(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100594
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ヒューズ端子設計
(51)【国際特許分類】
H01H 85/43 20060101AFI20230711BHJP
H01H 85/165 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01H85/43
H01H85/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000314
(22)【出願日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】17/570,161
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー デヴィッド ユーカニン
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA20
5G502BB01
5G502BB07
5G502BB14
5G502BC07
5G502BD09
5G502BD11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒューズ設計に関し、より具体的には、材料のガス放出を促進するヒューズ設計に関する
【解決手段】ヒューズアセンブリ100はヒューズ素子106及び端子排出チャネルを備える。ヒューズ素子は第1端子104a及び第2端子104bの間に配置されている。ヒューズ素子は過電流の事象に応答して破断する。端子排出チャネル116は第1端子に配置され、過電流の事象中にデブリのガス放出のための経路を提供する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子及び第2端子の間に配置されたヒューズ素子、前記ヒューズ素子は過電流の事象に応答して破断する;及び
前記第1端子に配置された端子排出チャネル、前記端子排出チャネルは前記過電流の事象中にデブリのガス放出のための経路を提供する
を備えるヒューズアセンブリ。
【請求項2】
前記第1端子に切り込まれた第1対の孔;及び
前記第2端子に切り込まれた第2対の孔
をさらに備える、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項3】
前記端子排出チャネルは前記第1対の孔の間に配置されている、請求項2に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項4】
前記端子排出チャネルは前記第1端子に三角形のくさびの切り込みを形成している、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項5】
前記端子排出チャネルは横長の形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項6】
前記端子排出チャネルは前記第1端子へのS字形状の切り込みである、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項7】
前記過電流の事象中にデブリのガス放出のための第2経路を提供する第2端子排出チャネル
をさらに備える、請求項2に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項8】
前記第2端子排出チャネルは、前記端子排出チャネルに隣接して、前記第1端子に形成されている、請求項7に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項9】
前記第2端子排出チャネルは前記第2端子に形成され、前記第2対の孔の間に配置されている、請求項7に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項10】
第1寸法の側壁を有するヒューズ筐体、ここで前記端子排出チャネルは前記側壁の上に配置されている
をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項11】
前記端子排出チャネルは第2寸法を有し、前記第2寸法は前記第1寸法よりも大きい、請求項10に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項12】
前記端子排出チャネルはヒューズ筐体の側壁の上に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項13】
前記端子排出チャネルは横長の形状を有する、請求項12に記載のヒューズアセンブリ。
【請求項14】
