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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100560
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】発電機能付二次電池
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/00 20230101AFI20230711BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20230711BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01L37/00
H02N11/00 A
H01M10/46
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001329
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】516230102
【氏名又は名称】株式会社GCEインスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博史
【テーマコード(参考)】
5H030
【Fターム(参考)】
5H030AA01
5H030AS18
5H030BB01
(57)【要約】
【課題】安定した発電の実現を図ることができる発電機能付二次電池を提供する。
【解決手段】熱電素子1を利用した発電機能付二次電池100であって、外気以上の温度を示す熱媒3に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子1と、前記熱電素子1と電気的に接続された二次電池2と、を備え、前記熱電素子1は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極11、12を含むことを特徴とする。例えば前記熱電素子1は、前記一対の電極11、12の間に設けられ、微粒子を内包する不導体層を含む中間部を含み、前記不導体層は、前記一対の電極11、12を支持することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、
外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、
前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、
を備え、
前記熱電素子は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極を含むこと
を特徴とする発電機能付二次電池。
【請求項2】
前記熱電素子は、前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を内包する不導体層を含む中間部を含み、
前記不導体層は、前記一対の電極を支持すること
を特徴とする請求項1記載の発電機能付二次電池。
【請求項3】
前記一対の電極は、前記熱媒に挟まれること
を特徴とする請求項1又は2記載の発電機能付二次電池。
【請求項4】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と接して設けられること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項5】
前記熱媒は、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と、前記蓄熱部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項4記載の発電機能付二次電池。
【請求項6】
前記熱媒は、前記熱電素子及び前記二次電池を内設する容器を含み、
前記熱電素子は、前記容器の内壁と接すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項7】
前記熱媒は、回路基板を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と接すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項8】
前記熱電素子及び前記二次電池は、前記回路基板の同一主面上に設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項9】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と、前記筐体部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項10】
前記熱媒は、前記二次電池から電力を供給される駆動部を含み、
前記熱電素子は、前記駆動部と接すること
を特徴とする請求項1~4のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱電素子を利用した発電機能付二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の二次電池の充電に関し、例えば特許文献1のような熱電充電器が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された熱電充電器は、セラミックス製の基板に熱電半導体が埋め込まれ、該熱電半導体に電極が固定された熱電素子と、前記熱電素子の一方の面の側に設けられた第1の熱交換部と、前記熱電素子の他方の面の側に設けられた第2の熱交換部と、前記熱電素子の出力を外部に取り出す手段とを備える。
【0004】
また、上記熱電素子として、特許文献1のようなゼーベック効果を利用した熱電素子のほか、例えば特許文献2のように、電極間の温度差を不要とした熱電素子等の開発もされている。
【0005】
特許文献2に開示された発電素子では、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、第1電極と、前記第1電極と対向して設けられ、前記第1電極よりも高電位を示す第2電極と、前記第1電極と、前記第2電極との間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-284235号公報
【特許文献2】特許第6942404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に開示されたゼーベック効果を利用した熱電素子を用いた場合、電極間に温度差を生じさせる構成を備えることを前提としている。特に、上記熱電素子を用いて継続的に安定した発電を実現するには、電極間の温度差を長時間維持する必要がある。この点、特許文献1では、金属や液体等を利用して、電極間の温度差を生じさせることを前提としている。このため、電極間の温度差が変化し易い条件下での発電を想定しているため、不安定な発電に繋がり得ることが懸念として挙げられる。
【0008】
これに対し、特許文献2に開示された熱電素子は、電極間に温度差を生じさせる必要がない。しかしながら、経時に伴い熱電素子に伝達される熱が変動する場合には、上記熱電素子と同様に不安定な発電に繋がり得る。この点について、特許文献2には記載も示唆もされていない。
【0009】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、安定した発電の実現を図ることができる発電機能付二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る発電機能付二次電池は、熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、を備え、前記熱電素子は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極を含むことを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明において、前記熱電素子は、前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を内包する不導体層を含む中間部を含み、前記不導体層は、前記一対の電極を支持することを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明又は第2発明において、前記一対の電極は、前記熱媒に挟まれることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、前記熱電素子は、前記筐体部と接して設けられることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る発電機能付二次電池は、第4発明において、前記熱媒は、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部を含み、前記熱電素子は、前記筐体部と、前記蓄熱部との間に接して設けられることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記熱媒は、前記熱電素子及び前記二次電池を内設する容器を含み、前記熱電素子は、前記容器の内壁と接することを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記熱媒は、回路基板を含み、前記熱電素子は、前記回路基板と接することを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る発電機能付二次電池は、第7発明において、前記熱電素子及び前記二次電池は、前記回路基板の同一主面上に設けられることを特徴とする。
