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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100460
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】フェンス用胴縁
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20230711BHJP
   E04H 17/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04H17/16 105
E04H17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001166
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】米山 貴浩
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142CC14
2E142CC19
(57)【要約】
【課題】胴縁の連結や分解を容易に行うことができ、連結の際に必要とされていた継手ピースやボルトナット等の部品を削減することができるフェンス用胴縁を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、前記第1の胴縁の一方の端部には、前記水平辺と前記垂直辺が内側に窪むと共に、前記水平辺と略平行な水平面と、前記垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、前記第1の胴縁と前記第2の胴縁は、前記第1の胴縁の前記絞り部が、前記第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか他方に形成されると共に前記複数の連結用爪部と係合する複数の孔部によって、長手方向に連結される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、
前記第1の胴縁の一方の端部には、前記水平辺と前記垂直辺が内側に窪むと共に、前記水平辺と略平行な水平面と、前記垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、
前記第1の胴縁と前記第2の胴縁は、
前記第1の胴縁の前記絞り部が、前記第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、
前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか他方に形成されると共に前記複数の連結用爪部と係合する複数の孔部によって、長手方向に連結されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項2】
請求項1に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁の一方の端部と、前記第2の胴縁の一方の端部は、同一形状であり、
前記第1の胴縁の他方の端部と、前記第2の胴縁の他方の端部は、同一形状であることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項3】
請求項1または2に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁と前記第2の胴縁の連結部は、前記複数の連結用爪部と前記複数の孔部の係合のみで連結されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁の水平辺の外側面と、前記第2の胴縁の水平辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置し、
前記第1の胴縁の垂直辺の外側面と、前記第2の胴縁の垂直辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置するように、連結されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、
前記水平面と前記垂直面に1つずつ形成されると共に、
前記水平面と前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の他方の端部に向かって伸びる係合部を有し、
前記複数の孔部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、
前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、
前記水平面と前記垂直面に一つずつ形成されると共に、
前記水平面と前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の一方の端部に向かって伸びる係合部を有し、
前記複数の孔部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、
前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、
前記第2の胴縁の後端部であって、前記水平辺と前記垂直辺に1つずつ形成されると共に、
前記第2の胴縁の前記水平辺と前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の一方の端部に向かって伸びる係合部を有し、
前記複数の孔部は、前記第1の胴縁の絞り部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、
前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、
前記第2の胴縁の後端部であって、前記水平辺と前記垂直辺に1つずつ形成されると共に、
前記第2の胴縁の前記水平辺と前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の他方の端部に向かって伸びる係合部を有し、