前記横長の形状は第1寸法を有し、前記側壁は第2寸法を有し、前記第1寸法は前記第2寸法よりも大きい、請求項13に記載のヒューズアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はヒューズ設計に関し、より具体的には、材料のガス放出を促進するヒューズ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズは、電気回路内の意図的な弱い接続として設計されている、電流に敏感なデバイスである。ヒューズの機能は、過電流条件下で確実に溶断し、このようにして電流の流れを安全に遮断することにより、個別構成要素又は完全な回路保護を提供することである。
【0003】
回路を保護しているヒューズが破断すると、ヒューズの2つの端子の間にアークエネルギが発生する。アークエネルギにより、ヒューズ素子の破断可能部分の金属及び他の材料が溶融して、ヒューズ筐体内に堆積する。ヒューズ素子の溶融した材料、筐体の炭化したプラスチック、及び高温ガスを含むデブリ経路が導電性になる場合がある。したがって、設計が不十分なヒューズは、ヒューズが破断しても、その端子間で電流を伝達する場合がある。
【0004】
筐体内の1つ又は複数の排出口が、ガス放出のためにヒューズの外部への経路を提供し得る。排出口は、デブリが端子の間に導電性経路を形成するのを防ぐように設計されている。プラスチック材料で筐体を成形することにより、排出口を、筐体の種々の場所に配置することができる。しかしながら、プラスチック材料に作成された排出口は、超音波溶接などの組立工程から損傷を受けることで、排出口が意図された形状も寸法も有さない場合がある。
【0005】
本改良が有用であり得るのは、これらのこと及び他の考慮事項に対してである。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」においてさらに記述される特定の概念を簡略化した形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定するように意図されるわけでも、特許請求される主題の範囲の決定を助けるものとして意図されるわけでもない。
【0007】
本開示によるヒューズアセンブリの例示的な実施形態は、ヒューズ素子及び端子排出チャネルを備えてもよい。ヒューズ素子は第1端子及び第2端子の間に配置されている。ヒューズ素子は過電流の事象に応答して破断する。端子排出チャネルは第1端子に配置され、過電流の事象中にデブリのガス放出のための経路を提供する。
【0008】
本開示によるヒューズアセンブリの別の例示的な実施形態は、ヒューズ素子、第1ヒューズ筐体、第2ヒューズ筐体、及び端子を備えてもよい。ヒューズ素子は過電流の事象に応答して破断し、ガス放出デブリを生じさせる。第1ヒューズ筐体は第1側壁を有し、第2ヒューズ筐体は第2側壁を有する。第1ヒューズ筐体が第2ヒューズ筐体と係合するときに、第1側壁は第2側壁と係合し、これにより空洞が形成され、ヒューズ素子が空洞内にある。端子は端子排出チャネルを含む。端子排出チャネルは第1側壁の上に配置され、ガス放出デブリの移動のための経路を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】例示的な実施形態によるヒューズアセンブリを例示する図である。
【
図1B】例示的な実施形態によるヒューズアセンブリを例示する図である。
【0010】
【
図2A】例示的な実施形態による、
図1A~1Bのヒューズアセンブリの端子排出チャネルを例示する図である。
【
図2B】例示的な実施形態による、
図1A~1Bのヒューズアセンブリの端子排出チャネルを例示する図である。
【0011】
【
図3A】例示的な実施形態によるヒューズアセンブリを例示する図である。
【
図3B】例示的な実施形態によるヒューズアセンブリを例示する図である。
【0012】
【
図4A】例示的な実施形態による、
図3A~3Bのヒューズアセンブリの端子排出チャネルを例示する図である。
【
図4B】例示的な実施形態による、
図3A~3Bのヒューズアセンブリの端子排出チャネルを例示する図である。
【0013】
【
図5】例示的な実施形態によるヒューズアセンブリを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ヒューズアセンブリは、コイニング施工又はミリング施工によって端子に形成された端子排出チャネルを特徴とする。端子排出チャネルはヒューズ筐体の側壁の上に配置され、そのサイズは、端子がヒューズ筐体の2つの部分の間に配置されたときに、側壁のいずれかの側に開口部が形成されるように決められている。開口部は、ヒューズ素子の破断中にデブリのガス放出のための経路を提供する。端子排出チャネルのさまざまな形状が可能である。端子排出チャネルは、ヒューズアセンブリの筐体に形成された排出口の代替物を提供する。