【0018】
第9発明に係る発電機能付二次電池は、第7発明において、前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、前記熱電素子は、前記回路基板と、前記筐体部との間に接して設けられることを特徴とする。
【0019】
第10発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記熱媒は、前記二次電池から電力を供給される駆動部を含み、前記熱電素子は、前記駆動部と接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1発明~第10発明によれば、熱電素子は、外気以上の温度を示す熱媒に接する。このため、経時に伴い熱電素子に伝達される熱の変動を抑制することができる。これにより、安定した発電の実現を図ることが可能となる。
【0021】
特に、第2発明によれば、中間部は、微粒子を内包する不導体層を含む。即ち、不導体層により、電極間における微粒子の移動が抑制される。このため、経時に伴い微粒子が一方の電極側に偏在し、電子の移動量が減少することを抑制することができる。これにより、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【0022】
また、第2発明によれば、不導体層は、一対の電極を支持する。このため、不導体層の代わりに溶媒等を用いた場合に比べて、電極間の距離(ギャップ)を維持するための支持部等を設ける必要がなく、支持部の形成精度に起因するギャップのバラつきを除くことができる。これにより、発電量のバラつきを抑制することが可能となる。
【0023】
特に、第3発明によれば、一対の電極は、熱媒に挟まれる。このため、経時に伴い熱電素子に伝達される熱の変動をさらに抑制することができる。これにより、より安定した発電の実現を図ることが可能となる。
【0024】
特に、第4発明によれば、熱電素子は、筐体部と接して設けられる。このため、二次電池から発生する熱エネルギーを、熱電素子を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、二次電池の利用に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0025】
特に、第5発明によれば、熱電素子は、筐体部と、蓄熱部との間に接して設けられる。このため、熱電素子に供給される熱エネルギー量の経時変化を抑制し易くすることができる。これにより、発電量のさらなる安定化を図ることが可能となる。
【0026】
特に、第6発明によれば、熱電素子は、容器の内壁と接する。このため、容器に伝達された熱エネルギーを、熱電素子を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0027】
特に、第7発明によれば、熱電素子は、回路基板と接する。このため、演算処理等により回路基板上に生じた熱エネルギーを、熱電素子を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、演算処理等に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0028】
特に、第8発明によれば、熱電素子及び二次電池は、回路基板の同一主面上に設けられる。このため、二次電池から発生する熱エネルギーが、回路基板内に保持されることを抑制することができる。これにより、回路基板の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0029】
特に、第9発明によれば、熱電素子は、回路基板と、筐体部との間に接して設けられる。このため、二次電池から発生する熱エネルギーを、回路基板に直接伝達させることを抑制することができる。これにより、回路基板の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0030】
特に、第10発明によれば、熱電素子は、駆動部と接する。このため、駆動部から発生する熱エネルギーを、熱電素子を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、駆動部から発生する排熱を、有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態における発電機能付二次電池の一例を示す模式図である。
図2図2(a)は、実施形態における発電機能付二次電池の第1変形例を示す模式図であり、図2(b)は、実施形態における発電機能付二次電池の第3変形例を示す模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態における発電機能付二次電池の第4変形例を示す模式図である。
図4図4は、実施形態における発電システムの一例を示す概念図である。
図5図5(a)は、実施形態における熱電素子の一例を示す模式断面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるA-Aに沿った模式断面図である。
図6図6は、中間部の一例を示す模式断面図である。
図7図7(a)は、実施形態における熱電素子の第1変形例を示す模式断面図であり、図7(b)は、実施形態における熱電素子の第2変形例を示す模式断面図である。
図8図8は、中間部の第1変形例を示す模式断面図である。
図9図9は、中間部の第2変形例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態としての発電機能付二次電池、及び発電システムの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、熱電素子の各電極が積層される高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第3方向Yとする。また、各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0033】
(発電機能付二次電池100)
図1は、本実施形態における発電機能付二次電池100の一例を示す模式図である。
【0034】
発電機能付二次電池100は、例えば電子デバイス、電気自動車、自立型センサ端末等のような、電源が必要となる公知の装置と電気的に接続される。発電機能付二次電池100は、主電源として用いられるほか、例えば補助電源として用いられてもよい。
【0035】
発電機能付二次電池100は、熱電素子1と、二次電池2とを備える。熱電素子1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。二次電池2は、熱電素子1と電気的に接続され、例えば電力の供給により駆動する駆動部等と電気的に接続される。駆動部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置や、モータ等のような、公知の駆動装置を示す。
【0036】
熱電素子1は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極11、12を含む。この場合、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する際、電極間の温度差が不要となる。なお、例えば熱電素子1は、第1方向Zと交わる第1面1f及び第2面1sを有し、第1電極11は第1面1f側に設けられ、第2電極12は第2面1s側に設けられる。第1電極11と第1面1f、及び第2電極12と第2面1sとの間には、例えば基板や筐体等の部材が設けられてもよいほか、例えば空洞等が設けられてもよい。上記のほか、例えば熱電素子1は、第1電極11の表面を第1面1fとし、第2電極12の表面を第2面1sとしてもよい。
【0037】