前記複数の孔部は、前記第1の胴縁の絞り部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、
前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス等に用いられる胴縁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、敷地境界部に沿って取り付けられるフェンスは、間隔をあけて地面に立設した支柱の間に、アングル材等で形成された複数の胴縁を掛け渡し、胴縁にネットを張ることで構成される。また、1本の胴縁の全長が、フェンスの設置長さよりも短い場合には、複数の胴縁を長手方向に連結させて、フェンスの構築が行われる。
【0003】
従来の胴縁は、図13に示すように、隣り合う2本の胴縁の端面を突き合わせ、胴縁の側辺よりも辺長の短い側辺を有する継手ピースを介し、複数のボルト及びナットを締め付けて連結されている。
【0004】
また、特許文献1には、胴縁の連結作業において、隣り合う2本の胴縁のボルト孔を合わせる作業の簡便化を図ることができ、連結後の胴縁の直線性と、がたつきの無い締結性を確保することができるフェンス用胴縁等のアングル材接続構造について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2878981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すフェンス用胴縁等のアングル材接続構造は、一方のアングル材に設けられた係合用折曲片を、他方のアングル材に設けられた抜き孔に係合させることで、フェンスを設置する工事の手間を軽減することができ、尚且つ、連結に要するボルト本数の節約を可能とすることができる。しかしながら、特許文献1に示すフェンス用胴縁等のアングル材接続構造は、ボルト本数の節約ができるものの、いぜんとして、連結部にボルト及びナットが使用され、工具を用いた連結作業が必要とされており、更なる作業の簡便化が求められていた。
【0007】
また、一時的に設置され、撤去が予定されているような仮設のフェンスにおいては、組立作業の簡便さのみならず、分解作業の簡便さについても要求されている。
【0008】
そこで、本発明は上記の事項に鑑みてなされたものであり、継手ピースやボルト及びナットのような締結用部品を使用せず、胴縁のみで連結を可能とし、フェンスの組立や分解を容易に行うことのできるフェンス用胴縁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るフェンス用胴縁は、長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、前記第1の胴縁の一方の端部には、前記水平辺と前記垂直辺が内側に窪むと共に、前記水平辺と略平行な水平面と、前記垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、前記第1の胴縁と前記第2の胴縁は、前記第1の胴縁の前記絞り部が、前記第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか他方に形成されると共に前記複数の連結用爪部と係合する複数の孔部によって、長手方向に連結されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁の一方の端部と、前記第2の胴縁の一方の端部は、同一形状であり、前記第1の胴縁の他方の端部と、前記第2の胴縁の他方の端部は、同一形状であると好適である。
【0012】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁と前記第2の胴縁の連結部は、前記複数の連結用爪部と前記複数の孔部の係合のみで連結されると好適である。
【0013】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁の水平辺の外側面と、前記第2の胴縁の水平辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置し、前記第1の胴縁の垂直辺の外側面と、前記第2の胴縁の垂直辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置するように、連結されると好適である。
【0014】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記水平面と前記垂直面に1つずつ形成されると共に、前記水平面と前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の他方の端部に向かって伸びる係合部を有し、前記複数の孔部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されると好適である。
【0015】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記水平面と前記垂直面に1つずつ形成されると共に、前記水平面と前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の一方の端部に向かって伸びる係合部を有し、前記複数の孔部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されると好適である。
【0016】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記水平辺と前記垂直辺に1つずつ形成されると共に、前記第2の胴縁の前記水平辺と前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の一方の端部に向かって伸びる係合部を有し、前記複数の孔部は、前記第1の胴縁の絞り部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されると好適である。
