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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100516
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】揺動装置および揺動装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/12 20060101AFI20230711BHJP
   G09B 9/14 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G09B9/12
G09B9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001245
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貫太
(57)【要約】
【課題】揺動装置および揺動装置の制御方法において、大型化や高コスト化を抑制すると共に安全性の向上を図る。
【解決手段】対向して配置される第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置と、第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮装置の作動に追従するガイド装置と、伸縮装置とガイド装置の作動を制御する制御部と、を備え、伸縮装置は、伸縮部と、伸縮部に対して動力を供給する駆動源とを有し、ガイド装置は、ガイド部と、ガイド部の作動を停止するブレーキ装置とを有し、制御部は、伸縮部の作動状態に応じてブレーキ装置を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて前記伸縮装置の作動に追従するガイド装置と、
前記伸縮装置と前記ガイド装置の作動を制御する制御部と、
を備え、
前記伸縮装置は、伸縮部と、前記伸縮部に対して動力を供給する駆動源とを有し、
前記ガイド装置は、ガイド部と、前記ガイド部の作動を停止するブレーキ装置とを有し、
前記制御部は、前記伸縮部の作動状態に応じて前記ブレーキ装置を制御する、
揺動装置。
【請求項2】
前記伸縮部の作動不良を検出する作動不良検出部を有し、前記制御部は、前記作動不良検出部が前記伸縮部の作動不良を検出すると前記ブレーキ装置を作動させる、
請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記伸縮部は、前記駆動源から動力が供給されて伸縮駆動することで、前記第1部材に対する前記第2部材の角度を変更可能であり、
前記ガイド部は、前記駆動源から動力が供給されない、
請求項1または請求項2に記載の揺動装置。
【請求項4】
前記伸縮部は、伸縮本体部と、前記伸縮本体部に対して軸方向に移動自在な伸縮ロッド部とを有し、前記ガイド部は、ガイド本体部と、前記ガイド本体部に対して軸方向に移動自在なガイドロッド部とを有し、前記駆動源は、動力伝達系を介して前記伸縮ロッド部のみに動力を供給することで前記伸縮ロッド部を軸方向に移動可能である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の揺動装置。
【請求項5】
前記伸縮本体部の端部と前記ガイド本体部の端部は、前記第1部材と前記第2部材の一方に連結され、前記伸縮ロッド部と前記ガイドロッド部の端部は、前記第1部材と前記第2部材の他方に連結される、
請求項4に記載の揺動装置。
【請求項6】
前記伸縮本体部の端部と前記ガイド本体部の端部は、本体部側連結部材を介して前記第1部材と前記第2部材の一方に連結され、前記伸縮ロッド部と前記ガイドロッド部の端部は、ロッド部側連結部材を介して前記第1部材と前記第2部材の他方に連結される、
請求項4に記載の揺動装置。
【請求項7】
前記伸縮装置は、2個で1組の伸縮ユニットが複数組設けられ、前記ガイド装置は、1組の伸縮ユニットに対して1個設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の揺動装置。
【請求項8】
対向して配置される第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて前記伸縮装置の作動に追従するガイド装置と、
を備え、
前記伸縮装置は、伸縮部と、前記伸縮部に対して動力を供給する駆動源とを有し、
前記ガイド装置は、ガイド部と、前記ガイド部の作動を停止するブレーキ装置とを有し、
前記伸縮部の作動不良を検出すると前記ブレーキ装置を作動させる、
