(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100506
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】汚泥搬出システムおよび汚泥搬出方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20230711BHJP
B65F 9/00 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
C02F11/00 C ZAB
B65F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001228
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 尚生
【テーマコード(参考)】
3E025
4D059
【Fターム(参考)】
3E025AA04
3E025BA03
3E025CA10
3E025DD10
3E025EA02
3E025EB07
4D059AA05
4D059CB01
4D059CB09
4D059CC01
4D059CC04
4D059EA03
4D059EA20
4D059EB02
(57)【要約】
【課題】汚泥をより適切に搬出することができる汚泥搬出システムおよび汚泥搬出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態による汚泥搬出システムは、貯留容器から排出される汚泥を収容する搬送容器を搬送部により搬送することにより、汚泥を搬出する。汚泥搬出システムは、高さ検出部と、高さ判定部と、を備える。高さ検出部は、貯留容器から汚泥が排出される汚泥排出位置における、搬送容器上の汚泥の高さを検出する。高さ判定部は、高さ検出部の検出結果が所定高さ以上か否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留容器から排出された汚泥を収容する搬送容器を搬送部により搬送することにより、汚泥を搬出する汚泥搬出システムであって、
前記貯留容器から汚泥が排出される汚泥排出位置における、前記搬送容器上の汚泥の高さを検出する高さ検出部と、
前記高さ検出部の検出結果が所定高さ以上か否かを判定する高さ判定部と、
を備える、汚泥搬出システム。
【請求項2】
前記高さ判定部の判定結果に基づいて、前記貯留容器の排出量を制御する排出制御部をさらに備える、請求項1に記載の汚泥搬出システム。
【請求項3】
前記排出制御部は、前記高さ検出部の検出結果が前記所定高さ以上である場合における前記貯留容器の排出量を、前記高さ検出部の検出結果が前記所定高さ未満である場合における前記貯留容器の排出量よりも低くする、請求項2に記載の汚泥搬出システム。
【請求項4】
前記高さ判定部の判定結果を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項5】
前記高さ判定部の判定結果に基づいて、前記搬送容器上の前記汚泥排出位置をずらすように、前記搬送部を制御する第1搬送制御部をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項6】
前記第1搬送制御部は、前記高さ検出部の検出結果が前記所定高さ以上である場合、前記搬送容器上の前記汚泥排出位置をずらすように、前記搬送部を制御する、請求項5に記載の汚泥搬出システム。
【請求項7】
前記搬送容器の位置を検出する搬送位置検出部をさらに備え、
前記第1搬送制御部は、前記搬送位置検出部の検出結果に基づいて、前記搬送部を制御する、請求項5または請求項6に記載の汚泥搬出システム。
【請求項8】
前記貯留容器内の汚泥の量を検出する汚泥量検出部と、
前記汚泥量検出部の検出結果と、所定汚泥量と、の比較判定を行う汚泥量判定部と、
前記汚泥量判定部の判定結果に基づいて、前記貯留容器の排出量を制御する第2排出制御部と、
をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項9】
前記第2排出制御部は、前記汚泥量検出部の検出結果が排出開始汚泥量以上である場合、前記貯留容器からの汚泥の排出を開始させる、請求項8に記載の汚泥搬出システム。
【請求項10】
前記貯留容器内の汚泥の量を検出する汚泥量検出部と、
前記汚泥量検出部の検出結果と、所定汚泥量と、の比較判定を行う汚泥量判定部と、
前記汚泥量判定部の判定結果を表示部に表示させる第2表示制御部と、
をさらに備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項11】
前記貯留容器内の汚泥の量を検出する汚泥量検出部と、
前記汚泥量検出部の検出結果と、所定汚泥量と、の比較判定を行う汚泥量判定部と、
