(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100515
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】揺動装置および揺動装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09B 9/12 20060101AFI20230711BHJP
G09B 9/14 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G09B9/12
G09B9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001244
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貫太
(57)【要約】
【課題】揺動装置および揺動装置の制御方法において、大型化や高コスト化を抑制すると共に安全性の向上を図る。
【解決手段】対向して配置される第1部材と第2部材との間に複数の伸縮装置が配置される揺動装置において、伸縮装置は、第1部材と第2部材との間で伸縮可能な第1伸縮部と、第1部材と第2部材との間で伸縮可能な第2伸縮部と、第1伸縮部および第2伸縮部に対して動力を供給する共通の駆動源と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される第1部材と第2部材との間に複数の伸縮装置が配置される揺動装置において、
前記伸縮装置は、
前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第1伸縮部と、
前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第2伸縮部と、
前記第1伸縮部および前記第2伸縮部に対して動力を供給する共通の駆動源と、
を備える揺動装置。
【請求項2】
前記第1伸縮部と前記第2伸縮部は、前記第1部材と前記第2部材との間に直列に配置される、
請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記第1伸縮部と前記第2伸縮部は、前記第1部材と前記第2部材との間に並列に配置される、
請求項1に記載の揺動装置。
【請求項4】
前記第1伸縮部は、第1ねじ軸と、前記第1ねじ軸のねじ部に螺合して軸方向に移動自在な第1移動体とを有し、前記第2伸縮部は、第2ねじ軸と、前記第2ねじ軸のねじ部に螺合して軸方向に移動自在な第2移動体とを有し、前記駆動源と前記第1ねじ軸との間に前記駆動源の動力を伝達して前記第1ねじ軸を回転可能な第1動力伝達系が設けられると共に、前記駆動源と前記第2ねじ軸との間に前記駆動源の動力を伝達して前記第2ねじ軸を回転可能な第2動力伝達系が設けられる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の揺動装置。
【請求項5】
前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸は、一直線状に配置され、内部に共通のガイド軸が配置される、
請求項4に記載の揺動装置。
【請求項6】
前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸は、基端部側が前記第1部材と前記第2部材の一方に連結され、前記第1移動体と前記第2移動体は、先端部が連結部材に連結され、前記連結部材を介して前記第1部材と前記第2部材の他方に連結される、
請求項4に記載の揺動装置。
【請求項7】
前記第1伸縮部は、ねじ軸と、前記ねじ軸のねじ部に螺合して軸方向に移動自在な移動体とを有し、前記第2伸縮部は、前記移動体と、前記移動体の外周のねじ部に螺合して軸方向に移動自在な円筒部材とを有し、前記駆動源と前記ねじ軸との間に前記駆動源の動力を伝達して前記ねじ軸を回転可能な第1動力伝達系が設けられると共に、前記駆動源と前記円筒部材との間に前記駆動源の動力を伝達して前記円筒部材を回転可能な第2動力伝達系が設けられる、
請求項1に記載の揺動装置。
【請求項8】
前記第1動力伝達系および前記第2動力伝達系は、それぞれ異なる形式の動力伝達経路が設けられる、
請求項4または請求項7に記載の揺動装置。
【請求項9】
前記第1伸縮部と前記第2伸縮部の作動不良を検出する作動不良検出部と、前記作動不良検出部の検出結果に基づいて前記駆動源を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記作動不良検出部が前記第1伸縮部と前記第2伸縮部のいずれか一方の作動不良を検出すると、前記駆動源によりいずれか他方の伸縮量を制御する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の揺動装置。
【請求項10】
対向して配置される第1部材と第2部材との間に複数の伸縮装置が配置される揺動装置の制御方法において、
前記伸縮装置は、
前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第1伸縮部と、
前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第2伸縮部と、
前記第1伸縮部および前記第2伸縮部に対して動力を供給する共通の駆動源と、
を備え、
前記第1伸縮部と前記第2伸縮部のいずれか一方に作動不良が発生したとき、前記駆動源によりいずれか他方の伸縮量を制御する、