【0015】
便宜と明快さのために、「最上」、「最下」、「上」、「下」、「鉛直」、「水平」、「側方」、「横」、「半径方向」、「内部」、「外部」、「左」及び「右」などの用語を本明細書で使用して、特徴及び構成要素の相対的な配置及び向きを、それぞれ本明細書で提供される斜視図、分解斜視図、及び断面図に現れる他の特徴及び構成要素のジオメトリ及び向きに対して説明してもよい。書かれている用語は、限定することを意図するものではなく、具体的に言及された単語、その派生語、及び同様に重要な単語を含む。
【0016】
図1A~1Bは、例示的な実施形態による、デブリのガス放出を促進するためのヒューズアセンブリ100の代表的な図である。ヒューズアセンブリ100は、ヒューズ素子106の一方の側に配置されたヒューズ筐体102a、及びヒューズ素子の他方の側に配置されたヒューズ筐体102b(まとめて「ヒューズ筐体102」)を備える。ヒューズ筐体102は、プラスチックなどの非導電性材料で作られ、ヒューズ素子106を保護するための空洞を形成する。ヒューズ筐体102aがヒューズ筐体102bと係合すると、ヒューズ素子106はそれらの間のエンクロージャ内に配置される。非限定的な例では、ヒューズ筐体102aは、ヒューズ筐体102bと同一であってもよい。
【0017】
本明細書で使用されるように、ガス放出は、ひとたびヒューズ素子が破断した後のヒューズアセンブリ100内部の爆発に続くガス状材料の移動を指す。ガス放出デブリは、ガス状材料及び非ガス状材料をも含むすべての材料の移動を指し、その例には、ヒューズ素子からの金属、ヒューズ筐体からのプラスチックがあり、その後者は爆発中に炭化する可能性がある。したがって、ガス放出デブリは、ヒューズ素子の破断に続いて、ヒューズ筐体の内部及び外部の両方で移動する、ありとあらゆる材料を指す。
【0018】
ヒューズ素子106は第1端子104a及び第2端子104b(まとめて「端子104」)の間に配置される。ヒューズ素子106及び端子104は銅などの導電性材料でできている。ヒューズ素子106はヒューズアセンブリ100の意図的な弱い接続であるため、ヒューズ素子106は端子104よりも薄くてもよい。
【0019】
リブ108はヒューズ筐体102の内部表面に配置されている。ヒューズ筐体102b内にリブ108が見えているが、ヒューズ筐体102aもリブ(図示せず)を特徴としてもよい。通常、ヒューズ筐体102と同じ材料で形成されているリブ108は、ヒューズ筐体の内部の表面積を増加させている。リブ108の増加した表面積は、ひとたびヒューズ素子106が破断すると、結果として生じるデブリが堆積する場所を提供する。リブ108を、ジグザグ、クロスハッチ、円形、ピラミッド、又は他の任意のパターンとして配置してもよい。
【0020】
ヒューズ筐体102は、2つの要素を一緒に結合するための突起及び空隙を含む。
図1Bに示すように、ヒューズ筐体102bは、2つの突起112a及び112b、及び2つの空隙114a及び114b(まとめて「突起112」及び「空隙114」)を含む。端子104も同様に孔110a~dを含み、第1対の孔110a及び110bは端子104aの部分であり、第2対の孔110c及び110dは端子104bの部分である(まとめて「孔110」)。孔110aは突起112aの上に配置され、孔110bは空隙114aの上に配置され、孔110cは空隙114bの上に配置され、孔110dは突起112bの上に配置される。ひとたび端子104の上に配置されると、ヒューズ筐体102aの突起は、それぞれの孔110を通ってヒューズ筐体102bの空隙114に嵌合する。同様に、ヒューズ筐体102bの突起112は、それぞれの孔110を通ってヒューズ筐体102aの空隙に嵌合する。このようにして、構成要素を互いに固定可能に係合させることができる。
【0021】
例示的な実施形態では、孔110は、それぞれの端子104の円形の切り欠きである。同様に、突起112及び空隙114は円筒形であり、孔110の直径に近い直径を有している。代替的に、孔110、突起112、及び空隙114は、ヒューズアセンブリ100のこれらの要素の特定の形状が限定を意味するものではないので、例示のものとは異なる形状であってもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、ヒューズアセンブリ100は端子排出チャネルを特徴として、過電流の事象によって生じるヒューズ素子106の破断に続くデブリのガス放出のための経路を提供する。排出チャネル116a及び116bは互いに隣接しており、端子104aの孔110a及び110bの間に配置されている。排出チャネル116c及び116dは互いに隣接しており、端子104bの孔110c及び110dの間に配置されている(まとめて、「排出チャネル116」及び「端子排出チャネル116」)。
