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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100567
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】健康支援システム。
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230711BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022009732
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】517030918
【氏名又は名称】株式会社AncientTree
(74)【代理人】
【識別番号】100088867
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 壮好
(72)【発明者】
【氏名】岡本 稔
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】グリコヘモグロビンA1Cは病院等では例えば3カ月に1度しか測定ができないので、生活習慣の改善行動が妥当なものかどうか3カ月を経ないとわからなかった。
【解決手段】本発明は、グリコヘモグロビンA1Cを測定する間にそれと相関関係がある血糖値を頻繁に測定し、その結果を生活習慣の改善行動にフィードバックし、対象者の目標達成のための動機づけとする。
なお、本発明はグリコヘモグロビンA1Cのみならず他のバイタルデータについても適用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の各種の値を検査する第1検査手段と、
前記第1の検査手段によって検査された初期の検査値を表示す第1検査値表示手段と、
当該初期の検査値を入力する第1入力手段と、
入力された初期の検査値を記憶する第1記憶手段と、
初期から所定期間経過後の検査値の目標値を設定する目標値設定手段と、
前記第1記憶手段に記憶された初期値と、前記目標値を比較する第1比較手段と、
初期値を目標値に近づけるために推奨される生活習慣を決定する第1生活習慣決定手段と、
前記決定された生活習慣を表示する第1生活習慣表示手段と、
初期から所定期間経過後に再検査をする第2検査手段と、
前記第2検査手段によって取得された再検査値を表示する第2検査値表示手段と、
が具備されている健康支援システム。
【請求項2】
前記第2検査値を入力する第2入力手段と、
入力された再検査値を記憶する第2記憶手段と、
前記第2記憶手段に記憶された再検査値と、前記目標値とを再度比較する第2比較手段と、
再検査値を目標値に近づけるために推奨される生活習慣を決定する第2生活習慣決定手段と、
前記決定された生活習慣を表示する第2生活習慣表示手段と、
再検査実施時期から所定期間経過後の値を再々検査する第3検査手段と、
が具備されている請求項1記載の健康支援システム。
【請求項3】
前記第1生活習慣決定手段により決定される生活習慣と、前記第2生活習慣決定手段により決定される生活習慣は同一である請求項2記載の健康支援システム。
【請求項4】
前記第1生活習慣決定手段により決定される生活習慣と、第2生活習慣決定手段により決定される生活習慣は異なる請求項2記載の健康支援システム。
【請求項5】
第1検査手段と第2検査手段は異種類である請求項1ないし4のいずれかに記載の健康支援システム。
【請求項6】
第2検査手段と第3検査手段は同種類である請求項2ないし4のいずれかに記載の健康支援システム。
【請求項7】
第2検査手段の検査値は第1検査手段の検査値と相関関係がある請求項1ないし4のいずれかに記載の健康支援システム。
【請求項8】
第1検査手段はグリコヘモグロビンA1Cを検査し、第2検査手段は血糖値を検査する請求項7記載の健康支援システム。
【請求項9】
前記第2検査手段は通信機能付きのウエアラブル測定デバイスであって、当該ウエアラブル測定デバイスにて取得された検査値は、通信機能付きの第2生活習慣表示手段に備えられている第2入力手段に送信される請求項1ないし8のいずれかに記載の健康支援システム。