揺動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライビングシミュレータやフライトシミュレータなどに適用されるスチュワートプラットフォームなどの揺動装置および揺動装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライビングシミュレータなどに適用されるスチュワートプラットフォームは、下部支持板と上部支持板との間に6本のアクチュエータが架設されて構成される。スチュワートプラットフォームは、6本のアクチュエータを作動することで、下部支持板に対する上部支持板の角度を制御する。このような技術として、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/202920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スチュワートプラットフォームは、上部支持板が6本のアクチュエータにより下部支持板に支持される。そのため、例えば、6本のアクチュエータうちの1本のアクチュエータに作動不良が発生すると、上部支持板を適正な角度に制御することが困難になる。上述した特許文献では、アクチュエータの数を増加させている。しかし、このような構成では、アクチュエータの数が増加することで、装置の大型化や高コスト化を招いてしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、大型化や高コスト化を抑制すると共に安全性の向上を図る揺動装置および揺動装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の揺動装置は、対向して配置される第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて前記伸縮装置の作動に追従するガイド装置と、前記伸縮装置と前記ガイド装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記伸縮装置は、伸縮部と、前記伸縮部に対して動力を供給する駆動源とを有し、前記ガイド装置は、ガイド部と、前記ガイド部の作動を停止するブレーキ装置とを有し、前記制御部は、前記伸縮部の作動状態に応じて前記ブレーキ装置を制御する。
【0007】
また、本開示の揺動装置の制御方法は、対向して配置される第1部材と第2部材との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて前記伸縮装置の作動に追従するガイド装置と、を備え、前記伸縮装置は、伸縮部と、前記伸縮部に対して動力を供給する駆動源とを有し、前記ガイド装置は、ガイド部と、前記ガイド部の作動を停止するブレーキ装置とを有し、前記伸縮部の作動不良を検出すると前記ブレーキ装置を作動させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の揺動装置および揺動装置の制御方法によれば、大型化や高コスト化を抑制することができると共に、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の揺動装置の全体構成を表す斜視図である。
図2図2は、揺動装置における伸縮装置およびガイド装置を表す概略図である。
図3図3は、ガイド装置におけるブレーキ装置を表す概略図である。
図4図4は、ガイド装置におけるブレーキ装置の変形例を表す概略図である。
図5図5は、第2実施形態の揺動装置における伸縮装置およびガイド装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<揺動装置>
図1は、第1実施形態の揺動装置の全体構成を表す斜視図である。
【0012】
第1実施形態において、図1に示すように、揺動装置10は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に複数の伸縮装置13と複数のガイド装置14とが配置されて構成される。揺動装置10は、例えば、スチュワートプラットフォームであって、6個の伸縮装置13を有する。但し、揺動装置10は、スチュワートプラットフォームに限るものではなく、伸縮装置13の個数も、5個以下であってもよく、7個以上であってもよい。揺動装置10は、例えば、ドライビングシミュレータやフライトシミュレータなどシミュレータ装置、ロボットハンドなどに適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
また、伸縮装置13は、2個で1組の伸縮ユニットが構成され、伸縮ユニットが複数組(本実施形態では、3組)設けられる。ガイド装置14は、2個で1組の伸縮ユニットに対して1個設けられる。すなわち、本実施形態の揺動装置10は、2個の伸縮装置13で構成される伸縮ユニットが3組設けられ、3組の伸縮ユニットに対して3個のガイド装置14が設けられる。但し、伸縮装置13に対するガイド装置14の数は、これらに限定されるものではない。
