収納することができ、食器の排出動作と食器の収納動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄処理業務の省力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、搬送されてくる食器を確実にしかも迅速に収納することができ、食器の排出動作と食器の収納動作のタクトタイムを短縮できる食器洗浄補助装置および食器洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る食器洗浄システムを示す平面図である。
図2図1に示す食器洗浄システムを示す斜視図である。
図3図1に示す食器洗浄システムを別の角度から示す斜視図である。
図4図1に示す食器洗浄システムをさらに別の角度から示す斜視図である。
図5】乗継ぎ部の形状例を示す図である。
図6】排出操作部の全体構成を示す斜視図である。
図7】排出操作部とその周辺部分を示す斜視図である。
図8】排出操作部の操作ヘッドを示す斜視図である。
図9図9(A)は、操作ヘッドを示す正面図であり、図9(B)は、操作ヘッドの変形例を示す正面図である。
図10】対応食器収納装置としての食器置台の構造例を示す断面図である。
図11図10に示す食器置台の平面図である。
図12】非対応食器収納装置としての食器受け取り部の構造例を示す断面図である。
図13図12に示す食器受け取り部の別の適用例を示す図である。
図14】食器洗浄補助装置の制御系を示す図である。
図15】カメラCAの取得情報Vの例と、タッチ入力部であるタッチパネルを用いて登録することができる情報例を示す図である。
図16】食器洗浄システムの動作例を示すフロー図である。
図17】本発明の別の実施形態の食器洗浄システムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
(第1実施形態)
<食器洗浄システム1000>
図1は、本発明の実施形態に係る食器洗浄システムを示す平面図である。図2は、図1に示す食器洗浄システムを示す斜視図である。
図3は、図1に示す食器洗浄システムを別の角度から示す斜視図である。図4は、図1に示す食器洗浄システムをさらに別の角度から示す斜視図である。
【0026】
図1から図4に示すように、食器洗浄システム1000は、食器洗浄機1と、食器洗浄補助装置10とから構成されている。
食器洗浄システム1000は、予め定めた種類の食器Mと、食器M以外の種類の食器Nと、を食器洗浄機1により順次洗浄する。
予め定めた種類の食器Mは、洗浄した後には、食器洗浄補助装置10により選択し、排出して食器置台90上に積み上げて収納する。
一方で、予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nは、食器置台90上には積み上げることなく、食器受け取り部95に収納させる。
【0027】
予め定めた種類の食器Mは、本発明における「対応食器」に相当し、以下では単に「食器M」と呼ぶことがあり、予め定めた種類の皿やどんぶり等の各種の器を含む。
食器M以外の種類の食器Nは、本発明における「非対応食器」に相当し、以下では単に「食器N」呼ぶことがあり、皿やどんぶり等の器の他に、スプーンやフォーク等も含む。
また、食器置台90は、本発明の「対応食器を収納する対応食器収納装置」の一例であり、食器受け取り部95は、本発明の「非対応食器を収納する非対応食器収納装置」の一例である。
【0028】
この食器洗浄システム1000は、食器Mを搬送する搬送方向Xに関するシステム長さをできる限り短くすることで、比較的狭い建屋の設置スペースであっても、設置できるようになっている。
この食器洗浄システム1000は、例えば学校等の給食施設、会社の社員食堂等の施設、介護施設等の施設等に設置されて、多数の食器M、Nを連続して洗浄して食器Mだけを食器置台90上に積み重ねることで収納したり、食器Nだけを食器受け取り部95に収納したりする作業を行う。
なお、食器洗浄システム1000の全体は、図示しない安全パネル等により囲まれて設置されていてもよい。
【0029】
<食器洗浄機1>
まず、図1図2を参照して、食器洗浄機1について説明する。
食器洗浄機1は、本体部2と、排出コンベアであるコンベア3と、食器下洗い容器4を有する。
本体部2は、食器Mと食器Nを洗浄して、しかも好ましくは乾燥させる機構を有する。本体部2は、入口部2Aと出口部2Bを有し、コンベア3は、入口部2Aと出口部2Bを通って水平に配置されている。
コンベア3は、食器Mと食器Nを載せて搬送方向Xに沿って一定速度で搬送する。食器洗浄機1の動作は、制御部100の指令により制御される。
【0030】
食器Mは、後で説明する排出操作部30の1つの保持指部41により1つずつ吸着して保持して食器置台90上に積み重ねて収納される。
これに対して、食器Nは、保持指部41により吸着して保持されることはなく、食器置台90上には積み重ねないで、食器受け取り部95内に収納されるようになっている。
【0031】
食器下洗い容器4には水と洗剤が収容されている。食器M、Nは、1人の作業者HMにより、下膳作業により残飯を処分して食器下洗い容器4の水に漬け置きされており、1人の作業者HMは、漬け置きした食器M、Nを食器下洗い容器4の洗剤を含む水で下洗いを行う。
1人の作業者HMが、食器下洗い容器4付近で、下洗い作業と、下洗い作業の済んだ食器M、Nを、コンベア3の上流側において下向きにして置く作業を行う。
このため、食器洗浄システム1000は、1人の作業者HMだけで、食器洗浄作業を運用でき、食器洗浄業務の人的な省力化を図ることができる。
【0032】
作業者は、下洗いされた食器M、Nを下向きして、コンベア3上に順次置くことで、コンベア3は、食器M、Nを搬送方向Xに沿って搬送する。
食器M、Nは、入口部2Aから本体部2に入って洗浄水による洗浄と、好ましくは例えば熱風による乾燥処理が行われ、その後出口部2Bから出てきて、次段の食器洗浄補助装置10側に送られる。
なお、食器洗浄機1は、食器M、Nを洗浄するだけの機能を有するものであっても良い。
【0033】
図1に示すように、ガイド部材6が、好ましくは、例えば1つの搬送部20に対応して配置されている。
このガイド部材6は、食器M、Nを排出操作部30側へ案内するための食器の搬送軌道を設定することができる。
これにより、ガイド部材6は、搬送部20上において食器M、Nを排出操作部30側に確実に案内できるので、排出操作部30は、食器M、Nの排出動作をスムーズにしかも確実に行うことができる。
このため、食器M、Nの検出と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
一方、排出操作部30の排出操作範囲が、搬送部20の幅方向を完全にカバーできる場合には、このガイド部材6は、設けなくても良い。
本実施の形態で「タクトタイム」とは、食器Mを洗浄して回収して積み重ねる一連の作業の1枚の食器当たりの処理スピードを意味し、好ましくは例えば食器1枚当たり3.0秒以内の速い動作を目指している。
【0034】
図1に示すように、好ましくは、食器投入範囲指示部7が、食器洗浄機1における食器M、Nの投入部に設けられている。
この食器投入範囲指示部7は、作業者が下洗いした食器M、Nをコンベア3の上流側に投入して載せるための範囲を、作業者に対して明示することができる。
これにより、作業者は、食器洗浄機1における食器M、Nを投入するための好ましい範囲を明確に把握することができる。このため、食器M、Nの洗浄動作と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0035】
また、図1に示すように、好ましくは、食器投入タイミング指示部8が、食器洗浄機1における食器の投入部側に設けられている。
この食器投入タイミング指示部8は、制御部100の指令により、作業者が下洗いした食器M、Nをコンベア3の上流側に投入するタイミングを、所定時間間隔で、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して指示することができる。
これにより、作業者は、下洗いした食器M、Nを投入するタイミングの指示を受けながら、順次コンベア3の上流側において、食器M、Nを下向きにして置くことができる。
従って、複数の食器M、Nは、搬送方向Xに沿って適正な間隔で搬送することができ、複数の食器が密集した状態で搬送されて洗浄されて搬送部20側へ搬送されてしまうトラブルをできる限り防ぐことができる。
これにより、食器Mの洗浄処理の効果を上げ、しかも食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0036】
また、図1に示すように、好ましくは、報知部81が、食器洗浄機1における例えば食器の投入部側に設けられている。
報知部81は、食器置台90上に積み上げられた食器M、Nの数が所定数以上になると、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して報知する。
これにより、報知部81は、食器置台90上に積み上げられた食器Mを回収する作業が必要であることや、食器受け取り部95に収納された食器Nを回収する作業が必要であることを、作業者に促すことができる。
従って、排出操作部30が食器置台90上に積み上げられた食器Mに接触することを回避することができ、これにより排出操作部30の一部が破損することを未然に防ぐことができる。
さらに、食器受け取り部95から食器Nがあふれ出てしまうことも未然に回避することができる。