前記汚泥量判定部の判定結果に基づいて、前記搬送部を制御する第2搬送制御部と、
をさらに備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項12】
前記第2搬送制御部は、前記汚泥量検出部の検出結果が排出開始汚泥量以上である場合、前記搬送容器を前記汚泥排出位置に移動させるように、前記搬送部を制御する、請求項11に記載の汚泥搬出システム。
【請求項13】
前記第2搬送制御部は、前記汚泥量検出部の検出結果が排出終了汚泥量以下である場合、前記搬送容器を前記汚泥排出位置から移動させるように、前記搬送部を制御する、請求項11または請求項12に記載の汚泥搬出システム。
【請求項14】
前記搬送容器の位置を検出する搬送位置検出部をさらに備え、
前記第2搬送制御部は、前記搬送位置検出部の検出結果に基づいて、前記搬送部を制御する、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項15】
前記貯留容器内の汚泥の異物を検出する異物検出部をさらに備える、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項16】
前記汚泥排出位置の周囲の人を検出する人検出部をさらに備える、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項17】
前記高さ検出部は、距離情報を検出する距離センサを含む、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項18】
前記高さ検出部は、RGB-Dカメラである、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の汚泥搬出システム。
【請求項19】
貯留容器から排出された汚泥を収容する搬送容器を搬送部により搬送することにより、汚泥を搬出する汚泥搬出システムにおける汚泥搬出方法であって、
前記貯留容器から汚泥が排出される汚泥排出位置における、前記搬送容器上の汚泥の高さを高さ検出部により検出し、
前記高さ検出部の検出結果が所定高さ以上か否かを判定部により判定する、
ことを具備する、汚泥搬出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、汚泥搬出システムおよび汚泥搬出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理の過程において生じる汚泥は、例えば、脱水機を用いて減容化され、汚泥ホッパに一時的に貯留され、その後、搬出される。搬出された汚泥は、例えば、トラックにて埋立地または再利用施設へ送られる。
【0003】
汚泥の搬出は、例えば、汚泥ホッパからトラックへの落下搬出により行われている。落下搬出中に汚泥がトラックの荷台からこぼれてしまうと、悪臭および衛生面の悪影響が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
汚泥をより適切に搬出することができる汚泥搬出システムおよび汚泥搬出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による汚泥搬出システムは、貯留容器から排出される汚泥を収容する搬送容器を搬送部により搬送することにより、汚泥を搬出する。汚泥搬出システムは、高さ検出部と、高さ判定部と、を備える。高さ検出部は、貯留容器から汚泥が排出される汚泥排出位置における、搬送容器上の汚泥の高さを検出する。高さ判定部は、高さ検出部の検出結果が所定高さ以上か否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による汚泥搬出システムの構成の一例を示す図。
【
図2】第1実施形態による制御装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態による汚泥搬出システムの動作の一例を示すフロー図。
【
図4】第1実施形態の第1変形例による汚泥搬出システムの構成の一例を示す図。
【
図5】第1実施形態の第2変形例による汚泥搬出システムの構成の一例を示す図。
【
図6】第2実施形態による汚泥搬出システムの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による汚泥搬出システム1の構成の一例を示す図である。
【0010】
汚泥搬出システム1は、ホッパ10と、トラック20と、高さ検出部30と、汚泥撮像部40と、物体撮像部50と、監視装置60と、制御装置70と、コントロールセンタ80と、表示装置90と、を備える。汚泥搬出システム1は、ホッパ10から排出される汚泥Sをトラック20により搬送することにより、汚泥Sを搬出する。搬出された汚泥Sは、例えば、焼却されて埋め立て処分され、肥料に再利用され、または、セメント等の建築資材に再利用される。
【0011】