【0014】
6個の伸縮装置13は、例えば、2個の伸縮装置13が1組として3組構成される。1組で2個の伸縮装置13は、ハの字形状に配置される。1組の伸縮装置13は、各基端部が第1部材11の異なる連結部21,22にユニバーサルジョイント(自在継手)23,24を介して連結される。また、1組の伸縮装置13は、各先端部が第2部材12の共通である連結部25にユニバーサルジョイント(自在継手)26,27を介して連結される。1組の伸縮装置13は、基端部が隣り合う別の1組で2個の伸縮装置13の基端部の近傍に連結される。なお、6個の伸縮装置13は、同様の構成である。なお、1組の伸縮装置13は、各基端部が共通の連結部に連結されていてもよいし、各先端部が異なる連結部25に連結されていてもよい。
【0015】
3個のガイド装置14は、第1部材11と第2部材に対してほぼ直交するように配置される。ガイド装置14は、各基端部が第1部材11の連結部31にユニバーサルジョイント(自在継手)32を介して連結される。また、ガイド装置14は、各先端部が第2部材12の連結部33にユニバーサルジョイント(自在継手)34を介して連結される。なお、3個のガイド装置14は、同様の構成である。また、ガイド装置14は、伸縮装置13の連結部21,22,25を兼用してもよい。
【0016】
揺動装置10は、複数の伸縮装置13の伸縮量を制御することで、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更して調整することができる。このとき、少なくとも、1組で2個の伸縮装置13の伸縮量を同期して制御する。また、揺動装置10は、複数の伸縮装置13の伸縮量を制御して第1部材11に対する第2部材12の角度を変更すると、ガイド装置14は、伸縮装置13の作動に追従して作動することで、第1部材11に対して第2部材12を支持することができる。なお、ガイド装置14が第1部材11に対して第2部材12を支持するとき、若干の抵抗が生じるが、基本的には、第1部材11と第2部材12との間で力を及ぼさないように伸縮可能である。
【0017】
<揺動装置の構成>
図2は、揺動装置における伸縮装置およびガイド装置を表す概略図である。
【0018】
図2に示すように、揺動装置10は、伸縮装置13とガイド装置14に加え、制御部15を備える。制御部15は、伸縮装置13とガイド装置14の作動を制御する。
【0019】
<伸縮装置の構成>
伸縮装置13は、伸縮部41と、駆動源42と、動力伝達系43とを有する。
【0020】
伸縮部41は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮自在である。駆動源42は、動力伝達系43を介して伸縮部41に動力を供給する。伸縮部41と駆動源42と動力伝達系43は、ハウジング50に収容される。
【0021】
伸縮部41は、伸縮本体部51と、伸縮ロッド部52とを有する。伸縮本体部51は、一端部側に貫通するガイド孔51aが形成される。伸縮ロッド部52は、軸方向の中間部にねじ部52aが形成される。伸縮部41は、伸縮ロッド部52の一端部が伸縮本体部51のガイド孔51aに軸方向に沿って移動自在に嵌合して構成される。
【0022】
伸縮本体部51は、ハウジング50に固定される。伸縮部41は、伸縮本体部51の他端部側の一部がハウジング50から突出する。伸縮本体部51は、他端部に連結部53が設けられ、連結部53がユニバーサルジョイント23,24を介して第1部材11に連結される。また、伸縮部41は、伸縮ロッド部52の他端部側の一部がハウジング50から突出する。伸縮ロッド部52は、他端部に連結部54が設けられ、連結部54がユニバーサルジョイント26,27を介して第2部材12に連結される。
【0023】
駆動源42は、例えば、電動または油圧モータである。駆動源42は、出力軸としての回転軸61を有する。駆動源42は、ハウジング40に収容され、固定される。回転軸61は、ハウジング50に軸受62により周方向に回転自在に支持される。駆動源42は、回転軸61を正回転および逆回転することができる。駆動源42は、伸縮部41に対して動力を供給する。
【0024】
動力伝達系43は、駆動プーリ71と、従動プーリ72と、駆動ベルト73とを有する。駆動プーリ71は、駆動源42の回転軸61に固定され、第2ハウジングに回転自在で、軸方向に移動不能に支持される。従動プーリ72は、伸縮部41における伸縮ロッド部52に螺合する。従動プーリ72は、円筒形状をなし、内周部にねじ孔72aが形成される。従動プーリ72は、第2ハウジングに回転自在で、軸方向に移動不能に支持され、ねじ孔72aが伸縮ロッド部52のねじ部52aに螺合する。駆動ベルト73は、無端のベルトであり、駆動プーリ71と従動プーリ72との間に掛け回される。動力伝達系43は、駆動源42と伸縮ロッド部52との間で、駆動源42の動力を伝達して伸縮ロッド部52を回転可能である。
