(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100475
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20230711BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20230711BHJP
H01R 12/72 20110101ALI20230711BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R13/6581
H01R12/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001185
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】前田 吉朗
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC21
5E021FC29
5E021FC36
5E021LA06
5E021LA10
5E223AB28
5E223AB59
5E223AB65
5E223AB67
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB28
5E223CB31
5E223CB38
5E223CB47
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223EA03
5E223EA31
5E223EB03
5E223EB15
5E223EB22
(57)【要約】
【課題】コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる電気コネクタおよび電気コネクタセットを提供する。
【解決手段】電気絶縁性の保持部材21と、保持部材21に保持される信号端子25およびオスグランド端子22とを備え、信号端子25の隣にはオスグランド端子22が配置され、オスグランド端子22は、側面視で突出する枠部28と、枠部28の内側に形成される開口部27とを有し、オスグランド端子22は、開口部27を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部30,31,32を有し、遮蔽部30,31,32は、開口部27に位置するとともに、開口部27に配設される保持部材21で保持される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の保持部材と、
前記保持部材に保持される信号端子およびオスグランド端子とを備え、
前記信号端子の隣には前記オスグランド端子が配置され、
前記オスグランド端子は、側面視で突出する枠部と、前記枠部の内側に形成される開口部とを有し、
前記オスグランド端子は、前記開口部を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記開口部に位置するとともに、前記開口部に配設される前記保持部材で保持されることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記遮蔽部として、前記枠部の横接続部から、側面視で前記枠部の突出方向と逆方向に突出する突出部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記突出部は、第1内側縦延在部および第2内側縦延在部を有し、
前記第1内側縦延在部は、前記第2内側縦延在部に向けて突出する第1内突起部を有するとともに、前記第2内側縦延在部は、前記第1内側縦延在部に向けて突出する第2内突起部を有し、
前記第1内突起部および前記第2内突起部が当接することを特徴とする、請求項2または請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1内側縦延在部は、対面する前記枠部に向けて突出する第1外突起部を有するとともに、前記第2内側縦延在部は、対面する前記枠部に向けて突出する第2外突起部を有し、
前記第1外突起部および前記第2外突起部の少なくとも一方が、前記枠部に当接することを特徴とする、請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記突出部の頂部は、グランド電位に電気的に接続されることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記遮蔽部として、前記枠部とは別体である導電性部材を備え、
前記導電性部材が前記枠部の内側面に当接することを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記導電性部材は、間隙を備えることにより不連続な形状を有し、前記間隙によって前記導電性部材が弾性的に変形可能であることを特徴とする、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記導電性部材として、側面視で、前記開口部を面状に覆う覆い部を有することを特徴とする、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記導電性部材の頂部は、グランド電位に電気的に接続されることを特徴とする、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記信号端子の形状と前記オスグランド端子の形状は、同じであることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の前記電気コネクタと、前記電気コネクタの前記オスグランド端子に対して挿抜可能に係合するメスグランド端子を有する相手方電気コネクタとを備えることを特徴とする、電気コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、複数のシグナルコンタクトが配列される中央部の位置にグランドコンタクトを配置するコネクタを開示する。特許文献1におけるグランドコンタクトは、P字形状を有するとともに、その中央において貫通した開口部を有する。特許文献2は、端子に設けられる開口部によってインピーダンスを調整するコネクタを開示する。特許文献2における端子の開口部は、端子の末端部と接触部との間に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-3393号公報
【特許文献2】特許6924222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
隣合う信号端子間で信号が干渉することを防止するために、隣合う信号端子間の離間距離を大きくすると、コネクタが大型化するという問題がある。また、隣合う信号端子の間にU字形状のグランド端子を配置しても、U字形状のグランド端子における開口部によって、十分なアイソレーション特性が得られないという問題がある。また、側面視で、信号端子の形状とグランド端子の形状が異なる場合、隣合う信号端子同士が対面することによって、十分なアイソレーション特性が得られないという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる電気コネクタおよび該電気コネクタを備える電気コネクタセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る電気コネクタは、
電気絶縁性の保持部材と、
前記保持部材に保持される信号端子およびオスグランド端子とを備え、
前記信号端子の隣には前記オスグランド端子が配置され、
前記オスグランド端子は、側面視で突出する枠部と、前記枠部の内側に形成される開口部とを有し、
前記オスグランド端子は、前記開口部を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記開口部に位置するとともに、前記開口部に配設される前記保持部材で保持される。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、オスグランド端子の枠部に形成される開口部が、保持部材で保持される遮蔽部によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る電気コネクタセットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気コネクタセットを構成するオス型の電気コネクタの斜視図である。
【
図3】
図2に示したオス型の電気コネクタの平面図である。
【
図4】
図2に示したオス型の電気コネクタにおける第1実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図5】
図3に示したオス型の電気コネクタのV-V線に沿った断面図である。
【
図6】第2実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図7】第3実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図8】第4実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図9】第5実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図10】第6実施例に係るオスグランド端子を含むオス型の電気コネクタの断面図である。
【
図11】第6実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【
図12】第7実施例に係るオスグランド端子の斜視図である。
【