ここで、発電量が不安定な従来の熱電素子を用いて二次電池2を充電する場合、過充電状態等の想定外の不具合を引き起こす可能性があり、二次電池2の早期劣化が懸念として挙げられる。これに対し、本実施形態における発電機能付二次電池100では、熱電素子1が外気以上の熱媒3に接する。このため、経時に伴い熱電素子1に伝達される熱の変動を抑制することができる。これにより、安定した発電の実現を図ることが可能となる。従って、例えば二次電池2の早期劣化の抑制に繋げることができる。なお、例えば図1に示すように、熱電素子1の第1面1f及び第2面1sが、熱媒3に接するほか、第1面1f、第2面1s、及び側面の少なくとも何れかが、熱媒3に接してもよい。
【0038】
例えば一対の電極11、12は、熱媒3に挟まれてもよい。この場合、経時に伴い熱電素子1に伝達される熱の変動をさらに抑制することができる。特に、各電極11、12に伝達される熱の変動が抑制され、電極11、12間に温度差のバラつきが生じ難くすることができる。これにより、より安定した発電の実現を図ることが可能となる。なお、例えば図1に示すように、熱電素子1全体が熱媒3に挟まれるほか、例えば熱電素子1の少なくとも一部が熱媒3に挟まれてもよい。なお、一対の電極11、12等が熱媒3に「挟まれる」とは、一対の電極11、12等が熱媒3に接する状態を示すほか、例えば離間した状態を示してもよい。
【0039】
一対の電極11、12は、例えば互いに主面が対向する第1方向Zに沿って、第1熱媒3f及び第2熱媒3sに挟まれる。一対の電極11、12は、例えば主面と平行な第2方向X又は第3方向Yに沿って、第1熱媒3f及び第2熱媒3sに挟まれてもよい。何れの場合においても、各熱媒3f、3sから各電極11、12に対し、継続的に熱エネルギーを供給することができる。特に、電極間の温度差を不要とする熱電素子1を用いることで、各熱媒3f、3sから供給される熱エネルギーの度合いを考慮する必要が無く、継続して安定した発電を実現し易くすることが可能となる。なお、熱電素子1の詳細は、後述する。
【0040】
二次電池2は、リチウムイオン二次電池等のような、充放電可能な公知の電池を示す。二次電池2は、例えば熱電素子1により発生した電力に基づき充電することができる。二次電池2の種類や性能等は、用途に応じて任意に選択することができる。
【0041】
熱媒3は、外気以上の温度を示す構造体であれば任意であり、例えば熱エネルギーを発生させる熱源でもよい。熱媒3は、それぞれ別体に設けられた第1熱媒3f及び第2熱媒3sを含むほか、例えば一体に設けられた第1熱媒3f及び第2熱媒3sを含んでもよい。
【0042】
熱源として、例えばCPU等の電子デバイスの電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等が挙げられる。熱媒3は、例えば上述した熱源のほか、電子デバイス等の筐体、排熱パイプ、太陽光パネルの硝子やフレーム部、自動車の車体等、蓄熱され得る構造体が挙げられる。
【0043】
発電機能付二次電池100は、例えば図4に示すように、充電回路5を備える。充電回路5として、例えば熱電素子1等の環境発電を用いて二次電池2を充電する際に用いられる公知の回路が用いられる。充電回路5は、例えば整流回路51と、平滑回路52と、電圧リミッタ53とを含む。充電回路5は、例えば昇圧回路を含んでもよい。
【0044】
整流回路51は、例えば熱電素子1から出力される電圧の極性が変化する場合に用いられる。平滑回路52は、例えば熱電素子1又は整流回路51から出力される直流電圧を平滑化する場合に用いられる。電圧リミッタ53は、例えば二次電池2に過度な電圧が印可されることを抑制する場合に用いられる。
【0045】
<第1変形例:熱媒3が二次電池2の筐体部21を含む>
例えば熱媒3は、二次電池2の筐体部21を含んでもよい。この場合、例えば図2(a)に示すように、熱電素子1は、筐体部21と接して設けられてもよい。即ち、一対の電極11、12は、任意の第1熱媒3fと、第2熱媒3sに相当する筐体部21とに挟まれる。このため、二次電池2から発生する熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、二次電池2の利用に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0046】
なお、筐体部21は、二次電池2の充放電に伴い温度が上昇し、継続的に外気よりも高い温度になり易い。このため、筐体部21を熱媒3として用いることで、熱電素子1に対して安定した熱エネルギーの供給も可能となる。
【0047】
筐体部21として、公知の二次電池用筐体が用いられ、例えば熱伝導性の高い材料が用いられる。容器31は、二次電池2の電極や活物質を内設するほか、例えば任意の電子部材や封止材等を内設してもよい。
【0048】
なお、例えば熱電素子1は、一対の二次電池2の間に設けられてもよい。即ち、一対の電極11、12は、第1熱媒3fに相当する一方の二次電池2の筐体部21と、第2熱媒3sに相当する他方の二次電池2の筐体部21とに挟まれてもよい。この場合においても、二次電池2から発生する熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0049】
<第2変形例:熱媒3が蓄熱部を含む>
例えば熱媒3は、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部を含んでもよい。この場合、熱電素子1は、蓄熱部と、筐体部21との間に接して設けられる。即ち、一対の電極11、12は、第1熱媒3fに相当する蓄熱部と、第2熱媒3sに相当する筐体部21とに挟まれる。このため、熱電素子1に供給される熱エネルギー量の経時変化を抑制し易くすることができる。これにより、発電量のさらなる安定化を図ることが可能となる。
【0050】
蓄熱部は、例えば物質の比熱を利用した公知の顕熱蓄熱材料を有する。顕熱蓄熱材料として、例えばエアロゲル、レンガ等が用いられる。エアロゲルとは、空気分子の平均自由行程よりも小さなナノサイズの多孔性を有するものであり、シリカ、カーボン、アルミナ等を素材とする。顕熱蓄熱材料として、例えばガラスの比熱(例えば10~50℃のときに0.67J/g・K)よりも高い比熱を示す材料が用いられる。なお、比熱の値は、文献値を参照するほか、JIS K 7123に準ずる測定結果を用いてもよい。
【0051】
蓄熱部は、例えば物質の相変化、転移に伴う転移熱(潜熱)を利用した潜熱蓄熱材料を有してもよい。潜熱蓄熱材料として、水、塩化ナトリウム等の相変化を利用する公知のものが用いられる。蓄熱部は、例えば化学反応時の吸熱発熱を利用した化学蓄熱材料を有してもよい。化学蓄熱材料として、例えば公知の材料が用いられる。
【0052】
なお、例えば熱電素子1は、一対の蓄熱部との間に接して設けられてもよい。即ち、一対の電極11、12は、第1熱媒3fに相当する一方の蓄熱部と、第2熱媒3sに相当する他方の蓄熱部とに挟まれてもよい。この場合においても、熱電素子1に供給される熱エネルギー量の経時変化を抑制し易くすることができる。これにより、発電量のさらなる安定化を図ることが可能となる。
【0053】
上記に加え、例えば熱電素子1は、蓄熱部に内包された状態で設けられてもよい。この場合においても、熱電素子1に供給される熱エネルギー量の経時変化を抑制し易くすることができる。これにより、発電量のさらなる安定化を図ることが可能となる。特に、熱電素子1が蓄熱部に内包される領域内では、温度差が生じ難い。このため、各電極11、12の間には温度差が生じ難く、電極間の温度差に伴う発電のバラつきを抑制することが可能となる。
【0054】
<第3変形例:熱媒3が容器31を含む>
例えば熱媒3は、熱電素子1及び二次電池2を内設する容器31を含んでもよい。この場合、熱電素子1は、容器31の内壁と接する。即ち、一対の電極11、12は、熱媒3に相当する容器31の内壁に挟まれる。このため、容器31に伝達された熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0055】
なお、例えば図2(b)に示すように、熱電素子1は、容器31の内壁及び筐体部21と接してもよい。即ち、一対の電極11、12は、第1熱媒3fに相当する容器31の内壁と、第2熱媒3sに相当する筐体部21とに挟まれてもよい。この場合においても、容器31及び筐体部21に伝達された熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0056】
容器31として、電子部品等を保護する公知の材料が用いられ、例えば熱伝導性の高い材料が用いられる。容器31は、例えば熱電素子1及び二次電池2のほか、任意の電子部材や封止材等を内設してもよい。
【0057】
<第4変形例:熱媒3が回路基板4を含む>
例えば熱媒3は、回路基板4を含んでもよい。この場合、例えば図3(a)に示すように、熱電素子1は、回路基板4と接する。即ち、一対の電極11、12は、任意の第1熱媒3fと、第2熱媒3sに相当する回路基板4とに挟まれる。このため、演算処理等により回路基板4上に生じた熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、演算処理等に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0058】
