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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100481
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20230711BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20230711BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230711BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20230711BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230711BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230711BHJP
【FI】
B64C39/02
B64C13/18 Z
B64D47/08
B64F1/36
G05B23/02 301X
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001196
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輝
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA06
3C223BA03
3C223BB05
3C223BB08
3C223CC02
3C223CC03
3C223DD03
3C223FF12
3C223FF16
3C223FF26
3C223FF35
3C223FF53
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】飛翔体により取得された情報を機器の運転に利用することができる制御システムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態による制御システムは、被害情報取得部と、飛翔体と、判定部と、を備える。被害情報取得部は、被害を受けた施設に設けられた機器の被害状況情報を取得する。飛翔体は、被害情報取得部を搭載し、被害情報取得部が被害状況情報を取得可能なように機器まで飛行する。判定部は、被害情報取得部が取得した被害状況情報に基づいて、機器が運転可能か否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被害を受けた施設に設けられた機器の被害状況情報を取得する被害情報取得部と、
前記被害情報取得部を搭載し、前記被害情報取得部が前記被害状況情報を取得可能なように前記機器まで飛行する飛翔体と、
前記被害情報取得部が取得した前記被害状況情報に基づいて、前記機器が運転可能か否かを判定する判定部と、
を備える、制御システム。
【請求項2】
前記判定部の判定結果を表示部に表示させる判定表示制御部をさらに備える、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記判定部の判定結果に基づいて、前記機器を制御する制御部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、運転可能と判定された前記機器の運転を継続または開始させ、運転不可能と判定された前記機器の運転を停止させる、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記被害状況情報と、前記機器が運転可能か否かと、の対応関係に基づいて生成された学習モデルに、前記被害情報取得部が取得した前記被害状況情報を適用することにより、前記機器が運転可能か否かを判定する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記被害状況情報に含まれる数値と、予め設定された数値と、の比較に基づいて、前記機器が運転可能か否かを判定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記被害情報取得部は、前記機器を撮像する撮像部を有し、
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記機器の画像に基づいて、前記機器が運転可能か否かを判定する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記機器の周囲の浸水部を特定する浸水特定部をさらに備え、
前記被害情報取得部は、前記浸水部の水位を測定する水位計を有し、
前記判定部は、前記水位計が測定した前記浸水部の水位に基づいて、前記機器が運転可能か否かを判定する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記機器の周囲、および、前記機器までの前記飛翔体の飛行経路の少なくとも一方の汚染状況情報を取得する汚染情報取得部をさらに備え、
前記飛翔体は、前記汚染情報取得部を搭載し、前記汚染情報取得部が前記汚染状況情報を取得可能なように前記機器の周囲まで飛行する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記汚染情報取得部が取得した前記汚染状況情報を表示部に表示する汚染表示制御部をさらに備える、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記汚染情報取得部は、前記機器の周囲、および、前記機器までの前記飛翔体の飛行経路の少なくとも一方の空気汚染を測定する空気汚染測定部を有する、請求項9または請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記機器の周囲の浸水部を特定する浸水特定部をさらに備え、