【0023】
例示的な実施形態では、ヒューズ筐体102bは、その上に端子排出チャネルが配置される側壁を含む。側壁120aはヒューズ筐体102aの部分であり、側壁120b及び120cはヒューズ筐体102bの部分である(まとめて「側壁120」)。側壁120bは突起112a及び空隙114aを含み、側壁120cは突起112b及び空隙114bを含む。ヒューズ筐体102aがヒューズ筐体102bと係合するときに、側壁120aは側壁120bと係合する。追加として、例示的な実施形態では、側壁120aは端子排出チャネル116a及び116bの上方に配置され、側壁120bは端子排出チャネル116a及び116bの下方に配置され、側壁120cは端子排出チャネル116c及び116dの下方に配置される。
【0024】
例示的な実施形態では、排出チャネル116は、材料除去又は圧下プロセスによってそれぞれの端子104内に形成される。いくつかの実施形態では、排出チャネル116はコイニング施工によって端子104に形成される。コイニングとは、材料の表面に圧力を加える密閉型鍛造プロセスである。コイニングは精密プレス加工方法であり、金属ワークピースを高応力の影響下に置いて、金型の形状に変形を引き起こす。他の実施形態では、排出チャネル116はミリング施工によって端子104に形成される。ミリングとは、カッタをワークピースに進入させて材料を除去するために、ロータリーカッタを使用して機械加工を行うプロセスである。どちらの場合でも、ヒューズアセンブリ100の端子104から材料を除去して、制御された寸法のチャネルを作成する。
【0025】
ヒューズアセンブリ100のプラスチック材料(ヒューズ筐体102など)に排出チャネルを形成するのとは対照的に、いくつかの実施形態では、排出チャネル116の寸法は、コイニング又はミリングなどの金属成形加工プロセスを使用してより容易に制御可能である。筐体のプラスチック材料に形成された排出チャネルは、超音波溶接などの組立工程から損傷を受ける可能性がある。したがって、ヒューズアセンブリの排出チャネルを正確に制御する必要がある場合、金属成形加工はプラスチック成形よりも正確である。さらに、金属成形加工プロセスは、いくつかの実施形態では、プラスチック成形プロセスよりも費用効果が高い。いくつかの実施形態では、デブリの排出のための正確な経路を形成する排出チャネルをカスタマイズする機能も、プラスチックよりも金属の方が容易である。
【0026】
図2A及び2Bは、例示的な実施形態による、ヒューズアセンブリ100の端子排出チャネル116の代表的な図である。
図2Aは端子排出チャネル116の斜視図であり、
図2Bはヒューズ筐体102の間に配置された端子排出チャネルの側面図である。
図2Aでは、端子排出チャネル116a及び116bが示されている。例示的な実施形態では、端子排出チャネル116は、それぞれの端子104に三角形のくさび形状の切り込みを形成している。例示的な実施形態では、三角形のくさび形状は長さl、幅w、高さhを有しており、高さは長さ又は幅よりもかなり小さい。数学的に述べると、端子排出チャネル116は以下の特性を有している:寸法l×w×hにおいて、h<<l、及びh<<w。
【0027】
ヒューズ筐体102bの側壁120bは、点線で示されている。側壁120bは、寸法d
1を有する。例示的な実施形態では、端子排出チャネル116の幅wは、寸法d
1よりも大きい。数学的に述べると、w>d
1である。この制限を超えて、排出チャネル116は、
図2Aに例示されている長方形の形状とは異なる形状であってもよい。側壁120bの幅に対する端子排出チャネル116の幅に関するこの関係により、過電流の事象中にデブリが流出する経路を形成する開口部があることが確実になる。
【0028】
図2Bでは、端子104aは、ヒューズ筐体102aの側壁120a及びヒューズ筐体102bの側壁120bの間に配置されている。端子排出チャネル116を配置することにより、端子104a及びヒューズ筐体102aの間に開口部202が生じる。例示的な実施形態では、端子排出チャネル116は、デブリがヒューズアセンブリ100の内部チャンバからヒューズアセンブリの外部に移動するためのデブリ経路204を提供する。
【0029】
ヒューズアセンブリ100は、コイニング/ミリングなどの材料除去/圧下プロセスによって、例示的な実施形態では、端子排出チャネル116などの制御された寸法のチャネルを高電圧ヒューズの端子に追加できることを示している。ヒューズの仕様の1つが、開放状態抵抗(OSR)として知られている。この特性は、ヒューズが破断した後、高抵抗を維持する(したがって、電流を遮断し続ける)可能性を表す。適切に排出されたヒューズは、排出されていないものよりも高いOSRを有する場合がある。さらに、高電圧ヒューズは、低電圧ヒューズよりもはるかに多くのアークエネルギを経験する。ヒューズ筐体102の組立プラスチック体とぴったり合わせられると、ヒューズアセンブリ100の端子104の部分である端子排出チャネル116は、例示的な実施形態では、高破断容量中に圧力及びデブリを解放するための小さな開口部を作成する。さらに、排出チャネル116は金属(端子104)に形成されているため、いくつかの実施形態では、それらの形成においてより高い精度が可能であり、それは、プラスチック筐体での排出チャネル形成で可能な精度とは対照的である。