【0017】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の後端部であって、前記水平辺と前記垂直辺に1つずつ形成されると共に、前記第2の胴縁の前記水平辺と前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の他方の端部に向かって伸びる係合部を有し、前記複数の孔部は、前記第1の胴縁の絞り部であって、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成され、前記複数の孔部の少なくとも一方は、長手方向に交差する方向の大きさが、対応する前記連結用爪部の長手方向に交差する方向の大きさよりも大きく形成されると好適である。
【0018】
上記発明の概要は、本発明に必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、胴縁の連結や分解を容易に行うことができ、連結の際に必要とされていた継手ピースやボルトナット等の部品を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るフェンス用胴縁を用いて設置されたフェンスの一形態を示す参考図
図2】本実施形態に係る第1の胴縁、及び第2の胴縁の全体を示す参考斜視図
図3】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁が連結され、フェンス上縁において使用される状態を示す斜視図
図4】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す斜視図
図5】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図5(a)は、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す幅方向外側から見た正面図、図5(b)は、高さ方向外側から見た平面図
図6図5(a)のX-X断面図
図7】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図7(a)は、連結準備段階を示す幅方向内側から見た背面図、図7(b)は、図7(a)のY1-Y1断面図
図8】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図8(a)は、垂直辺側の連結用爪部を第2の孔部に挿通させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図8(b)は、図8(a)のY2-Y2断面図
図9】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図9(a)は、水平辺側の連結用爪部を第1の孔部に挿通させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図9(b)は、図9(a)のY3-Y3断面図、図9(c)は、図9(a)のZ1-Z1断面図
図10】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図10(a)は、フェンス用胴縁の連結を完了させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図10(b)は、図10(a)のZ2-Z2断面図
図11】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図11(a)は、連結用爪部の第1の変形例を示す幅方向外側から見た正面図、図11(b)は、連結用爪部の第2の変形例を示す幅方向外側から見た正面図
図12】本実施形態に係るフェンス用胴縁にネットを固定する方法を示す参考図
図13】従来のフェンス用胴縁の連結方法を示す参考斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、本実施形態に係るフェンス用胴縁を用いて設置されたフェンスの一形態を示す参考図、図2は、本実施形態に係る第1の胴縁、及び第2の胴縁の全体を示す参考斜視図である。なお、本明細書において、長手方向における先端側、後端側とは、図2に示す矢印の方向と向きと定義する。また、本明細書において、高さ方向、幅方向、及びフェンス用胴縁の内側、外側とは、図2に示す矢印の方向と向きと定義する。また、本明細書において、フェンス用胴縁を示す正面図、背面図及び平面図とは、図2に示す矢印の方向から見た図と定義する。
【0023】
本実施形態に係るフェンス用胴縁1は、図1に示すように、フェンス100の上部と下部の縁となる高さにおいて、間隔をあけて地面に立設した支柱2の間に架設され、ネット3を固定する。
【0024】
支柱2には、一例として図1に示すように、支柱の両側にネット3を備え、断面形状が略V字形の主柱2aと、支柱の片側にネット3を備え、断面形状が略L字形の端柱2bとがある。主柱2a、及び端柱2bは、共に、一例として一般構造用圧延鋼材等によって形成される。また、主柱2a、及び端柱2bには、フェンス100の上部と下部の縁となる高さにおいて、ボルトを貫通する貫通孔が設けられており、フェンス用胴縁1は、当該貫通孔を貫通するボルトと、図示しない留め金具によって、支柱2に架設される。
【0025】
ネット3は、一例として、鉄線からなり、鉄線を山が連なるように加工し、編み合わせて菱形の網目を形成した金網である。網目の接合点には溶接等による固定がないため、衝撃吸収性を備える。ネット3は、図12に示すように、上部と下部の縁となる部分に鉄線54が通され、後述するフェンス用胴縁1のネット用爪部51に、鉄線54を引っ掛けることにより取付けられる。
【0026】
フェンス用胴縁1は、図3に示すように、隣り合うフェンス用胴縁である第1の胴縁1aの先端部(特許請求の範囲における、一方の端部)と、第2の胴縁1bの後端部(特許請求の範囲における、他方の端部)を長手方向に連結することにより、フェンス100の上部と下部の縁を構成する。また、図4は、第1の胴縁1aと、第2の胴縁1bとを連結する前の状態を示した斜視図である。本実施形態において、第1の胴縁1aの先端部と、第2の胴縁1bの先端部は同一形状であり、第1の胴縁1aの後端部と、第2の胴縁1bの後端部もまた同一形状である。このため、第1の胴縁1aと、第2の胴縁1bとを連続的に長手方向に連結して、必要とする長さの一続きの胴縁を構成することができる。