揺動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライビングシミュレータやフライトシミュレータなどに適用されるスチュワートプラットフォームなどの揺動装置および揺動装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライビングシミュレータなどに適用されるスチュワートプラットフォームは、下部支持板と上部支持板との間に6本のアクチュエータが架設されて構成される。スチュワートプラットフォームは、6本のアクチュエータを作動することで、下部支持板に対する上部支持板の角度を制御する。このような技術として、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許出願公開第2328192号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/172029号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スチュワートプラットフォームは、上部支持板が6本のアクチュエータにより下部支持板に支持される。そのため、例えば、6本のアクチュエータうちの1本のアクチュエータに作動不良が発生すると、上部支持板を適正な角度に制御することが困難になる。上述した特許文献では、アクチュエータの数を増加させたり、1本のアクチュエータに対して複数の駆動源を設けたりしている。しかし、このような構成では、駆動源の数を多くなることで、装置の大型化や高コスト化を招いてしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、大型化や高コスト化を抑制すると共に安全性の向上を図る揺動装置および揺動装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の揺動装置は、対向して配置される第1部材と第2部材との間に複数の伸縮装置が配置される揺動装置において、前記伸縮装置は、前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第1伸縮部と、前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第2伸縮部と、前記第1伸縮部および前記第2伸縮部に対して動力を供給する共通の駆動源と、を備える。
【0007】
また、本開示の揺動装置の制御方法は、対向して配置される第1部材と第2部材との間に複数の伸縮装置が配置される揺動装置の制御方法において、前記伸縮装置は、前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第1伸縮部と、前記第1部材と前記第2部材との間で伸縮可能な第2伸縮部と、前記第1伸縮部および前記第2伸縮部に対して動力を供給する共通の駆動源と、を備え、前記第1伸縮部と前記第2伸縮部のいずれか一方に作動不良が発生したとき、前記駆動源によりいずれか他方の伸縮量を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の揺動装置および揺動装置の制御方法によれば、大型化や高コスト化を抑制することができると共に、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の揺動装置の全体構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。
【
図3】
図3は、伸縮装置の変形例を表す断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態の揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態の揺動装置における伸縮装置の要部を表す正面図である。
【
図7】
図7は、伸縮装置の要部を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<揺動装置>
図1は、第1実施形態の揺動装置の全体構成を表す斜視図である。
【0012】
第1実施形態において、
図1に示すように、揺動装置10は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に複数の伸縮装置13が配置されて構成される。揺動装置10は、例えば、スチュワートプラットフォームであって、6個の伸縮装置13を有する。但し、揺動装置10は、スチュワートプラットフォームに限るものではなく、伸縮装置13の個数も、5個以下であってもよく、7個以上であってもよい。揺動装置10は、例えば、ドライビングシミュレータやフライトシミュレータなどシミュレータ装置、ロボットハンドなどに適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
6個の伸縮装置13は、例えば、2個の伸縮装置13が1組として3組構成される。1組で2個の伸縮装置13は、ハの字形状に配置される。1組の伸縮装置13は、各基端部が第1部材11の異なる連結部21,22にユニバーサルジョイント(自在継手)23,24を介して連結される。また、1組の伸縮装置13は、各先端部が第2部材12の共通である連結部25にユニバーサルジョイント(自在継手)26,27を介して連結される。1組の伸縮装置13は、基端部が隣り合う別の1組で2個の伸縮装置13の基端部の近傍に連結される。なお、6個の伸縮装置13は、同様の構成である。また、1組の伸縮装置13は、各基端部が共通の連結部に連結されていてもよいし、各先端部が異なる連結部25に連結されていてもよい。
【0014】
揺動装置10は、複数の伸縮装置13の伸縮量を制御することで、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更して調整することができる。このとき、少なくとも、1組で2個の伸縮装置13の伸縮量を同期して制御する。
【0015】
<伸縮装置の構成>
図2は、揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。