また、報知部81は、安全センサ(図示せず)が作業者に反応したことにより食器洗浄システム1000の動作が停止したことを、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して報知する。
【0037】
<食器洗浄補助装置10>
次に、図1から図4を参照して、食器洗浄補助装置10の好ましい構造例を説明する。
食器洗浄補助装置10は、食器洗浄機1の後段側であって、コンベア3の下流側に対して直列になるように並べて配置されている。
図1図2に示すように、食器洗浄補助装置10は、食器洗浄機1において洗浄処理され好ましくは乾燥処理された食器の内の予め定めた種類の食器Mを食器置台90上に積み上げて収納するが、予め定めた種類以外の種類の食器Nは食器置台90上には積み上げることなく、食器受け取り部95内に収納される。
なお、図面において、搬送方向Xは、食器Mが搬送される方向であるが、Y方向は、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の幅方向であり、Z方向は、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の上下方向である。搬送方向XとY方向とZ方向は、互いに直交している。
【0038】
図1から図4に示すように、食器洗浄補助装置10は、搬送部20と、排出操作部30と、食器検出部50と、対応食器収納装置としての食器置台90と、非対応食器収納装置としての食器受け取り部95と、制御部100と、を備える。
搬送部20は、食器洗浄機1のコンベア3から各種の複数の食器M、Nを載せて搬送方向Xに沿って搬送する。
排出操作部30は、搬送部20により搬送している予め定めた種類の食器Mだけを吸着して保持することで、予め定めた種類の食器Mを搬送部20上から排出して、食器置台90上に積み重ねて収納する。
これに対して、食器Nは、排出操作部30では保持されずに、搬送部20によりそのまま搬送されて食器受け取り部95内に落下して収納される。
【0039】
食器検出部50は、好ましくは、搬送部20の上方に配置されており、食器検出部50は、搬送部20により搬送されてくる食器M、Nの形状の画像と、搬送部30の様子と、排出操作部30の様子等を認識することができる画像取得装置を有している。
すなわち、食器検出部50は、搬送部20により搬送方向Xに沿って搬送されてくる食器M、Nの形状や大きさや搬送時の向き(姿勢)等の必要な画像情報を、搬送途中であって排出操作部30の前段において、非接触で光学的にカラー画像として検出することができる。食器検出部50の詳細は、後で説明する。
【0040】
[搬送部20]
図1図2を参照して、搬送部20を説明する。
図1図2に示すように、搬送部20は、食器洗浄機1のコンベア3の下流側に配置されている。
搬送部20が食器M、Nを搬送する搬送方向Xは、食器洗浄機1のコンベア3が食器M、Nを搬送する搬送方向Xと同じである。
コンベア3は洗浄水を下へ通して排出し易い構造を有する。コンベア3は図示しない駆動モータにより駆動される。
搬送部20は、1つの金属製あるいは強化プラスチック製の搬送コンベアにより構成されており、駆動モータ23と、減速ギア部23Gとを有する。搬送部20は、水はけに優れ、食器M、Nを安定して保持しながら搬送できる例えば金属製のベルトコンベアである。
駆動モータ23は、減速ギア部23Gを介して搬送部20を駆動でき、例えば、好ましくは搬送部20の搬送速度は、食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度と同じに設定されている。
本実施の形態と異なり、搬送部20の搬送速度と食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度とは、異なっていても良く、排出処理速度を上げたい場合には、搬送部20の搬送速度は、食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度よりも大きくすることができる。
【0041】
図1図2に示すように、乗継ぎ部5が、食器洗浄機1のコンベア3の下流側に配置され、乗継ぎ部5は、乗継ぎステーとも言い、食器洗浄機1のコンベア3の下流側である食器M、Nの出口側と、搬送部20の上流側と、の間に設けられている。
乗継ぎ部5は、例えばプラスチック板や金属板であり、乗継ぎ部5の形状例は、図5に示している。図5に示すように、乗継ぎ部5は、等間隔に形成された複数の半円形状の凹部5Pを有する。
これらの凹部5Pは、それぞれコンベア3の回転部分3Rが当たらないようになっている。コンベア3の床面からの高さ位置は、搬送部20の床面からの高さ位置に比べて、同じか少し高くなっている。
この乗継ぎ部5は、搬送部20の始端部21側に、例えば複数本のねじ22を用いて固定されている。
これは、食器洗浄機1の下流側の出口の構造は様々であり、食器洗浄機1の出口側に乗継ぎ部5を固定するためには、食器洗浄機1の構造に合った構造を有する乗継ぎ部5を用意しなければならず、手間とコストがかかってしまうためである。
【0042】
これにより、仮にコンベア3の高さ位置と搬送部20の高さ位置が異なっていても、乗継ぎ部5は、その高さの差を補い、仮にコンベア3の回転速度と搬送部20の回転速度が異なっていても、乗継ぎ部5は、その回転速度差を吸収することができる。
従って、乗継ぎ部5は、食器M、Nを、コンベア3から搬送部20側へ、スムーズにしかも確実に受け渡しできる。
また、食器洗浄機1で洗浄された軽い食器であっても重い食器であっても、あるいは食器の高さや直径などのサイズの大小にかかわらず、食器M、Nは、乗継ぎ部5を利用して確実に受け渡しをすることができる。
さらに、乗継ぎ部5が配置されていることにより、搬送部20上において、食器の密集状態や、食器同士の重なりを起こすのを防ぐことができる。このため、食器M、Nの排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0043】
また、図5に表した矢印A2のように、乗継ぎ部5は、好ましくは鉛直方向に移動することができる。
すなわち、乗継ぎ部5の高さ方向の位置が調整可能とされている。また、図5に表した矢印A1のように、乗継ぎ部5は、好ましくは水平方向に移動させることができる。
すなわち、搬送方向Xにおける乗継ぎ部5の位置が調整可能とされている。
これにより、乗継ぎ部5は、食器M、Nを、コンベア3から搬送部20側へ、より一層スムーズ且つ確実に受け渡すことができる。
なお、乗継ぎ部5の高さ方向および水平方向の位置は、手動により調整されてもよく、また、電動により調整されてもよい。
【0044】
[食器検出部50]
次に、図1図2図7を参照して、食器検出部50を説明する。
図1図2図7に示すように、食器検出部50は、搬送部20の上方または上部の位置に設けられている。
食器検出部50は、搬送部20の途中に配置されて、搬送部20により搬送されてくるM、N食器の形状を検出する。
しかし、食器検出部50は、搬送部20により搬送されてくる食器M、Nの形状の画像と、搬送部30の様子と、排出操作部30の様子等を認識することができる。
【0045】
食器検出部50は、搬送部20により搬送方向Xに沿って、食器洗浄機1のコンベア3から乗継ぎ部5を経て搬送部20に送られてくる食器M、Nの形状の画像をカラーで認識する画像取得装置を有する。
画像取得装置としては、好ましくは耐水性に優れた高画素数の小型で軽量の電荷結合素子カメラ(CCDカメラ)を採用できる。
食器検出部50は、搬送部20の外側に固定された例えばL字型のサポート部材51に着脱可能に取り付けられている。食器検出部50は、少なくとも搬送部20の全領域に渡って画像認識することができ、特に好ましくは、搬送部20の全領域と、排出操作部30の様子や排出操作部30の様子をもカラー画像認識できる。
また、通過する食器M、Nの形状と向きと食器M、Nの位置を検出でき、発光部と受光部から成る多次元センサを用いるのに比べて、食器M、Nの形状の検出精度や検出速度を上げることできる。
このため、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0046】
食器検出部50が配置される位置としては、食器洗浄機1のコンベア3と排出操作部30との間の位置であって搬送部20から所定の高さだけ上方へ離した位置である。
反対に、食器検出部50が配置される位置が、食器洗浄機1のコンベア3寄りのあまりに近い位置であると、食器検出部50が食器M、Nの形状の画像を認識する時点は速くなるので有利ではあるが、食器洗浄機1のコンベア3から出る蒸気や水滴により曇ってしまうおそれがあるので好ましくない。
また、食器検出部50が配置される位置が排出操作部30に近い位置であると、食器検出部50が食器M、Nの形状の画像を認識する時点が遅れてしまうので、好ましくはない。
ただし、食器検出部50に蒸気や水滴を払拭するワイパーやブロワーを取り付ければ、食器検出部50が配置される位置は、食器洗浄機1のコンベア3寄りに近い位置であってもよい。
これにより、食器検出部50は、湯気や水滴等に影響を受けずに、食器の形状等を確実に検出できる。このため、食器M、Nの判別動作を正確に行え、判別のタクトタイムを短縮することができる。
【0047】
食器M、Nは、種類によって様々な形状や高さやサイズを有するために、食器M、Nが排出操作部30に到達する前段でできる限り早い時点で、食器M、Nの形状や高さや大きさを特定する必要がある。
食器検出部50は、非接触で光学的に、搬送途中において食器M、Nの形状(大きさや搬送時の向き(姿勢))を検出して、その後排出操作部30により、予め定めた種類の食器Mだけを搬送部20から食器置台90上に積み重ねて収納する。