図13】第8実施例に係るオスグランド端子を含むオス型の電気コネクタの断面図である。
【
図14】第8実施例に係るオスグランド端子の斜視図である。
【
図15】第9実施例に係るオスグランド端子の斜視図である。
【
図16】第10実施例に係るオスグランド端子を含むオス型の電気コネクタの断面図である。
【
図17】第10実施例に係るオスグランド端子とメスグランド端子との係合を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る電気コネクタ20および該電気コネクタ20を備える電気コネクタセット1についての実施の形態を説明する。各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。この明細書においては、オス型の電気コネクタ20のオス保持部材21の長手方向、短手方向および高さ方向のそれぞれを、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向として規定している。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電気コネクタセット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す電気コネクタセット1を構成するオス型の電気コネクタ20の斜視図である。
図3は、
図2に示したオス型の電気コネクタ20の平面図である。
図4は、
図2に示したオス型の電気コネクタ20における第1実施例に係るオスグランド端子22の斜視図である。
図5は、
図3に示したオス型の電気コネクタ20のV-V線に沿った断面図である。
【0011】
〔電気コネクタセット〕
電気コネクタセット1は、
図1に示すように、メス型の電気コネクタ10と、オス型の電気コネクタ20とを備える。電気コネクタセット1は、オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に対面させた状態でオス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に向けて高さ方向(挿抜方向)に移動させることによって、メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が互いに嵌合するように構成されている。なお、この開示では、オス型の電気コネクタ20の全体サイズが、メス型の電気コネクタ10の全体サイズよりも小さくて、オス型の電気コネクタ20がメス型の電気コネクタ10の中に収容されて嵌まり込むように構成される。
【0012】
〔電気コネクタセット〕
電気コネクタセット1は、
図1に示すように、メス型の電気コネクタ10と、オス型の電気コネクタ20とを備える。電気コネクタセット1は、オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に対面させた状態でオス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に向けて高さ方向(挿抜方向)に移動させることによって、メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が互いに嵌合するように構成されている。
【0013】
〔メス型の電気コネクタ〕
図1を参照しながら、メス型の電気コネクタ10の構成を説明する。
【0014】
メス型の電気コネクタ10は、メス保持部材(保持部材)11と、メスグランド端子(内部端子)12と、メス信号端子(内部端子)15と、メス外部端子(外部端子)16とを有する。メス保持部材11としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。メス保持部材11は、平面視で、長手方向および短手方向に延在する矩形状を有する。メス保持部材11は、2つのメス端子側方保持部(端子保持部)13,13と、2つのメス側方支持部14,14とを有する。2つのメス端子側方保持部13,13は、長手方向に延在するとともに、短手方向に離間している。2つのメス側方支持部14,14は、長手方向の両端部において離間して配設される。
【0015】
メス端子中央保持部13aは、複数の凹形状のメス信号端子用装着部を有し、メス端子側方保持部13は、複数の凹形状のメスグランド端子用装着部を有する。メス信号端子15をメス端子中央保持部13aのメス信号端子用装着部に装着する(例えば、インサート成形する)ことによって、メス信号端子15が保持される。メスグランド端子12をメス端子側方保持部13のメスグランド端子用装着部に装着する(例えば、圧入する)ことによって、メスグランド端子12が保持される。メスグランド端子12の隣にメス信号端子15が配置される。例えば、メスグランド端子12およびメス信号端子15は、端子の配列方向(長手方向)に沿って交互に配置される。メスグランド端子12は、後述するオスグランド端子22に対して一対一で対応して、対応するオスグランド端子22に挿抜可能に係合して電気的接続を形成する。メス信号端子15は、後述するオス信号端子25に対して一対一で対応して、対応するオス信号端子25に係合して電気的接続を形成する。
【0016】
図1に示すメス型の電気コネクタ10では、端子の配列方向(長手方向)に沿って1列に配列された複数個(例えば4個)のメス信号端子15が、短手方向の第1の列および第2の列として、短手方向に離間して配置されている。当該構成によれば、限られた大きさを有するメス端子側方保持部13の領域において、多くのメス信号端子15を配置できる。なお、複数のメス信号端子15の配列は、第1の列および第2の列のように2列に限られず、1列や3列以上にすることができる。また、メス信号端子15の1列当たりの個数は、4個に限られず、3個以下や5個以上にすることができる。
【0017】
メス信号端子15は、信号電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。メス信号端子15としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。メス信号端子15の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。メス信号端子15は、図示しない回路基板のランド電極に実装するためのメス信号実装部(図示しない)を有する。メス信号実装部は、短手方向の内側部分であり且つ高さ方向(挿抜方向)の下端に形成される。
【0018】
長手方向において隣り合う2つのメス信号端子15,15の間での電磁波の干渉を抑制する(すなわち、メス信号端子15の列間でアイソレーションする)ために、メスグランド端子(内部端子)12が設けられる。メスグランド端子12は、長手方向において隣り合う2つのメス信号端子15,15の間に配設され、メスシールド端子として働く。メス信号端子15は、例えば、凹形状のメス信号端子用装着部に装着して(例えば、インサート成形して)保持される。メス信号端子15は、短手方向に沿って延在する。
【0019】
メスグランド端子12は、グランド電位に電気的に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成される。メスグランド端子12としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。メスグランド端子12の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。メスグランド端子12は、図示しない回路基板のランド電極に実装するためのメスグランド実装部(基部実装部)12aを有する。メスグランド実装部12aは、長手方向の側端に形成される。なお、メスグランド実装部12aは、短手方向の内側部分に形成されてもよい。
【0020】
メス外部端子16は、高さ方向(挿抜方向)から見て、複数のメスグランド端子12および複数のメス信号端子15を取り囲むように周状に閉じた、矩形の枠形状を有する。矩形の枠形状を有するメス外部端子16において、長辺は長手方向に延在するとともに、短辺は短手方向に延在する。ここで、周状とは、必ずしも多角の周状に限定されるものではなく、たとえば円周状、楕円周状、多角の周状と円周状を組み合わせた形状などであってもよい。
【0021】
メス外部端子16は、グランド電位に電気的に接続される導体である。メス外部端子16は、グランド電位に電気的に接続されることで、外部からの電磁波やメス信号端子15からの不要輻射をシールドして、メス外部端子16で囲まれる空間を電磁気的遮蔽空間とすることができる。つまり、メス外部端子16は、メス信号端子15を取り囲むことによってメス信号端子15を電磁気的にシールドするための部材である。メス外部端子16としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。メス外部端子16は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0022】
メス保持部材11のメス側方支持部14には、対応するメス外部端子16のメス外部側方部が装着されて支持される。メス外部側方部は、図示しない回路基板のグランド電極に実装するためのメス外部実装部を複数個有する。メス外部実装部は、高さ方向(挿抜方向)の下端に形成される。
【0023】
メス外部端子16は、2つのメス外部側方部と、2つのメス外部延在部と、2つのガイド部17,17と、装着開口部と、メス接触壁部19aとを有する。メス外部側方部は、長手方向における第1の側部および第2の側部にそれぞれ設けられる。メス外部延在部は、2つのメス外部側方部をつなぐように長手方向に延在する。
【0024】