【請求項10】
前記ウエアラブル測定デバイスでは、少なくとも血糖値、血圧、脈波、蛋白、中性脂肪、コレステロール、クレアチニン、塩分濃度のいずれかが検査できる請求項9記載の健康支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の各種の検査値を当初から一定期間経過後にどのような値にするかの目標値を定め、当該目標を達成するための生活習慣の改善内容を決定して、その後前記一定の期間よりも短期に複数回検査をして、場合によっては生活習慣の内容を変更し、最終的に検査値を目標に持って行くことを企図するものである。
【0002】
例えば、糖尿病が疑われる対象者が、先ず病院などで検査することによりグリコヘモグロビンA1Cを測定してもらいその値が7.0であったとして、3か月後にその値が6.2となることを目標として食事、運動、睡眠などの生活習慣を改善することを心掛けたとする。
しかしながら初期の検査からその改善を確認するグリコヘモグロビンA1Cを再検査するまで3カ月を要するとなると、その間の検査結果の途中経過がわからず生活習慣の改善が奏功しているか否かわからないということになる。
【0003】
上記のような場合、毎週病院で血糖値を検査し測定してもらえれば1週間ごとの経緯がわかるが、健康保険との関係もあってこれは極めて非現実的である。
そこで、簡便な血糖検査を頻繁に行うことによって、その血糖値の変化から今まで実行していた生活習慣が適正なのか否かを判断し、場合によっては生活習慣を更に改善せんとするものである。
本発明はそのような生活習慣改善のための健康支援システムである。
【背景技術】
【0004】
従来より、医療費低減の観点からも生活習慣病の抑制については声高に叫ばれており、生活習慣と各種疾病との因果関係については医学論文などに多数掲載され、周知となっている。
しかしながら、生活習慣と各種検査値を具体的に関連付け対象者に対する健康指導はされてこなかった。
【0005】
健康診断の際に血圧が高いことが判明すると、医師は「あまり塩分をとらないように」とか、血糖値が高いと「あまり炭水化物や糖分をとらないように運動しましょう」とかいう程度で、生活習慣と各種検査値との関係を具体的に指摘することはなかった。
前述のように従来では医師が患者に口頭や書面で指示するだけであったが、患者自身が自分の検査値に基づき生活習慣を改善させるための健康支援システムはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6473988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載の発明は、生活習慣と各種の検査値を関連付けて記録し、同一の生活習慣を継続している場合に、検査値がどのように変化していくかを予測し、場合によっては、対象者に検査値を変更(良好化)すべく生活習慣を変化(改善)させる動機づけを与えようとするものである。
即ち、検査値に基づき生活習慣を改善させる動機づけとはなるものの、短期間に複数回検査を行い、その検査結果に基づき随時生活習慣を改善しようとするものではない。
また、前述のように病院などの医療機関で頻繁に検査するということは極めて非現実的なのである。
【0008】
本発明は、生活習慣と各種検査結果を関連付け、対象者に、当該検査結果から今後の生活習慣を見直す(場合によれば見直さない)指針を与え、具体的な健康指導をせんとするものであり、その要諦は先の検査と後の検査の期間を短くし、きめ細かな支援ができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、対象者の各種の値を検査する第1の検査手段と、前記第1の検査手段によって検査された初期の検査値を表示する表示手段と、当該初期の検査値を入力する入力手段と、入力された初期の検査値を記憶する初期値記憶手段と、初期から所定期間経過後の検査値の目標値を設定する目標値設定手段と、前記記憶手段に記憶された初期値と、前記目標値を比較する比較手段と、初期値を目標値に近づけるために推奨される生活習慣を決定する初期生活習慣決定手段と、前記決定された生活習慣を表示する表示手段と、初期から所定期間経過後に再検査をする第2検査手段と、前記第2検査手段によって取得された再検査値を表示する表示手段と、が具備されている健康支援システムである。