【0025】
そのため、駆動源42を駆動し、回転軸61を正回転すると、動力が動力伝達系43を構成する駆動プーリ71および駆動ベルト73を介して従動プーリ72に伝達され、従動プーリ72が正回転する。すると、従動プーリ72の正回転がねじ孔72aおよびねじ部52aを介して伸縮ロッド部52に伝達され、伸縮部41は、伸縮ロッド部52が軸方向の一方に移動し、伸縮本体部51に対して離間する。
【0026】
一方、駆動源42を駆動し、回転軸61を逆回転すると、動力が動力伝達系43を構成する駆動プーリ71および駆動ベルト73を介して従動プーリ72に伝達され、従動プーリ72が逆回転する。すると、従動プーリ72の逆回転がねじ孔72aおよびねじ部52aを介して伸縮ロッド部52に伝達され、伸縮部41は、伸縮ロッド部52が軸方向の他方に移動し、伸縮本体部51に対して接近する。
【0027】
<ガイド装置の構成>
ガイド装置14は、ガイド部81と、ブレーキ装置82とを有する。
【0028】
ガイド部81は、第1部材11と第2部材12との間で伸縮自在である。ブレーキ装置82は、ガイド部81の作動を停止する。ガイド部81とブレーキ装置82は、ハウジング50に収容される。
【0029】
ガイド部81は、ガイド本体部91と、ガイドロッド部92とを有する。ガイド本体部91は、一端部側に貫通するガイド孔91aが形成される。ガイド部81は、ガイドロッド部92の一端部がガイド本体部91のガイド孔91aに軸方向に沿って移動自在に嵌合して構成される。
【0030】
ガイド部81は、ガイド本体部91の他端部に連結部93が設けられ、連結部93がユニバーサルジョイント32を介して第1部材11に連結される。また、ガイド部81は、ガイドロッド部92の他端部に連結部94が設けられ、連結部94がユニバーサルジョイント34を介して第2部材12に連結される。
【0031】
<ブレーキ装置>
図3は、ガイド装置におけるブレーキ装置を表す概略図である。
【0032】
図2および図3に示すように、ブレーキ装置82は、ガイド装置14におけるガイド部81の作動を停止可能である。ガイド部81は、ガイド本体部91と、ガイドロッド部92とを有する。ガイド部81の作動停止とは、ガイド本体部91に対するガイドロッド部92の移動を阻止し、ガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動を拘束することである。
【0033】
ガイド本体部91は、シリンダであって、内部にガイド孔91aが形成される。ガイドロッド部92は、軸方向の一端部にガイド孔91aに嵌合して移動自在なピストン92aが連結される。ガイド本体部91は、ガイド孔91aがピストン92aにより2個の部屋101,102に区画され、部屋101,102に流体(例えば、油)が充填される。部屋101,102は、ポート103,104が設けられ、ポート103,104は、外部で連通路105により連通される。連通路105は、開閉弁106が設けられ、開閉弁106は、開閉部107により開閉される。ブレーキ装置82は、部屋101,102、ポート103,104、連通路105、開閉弁106、開閉部107により構成される。
【0034】
そのため、開閉部107により開閉弁106が開放されると、ガイド本体部91の部屋101,102は、ポート103,104同士が開放状態の開閉弁106により連通路105を通して連通可能な状態になる。このとき、ガイド部81は、連通路105により部屋101,102の間での流体の流れが可能となり、ガイド部81は、ガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動が可能になる。すなわち、ガイド部81は、ブレーキ装置82により作動可能状態になる。
【0035】
一方、開閉部107により開閉弁106が閉止されると、ガイド本体部91の部屋101,102は、ポート103,104同士が閉止状態の開閉弁106により連通路105を通して連通不能な状態になる。このとき、ガイド部81は、連通路105により部屋101,102の間での流体の流れが不能となり、ガイド部81は、ガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動が不能になる。すなわち、ガイド部81は、ブレーキ装置82により作動停止状態になる。
【0036】
<ブレーキ装置の変形例>
ブレーキ装置82は、上述した構成に限定されるものではない。図4は、ガイド装置におけるブレーキ装置の変形例を表す概略図である。
【0037】