一方、食器Nは食器受け取り部95にそのまま収納される。このため、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
排出操作部30は、食器検出部50により検出された食器M、Nの形状に基づいて、食器Mだけを適切に吸着して保持し、搬送部20上から確実に排出して、食器置台90の上に積み重ねて収納させることができるとともに、食器Nは食器受け取り部95にそのままで収納させることできる。
従って、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0048】
食器検出部50として解像度の優れたカラーCCDカメラ等を用いることにより、搬送部20上に搬送されてくる食器M、Mの間隔が開いた状態でなくて食器M、M同士が接触しても、離れていても、各食器Mの位置、種類等の検出を確実に行うことができる。
すなわち、食器検出部50は、各食器Mの検出には食器M、M同士の間隔を一定以上開ける必要がなく、これにより、排出操作部30は、食器検出部50からの画像情報に基づいて食器M、Mの状態を認識して、各食器Mを確実に吸引し、保持することができる。
【0049】
[モニタ19]
次に、図1図2を参照して、モニタ19を説明する。
図1に示すように、基本的には、1人の作業者HMが食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の動作管理を行う。
この作業者HMは、食器洗浄機1の食器下洗い容器4付近に立って作業しているので、食器洗浄機1の本体部2が視界の妨げになっており、搬送部20上の食器M、Nの様子と排出操作部30の様子を視認することができない。
このことから、1人の作業者HMは、搬送部20の動作の様子や搬送されている食器M、Nの様子、排出操作部30が食器Mをピックアップおよびプレイスしている様子を、直接、視認、確認することができない。
【0050】
そこで、モニタ19が、例えば本体部2の上であって、作業者HMに向けて設置されている。このモニタ19は、カラー液晶表示装置等であり、制御部100に電気的に接続されている。
モニタ19は、食器検出部50により得られる搬送部20と、搬送部20上の食器M、Nと、排出操作部30の動作の様子を示す動画(画像情報)を、制御部100を通じて、リアルタイムで表示することができる。
これにより、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の動作管理は、1人の作業者HMによるワンオペレーションを前提としているので、1人の作業者HMが食器洗浄機1の食器下洗い容器4付近に立って作業していても、作業者HMは、搬送部20の動作の様子や搬送されている食器M、Nの様子、排出操作部30が食器Mをピックアップおよびプレイスしている様子を、随時モニタ19を視認して確認することができる。
従って、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の動作管理が確実に行える。
【0051】
[排出操作部30]
次に、図1図2に示す排出操作部30を、図6から図9を参照して詳しく説明する。
図6は、排出操作部30の全体構成を示す斜視図であり、図7は、排出操作部30とその周辺部分を示す斜視図である。
図8は、排出操作部30の操作ヘッド33を示す斜視図であり、図9(A)は、操作ヘッド33を示す正面図である。図9(B)は、操作ヘッド33の変形例を示している。
図1図3に示すように、排出操作部30は、例えば6軸制御ロボットであり、搬送部20の隣の位置であって、しかも食器置台90の隣の位置に配置されている。
排出操作部30は、図6に示すような多軸構造を有しており、ベース31と、保持アーム32と、操作ヘッド33と、1つの保持指部41を有する。
【0052】
[保持アーム32]
図6に示すように、ベース31の基部31Bは、床面に固定され、保持アーム32は、ベース31と、第1アーム部34と、第2アーム部35と、リスト36と、関節部37,38を有する。
保持アーム32は、J1軸からJ6軸を備える。ベース31は、基部31Bに対してJ1軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。
第1アーム部34の一端部は、関節部37を用いてベース31に連結されており、第1アーム部34はベース31に対してJ2軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。
第1アーム部34の他端部は、関節部38を用いて第2アーム部35の一端部に連結されており、第2アーム部35は第1アーム部34に対してJ3軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。
第2アーム部35の他端部は、第2アーム部35の一端部に対して、J4軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。第2アーム部35の他端部は、リスト36を保持しており、リスト36は操作ヘッド33を保持している。
リスト36は、第2アーム部35の他端部に対してJ5軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。
操作ヘッド33は、J6軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。各J1軸からJ6軸おける回転して回転方向に関して位置決めする動作は、後で説明するが、図14に示すモータMT1からMT6によりそれぞれ行う。
【0053】
[排出操作部30の操作ヘッド33と1つの保持指部41]
次に、操作ヘッド33と1つの保持指部41の構造例を、図8図9(A)を参照して説明する。
操作ヘッド33と1つの保持指部41の構造体は、エンドエフェクタと呼ぶこともできる。操作ヘッド33は、リスト36に対して着脱可能に取り付けられていて、J6軸を中心にして回転し、回転方向に関して位置決め可能である。
【0054】
図8図9に示す1つの保持指部41は、耐水性と耐熱性を有し、柔軟に弾性変形する合成ゴムやプラスチック等により形成されている。
図1に示す食器洗浄機1は、食器M、Nを高温の湯、例えば85℃の湯で洗浄処理されるので、洗浄処理の直後の食器Mは湯により濡れており高温になっている。
このため、図8図9に示す保持指部41は、100℃以下の高温でも機能する吸着パッドである必要がある。
また、保持指部41は、連続して食器Mを吸着して保持し、そして保持を解除するために、消耗品であり劣化を起こす。このため、保持指部41は、操作ヘッド33において交換可能になっている。
保持アーム32が保持指部41を到達させることができる範囲としては、例えば搬送部20の搬送に用いる範囲と、食器置台90上の食器Mを置くための全範囲である。
【0055】
図8図9(A)に示すように、保持指部41は、1つの吸引経路49を有している。制御部100の指令によりエアー操作部110からエアー吸引されることにより、保持指部41は、1つの吸引経路49を介して、図1に示す搬送部20上の1つの食器Mの底部を吸着して素早く保持できる(ピックアップ動作という)。
また、制御部100の指令によりエアー操作部110からエアーを逆噴射することにより、保持指部41は、吸引経路49を介して、食器Mの底部の保持状態を直ちに解除して、食器置台90に積み重ねて置くことができる(プレイス動作という)。
なお、本実施の形態と異なり、保持指部が、ステンレス等の金属製の基部を有し、この基部が、柔軟性を有する吸着部を支持する構成としても構わない。
この場合、吸着部が、食器Mを吸引する際に変形し、食器Mの底部が、基部に押し当てられることで、食器Mは、保持指部に安定して保持される。
【0056】
本発明の実施形態では、図6に示す保持アーム32は、複数の保持指部41を有するのではなく、1つの保持指部41を有する。
これにより、排出操作部30は、1つの保持指部41を備えているだけであるので、複数の保持指部を備えている場合に比べて、食器Mのピックアップ動作とプレイス動作の往復速度を高速化することができる。
従って、図1に示す食器洗浄補助装置10の小型化のために、搬送部20の搬送長さを短縮しても、排出操作部30は、搬送部20により次々に搬送されてくる食器Mを、搬送部20で搬送されてくる途中で、確実にピックアップ動作してかつプレイス動作を行える。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
対応食器である食器Mを、対応食器収納装置である図1に示す食器置台90に置く場合に、もし保持指部が2つ以上あると、複数枚の食器Mを食器置台90上に置く動作をするしかできないが、1つの保持指部41を設けることにより、奇数枚の食器Mが食器置台90上に置けるようになり、より多くの食器Mを食器置台90に収納するにあたっての作業の融通が利くという利点がある。
【0057】
1つの保持指部41は、エアー吸着力を用いることで食器Mの保持動作をスムーズにしかも確実に行えるので、食器Mを掴んで把持する形式のものに比べて短時間で食器Mを保持でき、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
また、保持指部41は、エアーの逆噴射を用いることで、食器Mの保持を素早くしかも確実に解除でき、洗浄済みの食器Mに水分が残っていたり、保持指部41に水分が残っていたとしても、保持指部41と食器Mから水分を飛ばして除去させることができる。
