(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100571
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】放電装置、及び、放電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
H02J7/00 V
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081014
(22)【出願日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022001179
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聖師
(72)【発明者】
【氏名】笹田 基弘
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA02
5G503EA05
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】蓄電池が適切に取り扱われるようにする。
【解決手段】放電装置30は、N個(Nは2以上の整数、上記の例ではN=4)の蓄電池スロット38であって、それぞれに1個の蓄電池22を装着可能なN個の蓄電池スロット38と、N個の蓄電池スロット38のそれぞれに装着された1個以上の蓄電池22から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部36と、電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示するためのパワーメータ39であって、N個の表示によって負荷電力値を表示可能なパワーメータ39と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)の蓄電池スロットであって、それぞれに1個の蓄電池を装着可能なN個の蓄電池スロットと、
前記N個の蓄電池スロットのそれぞれに装着された1個以上の前記蓄電池から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部と、
前記電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示するためのパワーメータであって、前記N個の表示によって前記負荷電力値を表示可能なパワーメータと、を備える
放電装置。
【請求項2】
前記パワーメータによって表示される前記負荷電力値は、前記蓄電池の1個あたりの連続出力可能な最大電力値にN以下の整数のそれぞれを乗じた際の電力値に対応する閾値ごとに、段階表示が1段階ずつ変化する
請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記蓄電池の1個あたりの連続出力可能な最大電力値にN以下の整数のそれぞれを乗じた際の電力値から所定のマージンを減じた電力値である
請求項2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記所定のマージンは、過去の前記負荷電力値の実測値に応じて決定される
請求項3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記閾値は、段階表示が1段階上昇するときの数値よりも、段階表示が1段階下降するときの数値の方が小さくなるヒステリシス特性を有する
請求項2に記載の放電装置。
【請求項6】
さらに、前記N個の蓄電池スロットに2個以上の前記蓄電池が装着されている場合に、2個以上の前記蓄電池の中で取り外しに適した前記蓄電池を特定するための表示を行う表示部を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の放電装置。
【請求項7】
前記表示部は、2個以上の前記蓄電池のそれぞれから前記放電装置へと放電可能な放電残量に基づいて、取り外しに適した前記蓄電池の表示態様を他の前記蓄電池の表示態様と異ならせて表示する
請求項6に記載の放電装置。
【請求項8】
前記パワーメータは、
(i)前記電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示する第1モードと、(ii)前記N個の蓄電池スロットに装着されている前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を前記N個の表示によって表示する第2モードと、を切り替え可能であり、
前記第2モードにおいて、前記パワーメータは、前記N個の蓄電池スロットのうちの放電可能な前記蓄電池が装着されている蓄電池スロットに対応するパターンで、前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示する
請求項1~5のいずれか1項に記載の放電装置。
【請求項9】
N個(Nは2以上の整数)の蓄電池スロットであって、それぞれに1個の蓄電池を装着可能なN個の蓄電池スロットと、
前記N個の蓄電池スロットのそれぞれに装着された1個以上の前記蓄電池から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部と、
前記N個の蓄電池スロットに装着されている前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示するためのパワーメータであって、前記N個の表示によって最大電力値の総計を表示可能なパワーメータと、を備え、
前記パワーメータは、前記N個の蓄電池スロットのうちの放電可能な前記蓄電池が装着されている蓄電池スロットに対応するパターンで、前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示する
放電装置。
【請求項10】
請求項1又は9に記載の放電装置と、
1個以上の前記蓄電池と、を備える