メス接触壁部19aの内側面には、短手方向の内方に向けて突出する形状を有するメス接触係止部19bが形成される。メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が嵌合状態にあるとき、メス外部端子16における凸形状のメス接触係止部19bが、後述するオス外部端子26における凹形状のオス接触係止部29bに係止する。当該構成によれば、メスグランド端子12やメス信号端子15などに影響を及ぼすことなく確実な嵌合が得られる。なお、メス接触係止部19bは、メス外部端子16およびオス外部端子26を電気的に接続する接触部として働く。
【0025】
メス外部側方部は、高さ方向(挿抜方向)から見て略U字形状を有する。メス外部側方部に設けられるガイド部17は、高さ方向(挿抜方向)から見て略U字形状を有して、外側から内側に向けて下向きに傾斜した形状を有する。ガイド部17は、オス型の電気コネクタ20をメス型の電気コネクタ10に対して高さ方向(挿抜方向)に挿入するときに、オス外部端子26を装着開口部に正確に導くためのガイドとして利用される。装着開口部は、ガイド部17の内側に形成された開口であり、高さ方向(挿抜方向)から見て略矩形状を有する。
【0026】
〔オス型の電気コネクタ〕
図2および
図3を参照しながら、オス型の電気コネクタ(電気コネクタ)20の構成を説明する。
【0027】
図2に示すように、オス型の電気コネクタ20は、オス保持部材(保持部材)21(
図1および
図3に図示)と、オスグランド端子(内部端子)22と、オス信号端子(内部端子、信号端子)25と、オス外部端子(外部端子)26とを有する。オス保持部材21としては、例えば、液晶ポリマー等の電気絶縁性の樹脂が用いられる。オス保持部材21は、長手方向および短手方向に延在する矩形状を有する。オス保持部材21は、2つのオス端子保持部(端子保持部)23,23と、2つのオス側方支持部24,24とを有する。2つのオス端子保持部23,23は、長手方向に延在するとともに、短手方向に離間している。2つのオス側方支持部24,24は、オス型の電気コネクタ20の長手方向の両端部において離間して配設される。
【0028】
オス保持部材21のオス端子保持部23は、複数の凹形状のオス信号端子用装着部を有する。オス信号端子25をオス信号端子用装着部に装着する(例えば、圧入する)ことによって、オス信号端子25が保持される。複数のオスグランド端子22は、オス保持部材21のオス端子保持部23に装着する(例えば、インサート成形する)ことによって保持される。オス信号端子25の隣にオスグランド端子22が配置される。例えば、複数のオスグランド端子22および複数のオス信号端子25は、端子の配列方向(長手方向)に沿って交互に配列される。オスグランド端子22は、前述したメスグランド端子12に対して一対一で対応して、電気コネクタセット1の嵌合時において、対応するメスグランド端子12に挿抜可能に係合して電気的接続を形成する。オス信号端子25は、前述したメス信号端子15に対して一対一で対応して、電気コネクタセット1の嵌合時において、対応するメス信号端子15に係合して電気的接続を形成する。
【0029】
図2に示したオス型の電気コネクタ20では、複数個(例えば4個)のオスグランド端子22およびオス信号端子25が、端子の配列方向(長手方向)に沿って交互に配列される。オスグランド端子22およびオス信号端子25が、短手方向における第1の列および第2の列として、短手方向に離間して配置されている。
【0030】
オス信号端子25は、信号電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。オス信号端子25としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。オス信号端子25の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。オス信号端子25は、図示しない回路基板のランド電極に実装するためのオス信号実装部25aを有する。オス信号実装部25aは、短手方向の側端であり且つ高さ方向(挿抜方向)の下端に形成される。オス信号端子25は、例えば、凹形状のオス信号端子用装着部に装着して(例えば、圧入して)保持される。オス信号端子25は、短手方向に沿って延在する。
【0031】
端子の配列方向(長手方向)において隣り合う2つのオス信号端子25,25の間での電磁波の干渉を抑制する(すなわち、オス信号端子25の列間でアイソレーションする)ために、オスグランド端子22が設けられる。オスグランド端子22は、端子の配列方向(長手方向)において隣り合う2つのオス信号端子25,25の間に配置され、オスシールド端子として働く。オスグランド端子22は、例えば、オス端子保持部23とのインサート成形によって保持される。オスグランド端子22は、短手方向に沿って延在する。
【0032】
オスグランド端子22は、グランド電位に電気的に接続される導体であり、導電性を有する棒状部材の折り曲げまたは導電性を有する板状部材の打ち抜きによって作成される。オスグランド端子22としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。オスグランド端子22の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。オスグランド端子22は、図示しない回路基板のグランド電極に実装するための第1オスグランド実装部22aおよび第2オスグランド実装部22bを有する。第1オスグランド実装部22aおよび第2オスグランド実装部22bは、短手方向の側端であり且つ高さ方向(挿抜方向)の下端に形成される。
【0033】
高さ方向(挿抜方向)から見て、2つのオス外部端子26が、長手方向の両端部において離間して配設される。オス保持部材21のオス側方支持部24には、対応するオス外部端子26が装着されて支持される。オス外部端子26は、図示しない回路基板のグランド電極に実装するためのオス外部実装部を複数個有する。オス外部実装部は、高さ方向(挿抜方向)の下端に形成される。
【0034】
オス外部端子26は、グランド電位に電気的に接続される導体である。オス外部端子26は、グランド電位に電気的に接続されることで、外部からの電磁波やオス信号端子25からの不要輻射をシールドして、オス外部端子26で囲まれる空間を電磁気的遮蔽空間とすることができる。つまり、オス外部端子26は、オス信号端子25を取り囲むことによってオス信号端子25を電磁気的にシールドするための部材である。オス外部端子26としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。オス外部端子26は、例えば、曲げ加工で形成される。
【0035】
メス型の電気コネクタ10およびオス型の電気コネクタ20が嵌合状態にあるとき、前述したメス外部端子16における凸形状のメス接触係止部19bが、オス外部端子26における凹形状のオス接触係止部29bに係止する。当該構成によれば、オスグランド端子22やオス信号端子25などに影響を及ぼすことなく確実な嵌合が得られる。なお、オス接触係止部29bは、メス外部端子16およびオス外部端子26を電気的に接続する接続部として働く。
【0036】
〔第1実施例に係るオスグランド端子〕
図4および
図5を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第1実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
【0037】
図4および
図5に示すように、オスグランド端子22は、側面視でW字状に突出する。オスグランド端子22は、第1オスグランド実装部22aと、第2オスグランド実装部22bと、第1外側縦延在部22cと、第2外側縦延在部22dと、第1横接続部30eと、第2横接続部30fと、第1内側縦延在部30gと、頂部30hと、第2内側縦延在部30iとを有する。
【0038】
第1オスグランド実装部22aは、
図4の上側であり第1側に位置するオスグランド実装部である。第2オスグランド実装部22bは、
図4の上側であり第2側に位置するオスグランド実装部であり、頂部30hを挟んで第1オスグランド実装部22aの反対側に位置する。第1オスグランド実装部22aおよび第2オスグランド実装部22bは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に延在する。
【0039】
第1外側縦延在部22cは、第1オスグランド実装部22aに接続されて、第1側に位置するとともに縦方向(高さ方向)に延在する。第2外側縦延在部22dは、第2オスグランド実装部22bに接続されて、第2側に位置するとともに縦方向(高さ方向)に延在する。
【0040】
第1横接続部30eは、第1外側縦延在部22cと第1内側縦延在部30gとをつなぎ、U字形状に湾曲した形状を有する。第2横接続部30fは、第2外側縦延在部22dと第2内側縦延在部30iとをつなぎ、U字形状に湾曲した形状を有する。
【0041】
第1内側縦延在部30gは、第1側に位置するとともに縦方向(高さ方向)に延在して、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)において第1外側縦延在部22cと離間している。第2内側縦延在部30iは、第2側に位置するとともに縦方向(高さ方向)に延在して、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)において第2外側縦延在部22dと離間している。第1内側縦延在部30gおよび第2内側縦延在部30iは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)において、互いに対面する。
【0042】