【0010】
本発明によると、先ず、最初(初期)に病院などの医療機関の検査手段(第1検査手段)にて検査をした初期検査値と、対象者が目標とする検査値(目標値)を比較し、それらが乖離している場合、その目標値を達成するための一定期間の生活習慣の改善案を決定し、その生活習慣を実行することになる。
次いで、当初に決めた期間もしくはそれ以前の短期間経過後に、対象者自身が入手できる検査手段(第2検査手段)にて再検査をし、当該再検査の結果が前記対象者にとって思わしくない場合には、生活習慣の見直しをすることになる。
【0011】
(2)本発明は上記(1)の発明に、更に、前記再検査値を入力する入力手段と、入力された再検査値を記憶する再検査値記憶手段と、前記記憶手段に記憶された再検査値と、前記目標値を比較する比較手段と、再検査値を目標値に近づけるために推奨される生活習慣を決定する追加生活習慣決定手段と、前記決定された生活習慣を表示する表示手段と、再検査実施時期から所定期間経過後の値を再々検査する第3検査手段と、前記第3検査手段によって取得された再々検査値を表示する表示手段と、が具備されている健康支援システムである。
【0012】
本発明によると、対象者自身が入手できる検査手段(第2検査手段)にて再検査をした再検査値と、対象者が目標とする検査値(目標値)を比較し、それらが未だ乖離している場合は、その目標値を達成するための更に一定期間の生活習慣の改善案を決定し、その生活習慣を実行することになる。
次いで、当初に決めた期間もしくはそれ以前の短期間経過後に、対象者自身が入手できる検査手段(第3検査手段)にて再々検査を行い、当該再々検査の結果が前記対象者にとって思わしくない場合には、更なる生活習慣の見直しをすることになる。
以降、目標値が達成できるまで検査と更なる生活習慣の改善を繰り返すことになる。
【0013】
(3)前記初期生活習慣決定手段により決定される初期生活習慣と、前記追加生活習慣決定手段により決定される追加生活習慣は同一であってもよい。
即ち、初期生活習慣がカロリー制限であった場合、最初に設定した期間経過後であっても十分な効果が生じないとき(例えば所定の血糖値に到達しないとき)、更に同じカロリー制限を持続することによって目標とする効果が生じることもあるからである。
【0014】
(4)前記初期生活習慣決定手段により決定される初期生活習慣と、前記追加生活習慣決定手段により決定される追加生活習慣は異なることが好ましい。
即ち、初期生活習慣がカロリー制限であった場合、最初に設定した期間経過後であっても十分な効果が生じないとき(例えば所定の血糖値に到達しないとき)、カロリー制限の他に運動を加味することによって目標とする効果が生じさせることができるからである。
【0015】
(5)第1検査手段と第2検査手段は異種類であることが望ましい。
第1の検査手段が病院等の医療機関でしか受けることができない検査手段(例えばグリコヘモグロビンA1C検査手段)であって、第2検査手段は対象者自身が簡単に入手できる検査手段(例えば血糖値検査手段)であると、再検査以降の検査は対象者自身が頻繁に検査することができる。
また最後にグリコヘモグロビンA1C検査手段によって検査をすれば生活習慣改善効果がきちんとわかる。
【0016】
(6)第2検査手段と第3検査手段は同種類であってもよい。
第2検査手段は対象者自身が簡単に検査できる血糖値検査手段であり、第3検査手段も同様の血糖検査手段であってもよい。この場合、再検査以降の検査は対象者自身が頻繁に検査することができる。
この場合も最後にグリコヘモグロビンA1C検査手段にて検査をすれば生活習慣改善効果がきちんとわかる。
【0017】
(7)第2検査手段の検査値は、第1検査手段の検査値と相関関係があることが望ましい。
第2検査手段の検査値は第1検査手段の検査値とリニアな相関関係があることが望ましいが、必ずしも正確にリニアでなくとも傾向として相関関係があれば実用に供し得る。
【0018】
(8)第1の検査手段はグリコヘモグロビンA1Cを検査し、第2検査手段は血糖値を検査するものであってもよい。
【0019】