このため、保持指部41は、次の洗浄済みの食器Mに水分が残っていたとしても食器Mをエアー吸着力で保持することができる。
従って、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0058】
図9(B)に示す保持指部41の変形例では、1つの保持指部410は、2か所以上の複数の吸引パッド41R、41Sを備えている。各吸引パッド41R、41Sは、耐熱性と柔軟性を有する例えば、シリコーン製である。
吸引パッド41Rは、吸引経路49Aを有し、吸引パッド41Sは、吸引経路49Bを有する。
すなわち、一つの保持指部41は、複数の吸引パッドに分岐して形成されている。
これにより、1つの保持指部41は、1つの大きな食器Mや重量のある食器Mを、複数の吸引パッド41R、41Sを用いて安定して、吸引して保持することができる。
すなわち、排出操作部30の動作が高速化することにより、食器のピックアップ動作とプレイス動作の往復動作が高速化することから、ピックアップ動作からプレイス動作までの間に、1つの保持指部41に吸着されている食器Mの揺れ幅が大きくなることがある。
しかし、1つの保持指部41は、複数の吸引経路49A、49Bにより安定して保持できるので、食器Mをプレイスする時に、食器Mが揺れないようにして食器Mの揺れ幅を抑制して安定した状態のままで、食器Mを食器置台90にプレイス動作できる。
なお、保持指部41を柔らかい材質から硬質の材質にすることで、吸引した食器Mの揺れ幅をさらに抑制することもできる。
【0059】
図1に示すように、排出ロボットである排出操作部30が稼働していない時には、排出操作部30のハンドである保持アーム33と保持指部41の待機する位置は、搬送部20の上方の位置である。
このように、保持アーム33と保持指部41の待機する位置は、搬送部20の上方の位置であると、保持アーム33と保持指部41が、搬送部20の上方の位置から退避した位置にある場合に比べて、退避位置から待機位置あるいは次に行う食器Mの吸引によるピックアップ動作を行う稼働位置に移行するまでの時間を短縮でき、ピックアップ動作が素早く行える。これにより、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0060】
なお、図8図9に示すように、操作ヘッド33の中央位置には、必要に応じて、排出操作部30の周囲の環境を認識するための環境認識用のカメラCAを備える。
このカメラCAは、例えばCCD(電荷結合素子)のカラー撮像カメラであり、図1に示す搬送部20上の食器M、Nの認識をする他、食器置台90上に積み重ねられている食器Mの積み重ね状況等も取得して、取得情報Vを制御部100に送る。
【0061】
[食器置台90と食器受け取り部95]
次に、図1図2に示す食器置台90と食器受け取り部95の好ましい構造例を説明する。
図1図2に示す食器置台90と食器受け取り部95は、搬送部20の後段の位置であって、搬送方向Xと交差するY方向に並べて配置されている。
食器置台90は、搬送部20の下流側からは外れた位置であって、排出操作部30の隣の位置に配置されている。
また、食器受け取り部95は、搬送部20の下流側に配置されている。
食器置台90は、正方形あるいは長方形あるいは円形等でも良く、特に限定されない。排出操作部30の1つの保持指部41の動作により、予め定めた種類の複数の食器Mを、積み重ねて置くことで収納することができる。
これにより、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0062】
一方、図2に示すように、食器受け取り部95は、予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nを、排出操作部30を用いることなく、搬送部20から直接受け取って収納する。
すなわち、食器Nは、排出操作部30が搬送部20上からはピックアップしないで流して(搬送させて)、食器受け取り部95に回収する。
これにより、排出操作部30は、予め定めた種類の食器Mだけを食器置台90上に積み重ねて収納することができるのに対して、食器Nが食器置台90上に混ざって積み重なってしまうことを未然に防ぐことができる。
【0063】
<食器置台90>
対応食器収納装置としての食器置台90の好ましい構造例を、図10図11を参照して説明する。
図10は、食器置台90の構造例を示す断面図であり、図11は、図10に示す食器置台90の平面図である。
食器置台90は、図1に示す搬送部20により搬送される食器Mだけを収納し、食器Nは収納しない。また、食器置台90は、金属製であり、箱型の本体91と、昇降板92と、支持板93と、駆動装置94とを有する。
本体91は、四方の側面部91Aと、底面部91Bとにより構成され、正方形状あるいは長方形状の上部開口91Cを有する。
なお、図1に示す食器置台90と食器受け取り部95は、食器Mを満載後に取り外して、別に用意してある空の食器置台90と空の食器受け取り部95とに取り替えることもできる。
昇降板92は、本体19内に配置されている板材であり、正方形状あるいは長方形状あるいは円形等でも良く、特に限定されない。昇降板92は、本体91内においてZ方向に沿って昇降して、高さ位置を位置決め可能に配置されており、昇降板92は、複数枚の食器Mを積み重ねて載せる台板であり、昇降板92は、積み重ねられる食器Mの枚数に応じて、制御部100の指令により駆動装置94の駆動によりZ方向に降下して位置決め可能な構成となっている。
【0064】
図10図11に示すように、支持板93は、本体91の側面部91A内において水平に固定されている。
支持板93は、例えば4本の倒れ防止ポール93PがZ方向に沿って平行にしかも同じ間隔をおいて立てて設けられており、各倒れ防止ポール93Pは例えば断面円形の金属棒材である。
しかし、倒れ防止ポール93Pの本数と配置位置は、特に限定されず、2本あるいは3本あるいは5本以上でも良い。
また、各倒れ防止ポール93Pの位置は、食器Mの直径等のサイズに応じて、水平方向に直線状に、あるいは曲線状に変えることができるようにしても良い。
さらに、積み上げた食器Mの山同士の間隔を狭く設定することで、積み上げた食器Mの山が互いにもたれ合って倒壊しないようにすることができ、この場合には、倒れ防止ポール93Pの設定を省略することができる。これにより、食器置台90の構造を簡略化することができる。
昇降板92は、これらの倒れ防止ポール93Pを通すための貫通孔92Hを有する。倒れ防止ポール93Pは、本体91の四方の側面部91Aとの間で、積み重ねた食器Mを支持することにより、積み重ねた食器Mが倒れることを防止する構成となっている。
【0065】
駆動装置93は、モータ93Mと、減速機93Rと、送りナット装置93Nと、送りねじ93Sとを有する。
モータ93Mは、本体91の固定板91Vに固定されており、送りナット装置93Nは、支持板93の裏面において回転可能に取り付けられている。
送りねじ93Sは、送りナット装置93Nにかみ合っている。送りねじ93Sの上端部93Fは、昇降板92の中央に固定されている。
【0066】
モータ93Mの出力軸の回転は減速機93Rで減速され、減速機93Rの出力軸が回転することで送りナット装置93Nが正回転することで、送りねじ93Sと昇降板92はZ1方向に上昇する。
逆に、減速機93Rの出力軸が回転することで送りナット装置93Nが逆回転することで、送りねじ93Sと昇降板92はZ2方向に降下する。
しかも制御部100の指令によりモータ93Mが駆動することで、昇降板92は、昇降板92の上に積み重ねられていく食器Mの枚数に応じて、各食器Mの積み重ね高さ分だけ降下していくようになっている。
従って、積み重ねられた最上位の食器Mの高さ位置であるトップラインの位置PPは、積み重ねられた食器Mの枚数にかかわらず、一定位置に保持可能な構成となっている。
【0067】
これにより、図6図7に示す排出操作部30の操作ヘッド33の保持指部41のZ方向に関する高さ位置は、図10に示す積み重ねられた最上位の食器Mの高さ位置PP(トップラインともいう)に合わせて常に一定の位置で、食器Mを積み重ねていくことができる。
このため、操作ヘッド33の1つの保持指部41は、Z方向について上下方向に移動する動作が不要になるか、少なくすることができるので、操作ヘッド33の保持指部41の移動距離を短縮して、食器置台90における食器Mの積み重ね動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0068】
複数の食器Mは、図11の図示例では、4か所の積み重ねポイントPS1からPS4において、それぞれ積み重ねられる。
昇降板92は、昇降板92の上に積み重ねられていく食器Mの枚数に応じて、各食器Mの積み重ね高さ分だけ降下していくことから、昇降板92が降下していく分だけ、相対的に倒れ防止ポール93Pが昇降板92の上に露出してくる。
これにより、4か所の積み重ねポイントPS1からPS4において積み重ねられた食器Mは、1本の倒れ防止ポール93Pと対応する2つの側面部91A、91Aとにより、振動により倒れてしまう現象を防止できる。
【0069】
また、作業者が、積み重ねポイントPS1からPS4に積み重ねた食器Mを取り出して回収する場合、作業者は、例えば複数回に分けて上から順に複数の食器Mを分けて取り出して、最後にそこに残った複数の食器Mを回収する。
この際、図10に示すように、昇降板92を最も上に上昇させた状態であるので、昇降板92は、倒れ防止ポール93Pの先端よりも高い位置に位置決めされる。