前記汚染情報取得部は、前記浸水部の水質を測定する水質計を有する、請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記飛翔体は、前記被害情報取得部が複数の前記機器の前記被害状況情報を取得可能なように、複数の前記機器まで順繰りに飛行し、
前記判定部は、前記被害情報取得部が取得した前記被害状況情報に基づいて、複数の前記機器が運転可能か否かを判定する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項14】
前記飛翔体に搭載され、前記飛翔体の位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記飛翔体は、前記位置情報取得部が取得した前記飛翔体の位置情報と、前記機器の予め設定された位置情報と、に基づいて、前記機器まで飛行する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項15】
被害を受けた施設に設けられた機器の被害状況情報を取得する被害情報取得部と、前記被害情報取得部を搭載する飛翔体と、前記機器が運転可能か否かを判定する判定部と、を備える制御システムにおける制御方法であって、
前記被害情報取得部が前記被害状況情報を取得可能なように、前記飛翔体が前記機器まで飛行することにより、前記被害状況情報を前記被害情報取得部により取得し、
前記被害情報取得部が取得した前記被害状況情報に基づいて、前記機器が運転可能か否かを前記判定部により判定する、
ことを具備する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の駆け付けが難しい場所を含む上下水道設備の複数拠点の水質を維持するために、長距離移動可能なドローン(飛翔体)が用いられる場合がある。しかし、ドローンが取得したデータは、上下水道設備内の機器等の運転または制御には利用されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-155341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛翔体により取得された情報を機器の運転に利用することができる制御システムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による制御システムは、被害情報取得部と、飛翔体と、判定部と、を備える。被害情報取得部は、被害を受けた施設に設けられた機器の被害状況情報を取得する。飛翔体は、被害情報取得部を搭載し、被害情報取得部が被害状況情報を取得可能なように機器まで飛行する。判定部は、被害情報取得部が取得した被害状況情報に基づいて、機器が運転可能か否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による制御システムの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態によるドローンの構成の一例を示す図。
図3】第1実施形態によるドローンの構成の一例を示すブロック図。
図4】第1実施形態による監視制御端末の構成の一例を示すブロック図。
図5】第1実施形態による制御システムの動作の一例を示すフロー図。
図6】第2実施形態による監視制御端末の構成の一例を示すブロック図。
図7】第2実施形態による制御システムの動作の一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による制御システム1の構成の一例を示すブロック図である。制御システム1は、例えば、災害発生等により何らかの被害を受けた機場2に設けられた機器10に関する情報を収集する。災害発生により、人が機場2内に立ち入ることが難しくなる場合がある。そこで、ドローン20を用いて、機器10に関する情報が収集される。また、制御システム1は、例えば、ドローン20により収集された情報に基づいて、機器10の運転に関する処理を行う。
【0009】
機場2は、例えば、浄水場または下水処理場等の上下水道設備である。しかし、機場2は、どのような施設または設備であってもよい。機場2は、例えば、プラントまたはビル等であってもよい。
【0010】
本実施形態では、機場2が浸水した場合について説明する。しかし、浸水等の水害に限られず、本実施形態は、例えば、機場2に人が容易に立ち入ることができなくなる、何らかの災害または事故が発生した場合にも適用可能である。
【0011】
制御システム1は、機器10と、ドローン20と、監視制御端末30と、機器制御装置40と、を備える。図1に示すように、複数の機器10が設けられる。
【0012】
尚、機器10は、機場2に配置される。監視制御端末30は、中央監視設備3に配置される。機器制御装置40は、機場2および中央監視設備3とは異なる場所に配置される。
【0013】
機器10は、機場2内に設けられる種々の機器である。機器10は、例えば、制御盤等の電気設備である。この場合、機器10は、例えば、浄水場または下水処理場内の電気室内に設けられる。機場2が浄水場または下水処理場である場合、機器10は、例えば、ポンプまたはモータ等の設備であってもよい。
【0014】
