(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100525
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230711BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20230711BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20230711BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20230711BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20230711BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04029
H01M8/0606
H01M8/04014
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001264
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寒川 太郎
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC07
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA20
5H127BA44
5H127BA45
5H127BB02
5H127EE24
(57)【要約】
【課題】燃料ガスを液体燃料から生成し、生成した燃料ガス等から不純物を除去する燃料電池システムにおいて、システム構成をより簡素化する技術を提供する。
【解決手段】燃料電池システムは、水槽に貯留された水との熱交換により液体燃料を気化させる気化器と、気化器により気化した気体燃料を改質することにより燃料ガスを生成する改質器と、改質器により生成された燃料ガス及び空気により発電する燃料電池と、燃料電池から排出された排ガスまたは改質器により生成された燃料ガスに含まれる不純物の少なくとも一方を、水槽に貯留された水により除去する除去器と、を備える。気化器の水槽と除去器の水槽とが水を共用している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
水槽に貯留された水との熱交換により液体燃料を気化させる気化器と、
前記気化器により気化した気体燃料を改質することにより燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器により生成された前記燃料ガス及び空気により発電する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排ガスまたは前記改質器により生成された前記燃料ガスに含まれる不純物の少なくとも一方を、水槽に貯留された水により除去する除去器と、
を備え、
前記気化器の水槽と前記除去器の水槽とが水を共用している、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記気化器の水槽及び前記除去器の水槽に貯留される水の少なくとも一部は、前記燃料電池から排出された排出水から供給されるように構成されている、燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記気化器の水槽と前記除去器の水槽は、一体である、燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記気化器の水槽と前記除去器の水槽は、別体であるとともに連通しており、
前記燃料電池から排出された前記排ガスまたは前記改質器により生成された前記燃料ガスは、前記気化器の水槽に貯留された水と熱交換された後に前記除去器の水槽に貯留された水を通過するように構成されている、燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
前記除去器により不純物が除去された前記排ガスに含まれる水素が、前記燃料ガスとして前記燃料電池に供給されるように構成されている、燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
前記気化器の水槽及び前記除去器の水槽に貯留された水を中和する中和器をさらに備える、燃料電池システム。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料電池システムであって、
前記中和器は、酸または塩基による中和反応を利用して水を中和する、燃料電池システム。
【請求項8】
請求項6に記載の燃料電池システムであって、