【0027】
第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bは、図4に示すように、辺長A、Bと板厚tを有する断面形状が略L字形であって、任意の長さL1、L2に設定される長尺な部品である。第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bは、一例として一般構造用圧延鋼材等によって形成され、錆等による腐食を防ぐために、亜鉛メッキや、ポリエステル樹脂をベース塗料とする静電粉体塗装等が施されると好適である。なお、本明細書において、第1の胴縁1a及び第2の胴縁1bの各側辺は、フェンス100への取付姿勢に応じて、水平に配置される側辺を水平辺10a、10bと称し、垂直に配置される側辺を垂直辺20a、20bと称する。また、本実施形態において、水平辺10a、10bの辺長Aと垂直辺20a、20bの辺長Bは同じ長さであると好適である。以下の説明においては、図3に示すように、フェンス用胴縁1を、フェンス100の上縁に取付けた状態を基に説明を行う。
【0028】
図5(a)は、本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す胴縁の幅方向外側から見た正面図、図5(b)は、胴縁の高さ方向外側から見た平面図である。
【0029】
第1の胴縁1aの先端部には、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10a及び垂直辺20aが内側に窪むと共に、水平辺10aと略平行な水平面と、垂直辺20aと略平行な垂直面とからなる絞り部12が形成される。絞り部12の外側面と、内側への窪みが施されていない水平辺10a及び垂直辺20aの外側面とは、テーパ部11によって滑らかに接続されている。
【0030】
絞り部12の外側面は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、第2の胴縁1bの後端部の内側面と当接する。第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを連結させた際、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10aと水平辺10bが同一な仮想平面F内に、垂直辺20aと垂直辺20bが同一な仮想平面G内に位置していると、連結後のフェンス用胴縁1の直進性を保つことができ、美観を損ねることがない。そのため、絞り部12は、その外側面が、水平辺10a及び垂直辺20aの外側面よりも板厚tだけ、内側に窪むように形成されると好適である。
【0031】
絞り部12には、後述する第2の胴縁1bの第1の孔部31及び第2の孔部41と係合する連結用爪部13が、水平面と垂直面の両側に一つずつ形成される。なお、水平面に形成される連結用爪部13と、垂直面に形成される連結用爪部13は、長手方向において同じ位置に形成され、同一の形状を有する。
【0032】
連結用爪部13は、図5(a)、(b)に示すように、絞り部12から外側に向かって突出する立上り部14と、絞り部12の水平面または垂直面と略平行であると共に、立上り部14から長手方向に伸びる係合部15と、からなり、略L字形の形状に形成される。本実施形態において、連結用爪部13は、立上り部14が第1の胴縁1aの先端側に位置し、立上り部14から後端側に向かって伸びる係合部15を有する。また、連結用爪部13は、例えばプレス加工によって絞り部12の一部を剪断し、塑性変形させて成形される。
【0033】
立上り部14は、係合部15の内側を向く面を、絞り部12の外側面から、少なくとも板厚t以上であって、第2の胴縁1bの側辺を挟み込むのに必要な距離だけ離すように形成される。立上り部14は、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10aまたは垂直辺20aに対して傾斜するように形成されてもよく、水平辺10aまたは垂直辺20aに対して直角となるように形成されても構わない。
【0034】
係合部15は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、絞り部12の外側面と共に、第2の胴縁1bの後端部の水平辺10b及び垂直辺20bを保持する。また、係合部15は、長手方向に交差する方向における大きさ(以下、係合部15の幅という。)を一定にて、立上り部14から連続するように形成される。本明細書において、係合部15の幅の大きさを寸法Cとする。また、絞り部12の外側面から係合部15の外側面までの大きさ(以下、係合部15の高さという。)を寸法Eとする。
【0035】
第2の胴縁1bの後端部には、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10bに第1の孔部31と、垂直辺20bに第2の孔部41が形成される。
【0036】
第1の孔部31は、図5(b)に示すように、長手方向に伸びる略矩形に形成される貫通孔であって、第2の胴縁1bの幅方向の大きさ(以下、第1の孔部31の幅という。)が、少なくとも係合部15の幅の寸法Cよりも大きく、連結用爪部13を挿通できるように設定される。本明細書において、第1の孔部31の幅を寸法C’とする。また、第1の孔部31の幅の寸法C’は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結後のがたつきを抑えるため、連結時の第1の孔部31と連結用爪部13の幅方向の隙間が、なるべく小さくなるように形成されると好適である。また、第1の孔部31が形成される第2の胴縁1bの幅方向の位置については、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、垂直辺20aと垂直辺20bが同一な仮想平面内に位置するように、連結用爪部13と対応する位置であると好適である。
【0037】