ドローン20は、飛翔体である。尚、ドローン20は、ラジコンヘリコプター等であってもよい。ドローン20は、無線通信方式を用いて、監視制御端末30と通信する。ドローン20は、例えば、自律飛行で所定の場所に移動する。尚、ドローン20は、遠隔操作で飛行してもよい。この場合、ドローン20は、監視制御端末30から受け付けた移動指示に応じて、所定の場所に移動してもよい。移動指示は、ドローン20を所定の場所に移動させる指示である。
【0015】
監視制御端末30は、パーソナルコンピュータまたはサーバ等の情報処理装置である。監視制御端末30は、機器制御装置40と通信可能に接続される。監視制御端末30は、ドローン20が搭載する各種機器が取得した情報を受信する。監視制御端末30は、機器10の運転に関する判定を行う。使用者は、例えば、判定結果を確認し、監視制御端末30を操作することにより、機器10を制御するための指示を入力する。
【0016】
機器制御装置40は、PLC(Programmable Logic Controller)等の制御装置である。機器制御装置40は、監視制御端末30と機器10との間で通信を行う。機器制御装置40は、監視制御端末30から送信された所定の指示を受信する。機器制御装置40は、監視制御端末30からの所定の指示に基づいて、機器10を制御する制御指令を、機器10に送信する。
【0017】
次に、ドローン20の構成について説明する。
【0018】
図2は、第1実施形態によるドローン20の構成の一例を示す図である。図3は、第1実施形態によるドローン20の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、ドローン20は、信号送受信装置21と、バッテリ22と、位置制御装置23と、画像認識装置24と、被害情報取得部25と、汚染情報取得部26と、を搭載する。
【0020】
信号送受信装置21は、ドローン20と監視制御端末30との間で、無線通信により信号を送受信する。信号送受信装置21は、例えば、ドローン20が搭載する各種機器が取得した情報を送信する。信号送受信装置21は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)またはLTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の通信方式で通信してもよい。
【0021】
バッテリ22は、ドローン20へ電力を供給し、ドローン20の運転を可能とする。
【0022】
位置制御装置23は、ドローン20の位置(移動)を制御する。位置制御装置23は、例えば、後で説明するように、ドローン20の自動操縦を可能とする。
【0023】
図3に示すように、位置制御装置23は、位置情報取得部231と、位置情報記憶部232と、位置制御部233と、を有する。
【0024】
位置情報取得部231は、ドローン20の現在位置の位置情報を取得する。位置情報取得部231は、例えば、GPS(Global Positioning System) 等の衛星測位システムによって位置情報を取得してもよい。位置情報は、例えば、経緯度情報であってもよい。位置情報は、例えば、経緯度の情報に加えて、高度または速度等の情報が含まれていてもよい。位置情報は、衛星測位システムからの電波が届きにくい場所(例えば、山間部やトンネル)では、ドローン20の速度の情報や加速度の情報を用いて補正されてもよい。
【0025】
位置情報記憶部232は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。位置情報記憶部232は、機場2に配置された機器10の位置情報を予め記憶する。
【0026】
位置制御部233は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及びRAM(Random Access Memory)を備える。位置制御部233は、位置情報取得部231が取得したドローン20の位置情報と、位置情報記憶部232に記憶された機器10の位置情報と、に基づいて、ドローン20の飛行経路を設定する。これにより、ドローン20の自動操縦を行うことができる。位置制御部233は、位置情報取得部231が取得した位置情報と、機器10の位置情報と、が略一致、または、所定の閾値の範囲内である場合、ドローン20が機器10に到達したと判定する。すなわち、ドローン20は、位置情報取得部が取得したドローン20の位置情報と、機器10の予め設定された位置情報と、に基づいて、機器10まで飛行する。
【0027】
画像認識装置24は、ドローン20の飛行経路における障害物を検知する。画像認識装置24を位置制御装置23と組み合わせることにより、自動操縦のドローン20をより安定して飛行させることが可能となる。
【0028】
画像認識装置24は、測距センサ241と、撮像部242と、認識演算部243と、を有する。
【0029】
測距センサ241は、例えば、レーダである。
【0030】
撮像部242は、例えば、カメラである。撮像部242は、ドローン20の周囲を撮像する。尚、撮像部242は、被害情報取得部25の撮像部251と合わせて1つの撮像部であってもよい。
【0031】
認識演算部243は、例えば、CPU等のプロセッサ及びRAMを備える。認識演算部243は、測距センサ241の検出結果、および、撮像部242で撮像された画像から、障害物および機器10等を認識する。
【0032】