なお、例えば熱電素子1及び二次電池2は、回路基板4の同一主面上に設けられてもよい。この場合、回路基板4を介して、二次電池2から発生する熱エネルギーを熱電素子1に供給し易くすることができ、回路基板4内に熱エネルギーが保持されることを抑制することができる。これにより、回路基板4の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0059】
また、例えば図3(b)に示すように、熱電素子1は、回路基板4と、筐体部21との間に接して設けられてもよい。即ち、一対の電極11、12は、第1熱媒3fに相当する筐体部21と、第2熱媒3sに相当する回路基板4とに挟まれる。このため、二次電池2から発生する熱エネルギーを、回路基板4に直接伝達させることを抑制することができる。これにより、回路基板4の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0060】
回路基板4は、例えばCPUやトランジスタ等の電子部品が搭載された公知の配線付き基板を示す。回路基板4の大きさや種類は、用途に応じて任意に設定することができる。回路基板4には、例えば上述した充電回路5が配置されてもよい。
【0061】
(発電システム)
次に、本実施形態における発電システムの一例について説明する。図4は、本実施形態における発電システムの一例を示す概念図である。
【0062】
発電システムは、例えば図4に示すように、発電機能付二次電池100と、制御部6とを備える。発電機能付二次電池100は、例えば複数の熱電素子1を備えてもよく、複数の二次電池2を備えてもよい。
【0063】
制御部6は、例えばCPU等のような公知の演算処理装置を含み、例えばパソコンやスマートフォン等の電子デバイスに実装される。制御部6は、例えば電流計測センサ、電圧計測センサ、温度センサ等のセンサを含み、計測値を計測してもよい。制御部6は、例えば予め設定された閾値等を保存する記憶部を含んでもよい。
【0064】
制御部6は、熱電素子1を介して充電される二次電池2の充電条件を制御する。このため、二次電池2の充放電状態や、熱電素子1の発電状態に基づき、充電条件を制御することができる。これにより、二次電池2の早期劣化の抑制を図ることが可能となる。
【0065】
制御部6は、例えば熱電素子1の発電に基づく電圧及び電流の少なくとも何れかを計測値として取得する。制御部6は、例えば複数の熱電素子1毎に対応する計測値を取得してもよい。
【0066】
制御部6は、計測値に基づき、二次電池2の充電条件を制御する。制御部6は、例えば1つ以上の計測値に基づき、1つ以上の二次電池2毎の制御条件を制御してもよい。充電条件は、例えば予め任意に設定することができ、二次電池2を充電する際に影響する条件であれば任意に設定することができる。
【0067】
例えば充電回路5に複数の電圧リミッタ53が含まれる場合、充電条件として、計測値に応じた電圧リミッタ53への接続条件が挙げられる。即ち、制御部6は、計測値に基づき、特定の電圧リミッタ53を二次電池2と電気的に接続し、他の電圧リミッタ53を二次電池2と電気的に離間することで、充電条件を制御することができる。
【0068】
例えば制御部6は、熱電素子1の発電時における温度を計測値として取得してもよい。この場合、例えば制御部6は、予め設定された温度閾値と、計測値とを比較した結果に基づき、熱電素子1の温度を制御してもよい。熱電素子1の温度を制御することで、熱電素子1の発電量を変化させることができるため、二次電池2の充電条件を制御することができる。
【0069】
例えば熱電素子1の発電時における温度を計測値として取得した場合、制御部6は、計測値に対応する推定発電量を算出し、算出結果に基づき充電条件を制御してもよい。上記のほか、例えば制御部6は、熱電素子1の発電時における温度の経時変化を計測値として取得してもよい。この場合、制御部6は、閾値を超える温度変化が生じた場合に、二次電池2への充電を中断するための充電条件を制御してもよい。
【0070】
例えば熱電素子1は、それぞれ独立して二次電池2と電気的に接続された複数の素子を含んでもよい。この場合、制御部6は、二次電池2と、複数の素子との電気的接続関係を、充電条件として制御してもよい。例えば制御部6は、複数の素子毎に電圧を計測値として取得する。その後、制御部6は、計測値に基づき、二次電池2の充電状態に適した電圧を出力できる素子を選択し、選択された素子と、二次電池2とを電気的に接続する。
【0071】
例えば制御部6は、予め取得された二次電池2の放電レート特性を用いて、二次電池2の充電城代に適した電圧を算出する。その後、制御部6は、複数の素子から取得した計測値から、算出された電圧を出力できる素子を特定し、素子と二次電池2とを電気的に接続する。なお、制御部6は、例えば複数の素子を並列又は直列に接続してもよい。
【0072】
例えば、二次電池2は、例えば駆動部と電気的に接続され、熱電素子1は、駆動部と電気的に離間してもよい。この場合、制御部6は、二次電池2から駆動部に供給される電力の条件を制御してもよい。制御部6は、例えば二次電池2から駆動部に供給される電力に関する供給情報(例えば電圧や電流)を、上述したセンサを介して取得する。制御部6は、供給情報に基づき、上述した充電条件と同様の方法により、二次電池2から駆動部に供給される電力の条件を制御する。
【0073】
例えば、二次電池2及び熱電素子1は、駆動部と電気的に接続されてもよい。この場合、上記と同様に、例えば制御部6は、熱電素子1から駆動部に供給される電力の条件を制御してもよい。また、例えば制御部6は、二次電池2及び熱電素子1から、駆動部に供給される電力の条件を制御してもよい。この場合においても上述した方法と同様に、制御部6は、熱電素子1及び二次電池2から駆動部に供給される電力に関する供給情報を取得し、供給情報に基づき電力の条件を制御することができる。
【0074】
(熱電素子1)
図5(a)は、本実施形態における熱電素子1の一例を示す模式断面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるA-Aに沿った模式断面図である。
【0075】
熱電素子1は、例えば図5(a)に示すように、第1電極11と、第2電極12と、中間部14とを備える。熱電素子1は、例えば第1基板15、及び第2基板16の少なくとも何れかを備えてもよい。
【0076】
第1電極11及び第2電極12は、互いに対向して設けられる。第1電極11及び第2電極12は、それぞれ異なる仕事関数を有する。中間部14は、例えば図6に示すように、第1電極11と、第2電極12との間(ギャップG)を含む空間140に設けられる。中間部14は、微粒子141を含む。
【0077】
微粒子141は、例えば第1微粒子141f、及び第2微粒子141sを含んでもよい。例えば第2微粒子141sの中央径D50sは、第1微粒子141fの中央径D50fよりも小さい。この場合、例えば第2微粒子141sが、第1微粒子141fの粒子間に入り込む可能性を高くすることができる。この際、各微粒子141f、141sは、何れか一方のみが中間部14に含まれる場合に比べて、変動可能な範囲が狭くなる。このため、微粒子141の変動を抑制することができる。これにより、発電量の低下の抑制を図ることが可能となる。
【0078】
また、例えば微粒子141が、各微粒子141f、141sを含むことで、大きい中央径D50fを有する第1微粒子141fのみを含む場合に比べて、各電極11、12に接する微粒子141の面積を大きくすることができる。このため、各電極11、12の間を移動する電子の量を増大させることができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0079】
また、例えば微粒子141が、各微粒子141f、141sを含むことで、小さい中央径D50sを有する第2微粒子141sのみを含む場合に比べて、中間部14内における微粒子141の充填度合いを容易に向上させることができる。これにより、微粒子141間において電子の移動を円滑にすることができる。この点においても、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0080】
以下、各構成についての詳細を説明する。
【0081】
<第1電極11、第2電極12>
第1電極11及び第2電極12は、例えば図5(a)に示すように、第1方向Zに離間する。各電極11、12は、例えば第2方向X及び第3方向Yに延在し、複数設けられてもよい。例えば1つの第2電極12は、複数の第1電極11とそれぞれ異なる位置で対向して設けられてもよい。また、例えば1つの第1電極11は、複数の第2電極12とそれぞれ異なる位置で対向して設けられてもよい。
