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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100461
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】フェンス用胴縁
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20230711BHJP
   E04H 17/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
E04H17/16 105Z
E04H17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001167
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】矢野 凌佑
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142CC14
2E142CC19
(57)【要約】
【課題】胴縁の連結や分解を容易に行うことができ、連結の際に必要とされていた継手ピースやボルトナット等の部品を削減することができるフェンス用胴縁を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、第1の胴縁の一方の端部には、水平辺と垂直辺が内側に窪むと共に、水平辺と略平行な水平面と、垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、第1の胴縁と第2の胴縁は、第1の胴縁の絞り部が、第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、絞り部又は他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、絞り部又は他方の端部のいずれか他方に形成されると共に複数の連結用爪部と係合する複数の貫通孔によって長手方向に連結され、複数の連結用爪部は、長手方向に離れると共に一列に並んで形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、
前記第1の胴縁の一方の端部には、前記水平辺と前記垂直辺が内側に窪むと共に、前記水平辺と略平行な水平面と、前記垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、
前記第1の胴縁と前記第2の胴縁は、
前記第1の胴縁の前記絞り部が、前記第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、
前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか他方に形成されると共に前記複数の連結用爪部と係合する複数の貫通孔によって長手方向に連結され、
前記複数の連結用爪部は、長手方向に沿って一列に並んで形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項2】
請求項1に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁の一方の端部と、前記第2の胴縁の一方の端部は、同一形状であり、
前記第1の胴縁の他方の端部と、前記第2の胴縁の他方の端部は、同一形状であることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項3】
請求項1または2に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁と前記第2の胴縁の連結は、前記複数の連結用爪部と前記複数の貫通孔の係合のみで連結されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記第1の胴縁の水平辺の外側面と、前記第2の胴縁の水平辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置し、
前記第1の胴縁の垂直辺の外側面と、前記第2の胴縁の垂直辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置するように、連結されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の一方の端部に向かって延びる係合部を有し、
前記複数の貫通孔は、前記垂直面に形成され、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の他方の端部に向かって延びる係合部を有し、
前記複数の貫通孔は、前記垂直面に形成され、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の他方の端部に向かって延びる係合部を有し、
前記複数の貫通孔は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺の前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載するフェンス用胴縁において、
前記複数の連結用爪部は、前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の一方の端部に向かって延びる係合部を有し、