放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池パックを利用した放電を行う放電装置、及び、放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池パックと充電装置とを備える蓄電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の蓄電池から同時に放電された電力を出力可能な放電装置及び放電システムにおいて、蓄電池が適切に取り扱われるようにすることができる放電装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る放電装置は、N個(Nは2以上の整数)の蓄電池スロットであって、それぞれに1個の蓄電池を装着可能なN個の蓄電池スロットと、前記N個の蓄電池スロットのそれぞれに装着された1個以上の前記蓄電池から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部と、前記電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示するためのパワーメータであって、N段階の段階表示によって前記負荷電力値を表示可能なパワーメータと、を備える。
【0006】
また、本発明の別の一態様に係る放電装置は、N個(Nは2以上の整数)の蓄電池スロットであって、それぞれに1個の蓄電池を装着可能なN個の蓄電池スロットと、前記N個の蓄電池スロットのそれぞれに装着された1個以上の前記蓄電池から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部と、前記N個の蓄電池スロットに装着されている前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示するためのパワーメータであって、前記N個の表示によって最大電力値の総計を表示可能なパワーメータと、を備え、前記パワーメータは、前記N個の蓄電池スロットのうちの放電可能な前記蓄電池が装着されている蓄電池スロットに対応するパターンで、前記蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る放電システムは、上記に記載の放電装置と、1個以上の前記蓄電池と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放電装置等によれば、蓄電池が適切に取り扱われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る放電システムの外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る放電システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る放電システムの端子部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る放電システムの表示部の表示について説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の別の例に係る放電システムの表示部の表示について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る放電システムのパワーメータの表示について説明するための第1図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る放電システムのパワーメータの表示について説明するための第2図である。
【
図8】
図8は、別の実施の形態に係る放電システムの外観図である。
【
図9A】
図9Aは、別の実施の形態でのパワーメータによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第1図である。
【
図9B】
図9Bは、別の実施の形態でのパワーメータによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第2図である。
【
図9C】
図9Cは、別の実施の形態でのパワーメータによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第3図である。
【
図9D】
図9Dは、別の実施の形態でのパワーメータによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第4図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る放電システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る放電システムの外観図である。
図2は、実施の形態に係る放電システムの機能構成を示すブロック図である。
図3は、実施の形態に係る放電システムの端子部の構成を示す図である。なお、
図3では、(a)に蓄電池パック20を下方から見た外観図を示し、(b)に蓄電池スロット38(ここでは、底面部分のみ)を上方から見た外観図を示している。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、放電システム10は、蓄電池パック20と、蓄電池パック20が着脱自在に接続される放電装置30とを備える。ユーザは、放電装置30が備える出力部36に電気機器(つまり、電力負荷)を接続することで、放電システム10を当該電気機器の電源として使用することができる。
【0014】
まず、放電システム10の全体構成について説明する。
図1に示すように、放電装置30には、2以上の蓄電池パック20を装着することができる。より具体的には、蓄電池パック20が1個入る形状の蓄電池スロット38が2個以上設けられている。1個の蓄電池スロット38に対して1個の蓄電池パック20を装着することで、2以上の蓄電池パック20を装着することが可能となっている。
図1の例では、1つの放電装置30に4個の蓄電池パック20を装着することができる。なお、放電装置30に装着される蓄電池パック20の個数に特に限定はなく、2個の蓄電池パック20が装着されてもよいし、3個の蓄電池パック20が装着されてもよいし、5個以上の蓄電池パック20が装着されてもよい。放電装置30には、装着したい蓄電池パック20の個数に合わせた蓄電池スロット38が設けられる。
【0015】
本発明における放電装置30は、少なくとも2個の蓄電池パック20を装着することができるように構成されており、装着された蓄電池パック20は内部で並列回路を構成する。これにより、装着する蓄電池パック20の個数に応じた高い電流値の電力を出力することができるとともに、放電装置30からの放電を止めることなく、蓄電池パック20の着脱を行うことができる。ただし、放電装置30に接続されている電気機器によっては、2個以上の蓄電池パック20を要求する場合があり、この場合に、2個の蓄電池パック20が装着された状態から1個を取り外すと、電気機器への出力に必要な電力値が得られず、結果的に電力の出力が停止してしまうという状況が起こりうる。