(9)第2検査手段は通信機能付きのウエアラブル測定デバイスであって、当該ウエアラブル測定デバイスにて取得された検査値は、通信機能付きの第2生活習慣表示手段に備えられていることが望ましい。
ウエアラブル測定デバイスが例えば通信機能付きのスマートウオッチのような形状や機能を有し、当該スマートウオッチを対象者の腕に装着した状態で各種バイタルデータが検査される。そして、その検査値がスマートフォンなどに備えられている第2入力手段に送信され、最終的に当該スマートフォンに推奨される第2生活習慣が表示される。
(10) 前記ウエアラブル測定デバイスでは、少なくとも血糖値、血圧、脈波、蛋白、中性脂肪コレステロール、クレアチニン、塩分濃度のいずれかが検査できることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、生活習慣と各種検査結果を関連付け、対象者に、当該検査結果から今後の生活習慣を見直す指針を与え、しかも所定期間内にこまめに目標値を設定することができ、具体的な健康指導をすることができるので、生活習慣病に対する大きな抑制策を実行し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態の制御ブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態の、対象者の現在値から一定期間後の目標値を順次示すグラフである。
図3】本発明の一実施の形態の、課題改善項目から達成、未達課題分析までのルーチンを示すブロック図。
図4】本発明の他の実施の形態の、1か月評価毎の改善行動の目標と評価を示す表である。
図5】本発明の更に他の実施の形態の、ウエアラブル測定デバイス(第2検査手段)とその測定結果や推奨される生活習慣などを表示する状態を示す図である。
図6図5と同様の他の例を示す図である。
図7】ウエアラブル測定デバイス(第2検査手段)の情報により生活習慣の改善を促す状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、健康支援システム全体の制御ブロック図(図1)と、現在値から一定期間後の目標値を順次示すグラフ(図2)を参照して以下説明する。
これらの図におおいて、第1検査手段1は医療機関などでヘモグロビンA1Cや血糖値を検査する専門的な検査手段であり、第1検査値表示手段2は前記第1検査手段1にて検査され測定されたヘモグロビンA1Cの値((以下「Hba1c」で表す)や血糖値(以下「GLU・BS」で表す)を表示する表示手段である。そして前記第1検査値表示手段2にて表示されたHba1cやGLU・BSは、第1入力手段3を介して第1記憶手段4に記憶される。
【0023】
ここで図2に示されるように、現在のHba1cは7.0で、GLU・BSは160と表示されたとする。
目標値設定手段5には、目標となるHba1cは6.2でGLU・BSは110と設定される。なお目標値としてはHba1cのみでもよい。
而して前記第1記憶手段4に記憶されている現在のHba1cやGLU・BSと、目標値設定手段5にて設定されたHba1cやGLU・BSの目標値とが、第1比較手段6によって比較される。そしてその目標値と現在値の差分(Hba1cは0.8でGLU・BSは50)とから、以後どのような生活習慣をすればよいかが、第1生活習慣決定手段7によって決定されて、第1生活習慣表示手段8によって対象者に表示され、当該対象者は表示された生活習慣を履行するように努めることになる。
【0024】
その目標値と現在値の差分から以後どのような生活習慣をすればよいかを決定するための詳細は、本発明者等が先に発明した特許第6473988号公報の記載に譲るが、ここではこれを簡単に説明する。対象者の現在の生活習慣と、当該生活習慣を続けた場合に起こりえるHba1cやGLU・BSの上昇について、当該データと医学論文等に紹介されている各種の公知情報を人工知能エンジンによって照合し、その分析結果として、検査値変化要因分析(食事、活動、睡眠等)が第1生活習慣決定手段によって決定され、この結果が第1生活習慣表示手段8に表示される。
【0025】