【0016】
図2に示すように、伸縮装置13は、第1伸縮部31と、第2伸縮部32と、駆動源33と、第1動力伝達系34と、第2動力伝達系35とを有する。
【0017】
第1伸縮部31および第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能である。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間に直列状態をなして配置される。第1伸縮部31および第2伸縮部32は、第1ハウジング40に収容される。
【0018】
第1伸縮部31は、第1ねじ軸41と、第1移動体42とを有する。第1ねじ軸41は先端部にねじ部41aが形成される。第1移動体42は、基端部に貫通するねじ孔42aが形成される。第1伸縮部31は、第1ねじ軸41のねじ部41aが第1移動体42のねじ孔42aに螺合して構成される。
【0019】
第1ねじ軸41は、第1ハウジング40に軸受43により周方向に回転自在で、軸方向に移動不能に支持される。第1移動体42は、ガイド部材44により軸方向に移動自在で、周方向に回転不能に支持される。第1伸縮部31は、第1移動体42の先端部側の一部が第1ハウジング40から突出する。第1移動体42は、先端部に連結部45が設けられ、連結部45がユニバーサルジョイント23,24(
図1参照)を介して第1部材11に連結される。
【0020】
第2伸縮部32は、第2ねじ軸46と、第2移動体47とを有する。第2ねじ軸46は、先端部にねじ部46aが形成される。第2移動体47は、基端部に貫通するねじ孔47aが形成される。第2伸縮部32は、第2ねじ軸46のねじ部46aが第2移動体47のねじ孔47aに螺合して構成される。
【0021】
第2ねじ軸46は、第1ハウジング40に軸受48により周方向に回転自在で、軸方向に移動不能に支持される。第2移動体47は、ガイド部材49により軸方向に移動自在で、周方向に回転不能に支持される。第2伸縮部32は、第2移動体47の先端部側の一部が第1ハウジング40から突出する。第2移動体47は、先端部に連結部50が設けられ、連結部50がユニバーサルジョイント26,27(
図1参照)を介して第2部材12に連結される。
【0022】
第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46の中心が共通の中心O1に沿って配置される。
【0023】
そのため、第1伸縮部31にて、第1ねじ軸41が正回転すると、動力が互いに螺合するねじ部41aおよびねじ孔42aを介して第1移動体42に伝達され、第1移動体42は、軸方向の一方に移動し、第1ねじ軸41に対して離間する。一方、第1伸縮部31にて、第1ねじ軸41が逆回転すると、動力が互いに螺合するねじ部41aおよびねじ孔42aを介して第1移動体42に伝達され、第1移動体42は、軸方向の他方に移動し、第1ねじ軸41に対して接近する。
【0024】
第2伸縮部32にて、第2ねじ軸46が正回転すると、動力が互いに螺合するねじ部46aおよびねじ孔47aを介して第2移動体47に伝達され、第2移動体47は、軸方向の一方に移動し、第2ねじ軸46に対して離間する。一方、第2伸縮部32にて、第2ねじ軸46が逆回転すると、動力が互いに螺合するねじ部46aおよびねじ孔47aを介して第2移動体47に伝達され、第2移動体47は、軸方向の他方に移動し、第2ねじ軸46に対して接近する。
【0025】
駆動源33は、例えば、電動または油圧モータである。駆動源33は、出力軸としての回転軸51を有する。駆動源33は、第2ハウジング52に収容され、固定される。第2ハウジング52は、第1ハウジング40に固定される。回転軸51は、第2ハウジング52に軸受53,54により周方向に回転自在に支持される。駆動源33は、回転軸51を正回転および逆回転することができる。駆動源33は、第1伸縮部31および第2伸縮部32に対して動力を供給する共通の駆動源として機能する。
【0026】
第1動力伝達系34は、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、駆動ベルト63とを有する。駆動プーリ61は、駆動源33の回転軸51に固定される。従動プーリ62は、第1伸縮部31における第1ねじ軸41に固定される。駆動ベルト63は、無端のベルトであり、駆動プーリ61と従動プーリ62との間に掛け回される。第1動力伝達系34は、駆動源33と第1ねじ軸41との間で、駆動源33の動力を伝達して第1ねじ軸41を回転可能である。
【0027】
第2動力伝達系35は、駆動プーリ64と、従動プーリ65と、駆動ベルト66とを有する。駆動プーリ64は、駆動源33の回転軸51に固定される。従動プーリ65は、第2伸縮部32における第2ねじ軸46に固定される。駆動ベルト66は、無端のベルトであり、駆動プーリ64と従動プーリ65との間に掛け回される。第2動力伝達系35は、駆動源33と第2ねじ軸46との間で、駆動源33の動力を伝達して第2ねじ軸46を回転可能である。
【0028】
そのため、駆動源33を駆動し、回転軸51を正回転すると、動力が第1動力伝達系34を構成する駆動プーリ61、駆動ベルト63、従動プーリ62を介して第1ねじ軸41に伝達され、第1ねじ軸41が正回転する。また、駆動源33の動力が第2動力伝達系35を構成する駆動プーリ64、駆動ベルト66、従動プーリ65を介して第2ねじ軸46に伝達され、第2ねじ軸46が正回転する。
【0029】
一方、駆動源33を駆動し、回転軸51を逆回転すると、動力が第1動力伝達系34を構成する駆動プーリ61、駆動ベルト63、従動プーリ62を介して第1ねじ軸41に伝達され、第1ねじ軸41が逆回転する。また、駆動源33の動力が第2動力伝達系35を構成する駆動プーリ64、駆動ベルト66、従動プーリ65を介して第2ねじ軸46に伝達され、第2ねじ軸46が逆回転する。