頂部30hは、第1内側縦延在部30gおよび第2内側縦延在部30iをつなぎ、逆U字形状に湾曲した形状を有する。頂部30hによって、第1内側縦延在部30gおよび第2内側縦延在部30iは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)において離間している。頂部30hは、図示しない回路基板のグランド電極に電気的に接続される。これにより、後述する突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0043】
従来技術に係るオスグランド端子22は、後述する
図10から
図15と同様に、第1外側縦延在部22cと、第2外側縦延在部22dと、横接続部22fとによって、側面視でU字形状に突出する枠部28を有する。側面視でU字形状に突出する枠部28を有するオスグランド端子22は、枠部28の内側部分において、矩形状の開口部27を有する。
【0044】
これに対して、
図4に示した第1実施例に係るオスグランド端子22は、第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dと第1横接続部30eと第2横接続部30fとを有する。オスグランド端子22は、第1横接続部30eおよび第2横接続部30fを仮想的につなぐ仮想横接続部30p(
図4に破線で図示)を加えることによって、側面視でU字形状に突出する枠部28が仮想的に形成される。仮想横接続部30pは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に延在する。したがって、第1実施例の第1横接続部30eおよび第2横接続部30fを、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に接続する仮想横接続部30pを仮設することによって、
図10から
図15に図示する横接続部22fに対応する形状になり、側面視でU字形状に突出する枠部28を仮想的に形成できるようになる。
【0045】
そして、第1横接続部30eと第2横接続部30fと仮想横接続部30pとは、仮想的に、枠部28の底部を構成する。上述した第1内側縦延在部30gと第2内側縦延在部30iと頂部30hとは、枠部28の底部すなわち横接続部22fから、枠部28の突出方向と逆方向に突出する突出部30を構成する。突出部30は、例えば、側面視で逆U字形状に突出する。
【0046】
オスグランド端子22は、仮想横接続部30pを仮設することによって側面視でU字形状に突出する枠部28を有することになり、枠部28の内側部分において、仮想的に、矩形状の開口部27を有することになる。したがって、突出部30は、矩形状を有する開口部27に位置する。
【0047】
突出部30は、オスグランド端子22の一部であるため、突出部30も導電性を有する。したがって、突出部30は、開口部27を電磁気的に遮蔽する遮蔽部として働く。これにより、枠部28の一部分として遮蔽部30が形成されるので、遮蔽部30の作成が容易になる。
【0048】
オスグランド端子22の開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設されることによって、オスグランド端子22が保持される。それとともに、遮蔽部として働く突出部30も、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。
【0049】
したがって、オスグランド端子22の枠部28において形成される開口部27が、保持部材21で保持される突出部(遮蔽部)30によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0050】
〔第2実施例に係るオスグランド端子〕
図6を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第2実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図6は、第2実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0051】
なお、
図6は、オスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を図示しており、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)の図示を省略している。しかしながら、上記第1実施例に係る
図5と同様に、第2実施例に係るオスグランド端子22における突出部(遮蔽部として働く)30も、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。
【0052】
以下、第2実施例に係るオスグランド端子22について、
図4に示した第1実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0053】
図6に示すように、オスグランド端子22は、側面視でW字状に突出する。オスグランド端子22は、第1オスグランド実装部22aと、第2オスグランド実装部22bと、第1外側縦延在部22cと、第2外側縦延在部22dと、第1横接続部30eと、第2横接続部30fと、第1内側縦延在部30gと、頂部30hと、第2内側縦延在部30iとを有する。
【0054】
図6に示した第2実施例に係るオスグランド端子22では、枠部28の底部として働く第1横接続部30eおよび第2横接続部30fが、メスグランド端子12の横接続部に当接するように構成される。これにより、係合状態におけるオスグランド端子22とメスグランド端子12との間に形成される隙間が少なくなり、係合状態における電磁気的な遮蔽効果が向上する。
【0055】
そして、上記第1実施例と同様に、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される突出部(遮蔽部)30によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0056】
〔第3実施例に係るオスグランド端子〕
図7を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第3実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図7は、第3実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0057】
以下、第3実施例に係るオスグランド端子22について、
図6に示した第2実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0058】
図7に示すように、オスグランド端子22において、第1内側縦延在部30gは、第2内側縦延在部30iに向けて突出する第1内突起部30lを有するとともに、第2内側縦延在部30iは、第1内側縦延在部30gに向けて突出する第2内突起部30mを有する。第1内突起部30lおよび第2内突起部30mは、例えば半円筒形状を有する。
【0059】
そして、第1内突起部30lは、第1内側縦延在部30gにおける縦方向(高さ方向)の中央部に位置し、第2内突起部30mは、第2内側縦延在部30iにおける縦方向(高さ方向)の中央部に位置する。第1内突起部30lおよび第2内突起部30mは、互いに対面するとともに当接する。これにより、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0060】
そして、上記第2実施例と同様に、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される突出部(遮蔽部)30によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0061】
〔第4実施例に係るオスグランド端子〕
図8を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第4実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図8は、第4実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0062】
以下、第4実施例に係るオスグランド端子22について、
図7に示した第3実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0063】
図8に示すように、オスグランド端子22において、第1内側縦延在部30gは、第2内側縦延在部30iに向けて突出する2つの第1内突起部30lを有するとともに、第2内側縦延在部30iは、第1内側縦延在部30gに向けて突出する2つの第2内突起部30mを有する。
【0064】
2つの第1内突起部30lは、第1内側縦延在部30gにおける縦方向(高さ方向)に離間して位置する。2つの第2内突起部30mは、第2内側縦延在部30iにおける縦方向(高さ方向)に離間して位置する。縦方向(高さ方向)に離間する2つの第1内突起部30lと、縦方向(高さ方向)に離間する第2内突起部30mとは、互いに対面するとともに当接する。これにより、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0065】
そして、上記第3実施例と同様に、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される突出部(遮蔽部)30によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0066】
〔第5実施例に係るオスグランド端子〕