貯留容器としてのホッパ10は、例えば、脱水機を用いた減容化等の処理が行われた汚泥Sを貯留する。ホッパ10は容量を超えて汚泥Sを貯留することができないため、貯留された汚泥Sは、排出される。
【0012】
また、ホッパ10は、蓋部11a、11bと、モータ12と、を有する。
【0013】
蓋部11a、11bは、ホッパ10の下部に一対に設けられる。蓋部11a、11bは、開閉可能に設けられる。蓋部11a、11bが開くことにより、ホッパ10に貯留された汚泥Sが排出される。また、蓋部11a、11bの開き量は、任意に調整可能である。
【0014】
モータ12は、蓋部11a、11bを開閉させる。
【0015】
搬送部としてのトラック20は、ホッパ10から排出された汚泥Sを搬出する。
【0016】
トラック20は、荷台21を有する。搬送容器としての荷台21は、ホッパ10から排出される汚泥Sを収容する。汚泥Sが積載された荷台21がトラック20により搬送されることにより、汚泥Sが搬出される。
【0017】
高さ検出部30は、ホッパ10から汚泥Sが排出される汚泥排出位置Pにおける、荷台21上の汚泥Sの高さを検出する。汚泥排出位置Pは、汚泥Sがホッパ10から落下により排出される場合、ホッパ10の下方の位置である。高さ検出部30は、例えば、距離センサである。また、高さ検出部30は、例えば、RGB-Dカメラである。従って、高さ検出部30は、色情報であるRGB画像、および、距離情報である深度画像(Depth画像)の両方を略同時に取得する。
【0018】
汚泥撮像部40は、ホッパ10内の汚泥Sを撮像する。汚泥撮像部40は、例えば、ホッパ10よりも上方に設けられる。汚泥撮像部40は、例えば、RGB-Dカメラである。従って、汚泥撮像部40は、色情報であるRGB画像、および、距離情報である深度画像の両方を略同時に取得する。
【0019】
また、汚泥量検出部としての汚泥撮像部40は、深度情報に基づいて、ホッパ10内の汚泥Sの量を検出する。例えば、ホッパ10内に汚泥Sが溜まるにつれて、汚泥Sと汚泥撮像部40との間の距離が短くなる。
【0020】
物体撮像部50は、汚泥排出位置Pおよびトラック20(荷台21)の周辺を撮像する。物体撮像部50は、例えば、RGB-Dカメラである。従って、物体撮像部50は、色情報であるRGB画像、および、距離情報である深度画像の両方を略同時に取得する。
【0021】
監視装置60は、高さ検出部30、汚泥撮像部40および物体撮像部50のそれぞれが取得した情報を取得する。監視装置60は、取得した情報を制御装置70に送信する。
【0022】
制御装置70は、高さ検出部30、汚泥撮像部40および物体撮像部50のそれぞれが取得した情報に基づいて、汚泥Sを搬出するための処理を行う。尚、制御装置70の詳細については、
図2を参照して、後で説明する。
【0023】
コントロールセンタ80は、モータ12が駆動可能となるように信号処理を行う。コントロールセンタ80は、例えば、制御装置70から送信されたデジタル信号を、アナログ電流信号に変換してモータ12に送信する。
【0024】
表示装置90は、表示部91と、報知部92と、を有する。
【0025】
表示部91は、制御装置70で出力される指示内容を表示する。トラック20の運転手は、例えば、表示部91を確認してトラック20の運転を行う。
【0026】
報知部92は、制御装置70で出力される内容を報知する。報知部92は、例えば、ホッパ10の汚泥Sの排出時に人がホッパ10またはトラック20の近くにいる場合、警告を報知する。
【0027】
次に、制御装置70の内部構成について説明する。
【0028】
図2は、第1実施形態による制御装置70の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
制御装置70は、高さ記憶部71aと、汚泥量記憶部71bと、高さ判定部72と、汚泥量判定部73と、排出制御部74と、画像認識部75と、演算部76と、表示制御部77と、報知制御部78と、を備える。
【0030】
高さ記憶部71aは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。高さ記憶部71aは、汚泥Sの高さに関する情報を記憶する。高さ記憶部71aは、所定高さHを記憶する。尚、所定高さHの詳細については、後で説明する。
【0031】
汚泥量記憶部71bは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。汚泥量記憶部71bは、ホッパ10内の汚泥Sの量に関する情報を記憶する。汚泥量記憶部71bは、例えば、排出開始汚泥量および排出終了汚泥量を記憶する。尚、排出開始汚泥量および排出終了汚泥量の詳細については、後で説明する。
【0032】
高さ判定部72は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上か否かを判定する。所定高さHは、高さ記憶部71aに記憶される。所定高さHは、