また、浸水特定部としての画像認識装置24は、機器10の周囲の浸水部を特定する。浸水部は、例えば、電気室内の浸水範囲を示す。画像認識装置24は、例えば、撮像部242で撮影した現場の画像を用いて、浸水部を特定する。画像認識装置24は、例えば、AI(Artificial Intelligence)を用いて、現場の画像から浸水部を特定する。尚、浸水部の特定方法は、これに限られない。画像認識装置24は、例えば、位置制御装置23、および、被害情報取得部25の水位計252との組み合わせにより、浸水部を特定してもよい。
【0033】
被害情報取得部25は、災害または事故等によって被害を受けた機場(施設)2に設けられた機器10の被害状況情報を取得する。被害状況情報は、機器10が受けた被害の状況を示す情報である。尚、本実施形態では、被害状況情報は、機器10の浸水状況情報である。被害情報取得部25は、浸水した機場2に設けられた機器10の浸水状況情報を取得する。
【0034】
被害情報取得部25は、撮像部251と、水位計252と、を有する。
【0035】
撮像部251は、例えば、カメラである。撮像部251は、機器10および浸水部等を撮像する。尚、撮像部251は、画像認識装置24の撮像部242と合わせて1つの撮像部であってもよい。
【0036】
水位計252は、機器10の周囲の浸水部の水位を測定する。水位計252は、例えば、非接触式水位計である。この場合、ドローン20は、浸水部に着水することなく、浸水部の水位を測定することができる。
【0037】
汚染情報取得部26は、機器10の周囲の汚染状況情報を取得する。汚染状況情報は、機場2における、人体等に有害な影響を与える汚染の状況を示す情報である。
【0038】
汚染情報取得部26は、水質計261と、空気汚染測定部262と、を有する。
【0039】
水質計261は、浸水部の水質を測定する。水質計261は、例えば、浸水部における水の性質または成分を検出する。水質計261は、氾濫等により浸水した水に、人体に有害な物質が含まれているかを計測する。
【0040】
空気汚染測定部262は、機器10の周囲の空気汚染を測定する。空気汚染測定部262は、例えば、空気中のガス成分量を測定する。空気汚染測定部262は、空気中に、硫化水素等の人体に有害な気体が含まれているかを計測する。
【0041】
図1図3を参照して説明したように、ドローン20は、位置制御部233が生成した飛行経路に沿って、被害情報取得部25が被害状況情報を取得可能なように、機器10まで飛行する。また、ドローン20は、位置制御部233が生成した飛行経路に沿って、汚染情報取得部26が汚染状況情報を取得可能なように、機器10まで飛行する。ドローン20は、被害を受けた機場2等、人が駆け付けることが困難な場所であっても、機器10に関する情報を取得することができる。
【0042】
次に、監視制御端末30の構成について説明する。
【0043】
図4は、第1実施形態による監視制御端末30の構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
監視制御端末30は、第1通信部31aと、第2通信部31bと、入力部32と、表示部33と、学習モデル記憶部34と、水位情報記憶部35と、判定部36と、判定表示制御部37と、汚染表示制御部38と、を備える。
【0045】
第1通信部31aは、無線ネットワークインタフェースである。第1通信部31aは、無線通信方式を用いて、ドローン20と通信する。第1通信部31aは、例えば無線LAN、BluetoothまたはLTE等の通信方式で通信してもよい。
【0046】
第2通信部31bは、ネットワークインタフェースである。第2通信部31bは機器制御装置40と通信可能に接続される。第2通信部31bは、例えば無線LAN、有線LAN、Bluetooth、PSTN(Public Switched Telephone Network)、専用線またはLTE等の通信方式で通信してもよい。
【0047】
入力部32は、タッチパネル、マウス及びキーボード等の入力装置を用いて構成される。入力部32は、入力装置を監視制御端末30に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部32は、入力装置において入力された入力信号から入力データ(例えば、監視制御端末30に対する指示を示す指示情報)を生成し、監視制御端末30に入力する。
【0048】
表示部33は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の出力装置である。
【0049】
学習モデル記憶部34は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。学習モデル記憶部は、被害状況情報と、機器10が運転可能か否かと、の対応関係に基づいて生成された学習モデルを予め記憶する。
【0050】
水位情報記憶部35は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。水位情報記憶部は、機器10に関する水位情報を予め記憶する。
【0051】
判定部36は、被害情報取得部25が取得した被害状況情報に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する。より詳細には、判定部36は、撮像部251が撮像した機器10の画像、および、水位計252が測定した浸水部の水位の少なくとも一方に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する。判定部36は、例えば、機器10が水没しているか否かを判定することにより、機器10が運転不可能であるか否かを判定する。尚、判定の詳細については、後で説明する。
【0052】
判定表示制御部37は、判定部36の判定結果を表示部33に表示させる。これにより、使用者は、判定結果を確認し、機器10の運転を継続もしくは開始させるか、または、機器10の運転を停止させるかの判断を行うことができる。