前記複数の貫通孔は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺の前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されることを特徴とするフェンス用胴縁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス等に用いられる胴縁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、敷地境界部に沿って取り付けられるフェンスは、間隔をあけて地面に立設した支柱の間に、アングル材等で形成された複数の胴縁を掛け渡し、胴縁にネットを張ることで構成される。また、1本の胴縁の全長が、フェンスの設置長さよりも短い場合には、複数の胴縁を長手方向に連結させて、フェンスの構築が行われる。
【0003】
従来の胴縁は、図12に示すように、隣り合う2本の胴縁の端面を突き合わせ、胴縁の側辺よりも辺長の短い側辺を有する継手ピースを介し、複数のボルト及びナットを締め付けて連結されている。
【0004】
また、特許文献1には、胴縁の連結作業において、隣り合う2本の胴縁のボルト孔を合わせる作業の簡便化を図ることができ、連結後の胴縁の直線性と、がたつきの無い締結性を確保することができるフェンス用胴縁等のアングル材接続構造について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2878981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すフェンス用胴縁等のアングル材接続構造は、一方のアングル材に設けられた係合用折曲片を、他方のアングル材に設けられた抜き孔に係合させることで、フェンスを設置する工事の手間を軽減することができ、尚且つ、連結に要するボルト本数の節約を可能とすることができる。しかしながら、特許文献1に示すフェンス用胴縁等のアングル材接続構造は、ボルト本数の節約ができるものの、いぜんとして、連結部にボルト及びナットが使用され、工具を用いた連結作業を必要としており、更なる作業の簡便化が求められていた。
【0007】
また、一時的に設置され、撤去が予定されているような仮設のフェンスにおいては、組立作業の簡便さのみならず、分解作業の簡便さについても要求されている。
【0008】
そこで、本発明は上記の事項に鑑みてなされたものであり、継手ピースやボルトナットのような締結用部品を使用せず、胴縁のみで連結を可能とし、フェンスの組立や分解を容易に行うことのできるフェンス用胴縁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るフェンス用胴縁は、長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第1の胴縁、及び長手方向に沿って延びる水平辺と垂直辺を有する第2の胴縁を備え、前記第1の胴縁の一方の端部には、前記水平辺と前記垂直辺が内側に窪むと共に、前記水平辺と略平行な水平面と、前記垂直辺と略平行な垂直面とからなる絞り部が形成され、前記第1の胴縁と前記第2の胴縁は、前記第1の胴縁の前記絞り部が、前記第2の胴縁の他方の端部の内側に重なると共に、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか一方に形成された複数の連結用爪部と、前記絞り部又は前記他方の端部のいずれか他方に形成されると共に前記複数の連結用爪部と係合する複数の貫通孔によって長手方向に連結され、前記複数の連結用爪部は、長手方向に沿って一列に並んで形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁の一方の端部と、前記第2の胴縁の一方の端部は、同一形状であり、前記第1の胴縁の他方の端部と、前記第2の胴縁の他方の端部は、同一形状であると好適である。
【0012】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁と前記第2の胴縁の連結は、前記複数の連結用爪部と前記複数の貫通孔の係合のみで連結されると好適である。
【0013】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記第1の胴縁の水平辺の外側面と、前記第2の胴縁の水平辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置し、前記第1の胴縁の垂直辺の外側面と、前記第2の胴縁の垂直辺の外側面とが、同一の仮想平面内に位置するように、連結されると好適である。
【0014】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の一方の端部に向かって延びる係合部を有し、前記複数の貫通孔は、前記垂直面に形成され、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されると好適である。
【0015】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺から内側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第2の胴縁の他方の端部に向かって延びる係合部を有し、前記複数の貫通孔は、前記垂直面に形成され、前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されると好適である。
【0016】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の他方の端部に向かって延びる係合部を有し、前記複数の貫通孔は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺の前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されると好適である。