【0082】
第1電極11及び第2電極12の材料として、導電性を有する材料が用いられる。第1電極11及び第2電極12の材料として、例えばそれぞれ異なる仕事関数を有する材料が用いられる。なお、各電極11、12には、それぞれ同一の材料を用いてもよく、この場合、それぞれ異なる仕事関数を有していればよい。
【0083】
各電極11、12の材料として、例えば鉄、アルミニウム、銅等の単一元素からなる材料が用いられるほか、例えば2種類以上の元素からなる合金の材料が用いられてもよい。各電極11、12の材料として、例えば非金属導電物が用いられてもよい。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
【0084】
第1電極11及び第2電極12の第1方向Zに沿った厚さは、例えば4nm以上1μm以下である。第1電極11及び第2電極12の第1方向Zに沿った厚さは、例えば4nm以上500nm以下でもよい。
【0085】
第1電極11と、第2電極12との間の距離を示すギャップGは、例えば不導体層142の厚さを変更することで任意に設定することができる。例えばギャップGを狭くすることで、各電極11、12の間に発生する電界を大きくすることができるため、熱電素子1の発電量を増加させることができる。また、例えばギャップGを狭くすることで、熱電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くすることができる。
【0086】
ギャップGは、例えば500μm以下の有限値である。ギャップGは、例えば10nm以上1μm以下である。例えばギャップGが200nm以下の場合、第1電極11と第2電極12とが接触する可能性が高くなる。また、ギャップGが1μmよりも大きい場合、各電極11、12の間に発生する電界が弱まる可能性がある。これらのため、ギャップGは、200nmよりも大きく、1μm以下であることが好ましい。
【0087】
<中間部14>
中間部14は、例えば微粒子141と、不導体層142とを含む。不導体層142は、微粒子141を内包し、第1電極11及び第2電極12を支持する。この場合、不導体層142により、ギャップGにおける微粒子141の移動が抑制される。このため、経時に伴い微粒子141が一方の電極11、12側に偏在し、電子の移動量が減少することを抑制することができる。これにより、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【0088】
不導体層142は、例えば不導体材料を硬化させて形成される。不導体層142は、例えば固体を示す。不導体層142は、例えば希釈剤の残渣や、不導体材料の未硬化部を含んでもよい。この場合においても、上記と同様に、発電量の安定化を図ることが可能となる。また、微粒子141は、例えば不導体層142に分散された状態で固定される。この場合においても、上記と同様に、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【0089】
中間部14は、第1電極11の上に設けられる。また、第2電極12は、不導体層142の上に設けられる。ここで、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する際、電極間の温度差を不要とする熱電素子1では、第2方向X及び第3方向Yに沿った面におけるギャップGのバラつきを抑制することで、例えば発電量の増加を図ることができる。この点、中間部として溶媒等の液体を用いる場合、ギャップGを維持するための支持部等を設ける必要がある。しかしながら、支持部等の形成に伴い、上記ギャップGのバラつきを大きくし得ることが懸念されていた。これに対し、本実施形態における熱電素子1では、第2電極12は、不導体層142の上に設けられるため、ギャップGを維持するための支持部等を設ける必要がなく、支持部等の形成精度に起因するギャップのバラつきを除くことができる。これにより、発電量のバラつきを抑制することが可能となる。
【0090】
また、ギャップを維持するための支持部等を設ける場合、支持部に微粒子141が接触し、支持部周辺に凝集する懸念が挙げられる。これに対し、本実施形態における熱電素子1では、支持部に起因して微粒子141が凝集する状態を排除することができる。これにより、安定した発電量を維持することが可能となる。
【0091】
中間部14は、例えば図5(b)に示すように、第2方向X及び第3方向Yに沿った平面に延在する。中間部14は、各電極11、12の間に形成された空間140内に設けられる。中間部14は、各電極11、12の互いに対向する主面に接するほか、例えば各電極11、12の側面に接してもよい。
【0092】
微粒子141は、不導体層142に分散され、例えば一部が不導体層142から露出してもよい。微粒子141は、例えばギャップG内に充填され、微粒子141の隙間に不導体層142が設けられてもよい。微粒子141の粒子径は、例えばギャップGよりも小さい。微粒子141の粒子径は、例えばギャップGの1/10以下の有限値とされる。微粒子141の粒子径を、ギャップGの1/10以下とすると、空間140内に微粒子141を含む中間部14を、形成しやすくなる。これにより、熱電素子1を生成する際、作業性を向上させることが可能となる。
【0093】
ここで、「微粒子」とは、複数の粒子を含んだものを示す。微粒子141は、例えば2nm以上1000nm以下の粒子径を有する粒子を含む。微粒子141は、例えば、メディアン径(中央径:D50)が3nm以上20nm以下の粒子径を有する粒子を含んでもよいほか、例えば平均粒径が3nm以上20nm以下の粒子径を有する粒子を含んでもよい。微粒子141の粒子数濃度は、例えば1.0×10~1.0×1012個/ml程度でもよく、用途に応じて任意に設定することができる。メディアン径又は平均粒径、及び粒子数濃度は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、動的光散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMalvern Panalytical 製ゼータサイザーUltra等)を用いればよい。
【0094】
なお、微粒子141に含まれる第1微粒子141f及び第2微粒子141sは、例えば上述した粒子径の範囲であれば、任意に選択することができる。また、第1微粒子141fの中央径D50fと、第2微粒子141sの中央径D50sとの差は、任意である。
【0095】
例えば、第1微粒子141fの粒子数濃度は、第2微粒子141sの粒子数濃度よりも低い。ここで、第1微粒子141fの粒子数濃度が、第2微粒子141sの粒子数濃度よりも高い場合、第1微粒子141fにおける粒子間に、第2微粒子141sが入り込む可能性が低くなる。このため、各電極11、12の間における微粒子141の充填度合いを高めることができず、微粒子141の偏在等を引き起こす懸念が挙げられる。これに対し、本実施形態によれば、例えば第1微粒子141fの粒子数濃度は、第2微粒子141sの粒子数濃度よりも低い。この場合、各電極11、12の間における微粒子141の充填度合いを高めることができる。このため、微粒子141の偏在等の抑制を図ることが可能となる。
【0096】
例えば、第1微粒子141fの仕事関数は、第2微粒子141sの仕事関数よりも低い。この場合、第1電極11及び第1微粒子141fから第2微粒子141sに向けて、電子が移動し易くなる。また、第2微粒子141sの粒子間距離は、第1微粒子141fの粒子間距離に比べて、短い傾向を示すため、中間部14内における電子の伝達経路が形成され易い。このため、第1電極11から第2微粒子141sを介して中間部14に電子が供給され易くなる。これにより、各電極11、12の間における電子の伝達を円滑に進めることができる。従って、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0097】
微粒子141は、例えば導電物を含み、用途に応じて任意の材料が用いられる。微粒子141は、1種類の材料を含むほか、用途に応じて複数の材料を含んでもよい。
【0098】
微粒子141は、例えば金属を含む。微粒子141として、例えば金、銀等の1種類の材料を含有する粒子のほか、例えば2種類以上の材料を含有した合金の粒子が用いられてもよい。
【0099】
微粒子141は、例えば金属酸化物を含む。金属酸化物を含む微粒子141として、例えばジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe、Fe)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、イットリア(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO)、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi)、セリア(CeO)、酸化アンチモン(Sb、Sb)などの、金属及びSiからなる群より選ばれる少なくとも何れか1つの元素の金属酸化物が用いられる。微粒子141は、例えば誘電体を含んでもよい。