【0016】
そこで、本実施の形態における放電装置30は、実際に出力されている電力値、すなわち、接続されている電気機器によって要求される電力値(以下、負荷電力値ともいう)を表示するためのパワーメータ39を備える。ユーザは、パワーメータ39に表示されている負荷電力値をもとに、取り外してはいけない蓄電池パック20の個数を把握することができるので、逆説的に取り外してもよい蓄電池パック20の個数を把握することが可能となる。
【0017】
次に、蓄電池パック20について説明する。蓄電池パック20は、放電装置30の電源として機能する。蓄電池パック20は、本体部(例えば、図中の外殻部分)と、蓄電池22と、スイッチ部23と、残量表示部24と、計測回路25と、制御部26と、記憶部27と、端子部28とを有する。
【0018】
本体部は、内部に蓄電池22、制御部26、及び、記憶部27を収容する筐体である。本体部は、高さ方向(紙面上下方向)に長い略直方体状である。本体部の上面の角部、及び、本体部の側面の角部はR加工されている。本体部の4つの側面は、対称的な外観を有している。本体部は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料によって形成される。詳細には図示しないが、本体部の上部には、スイッチ部23及び残量表示部24が設けられる。また、
図3の(a)に示すように、本体部の下部(下面)には、端子部28が設けられる。
【0019】
蓄電池22は、充電及び放電を繰り返して行うことができる二次電池である。蓄電池22は、例えば、リチウムイオン電池によって実現される。
【0020】
スイッチ部23は、ユーザによって操作される押しボタンスイッチである。スイッチ部23がユーザによって操作(具体的には、押下)されると、制御部26は、残量表示部24に蓄電池22の残量を表示させる。スイッチ部23は、押しボタンスイッチに限定されず、スライドスイッチ又はロッカースイッチなどであってもよい。
【0021】
残量表示部24は、蓄電池の残量を表示する。残量表示部24は、例えば、複数の発光素子によって実現され、点灯する発光素子の数によって蓄電池22の残量を表示する。発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子であるが、有機EL(Electro-Luminescence)素子であってもよい。また、残量表示部24は、液晶パネル又は有機ELパネルなどの表示パネルによって実現されてもよい。
【0022】
計測回路25は、蓄電池22の残量を計測する。計測回路25は、例えば、蓄電池22の端子電圧を計測する電圧計測方式の計測回路(集積回路)であるが、クーロンカウンタ方式などの他の方式の計測回路であってもよい。
【0023】
制御部26は、スイッチ部23への操作に基づいて、計測回路25によって計測される蓄電池22の残量を残量表示部24に表示させる。制御部26は、具体的には、マイクロコンピュータ又はプロセッサによって実現される。制御部26の機能は、例えば、制御部26を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサが記憶部27に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0024】
記憶部27は、上記コンピュータプログラムが記憶される記憶装置である。記憶部27は、例えば、半導体メモリによって実現される。なお、記憶部27は、制御部26に内蔵されてもよい。
【0025】
端子部28は、蓄電池パック20を放電装置30に電気的に接続するための端子構造であり、具体的には、放電装置30の端子部32に電気的及び構造的に接続される。端子部28は、複数の端子を有する。複数の端子には、蓄電池パック20(制御部26)が放電装置30(放電制御部34)と通信を行うための通信用の端子28aと、蓄電池パック20が蓄電池22に蓄えられた電力を放電装置30へ送電するための送電用の端子28bとが含まれる。
【0026】
次に、放電装置30について説明する。放電装置30は、蓄電池パック20を電源として動作する装置である。放電装置30は、本体部(例えば、図中の外殻部分)と、端子部32と、電力変換回路33と、放電制御部34と、記憶部35と、複数の出力部36(
図1では1つだけ図示)と、蓄電池スロット38と、表示部37と、パワーメータ39と、出力スイッチ40とを有する。放電装置30は、放電器などと言い換えることができる。
【0027】
本体部は、内部に電力変換回路33、放電制御部34、及び、記憶部35を収容する筐体である。本体部は、横倒し状態の略直方体状であり、上方を向く側面の1つに蓄電池スロット38が形成されており、蓄電池パック20が挿入されるための開口が形成されている。蓄電池スロット38の開口は、蓄電池パック20の外面と略一致する形状であり、装着されたときに蓄電池パック20のぐらつきを抑制するといった役割を担う。蓄電池パック20は、その長手方向が、蓄電池スロット38の開口に沿う面に対して直交するようにして、開口を通過して、本体部の内部へと挿入される。
【0028】
特に、蓄電池パック20の挿入長さを長く設けることにより、蓄電池パック20のぐらつきを抑制する効果を高めるとともに、蓄電池パック20の装着後の放電システム10全体のサイズをコンパクトにすることができる。蓄電池スロット38の底部には、
図3の(b)に示すように、端子部32が設けられている。また、蓄電池スロット38には、端子部32の下流側であって、電力変換回路33に至る前段に整流器38aであるダイオードが設けられている。上記したように、蓄電池スロット38は、複数個設けられており、それぞれが並列に接続されている。
【0029】
そして、蓄電池スロット38からの電力の出力先として、電力変換回路33が備えられている。電力変換回路33に出力される前に、条件によっては蓄電池スロット38に装着された蓄電池パック20同士で電力の送受電が生じてしまう場合があるため、整流器38aを設けることによって、蓄電池パック20間での電力の送受電を抑制している。放電装置30の本体部は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料によって形成される。