図9を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第5実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図9は、第5実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0067】
以下、第5実施例に係るオスグランド端子22について、
図8に示した第4実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0068】
図8に示すように、オスグランド端子22において、第1内側縦延在部30gは、第2内側縦延在部30iに向けて突出する第1内突起部30lと、第1外側縦延在部22cに向けて突出する第1外突起部30sとを有する。それとともに、第2内側縦延在部30iは、第1内側縦延在部30gに向けて突出する第2内突起部30mと、第2外側縦延在部22dに向けて突出する第2外突起部30tとを有する。
【0069】
第1内突起部30lおよび第1外突起部30sは、第1内側縦延在部30gにおける縦方向(高さ方向)に離間して位置する。例えば、第1内突起部30lは、第1横接続部30eの側に位置し、第1外突起部30sは、頂部30hの側に位置する。第2内突起部30mおよび第2外突起部30tは、第2内側縦延在部30iにおける縦方向(高さ方向)に離間して位置する。例えば、第2内突起部30mは、第2横接続部30fの側に位置し、第2外突起部30tは、頂部30hの側に位置する。第1内突起部30lと第2内突起部30mとは、互いに対面するとともに当接する。第1外突起部30sは、枠部28の第1外側縦延在部22cに対面するとともに当接し、第2外突起部30tは、枠部28の第2外側縦延在部22dに対面するとともに当接する。これにより、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0070】
そして、上記第4実施例と同様に、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される突出部(遮蔽部)30によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0071】
〔第6実施例に係るオスグランド端子〕
図10および
図11を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第6実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図10は、第6実施例に係るオスグランド端子22を含むオス型の電気コネクタ20の断面図である。
図11は、第6実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0072】
以下、第6実施例に係るオスグランド端子22について、
図4および
図5に示した第1実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0073】
図10および
図11に示すように、オスグランド端子22は、側面視で突出する枠部28と、導電性部材31とを有する。枠部28は、例えば、側面視でU字形状に突出する。オスグランド端子22の枠部28は、第1オスグランド実装部22aと、第2オスグランド実装部22bと、第1外側縦延在部22cと、第2外側縦延在部22dと、横接続部22fとを有する。横接続部22fは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に延在する。
【0074】
枠部28の横接続部22fは、側面視でU字形状に突出する枠部28の底部を形成する。側面視でU字形状に突出する枠部28を有するオスグランド端子22は、枠部28の内側部分に形成される矩形状の開口部27を有する。言い換えると、オスグランド端子22の枠部28は、矩形状の開口部27を有する。開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設されることによって、オスグランド端子22の枠部28が保持される。
【0075】
枠部28の開口部27には、枠部28とは別体である導電性部材31が配設される。導電性部材31は、開口部27を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部として働く。導電性部材31は、オスグランド端子22と同様に、導電性を有する棒状部材の折り曲げまたは導電性を有する板状部材の打ち抜きによって作成される。導電性部材31としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。導電性部材31の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。
【0076】
導電性部材31は、頂部31bと、第1上アーム部31cと、第2上アーム部31dと、第1コーナー部31eと、第2コーナー部31fと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hとを有する。
【0077】
頂部31bは、
図10の上側であり、第1オスグランド実装部22aおよび第2オスグランド実装部22bの間に位置する。頂部31bは、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に延在する。頂部31bは、グランド電位に電気的に接続される。これにより、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0078】
第1上アーム部31cは、頂部31bに接続されて、第1外側縦延在部22cに向けて斜めに且つ縦方向(高さ方向)に延在する。第2上アーム部31dは、頂部31bに接続されて、第2外側縦延在部22dに向けて斜めに且つ縦方向(高さ方向)に延在する。
【0079】
第1コーナー部31eは、第1上アーム部31cと第1下アーム部31gとをつなぎ、湾曲した形状を有する。第2コーナー部31fは、第2上アーム部31dと第2下アーム部31hとをつなぎ、湾曲した形状を有する。
【0080】
第1下アーム部31gは、第1外側縦延在部22cから離れるように斜めに且つ縦方向(高さ方向)に延在する。第2下アーム部31hは、第2外側縦延在部22dから離れるように斜めに且つ縦方向(高さ方向)に延在する。第1下アーム部31gの下端部と、第2下アーム部31hの下端部とは、離間しており、間隙31jが形成される。間隙31jを設けることにより、導電性部材31が弾性的に変形可能になる。これにより、導電性部材31が枠部28に弾性的に当接するので、安定した電気的接続が得られる。
【0081】
そして、導電性部材31は、頂部31bと、第1上アーム部31cと、第2上アーム部31dと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hという5つの辺部を有する。導電性部材31は、間隙31jに対応する底部31iを仮想的に加えることによって6角形になるので、1つの辺部を欠いた不連続な多角形状を有すると見ることができる。
【0082】
第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fを把持すると、第1下アーム部31gおよび第2下アーム部31hが近づくように導電性部材31は弾性的に変形する。この状態で導電性部材31を第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に装着すると、導電性部材31が第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間で弾性的に保持される。このとき、第1コーナー部31eが第1外側縦延在部22cに当接して電気的に接続されるとともに、第2コーナー部31fが第2外側縦延在部22dに当接して電気的に接続される。言い換えると、導電性部材31が枠部28の内側面に当接して電気的に接続される。これにより、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0083】
上述したように、開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。導電性部材31は、様々な方法で開口部27に配設される。例えば、導電性部材31の挿入によって導電性部材31が枠部28の第1外側縦延在部22cおよび第2外側縦延在部22dに当接する挿入穴を、オス端子保持部23(オス保持部材21)に予め設けておく。そして、導電性部材31を装着穴に挿入することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。また、導電性部材31を枠部28に予め固設した状態でインサート成形することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。なお、導電性部材31は、半田や溶接などによって枠部28に固設される。
【0084】
したがって、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される導電性部材(遮蔽部)31によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0085】
〔第7実施例に係るオスグランド端子〕
図12を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第7実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図12は、第7実施例に係るオスグランド端子22の斜視図である。
【0086】
なお、