【0100】
微粒子141は、例えば磁性体を除く金属酸化物を含んでもよい。例えば微粒子141が、磁性体を示す金属酸化物を含む場合、熱電素子1の設置された環境に起因して発生する磁場により、微粒子141の移動が制限され得る。このため、微粒子141は、磁性体を除く金属酸化物を含むことで、外部環境に起因する磁場の影響を受けずに、経時に伴う発電量の低下を抑制することが可能となる。
【0101】
微粒子141は、例えば被膜141aを表面に含む。被膜141aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような被膜141aを微粒子141の表面に設けることで、例えば不導体層142に分散させる際の凝集を抑制することができる。また、このような被膜141aを微粒子141の表面に設けることで、微粒子141が第1電極11及び第2電極12の少なくとも何れかに直接接触することを防止することが可能となる。
【0102】
被膜141aとして、例えばチオール基又はジスルフィド基を有する材料が用いられる。チオール基を有する材料として、例えばドデカンチオール等のアルカンチオールが用いられる。ジスルフィド基を有する材料として、例えばアルカンジスルフィド等が用いられる。
【0103】
不導体層142は、各電極11、12の間に設けられ、例えば各電極11、12に接する。不導体層142の厚さは、例えば500μm以下の有限値である。不導体層142の厚さは、上述したギャップGの値やバラつきに影響する。このため、例えば不導体層142の厚さが200nm以下の場合、第1電極11と第2電極12とが接触する可能性が高くなる。また、不導体層142の厚さが1μmよりも大きい場合、各電極11、12の間に発生する電界が弱まる可能性がある。これらのため、不導体層142の厚さは、200nmよりも大きく、1μm以下であることが好ましい。
【0104】
不導体層142は、例えば1種類の材料を含むほか、用途に応じて複数の材料を含んでもよい。不導体層142として、例えばISO1043-1、又はJIS K 6899-1に記載の材料が用いられてもよい。不導体層142は、例えば異なる材料を含む複数の層を含み、各層を積層した構成を含んでもよい。不導体層142が複数の層を含む場合、例えば各層にはそれぞれ異なる材料を含む微粒子141が内包(例えば分散)されてもよい。
【0105】
不導体層142は、例えば絶縁性を有する。不導体層142に用いられる材料は、微粒子141を分散した状態で固定できる不導体の材料であれば任意であるが、有機高分子化合物が好ましい。不導体層142が有機高分子化合物を含む場合、不導体層142をフレキシブルに形成できるため、湾曲や屈曲等の用途に応じた形状を有する熱電素子1を形成することができる。
【0106】
有機高分子化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ラジカル重合系の光または熱硬化性樹脂、光カチオン重合系の光または熱硬化性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ノボラック樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
【0107】
なお、例えば不導体層142として、無機物質が用いられてもよい。無機物質として、例えばゼオライトや珪藻土等の多孔無機物質のほか、籠状分子等が挙げられる。
【0108】
<第1基板15、第2基板16>
第1基板15及び第2基板16は、例えば図5(a)に示すように、各電極11、12及び中間部14を挟み、第1方向Zに離間して設けられる。第1基板15は、例えば第1電極11と接し、第2電極12と離間する。第1基板15は、第1電極11を固定する。第2基板16は、第2電極12と接し、第1電極11と離間する。第2基板16は、第2電極12を固定する。
【0109】
各基板15、16の第1方向Zに沿った厚さは、例えば10μm以上2mm以下である。各基板15、16の厚さは、任意に設定することができる。各基板15、16の形状は、例えば正方形や長方形の四角形のほか、円盤状等でもよく、用途に応じて任意に設定することができる。
【0110】
各基板15、16として、例えば絶縁性を有する板状の部材を用いることができ、例えばシリコン、石英、パイレックス(登録商標)等の公知の部材を用いることができる。各基板15、16は、例えばフィルム状の部材が用いられてもよく、例えばPET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等の公知のフィルム状部材が用いられてもよい。
【0111】
各基板15、16として、例えば導電性を有する部材を用いることができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、又はアルミニウムと銅との合金等を挙げることができる。また、各基板15、16としては、例えばSi、GaN等の導電性を有する半導体の他、導電性高分子等の部材が用いられてもよい。各基板15、16に導電性を有する部材を用いる場合、各電極11、12に接続するための配線が不要となる。
【0112】
例えば、第1基板15が半導体の場合、第1電極11と接する縮退部を有してもよい。この場合、縮退部を有しない場合に比べて、第1電極11と第1基板15との間における接触抵抗を低減させることができる。また、第1基板15は、第1電極11と接する面とは異なる表面に、縮退部を有してもよい。この場合、第1基板15と電気的に接続される配線(例えば第1配線101)との接触抵抗を低減させることができる。
【0113】
例えば図5(a)に示す熱電素子1を複数用いて積層する場合、第1基板15及び第2基板16として、半導体が用いられてもよい。この場合、各熱電素子1の積層に伴い接する各基板15、16の接触面に縮退部を設けることで、接触抵抗を低減させることができる。
【0114】
上述した縮退部は、例えばn型のドーパントを高濃度に半導体にイオン注入することや、n型のドーパントを含むガラスなどの材料を半導体にコーティングし、コーティング後に熱処理を行うことによって生成される。
【0115】
なお、半導体の第1基板15にドープされる不純物として、n型であればP、As、Sb等、p型であればB、Ba、Al等の公知の不純物が挙げられる。また、縮退部の不純物の濃度は、例えば、1×1019イオン/cmであれば、電子を効率よく放出させることができる。
【0116】
例えば、第1基板15が半導体の場合、第1基板15の比抵抗値は、例えば1×10-6Ω・cm以上1×10Ω・cm以下であればよい。第1基板15の比抵抗値が1×10-6Ω・cmを下回ると、材料の選定が難しい。また、第1基板15の比抵抗値が1×10Ω・cmよりも大きいと、電流のロスが増大する懸念がある。
【0117】
なお、上記では、第1基板15が半導体の場合について説明したが、第2基板16が半導体でもよい。この場合、上記と同様のため、説明を省略する。
【0118】
なお、熱電素子1は、例えば図7(a)に示すように第1基板15のみを備えるほか、第2基板16のみを備えてもよい。また、熱電素子1は、例えば図7(b)に示すように、各基板15、16を備えずに、第1電極11、中間部14、及び第2電極12の順に複数積層された積層構造(例えば1a、1b、1c等)を示すほか、例えば各基板15、16の少なくとも何れかを備えた積層構造を示してもよい。
【0119】
なお、中間部14は、例えば図8に示すように、不導体層142の代わりに、溶媒142sを含んでもよい。この場合、微粒子141は、溶媒142sに分散される。また、各電極11、12は、図示しない支持部により支持される。溶媒142sとして、たとえば水やトルエン等のような公知の液体が用いられる。この場合においても、上述した第1微粒子141f及び第2微粒子141sを含むことで、発電量の低下の抑制を図ることが可能となる。
【0120】
なお、中間部14は、例えば図9に示すように、不導体層142を含まなくてもよい。この場合、微粒子141は、ギャップGに充填される。また、各電極11、12は、図示しない支持部により支持される。この場合においても、上述した第1微粒子141f及び第2微粒子141sを含むことで、発電量の低下の抑制を図ることが可能となる。
【0121】
<熱電素子1の動作例>
例えば、熱エネルギーが熱電素子1に与えられると、第1電極11と第2電極12との間に電流が発生し、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。第1電極11と第2電極12との間に発生する電流量は、熱エネルギーに依存する他、第2電極12の仕事関数と、第1電極11の仕事関数との差に依存する。