前記中和器は、緩衝液による緩衝作用を利用して水を中和する、燃料電池システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池から排出された前記排ガスとの熱交換により、前記気化器により気化した前記気体燃料を昇温させる熱交換器をさらに備える、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体アンモニアを気化する気化器と、気化されたアンモニアを改質して燃料ガスを生成する改質器と、生成された燃料ガスと空気とにより発電する燃料電池と、を備える燃料電池システムが開示されている。特許文献1では、燃料電池から排出される排ガスを昇温して気化器に供給し、排ガスの熱により液体アンモニアを気化させる。
【0003】
特許文献2には、炭化水素を含む原料ガスを改質して水素含有ガスを生成する改質器と、水素含有ガス中のアンモニアを除去する除去器と、アンモニアが除去された水素含有ガスと空気とにより発電する燃料電池と、を備える、燃料電池システムが開示されている。特許文献2では、燃料電池内部の触媒の被毒を軽減するために、除去器において水素含有ガスを水と接触させることにより、アンモニアを水中に溶解させて、水素含有ガスからアンモニアを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-134278号公報
【特許文献2】国際公開第2011/111400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の燃料電池システムでは、気化されたアンモニアの一部が改質器において分解されずに、燃料ガス中に残存する場合がある。すなわち、燃料電池システムでは、改質された燃料ガスが不純物を含み得る。このような不純物は、燃料電池システムや周囲環境に対して様々な影響を及ぼし得るため、燃料ガスや燃料電池から排出される排ガス等から不純物を除去することが望ましい。
【0006】
ここで、特許文献1のように燃料ガスを液体燃料から生成する燃料電池システムに対して、特許文献2のような除去器を適用する場合、大きなスペースを要するとともにシステム構成が複雑化する。本明細書は、燃料ガスを液体燃料から生成し、生成した燃料ガス等から不純物を除去する燃料電池システムにおいて、システム構成をより簡素化する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する燃料電池システムは、水槽に貯留された水との熱交換により液体燃料を気化させる気化器と、前記気化器により気化した気体燃料を改質することにより燃料ガスを生成する改質器と、前記改質器により生成された前記燃料ガス及び空気により発電する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排ガスまたは前記改質器により生成された前記燃料ガスに含まれる不純物の少なくとも一方を、水槽に貯留された水により除去する除去器と、を備える。前記気化器の水槽と前記除去器の水槽とが水を共用している。
【0008】
上記の燃料電池システムでは、気化器の水槽に貯留された水との熱交換により液体燃料を気化させる。この気化器の水槽は、除去器の水槽と水を共用している。すなわち、液体燃料の気化に利用される水と不純物の除去に利用される水とが、気化器と除去器とで共用される。燃料電池から排出される排ガスや、改質器により生成された燃料ガスは、比較的高温であるため、排ガスまたは燃料ガスを除去器に導入すると、不純物を除去することができるとともに、水槽に貯留された水が昇温される。このため、液体燃料の気化に要する水温を維持することができる。このように、燃料ガスや排ガスの熱を気化器と除去器とにおいて有効利用することができる。したがって、上記の構成では、システム構成が簡素化されるとともに、システムを効率良く稼働させることができる。
【0009】
前記気化器の水槽及び前記除去器の水槽に貯留される水の少なくとも一部は、前記燃料電池から排出された排出水から供給されるように構成されてもよい。このような構成では、水槽に水を補給する頻度を低減することができる。
【0010】
前記気化器の水槽と前記除去器の水槽は、一体であってもよい。このような構成では、気化器と除去器の水槽が、1つの水槽で兼用されるため、システム構成がより簡素化される。
【0011】
前記気化器の水槽と前記除去器の水槽は、別体であるとともに連通していてもよい。前記燃料電池から排出された前記排ガスまたは前記改質器により生成された前記燃料ガスは、前記気化器の水槽に貯留された水と熱交換された後に前記除去器の水槽に貯留された水を通過するように構成されていてもよい。このような構成では、排ガスまたは燃料ガスが、液体燃料を気化させるための水槽に先に導入される。すなわち、気化器の水槽の水温を効率良く上昇させることができる。
【0012】
前記除去器により不純物が除去された前記排ガスに含まれる水素が、前記燃料ガスとして前記燃料電池に供給されるように構成されてもよい。このような構成では、排ガス中の水素を有効利用できる。
【0013】