図12は、オスグランド端子22を図示しており、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)の図示を省略している。しかしながら、上記第6実施例に係る
図10と同様に、第7実施例に係るオスグランド端子22における導電性部材31は、遮蔽部として働き、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。
【0087】
以下、第7実施例に係るオスグランド端子22について、
図11に示した第6実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0088】
図12に示すように、オスグランド端子22は、側面視でU字形状に突出する枠部28と、枠部28の内側に形成される開口部27と、開口部27に位置する導電性部材31とを有する。導電性部材31は、開口部27に配設される保持部材(図示しない)で保持される。
【0089】
導電性部材31は、頂部31bと、第1上アーム部31cと、第2上アーム部31dと、第1コーナー部31eと、第2コーナー部31fと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hと、底部31iとを有する。底部31iは、第1下アーム部31gおよび第2下アーム部31hをつなぐととともに、オスグランド端子22の配列方向と直交する横方向(短手方向)に延在する。底部31iは、横接続部22fに当接する。
【0090】
頂部31bには、間隙31jが形成されて、間隙31jによって頂部31bが2つに分けられる。間隙31jを頂部31bに設けることにより、導電性部材31が弾性的に変形可能になる。これにより、導電性部材31が枠部28に弾性的に当接するので、安定した電気的接続が得られる。
図12に示す導電性部材31は、間隙31jに対応する部分を頂部31bに仮想的に加えることによって6角形になるので、辺部の一部を欠いた不連続な多角形状を有すると見ることができる。
【0091】
第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fを把持すると、間隙31jによって2つに分けられた頂部31bが近づくように導電性部材31は弾性的に変形する。この状態で導電性部材31を第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に装着すると、導電性部材31が第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間で弾性的に保持される。このとき、第1コーナー部31eが第1外側縦延在部22cに当接して電気的に接続されるとともに、第2コーナー部31fが第2外側縦延在部22dに当接して電気的に接続される。言い換えると、導電性部材31が枠部28の内側面に当接して電気的に接続される。これにより、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0092】
上述したように、開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。導電性部材31は、様々な方法で開口部27に配設される。例えば、導電性部材31の挿入によって導電性部材31が枠部28の第1外側縦延在部22cおよび第2外側縦延在部22dに当接する挿入穴を、オス端子保持部23(オス保持部材21)に予め設けておく。そして、導電性部材31を挿入穴に挿入することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。また、導電性部材31を枠部28に予め固設した状態でインサート成形することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。なお、導電性部材31は、半田や溶接などによって枠部28に固設される。
【0093】
図12に示した第7実施例に係るオスグランド端子22では、導電性部材31の底部31iが、枠部28の横接続部22fに当接するように構成される。これにより、導電性部材31と枠部28との間に形成される隙間が少なくなるとともに導電性部材31のグランド電位が低くなるので、オスグランド端子22における電磁気的な遮蔽効果が向上する。
【0094】
そして、上記第6実施例と同様に、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される導電性部材(遮蔽部)31によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0095】
〔第8実施例に係るオスグランド端子〕
図13および
図14を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第8実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図13は、第8実施例に係るオスグランド端子22を含むオス型の電気コネクタ20の断面図である。
図14は、第8実施例に係るオスグランド端子22の斜視図である。
【0096】
以下、第8実施例に係るオスグランド端子22について、
図10および
図11に示した第6実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0097】
図13および
図14に示すように、オスグランド端子22は、側面視でU字形状に突出する枠部28と、枠部28の内側に形成される開口部27と、開口部27に位置する導電性部材31とを有する。導電性部材31は、開口部27に配設される保持部材(図示しない)で保持される。
【0098】
導電性部材31は、頂部31bと、第2上アーム部31dと、第1コーナー部31eと、第2コーナー部31fと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hと、底部31iとを有する。
【0099】
頂部31bの第1側の端部と、第1コーナー部31eの上端部とは、離間しており、間隙31jが形成される。間隙31jを設けることにより、導電性部材31が弾性的に変形可能になる。これにより、導電性部材31が枠部28に弾性的に当接するので、安定した電気的接続が得られる。
【0100】
そして、導電性部材31は、頂部31bと、第2上アーム部31dと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hと、底部31iという5つの辺部を有する。導電性部材31は、間隙31jに対応する第1上アーム部31cを仮想的に加えることによって6角形になるので、1つの辺部を欠いた不連続な多角形状を有すると見ることができる。
【0101】
第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fを把持すると、第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fが近づくように導電性部材31は弾性的に変形する。この状態で導電性部材31を第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に装着すると、導電性部材31が第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間で弾性的に保持される。このとき、第1コーナー部31eが第1外側縦延在部22cに当接して電気的に接続されるとともに、第2コーナー部31fが第2外側縦延在部22dに当接して電気的に接続される。言い換えると、導電性部材31が枠部28の内側面に当接して電気的に接続される。これにより、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0102】
上述したように、開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。導電性部材31は、様々な方法で開口部27に配設される。例えば、導電性部材31の挿入によって導電性部材31が枠部28の第1外側縦延在部22cおよび第2外側縦延在部22dに当接する挿入穴を、オス端子保持部23(オス保持部材21)に予め設けておく。そして、導電性部材31を挿入穴に挿入することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。また、導電性部材31を枠部28に予め固設した状態でインサート成形することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。なお、導電性部材31は、半田や溶接などによって枠部28に固設される。
【0103】
したがって、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される導電性部材(遮蔽部)31によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0104】
〔第9実施例に係るオスグランド端子〕
図15を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第9実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図15は、第9実施例に係るオスグランド端子22の斜視図である。
【0105】
なお、
図15は、オスグランド端子22を図示しており、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)の図示を省略している。しかしながら、上記第8実施例に係る
図13と同様に、第9実施例に係るオスグランド端子22における導電性部材31は、遮蔽部として働き、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。