第2の孔部41は、図5(a)に示すように、長手方向に伸びる略矩形に形成される貫通孔であって、第2の胴縁1bの高さ方向の大きさ(以下、第2の孔部41の幅という。)が、少なくとも係合部15の幅の寸法Cと、係合部15の高さの寸法Eを合計した大きさよりも大きなるように設定される。本明細書において、第2の孔部41の幅を寸法Dとする。第2の孔部41は、長手方向において、第1の孔部31と同じ位置に形成され、同一の長手方向の大きさを有する。また、第2の孔部41が形成される第2の胴縁1bの高さ方向の位置については、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、水平辺10aと水平辺10bが同一な仮想平面内に位置するように、連結用爪部13と対応する位置であると好適である。
【0038】
次に、本実施形態における、連結部以外のフェンス用胴縁1の形状について説明を行う。
【0039】
図2に示すように、第1の胴縁1aの垂直辺20a、及び第2の胴縁1bの垂直辺20bには、幅方向内側に向かって突出するネット用爪部51が、一定の間隔をあけて複数形成される。
【0040】
ネット用爪部51は、図6に示す断面図のように、垂直辺20a、20bの内側面から幅方向内側に向かって突出する立上り部52と、立上り部52から水平辺10a、10bの方向に向かって伸びる係合部53を有する。ネット用爪部51は、例えばプレス加工によって垂直辺20a、20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形される。
【0041】
立上り部52は、係合部53の幅方向外側を向く面を垂直辺20a、20bの内側面から、ネット3を取り付けるための鉄線54を架け渡すのに必要な距離だけ離すように形成される。本明細書において、係合部53の幅方向外側を向く面と垂直辺20a、20bの内側面との間の距離を寸法S1とする。したがって、寸法S1は、鉄線54の線径よりも大きくなるように形成される。また、立上り部52は、図6に示すように、垂直辺20a、20bに対して傾斜するように形成されてもよく、垂直辺20a、20bに対して直角となるように形成されても構わない。
【0042】
係合部53と水平辺10a、10bの内側面との間は、ネット3を取り付ける際、鉄線54が通過する。そのため、鉄線54への傷付きを防止することを目的として、図5(a)に示すように、係合部53は、先端部の形状が半円となるように形成されると好適である。本明細書において、係合部53の先端部から水平辺10a、10bの内側面までの距離を、図6に示すように、寸法S2とする。寸法S2は、ネット3を取り付けるための鉄線54の線径よりも大きく、鉄線54を通過させるのに十分な距離だけ離れるように形成される。
【0043】
このようなネット用爪部51を、フェンス用胴縁1の全長に渡って複数備えることで、フェンス100の上部及び下部において、ネット3を固定することができる。
【0044】
本実施形態において、ネット用爪部51は、プレス加工によって垂直辺20a、20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形されると説明したが、ネット用爪部51を備える方法はこれに限らず、第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bと同等の材料から形成され、溶接によって垂直辺20a、20bに取付けられても構わない。
【0045】
次に、上記のような特徴を備えるフェンス用胴縁1について、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを長手方向に連結する方法について説明する。
【0046】
図7(a)は、フェンス用胴縁1の連結準備段階を示す幅方向内側から見た背面図、図7(b)は、図7(a)のY1-Y1断面図、図8(a)は、垂直辺20a側の連結用爪部13を第2の孔部41に挿通させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図8(b)は、図8(a)のY2-Y2断面図、図9(a)は、水平辺10a側の連結用爪部13を第1の孔部31に挿通させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図9(b)は、図9(a)のY3-Y3断面図、図9(c)は、図9(a)のZ1-Z1断面図、図10(a)は、フェンス用胴縁1の連結を完了させた状態を示す幅方向内側から見た背面図、図10(b)は、図10(a)のZ2-Z2断面図である。
【0047】
まず、図7(a)、(b)に示すように、第1の胴縁1aの絞り部12が、第2の胴縁1bの後端部の内側に位置するように近づける。このとき、第1の胴縁1aまたは第2の胴縁1bのどちらか一方の部品は、既に立設されている支柱2に対して、図示しない止め金具や爪部によって仮固定されている。仮固定がされた第1の胴縁1aまたは第2の胴縁1bは、長手方向に移動可能であるが、連結作業中に地面に落下するおそれがない。
【0048】
次に、図8(b)に示すように、垂直辺20a側に設けられている連結用爪部13を、第2の孔部41に挿通させ、垂直辺20bの内側面を絞り部12の外側面に当接させる。このとき、水平辺10a側にある連結用爪部13は、第2の胴縁1bの水平辺10bの内側面よりも内側に位置している。
【0049】
続いて、図9(a)、(b)に示すように、水平辺10a側に設けられている連結用爪部13を、第1の孔部31に挿通させ、水平辺10bの内側面を絞り部12の外側面に当接させる。前述の通り、第2の孔部41の幅の寸法Dは、少なくとも連結用爪部13の幅の寸法Cと、係合部15の高さの寸法Eと、を合計した大きさよりも大きく形成されているため、第2の孔部41に連結用爪部13を挿通させた後であっても、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを、高さ方向に相対的に近づけることが可能となる。
【0050】