【0030】
端子部32は、放電装置30を蓄電池パック20に電気的に接続するための端子構造であり、具体的には、蓄電池パック20の端子部28に電気的及び構造的に接続される。端子部32は、複数の端子を有する。複数の端子には、通信用の端子32aと、受電用の端子32bとが含まれる。通信用の端子32aは、蓄電池パック20の通信用の端子28aに電気的に接続され、受電用の端子32bは、蓄電池パック20の送電用の端子28bに電気的に接続される。
【0031】
電力変換回路33は、受電用の端子32bを介して蓄電池22に蓄えられた電力を取得し、取得した電力を出力部36に適した電力に変換し、変換後の電力を出力部36へ出力する。電力変換回路33は、例えば、蓄電池22に蓄えられた直流電力を出力部36に適した直流電力に変換するDC(Direct Current)-DCコンバータ回路によって実現される。また、出力部36が交流電力を出力するような場合には、電力変換回路33は、蓄電池22に蓄えられた直流電力を出力部36に適した交流電力に変換するDC-AC(Alternating Current)コンバータ回路によって実現される。
【0032】
放電制御部34は、電力変換回路33のオン及びオフ、出力スイッチ40を開閉することで、出力部36を介した電力の出力のオン及びオフを制御する。出力スイッチ40は、例えば、リレーである。また、放電制御部34は、表示部37及びパワーメータ39の表示態様を変化させる制御を行う。より詳細には、放電制御部34は、表示部37及びパワーメータ39の表示態様を変化させるための表示制御信号を出力する。放電制御部34は、具体的には、マイクロコンピュータ又はプロセッサによって実現される。放電制御部34の機能は、例えば、放電制御部34を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサが記憶部35に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0033】
記憶部35は、上記コンピュータプログラムが記憶される記憶装置である。記憶部35は、例えば、半導体メモリによって実現される。なお、記憶部35は、放電制御部34に内蔵されてもよい。
【0034】
出力部36は、放電システム10以外の他の電気機器(外部の電力負荷)が接続される端子構造である。出力部36は、例えば、放電装置30の本体部の側面に設けられる。出力部36は、出力部36に接続された機器に、蓄電池22に蓄えられた電力であって電力変換回路33によって変換された電力を出力する。出力部36は、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタによって実現される。USBコネクタには、USB Type-A、USB Type-B、USB Type-C、Mini
USB Type-B、micro USB Type-B、USB-PD(Power Delivery)、Lightningなどの各種コネクタが含まれる。
【0035】
なお、出力部36がUSBコネクタによって実現されることは必須ではない。出力部36は、例えば、イーサネット(登録商標)の規格に準拠したRJ-45型のコネクタ(いわゆるLAN(Local Area Network)ケーブルが接続されるコネクタ)によって実現されてもよい。また、出力部36は、電磁誘導、及び、放射波等の無線送電用の送電装置によって実現されてもよい。また、出力部36は、ACコンセントによって実現されてもよいし、DCコンセントであってもよい。また、放電装置30が備える複数の出力部36は、全て同種の端子構造であってもよいし、放電装置30が備える複数の出力部36には、異種の端子構造(例えば、USBコネクタとACコンセントなど)が含まれてもよい。
【0036】
表示部37は、2個以上の蓄電池スロット38のそれぞれに1個の蓄電池パック20が装着されている、つまり、2個以上の蓄電池パック20が装着されている場合に、2個以上の蓄電池パック20の中で取り外しに適した蓄電池パック20を特定するための表示を行う表示素子である。表示部37は、各蓄電池スロット38に対応して、蓄電池スロット38と同数設けられているが、同セット数設けられていてもよい(後述する)。表示部37は、それぞれの蓄電池パック20の抜き差しが行われる開口に平行な面であって、対応する各蓄電池スロット38の近傍に設けられていると視認性及び識別性がよく好ましい。表示部37は、対応する蓄電池スロット38に装着されている蓄電池パック20が取り外しに適しているか否かを表示する。例えば、表示部37は、2個以上の蓄電池パック20のそれぞれから放電装置30へと放電可能な放電残量(つまり、残量表示部24によって表示される残量と同様のもの)に基づいて、取り外しに適した蓄電池パック20の表示態様を他の蓄電池パック20の表示態様と異ならせて表示する。
【0037】
一例として、表示部37が蓄電池スロット38と同数設けられている場合は、放電残量に比例する輝度で発光する発光素子で実現される。発光素子は、例えば、単色の光を放つ。例えば、
図4は、実施の形態に係る放電システムの表示部の表示について説明するための図である。
図4では、4つの蓄電池スロット38のそれぞれに蓄電池パック20が装着されている状況を示している。4つの蓄電池パック20はそれぞれ、蓄電池パックA、蓄電池パックB、蓄電池パックC、蓄電池パックDである。蓄電池パックAの放電残量は、20%(つまり、最大容量から80%を放電し、20%が放電可能な状態)である。蓄電池パックBの放電残量は、20%(つまり、最大容量から80%を放電し、20%が放電可能な状態)である。蓄電池パックCの放電残量は、100%(つまり、最大容量から0%を放電し、100%が放電可能な状態)である。蓄電池パックDの放電残量は、70%(つまり、最大容量から30%を放電し、70%が放電可能な状態)である。
【0038】
この場合、ユーザは、2個以上の蓄電池パック20から1個を選択する際に、表示部37の発光輝度が最も低い蓄電池パック20を選択すればよい。
図4の例では、輝度レベルが最も低い、蓄電池パックA又は蓄電池パックBのいずれかを選択すればよい。こうすることで、放電装置30への放電量が最も少ない蓄電池パック20を取り外すことができるので、通電しながらの取り外しにおいても、比較的大電流が流れる接点を切断する可能性が低減されるので、スパークに起因される接点の摩耗等の不具合を抑制することができる。