図1に示すように、例えば、荷台21の側壁の高さより少し低い高さである。所定高さHは、例えば、荷台21の側壁の高さから約50cm低い高さである。所定高さHは、ホッパ10から排出された汚泥Sが荷台21からこぼれない程度の高さに設定される。これにより、汚泥Sが荷台21からこぼれそうか否かを自動で判定することができる。この結果、汚泥Sをより適切に搬出することができる。
【0033】
汚泥量判定部73は、汚泥量検出部(汚泥撮像部40)の検出結果と、所定汚泥量と、の比較判定を行う。所定汚泥量は、ホッパ10内の汚泥Sの排出の開始タイミングおよび終了タイミングをそれぞれ示す、排出開始汚泥量および排出終了汚泥量を含む。これにより、ホッパ10の汚泥Sの排出の開始および停止に関する判定を自動で行うことができる。
【0034】
排出制御部74は、コントロールセンタ80を介してモータ12に信号を送ることにより、ホッパ10の排出量を制御する。排出制御部74は、高さ判定部72の判定結果に基づいて、ホッパ10の排出量を制御する。より詳細には、排出制御部74は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上である場合におけるホッパ10の排出量を、高さ検出部30の検出結果が所定高さH未満である場合におけるホッパ10の排出量よりも低くする。排出制御部74は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上である場合、例えば、排出量を略ゼロにする。これにより、所定高さHを超えて汚泥Sが荷台21上に積載されることを抑制することができる。この結果、荷台21から汚泥Sがこぼれることを抑制することができる。
【0035】
また、排出制御部74は、汚泥量判定部73の判定結果に基づいて、ホッパ10の排出量を制御する。排出制御部74は、汚泥量検出部(汚泥撮像部40)の検出結果が排出開始汚泥量以上である場合、ホッパ10からの汚泥Sの排出を開始させる。排出開始汚泥量は、汚泥量記憶部71bに記憶される。
【0036】
画像認識部75は、物体撮像部50によるRGB画像および深度画像から、トラック20および人等の認識対象を認識する。また、画像認識部75は、汚泥撮像部40によるRGB画像から、汚泥S内の異物等を認識する。画像認識部75は、例えば、機械学習等のAI(Artificial Intelligence)技術を用いて、RGB画像および深度画像から、認識対象または異物等を特定する。尚、特定方法は、これに限られない。
【0037】
人検出部としての物体撮像部50および画像認識部75は、汚泥排出位置Pまたはトラック20の周囲の人を検出する。
【0038】
搬送位置検出部としての物体撮像部50および画像認識部75は、トラック20の荷台21の位置を検出する。
【0039】
異物検出部としての汚泥撮像部40および画像認識部75は、汚泥撮像部40が取得する色情報に基づいて、ホッパ10内の汚泥Sの異物を検出する。
【0040】
演算部76は、汚泥Sの排出中におけるトラック20の移動指示を演算する。
【0041】
ここで、荷台21上の一箇所で汚泥Sが排出されると、汚泥Sは、側方から見て略三角形状に積まれる。荷台21上の汚泥排出位置Pの位置をずらして再び汚泥Sを荷台21に積載すると、
図1に示すように、汚泥Sは略台形状に積まれる。すなわち、汚泥Sの排出と荷台21の位置調整とが繰り返し行われ、均したように汚泥Sが積載される。尚、汚泥Sは、高さ判定部72および排出制御部74により、所定高さHと略同じ高さ、または、所定高さHに近い高さで均したように積載される。
【0042】
演算部76は、例えば、高さ検出部30が取得した距離情報(深度画像)から、荷台21上の次の汚泥排出位置Pを演算する。演算方法は、例えば、汚泥Sの積載状況のシミュレーションにより行われるが、これに限られない。演算部76は、例えば、3m後退する等のトラック20の移動指示を演算する。これにより、トラック20の運転手は、トラック20の位置調整をより適切に行うことができる。
【0043】
また、演算部76は、汚泥Sの排出前におけるトラック20の移動指示を演算してもよい。演算部76は、例えば、汚泥の排出前にトラック20をホッパ10の下方に移動させるための移動指示を演算する。これにより、トラック20の運転手は、汚泥排出位置Pまでより適切に運転することができる。尚、移動指示の演算に用いられるトラック20の位置および汚泥排出位置Pは、例えば、搬送位置検出部(物体撮像部50および画像認識部75)により検出される。
【0044】
表示制御部77は、高さ判定部72の判定結果を表示部91に表示させる。また、表示制御部77は、トラック20の運転手が確認できるように、演算部76により演算されたトラック20の移動指示を表示部91に表示させる。
【0045】