【0017】
本発明に係るフェンス用胴縁において、前記複数の連結用爪部は、前記垂直面から外側に向かって突出する立上り部と、前記立上り部から前記第1の胴縁の一方の端部に向かって延びる係合部を有し、前記複数の貫通孔は、前記第2の胴縁の他方の端部に形成され、前記垂直辺の前記複数の連結用爪部と対応する位置にそれぞれ形成されると好適である。
【0018】
上記発明の概要は、本発明に必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、胴縁の連結や分解を容易に行うことができ、連結の際に必要とされていた継手ピースやボルトナット等の部品を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るフェンス用胴縁を用いて設置されたフェンスの一形態を示す参考図
図2】本実施形態に係る第1の胴縁、及び第2の胴縁の全体を示す参考斜視図
図3】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁が連結され、フェンス下縁において使用される状態を示す斜視図
図4】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す斜視図
図5】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図5(a)は、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す胴縁の幅方向内側から見た正面図、図5(b)は、胴縁の高さ方向内側から見た平面図
図6図5(a)のX-X断面図
図7】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、連結準備段階の状態を示す高さ方向内側から見た平面図
図8】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、連結用爪部を貫通孔に挿通させた状態を示す高さ方向内側から見た平面図
図9】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図9(a)は、フェンス用胴縁の連結を完了させた状態を示す胴縁の幅方向内側から見た正面図、図9(b)は、胴縁の高さ方向内側から見た平面図
図10】本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、図10(a)は、連結用爪部の第1の変形例を示す高さ方向内側から見た平面図、図10(b)は、連結用爪部の第2の変形例を示す高さ方向内側から見た平面図
図11】本実施形態に係るフェンス用胴縁にネットを固定する方法を示す参考図
図12】従来のフェンス用胴縁の連結方法を示す参考斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、本実施形態に係るフェンス用胴縁を用いて設置されたフェンスの一形態を示す参考図、図2は、本実施形態に係る第1の胴縁、及び第2の胴縁の全体を示す参考斜視図である。なお、本明細書において、長手方向における先端側、後端側とは、図2に示す矢印の方向と向きと定義する。また、本明細書において、高さ方向、幅方向、及びフェンス用胴縁の内側、外側とは、図2に示す矢印の方向と向きと定義する。また、本明細書において、フェンス用胴縁を示す正面図及び平面図とは、図2に示す矢印の方向から見た図と定義する。
【0023】
本実施形態に係るフェンス用胴縁1は、図1に示すように、フェンス100の上部と下部の縁となる高さにおいて、間隔をあけて地面に立設した支柱2の間に架設され、ネット3を固定する。
【0024】
支柱2には、一例として図1に示すように、支柱の両側にネット3を備え、断面形状が略V字形の主柱2aと、支柱の片側にネット3を備え、断面形状が略L字形の端柱2bとがある。主柱2a、及び端柱2bは、共に、一例として一般構造用圧延鋼材等によって形成される。また、主柱2a、及び端柱2bには、フェンス100の上部と下部の縁となる高さにおいて、ボルトを貫通する貫通孔が設けられており、フェンス用胴縁1は、当該貫通孔を貫通するボルトと、図示しない留め金具によって、支柱2に架設される。
【0025】
ネット3は、一例として、鉄線からなり、鉄線を山が連なるように加工し、編み合わせて菱形の網目を形成した金網である。網目の接合点には溶接等による固定がないため、衝撃吸収性を備える。ネット3は、図11に示すように、上部と下部の縁となる部分に鉄線54が通され、後述するフェンス用胴縁1のネット用爪部51に、鉄線54を引っ掛けることにより取付けられる。
【0026】
フェンス用胴縁1は、図3に示すように、隣り合うフェンス用胴縁である第1の胴縁1aの先端部(特許請求の範囲における、一方の端部)と、第2の胴縁1bの後端部(特許請求の範囲における、他方の端部)を長手方向に連結することにより、フェンス100の上部と下部の縁を構成する。また、図4は、第1の胴縁1aと、第2の胴縁1bとを連結する前の状態を示した斜視図である。本実施形態において、第1の胴縁1aの先端部と、第2の胴縁1bの先端部は同一形状であり、第1の胴縁1aの後端部と、第2の胴縁1bの後端部もまた同一形状である。このため、第1の胴縁1aと、第2の胴縁1bとを連続的に長手方向に連結して、必要とする長さの一続きの胴縁を構成することができる。
【0027】