図2および図4に示すように、ブレーキ装置82Aは、ガイド装置14におけるガイド部81の作動を停止可能である。ガイド部81は、ガイド本体部91と、ガイドロッド部92とを有する。ガイド本体部91は、シリンダであって、内部にガイド孔91aが形成される。ガイドロッド部92は、軸方向の一端部にガイド孔91aに嵌合して移動自在なピストン92aが連結される。ガイド本体部91は、ガイドロッド部92の移動を阻止する把持部111が設けられる。把持部111は、一対の把持片112を有すると共に、一対の把持片112を接近離間させる作動部113を有する。
【0038】
そのため、作動部113により把持部111における一対の把持片112を離間させる。このとき、一対の把持片112は、ガイドロッド部92を挟持しておらず、ガイド部81は、ガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動が可能になる。すなわち、ガイド部81は、ブレーキ装置82Aにより作動可能状態になる。
【0039】
一方、作動部113により把持部111における一対の把持片112を接近させる。このとき、一対の把持片112は、ガイドロッド部92を挟持しており、ガイド部81は、ガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動が不能になる。すなわち、ガイド部81は、ブレーキ装置82Aにより作動停止状態になる。
【0040】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部15は、駆動源42を介して各伸縮装置13を制御可能である。すなわち、制御部15は、駆動源42の回転方向、回転速度、回転量などを調整することで、各伸縮装置13の伸縮方向や伸縮量などを制御する。制御部15は、入力された指令値や記憶された各種プログラムに応じて駆動源42を制御する。制御部15は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などに構成され、各種プログラムを実行する。
【0041】
また、制御部15は、伸縮装置13の作動状態に応じてブレーキ装置82,82Aを介して各ガイド装置14を制御可能である。各伸縮装置13は、伸縮部41、駆動源42、動力伝達系43などの作動不良を検出する作動不良検出部121が設けられる。作動不良検出部121は、伸縮部41、駆動源42、動力伝達系43などの故障などを検出する。作動不良検出部121は、例えば、駆動プーリ71や従動プーリ72の回転量を検出する回転センサ、駆動ベルト73の移動速度を検出する加速度センサ、伸縮ロッド部52の移動量を検出するストロークセンサ、駆動源42の出力トルクを検出するトルクセンサ、第1部材11と第2部材12との角度を検出する変位センサなどであるが、これらのセンサに限定されるものではない。また、作動不良検出部121は、伸縮装置13を構成する伸縮部41、駆動源42、動力伝達系43の作動不良を検出するものとしたが、ユニバーサルジョイント23,24,26,27や連結部21,22,25などの破損などの作動不良を検出してもよい。
【0042】
制御部15は、作動不良検出部121の検出結果に基づいてブレーキ装置82,82Aを制御する。制御部15は、作動不良検出部121が伸縮装置13の作動不良を検出すると、ブレーキ装置82,82Aを作動させることで、ガイド装置14が作動できないように停止させる。
【0043】
<伸縮装置およびガイド装置の作動>
第1部材11に対して第2部材12の角度を変更するとき、制御部15は、各伸縮装置13を作動する。制御部15は、駆動源42を駆動し、回転軸61を正回転する。駆動源42の動力は、動力伝達系43を介して伸縮部41に伝達され、従動プーリ72が正回転する。従動プーリ72が正回転すると、回転力がねじ孔72aおよびねじ部52aを介して伸縮ロッド部52に軸方向移動力として伝達され、伸縮ロッド部52が伸縮本体部51に対して離間する。その結果、伸縮装置13は、ハウジング50に対して、伸縮ロッド部52が軸方向の外方に伸長し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0044】
一方、制御部15は、駆動源42を駆動し、回転軸61を逆回転する。駆動源42の動力は、動力伝達系43を介して伸縮部41に伝達され、従動プーリ72が逆回転する。従動プーリ72逆正回転すると、回転力がねじ孔72aおよびねじ部52aを介して伸縮ロッド部52に軸方向移動力として伝達され、伸縮ロッド部52が伸縮本体部51に対して接近する。その結果、伸縮装置13は、ハウジング50に対して、伸縮ロッド部52が軸方向の内方に収縮し、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができる。
【0045】
<制御部の作動>