また、表示制御部77は、汚泥量判定部73の判定結果を表示部91に表示させる。
【0046】
報知制御部78は、汚泥排出位置Pの周知に人が検出されたことを報知部92に報知させる。これにより、事故を抑制することができる。また、報知制御部78は、ホッパ10内の汚泥Sに異物が検出されたことを報知部92に報知させる。
【0047】
尚、高さ判定部72、汚泥量判定部73、排出制御部74、画像認識部75、演算部76、表示制御部77および報知制御部78は、例えば、1つのCPU(Central Processing Unit)等で実現されてもよく、それぞれ個別のCPUで実現されていてもよい。
【0048】
次に、汚泥搬出システム1の動作について説明する。
【0049】
図3は、第1実施形態による汚泥搬出システム1の動作の一例を示すフロー図である。
図3の動作開始時において、処理された汚泥Sがホッパ10内に投入されている。
【0050】
まず、汚泥量検出部(汚泥撮像部40)は、距離情報に基づいて、ホッパ10内の汚泥Sの量を検出する(S10)。また、異物検出部(汚泥撮像部40および画像認識部75)は、ホッパ10内の汚泥Sの異物を検出する。異物が検出された場合、報知制御部78は、異物が検出されたことを報知部92に報知させる。
【0051】
次に、汚泥量判定部73は、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出開始汚泥量以上か否かを判定する(S20)。ホッパ10内の汚泥Sの量が排出開始汚泥量未満である場合(ステップS20のNO)、ステップS10が再び実行される。従って、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出開始汚泥量以上になるまで、ステップS10、S20が繰り返し実行される。尚、排出開始汚泥量は、例えば、ホッパ10の最大容量の汚泥量である。また、表示制御部77は、ステップS20の判定結果を表示部91に表示する。
【0052】
一方、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出開始汚泥量以上である場合(ステップS20のYES)、表示制御部77は、トラック20の移動指示(ステップS20の判定結果)を出力する(S30)。表示制御部77は、例えば、トラック20の運転手が確認できるように、表示部91に移動指示を表示する。運転手は、例えば、トラック20の荷台21が汚泥排出位置Pに位置するように、トラック20を移動させる。
【0053】
また、搬送位置検出部(物体撮像部50および画像認識部75)は、トラック20の位置を検出する。演算部76は、トラック20の移動指示を演算する。表示制御部77は、例えば、トラック20の運転手が確認できるように、演算部76の演算結果である移動指示を表示部91に表示させる。
【0054】
次に、人検出部(物体撮像部50および画像認識部75)は、トラック20および汚泥排出位置Pの周囲を監視する(S40)。人がトラック20または汚泥排出位置Pの近くにいる場合、報知制御部78は、人がトラック20または汚泥排出位置Pの近くにいることを報知部92に報知させる。
【0055】
次に、排出制御部74は、ホッパ10に開指令を出力する(S50)。これにより、ホッパ10から汚泥Sが排出され始める。
【0056】
次に、高さ検出部30は、汚泥排出位置Pにおける、荷台21上の汚泥Sの高さを検出する(S60)。
【0057】
次に、高さ判定部72は、汚泥排出位置Pにおける、荷台21上の汚泥Sの高さが所定高さH以上か否かを判定する。すなわち、高さ判定部72は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上か否かを判定する。高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上である場合(ステップS70のYES)、排出制御部74は、ホッパ10の汚泥Sの排出量を減らす指示を出力する(S80)。排出制御部74は、例えば、ホッパ10の汚泥Sの排出量を略ゼロにする。これにより、汚泥排出位置Pにおける荷台21上の汚泥Sの高さが所定高さHを大きく超えないようにすることができる。また、表示制御部77は、トラック20の移動指示(ステップS70の判定結果)を出力する。これにより、荷台21上の汚泥排出位置Pをずらすことができる。この結果、均したように汚泥Sを荷台21に積載することができる。ステップS80の後、ステップS60が再び実行される。
【0058】