この後、図10(a)に示すように、第1の胴縁1aの絞り部12と、第2の胴縁1bの後端部が重なり合う領域を減少させる方向に、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを相対的に長手方向に移動させる。この時、第2の胴縁1bの後端部は、図10(b)に示すように、第1の胴縁1aの係合部15と絞り部12との隙間に挟まっており、連結用爪部13は、第1の孔部31及び第2の孔部41と係合する。
【0051】
以上のように、本実施形態においては、水平辺10a、10b、垂直辺20a、20bの2つの側辺によって、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを拘束することにより、幅方向と高さ方向の両方向へのがたつきを防止し、強固にフェンス用胴縁1を連結することができる。また、本発明に係るフェンス用胴縁1は、従来の胴縁を連結する際に必要とされていた継手ピースやボルト及びナット等の部品を使用することなく、連結作業についても工具を使わずに行うことができるため、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを容易に連結し、かつ分解についても容易に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、絞り部12の水平面及び垂直面に形成される連結用爪部13について、係合部15は、水平面または垂直面と略平行であると共に、立上り部14から第1の胴縁1aの後端側に向かって伸びるように形成される場合について説明を行った。しかしながら、水平面または垂直面に形成される連結用爪部13のいずれか一方については、係合部15の形状は上記に限らず、図11(a)に示す連結用爪部13の第1の変形例のように、係合部15を水平面または垂直面に対して傾斜させ、係合部15の先端部を、高さ方向外側または幅方向外側に向けて折り返すように形成しても構わない。また、図11(b)に示す連結用爪部13の第2の変形例のように、係合部15の一部にエンボス加工を施し、水平面または垂直面と係合部15のエンボス加工を施した部分との距離が小さくなるようにしても構わない。なお、これらの連結用爪部13の変形例において、水平面または垂直面と係合部15との間の距離が最小となる部分は、絞り部12の板厚tと同等、若しくは、板厚tに対して僅かに小さくなるように形成されると好適である。また、水平面または垂直面と係合部15の先端部との間の距離は、絞り部12の板厚tよりも大きくなるように形成されると好適である。このように、水平面または垂直面と係合部15との間の距離を小さくすることで、絞り部12の側辺をより強固に保持することができ、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bをより強固に連結することができる。また、水平面または垂直面と係合部15の先端部との間の距離を絞り部12の板厚tよりも大きくすることで、連結用爪部13は、容易に第1の孔部31または第2の孔部41と係合することができる。なお、本実施形態において、水平面に形成される連結用爪部13と垂直面に形成される連結用爪部13の両方について、このような変形例を適応すると、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを連結させる際、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを相対的に長手方向に移動させるために必要となる力が過大となってしまうおそれがある。そのため、水平面または垂直面に形成される連結用爪部13のいずれか一方についてのみ、連結用爪部13の第1の変形例または第2の変形例を適応させると好適である。
【0053】
また、本実施形態においては、連結用爪部13は、第1の胴縁1aの絞り部12から外側に向かって突出し、第1の孔部31及び第2の孔部41は、第2の胴縁1bの後端部に形成される場合について説明を行ったが、連結用爪部13、第1の孔部31及び第2の孔部41の位置はこれに限らず、連結用爪部13が、第2の胴縁1bの後端部の内側面に備えられ、内側に向かって突出し、第1の孔部31及び第2の孔部41が、第1の胴縁1aの絞り部12に形成されていても構わない。また、上記では、係合部15は、立上り部14から後端側に向かって伸びる場合について説明を行ったが、立上り部14と係合部15の位置関係はこれに限らず、立上り部14が、連結用爪部13の後端側に位置し、係合部15が、立上り部14から先端側に向かって伸びるように形成されていても構わない。この場合、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bは、絞り部12と第2の胴縁1bの後端部とが重なり合う領域を増加させる方向に、相対的に長手方向へ移動させて連結させる。また、上記では、連結用爪部13は、プレス加工によって絞り部12の面の一部を剪断し、塑性変形させて成形する場合について説明を行ったが、連結用爪部13は、溶接によって絞り部12に取り付けても構わない。また、テーパ部11は、水平辺10a、10b及び垂直辺20a、20bに対して傾斜するように形成され、絞り部12に接続する場合について説明を行ったが、テーパ部11は、水平辺10a、10b及び垂直辺20a、20bに対して直角となるような段差状に形成されても構わない。また、水平辺10a、10bの辺長Aと垂直辺20a、20bの辺長Bは、同じ長さである場合について説明を行ったが、辺長Aと辺長Bは異なる長さであっても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0054】
1 フェンス用胴縁
1a 第1の胴縁
1b 第2の胴縁
2 支柱
2a 主柱
2b 端柱
3 ネット
10a、10b 水平辺
11 テーパ部
12 絞り部
13 連結用爪部
14 立上り部
15 係合部
20a、20b 垂直辺
31 第1の孔部
41 第2の孔部
51 ネット用爪部
52 立上り部
53 係合部
54 鉄線
100 フェンス
図1
図2
図3
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図5
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