【0039】
また、別の例について、
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態の別の例に係る放電システムの表示部の表示について説明するための図である。この別の例では、上記の例の表示部37に対して、表示部37aが蓄電池スロット38と同セット数設けられている。この場合は、1セットの表示部37aに対して、放電残量に比例した数だけ発光するように制御された発光素子37bが複数個(図中では5個)含まれる構成で実現される。発光素子37bは、例えば、単色の光を放つ。上記の表示部37の例では輝度が電池の残量に比例する例を説明したが、この別の例では、表示部37aにおいて点灯している発光素子37bの個数が蓄電池パック20の放電残量に比例するように発光態様が制御される。そして、蓄電池パック20を取り外す際に、ユーザは、2個以上の蓄電池パック20から取り外しに適した蓄電池パック20を1個選択するために、表示部37aのうち、点灯している発光素子37bの個数を確認する。ユーザは、点灯している発光素子37bの個数が他よりも少ない蓄電池パック20を、取り外す蓄電池パック20として選択すればよい。
【0040】
こうすることで、放電装置30への放電量が最も少ない蓄電池パック20を取り外すことができるので、上記の表示部37の例と同様に、通電しながらの取り外しにおいても、比較的大電流が流れる接点を切断する可能性が低減されるので、スパークに起因される接点の摩耗等の不具合を抑制することができる。
【0041】
また、表示部37による取り外しに適した蓄電池パック20を特定するための表示の態様は、上記2つの例に示したような単色の発光素子を有する表示部によるものに限られない。例えば、放電残量が閾値を下回った蓄電池パック20に対応する表示部37のみ、発光色が変化してもよい。より詳しくは、放電残量が20%までは緑色の光色で表示部37が発光し、放電残量が20%以下になった際に、赤色の光色で表示部が発光してもよい。この光色の組合せは一例であり、光色の変化が識別可能であればどのような組合せが用いられてもよい。また、上記の閾値としての20%は一例であり、その他の放電残量で光色が変化してもよい。なお、表示部37は、例えば、LED素子又は有機EL素子等によって実現される。表示部37は、放電制御部34等で計測された各蓄電池パック20の放電電圧に応じた放電残量に基づいて送信された表示制御信号によって発光する。
【0042】
パワーメータ39は、電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示するための表示素子である。パワーメータ39は、蓄電池スロット38の数と同じ段階数で、負荷電力値を段階表示することができるように構成されている。より具体的には、本例の放電装置30では、パワーメータ39は4つの発光素子によって構成されており、4つの発光素子のうち、いくつが発光しているかによって、負荷電力値を段階表示することができる。なお、4つの発光素子のそれぞれは、さらに、複数のLED素子等によって構成されていてもよい。本実施の形態では、パワーメータ39の最少表示制御の単位でN段階に分けて表示を制御することができ、蓄電池スロット38の個数がN個であれば、その他はどのように構成されていてもよい。
【0043】
このように、蓄電池スロット38の個数とパワーメータ39の最少表示制御の単位での制御段階数とが一致していることで、今、負荷電力値として、蓄電池パック20が何個分必要であるかを一目しただけで把握することが可能となる。したがって、パワーメータ39において、2つの発光素子が発光していれば、2個の蓄電池パック20を残して、その他を取り外すことが可能となる。これにより、現状接続されている電気機器に対して、取り外し可能な蓄電池パック20の数を把握できるので、これを取り外して、他の用途に用いてもよいし、蓄電池パック20の充電を行うなどしてもよい。このように、蓄電池パック20を適切に取り外しできることで、蓄電池パック20を適切に取り扱うことが可能となる。パワーメータ39の表示の状態によっては、負荷への給電を一時的に停止する必要が生じる可能性も考えられることから、出力部36,パワーメータ39及び出力スイッチ40は、互いに近傍に設けられるのが好ましい。
【0044】
なお、パワーメータ39の表示態様として表示される段階数が切り替わる負荷電力値の閾値は、厳密には、蓄電池パック20の1個あたりの連続出力可能な最大電力値の整数倍とは一致していない。この点について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、実施の形態に係る放電システムのパワーメータの表示について説明するための第1図である。
図7は、実施の形態に係る放電システムのパワーメータの表示について説明するための第2図である。例えば、パワーメータ39の表示態様として表示される段階数が切り替わる負荷電力値の閾値が、蓄電池パック20の1個あたりの連続出力可能な最大電力値の電力値の整数倍と一致している場合、負荷電力値がこの閾値をまたいでふらついている場合に、1段階、すなわち、蓄電池パック20が1個で出力可能な負荷電力値であると判断して蓄電池パック20を取り外すと、電力の出力不足によって、電気機器が正常に作動しない場合がある。
【0045】
したがって、実際には、蓄電池パック20が1個で出力可能な負荷電力値であっても、蓄電池パック20の1個あたりの連続出力可能な最大電力値の整数倍の付近では、安全を見て、マージンを設けるとよい。例えば、
図6に示すように、蓄電池パック20の1個あたりの連続出力可能な最大電力値が300Wである場合に、閾値を270W等の10%程度だけ最大電力値よりも低い数値に設定する。すると、負荷電力値が実際に蓄電池パック20を2個要求する数値に至るよりも前にパワーメータ39が2段階目を表示することになる。つまり、過剰に蓄電池パック20を取り外して、出力電力不足に陥る可能性を低減することができる。また、上記のマージンは、あらかじめ定められた固定値であってもよいし、過去の負荷電力値の実測値に応じて決定される変動値であってもよい。放電制御部34は、このための過去の負荷電力値の実測値を記憶部35等に格納し、直近の1時間、30分、又は、5分等の適切な時間領域の範囲で積算された負荷電力値の平均値などから上記のマージンが設定されてもよい。