【0030】
また、揺動装置10(
図1参照)は制御部71を有する。制御部71は、駆動源33を介して各伸縮装置13を制御可能である。すなわち、制御部71は、駆動源33の回転方向、回転速度、回転量などを調整することで、各伸縮装置13の伸縮方向や伸縮量などを制御する。制御部71は、入力された指令値や記憶された各種プログラムに応じて駆動源33を制御する。制御部71は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などに構成され、各種プログラムを実行する。
【0031】
各伸縮装置13は、第1伸縮部31や第2伸縮部32などの作動不良を検出する作動不良検出部72が設けられる。作動不良検出部72は、第1伸縮部31および第2伸縮部32の故障、第1動力伝達系34および第2動力伝達系35の故障、第1伸縮部31および第2伸縮部32に設けられる各ブレーキ装置(図示略)の故障などを検出する。作動不良検出部72は、例えば、第1ねじ軸41や第2ねじ軸46の回転量を検出する回転センサ、第1移動体42や第2移動体47の移動量を検出するストロークセンサ、駆動プーリ61,64や従動プーリ62,65の回転量を検出する回転センサ、駆動ベルト63,66の移動速度を検出する加速度センサなどであるが、これらのセンサに限定されるものではない。
【0032】
制御部71は、作動不良検出部72の検出結果に基づいて駆動源33を制御する。制御部71は、作動不良検出部72が第1伸縮部31と第2伸縮部32のいずれか一方の作動不良を検出すると、駆動源33によりいずれか他方の伸縮量を制御する。
【0033】
<伸縮装置の作動>
【0034】
第1部材11に対して第2部材12の角度を変更するとき、制御部71は、各伸縮装置13を作動する。制御部71は、駆動源33を駆動し、回転軸51を正回転する。駆動源33の動力は、第1動力伝達系34を介して第1伸縮部31に伝達され、第1ねじ軸41が正回転する。第1ねじ軸41が正回転すると、回転力がねじ部41aおよびねじ孔42aを介して第1移動体42に軸方向移動力として伝達され、第1移動体42が第1ねじ軸41に対して離間する。また、駆動源33の動力は、第2動力伝達系35を介して第2伸縮部32の第2ねじ軸46に伝達され、第2ねじ軸46が正回転する。第2ねじ軸46が正回転すると、回転力がねじ部46aおよびねじ孔47aを介して第2移動体47に軸方向移動力として伝達され、第2移動体47が第2ねじ軸46に対して離間する。
【0035】
その結果、伸縮装置13は、第1ハウジング40および第2ハウジング52に対して、第1移動体42および第2移動体47が軸方向の外方に伸長し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0036】
一方、制御部71は、駆動源33を駆動し、回転軸51を逆回転すると、駆動源33の動力は、第1動力伝達系34を介して第1伸縮部31に伝達され、第1ねじ軸41が逆回転する。第1ねじ軸41が逆回転すると、回転力がねじ部41aおよびねじ孔42aを介して第1移動体42に軸方向移動力として伝達され、第1移動体42が第1ねじ軸41に対して接近する。また、駆動源33の動力は、第2動力伝達系35を介して第2伸縮部32の第2ねじ軸46に伝達され、第2ねじ軸46が逆回転する。第2ねじ軸46が逆回転すると、回転力がねじ部46aおよびねじ孔47aを介して第2移動体47に軸方向移動力として伝達され、第2移動体47が第2ねじ軸46に対して接近する。
【0037】
その結果、伸縮装置13として、第1ハウジング40および第2ハウジング52に対して、第1移動体42および第2移動体47が軸方向の内方に収縮し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0038】
そして、伸縮装置13にて、例えば、作動不良検出部72が第1伸縮部31の作動不良を検出すると、第1伸縮部31が作動不良であることが制御部71に出力する。制御部71は、作動不良検出部72が検出した第1伸縮部31の作動不良に応じて駆動源33を制御し、第2伸縮部32の伸長量を制御する。
【0039】
例えば、伸縮装置13(第1伸縮部31および第2伸縮部32)として、10ストロークだけ伸長させる必要があるとき、駆動源33を駆動し、第1伸縮部31を5ストローク伸長する必要があり、第2伸縮部32を5ストローク伸長する必要がある。このとき、駆動源33は、第1伸縮部31を作動不良により5ストロークだけ伸長することができない。そのため、制御部71は、駆動源33により第2伸縮部32を6ストローク~10ストロークの範囲で伸長させる。この場合、第1伸縮部31の作動不良により、第2部材12の転倒を防止することが最大の目的である。すなわち、第2伸縮部32の作動が第1伸縮部31の作動不良を補うことができればよい。そのため、制御部71は、駆動源33を制御し、第2部材12の転倒を防止することができる範囲で、第2伸縮部32の伸長量を増加させる。
【0040】
なお、伸縮装置13(第1伸縮部31および第2伸縮部32)として、所定ストロークだけ収縮させる場合も同様である。
【0041】
なお、伸縮装置13の構成は、上述した構成に限定されるものではない。
図3は、伸縮装置の変形例を表す断面図である。
【0042】
第1実施形態の変形例において、
図3に示すように、伸縮装置13Aは、第1伸縮部31と、第2伸縮部32と、駆動源33(
図2参照)と、第1動力伝達系34と、第2動力伝達系35とを有する。駆動源33と第1動力伝達系34と第2動力伝達系35は、第1実施形態と同様である。
【0043】
第1伸縮部31および第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能である。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間に直列状態をなして配置される。