【0053】
汚染表示制御部38は、汚染情報取得部26が取得した汚染状況情報を表示部33に表示させる。これにより、使用者は、人員配備の必要性の判断を行うことができる。使用者は、例えば、汚染状況に応じて、人が機場2に入ることができるか、または、人が機器10に近づくことができるかを判断することができる。また、使用者は、汚染物質の除去等、空気汚染または水質汚染を改善するための判断を行うことができる。使用者は、例えば、汚染状況情報に基づいて、水質を改善させるために薬剤を注入する等の判断を行う。
【0054】
次に、画像による判定について説明する。
【0055】
判定部36は、撮像部251が撮像した機器10の画像から、AIを用いて機器10が運転可能か否かを判定する。判定部36は、学習モデル記憶部34で記憶された学習モデルに、被害情報取得部25が取得した被害状況情報を適用することにより、機器10が運転可能か否かを判定する。より詳細には、判定部36は、学習モデル記憶部34で記憶された学習モデルに、撮像部251が撮像した機器10の画像を適用することにより、機器10が運転可能か否かを判定する。学習モデルは、予め、教師有り学習により生成される。例えば、過去に発生した災害(水害)、または、災害に似たような状況のデータが図示しない記憶部に蓄積される。学習モデルは、例えば、蓄積されたデータに基づいて、機器10の画像と、機器10が浸水の被害を逃れたか否かと、の対応関係に基づいて生成される。
【0056】
このように、判定部36は、機械学習等により予め生成された学習モデルを用いて、判定を行う。
【0057】
次に、水位による判定について説明する。
【0058】
判定部36は、被害状況情報に含まれる数値と、予め設定された数値と、の比較に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する。より詳細には、判定部36は、水位計252の計測結果の数値と、水位情報記憶部35に記憶された水位情報の数値と、の比較に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する。例えば、或る機器10に対して、水位情報の数値が1mであり、水位計252の測定結果が1m未満である場合、判定部36は、機器10が運転可能であると判定する。水位情報記憶部35に記憶された水位情報は、例えば、複数の機器10のそれぞれごとに予め設定された、運転可能か否かを決定する水位の閾値である。また、水位情報記憶部35に記憶された水位情報は、過去に発生した災害のデータから決定されてもよい。例えば、或る機器10の地点における水位計252の測定結果が過去に水没を免れた水位よりも低い場合、判定部36は、機器10が水没していない、すなわち、機器10が運転可能であると判定する。
【0059】
このように、判定部36は、実測値と予め設定された数値との比較により、判定を行う。
【0060】
また、判定部36は、複数種類の判定方法を組み合わせて判定を行う。判定部36は、例えば、画像および水位の両方で運転可能と判定される場合、機器10が運転可能と判定してもよい。
【0061】
次に、制御システム1における制御方法について説明する。
【0062】
図5は、第1実施形態による制御システム1の動作の一例を示すフロー図である。
【0063】
まず、ドローン20は、情報取得対象となる機器10まで移動する(S10)。また、画像認識装置(浸水特定部)24は、浸水部を特定する。
【0064】
次に、被害情報取得部25は、被害状況情報を取得する(S20)。すなわち、被害情報取得部25は、ドローン20が機器10まで飛行することにより、被害状況情報を取得する。また、汚染情報取得部26は、汚染状況情報を取得する。信号送受信装置21は、取得された被害状況情報および汚染状況情報を、監視制御端末30に送信する。
【0065】
次に、判定部36は、被害情報取得部25が取得した被害状況情報に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する(S30)。
【0066】
次に、判定表示制御部37は、判定部36の判定結果を表示部33に表示させる(S40)。また、汚染表示制御部38は、汚染情報取得部26が取得した汚染状況情報を表示部33に表示させる。
【0067】
次に、位置制御部233は、全ての機器10で被害状況情報および汚染状況情報の取得が完了したか否かを判定する。全ての機器10で被害状況情報および汚染状況情報の取得が完了していない場合(ステップS50のNO)、他の機器10に対して、ステップS10~S40が再び実行される。図1に示すように、機場2には、複数の機器10が設けられている。
【0068】
一方、全ての機器10で被害状況情報および汚染状況情報の取得が完了した場合(ステップS50のYES)、ドローン20による情報取得の動作が終了する。従って、全ての機器10での情報取得が完了するまで、機器10ごとにステップS10~S40が繰り返し実行される。
【0069】
このように、ドローン20は、被害情報取得部25が複数の機器10の被害状況情報を取得可能なように、複数の機器10まで順繰りに飛行する(ステップS10、S20)。また、ドローン20は、汚染情報取得部26が複数の機器10の周囲の汚染状況情報を取得可能なように、複数の機器10まで順繰りに飛行する(ステップS10、S20)。判定部36は、被害情報取得部25が取得した被害状況情報に基づいて、複数の機器10が運転可能か否かを判定する(ステップS30)。
【0070】