【0046】
また、
図7に示すように、パワーメータ39の表示態様として表示される段階数が切り替わる負荷電力値の閾値は、ヒステリシス特性を有してもよい。つまり、パワーメータ39の表示態様として表示される段階数が1段階上昇するときの閾値の数値よりも、1段階下降するときの閾値の数値の方が小さくなるように設定されていてもよい。これにより、特に不具合の生じる、過剰に蓄電池パック20を取り外して、出力電力不足に陥る可能性を低減することができる。なお、ヒステリシス特性を有することと、閾値にマージンを設けることとは相反しないので、どちらも行ってもよい。
【0047】
ところで、以上に説明した放電装置30では、その時点で接続されている電力負荷に対して、放電装置30から出力されている電力値を表示する構成について説明した。一方で、単に、その時点での全ての蓄電池スロット38に装着されている全ての蓄電池パック20を総合したときの、連続出力可能な最大電力値の総計を表示できると便利である。
【0048】
連続出力可能な最大電力値の総計は、装着されている蓄電池パック20のうちの放電可能な蓄電池パック20の数に対応している。具体的には、連続出力可能な最大電力値の総計は、放電可能な蓄電池パック20の数に1個あたりの連続出力可能な最大電力値を乗じた数値となる。そのため、蓄電池スロット38の数と一致する数の表示素子からなるパワーメータ39は、連続出力可能な最大電力値の総計を表示するという点でもメリットがある。
【0049】
そこで以下では、連続出力可能な最大電力値の総計を表示することが可能なパワーメータを備える、別の実施の形態に係る放電装置について説明する。なお、上記の実施の形態と、以下説明する別の実施の形態との両方の機能を兼ね備えるとしてもよい。すなわち、パワーメータの機能を切り替え可能に構成し、実施の形態において説明した機能を発揮する第1モードと、以下説明する別の実施の形態の機能を発揮する第2モードとを、切り替えできるとしてもよい。この切り替えは、図示しない切り替えボタンを押下するなどによってユーザが任意に切り替えできてもよいし、時分割に自動的に第1モードから第2モード、第2モードから第1モードへと繰り返し切り替わるようになっていてもよい。
【0050】
以下、この別の実施の形態について、
図8~
図9Dを用いて説明する。
図8は、別の実施の形態に係る放電システムの外観図である。
図8では、放電装置30aが、パワーメータ39に代えてパワーメータ39aを備える点で、上記の実施の形態と異なっている。具体的には、パワーメータ39aは、表示素子の並び方向が、複数の蓄電池スロット38の並び方向と一致している。その結果、表示素子のそれぞれと、蓄電池スロット38のそれぞれとが対応していることを認識しやすくなっている。すなわち、パワーメータ39aの右端の表示素子は、右端の蓄電池スロット38に対応し、パワーメータ39aの左端の表示素子は、左端の蓄電池スロット38に対応しているということが認識しやすい。ただし、このような並び方向の一致は、必須の構成ではない。表示素子のそれぞれと、蓄電池スロット38のそれぞれとが対応していることが認識できれば、実施の形態のパワーメータ39のように並び方向が異なっていてもよい。表示素子のそれぞれと、蓄電池スロット38のそれぞれとが対応していることの利点については、
図9C以降で述べる。
【0051】
図9Aは、別の実施の形態でのパワーメータ39aによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第1図である。
図9Aでは、上段に蓄電池スロット38への蓄電池パック20の装着の有無の状態を示し、下段に、パワーメータ39aの表示の一例を示している。
図9Aの例では、破線矩形で示されている、右から2つ目の蓄電池スロット38を除き、残り3つの蓄電池スロット38に蓄電池パック20が装着されている。
【0052】
ここで、パワーメータ39aは、ドットハッチングを付している2つの表示素子が点灯している。すなわち、最大電力値の総計は、4つの蓄電池スロット38全てに放電可能な蓄電池パック20が装着されている場合に比べて2/4倍の電力値である。したがって、2つの蓄電池パック20が放電可能な状態であることが分かる。ただし、ここでは、装着されている蓄電池パック20のうち、どの蓄電池パック20が放電不可能な状態であるか不明である。
【0053】
図9Bは、別の実施の形態でのパワーメータ39aによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第2図である。
図9Bでは、上段に蓄電池スロット38への蓄電池パック20の装着の有無の状態を示し、下段に、パワーメータ39aの表示の一例を示している。
図9Bの例では、破線矩形で示されている、右から2つ目の蓄電池スロット38を除き、残り3つの蓄電池スロット38に蓄電池パック20が装着されている。
【0054】
ここで、パワーメータ39aは、ドットハッチングを付している2つの表示素子が点灯している。すなわち、最大電力値の総計は、4つの蓄電池スロット38全てに放電可能な蓄電池パック20が装着されている場合に比べて2/4倍の電力値である。したがって、2つの蓄電池パック20が放電可能な状態であることが分かる。
図9Aと同様に、ここでは、装着されている蓄電池パック20のうち、どの蓄電池パック20が放電不可能な状態であるか不明である。一方で、
図9Aの例に比べて
図9Bの例では、パワーメータ39aには、連続出力可能な最大電力値の総計に対応する数値が付されている。したがって、ここでは、600Wの電力を連続出力可能であることが一目で分かる。
【0055】
なお、このような連続出力可能な最大電力値の総計に対応する数値は、筐体への印刷によって印字されていてもよいし、液晶などのデバイスによってデジタル表示されてもよい。後者の場合は、数値を変更することが容易であるので、例えば、連続出力可能な最大電力値が300Wの蓄電池パック20と、連続出力可能な最大電力値が600Wの別の蓄電池パックとをランダムに装着したとしても、表示されている数値を変更することにより対応が可能となる。
【0056】
図9Cは、別の実施の形態でのパワーメータ39aによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第3図である。
図9Cでは、上段に蓄電池スロット38への蓄電池パック20の装着の有無の状態を示し、下段に、パワーメータ39aの表示の一例を示している。