【0044】
第1伸縮部31は、第1ねじ軸41と、第1移動体42とを有する。第2伸縮部32は、第2ねじ軸46と、第2移動体47とを有する。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46の中心が共通の中心O1に沿って配置される。そして、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46は、内部に共通のガイド軸81が配置される。
【0045】
第1ねじ軸41は、円筒形状をなし、内部に軸方向に沿う貫通孔が形成される。第2ねじ軸46は、円筒形状をなし、内部に軸方向に沿う貫通孔が形成される。ガイド軸81は、第1ねじ軸41の貫通孔と第2ねじ軸46の貫通孔に挿通される。また、ガイド軸81は、軸方向の各端部が第1移動体42および第2移動体47にも挿通され、連結部82が第1移動体42に連結される。なお、ガイド軸81は、連結部82が第2移動体47に連結されていてもよく、また、連結部82が第1ねじ軸41または第2ねじ軸46に連結されていてもよい。
【0046】
第1伸縮部31および第2伸縮部32は、少なくとも第1ねじ軸41および第2ねじ軸46が共通のガイド軸81により軸方向に移動自在に支持されることとなる。そのため、例えば、第1伸縮部31に作動不良が発生しても、第1ねじ軸41などが破断されることがなく、作動不良ではない第2伸縮部32が円滑に作動することとなり、第2部材12の転倒を適切に防止することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
第2実施形態において、
図4に示すように、伸縮装置13Bは、第1伸縮部31と、第2伸縮部32と、駆動源33と、第1動力伝達系34と、第2動力伝達系35とを有する。駆動源33と第1動力伝達系34と第2動力伝達系35は、第1実施形態と同様である。
【0049】
第1伸縮部31および第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能である。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1部材11と第2部材12との間に並列列状態をなして配置される。第1伸縮部31および第2伸縮部32は、第1ハウジング40に収容される。
【0050】
第1伸縮部31は、第1ねじ軸41と、第1移動体42とを有する。第2伸縮部32は、第2ねじ軸46と、第2移動体47とを有する。第1伸縮部31および第1伸縮部31は、第1実施形態とほぼ同様である。但し、第1伸縮部31を構成する第1ねじ軸41のねじ部41aと第1移動体42のねじ孔42aと減速比と、第2伸縮部32を構成する第2ねじ軸46のねじ部46aと第2移動体47のねじ孔47aとの減速比とは同じである。
【0051】
第1伸縮部31と第2伸縮部32は、並んで配置される。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1移動体42および第2移動体47の各先端部側の一部が第1ハウジング40から突出する。第1移動体42および第2移動体47は、各先端部に連結部材91が連結され、連結部材91は、連結部92が設けられ、連結部92がユニバーサルジョイント26,27(
図1参照)を介して第2部材12に連結される。第1伸縮部31と第2伸縮部32は、第1ねじ軸41および第2ねじ軸46が支持された第1ハウジング40の端部に連結部93が設けられ、連結部93がユニバーサルジョイント23,24(
図1参照)を介して第1部材11に連結される。
【0052】
そのため、第1部材11に対して第2部材12の角度を変更するとき、各伸縮装置13Bを作動させる。駆動源33を駆動し、回転軸51を正回転する。駆動源33の動力は、第1動力伝達系34を介して第1伸縮部31に伝達され、第1ねじ軸41が正回転する。また、駆動源33の動力は、第2動力伝達系35を介して第2伸縮部32の第2ねじ軸46に伝達され、第2ねじ軸46が正回転する。第1ねじ軸41が正回転すると、回転力がねじ部41aおよびねじ孔42aを介して第1移動体42に軸方向移動力として伝達され、第1移動体42が第1ねじ軸41に対して離間する。また、第2ねじ軸46が正回転すると、回転力がねじ部46aおよびねじ孔47aを介して第2移動体47に軸方向移動力として伝達され、第2移動体47が第2ねじ軸46に対して離間する。
【0053】
伸縮装置13Bは、並列に配置された第1伸縮部31と第2伸縮部32が共通の駆動源33により同期して作動する。つなり、第1伸縮部31の伸長量と第2伸縮部32の伸長量は同じである。その結果、伸縮装置13Bとして、第1ハウジング40および第2ハウジング52に対して、第1移動体42および第2移動体47が軸方向の外方に伸長し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0054】
そして、伸縮装置13Bにて、例えば、第1伸縮部31に作動不良が発生する。第1部材11と第2部材12とは、両者の間に第1伸縮部31と第2伸縮部32が並列に配置されている。そのため、第1伸縮部31に作動不良が発生しても、第2伸縮部32が正常に作動することで、第2部材12の角度を適切に変更することができ、第2部材12の転倒が防止される。
【0055】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の揺動装置における伸縮装置を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
第3実施形態において、