【0030】
図3A及び3Bは、例示的な実施形態による、デブリのガス放出を促進するためのヒューズアセンブリ300の代表的な図である。ヒューズアセンブリ300は、ヒューズ素子306の一方の側に配置されたヒューズ筐体302a、及びヒューズ素子の他方の側に配置されたヒューズ筐体302b(まとめて「ヒューズ筐体302」)を備える。ヒューズ筐体302は、プラスチックなどの非導電性材料で作られ、ヒューズ素子306を保護するための空洞を形成する。ヒューズ筐体302aがヒューズ筐体302bと係合すると、ヒューズ素子306はそれらの間のエンクロージャ内に配置される。非限定的な例では、ヒューズ筐体302aはヒューズ筐体302bと同一であってもよい。
【0031】
ヒューズ素子306は第1端子304a及び第2端子304b(まとめて「端子304」)の間に配置される。ヒューズ素子306及び端子304は銅などの導電性材料でできている。ヒューズ素子306はヒューズアセンブリ300の意図的な弱い接続であるため、ヒューズ素子306は端子304よりも薄くてもよい。
【0032】
リブ308はヒューズ筐体302の内部表面に配置されている。ヒューズ筐体302b内にリブ308が見えているが、ヒューズ筐体302aもリブ(図示せず)を特徴としてもよい。通常、ヒューズ筐体302と同じ材料で形成されているリブ308は、ヒューズ筐体の内部の表面積を増加させている。リブ308の増加した表面積は、ひとたびヒューズ素子306が破断すると、結果として生じるデブリが堆積する場所を提供する。リブ308を、ジグザグ、クロスハッチ、円形、ピラミッド、又は他の任意のパターンとして配置してもよい。
【0033】
ヒューズ筐体302は、2つの要素を一緒に結合するための突起及び空隙を含む。
図3Bに示すように、ヒューズ筐体302bは、2つの突起312a及び312b、及び2つの空隙314a及び314b(まとめて「突起312」及び「空隙314」)を含む。端子304も同様に孔310a~dを含み、孔310a及び310bは端子304aの部分であり、孔310c及び310dは端子304bの部分である(まとめて「孔310」)。孔310aは突起312aの上に配置され、孔310bは空隙314aの上に配置され、孔310cは空隙314bの上に配置され、孔310dは突起312bの上に配置される。ひとたび端子304の上に配置されると、ヒューズ筐体302aの突起は、それぞれの孔310を通ってヒューズ筐体302bの空隙314に嵌合する。同様に、ヒューズ筐体302bの突起312は、それぞれの孔310を通ってヒューズ筐体302aの空隙に嵌合する。このようにして、構成要素を互いに固定可能に係合させることができる。
【0034】
例示的な実施形態では、孔310は、それぞれの端子304の円形の切り欠きである。同様に、突起312及び空隙314は円筒形であり、孔310の直径に近い直径を有している。代替的に、孔310、突起312、及び空隙314を、例示のものとは異なる形状としてもよく、それは、ヒューズアセンブリ300のこれらの要素の特定の形状が限定を意味するものではないからである。
【0035】
例示的な実施形態では、ヒューズアセンブリ300は端子排出チャネルを特徴として、過電流の事象によって生じるヒューズ素子306の破断に続くデブリのガス放出のための経路を提供する。排出チャネル316(本明細書では「端子排出チャネル316」とも呼ばれる)は、端子304aの孔310a及び310bの間に配置される。
図3Bには示されていないが、端子304bの孔310c及び310dの間に第2排出チャネルを配置することができる。
【0036】
例示的な実施形態では、排出チャネル316は、材料除去又は圧下プロセスによってそれぞれの端子104内に形成される。いくつかの実施形態では、排出チャネル316は、金属シートなどの金属に穴を開けるために使用される機械加工プロセスである打抜き加工又は穿孔施工によって端子304aに形成される。他の実施形態では、排出チャネル316はミリング施工によって端子304aに形成される。どちらの場合でも、ヒューズアセンブリ300の端子304aから材料を除去して、制御された寸法のチャネルを作成する。
【0037】
例示的な実施形態では、