【0122】
発生する電流量は、例えば第1電極11と第2電極12との仕事関数差を大きくすること、及びギャップGを小さくすることで、増やすことができる。例えば、熱電素子1が発生させる電気エネルギーの量は、上記仕事関数差を大きくすること、及び上記ギャップGを小さくすること、の少なくとも何れか1つを考慮することで、増加させることができる。また、各電極11、12の間に、微粒子141を設けることで、各電極11、12の間を移動する電子の量を増大させることができ、電流量の増加に繋げることが可能となる。
【0123】
なお、「仕事関数」とは、固体内にある電子を真空中に取出すために必要な最小限のエネルギーを示す。仕事関数は、例えば、紫外光電子分光法(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)やオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いて測定することができる。なお、「仕事関数」として、熱電素子1の各構成を対象とした実測値が用いられるほか、例えば材料に対して計測された公知の値が用いられてもよい。
【0124】
本実施形態によれば、熱電素子1は、外気以上の温度を示す熱媒3に接する。このため、経時に伴い熱電素子1に伝達される熱の変動を抑制することができる。これにより、安定した発電の実現を図ることが可能となる。
【0125】
また、本実施形態によれば、中間部14は、微粒子141を内包する不導体層142を含む。即ち、不導体層142により、電極間における微粒子141の移動が抑制される。このため、経時に伴い微粒子141が一方の電極側に偏在し、電子の移動量が減少することを抑制することができる。これにより、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【0126】
また、本実施形態によれば、不導体層142は、一対の電極11、12を支持する。このため、不導体層142の代わりに溶媒等を用いた場合に比べて、電極間の距離(ギャップG)を維持するための支持部等を設ける必要がなく、支持部の形成精度に起因するギャップGのバラつきを除くことができる。これにより、発電量のバラつきを抑制することが可能となる。
【0127】
また、本実施形態によれば、一対の電極11、12は、熱媒3に挟まれる。このため、経時に伴い熱電素子1に伝達される熱の変動をさらに抑制することができる。これにより、より安定した発電の実現を図ることが可能となる。
【0128】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、筐体部21と接して設けられる。このため、二次電池2から発生する熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、二次電池2の利用に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0129】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、筐体部21と、蓄熱部との間に接して設けられる。このため、熱電素子1に供給される熱エネルギー量の経時変化を抑制し易くすることができる。これにより、発電量のさらなる安定化を図ることが可能となる。
【0130】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、容器31の内壁と接する。このため、容器31に伝達された熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。
【0131】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、回路基板4と接する。このため、演算処理等により回路基板4上に生じた熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、演算処理等に伴い発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、熱電素子1及び二次電池2は、回路基板4の同一主面上に設けられる。このため、二次電池2から発生する熱エネルギーが、回路基板4内に保持されることを抑制することができる。これにより、回路基板4の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0133】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、回路基板4と、筐体部21との間に接して設けられる。このため、二次電池2から発生する熱エネルギーを、回路基板4に直接伝達させることを抑制することができる。これにより、回路基板4の劣化や演算速度低下等の品質低下を抑制することが可能となる。
【0134】
また、本実施形態によれば、熱電素子1は、駆動部と接する。このため、駆動部から発生する熱エネルギーを、熱電素子1を介して電気エネルギーに変換することができる。これにより、発電量の増加を図ることが可能となる。また、駆動部から発生する排熱を、有効に利用することができる。
【0135】
また、本実施形態によれば、例えば熱電素子1は、昇圧回路を介して二次電池2と電気的に接続されてもよい。この場合、熱電素子1の発電を利用して二次電池2を充電する際、充電時間の短縮を図ることが可能となる。
【0136】
また、本実施形態によれば、例えば制御部6は、熱電素子1を介して充電される二次電池2の充電条件を制御してもよい。この場合、二次電池2の充放電状態や、熱電素子1の発電状態に基づき、充電条件を制御することができる。これにより、二次電池2の早期劣化の抑制を図ることが可能となる。
【0137】
また、本実施形態によれば、例えば二次電池2は、駆動部と電気的に接続され、熱電素子1は、駆動部と電気的に離間してもよい。この場合、従来の二次電池2と駆動部との接続関係を変更することなく、発電システムを利用することができる。これにより、発電システムの利便性を向上させることが可能となる。
【0138】
また、本実施形態によれば、例えば制御部6は、二次電池2から駆動部に供給される電力の条件を制御してもよい。この場合、熱電素子1の発電のバラつきに応じて二次電池2から供給される電力を制御することができる。これにより、安定した電力の供給を図ることが可能となる。
【0139】
また、本実施形態によれば、例えば制御部6は、二次電池2と、複数の素子との電気的接続関係を、充電条件として制御してもよい。この場合、二次電池2に対して負荷を与える充電条件を回避することができ、二次電池2の状態に適した充電を実施することができる。これにより、二次電池2の早期劣化をさらに抑制することが可能となる。
【0140】
また、本実施形態によれば、例えば微粒子141は、第1微粒子141f、及び第1微粒子141fよりも小さい中央径D50sを有する第2微粒子141sを含んでもよい。この場合、第2微粒子141sが、第1微粒子141fの粒子間に入り込む可能性を高くすることができ、微粒子141の分散状態の変動を抑制することができる。これにより、発電量の低下の抑制を図ることが可能となる。
【0141】
また、本実施形態によれば、例えば第1微粒子141fの粒子数濃度は、第2微粒子141sの粒子数濃度よりも低くてもよい。即ち、電極11、12の間における微粒子141の充填度合いを高めることができる。このため、微粒子141の分散状態の変動をさらに抑制することが可能となる。これにより、発電量の低下のさらなる抑制を図ることが可能となる。
【0142】
また、本実施形態によれば、例えば不導体層142は、有機高分子化合物を含んでもよい。この場合、不導体層142をフレキシブルに形成できる。これにより、用途に応じた形状を有する熱電素子1を形成することが可能となる。
【0143】
また、本実施形態によれば、例えば中間部14は、第1電極11の上に設けられ、固体の不導体層142と、不導体層142に分散された状態で固定された微粒子141とを含んでもよい。即ち、不導体層142により、電極間(第1電極11、第2電極12)における微粒子141の移動が抑制される。この場合、経時に伴い微粒子141が一方の電極側に偏在し、電子の移動量が減少することを抑制することができる。これにより、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【0144】
また、本実施形態によれば、例えば中間部14は、第1電極11の上に設けられ、固体の不導体層142を含んでもよい。また、第2電極12は、不導体層142の上に設けられ、第1電極11とは異なる仕事関数を有してもよい。この場合、不導体層142の代わりに溶媒等を用いた場合に比べて、電極間の距離(ギャップG)を維持するための支持部等を設ける必要がなく、支持部等の形成精度に起因するギャップGのバラつきを除くことができる。これにより、発電量のバラつきを抑制することが可能となる。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 :熱電素子