そして、伸縮装置13にて、例えば、作動不良検出部121が伸縮部41の作動不良を検出すると、伸縮部41が作動不良であることが制御部15に出力する。制御部15は、作動不良検出部121が検出した伸縮部41の作動不良に応じてブレーキ装置82,82Aを制御し、ガイド装置14の作動を停止する。すなわち、ブレーキ装置82,82Aを作動することで、ガイド装置14におけるガイド本体部91とガイドロッド部92の相対移動を阻止する。
【0046】
その結果、揺動装置10は、複数の伸縮装置13のうちの一部が作動不良に陥っても、ブレーキ装置82,82Aにより各ガイド装置14の作動が停止することから、第1部材11に対する第2部材の相対角度が維持され、転倒が抑制される。
【0047】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の揺動装置における伸縮装置およびガイド装置を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
第2実施形態において、図5に示すように、揺動装置10Aは、伸縮装置13と、ガイド装置14と、制御部15とを備える。
【0049】
伸縮装置13は、伸縮部41と、駆動源42と、動力伝達系43とを有する。伸縮部41と駆動源42と動力伝達系43との基本的な構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
ガイド装置14は、ガイド部81と、ブレーキ装置82とを有する。ガイド部81とブレーキ装置82との基本的な構成は、第1実施形態と同様である。
【0051】
伸縮部41とガイド部81およびブレーキ装置82は、第1ハウジング131に固定される。駆動源42は、第2ハウジング132に固定される。第1ハウジング131と第2ハウジング132は、一体に連結される。なお、第1ハウジング131と第2ハウジング132を一体に形成してもよい。伸縮部41とガイド部81は、第1ハウジング131に並列に配置される。
【0052】
伸縮部41は、伸縮本体部51と伸縮ロッド部52とを有し、伸縮本体部51が第1ハウジング131に固定される。ガイド部81は、ガイド本体部91とガイドロッド部92とを有し、ガイド本体部91が第1ハウジング131に固定される。第1ハウジング(本体部側連結部材)131は、一端部に連結部133が設けられ、連結部133がユニバーサルジョイント23,24を介して第1部材11に連結される。
【0053】
伸縮部41は、伸縮ロッド部52の他端部側の一部が第1ハウジング131から突出する。ガイド部81は、ガイドロッド部92の他端部側の一部が第1ハウジング131から突出する。伸縮ロッド部52とガイドロッド部92は、他端部同士が連結部材(ロッド部側連結部材)134に連結される。連結部材134は、連結部135が設けられ、連結部135がユニバーサルジョイント26,27を介して第2部材12に連結される。
【0054】
制御部15は、駆動源42を介して各伸縮装置13を制御可能である。すなわち、制御部15は、駆動源42の回転方向、回転速度、回転量などを調整することで、各伸縮装置13の伸縮方向や伸縮量などを制御する。また、制御部15は、伸縮装置13の作動状態に応じてブレーキ装置82,82Aを介して各ガイド装置14を制御可能である。各伸縮装置13は、伸縮部41、駆動源42、動力伝達系43などの作動不良を検出する作動不良検出部121が設けられる。制御部15は、作動不良検出部121の検出結果に基づいてブレーキ装置82,82Aを制御する。制御部15は、作動不良検出部121が伸縮装置13の作動不良を検出すると、ブレーキ装置82,82Aを作動させることで、ガイド装置14が作動できないように停止させる。
【0055】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る揺動装置は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置13と、第1部材11と第2部材12との間に配置されて伸縮装置13の作動に追従するガイド装置14と、伸縮装置13とガイド装置14の作動を制御する制御部15とを備え、伸縮装置13は、伸縮部41と、伸縮部41に対して動力を供給する駆動源42とを有し、ガイド装置14は、ガイド部81と、ガイド部81の作動を停止するブレーキ装置82とを有し、制御部15は、伸縮部41の作動状態に応じてブレーキ装置82を制御する。
【0056】
第1の態様に係る揺動装置によれば、駆動源42により駆動する伸縮部41を有する伸縮装置13と、伸縮装置13に追従するガイド部81とガイド部81を停止するブレーキ装置82を有するガイド装置14とを設ける。そのため、伸縮装置13に作動不良が発生すると、ブレーキ装置82がガイド部81の作動を停止することで、ガイド装置14が第1部材11に対する第2部材12の姿勢を維持し、転倒を抑制することができ、安全性の向上を図ることができる。また、ガイド装置14は、駆動源を有しないことから、大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0057】