前記気化器の水槽及び前記除去器の水槽に貯留された水を中和する中和器をさらに備えてもよい。気化器及び除去器の水槽には、不純物が溶解する。これにより、水槽中の水のpHが変動する。上記の構成では、水槽中の水を中和する中和器を備えることにより、システムの腐食や水の異臭を抑制することができる。なお、前記中和器は、例えば、酸または塩基による中和反応を利用して水を中和してもよいし、緩衝液による緩衝作用を利用して水を中和してもよい。
【0014】
前記燃料電池から排出された前記排ガスとの熱交換により、前記気化器により気化した前記気体燃料を昇温させる熱交換器をさらに備えてもよい。このような構成では、気化した気体燃料を改質器に導入する前に予め昇温することができる。また、排ガスは降温されるため、水槽に貯留された水が過度に昇温されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の燃料電池システムの構成を示す概略図。
【
図2】実施例2の燃料電池システムの構成を示す概略図。
【
図3】実施例3の燃料電池システムの構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
以下、図面を参照して、実施例1の燃料電池システム(以下、単にシステムということがある。)1について説明する。
図1に示すように、システム1は、液体燃料タンク4と、ポンプ6と、気化器12と、熱交換器14と、改質器16と、燃料電池20と、除去器22と、窒素分離膜24と、を備えている。
【0017】
液体燃料タンク4は、液体燃料5を貯蔵する。本実施例では、液体燃料5として液体アンモニア(液体燃料の一例)が用いられる。液体燃料タンク4は、液体アンモニアを、例えば常温(20~25℃)かつ数気圧(8~10気圧)で貯蔵する。液体燃料タンク4は、アンモニアを液体状態で貯蔵するため、アンモニアの貯蔵効率が高い。
【0018】
ポンプ6は、液体燃料タンク4と気化器12との間を接続する液体アンモニア供給管30に配設されている。ポンプ6は、液体燃料タンク4に貯蔵された液体アンモニアを、気化器12に向けて送り出す。
【0019】
気化器12は、液体アンモニア供給管30に接続されている。気化器12は、液体アンモニア供給管30から流入する液体アンモニアを気化させ、気体アンモニア供給管32に送り出す。気化器12は、水槽12aと、蒸発器12bを有している。水槽12aには、水60が貯留されている。水槽12a内に貯留された水60の温度は、約70℃である。後述するが、本実施例では、気化器12の水槽12aと除去器22の水槽22aが、一体となっている。すなわち、水槽12aと水槽22aとが、水を共用している。気化器12に流入した液体アンモニアは、蒸発器12bを通過する過程で水槽12a内の水60との熱交換により気化され、気体アンモニア供給管32に送り出される。
【0020】
熱交換器14は、気化器12と改質器16との間を接続する気体アンモニア供給管32に配設されている。熱交換器14は、改質器16に導入される気体アンモニアを予熱するために設けられている。気体アンモニアは、燃料電池20から排出された排ガス(後述)との熱交換により、約350~400℃まで昇温される。昇温された気体アンモニアは、改質器16に送り出される。
【0021】
改質器16は、気体アンモニア供給管32に接続されている。改質器16は、気体アンモニアを改質することで、水素を含有する燃料ガスを生成する。改質器16は、ヒータ(不図示)を有しており、ヒータによりアンモニアを加熱することで、アンモニアが改質されて水素及び窒素に分解される。ここでは、約900℃まで昇温された燃料ガスが生成される。生成された燃料ガスは、燃料ガス供給管34に送り出される。
【0022】
燃料電池20は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)である。燃料電池20は、複数のセルが積層されたスタック構造を有している。各セルは、アノード20aと、カソード20bと、アノード20aとカソード20bとの間に配置された電解質層(不図示)と、を有している。アノード20aは、燃料ガス供給管34を介して改質器16に接続されている。アノード20aには、改質器16により改質された燃料ガスが供給される。カソード20bは、空気供給管35を介して空気ブロワ26に接続されている。カソード20bには、空気ブロワ26により大気中から空気が供給される。燃料電池20は、改質器16により生成された燃料ガスと、空気ブロワ26から供給される空気とを利用して発電を行う。
【0023】
燃料電池20が発電すると、燃料ガス中の水素と空気中の酸素とが化学反応して生成された水(排出水)とともに、未反応の燃料ガス等を含む排ガスが排出される。このときの排ガスの温度は、約700℃である。排ガス及び排出水は、排出管36を通って熱交換器14に導入される。排ガス及び排出水は、熱交換器14において、気化器12により気化された気体アンモニアとの熱交換により、降温される。降温された排ガス及び排出水は、排出管36を通って、除去器22に導入される。
【0024】