11 :第1電極
12 :第2電極
14 :中間部
15 :第1基板
16 :第2基板
17 :封止材
2 :二次電池
3 :熱媒
3f :第1熱媒
3s :第2熱媒
4 :回路基板
5 :充電回路
51 :整流回路
52 :平滑回路
53 :電圧リミッタ
6 :制御部
100 :発電機能付二次電池
140 :空間
141 :微粒子
141a :被膜
142 :不導体層
142s :溶媒
G :ギャップ
R :負荷
Z :第1方向
X :第2方向
Y :第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、
外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、
前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、
を備え、
前記熱電素子は、
互いに異なる仕事関数を有する一対の電極と、
前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を分散させた不導体層を含む中間部と、
を含み、
前記不導体層は、前記一対の電極を支持すること
を特徴とする発電機能付二次電池。
【請求項2】
前記不導体層は、固体を示すこと
を特徴とする請求項1記載の発電機能付二次電池。
【請求項3】
前記一対の電極は、前記熱媒に挟まれること
を特徴とする請求項1又は2記載の発電機能付二次電池。
【請求項4】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と接して設けられること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項5】
前記熱媒は、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と、前記蓄熱部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項4記載の発電機能付二次電池。
【請求項6】
前記熱媒は、前記熱電素子及び前記二次電池を内設する容器を含み、
前記熱電素子は、前記容器の内壁と接すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項7】
前記熱媒は、回路基板を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と接すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項8】
前記熱電素子及び前記二次電池は、前記回路基板の同一主面上に設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項9】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と、前記筐体部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項10】
前記熱媒は、前記二次電池から電力を供給される駆動部を含み、
前記熱電素子は、前記駆動部と接すること
を特徴とする請求項1~4のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1発明に係る発電機能付二次電池は、熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、を備え、前記熱電素子は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を分散させた不導体層を含む中間部と、を含み、前記不導体層は、前記一対の電極を支持することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第2発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明において、前記不導体層は、固体を示すことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、第1発明~10発明によれば、中間部は、微粒子を内包する不導体層を含む。即ち、不導体層により、電極間における微粒子の移動が抑制される。このため、経時に伴い微粒子が一方の電極側に偏在し、電子の移動量が減少することを抑制することができる。これにより、発電量の安定化を図ることが可能となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また、第1発明~10発明によれば、不導体層は、一対の電極を支持する。このため、不導体層の代わりに溶媒等を用いた場合に比べて、電極間の距離(ギャップ)を維持するための支持部等を設ける必要がなく、支持部の形成精度に起因するギャップのバラつきを除くことができる。これにより、発電量のバラつきを抑制することが可能となる。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、
外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、
前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、
を備え、
前記熱電素子は、
互いに異なる仕事関数を有する一対の電極と、
前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を分散させた不導体層を含む中間部と、
を含み、
前記不導体層は、前記一対の電極を支持し、
前記不導体層の厚さは、200nmよりも大きいこと
を特徴とする発電機能付二次電池。
【請求項2】
前記不導体層は、固体を示し、
前記不導体層の厚さは、1μm以下であること
を特徴とする請求項1記載の発電機能付二次電池。
【請求項3】
前記一対の電極は、前記熱媒に挟まれること
を特徴とする請求項1又は2記載の発電機能付二次電池。
【請求項4】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と接して設けられること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項5】
前記熱媒は、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部を含み、
前記熱電素子は、前記筐体部と、前記蓄熱部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項4記載の発電機能付二次電池。
【請求項6】
前記熱媒は、前記熱電素子及び前記二次電池を内設する容器を含み、
前記熱電素子は、前記容器の内壁と接すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項7】
前記熱媒は、回路基板を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と接すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【請求項8】
前記熱電素子及び前記二次電池は、前記回路基板の同一主面上に設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項9】
前記熱媒は、前記二次電池の筐体部を含み、
前記熱電素子は、前記回路基板と、前記筐体部との間に接して設けられること
を特徴とする請求項7記載の発電機能付二次電池。
【請求項10】
前記熱媒は、前記二次電池から電力を供給される駆動部を含み、
前記熱電素子は、前記駆動部と接すること
を特徴とする請求項1~4のうち何れか1項記載の発電機能付二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1発明に係る発電機能付二次電池は、熱電素子を利用した発電機能付二次電池であって、外気以上の温度を示す熱媒に接し、電極間の温度差を不要とする前記熱電素子と、前記熱電素子と電気的に接続された二次電池と、を備え、前記熱電素子は、互いに異なる仕事関数を有する一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、微粒子を分散させた不導体層を含む中間部と、を含み、前記不導体層は、前記一対の電極を支持し、前記不導体層の厚さは、200nmよりも大きいことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第2発明に係る発電機能付二次電池は、第1発明において、前記不導体層は、固体を示し、前記不導体層の厚さは、1μm以下であることを特徴とする。