その後、対象者は前記生活習慣を持続し、1か月経過後に第2検査手段9としての自己血糖測定器によって検査した自己血糖測定値(以下「SMBG」で表す)の実測値は、「SMBG150」と第2検査値表示手段10に表示される。この際の自己血糖測定器としては、対象者が医療機関を訪問して検査を受ける専門的な検査装置ではなく、自己血糖を測定する市販の血糖測定器で事足りる。
より具体的には、前記第2検査手段9は通信機能付きのウエアラブル測定デバイスであって、当該ウエアラブル測定デバイスにて取得された検査値は、通信機能付きの第2入力手段11に送信される。
なお、対象者自身が、前記第2検査手段9によって検査された検査値が表示された第2検査値表示手段10を視認して第2入力手段12によって手入力することも可能である。
この場合、前記GLU・BSとSMBGは実質的に同じ値であることを前提とする。
そして前記第2検査値表示手段10に表示されるSMBGは前記第2入力手段11を介して第2記憶手段12に記憶される。
【0026】
而して前記第2記憶手段12に記憶されているSMBGの実測値「150」と、目標値設定手段5にて設定されたGLU・BSの目標値「110」とが第2比較手段13によって比較される。
そしてその実測値と目標値との間で差があれば、その差分「40」を考慮して以後どのような生活習慣をすればよいかが第2生活習慣決定手段14によって決定されて、第2生活習慣表示手段15によって対象者に表示され、当該対象者は表示された生活習慣を履行するように努めることになる。
ここで第2検査値表示手段10、第2入力手段11、第2記憶手段12、第2比較手段13、第2生活習慣決定手段14、 第2生活習慣表示手段15はスマートフォン17に内蔵されている。
従って、前記第2検査手段9から送信された検査値は、直接または回線を介してスマートフォン17に送信されることになる。
【0027】
なお、前記実測値と目標値との差分が大きければ第2生活習慣表示手段15に表示された生活習慣は、前記第1生活習慣表示手段8に表示された生活習慣よりも、対象者にとって厳しいものになる可能性があるが、前記差分が想定通りの値もしくは小さい値であれば従前の生活習慣を続けることが許容される。
その後対象者は前記生活習慣を更に1か月持続し、第3検査手段16としての自己血糖測定器によって検査したSMBGの実測値「120」は、第2記憶手段に記憶され、以降は前述と同様に目標値と実測値が一致もしくは実測値が目標値を下回るまで、検査と生活習慣の改善の設定が繰り返し行われることになり(図2では点線で囲まれた部分を繰り返し実行する)、SMBGの実測値と目標値が一致すれば目標値達成ということで、一旦生活習慣改善活動は終了することになる。
【0028】
近年、血糖については、医療機関で専門的な精度の高い検査装置の値GLU・BSと市販の血糖測定器の値SMBGが相関することは経験的に知られているが、血糖値とHba1cはそれらの測定対象の特性の相違からHba1cと血糖値は必ずしも相関しない場合があるので、最終的には医療機関にてHba1cを検査測定してもらって確認することが好ましい。
【0029】
図3は個別課題を実施するチャレンジフローを示すブロック図で、最終目標を3か月後のHba1cを30%減に設定したものである。それを実行するために先ずSMBGの改善率(低下率)の目標値を10%減に仮設定し、第1生活習慣として食後1時間経過後に1時間の歩行を行い、随時SMBGを測定して場合によってはその値に対応させて前記歩行時間を変更し(改善率があまり改善しない場合は歩行時間を長くする)、当初から1か月後に目標値の達成度をチェックする。
その結果目標値が達成されたら、次の目標値としてSMBGを20%減に仮設定し、第2生活習慣として食後1時間経過後に1時間の歩行と30分のランニングを行い、随時SMBGを測定して当初から2か月後に目標値の達成度をチェックする。
そしてその結果目標値が達成されたら、更に次の目標値としてSMBGを30%減に仮設定し、第3生活習慣として食後1時間経過後に1時間の歩行、30分のランニング更に30分の筋肉トレーニングを行い、随時SMBGを測定して当初から3か月後に目標値の達成度を、Hba1cを測定することによってチェックする。
【0030】
即ち、生活習慣を改善しつつ3カ月ごとに医療機関等でHba1cを検査し測定する間に、簡易的ではあるが短期間に何度もSMBGを測定することによって、対象者が現在持続している生活習慣の妥当性が理解でき、それが励みにもなってより実効性が上がることになる。従って毎日SMBGを測定することも有効である。