一方、高さ検出部30の検出結果が所定高さH未満である場合(ステップS70のNO)、汚泥量判定部73は、例えば、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出終了汚泥量以下であるか否かを判定する(S90)。すなわち、汚泥量判定部73は、ホッパ10に汚泥Sが残っているか否か判定する。ホッパ10内の汚泥Sの量が排出終了汚泥量より大きい場合(ステップS90のNO)、ステップS60が再び実行される。従って、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出終了汚泥量以下になるまで、ステップS60~S90が繰り返し実行される。尚、排出終了汚泥量は、例えば、略ゼロであり、ホッパ10内の略全ての汚泥Sが排出された場合の汚泥量である。また、表示制御部77は、ステップS90の判定結果を表示部91に表示する。
【0059】
一方、ホッパ10内の汚泥Sの量が排出終了汚泥量以下である場合(ステップS90のYES)、表示制御部77は、トラック20の移動指示(ステップS90の判定結果)を出力する(S100)。表示制御部77は、例えば、トラック20の運転手が確認できるように、表示部91に移動指示を表示する。運転手は、トラック20により、汚泥Sを埋立地または再利用施設等に搬送する。このように、汚泥Sの搬出が行われる。
【0060】
以上のように、第1実施形態によれば、高さ検出部30は、汚泥排出位置P(汚泥落下位置)における、荷台21上の汚泥Sの高さを検出する。高さ判定部72は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上であるか否かを判定する。これにより、ホッパ10に貯留された汚泥Sをより適切に搬出することができる。
【0061】
また、排出制御部74は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上である場合、ホッパ10の排出量を少なくする。これにより、汚泥Sの高さが所定高さHを大きく超えないようにすることができる。この結果、汚泥Sがトラックの荷台(搬送容器)からこぼれることを抑制することができる。
【0062】
また、表示制御部77は、高さ判定部72の判定結果を表示部91に表示させる。これにより、使用者は、汚泥排出位置Pにおける荷台21上の汚泥Sの高さが、所定高さH以上であることを知ることができる。この結果、使用者は、汚泥排出位置Pに対して荷台21の位置をずらすように、トラック20を運転させることができる。その後、ずらされた汚泥排出位置Pで汚泥Sが再び積まれる。これにより、
図1に示すように、均したように汚泥Sを荷台21上に積載することができる。
【0063】
比較例として、高さ検出部30および汚泥撮像部40が設けられない場合について説明する。まず、使用者は、ホッパ10の重量計等の測定結果を確認して、ホッパ10の汚泥Sの量が満杯か否かを判断する。次に、使用者は、トラック20を運転し、位置調整を行う。使用者は、例えば、制御盤を操作して、ホッパ10から汚泥Sを排出させる。次に、使用者は、荷台21の汚泥Sを監視する。もし汚泥Sが荷台21からこぼれると、悪臭および衛生の面から悪影響が生じる。汚泥Sが荷台21からこぼれそうな場合、使用者は、ホッパ10を閉めて汚泥Sの山を均す、または、トラック20の位置を調整して汚泥Sが荷台21からこぼれない位置に汚泥Sが落下するようにする。このように、使用者が、上記の一連の作業を行う必要がある。この場合、ホッパ10内および荷台21内の汚泥Sの監視、並びに、汚泥Sの山を均すこと等は、人である使用者により行われる。従って、手間がかかり、また、ヒューマンエラーが生じる可能性がある。また、安全面で問題がある。
【0064】
これに対して、第1実施形態では、ホッパ10内および荷台21内の汚泥Sの監視、並びに、トラック20の移動指示等を自動で行うことができる。すなわち、作業の一部を自動化することができる。これにより、手間およびヒューマンエラーを抑制することができる。また、安全面においてもより好ましい。
【0065】
また、所定高さHは、荷台21内で必ずしも一定でなくてもよい。例えば、荷台21の外周部における所定高さHは、荷台21の中心部の所定高さHよりも低くてもよい。これは、荷台21の側壁付近では、荷台21の中心部よりも汚泥Sが高く積もりやすい場合があるためである。
【0066】
尚、トラック20の運転手への移動指示は、表示に限られず、例えば、音声等で報知部92により報知されてもよい。
【0067】
また、高さ検出部30、汚泥撮像部40および物体撮像部50は、RGB-Dカメラに限られない。RGB-Dカメラに代えて、色情報を検出するカメラおよび距離情報を検出する距離センサの両方が用いられてもよい。また、色情報を制御装置70の処理に用いない場合、RGB-Dカメラに代えて、距離センサが用いられてもよい。
【0068】
また、ステップS20におけるホッパ10内の汚泥Sの積載量の判定に限られず、予め設定された搬出開始時間の経過により、ステップS30が実行されてもよい。
【0069】
(第1実施形態の第1変形例)