図5に示すように、伸縮装置13Cは、第1伸縮部101と、第2伸縮部102と、駆動源33と、第1動力伝達系34と、第2動力伝達系35とを有する。駆動源33と第1動力伝達系34と第2動力伝達系35は、第1実施形態と同様の構成である。
【0057】
第1伸縮部101および第2伸縮部102は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能である。第1伸縮部101と第2伸縮部102は、第1部材11と第2部材12との間に並列状態をなして配置される。第1伸縮部101および第2伸縮部102は、第1ハウジング40に収容される。
【0058】
第1伸縮部101は、ねじ軸111と、移動体112とを有する。ねじ軸111は先端部にねじ部111aが形成される。移動体112は、基端部に貫通するねじ孔112aが形成される。第1伸縮部101は、ねじ軸111のねじ部111aが移動体112のねじ孔112aに螺合して構成される。
【0059】
ねじ軸111は、第1ハウジング40に軸受113により周方向に回転自在で、軸方向に移動不能に支持される。移動体112は、ガイド部材114により軸方向に移動自在で、周方向に回転不能に支持される。移動体112の先端部側の一部が第1ハウジング40から突出する。移動体112は、先端部に連結部115が設けられ、連結部115がユニバーサルジョイント26,27(
図1参照)を介して第2部材12に連結される。
【0060】
第2伸縮部102は、移動体112と、円筒部材としての従動プーリ116とを有する。ここで、移動体112は、第1伸縮部101および第2伸縮部102の構成部材として兼用される。移動体112は、基端外周部にねじ部112bが形成される。従動プーリ116は、軸方向に貫通するねじ孔116aが形成される。第2伸縮部102は、移動体112のねじ部112bが従動プーリ116のねじ孔116aに螺合して構成される。ここで、第1伸縮部101を構成するねじ軸111のねじ部111aと移動体112のねじ孔112aの減速比と、第2伸縮部102を構成する移動体112のねじ部112bと従動プーリ116のねじ孔116aとの減速比とは同じである。
【0061】
第1伸縮部101と第2伸縮部102は、ねじ軸111および従動プーリ116が支持された第1ハウジング40の端部に連結部117が設けられ、連結部117がユニバーサルジョイント23,24(
図1参照)を介して第1部材11に連結される。
【0062】
そのため、第1伸縮部101にて、ねじ軸111が正回転すると、動力が互いに螺合するねじ部111aおよびねじ孔112aを介して移動体112に伝達され、移動体112は、軸方向の一方に移動し、ねじ軸111に対して離間する。一方、第1伸縮部101にて、ねじ軸111が逆回転すると、動力が互いに螺合するねじ部111aおよびねじ孔112aを介して移動体112に伝達され、移動体112は、軸方向の他方に移動し、ねじ軸111に対して接近する。
【0063】
第2伸縮部102にて、従動プーリ116が正回転すると、動力が互いに螺合するねじ孔116aおよびねじ部112bを介して移動体112に伝達され、移動体112は、軸方向の一方に移動し、従動プーリ116に対して離間する。一方、第2伸縮部102にて、従動プーリ116が逆回転すると、動力が互いに螺合するねじ孔116aおよびねじ部112bを介して移動体112に伝達され、移動体112は、軸方向の他方に移動し、従動プーリ116に対して接近する。
【0064】
駆動源33は、回転軸51を有する。駆動源33は、第2ハウジング52に収容され、固定される。第2ハウジング52は、第1ハウジング40に固定される。第1動力伝達系34は、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、駆動ベルト63とを有する。第2動力伝達系35は、駆動プーリ64と、従動プーリ116と、駆動ベルト66とを有する。駆動ベルト66は、駆動プーリ64と従動プーリ116との間に掛け回される。第2動力伝達系35は、駆動源33と従動プーリ116との間で、駆動源33の動力を伝達して従動プーリ116を回転可能である。
【0065】
そのため、第1部材11に対して第2部材12の角度を変更するとき、各伸縮装置13Cを作動させる。駆動源33を駆動し、回転軸51を正回転する。駆動源33の動力は、第1動力伝達系34を介して第1伸縮部101に伝達され、ねじ軸111が正回転する。また、駆動源33の動力は、第2動力伝達系35を介して第2伸縮部32の従動プーリ116に伝達され、従動プーリ116が正回転する。ねじ軸111が正回転すると、回転力がねじ部111aおよびねじ孔12aを介して移動体112に軸方向移動力として伝達され、移動体112がねじ軸111に対して離間する。また、従動プーリ116が正回転すると、回転力がねじ孔116aおよびねじ部112bを介して移動体112に軸方向移動力として伝達され、移動体112が従動プーリ116に対して離間する。
【0066】
伸縮装置13Cは、並列に配置された第1伸縮部101と第2伸縮部102が共通の駆動源33により同期して作動する。その結果、伸縮装置13Cとして、第1ハウジング40および第2ハウジング52に対して、移動体112が軸方向の外方に伸長し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0067】
そして、伸縮装置13Cにて、例えば、第1伸縮部101に作動不良が発生する。第1部材11と第2部材12とは、両者の間に第1伸縮部101と第2伸縮部102が並列に配置されている。そのため、第1伸縮部101に作動不良が発生しても、第2伸縮部102が正常に作動することで、第2部材12の角度を適切に変更することができ、第2部材12の転倒が防止される。
【0068】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の揺動装置における伸縮装置の要部を表す正面図、