【0031】
図4は本発明の他の実施の形態の、1か月評価毎の改善行動の目標と評価を示す表であり、最終の改善目標値を6か月後に、Hba1cを7.0から6.2に減少させ、空腹時のGLU・BSを160から110に減少させることにしたもので、前述と同様にHba1cは3か月毎に測定し、SMBGは適宜頻繁に測定している。
そして生活習慣については、食事の咀嚼回数を増やし、食べる順番を野菜からに変更するなど種々改善し、運動についても1日の歩数を増やしたり、ランニングをするなど運動量を高めている。点線で示す部分は一旦休止するが適宜再開することも予定している習慣行動である。
当初は睡眠や休息などの他の生活習慣については変更することは予定していないが、場合によっては途中からこれらの生活習慣を変更することはあり得る。
【0032】
次に図5および図6に従い健康支援システムを実行する手段の取り扱い方について説明する。
図5(A)は対象者がチャレンジ選択として「運動」を選択したもので、運動によって血糖値を下げることを意図するものである。現在の血糖値が180である対象者の最終目標の血糖値を110と設定した場合、先ず1か月後の血糖値を40下げることを目標として、1日8000歩くと決めてスマートフォン17の「40下げる:8千歩」をクリックし、開始ボタンをクリックすれば、そのデータが第2検査手段9に送信される。
そして、第2検査手段9によって毎日の血糖値が前記スマートフォン17に送信され、当該スマートフォン17に、図5(B)に示されるような生活習慣がメッセージとして表示され、対象者にとって毎日の励みとなる。
【0033】
また、図6(C)は対象者がチャレンジ選択として「食事」を選択したもので、食事の習慣によって血糖値を下げることを意図するものである。ここでは現在の血糖値が180である対象者の最終目標の血糖値を120と設定した場合、3か月後の血糖値を120に下げることを目標として、▲1▼ご飯を半分に、▲2▼朝食を抜かない、▲3▼間食をしないという3項目を心に決めて「やります」をクリックすれば、そのデータが第2検査手段9に送信される。
そして、図6(D)に示すように、対象者自身が毎日チェックして「できた」「できなかった」を入力すれば、第2検査装置9からスマートフォン17に日々の血糖値が送信されることになる。
なお、図6(E)に示すように、食事前に自動メッセージとして、昼食時間になったら「お昼です、ちゃんと食事をとりましょう。但し、ごはんは半分にしてね」というような注意喚起文を、スマートフォン17に表示することも有意義である。
【0034】
次に、図7に基づいて第2検査手段9(ウエアラブル測定デバイス)の情報により生活習慣の改善を促す状態について説明する。
この図から明らかなように、前述のような改善項目として運動や食事の習慣などを設定し、第2検査手段9によって検査された検査値を、人工知能を使って個人別に補正して、現状の検査値と予測値を入力する。そして、前述と同様に目標値が達成できるまで改善活動を繰り返す。
【0035】
前記第2検査手段9(ウエアラブル測定デバイス)では、少なくとも血糖値、血圧、脈波、蛋白、中性脂肪コレステロール、クレアチニン、塩分濃度のいずれかが検査できることが可能であり、本実施の形態ではヘモグロビンA1Cや血糖値について説明をしたが、本発明はそれに限定されるものではなく、前記第2検査手段9(ウエアラブル測定デバイス)によって検査される各種のバイタルデータについても適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1 第1検査手段、2 第1検査値表示手段、3 第1入力手段、4 第1記憶手段、5 目標値設定手段、6 第1比較手段、7 第1生活習慣決定手段、8 第1生活習慣表示手段、9 第2検査手段(通信機能付きのウエアラブル測定デバイス)、10 第2検査値表示手段、11 第2入力手段、12 第2記憶手段、13 第2比較手段、14 第2生活習慣決定手段、15 第2生活習慣表示手段、16 第3検査手段、17 スマートフォン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7