【0106】
以下、第9実施例に係るオスグランド端子22について、
図14に示した第8実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0107】
図15に示すように、オスグランド端子22は、側面視でU字形状に突出する枠部28と、枠部28の内側に形成される開口部27と、開口部27に位置する導電性部材31とを有する。導電性部材31は、開口部27に配設される保持部材(図示しない)で保持される。
【0108】
導電性部材31は、頂部31bと、第2上アーム部31dと、第1コーナー部31eと、第2コーナー部31fと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hと、底部31iとを有する。底部31iは、第1下アーム部31gおよび第2下アーム部31hをつなぐととともに、縦方向(高さ方向)に突出する湾曲形状を有する。底部31iは、横接続部22fに当接する。
【0109】
頂部31bの第1側の端部と、第1コーナー部31eの上端部とは、離間しており、間隙31jが形成される。間隙31jを設けることにより、導電性部材31が弾性的に変形可能になる。これにより、導電性部材31が枠部28に弾性的に当接するので、安定した電気的接続が得られる。
【0110】
そして、導電性部材31は、頂部31bと、第2上アーム部31dと、第1下アーム部31gと、第2下アーム部31hという4つの辺部を有する。導電性部材31は、間隙31jに対応する第1上アーム部31cを仮想的に加えることによって5角形になるので、1つの辺部を欠いた不連続な多角形状を有すると見ることができる。
【0111】
第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fを把持すると、第1コーナー部31eおよび第2コーナー部31fが近づくように導電性部材31は弾性的に変形する。この状態で導電性部材31を第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に装着すると、導電性部材31が第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間で弾性的に保持される。このとき、第1コーナー部31eが第1外側縦延在部22cに当接して電気的に接続されるとともに、第2コーナー部31fが第2外側縦延在部22dに当接して電気的に接続される。言い換えると、導電性部材31が枠部28の内側面に当接して電気的に接続される。これにより、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0112】
上述したように、開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。導電性部材31は、様々な方法で開口部27に配設される。例えば、導電性部材31の挿入によって導電性部材31が枠部28の第1外側縦延在部22cおよび第2外側縦延在部22dに当接する挿入穴を、オス端子保持部23(オス保持部材21)に予め設けておく。そして、導電性部材31を挿入穴に挿入することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。また、導電性部材31を枠部28に予め固設した状態でインサート成形することによって、導電性部材31がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。なお、導電性部材31は、半田や溶接などによって枠部28に固設される。
【0113】
したがって、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される導電性部材(遮蔽部)31によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0114】
〔第10実施例に係るオスグランド端子〕
図16および
図17を参照しながら、オス型の電気コネクタ20における第10実施例に係るオスグランド端子22の形態および作用について説明する。
図16は、第10実施例に係るオスグランド端子22を含むオス型の電気コネクタ20の断面図である。
図17は、第10実施例に係るオスグランド端子22とメスグランド端子12との係合を説明する斜視図である。
【0115】
以下、第10実施例に係るオスグランド端子22について、
図16および
図17に示した第10実施例に係るオスグランド端子22との相違点を中心に説明する。
【0116】
図16および
図17に示すように、オスグランド端子22は、側面視でU字形状に突出する枠部28と、枠部28の内側に形成される開口部27と、開口部27に位置する覆い部32とを有する。覆い部32は、開口部27に配設されるオス端子保持部(端子保持部)23で保持される。
【0117】
枠部28の開口部27には、枠部28とは別体であるとともに導電性を有する覆い部32が配設される。覆い部32は、導電性部材31として働き、開口部27を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部として働く。覆い部32は、開口部27の大略全体を面状に覆うように構成される。これにより、導電性部材31による遮蔽効果をできるだけ大きくできる。
【0118】
覆い部32は、例えば、導電性を有する板状部材の打ち抜きによって作成される。覆い部32としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性的に変形可能な材料である。覆い部32の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。
【0119】
覆い部32は、矩形状の開口部27に対応して矩形状を有する。覆い部32は、例えば、オスグランド端子22の配列方向(長手方向)において枠部28の厚みよりも薄い厚みを有する板状体であり、枠部28の両側の表面に対して段差を有する。言い換えると、覆い部32は、枠部28の表面よりも引っ込んだ位置にある。覆い部32の表面と枠部28の表面との間で形成される段差には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。
【0120】
覆い部32を第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に装着すると、覆い部32が第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間で保持される。このとき、覆い部32の第1側の辺部が第1外側縦延在部22cに当接して電気的に接続され、覆い部32の第2側の辺部が第2外側縦延在部22dに当接して電気的に接続され、覆い部32の底部が横接続部22fに当接して電気的に接続される。言い換えると、覆い部32の3つの辺部が、枠部28の内側面に当接して電気的に接続される。これにより、覆い部32のグランド電位が低くなり、覆い部32の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0121】
上述したように、開口部27には、電気絶縁性のオス端子保持部23(オス保持部材21)が配設される。覆い部32は、様々な方法で開口部27に配設される。例えば、覆い部32の挿入によって覆い部32が枠部28の第1外側縦延在部22c、第2外側縦延在部22dおよび横接続部22fに当接する挿入穴を、オス端子保持部23(オス保持部材21)に予め設けておく。そして、覆い部32を挿入穴に挿入することによって、覆い部32がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。また、覆い部32を枠部28に予め固設した状態でインサート成形することによって、覆い部32がオス端子保持部23(オス保持部材21)で保持される。なお、覆い部32は、半田や溶接などによって枠部28に固設される。また、覆い部32は、枠部28と一体成型する態様にすることもできる。
【0122】
したがって、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される覆い部(遮蔽部)32によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0123】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0124】
上記実施例では、突出部30や導電性部材31や覆い部32を有するオスグランド端子22の作成方法として、折り曲げ加工や打ち抜き加工などを例示したが、エッチング加工や溶接加工などによって作成することができる。
【0125】
上記開示では、頂部31bや第1上アーム部31cや底部31iに対応する辺部が間隙31jを有する態様を例示したが、第2上アーム部31dや第1下アーム部31gや第2下アーム部31hに対応する辺部が間隙31jを有する態様にすることができる。
【0126】
上記開示では、第1外突起部30sおよび第2外突起部30tの両方が、枠部28に当接する態様を例示したが、第1外突起部30sまたは第2外突起部30tのいずれか一方が、枠部28に当接する態様にすることができる。したがって、第1外突起部30sおよび第2外突起部30tの少なくとも一方が、枠部28に当接することができる。これにより、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0127】
上記開示では、第1横接続部30eや第2横接続部30fや頂部30hや第1内突起部30lや第2内突起部30mや第1外突起部30sや第2外突起部30tや頂部31bや底部31iが対面する部分に当接する態様を例示したが、物理的に離間した態様にすることができる。