図9Cの例では、破線矩形で示されている、右から2つ目の蓄電池スロット38を除き、残り3つの蓄電池スロット38に蓄電池パック20が装着されている。
【0057】
ここで、パワーメータ39aは、ドットハッチングを付している2つの表示素子が点灯している。すなわち、最大電力値の総計は、4つの蓄電池スロット38全てに放電可能な蓄電池パック20が装着されている場合に比べて2/4倍の電力値である。したがって、2つの蓄電池パック20が放電可能な状態であることが分かる。上記の
図9Aの例に対して、本例では、装着されている蓄電池パック20のうち、放電可能な蓄電池パック20に対応するパターンで連続出力可能な最大電力値の総計が表示されている。つまり、装着されている3つの蓄電池パック20のうち、並び方向の位置が、点灯している表示素子に対応する蓄電池スロット38に装着されている蓄電池パック20が放電可能な状態である。逆に、左から2つ目の蓄電池スロット38に装着されている蓄電池パック20は、放電不可能な蓄電池パック20であると特定することができる。表示素子のそれぞれと、蓄電池スロット38のそれぞれとが対応している場合、このようにパターン合わせで、放電可能な蓄電池パック20が装着されている蓄電池スロット38と、放電不可能な蓄電池パック20が装着されている蓄電池スロット38とを区別することが可能となる。
【0058】
図9Dは、別の実施の形態でのパワーメータ39aによる連続出力可能な最大電力値の総計の表示の一例を示す第4図である。
図9Dでは、上段に蓄電池スロット38への蓄電池パック20の装着の有無の状態を示し、下段に、パワーメータ39aの表示の一例を示している。
図9Dの例では、破線矩形で示されている、右から2つ目の蓄電池スロット38を除き、残り3つの蓄電池スロット38に蓄電池パック20が装着されている。
【0059】
ここで、パワーメータ39aは、ドットハッチングを付している2つの表示素子が点灯している。すなわち、最大電力値の総計は、4つの蓄電池スロット38全てに放電可能な蓄電池パック20が装着されている場合に比べて2/4倍の電力値である。したがって、2つの蓄電池パック20が放電可能な状態であることが分かる。ここでは、パワーメータ39aには、蓄電池のそれぞれから連続出力可能な最大電力値に対応する数値が付されている。したがって、ここでは、300Wの電力を連続出力可能な蓄電池パックが2つ装着されていることが分かる。そのため、計算によって、300W×2=600Wの電力を連続出力可能であることが分かる。
【0060】
なお、このような連続出力可能な最大電力値の総計に対応する数値は、筐体への印刷によって印字されていてもよいし、液晶などのデバイスによってデジタル表示されてもよい。
【0061】
[効果等]
以上説明したように、放電装置30は、N個(Nは2以上の整数、上記の例ではN=4)の蓄電池スロット38であって、それぞれに1個の蓄電池22を装着可能なN個の蓄電池スロット38と、N個の蓄電池スロット38のそれぞれに装着された1個以上の蓄電池22から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部36と、電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示するためのパワーメータ39であって、N段階の段階表示によって負荷電力値を表示可能なパワーメータ39と、を備える。
【0062】
このような放電装置30は、パワーメータ39によって蓄電池スロット38の数と同じ数の段階数の段階表示で負荷電力値を表示することができる。この結果、ユーザは、蓄電池スロット38に装着された蓄電池22からの電力のうち、どの程度の電力が電力負荷へと出力されているのかを把握できるとともに、出力されていない電力、すなわち、余剰の電力を把握することができる。例えば、4つの蓄電池スロット38を備える放電装置30において、3つの蓄電池22が装着されているとき、負荷電力値の段階表示が4段階中の2段階を示していれば、最大装着数の蓄電池22が4つ分の最大負荷電力値のうちの2つ分程度が出力されていると推定できる。そして、3つの蓄電池22が装着されているので、うち1つは余剰の蓄電池22であると推定することができるので、この余剰の1つを、電力負荷に電力を出力しながら、取り外してもよいことをユーザが把握できる。このようにして、取り外し可能な蓄電池22の数を把握して当該蓄電池22を取り外すことができる。言い換えると、電力負荷へと出力するための電力を放電するために必要な蓄電池22を取り外すという不適切な取り扱いがされにくいので、蓄電池22が適切に取り扱われるようにすることができる、という効果がある。
【0063】
また、例えば、パワーメータ39によって表示される負荷電力値は、蓄電池22の1個あたりの連続出力可能な最大電力値にN以下の整数のそれぞれを乗じた際の電力値に対応する閾値ごとに、段階表示が1段階ずつ変化してもよい。
【0064】
これによれば、ユーザは、蓄電池スロット38に装着された蓄電池22からの電力のうち、蓄電池22何個分の電力が電力負荷へと出力されているのかを把握できるとともに、蓄電池22の個数に換算された出力されていない電力、すなわち、余剰の蓄電池22の個数を把握することができる。
【0065】
また、例えば、閾値は、蓄電池22の1個あたりの連続出力可能な最大電力値にN以下の整数のそれぞれを乗じた際の電力値から所定のマージンを減じた電力値であってもよい。
【0066】
これによれば、所定のマージンの分だけ低出力値の時点で、段階表示における段階を上昇させることができる。このため、パワーメータ39は、少なくとも所定のマージン分だけ、実際に出力可能な電力値よりも低出力値の時点でもう1つの蓄電池22が必要であるように表示を行うことができる。つまり、少なくとも所定のマージン分だけ負荷電力値を大きく表示することができる。これにより、負荷電力値と装着されている蓄電池22から実際に出力可能な電力値とがほぼ同じ状況において、負荷電力値が一過的に増減することで出力電力不足に陥ることを抑制できる。
【0067】
また、例えば、所定のマージンは、過去の負荷電力値の実測値に応じて決定されてもよい。
【0068】
これによれば、過去の負荷電力値から予想される一過的な負荷電力値の増減をカバーすることが可能な(増減する電力値よりも大きい)所定のマージンを決定できる。
【0069】