第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bは、図4に示すように、辺長A、Bと板厚tを有する断面形状が略L字形であって、任意の長さL1、L2に設定される長尺な部品である。第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bは、一例として一般構造用圧延鋼材等によって形成され、錆等による腐食を防ぐために、亜鉛メッキや、ポリエステル樹脂をベース塗料とする静電粉体塗装等が施されると好適である。なお、本明細書において、第1の胴縁1a及び第2の胴縁1bの各側辺は、フェンス100への取付姿勢に応じて、水平に配置される側辺を水平辺10a、10bと称し、垂直に配置される側辺を垂直辺20a、20bと称する。また、本実施形態において、水平辺10a、10bの辺長Aと垂直辺20a、20bの辺長Bは同じ長さであると好適である。以下の説明においては、図3に示すように、フェンス用胴縁1を、フェンス100の下縁に取付けた状態を基に説明を行う。
【0028】
図5(a)は、本実施形態に係るフェンス用胴縁であって、隣り合う胴縁を連結する前の状態を示す胴縁の幅方向内側から見た正面図、図5(b)は、胴縁の高さ方向内側から見た平面図である。
【0029】
第1の胴縁1aの先端部には、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10a及び垂直辺20aが内側に窪むと共に、水平辺10aと略平行な水平面と、垂直辺20aと略平行な垂直面とからなる絞り部12が形成される。絞り部12の外側面と、内側への窪みが施されていない水平辺10a及び垂直辺20aの外側面とは、テーパ部11によって滑らかに接続されている。
【0030】
絞り部12の外側面は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、第2の胴縁1bの後端部の内側面と当接する。第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを連結させた際、図5(a)、(b)に示すように、水平辺10aと水平辺10bが同一な仮想平面F内に、垂直辺20aと垂直辺20bが同一な仮想平面G内に位置していると、連結後のフェンス用胴縁1の直進性を保つことができ、美観を損ねることがない。そのため、絞り部12は、その外側面が、水平辺10a及び垂直辺20aの外側面よりも板厚tだけ、内側に窪むように形成されると好適である。
【0031】
絞り部12の垂直面には、図5(a)に示すように、貫通孔13が、長手方向に間隔をあけて複数形成される。
【0032】
貫通孔13は、図5(a)に示すように、半円と半円の間を、円の直径と同じ辺長(以下、貫通孔13の幅という。)で長手方向に延びる長方形で繋げた長孔に形成される。貫通孔13は、後述する連結用爪部21と係合する貫通孔であって、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、連結用爪部21に対応する位置に形成される。なお、本明細書において、貫通孔13の長手方向の大きさを寸法C1、貫通孔13の幅の大きさを寸法D1とする。
【0033】
第2の胴縁1bの後端部には、図5(a)、(b)に示すように、貫通孔13と係合する連結用爪部21が、長手方向に間隔をあけて複数形成される。
【0034】
連結用爪部21は、図5(b)に示すように、垂直辺20bの内側面から幅方向内側に向かって突出する立上り部22と、垂直辺20bと略平行であると共に、立上り部22から第2の胴縁1bの先端側に向かって延びる係合部23を有する。連結用爪部21は、例えばプレス加工によって垂直辺20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形される。
【0035】
立上り部22は、垂直辺20bの内側面と係合部23の幅方向外側を向く面との間を、少なくとも板厚t以上であって、絞り部12の側辺を挟み込むのに必要な距離だけ離すように形成される。立上り部22は、図5(b)に示すように、垂直辺20bに対して傾斜するように形成されてもよく、垂直辺20bに対して直角となるように形成されても構わない。なお、本明細書において、垂直辺20bの内側面と係合部23の幅方向外側を向く面との間の距離を寸法S1とする。
【0036】
係合部23は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの連結時において、垂直辺20bの内側面と共に、絞り部12の側辺を保持する。係合部23は、図5(a)に示す正面図において、先端部の形状が半円となるように形成される。本明細書において、係合部23の先端部から立上り部22までの長手方向の大きさを、図5(b)に示すように、寸法C2とする。
【0037】
係合部23の長手方向の寸法C2は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを連結させ、フェンス100の胴縁として使用する際、振動等によって絞り部12の側辺を保持する係合部23が外れてしまわない程度に十分な長さに設定される。また、係合部23の長手方向の寸法C2は、貫通孔13の長手方向の寸法C1よりも小さくなるように設定される。
【0038】
立上り部22と係合部23は、図5(a)に示す正面図において、立上り部22の垂直辺20bとの接続部から、係合部23の先端部にかけて、緩やかに幅が狭くなるように形成される。本明細書において、図5(a)に示す正面図において、立上り部22の垂直辺20bとの接続部の高さ方向の大きさ(以下、立上り部22の幅という。)を寸法D2、係合部23の先端側の高さ方向の大きさ(以下、係合部23の幅という。)を寸法D3とする。
【0039】