第2の態様に係る揺動装置は、伸縮部41の作動不良を検出する作動不良検出部121を設け、制御部15は、作動不良検出部121が伸縮部41の作動不良を検出するとブレーキ装置82,82Aを作動させる。これにより、伸縮部41の作動不良を適切に検出し、ブレーキ装置82,82Aを好適に作動させることができる。
【0058】
第3の態様に係る揺動装置は、伸縮部41は、駆動源42から動力が供給されて伸縮駆動することで、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更可能であり、ガイド部81は、駆動源42から動力が供給されない。これにより、簡単な構成により、ガイド部81が第2部材12を適切に支持することができる。
【0059】
第4の態様に係る揺動装置は、伸縮部41として、伸縮本体部51と、伸縮本体部51に対して軸方向に移動自在な伸縮ロッド部52とを設け、ガイド装置14として、ガイド本体部91と、ガイド本体部91に対して軸方向に移動自在なガイドロッド部92とを設け、駆動源42は、動力伝達系43を介して伸縮ロッド部52のみに動力を供給することで伸縮ロッド部52を軸方向に移動可能である。これにより、伸縮ロッド部52が作動することで、第1部材11に対する第2部材12の角度を変更することができ、ガイドロッド部92が作動することで、第1部材11に対して第2部材12を適切に支持することができる。
【0060】
第5の態様に係る揺動装置は、伸縮本体部51の端部とガイド本体部91の端部が、第1部材11と第2部材12の一方に連結され、伸縮ロッド部52とガイドロッド部92の端部が、第1部材11と第2部材12の他方に連結される。これにより、伸縮装置13とガイド装置14を個別に取り扱うことができ、伸縮装置13だけの揺動装置に対して後からガイド装置14を追加することができる。
【0061】
第6の態様に係る揺動装置は、伸縮本体部51の端部とガイド本体部91の端部を第1ハウジング(本体部側連結部材)131を介して第1部材11と第2部材12の一方に連結し、伸縮ロッド部52とガイドロッド部92の端部を連結部材(ロッド部側連結部材)134を介して第1部材11と第2部材12の他方に連結する。これにより、伸縮装置13とガイド装置14を一体化することができ、コンパクト化を可能として装着性を向上することができる。
【0062】
第7の態様に係る揺動装置は、伸縮装置13を2個で1組の伸縮ユニットが複数組設けられて構成し、ガイド装置14を1組の伸縮ユニットに対して1個設けられる。これにより、複数の伸縮装置13に対して適切な個数のガイド装置14を適切な位置に配置することができる。
【0063】
第8の態様に係る揺動装置の制御方法は、対向して配置される第1部材11と第2部材12との間に配置されて伸縮可能な複数の伸縮装置13と、第1部材11と第2部材12との間に配置されて伸縮装置13の作動に追従するガイド装置14とを備え、伸縮装置13は、伸縮部41と、伸縮部41に対して動力を供給する駆動源42とを有し、ガイド装置14は、ガイド部81と、ガイド部81の作動を停止するブレーキ装置82,82Aとを有し、伸縮部41の作動不良を検出するとブレーキ装置82,82Aを作動させる。
【0064】
第9の態様に係る揺動装置の制御方法によれば、伸縮装置13に作動不良が発生すると、ブレーキ装置82がガイド部81の作動を停止することで、ガイド装置14が第1部材11に対する第2部材12の姿勢を維持し、転倒を抑制することができ、安全性の向上を図ることができる。また、ガイド装置14は、駆動源を有しないことから、大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、動力伝達系43をプーリおよび駆動ベルトにより構成したが、この構成に限定されるものではない。動力伝達系43を、例えば、歯車機構により構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 揺動装置
11 第1部材
12 第2部材
13 伸縮装置
14 ガイド装置
15 制御部
41 伸縮部
42 駆動源
43 動力伝達系
50 ハウジング
51 伸縮本体部
52 伸縮ロッド部
61 回転軸
71 駆動プーリ
72 従動プーリ
73 駆動ベルト
81 ガイド部
82,82A ブレーキ装置
91 ガイド本体部
92 ガイドロッド部
121 作動不良検出部
131 第1ハウジング
132 第2ハウジング
134 連結部材(ロッド部側連結部材)
図1
図2
図3
図4
図5