【0128】
上記開示では、導電性部材31は、間隙31jを備えることにより不連続な形状(例えば多角形状)を有するが、導電性部材31は、間隙31jを備えることにより不連続な環状形状(例えば円形や楕円形)にすることができる。
【0129】
上記開示では、仮想横接続部30pを仮想的に設けることによって、遮蔽部として働く突出部30は、枠部28の内側に形成される開口部27を電磁気的に遮蔽することを説明した。しかしながら、突出部30が遮蔽部として働く第1実施形態から第5実施形態の場合、第1外側縦延在部22cと第2外側縦延在部22dとの間に形成される開口部27において突出部30が配設されるとみることもできる。
【0130】
上記開示では、例えば、
図10に示すように、オスグランド端子22の枠部28の形状とオス信号端子25の形状とが異なっており、両者の重なり部分が少なくなっている。しかしながら、オスグランド端子22の枠部28の形状とオス信号端子25の形状とは、同じ形状(例えばU字状)であってもよい。これにより、側面視でオスグランド端子22およびオス信号端子25の重なり部分が多くなり、隣合うオス信号端子25同士が対面することが少なくなることによってアイソレーション特性が得られる。これに加えて、遮蔽部30,31,32を設けることにより、より十分なアイソレーション特性が得られる。また、オスグランド端子22の枠部28の形状とオス信号端子25の形状とを同じにすることにより、オスグランド端子22およびオス信号端子25を安く作ることができる。
【0131】
上記開示では、オス信号端子25とオスグランド端子22とが交互に配設されているが、例えば、オス信号端子25とオスグランド端子22とオスグランド端子22とオス信号端子25とが順に配置される態様にすることもできる。
【0132】
上記開示では、メス信号端子15およびオスグランド端子22の装着は、例えばインサート成形によって実行され、メスグランド端子12およびオス信号端子25の装着は、例えば圧入によって実行されている。しかしながら、これら端子12,15,22,25の装着は、インサート成形または圧入を適宜に組み合わせて実行される。
【0133】
なお、オスグランド端子22および導電性部材(遮蔽部)31は、一体部品とすることもでき、オスグランド端子22および覆い部32も、一体部品とすることもできる。また、メスグランド端子12は、オスグランド端子22と係合するU字状部分に隣接する逆U字状部分において、上述したオスグランド端子22の電磁気的遮蔽機能と同様の電磁気的遮蔽機能を提供するための遮蔽構造を有することができる。
【0134】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0135】
この発明の一態様に係る電気コネクタ20は、
電気絶縁性の保持部材21と、
前記保持部材21に保持される信号端子25およびオスグランド端子22とを備え、
前記信号端子25の隣には前記オスグランド端子22が配置され、
前記オスグランド端子22は、側面視で突出する枠部28と、前記枠部28の内側に形成される開口部27とを有し、
前記オスグランド端子22は、前記開口部27を電磁気的に遮蔽する導電性の遮蔽部30,31,32を有し、
前記遮蔽部30,31,32は、前記開口部27に位置するとともに、前記開口部27に配設される前記保持部材21で保持されることを特徴とする。
【0136】
上記構成によれば、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される遮蔽部30,31,32によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる。
【0137】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記遮蔽部30として、前記枠部28の横接続部22fから、側面視で前記枠部28の突出方向と逆方向に突出する突出部30を備える。
【0138】
上記実施形態によれば、枠部28の一部分として突出部30が形成されるので、遮蔽部30の作成が容易になる。
【0139】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記突出部30は、互いに対面する第1内側縦延在部30gおよび第2内側縦延在部30iを有し、
前記第1内側縦延在部30gは、前記第2内側縦延在部30iに向けて突出する第1内突起部30lを有するとともに、前記第2内側縦延在部30iは、前記第1内側縦延在部30gに向けて突出する第2内突起部30mを有し、
前記第1内突起部30lおよび前記第2内突起部30mが当接する。
【0140】
上記実施形態によれば、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0141】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記第1内側縦延在部30gは、対面する前記枠部28に向けて突出する第1外突起部30sを有するとともに、前記第2内側縦延在部30iは、対面する前記枠部28に向けて突出する第2外突起部30tを有し、
前記第1外突起部30sおよび前記第2外突起部30tの少なくとも一方が、前記枠部28に当接する。
【0142】
上記実施形態によれば、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0143】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記突出部30の頂部30hは、グランド電位に電気的に接続される。
【0144】
上記実施形態によれば、突出部30のグランド電位が低くなり、突出部30の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0145】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記遮蔽部として、前記枠部28とは別体である導電性部材31を備え、
前記導電性部材31が前記枠部28の内側面に当接する。
【0146】
上記実施形態によれば、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0147】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記導電性部材31は、間隙31jを備えることにより不連続な形状を有し、前記間隙31jによって前記導電性部材31が弾性的に変形可能である。
【0148】
上記実施形態によれば、導電性部材31が枠部28に弾性的に当接するので、安定した電気的接続が得られる。
【0149】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記導電性部材31として、側面視で、前記開口部27を面状に覆う覆い部32を有する。
【0150】
上記実施形態によれば、導電性部材31による遮蔽効果をできるだけ大きくできる。
【0151】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記導電性部材31の頂部31bは、グランド電位に電気的に接続される。
【0152】
上記実施形態によれば、導電性部材31のグランド電位が低くなり、導電性部材31の遮蔽によるアイソレーション効果が向上する。
【0153】
また、一実施形態の電気コネクタ20では、
前記信号端子25の形状と前記オスグランド端子22の形状は、同じである。
【0154】
上記実施形態によれば、オスグランド端子22および信号端子25を安く作ることができる。
【0155】
この発明の一態様に係る電気コネクタセット1は、
上述した電気コネクタ20と、前記電気コネクタ20の前記オスグランド端子22に対して挿抜可能に係合するメスグランド端子12を有する相手方電気コネクタ10とを備えることを特徴とする。
【0156】
上記構成によれば、オスグランド端子22の枠部28に形成される開口部27が、保持部材21で保持される遮蔽部30,31によって電磁気的に遮蔽されるので、コネクタを大型化することなく、十分なアイソレーション特性が得られる電気コネクタセット1を提供できる。
【符号の説明】
【0157】
1…電気コネクタセット
10…メス型の電気コネクタ(相手方電気コネクタ)
11…メス保持部材
12…メスグランド端子
12a…メスグランド実装部
13…メス端子側方保持部
13a…メス端子中央保持部
14…メス側方支持部
15…メス信号端子
16…メス外部端子
17…ガイド部
19a…メス接触壁部
19b…メス接触係止部
20…オス型の電気コネクタ(電気コネクタ)
21…オス保持部材(保持部材)
22…オスグランド端子
22a…第1オスグランド実装部(オスグランド実装部)
22b…第2オスグランド実装部(オスグランド実装部)
22c…第1外側縦延在部
22d…第2外側縦延在部
22f…横接続部
23…オス端子保持部(端子保持部)
24…オス側方支持部
25…オス信号端子(信号端子)
25a…オス信号実装部
26…オス外部端子
27…開口部
28…枠部
30…突出部(遮蔽部)
30e…第1横接続部
30f…第2横接続部
30g…第1内側縦延在部
30h…頂部
30i…第2内側縦延在部
30l…第1内突起部
30m…第2内突起部
30p…仮想横接続部
30s…第1外突起部
30t…第2外突起部
31…導電性部材(遮蔽部)
31b…頂部
31c…第1上アーム部
31d…第2上アーム部
31e…第1コーナー部
31f…第2コーナー部
31g…第1下アーム部
31h…第2下アーム部
31i…底部
31j…間隙
31d…第2上アーム部
32…覆い部(導電性部材、遮蔽部)