上記の改質器16で生成される燃料ガスには、改質器16で改質(分解)されずに残存する残留アンモニア(不純物の一例)が存在する場合がある。燃料ガスに含まれる残留アンモニアは、燃料電池20からそのまま排出され、排ガス中に含有される。除去器22は、排ガス中に含有される残留アンモニアを水に溶解させることにより排ガスから除去する。除去器22は、水60が貯留された水槽22aを有している。本実施例では、除去器22の水槽22aと、気化器12の水槽12aとが、一体となって構成されている。すなわち、液体アンモニアを気化させるために利用される水60が、残留アンモニアを除去するための水60と共用される。排出管36は、水槽22aの水60の中まで延びており、排出管36を流通する排ガス及び排出水は、排出管36の先端部分に設けられた複数の排出孔36aから水槽22aの水60内に流出する。排出水は、水槽22a内の水60として利用される。また、排ガスに含まれる残留アンモニアは、水60に溶解することにより、排ガス中から除去される。残留アンモニアが除去された排ガス(より詳細には、水素及び窒素の混合ガス)の大部分は、分離管38に導入される。
【0025】
窒素分離膜24は、分離管38を介して除去器22に接続されている。窒素分離膜24は、水素及び窒素の混合ガスから窒素を分離する。窒素分離膜24を混合ガスが通過すると、窒素のみが窒素分離膜24に吸着され、水素は窒素分離膜24を透過する。窒素分離膜24を透過した水素は、水素供給管40に送り出される。水素供給管40は、燃料電池20のアノード20aに接続されており、当該水素は、燃料ガスとしてアノード20aに供給される。
【0026】
また、システム1は、中和器28を有している。上述したように、システム1を稼働させると、水槽12a、22aに貯留された水60には、アンモニアが溶解する。このため、システム1の稼働を継続すると、水60が塩基性を示すようになる。また、水槽12a、22a内には、燃料電池20からの排出水が供給されるため、水槽12a、22a内の水60の量が増加する。
図1に示すように、中和器28は、水槽12a、22aから溢れた水62を中和する。具体的には、中和器28は、アンモニアが溶解した水62に対してクエン酸を投入することにより、中和反応を利用して水62を中和する。中和された水62は、排水として処理される。
【0027】
以上に説明したように、本実施例のシステム1では、気化器12の水槽12aと除去器22の水槽22aとが一体となっている。すなわち、液体アンモニアの気化に利用される水60を貯留する水槽12aと、残留アンモニアの除去に利用される水60を貯留する水槽22aとが1つの水槽で兼用されるため、システム構成を簡素化することができる。また、燃料電池20から排出される排ガスは、比較的高温(約700℃)であるため、排ガスを水槽12a、22aに貯留された水60に導入すると、残留アンモニアが除去されるとともに、水60が昇温される。このように、水槽12a、22aを一体とすることで、残留アンモニアの除去と、液体アンモニアの気化に要する水温を維持するためのエネルギーの供給とを、同時に行うことができる。したがって、本実施例では、システム構成を簡素化することができるとともに、システムを効率良く稼働させることができる。
【0028】
また、本実施例では、水槽12a、22a内に、燃料電池20から排出された排出水が供給される。このため、蒸発等により水槽12a、22a内の水60が減少することが抑制され、水槽12a、22a内に水を補給する頻度を低減することができる。
【0029】
また、本実施例では、残留アンモニアが除去された排ガス(水素及び窒素の混合ガス)から窒素分離膜24によって窒素が分離され、窒素分離膜24を透過した水素が、燃料ガスとして燃料電池20に供給される。したがって、排ガス中の水素を有効利用できる。
【0030】
また、本実施例では、水槽12a、22aに貯留された水60を中和する中和器28を備えている。アンモニアが溶解した水60を中和器28により中和することができるため、システムの腐食や水の異臭を抑制することができる。また、中和された水62は略中性を示すため、排水として簡易に処理することができる。
【0031】
また、本実施例では、熱交換器14により、燃料電池20から排出された排ガスを降温させるとともに、気化器12により気化した気体アンモニアを昇温させる。このため、気体アンモニアを改質器16に導入する前に予め昇温することができる。また、排ガスは降温されるため、水槽12a、22aに貯留された水60が過度に昇温されることを抑制することができる。
【0032】
(実施例2)
図2に示すように、実施例2の燃料電池システム100は、排ガスに代えて燃料ガスが除去器22に導入される点が実施例1と異なっている。その他の構成については、実施例1と同様である。
【0033】
実施例2では、