図7は、伸縮装置の要部を表す平面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
第4実施形態において、
図6および
図7に示すように、第1動力伝達系34Aは、上述した各実施形態における第1動力伝達系34の変形例である。なお、第1動力伝達系34Aは、上述した各実施形態における第2動力伝達系35の変形例としても適用することができる。
【0070】
第1動力伝達系34Bは、第1動力伝達経路141と、第2動力伝達経路142とを有する。第1動力伝達経路141と第2動力伝達経路142は、それぞれ異なる形式の動力伝達経路である。
【0071】
第1動力伝達経路141は、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、駆動ベルト63とを有する。駆動プーリ61は、回転軸121に固定され、従動プーリ62は、回転軸122に固定される。駆動ベルト63は、駆動プーリ61と従動プーリ62との間に掛け回される。第1動力伝達経路141は、回転軸121の動力を伝達して回転軸122を回転可能である。
【0072】
第2動力伝達経路142は、駆動歯車131と、従動歯車132と、複数(本実施形態では、3個)の中間歯車133,134,135とを有する。駆動歯車131は、回転軸121に固定され、従動歯車132は、回転軸122に固定される。中間歯車133,134,135は、回転軸123,124,125に固定される。駆動歯車131と中間歯車133,134,135と従動歯車132とは、噛み合っている。第2動力伝達経路142は、回転軸121の動力を伝達して回転軸122を回転可能である。
【0073】
第1動力伝達経路14と第2動力伝達経路142とは、同期した作動し、回転軸121の回転力により回転軸122を回転するものである。そのため、第2動力伝達経路142は、回転軸121から回転軸122に伝達される第1動力伝達経路14と第2動力伝達経路142の回転量(回転速度)が同じになるように、例えば、駆動歯車131と従動歯車132との中間歯車133,134,135の直径や歯数などが設定される。
【0074】
そのため、第1動力伝達経路14の駆動ベルト63が破損するような作動不良が発生しても、第2動力伝達経路142により回転軸121の動力を回転軸122に伝達することができる。同様に、第2動力伝達経路15の中間歯車133,134,135が破損するような作動不良が発生しても、第1動力伝達経路141により回転軸121の動力を回転軸122に伝達することができる。
【0075】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る揺動装置は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に複数の伸縮装置13,13A,13B,13Cが配置される揺動装置10において、伸縮装置13,13A,13B,13Cは、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能な第1伸縮部31,101と、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能な第2伸縮部32,102と、第1伸縮部31,101および第2伸縮部32,102に対して動力を供給する共通の駆動源33とを備える。
【0076】
第1の態様に係る揺動装置によれば、共通の駆動源33により駆動する第1伸縮部31,101および第2伸縮部32,102を有することから、第1部材11と第2部材12との間に配置される各伸縮装置13,13A,13B,13Cは、冗長性を有することとなる。そのため、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102の一方に作動不良が発生しても、他方が正常に作動することで、転倒を抑制することができ、安全性の向上を図ることができる。また、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102は、共通の駆動源33により駆動することから、大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0077】
第2の態様に係る揺動装置は、第1伸縮部31と第2伸縮部32が第1部材11と第2部材12との間に直列に配置される。これにより、第1伸縮部31と第2伸縮部32を直列配置することで、第1伸縮部31および第2伸縮部32における横方向のスペースを多く確保することができ、伸縮装置13,13A,13B,13Cにおける横方向のコンパクト化を図ることができる。
【0078】
第3の態様に係る揺動装置は、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102が第1部材11と第2部材12との間に並列に配置される。これにより、第1伸縮部31と第2伸縮部32を並列配置することで、第1伸縮部31および第2伸縮部32における縦方向の長さを短くすることができ、伸縮装置13,13A,13B,13Cにおける縦方向のコンパクト化を図ることができる。
【0079】
第4の態様に係る揺動装置は、第1伸縮部31は、第1ねじ軸41と、第1ねじ軸41のねじ部41aに螺合して軸方向に移動自在な第1移動体42とを有し、第2伸縮部32は、第2ねじ軸46と、第2ねじ軸46のねじ部46aに螺合して軸方向に移動自在な第2移動体47とを有し、駆動源33と第1ねじ軸41との間に駆動源33の動力を伝達して第1ねじ軸41を回転可能な第1動力伝達系34が設けられると共に、駆動源33と第2ねじ軸46との間に駆動源33の動力を伝達して第2ねじ軸46を回転可能な第2動力伝達系35が設けられる。これにより、駆動源33の動力を第1動力伝達系34および第2動力伝達系35により第1伸縮部31および第2伸縮部32に適切に伝達することができる。