つまり、4本の倒れ防止ポール93Pの上端部の位置は、昇降板92の表面よりも高くなることがなく、昇降板92の下側に位置される。
このため、倒れ防止ポール93Pが昇降板92の表面から突き出ることがなく、倒れ防止ポール93Pが積み重ねた食器Mの取り出し作業に支障をきたすことがない。
これにより、作業者は倒れ防止ポール93Pが邪魔にならずに倒れ防止ポール93Pと積み重ねた食器Mが接触することがなく、作業者は積み重ねた食器Mの取り出し作業が容易で安全になり、取り出し作業のタクトタイムが短縮できる。
ただし、昇降板92を上昇させる場合には、安全性を確保するために、好ましくは、作業者が両手の指を用いて、2つの操作ボタン100K、100Lを同時に押すことで制御部100に指令を与えてモータ93Mを駆動させるようにしている。
これにより、昇降板92が不用意に作業者の手が当たり、手が挟み込まれる等を防止する構成となっている。
【0070】
<食器受け取り部95>
次に、非対応食器収納装置としての食器受け取り部95、95Aの好ましい構造例を、図12図13を参照して説明する。
図12は、食器受け取り部の構造例を示す断面図である。図13は、図12に示す食器受け取り部の別の適用例を示す図である。
図12に示す食器受け取り部95は、図1に示す搬送部20により搬送される非対応の食器Nを受けて収納する。
食器受け取り部95は、金属製であり、本体箱96と、受け板97と、駆動操作装置98と、を有する。
本体箱96は、四方の側面部96Aと、底面部96Bと、により構成され、正方形状あるいは長方形状の上部開口96Cを有する。
受け板97は、正方形状あるいは長方形状の板材であり、搬送部20から落下してくる食器Nだけを受ける。受け板97は、本体箱96内においてZ方向に沿って昇降して、高さ位置を位置決め可能に配置されており、受け板97は、制御部100の指令により駆動操作装置98の駆動によりZ方向に昇降して位置決め可能である。
【0071】
駆動操作装置98は、モータ98Mと、減速機98Rと、昇降部材98Wと、水平動作用のアクチュエータ98Tと、ガイドレール98Hとを有する。
モータ98Mと減速機98Rは、本体箱96の底面部96Bに配置されており、例えば減速機98Rのピニオン98Sは、ラック型の昇降部材98Wにかみ合っている。
昇降部材98Wは、Z方向に配置されており、昇降部材98Wの上端部は受け板97の下面に固定されている。
【0072】
食器Nが搬送部20により搬送され、搬送部20から受け板97上に次々と落下して収納される。収納される食器Nの数に応じて、制御部100は、駆動操作装置98のモータ98Mを駆動して、受け板を少しずつZ1方向に降下させる。
これにより、全ての食器Nが、受け板97と四方の96Aにより囲まれる収納空間SSP内に収納可能となっている。
これにより、搬送部20から落下してくる食器Nの落下による衝撃を緩和するとともに、収納空間SSPにおける食器Nの収納枚数を増加させることができる。
また、搬送部20から落下してくる食器Nは、好ましくは、収納空間SSPの中央付近に落下させることもできる。
【0073】
そして、収納空間SSP内に一定数の食器Nが収納されると、制御部100は駆動操作装置98のモータ98Mを駆動して、受け板をZ2方向に上昇させることで、一定数の食器NをZ2方向に持ち上げる。
これにより、作業者は、持ち上げられた一定数の食器Nを容易に回収することができ、作業者はかがみこまずに、そのままの姿勢で食器Nを回収できる。
従って、作業者の回収姿勢の負担が緩和し、非対応の食器Nの回収作業性が向上し、回収時のタスクタイムを短縮させることができる。
ただし、受け板97を上昇させる場合には、安全性を確保するために、好ましくは、作業者が両手の指を用いて、2つの操作ボタン100M、100Nを同時に押すことで制御部100に指令を与えてモータ98Mを駆動させるようにしている。
これにより、受け板97が不用意に作業者の手が当たり、手が挟み込まれる等を防止している。
【0074】
図12に例示するように、食器受け取り部95の本体箱96の一部分は、好ましくは、搬送部20の下部に潜り込ませるようにして配置されている。
これにより、本体の一部分を搬送部20の下部に潜り込ませない場合に比べて、本体箱96の水平面の投影面積が大きく確保できる。
従って、食器受け取り部95の収納空間SSPの領域を広く確保できるので、食器Nは分散して収納できることから食器Nの積み上がりによる食器Nの壁形成の発生を防ぐことができる。また、食器Nを受け板97の上の収納空間SSP内に満遍なく収納できる。
【0075】
また、図12に示すように駆動操作装置98は、アクチュエータ98Tを備える。
このアクチュエータ98Tは、制御部100の指令により、本体箱96をレール98Hに沿ってX1、X2方向に平行に直線移動して位置決め可能である。
これにより、本体箱96の収納空間SSPが大きく確保されていても、必要に応じて、本体箱96はレール98Hに沿って移動して位置決めできるので、収納空間SSPにおける食器Nの積み上がりによる食器Nの壁形成の発生を防ぐことができる。
また、食器Nが受け板97の上の収納空間SSP内に満遍なく収納できる。
【0076】
図13に示す非対応食器収納装置としての食器受け取り部95Aは、図12に示す構造と同じ構造を有していても良いし、別の構造を有していても良い。
図13に示す食器受け取り部95Aの適用例では、搬送部20は、アクチュエータ180を用いてX1方向あるいはX2方向に伸縮可能になっている。
これにより、搬送部20をX方向あるいはX2方向に伸縮することで、収納空間SSPにおける食器Nの積み上がりによる食器Nの壁形成の発生を防ぐことができる。また、食器Nが受け板97の上の収納空間SSP内に満遍なく収納できる。
さらに、搬送部20を伸縮させるのではなく、搬送部20の下流端に延長用に器具を取り付けるようにして、食器Nが収納空間SSPにおける落下位置を変更できるようにしても良い。
また、搬送部20から落下してくる食器Nは、収納空間SSPの中央付近に落下させることもできる。
【0077】
図1図3に示すように、ロボットである排出操作部30の付近には、安全装置としての機械的な遮蔽装置900が、排出操作部30を覆うようにして配置されている。
この遮蔽装置900は、図1に示す排出操作部30と、作業者HMRとの接触を防ぐために、設けられており、例えば手動により開閉できる両開き型の開閉扉装置である。
遮蔽装置900は、排出操作部30が見えるように、例えばアクリル板のような透明あるいは半透明の部材で作られていて、開閉扉901,902を有する。
また、本発明の遮蔽装置は、本実施の形態と異なり、例えば発光器と、発光器からの光を受光する受光器との組み合わせで構成されていても良い。この場合には、作業者が発光器からの光を横切って、受光器の受光量が低下すると、制御部100がブザー等を鳴らし、又は排出操作部30の動作を強制的に停止させる構成となっている。
これにより、作業者の侵入を警告等することができる。
【0078】
例えば、遮蔽装置900の開閉扉901.902が作業者HMRにより開かれると、制御部100は排出操作部30の動作を停止させることで、安全性を確保している。
作業者が、食器置台90から積み上げられた食器Mを回収し、食器受け取り部95から食器Nを回収する場合には、この遮蔽装置900を開けておくことで、排出操作部30は動作をしないことから、食器の回収作業時の安全性を確保でき、同時に食器Mの回収時のタクトタイムも短縮することができる。
なお、遮蔽装置900の構造は、両開き型の開閉扉装置に限らず、片開き型の開閉扉装置や、跳ね上げシャッター型の開閉扉装置であっても良く、特に限定されない。
【0079】
[食器洗浄補助装置10の制御系]
次に、図14を参照して、食器洗浄補助装置10の制御系について説明する。図14は、食器洗浄補助装置10の制御系を示している。
図6に示すように、上述した排出操作部30の保持アーム32は、J1軸からJ6軸を備えている。図10に示すように、モータMT1からモータMT6が、J1軸からJ6軸において回転して回転方向について位置決め動作するために設けられている。モータMT1からモータMT6は、制御部100の指令により制御される。
【0080】
図14に示すカメラCAは、排出操作部30の周囲環境を認識して、認識した周囲環境の取得情報Vを制御部100に送る。
図15には、カメラCAが、制御部100に対して送る取得情報Vとタッチパネル71を用いて入力できる項目の一例を示している。
カメラCAの取得情報Vとしては、例えば搬送部20の位置認識情報V1、搬送部20上の食器Mの位置認識情報V2、食器置台90の位置認識情報V3、食器置台90に積み重ねられている食器Mの積み重ね情報V4等がある。
制御部100は、取得情報Vに基づいて、排出操作部30の保持アーム32の動作と、操作ヘッド33の1つの保持指部41の動作を適切に制御する。
【0081】
図14に戻ると、食器投入タイミング指示部8は、制御部100の指令により、図1に示す作業者HMが下洗いした食器M、Nを図1に示すコンベア3の上流側に投入するタイミングを、所定時間間隔で、例えば音や光、あるいはその両方で指示する。
これにより、作業者HMは、下洗いした食器M、Nを投入するタイミングの指示を受けて、リズムに乗って食器M、Nを順次コンベア3の上流側に下向きにした状態で置いていくことができる。
従って、複数の食器M、Nは、搬送方向Xに沿って適正な間隔を置いて、搬送されることになる。このため、複数の食器M、Nが密集した状態で洗浄されて、搬送部20側へ搬送されてしまうというトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0082】