使用者は、表示部33に表示された判定結果を確認して、機器10の運転の継続、開始、または停止の判断を行う。使用者は、運転可能と判定された機器10の運転を継続または開始させ、運転不可能と判定された機器10の運転を停止させる。使用者は、例えば、監視制御端末30の入力部32を操作することにより、機器10の運転に関する指令を機器制御装置40に送信する。機器制御装置40は、制御指令を機器10に送信する。また、使用者は、複数の機器10うち、運転不可能な機器10を停止させするとともに、運転可能な機器10を稼働させる。これにより、浸水等の被害を免れた機器10で運用する縮退運転が可能となる。
【0071】
以上のように、第1実施形態によれば、ドローン20は、被害情報取得部25を搭載し、被害情報取得部25が被害状況情報を取得可能なように機器10まで飛行する。判定部36は、被害情報取得部25が取得した被害状況情報に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する。これにより、ドローン20により取得された情報を機器10の運転に利用することができる。例えば、機場2に何らかの災害が発生し、人が機場2に立ち入ることが難しい場合であっても、機場2の内部の機器10の被害状況を知ることができる。これにより、例えば、被害を受けていない機器10を運転させることができ、大きく被害を受けた機器10を停止させることができる。
【0072】
また、汚染情報取得部26は、機器10までのドローン20の飛行経路の汚染状況情報を取得してもよい。空気汚染測定部262は、例えば、機器10までのドローン20の飛行経路の空気汚染を測定してもよい。これにより、使用者は、ドローン20の飛行経路と同じ経路で人が機器10まで安全に近づくことができるかどうかを判断することができる。
【0073】
また、被害状況情報は、汚染状況情報の一部が含まれていてもよい。これは、例えば、機器10が水没を免れていても、汚染状況によっては、機器10が運転不可能になる場合があるためである。
【0074】
また、機器10は、制御盤に接続されるケーブル等を含んでいてもよい。これは、ケーブル等が被害を受けて、制御盤の運転が不可能になる場合があるためである。
【0075】
尚、判定部36は、画像と水位のいずれか一方により判定を行ってもよい。この場合、被害情報取得部25には、撮像部251および水位計252のいずれか一方が設けられる。
【0076】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態による監視制御端末30の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態は、自動で機器10の制御が行われる点で、第1実施形態とは異なっている。
【0077】
監視制御端末30は、運転制御部39をさらに備える。
【0078】
制御部としての運転制御部39は、判定部36の判定結果に基づいて、機器10を制御する。より詳細には、運転制御部39は、運転可能と判定された機器10の運転を継続または開始させ、運転不可能と判定された機器10の運転を停止させる。すなわち、運転制御部39は、判定結果に基づいて、自動で機器10の運転を制御する。これにより、例えば、災害または事故等の影響により、使用者が中央監視設備3内に立ち入ることができない場合であっても、機器10の運転を制御することができる。
【0079】
図7は、第2実施形態による制御システム1の動作の一例を示すフロー図である。
【0080】
図7に示すステップS10、S20は、第1実施形態で説明した図5に示すステップS10、S20と同じである。
【0081】
ステップS20の後、判定部36は、被害情報取得部25が取得した被害状況情報に基づいて、機器10が運転可能か否かを判定する(S32)。機器10が運転可能と判定された場合(ステップS32のYES)、運転制御部39は、機器10の運転を継続または開始させる(S34)。
【0082】
一方、機器10が運転不可能と判定された場合(ステップS32のNO)、運転制御部39は、機器10の運転を停止させる(S36)。
【0083】
ステップS34またはステップS36の後、ステップS40、S50が実行される。図7に示すステップS40、S50は、第1実施形態で説明した図5に示すステップS40、S50と同じである。
【0084】
第2実施形態のように、運転制御部39が自動で機器10の運転を制御してもよい。
【0085】
第2実施形態による制御システム1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
本実施形態による制御システム1における制御方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御システム1における制御方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、制御システム1における制御方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 制御システム、2 機場、10 機器、20 ドローン、23 位置制御装置、231 位置情報取得部、24 画像認識装置、25 被害情報取得部、251 撮像部、252 水位計、26 汚染情報取得部、261 水質計、262 空気汚染測定部、30 監視制御端末、33 表示部、34 学習モデル記憶部、35 水位情報記憶部、36 判定部、37 判定表示制御部、38 汚染表示制御部、39 運転制御部、40 機器制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7