立上り部22の幅の寸法D2は、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを連結した際に十分な強度が保てる大きさに設定され、かつ貫通孔13の幅の寸法D1と同等、または、わずかに大きく設定される。また、係合部23の幅の寸法D3は、貫通孔13を通過できるように、貫通孔13の幅の寸法D1よりも小さく設定される。
【0040】
本実施形態において、連結用爪部21は、プレス加工によって垂直辺20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形されると説明したが、連結用爪部21を備える方法はこれに限らず、連結用爪部21は、第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bと同等の材料から形成され、溶接によって垂直辺20bに取付けられても構わない。また、立上り部22と係合部23の形状は、正面図において、立上り部22の幅の寸法D2から係合部23の幅の寸法D3にかけて緩やかに狭くなるように形成されると説明したが、立上り部22と係合部23の形状はこれに限らず、貫通孔13の幅の寸法D1よりも小さく、一定の寸法であっても構わない。
【0041】
次に、本実施形態における、連結部以外のフェンス用胴縁1の形状について説明を行う。
【0042】
図2に示すように、第1の胴縁1aの垂直辺20a、及び第2の胴縁1bの垂直辺20bには、幅方向内側に向かって突出するネット用爪部51が、一定の間隔をあけて複数形成される。
【0043】
ネット用爪部51は、図6に示す断面図のように、垂直辺20a、20bの内側面から幅方向内側に向かって突出する立上り部52と、立上り部52から水平辺10a、10bの方向に向かって延びる係合部53を有する。ネット用爪部51は、例えばプレス加工によって垂直辺20a、20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形される。
【0044】
立上り部52は、係合部53の幅方向外側を向く面を垂直辺20a、20bの内側面から、ネット3を取り付けるための鉄線54を架け渡すのに必要な距離だけ離すように形成される。本明細書において、係合部53の幅方向外側を向く面と垂直辺20a、20bの内側面との間の距離を寸法S2とする。寸法S2は、鉄線54の線径よりも大きくなるように形成される。また、立上り部52は、図6に示すように、垂直辺20a、20bに対して傾斜するように形成されてもよく、垂直辺20a、20bに対して直角となるように形成されても構わない。
【0045】
係合部53と水平辺10a、10bの内側面との間は、ネット3を取り付ける際、鉄線54が通過する。そのため、鉄線54への傷付きを防止することを目的として、図5(a)に示すように、係合部53は、先端部の形状が半円となるように形成されると好適である。本明細書において、係合部53の先端部から水平辺10a、10bの内側面までの距離を、図6に示すように、寸法S3とする。寸法S3は、ネット3を取り付けるための鉄線54の線径よりも大きく、鉄線54を通過させるのに十分な距離だけ離れるように形成される。
【0046】
このようなネット用爪部51を、フェンス用胴縁1の全長に渡って複数備えることで、フェンス100の上部及び下部において、ネット3を固定することができる。
【0047】
本実施形態において、ネット用爪部51は、プレス加工によって垂直辺20a、20bの一部を剪断し、塑性変形させて成形されると説明したが、ネット用爪部51を備える方法はこれに限らず、第1の胴縁1a、及び第2の胴縁1bと同等の材料から形成され、溶接によって垂直辺20a、20bに取付けられても構わない。また、連結用爪部21とネット用爪部51は、同一の形状に形成されると製造コストを抑えることができ好適である。
【0048】
次に、上記のような特徴を備えるフェンス用胴縁1について、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを長手方向に連結する方法について説明する。
【0049】
図7は、フェンス用胴縁1の連結準備段階の状態を示す高さ方向内側から見た平面図、図8は、フェンス用胴縁1の連結過程であって、連結用爪部21を貫通孔13に挿通させた状態を示す高さ方向内側から見た平面図、図9は、フェンス用胴縁1の連結を完了させた状態を示し、図9(a)は、幅方向内側から見た正面図、図9(b)は、高さ方向内側から見た平面図である。
【0050】
まず、図7に示すように、第1の胴縁1aの絞り部12が、第2の胴縁1bの後端部の内側に位置するように近づける。このとき、第1の胴縁1aまたは第2の胴縁1bのどちらか一方の胴縁は、既に立設されている支柱2に対して、図示しない止め金具や爪部によって仮固定されている。仮固定がされた第1の胴縁1aまたは第2の胴縁1bは、長手方向に移動可能であるが、連結作業中に地面に落下するおそれはない。
【0051】
次に、図8に示すように、第2の胴縁1bの連結用爪部21を第1の胴縁1aの貫通孔13に挿通させる。またこの時、第1の胴縁1aのテーパ部11と第2の胴縁1bの後端部とが干渉しないように、テーパ部11の位置及び連結用爪部21の長手方向の位置が設定されていると好適である。
【0052】