図14において、搬送部20の駆動モータ23は、制御部100の指令により制御される。
操作ヘッド33の1つの保持指部41は、エアー操作部110の電磁弁112に配管111を用いて接続されている。
電磁弁112は、レギュレータ113と、フィルタ114と、ドライア115と、タンク116を介して、コンプレッサ117に接続されている。
これにより、コンプレッサ117が制御部100の指令により動作すると、1つの保持指部41は、エアー吸着力を発生して食器Mを即座に吸引して保持でき、エアーを逆噴射することで食器Mの保持状態を即座に解除することができる。
エアー圧を用いて食器Mを吸着して保持し保持状態を解除するエアー方式の保持指部41は、電磁アクチュエータを用いた把持方式の保持指部に比べて、食器Mを保持して保持を解除する速度が速い。
このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮することができる。また、エアーは、食器Mに残っている水分や保持指部41のエアーの供給経路に残っている水分を、勢いよく排除できるので、保持指部41は水分に影響を受けずに次の食器を確実に保持できる。
【0083】
図14において、食器登録部70が制御部100に電気的に接続されている。
食器登録部70は、例えば制御部100に配置されていても良いし、排出操作部30に配置されても良い。
食器登録部70は、図1に示す搬送部20により搬送方向Xに沿って搬送される予め定めた種類の食器Mの種類に関する食器種類情報Fを事前に登録しており、その食器種類情報Fを制御部100に通知する。
これにより、食器登録部70は、登録された食器種類情報Fを得て、制御部100は、排出操作部30の1つの保持指部41の動作を制御して、保持指部41が予め定めた種類の食器Mだけを吸着して保持して確実に排出することができる。
このため、予め定めた種類の食器Mの判別を迅速で処理できると共に、排出動作のタクトタイムも短縮させることができる。
【0084】
図14において、搬送部20により搬送しようとする予め定めた種類の食器Mについての食器種類情報Fは、制御部100において事前に取得している。
制御部100は、食器種類情報Fの予め定めた種類の食器Mと、食器検出部50により検出された実際の食器とを比較することで、搬送部20上の食器が予め定めた種類の食器Mであることを判別することができる。
そして、排出操作部30の1つの保持指部41は、予め定めた種類の食器Mに応じて実際の食器Mを保持して、図2に示す搬送部20から排出して食器置台90上に積み重ねることができる。
これにより、予め定めた種類の食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0085】
図14に示すように、食器登録部70には、タッチ入力部としてのタッチパネル71が電気的に接続されている。
図1に示す作業者HMは、指でタッチパネル71に触れることで、任意の食器種類情報Fを食器登録部70に対して事前に読み込ませることができる。
これにより、食器登録部70は、事前に食器種類情報Fを取り込むことで、排出操作部30は、食器種類情報Fに基づいて、予め定めた種類の食器Mを確実に排出することができる。
しかも、実際に洗浄しようとする食器Mには、直径のサイズが近似していているが高さの異なる場合等があることから、高さ等の異なる食器Mを区別しておく必要がある。
作業者HMは、指でタッチパネル71に触れることで、任意の食器種類情報Fを食器登録部70に対して事前に読み込ませる。
これにより、制御部100は食器登録部70からの食器種類情報Fにより排出操作部30の動作を制御して、背の高い食器Mが搬送されてきたときには、保持指部41の高さ位置を変えることで、保持指部41が背の高い食器Mに当たってしまうことを防止することができる。
【0086】
図15は、タッチ入力部71に登録することができる情報例を示している。
図15に示すように、食器種類登録カード71は、食器種類情報Fを登録している。
食器種類情報Fは、食器に関する食器関連情報GFと、食器の種類の基本情報BFと、を含む。
また、食器関連情報GFは、既に図1の搬送部20により搬送された食器の種類KFと、これから搬送部20により搬送しようとする食器の種類LFと含む。
食器の種類の基本情報BFは、洗浄対象になりそうなすべての種類の食器M、Nの形状や大きさや重さの情報である。
これにより、制御部100は、食器登録部70を介して、食器の種類の基本情報BFを得ることで、食器M、Nの食器の種類を認識できる。
【0087】
図15の食器関連情報GFは、図2図10に例示するように、食器置台90上に食器Mを積み重ねて置く際に利用できる「食器Mの積み重ねパターン情報U1」、「積み重ね可能枚数情報U2」、「保持指部41により保持する食器Mの向きに関する情報U3」、「1枚の食器Mを積み重ねる際の嵩増しの高さ情報U4」、「食器Mを把持して置く際の食器Mの色情報U5」を含んでいて、これらの情報U1からU5は、図14に示すタッチ入力部71を介して食器登録部70に取り込んで制御部100に供給できる。
【0088】
まず、「食器Mの積み重ねパターン情報U1」は、図2に例示するように、1つの保持指部41が食器Mを食器置台90上に置く際に、食器置台90のどの箇所に食器Mを積み重ねていくかの食器置台90上の食器Mの配置パターンを予め定めている。
これにより、食器Mは、食器置台90の上の所定の個所(図11に示すポイントPS1~PS4)に整然と積み重ねられていくことになる。
「積み重ね可能枚数情報U2」は、保持指部41が食器Mを食器置台90のポイントPS1~PS4上に積み重ねていく際に、食器Mの種類に応じて、積み重ねることができる枚数を予め設定している。
このように、食器Mの積み重ねる枚数を制限することで、積み重ねた食器Mが自重や振動により崩れたり、動作している保持指部41に当たって崩れたりするのを防ぐ構成となっている。
【0089】
「保持指部41により保持する食器Mの向きに関する情報U3」は、保持指部41が保持している円形の食器ではなく例えば角型の各食器Mである場合に、各食器Mの向き(姿勢)が、食器Mを食器置台90上に積み重ねるために正常か否かを、制御部100に通知する機能である。
これにより、もし各食器Mの向きが揃っておらず正常な状態でない場合、保持指部41が保持している食器Mを、食器置台90上に積み重ねないことで、既に積み重ねた食器Mが崩れないようにすることができる。
「1枚の食器Mを積み重ねる際の嵩増しの高さ情報U4」は、食器Mを積み重ねている食器の嵩増しの高さを示しており、制御部100が、食器の嵩増しの高さを制限する。
これにより、動作している保持指部41が積み重ねた食器Mの山に当たって崩してしまわないようにしている。
「食器Mを把持して置く際の食器Mの色情報U5」は、保持指部41が食器Mを把持して食器置台90上に置く際の食器Mの色情報を予め定めている。
これにより、保持指部41は、食器Mの色情報に応じて、例えば同じ色の食器同士を把持し食器置台90上に置くことができる。
【0090】
排出操作部30は、上述した各情報U1~U4を利用することにより、予め定めた種類の食器Mを、図1に示す食器置台90上にトラブルが生じることなく、確実に積み重ねて置くことができる。
このため、予め定めた種類の食器Mの排出動作を確実に行え、排出動作と積み重ね動作のタクトタイムを短縮することができる。
また、排出操作部30は、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作の速度を食器Mの種類に応じて変更することができる。
例えば、排出操作部30は、食器の種類の基本情報BFに含まれる食器Mの重さの情報に応じて、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作の速度を変更することができる。
これにより、保持指部41が食器Mを誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。
【0091】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器Mを検出した結果、食器登録部70に登録されていない予め定めた種類でない未登録の食器N、例えば食器やスプーンやフォーク等が搬送されてきたと判断した場合には、排出操作部30の保持指部41は、食器Nを保持しない。
これにより、保持指部41が予め定めた種類でない未登録の食器Nと登録した予め定めた種類の食器Mを混ぜて排出して、食器置台90上に積み重ねてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0092】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器M、Nを検出した結果、複数の食器M、Nが密集した状態で搬送部20により搬送されてきたことを検出した場合であっても、排出操作部30の1つの保持指部41は、密集した食器M、Nの内の食器Mだけを保持する。
このように、食器Mだけを選択して保持できるのは、排出操作部30は、複数の保持指部を備えているのではなく、1つの保持指部41だけを備えているためである。
これにより、保持指部41は、1つの食器Mだけを素早く吸着して保持し、しかも速い速度で食器置台90の所定の位置に積み重ねておくことが可能である。
このため、密集した状態で食器M、Nが搬送部20により搬送されてきても、保持指部41は、1つの食器Mだけ確実に保持しながら、素早く食器置台90に移動でき、誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。