また、例えば、閾値は、段階表示が1段階上昇するときの数値よりも、段階表示が1段階下降するときの数値の方が小さくなるヒステリシス特性を有してもよい。
【0070】
これによれば、段階表示の上昇によって、装着された蓄電池22の数が増加された後に、段階表示の下降によって、装着された蓄電池22の数が減少されることを生じにくくすることができる。このため、一度装着した蓄電池22が、十分に、余剰と判断されるまで取り外されにくくなるので出力電力不足に陥ることを抑制できる。
【0071】
また、例えば、さらに、N個の蓄電池スロット38に2個以上の蓄電池22が装着されている場合に、2個以上の蓄電池22の中で取り外しに適した蓄電池22を特定するための表示を行う表示部37を備えてもよい。
【0072】
これによれば、2個以上の蓄電池22のうち、より取り外しに適した蓄電池22を優先的に取り外しさせることができる。
【0073】
また、例えば、表示部37は、2個以上の蓄電池22のそれぞれから放電装置30へと放電可能な放電残量に基づいて、取り外しに適した蓄電池22の表示態様を他の蓄電池22の表示態様と異ならせて表示してもよい。
【0074】
これによれば、放電装置30へと放電可能な放電残量に基づいて、2個以上の蓄電池22のうち、より取り外しに適した蓄電池22を優先的に取り外しさせることができる。
【0075】
また、例えば、パワーメータ39は、(i)電力負荷へと出力される電力値である負荷電力値を表示する第1モードと、(ii)N個の蓄電池スロット38に装着されている蓄電池22から連続出力可能な最大電力値の総計をN個の表示によって表示する第2モードと、を切り替え可能であり、第2モードにおいて、パワーメータ39は、N個の蓄電池スロット38のうちの放電可能な蓄電池22が装着されている蓄電池スロット38に対応するパターンで、蓄電池22から連続出力可能な最大電力値の総計を表示してもよい。
【0076】
これによれば、第1モードから切り替え可能な第2モードにおける連続出力可能な最大電力値の総計を表示する機能を、パワーメータ39の兼用によって実現できる。この結果、追加の部品数を削減しながら第2モードにおける連続出力可能な最大電力値の総計を表示する機能を兼ね備える放電装置30を実現できる。さらに、この第2モードにおいては、N個の蓄電池スロット38のうちの放電可能な蓄電池22が装着されている蓄電池スロット38に対応するパターンで、蓄電池22から連続出力可能な最大電力値の総計を表示することができるので、表示されているパターンから、放電不可能な蓄電池22を特定することができる。そのため、パワーメータ39を確認するのみで、複数の蓄電池スロット38に装着されている蓄電池22の中から充電残量不足によって放電不可能な蓄電池22のみを取り外す等の操作をすることが可能となる。よって、電力負荷へと出力するための電力を放電するために必要な蓄電池22を取り外すという不適切な取り扱いがされにくいので、蓄電池22が適切に取り扱われるようにすることができる、という効果がある。
【0077】
また、別の実施の形態に係る放電装置30aは、N個(Nは2以上の整数)の蓄電池スロットであって、それぞれに1個の蓄電池を装着可能なN個の蓄電池スロットと、N個の蓄電池スロットのそれぞれに装着された1個以上の蓄電池から放電される電力を、接続された電力負荷へと出力する出力部と、N個の蓄電池スロットに装着されている蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示するためのパワーメータであって、N個の表示によって最大電力値の総計を表示可能なパワーメータと、を備え、パワーメータは、N個の蓄電池スロットのうちの放電可能な蓄電池が装着されている蓄電池スロットに対応するパターンで、蓄電池から連続出力可能な最大電力値の総計を表示する。
【0078】
このような放電装置30aは、連続出力可能な最大電力値の総計を表示する機能を有するパワーメータ39aを備えている。さらに、このパワーメータ39aにおいては、N個の蓄電池スロット38のうちの放電可能な蓄電池22が装着されている蓄電池スロット38に対応するパターンで、蓄電池22から連続出力可能な最大電力値の総計を表示することができるので、表示されているパターンから、放電不可能な蓄電池22を特定することができる。そのため、パワーメータ39aを確認するのみで、複数の蓄電池スロット38に装着されている蓄電池22の中から、充電残量不足によって放電不可能な蓄電池22のみを取り外す等の操作をすることが可能となる。よって、電力負荷へと出力するための電力を放電するために必要な蓄電池22を取り外すという不適切な取り扱いがされにくいので、蓄電池22が適切に取り扱われるようにすることができる、という効果がある。
【0079】
また、放電システム10は、上記に記載の放電装置30又は放電装置30aと、1個以上の蓄電池と、を備える。
【0080】
これによれば、上記に記載の放電装置30と同様の効果を奏する放電システム10が実現できる。
【0081】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施の形態で説明された放電システムが備える構成要素は、蓄電池パック及び放電装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、放電装置が有する電力変換回路の一部又は全部は、蓄電池パックに設けられてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0085】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0086】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0087】
例えば、本発明は、上記実施の形態の放電装置として実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の放電システムの制御方法として実現されてもよい。本発明は、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0088】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 放電システム
22 蓄電池
30、30a 放電装置
36 出力部
37 表示部
38 蓄電池スロット
39、39a パワーメータ