続いて、図9(a)、(b)に示すように、第1の胴縁1aの絞り部12と、第2の胴縁1bの後端部が重なり合う領域を減少させる方向に、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを相対的に長手方向に移動させる。この時、第2の胴縁1bの垂直辺20bに対して傾斜して形成される立上り部22は、第1の胴縁1aの貫通孔13の縁を案内し、第1の胴縁1aの絞り部12の外側面は、第2の胴縁1bの垂直辺20bの内側面と引き合うように接近する。このようにして、図9(b)に示すように、第1の胴縁1aの絞り部12の垂直面は、第2の胴縁1bの垂直辺20bの内側面と係合部23の幅方向外側を向く面との間に挟まり、連結用爪部21は、貫通孔13と係合する。また、図9(a)に示すように、立上り部22の幅の寸法D2は、貫通孔13の幅の寸法D1と同等、または、わずかに大きく設定されているため、立上り部22は貫通孔13に噛み込むように固定される。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る第1の胴縁1aと第2の胴縁1bは、複数の連結用爪部21と複数の貫通孔13の係合のみによって容易に連結することができる。また、複数の連結用爪部21と複数の貫通孔13は、長手方向に沿って一列に並んで形成されているため、連結後の第1の胴縁1aと第2の胴縁1bの相対的な振れを防止し、直進性の高いフェンス用胴縁1を構築することができる。また、貫通孔13は絞り部12の垂直面に設けられ、連結用爪部21は垂直辺20bに設けられているため、絞り部12の水平面や、水平辺10bに設けられる場合と比較し、連結箇所に雨水が溜まり難い構造とすることができる。また、立上り部22は貫通孔13に噛み込むように固定されるため、連結後の第1の胴縁1aと第2の胴縁1bのがたつきを防止することができる。また、連結用爪部21とネット用爪部51を同じ形状にすることにより、第1の胴縁1a及び第2の胴縁1bの製造コストを下げることができる。また、本発明に係るフェンス用胴縁1は、従来の胴縁を連結する際に必要とされていた継手ピースやボルトナット等の部品を使用することなく、連結作業についても工具を使わずに行うことができるため、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bを容易に連結し、かつ分解についても容易に行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、連結用爪部21の係合部23は、垂直辺20bと略平行であると共に、立上り部22から第2の胴縁1bの先端側に向かって延びるように形成される場合について説明を行ったが、係合部23の形状はこれに限らず、図10(a)に示す連結用爪部21の第1の変形例のように、係合部23を垂直辺20bに対して傾斜させて寸法S1を小さくし、係合部23の先端部を、幅方向内側に向けて折り返すように形成しても構わない。また、図10(b)に示す連結用爪部21の第2の変形例のように、係合部23の一部にエンボス加工を施し、寸法S1を部分的に小さくなるようにしても構わない。なお、これらの連結用爪部21の第1の変形例及び第2の変形例において、寸法S1は、絞り部12の板厚tと同等、若しくは、板厚tに対して僅かに小さくなるように形成されると好適である。また、垂直辺20bの内側面と係合部23の先端部との間の距離は、絞り部12の板厚tよりも大きくなるように形成されると好適である。このように、垂直辺20bの内側面と係合部23との間の距離である寸法S1を小さくすることで、絞り部12の側辺をより強固に保持することができ、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bをより強固に連結することができる。また、垂直辺20bの内側面と係合部23の先端部との間の距離を絞り部12の板厚tよりも大きくすることで、連結用爪部21は、容易に貫通孔13と係合することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、貫通孔13は、第1の胴縁1aの絞り部12に形成され、連結用爪部21は、第2の胴縁1bの後端部から幅方向内側に向かって突出する場合について説明を行ったが、貫通孔13及び連結用爪部21の位置はこれに限らず、貫通孔13が、第2の胴縁1bの後端部に備えられ、連結用爪部21が、第1の胴縁1aの絞り部12の垂直面から幅方向外側に向かって形成されていても構わない。また、上記では、係合部23は、立上り部22から第2の胴縁1bの先端側に向かって延びる場合について説明を行ったが、立上り部22と係合部23の位置関係はこれに限らず、立上り部22が、連結用爪部21の先端側に位置し、係合部23が、立上り部22から後端側に向かって延びるように形成されていても構わない。この場合、第1の胴縁1aと第2の胴縁1bは、絞り部12と第2の胴縁1bの後端部とが重なり合う領域を増加させる方向に、相対的に長手方向へ移動させて連結させる。また、テーパ部11は、水平辺10a、10b及び垂直辺20a、20bに対して傾斜するように形成され、絞り部12に接続する場合について説明を行ったが、テーパ部11は、水平辺10a、10b及び垂直辺20a、20bに対して直角となるような段差状に形成されても構わない。また、水平辺10a、10bの辺長Aと垂直辺20a、20bの辺長Bは、同じ長さである場合について説明を行ったが、辺長Aと辺長Bは異なる長さであっても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 フェンス用胴縁
1a 第1の胴縁
1b 第2の胴縁
2 支柱
2a 主柱
2b 端柱
3 ネット
10a、10b 水平辺
11 テーパ部
12 絞り部
13 貫通孔
20a、20b 垂直辺
21 連結用爪部
22 立上り部
23 係合部
51 ネット用爪部
52 立上り部
53 係合部
54 鉄線
100 フェンス
図1
図2
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図7
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図12