従って、食器の排出動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0093】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器M、Nを検出する際に、食器検出部50は、搬送部20の全領域の状態と、排出操作部30の少なくとも保持指部41の状態を、カラー画像で取得できる。
これにより、食器M、Nの判別動作と食器M、Nの排出動作は、制御部100にリアルタイムで通知でき、しかも作業者HMは、モニタ19を見ることで、リアルタイムで監視できることから、作業性の向上とタクトタイムが短縮できる。
【0094】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器を検出した結果、制御部100が、食器登録部70に登録されていない予め定めた種類でない未登録の物であって食器よりもはるかに大きい物(例えば食器を収容するトレイやラックなど)が搬送されてきたと判断することがある。
この場合には、制御部100は、排出操作部30の保持アーム32を搬送部20から退避させる。
これにより、食器よりもはるかに大きい物(例えば食器を収容するトレイやラックなど)が搬送部20により搬送されてきた場合に、搬送部20により搬送されてきた物が排出操作部30の保持アーム32に接触することを回避できる。
したがって、排出操作部30の保持アーム32が接触して破損することを未然に防止することができる。
【0095】
<食器洗浄補助装置10の動作例>
次に、図16を参照して、上述した食器洗浄システム1000の動作例を説明する。図16は、食器洗浄システム1000の動作例を示すフロー図である。
図16のステップST1では、作業者は、図1図2において、下洗いされた食器M、Nを、下向きしてコンベア3の上に順次置くことで、コンベア3は、食器M、Nを搬送方向Xに沿って搬送する。
食器M、Nは、入口部2Aから本体部2に入って洗浄水による洗浄と、好ましくは例えば熱風による乾燥処理が行われ、その後出口部2Bから出てきて、次段の食器洗浄補助装置10の搬送部20側に送られる。
搬送部20が、洗浄済みの食器M、Nを搬送方向Xに沿って搬送すると、食器M、Nは食器検出部50の下を通過することから、食器検出部50は、食器M、Nの形状等を、非接触で認識する。
【0096】
図16のステップST2では、図10に示す制御部100が、食器検出部50から得られる食器M、Nの形状と、食器登録部70から既に得られている食器種類情報Fの食器M、Nの形状とを照合する。
制御部100が、食器検出部50が検出した食器の種類を、食器置台90に積み重ねようとする予め定めた種類の食器Mであると判断すると、ステップST3に移る。
もし、制御部100が、食器検出部50が検出した食器の種類を、食器置台90上に積み重ねようとする予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nであると判断すると、ステップST8に移る。
【0097】
図16のステップST8では、食器検出部50が検出した食器の種類が、食器置台90上に積み重ねようとする予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nであることから、図1図2に示す排出操作部30は、食器検出部50が検出した食器Nを吸着しない。
これにより、吸着されなかった食器Nは、図1に示す搬送部20により搬送方向Xに沿って搬送されることで、搬送部20から食器受け取り部95内に収納される。
【0098】
図16のステップST3に戻ると、排出操作部30のカメラCAは、食器置台90に積み重ね対象となる予め定めた種類の食器Mの形状や食器Mの中心位置と食器Mの向き等を認識して、制御部100を介して、制御部100へ排出操作部30に通知する。
ステップST4では、図9に示す排出操作部30の操作ヘッド33の保持指部41は、図1に示す搬送部20上の食器Mの真上であって、しかも保持指部41が搬送されてくる食器Mに当たらないようにするために、食器Mの高さよりも高い位置に移動される。
そして、保持指部41は下降して食器Mの底面をエアー吸着して、保持指部41は、それぞれ予め定めた種類の食器Mを保持する。
【0099】
図16のステップST5では、図1図2において、排出操作部30の保持アーム32は、搬送部20側から食器置台90側に旋回して移動すると、保持指部41は、食器置台90側に位置される。
このため、保持指部41がそれぞれ保持した予め定めた種類の食器Mは、食器置台90上に移動して、保持指部41のエアー逆噴射により予め定めた種類の食器Mの保持状態を即座に解除して、図2あるいは図11に例示するように、食器Mを食器置台90上の積み重ねポイントPS1からPS4に積み重ねる。
このように、本実施の形態では、1つの保持指部41は、1つの食器Mを素早く保持して食器置台Mへ移動できるため、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮することができる。
【0100】
また、ステップST5において、保持アーム32は、保持指部41にそれぞれ吸着されている食器Mを食器置台90上に置く際に、既に食器置台90上に積み重ねて置かれている食器Mの枚数の少ない箇所に積み重ねる。
これにより、食器置台90上の複数の位置に均等の積み重ね高さになるように食器Mを積み重ねることができる。
このため、食器Mを積み重ねのポイントPS1からPS4から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮することできる。
【0101】
さらに、ステップST5において、排出操作部30の保持指部41が、円形以外の形状を有する例えば角型や長方形の食器Mを食器置台90に置く際には、食器Mの向きを揃える必要がある。
これらの食器Mについては、保持指部41により吸着する時に、食器Mの向きが互いに平行になるように保持指部41に吸着させることが望ましい。
これにより、複数の例えば角型や長方形の食器Mが排出された後に置かれる時に、同じ向きに揃えた状態で積み重ねることができるので、排出して積み重ねる時のタクトタイムを短縮できる。
このため、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮できる。
【0102】
次に、図16のステップST6では、排出操作部30の保持アーム32は、食器置台90側から搬送部20側へ旋回して戻し、ステップST1に戻る。
その後、ステップST1からステップST5の動作を繰り返すことで、保持指部41がそれぞれ保持した食器Mは、食器置台90上に移動して、保持指部41のエアー逆噴射により食器Mの保持を解除して食器Mを食器置台90上に積み重ねる。
なお、食器検出部50が食器M、Nを認識しなくなった場合には、ステップST7において食器の排出作業は終了する。
食器洗浄補助装置10を用いることで、洗浄した食器Mを確実に排出することができ、食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる。
【0103】
以上説明したように、本発明の実施形態の食器洗浄補助装置10では、図1に示す食器検出部50として画像取得装置を採用している。
従って、食器検出部50が搬送部20により搬送される食器M、Nの形状の画像を取得するのは、短時間で検出でき、搬送部20の搬送長さが短くても搬送部20により食器M、Nが搬送されている途中で食器M、Nの形状の画像の取得が即座に可能である。
このため、例えば、搬送部20で搬送される食器M、Nの形状を、多次元センサ等で検出しようとする場合に比べて、搬送部20の長さを短くして小型化することが可能であり、食器洗浄補助装置10の小型化が図れる。
これにより、食器M、Nの形状の画像を認識することで搬送部上の判別すべき対応する食器Mを保持して搬送部20から確実に排出して、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる。
また、食器検出部50が画像取得装置を有するので、多次元センサのようなセンサを用いる場合に比べて、食器M、N同士の間隔が開いた状態だけではなく、食器M、N同士がくっついた状態であっても、各食器M、Nの形状を取得できる。
すなわち、食器M、N同士の間隔を一定以上開ける必要性がなく、作業者は食器M、N同士の間隔の確保をさほど意識せずに食器洗浄機1に投入でき、洗浄作業性が向上する。
【0104】
食器検出部50である画像取得装置としてCCDカメラを採用することで、排出操作部30は、画像取得装置により得られる食器M、Nの形状の画像に基づいて、予め定めた種類の対応する食器Mだけを搬送部20から排出する。
これにより、対応する食器Mと、それ以外の非対応の食器Nとを区別して迅速に排出できる。
また、CCDカメラを用いることで、小型化が可能であり、食器洗浄機1からの水分や蒸気の影響を受け難い構成となっている。
【0105】
図9(A)に示すように、排出操作部30の保持アーム32は、1つの保持指部41だけを有しており、1つの保持指部41は、1つの食器Mを確実に保持して排出する。
これにより、複数の保持指部を有し複数の食器を同時に保持して排出する場合に比べて、1つの保持指部41が1つの食器Mを確実に保持して排出して所定の位置に置く往復動作の高速化が図れる。
特に、食器洗浄補助装置10の小型化のために搬送部20の搬送長さを短縮する場合には、1つの保持指部41が1つの食器Mを保持して排出して所定の位置に置く往復動作の高速化を図ることができる。