図4は、第1実施形態の第1変形例による汚泥搬出システム1の構成の一例を示す図である。第1実施形態の第1変形例は、汚泥撮像部40に代えて、重量計によりホッパ10内の汚泥Sの量が検出される点で、第1実施形態とは異なっている。
【0070】
汚泥搬出システム1は、重量計40aを備える。汚泥量検出部としての重量計40aは、ホッパ10の重量を測定する。ホッパ10の重量から、ホッパ10内の汚泥Sの量を算出することができる。
【0071】
第1実施形態の第1変形例による汚泥搬出システム1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(第1実施形態の第2変形例)
図5は、第1実施形態の第2変形例による汚泥搬出システム1の構成の一例を示す図である。第1実施形態の第2変形例は、トラック20が自動運転で移動する点で、第1実施形態とは異なっている。
【0073】
トラック20は、搬送制御部22をさらに有する。搬送制御部22は、トラック20の自動運転を行うための制御を行う。例えば、
図3におけるステップS30、S80、S100において、搬送制御部22は、制御装置70の演算部76から出力されるトラック20の移動指示を受け取る。搬送制御部22は、受け取った移動指示に基づいて、トラック20を自動運転で移動させる。
【0074】
搬送制御部22は、高さ判定部72の判定結果に基づいて、荷台21上の汚泥排出位置P(汚泥排出位置Pに対する荷台21の位置)をずらすように、トラック20を制御する(
図3のステップS80)。より詳細には、搬送制御部22は、高さ検出部30の検出結果が所定高さH以上である場合、荷台21上の汚泥排出位置Pをずらすように、トラック20を制御する。
【0075】
搬送制御部22は、搬送位置検出部(物体撮像部50および画像認識部75)の検出結果に基づいて、トラック20を制御する。また、搬送制御部22は、例えば、演算部76の演算結果(例えば、3m後退する)に基づいて、トラック20を制御する。
【0076】
また、搬送制御部22は、汚泥量判定部73の判定結果に基づいて、トラック20を制御する。搬送制御部22は、汚泥量検出部(汚泥撮像部40)の検出結果が排出開始汚泥量以上である場合、荷台21を汚泥排出位置Pに移動させるように、トラック20を制御する(
図3のステップS30)。搬送制御部22は、汚泥量検出部(汚泥撮像部40)の検出結果が排出終了汚泥量以下である場合、荷台21を汚泥排出位置Pから移動させるように、トラック20を制御する(
図3のステップS100)。
【0077】
第1実施形態の第2変形例による汚泥搬出システム1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
第1実施形態の第2変形例では、トラック20の位置の調整も自動で行うことができる。この結果、手間およびヒューマンエラーをさらに抑制することができる。また、安全面においてもより好ましい。
【0079】
また、物体撮像部50および画像認識部75は、トラック20の運転に対して障害となる障害物を検出する障害物検出部として機能してもよい。
【0080】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態による汚泥搬出システム1の構成の一例を示す図である。第2実施形態は、トラック20に代えてベルトコンベアにより汚泥Sが搬送される点で、第1実施形態とは異なっている。
【0081】
汚泥搬出システム1は、ベルトコンベア20aを備える。搬送部としてのベルトコンベア20aは、搬送容器としてのコンテナ21aを搬送する。
【0082】
尚、ベルトコンベア20a上に、
図1に示すトラック20が配置されてもよい。この場合、ベルトコンベア20aが搬送部として機能し、荷台21が搬送容器として機能する。
【0083】
第2実施形態による汚泥搬出システム1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
本実施形態による汚泥搬出システム1における汚泥搬出方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、汚泥搬出システム1における汚泥搬出方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、汚泥搬出システム1における汚泥搬出方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 汚泥搬出システム、10 ホッパ、20 トラック、20a ベルトコンベア、21 荷台、21a コンテナ、22 搬送制御部、30 高さ検出部、40 汚泥撮像部、40a 重量計、50 物体撮像部、70 制御装置、71a 高さ記憶部、71b 汚泥量記憶部、72 高さ判定部、73 汚泥量判定部、74 排出制御部、75 画像認識部、76 演算部、77 表示制御部、91 表示部、92 報知部、P 汚泥排出位置、H 所定高さ、S 汚泥