図2に示すように、改質器16が、燃料ガス供給管134を介して除去器22に接続されている。すなわち、気体アンモニアが、改質器16によって燃料ガスに改質された後、燃料ガスが、熱交換器14を経由して除去器22に導入される。熱交換器14では、改質器16に導入される前の気体アンモニアとの熱交換により、燃料ガスが降温される。燃料ガス供給管134は、水槽22aの水60の中まで延びており、燃料ガス供給管134を流通する燃料ガスは、燃料ガス供給管134の先端部分に設けられた複数の排出孔134aから水槽22aの水60内に流出する。実施例1において説明したように、燃料ガス中には、残留アンモニアが存在する場合がある。本実施例では、燃料ガスに含まれる残留アンモニアを除去器22により除去する。残留アンモニアが除去された燃料ガスは、分離管38に導入される。
【0034】
残留アンモニアが除去された燃料ガス(すなわち、水素及び窒素の混合ガス)は、窒素分離膜24により、水素と窒素とに分離される。そして、窒素分離膜24を透過した水素は、燃料ガスとして燃料電池20のアノード20aに供給される。
【0035】
本実施例のシステム100では、改質器16により生成された燃料ガスが、燃料電池20に供給される前に残留アンモニアが除去される。実施例1では、燃料電池20として、固体酸化物形燃料電池が使用されたが、例えば、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEFC)は、アンモニア等の不純物により劣化が生じ易いことが知られている。このため、実施例2のシステム100は、不純物に対する耐性が比較的低い種類の燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)を使用する際に特に有用である。
【0036】
なお、実施例2においても、実施例1と同様に、燃料電池20から排出される排ガス及び排出水を除去器22に導入してもよい。このように構成すると、燃料電池20における未反応の燃料ガス(水素)や排出水を有効利用することができる。
【0037】
(実施例3)
図3に示すように、実施例3の燃料電池システム200は、気化器112の水槽112aと、除去器122の水槽122aが別体となっている。水槽112aと水槽122aとは、連通管114によって接続されている。すなわち、水槽112a及び水槽122a内の水は、連通管114を介して流通可能である。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0038】
実施例3では、排出管36が気化器112の水槽112a内の水60を通過した後に、除去器122の水槽122aに導入される。すなわち、排出管36は、まず水槽112a内に進入し、連通管114を通って水槽122a内に導かれる。排出管36の排出孔36aは、除去器122の水槽122a内に位置するように設けられている。
【0039】
実施例3のシステム200では、燃料電池20から排出される排ガスが、液体アンモニアを気化させるための水槽112a内に先に導入される。比較的高温の状態である排ガスが水槽122aよりも先に水槽112a内に導入されるため、排ガスと水槽112a内の水60との熱交換により、液体アンモニアの気化に要する水温を効率良く維持することができる。
【0040】
なお、実施例3において、実施例2の構成(すなわち、改質器16で生成された燃料ガスを除去器22に導入する構成)を実施例3に適用してもよい。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下、上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0042】
(変形例)
上述した実施例では、液体燃料として液体アンモニアを使用する例について説明したが、例えば、炭化水素を含有する化合物や、アルコール等を液体燃料として使用してもよい。
【0043】
また、中和器28では、中和反応を利用して水62を中和する態様に代えて、緩衝液を投入し、緩衝液の緩衝作用を利用して水62を中和してもよい。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液を用いることができる。
【0044】
実施例1及び実施例3において、水素及び窒素の混合ガスから窒素を分離して水素を再利用する構成(すなわち、分離管38、窒素分離膜24、水素供給管40)は、設けられなくてもよい。また、各実施例において、熱交換器14及び中和器28は設けられなくてもよい。
【0045】
また、各実施例において、水素供給管40に水素を昇圧する昇圧機構を配置してもよい。例えば、水素供給管40にエゼクタやブロワ等を配置して、昇圧した水素を燃料電池20に供給してもよい。このような構成では、燃料電池20に燃料ガス(水素)を効率良く供給することができる。
【0046】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
1:燃料電池システム
4:液体燃料タンク
5:液体燃料
6:ポンプ
12:気化器
12a:水槽
12b:蒸発器
14:熱交換器
16:改質器
20:燃料電池
22:除去器
22a:水槽
24:窒素分離膜
28:中和器
60:水