【0106】
図9(B)に例示するように、1つの保持指部41は、複数の吸着部49A、49Bを有していることで、1つの吸着部を有する場合に比べて、1つの食器Mを複数の位置で確実に吸着して保持できる。
従って、1つの保持指部41が1つの食器Mを保持して排出して所定の位置に置く往復動作の高速化を図っても、保持している食器Mの揺れ幅が大きくならないように食器振れ幅を抑制でき、安定した状態で食器Mを排出できる。
また、1つの保持指部41は、複数の吸着部49A、49Bを用いてサイズが大きく重い食器Mを安定して保持して搬送できる。
【0107】
図5に示すように、食器洗浄機1と搬送部20との間に配置される乗継ぎ部5は、搬送部20側に固定されている構造を採用しているのは、次の理由からである。
すなわち、食器洗浄機1の下流側の出口の構造は様々であり、食器洗浄機1の出口側に乗継ぎ部を固定するためには、食器洗浄機1の構造に合った構造を有する乗継ぎ部を用意しなければならず、手間とコストがかかってしまうためである。
【0108】
図1に示すように、作業者HMが、タッチパネル71を用いて食器Mの種類をあらかじめ食器登録部70に登録しておくことができ、例えば直径が似ていて高さが異なる食器Mがある場合であっても、作業者は事前に例えば直径が似ていて高さが異なる食器Mの種類を登録することができる。
これにより、食器検出器50である画像取得装置による食器Mの認識精度を上げることができる。
【0109】
図1に示すように、安全装置としての機械的な遮蔽装置900が、排出操作部30を覆うようにして配置されている。
この遮蔽装置900は、排出操作部30と、作業者HMRとの接触を防ぐことができ、安全性を確保できる。
【0110】
図1に示すモニタ19は、食器検出部50により得られる搬送部20上の食器M、N等の様子を示す動画(画像情報)を、リアルタイムで表示することができる。
これにより、作業者HMが食器洗浄機1により搬送部20以降が見えない場合であっても、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の動作管理は、1人の作業者HMがモニタ19を見ることでにより可能になる。
【0111】
図1に例示するように、排出操作部30の保持アーム32の待機する位置は、搬送部20の上方の位置であるので、保持アーム32が、搬送部20の上方の位置から退避した位置に待機する場合に比べて、退避位置から待機位置あるいは次に行う食器Mのピックアップ動作を行う稼働位置に移行するまでの時間を短縮でき、ピックアップ動作が素早く行える。
これにより、食器M、Nの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0112】
図10に示す食器洗浄補助装置10では、対応食器収納装置90の昇降板92は、搬送部により搬送される予め定めた種類の対応する食器Mを対応食器収納装置90に収納する際に、対応する食器Mの枚数の増加に応じて降下させることができる。
このため、昇降板92上において最も高い位置に積み重ねられる対応する食器の位置(トップラインの位置PP)は、一定にすることができることから、排出操作部20が対応する食器Mを昇降板92上に次々と積み上げる際の積み上げ位置を一定に保つことができる。
従って、排出操作部20は、上下方向への動作を少なくできるかあるいは不要となる。これにより、搬送されてくる食器Mを確実にしかも迅速に収納することができ、食器M、Nの排出動作と食器Mの収納動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄処理業務の省力化を図ることができる。
【0113】
図10図11に示すように、対応食器収納装置90には倒れ防止ポール93Pが設けられているので、倒れ防止ポール93Pは対応食器収納装置10内で積み重ねられた対応する食器Mが倒れるのを防ぐことができる。
しかも、作業者が、対応食器収納装置90内から積み重ねられた食器Mを取り出して回収する場合に、例えば上から複数回に分けて回収して、そして最後に残りの対応する食器Mを回収する際には、昇降板92を上昇させた状態では、図10に示すように、昇降板92は、倒れ防止ポール93Pの上端よりも高い位置に位置決めできる。
従って、作業者は、倒れ防止ポール93Pの存在が邪魔にならずに、倒れ防止ポール93Pと最後に残りの対応する食器とが接触しないようにして容易に回収できる。
【0114】
図12図13に示すように、受け板97は、非対応食器収納装置95の本体箱96内で、昇降可能に配置されている。
このため、受け板97の高さ位置を調整することで、非対応の食器Nの落下する高さを小さくできることから、非対応の食器Nを収納する時に非対応の食器Nが受け板97上に落下する衝撃を緩和することができる。
さらに、受け板97の位置を下げていくことで、非対応の食器Nの収納枚数の増加を図ることができる。
【0115】
図12に示すように、非対応食器収納装置95の一部分が搬送部20の下部に滑り込ませるように配置されているので、食器洗浄補助装置10の全体の大型化を抑制しながら、非対応食器収納装置95の大型化が可能である。
従って、非対応の食器Nの収納枚数を増やすことができ、非対応食器収納装置95内で非対応の食器Nが積み重なって壁を形成してしまう現象を防ぎ、非対応の食器Nを非対応食器収納装置95内に満遍なく収納することができる。
【0116】
図12に示すように、非対応食器収納装置95の位置を、非対応の食器Nの積み重ね状況に応じて、アクチュエータ98Tにより搬送方向Xに平行に移動させることができる。
このため、非対応食器収納装置95内で非対応の食器Nが積み重なって壁を形成してしまう現象を防ぎ、非対応の食器Nを非対応食器収納装置95内に満遍なく収納させることができる。
【0117】
図13に示すように、搬送部20の長さが伸縮自在であり、搬送部20の長さを調整することで、非対応の食器Nを、非対応食器収納装置95の中央付近に落下させることができる。
搬送部20の下部に非対応食器収納装置95の一部を配置するスペースがない場合であっても、搬送部20の長さを変えることで、非対応食器収納装置95内で非対応の食器Nが積み重なって壁を形成する現象を防ぎ、非対応の食器Nを非対応食器収納装置95内に満遍なく収納することできる。
【0118】
図17に示すように、搬送部20と排出操作部30と対応食器収納装置90と非対応食器収納装置95とは、相互に位置が固定された一体化構造になっていることから、相互に位置ずれするのを防ぐことができるので、食器洗浄補助装置10を食器洗浄機1に対して設定する作業が容易となる。
【0119】
図17は、本発明の別の実施形態の食器洗浄システム1000Aを示している平面図である。
図17に示す食器洗浄システム1000Aの食器洗浄補助装置10の搬送部20と、排出操作部30と、食器置台90と、食器受け取り部95と、制御部100が、相互に連結されており相互に位置が固定された一体化構造になっている。
これにより、搬送部20と、排出操作部30と、食器置台90と、食器受け取り部95が、相互に位置ずれを起こすことがないので、食器洗浄補助装置10を設置現場に搬入して設置したり、設置現場から搬出する作業が容易となる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
例えば、図示した例では、搬送部20の一方の側において、排出操作部30が配置されている。
しかし、これに限らず、搬送部20の一方の側と他方の側の両方において、排出操作部30をそれぞれ配置することもできる。
搬送部20の搬送方向Xについての長さは、食器洗浄システム1000を設置する施設のスペースの大小に応じて変更することができる。
図11に示す例では、食器Mの積み重ねのポイントは、4つのポイントPS1~PS4を示しているが、食器Mのサイズに応じて、2つあるいは3つ、あるいは5つ以上のポイントを設定しても良い。
図1に示すように、ガイド部材6と食器投入範囲指示部7が設けられているが、ガイド部材6と食器投入範囲指示部7の一方または両方を設けないようしても良い。
排出操作部30の保持アーム32は、6軸ロボット以外に、3軸以上のロボット、あるいはX、Y、X軸を有する3軸操作テーブルであっても良い。
【符号の説明】
【0121】
1・・・食器洗浄機、2・・・本体部、2A・・・入口部、2B・・・出口部、3・・・コンベア(排出コンベア)、4・・・食器下洗い容器、5・・・乗継ぎ部、6・・・ガイド部材、7・・・食器投入範囲指示部、8・・・食器投入タイミング指示部、10・・・食器洗浄補助装置、19・・・モニタ、20・・・搬送部、23・・・駆動モータ、30・・・排出操作部、32・・・保持アーム、33・・・操作ヘッド、41・・・保持指部、50・・・食器検出部、70・・・食器登録部、71・・・タッチパネル(タッチ入力部)、80・・・エアー供給部、81・・・報知部、90・・・食器置台(対応食器収納装置)、91・・・本体、92・・・昇降板、93P・・・倒れ防止ポール、95・・・食器受け取り部(非対応食器収納装置)、96・・・本体箱、97・・・受け板、98T・・・アクチュエータ、100・・・制御部、110・・・エアー操作部、1000,1000A・・・食器洗浄システム、CA・・・環境認識用のカメラ、F・・・食器種類情報、M・・・予め定めた種類の食器(対応食器)、N・・・予め定めた種類の食器以外の食器(非対応食器)、MT1~MT6・・・モータ、PS1~PS4・・・積み重ねのポイント、V・・・カメラの取得情報、X・・・搬送方向
図1
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