【0080】
第5の態様に係る揺動装置は、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46が一直線状に配置され、内部に共通のガイド軸81が配置される。これにより、第1ねじ軸41や第2ねじ軸46が破断しても、ガイド軸81により第1伸縮部31と第2伸縮部32の直列関係が維持されることとなり、転倒を適切に抑制することができる。
【0081】
第6の態様に係る揺動装置は、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46の基端部側が第1部材11と第2部材12の一方に連結され、第1移動体42と第2移動体47の先端部が連結部材91に連結され、連結部材91を介して第1部材11と第2部材12の他方に連結される。これにより、第1伸縮部31と第2伸縮部32とを並列配置することができると共に、第1ねじ軸41と第2ねじ軸46の一方が破断しても、他方により伸縮量を確保することで、転倒を適切に抑制することができる。
【0082】
第7の態様に係る揺動装置は、第1伸縮部101は、ねじ軸111と、ねじ軸111のねじ部11aに螺合して軸方向に移動自在な移動体112とを有し、第2伸縮部102は、移動体112と、移動体112のねじ部112bに螺合して軸方向に移動自在な従動プーリ(円筒部材)116とを有し、駆動源33とねじ軸111との間に駆動源33の動力を伝達してねじ軸111を回転可能な第1動力伝達系34が設けられると共に、駆動源33と従動プーリ116との間に駆動源33の動力を伝達して従動プーリ116を回転可能な第2動力伝達系35が設けられる。これにより、第1伸縮部101と第2伸縮部102の構成部材を兼用して並列配置することで、小型化を図ることができると共に、ねじ軸111と従動プーリ116の一方が破断しても、他方により伸縮量を確保することで、転倒を適切に抑制することができる。
【0083】
第8の態様に係る揺動装置は、第1動力伝達系34,34Aおよび第2動力伝達系35は、それぞれ異なる形式の動力伝達経路が設けられる。これにより、第1動力伝達系34,34Aおよび第2動力伝達系35に冗長性を確保することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0084】
第9の態様に係る揺動装置は、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102の作動不良を検出する作動不良検出部72と、作動不良検出部72の検出結果に基づいて駆動源33を制御する制御部71とを有し、制御部71は、作動不良検出部72が第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102のいずれか一方の作動不良を検出すると、駆動源33によりいずれか他方の伸縮量を制御する。これにより、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102の一方に作動不良が発生しても、他方が正常に作動することで、転倒を抑制することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0085】
第10の態様に係る揺動装置の制御方法は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に複数の伸縮装置13,13A,13B,13Cが配置される揺動方法において、伸縮装置13,13A,13B,13Cは、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能な第1伸縮部31,101と、第1部材11と第2部材12との間で伸縮可能な第2伸縮部32,102と、第1伸縮部31,101および第2伸縮部32,102に対して動力を供給する共通の駆動源33とを備え、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102のいずれか一方に作動不良が発生したとき、駆動源33によりいずれか他方の伸縮量を制御する。
【0086】
第10の態様に係る揺動装置の制御方法によれば、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102の一方に作動不良が発生しても、他方が正常に作動することで、転倒を抑制することができ、安全性の向上を図ることができる。また、第1伸縮部31,101と第2伸縮部32,102は、共通の駆動源33により駆動することから、大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0087】
なお、上述した実施形態では、第1動力伝達系34および第2動力伝達系35をプーリおよび駆動ベルトにより構成したが、この構成に限定されるものではない。第1動力伝達系34および第2動力伝達系35を、例えば、歯車機構により構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 揺動装置
11 第1部材
12 第2部材
13,13A,13B,13C 伸縮装置
31,101 第1伸縮部
32,102 第2伸縮部
33 駆動源
34,34A 第1動力伝達系
35 第2動力伝達系
40 第1ハウジング
41 第1ねじ軸
42 第1移動体
46 第2ねじ軸
47 第2移動体
51 回転軸
52 第2ハウジング
61,64 駆動プーリ
62,65 従動プーリ
63,66 駆動ベルト
71 制御部
72 作動不良検出部
81 ガイド軸
91 連結部材
111 ねじ軸
112 移動体
116 従動プーリ(円筒部材)
131 駆動歯車
132 従動歯車
133,134,135 中間歯車
141 第1動力伝達経路
142 第2動力伝達経路