図3Bに例示するように、ヒューズ筐体302bは側壁320a、320b、及び320c(まとめて「側壁320」)を含む。側壁320bは突起312a及び空隙314aを含む。同様に、側壁320cは空隙314b及び突起312bを含む。側壁320は、それぞれのヒューズ筐体302a及び302bが互いに係合するときに、係合する。追加として、例示的な実施形態では、側壁320bは端子排出チャネル316の下方に配置される。
【0038】
図4A及び4Bは、例示的な実施形態による、ヒューズアセンブリ300の端子排出チャネル316の代表的な図である。
図4Aは端子排出チャネル316の斜視図であり、
図4Bはヒューズ筐体302の間に配置された端子排出チャネルの側面図である。
図3Bも参照すると、ヒューズ筐体302bは側壁320b及び320cを有しており、端子排出チャネル316は側壁320bの上に配置されている。非限定的な例では、端子排出チャネル316は横長の形状を有するように示されているが、端子排出チャネルは異なる形状であってもよい。例示的な実施形態では、端子排出チャネル316は、その最長点で寸法d
2を有するのに対して、側壁320bを横切る距離はd
3である。例示的な実施形態では、d
2はd
3よりも長い(d
2>d
3)。別の言い方をすると、端子排出チャネル316は側壁320bの幅と重なっている。側壁320bと重なるように端子排出チャネル316を配置することにより、2つの開口部402a及び402b(まとめて「開口部402」)が生じており、開口部402bはヒューズチャンバの上にあり、開口部402aはヒューズチャンバの外部にある。
【0039】
図4Bでは、端子304aは、ヒューズ筐体302a、及びヒューズ筐体302bのヒューズ側壁320bの間に配置されている。
図4Aにも示されている開口部402a及び402bは、ヒューズ筐体302のいずれかの側に配置されている。端子排出チャネル316を配置することにより、端子304a及びヒューズ筐体302の間に開口部402が生じる。例示的な実施形態では、端子排出チャネル316は、デブリがヒューズアセンブリ300の内部チャンバからヒューズアセンブリの外部に移動するためのデブリ経路404を提供する。
【0040】
ヒューズアセンブリ100は4つの端子排出チャネル116を示しており、2つは1つの端子にあり、2つは別の端子にある。ヒューズアセンブリ300は、2つの端子のうちの一方に単一の端子排出チャネルを示している。これらの構成の組み合わせが可能である。例えば、ヒューズアセンブリ300は、端子304の孔310の間に互いに隣接して配置された2つの端子排出チャネル316を有してもよい。さらに、ヒューズアセンブリ300の両方の端子304は、端子排出チャネル316を含んでもよい。あるいは、ヒューズアセンブリ100は、端子104の孔110の間に配置された単一の端子排出チャネル116を有してもよい。さらに、ヒューズアセンブリ100及び300は、端子排出チャネル116及び316の両方のタイプを特徴としてもよい。図は限定を意味するものではないので、他の組み合わせも同様に可能である。
【0041】
図5は、例示的な実施形態による、デブリのガス放出を促進するためのヒューズアセンブリ500の代表的な図である。ヒューズアセンブリ500は、ヒューズ素子506の一方の側に配置されたヒューズ筐体502a、及びヒューズ素子の他方の側に配置されたヒューズ筐体502b(まとめて「ヒューズ筐体502」)を備える。ヒューズ筐体502aは透明であるので、ヒューズアセンブリ500の他の特徴が見える。ヒューズ筐体502は、プラスチックなどの非導電性材料で作られ、ヒューズ素子506を保護するための空洞を形成する。ヒューズ筐体502aがヒューズ筐体502bと係合すると、ヒューズ素子506はそれらの間のエンクロージャ内に配置される。非限定的な例では、ヒューズ筐体502aはヒューズ筐体502bと同一であってもよい。
【0042】
ヒューズ素子506は第1端子504a及び第2端子504b(まとめて「端子504」)の間に配置される。ヒューズ素子506及び端子504は銅などの導電性材料でできている。ヒューズ素子506はヒューズアセンブリ500の意図的な弱い接続であるため、ヒューズ素子506は端子504よりも薄くてもよい。
【0043】
ヒューズアセンブリ500は、ヒューズアセンブリ100及び300に見られる他の要素、例えばリブ、突起、及び空隙を特徴とする。説明を簡単にするために、これらの要素は、
図5では付記されていない。それでもやはり、ヒューズアセンブリ500の端子504は、ヒューズアセンブリ100及び300と同様の様式でヒューズ筐体502の間に配置される。
【0044】
孔510a及び510bは端子504aの部分として付記されているが、端子504bは同様に図示の孔(まとめて「孔510」)を含む。例示的な実施形態では、孔510a及び510bの間に、ヒューズアセンブリ500は端子排出チャネル516を特徴として、ヒューズ素子506の破断に続くデブリのガス放出のための経路を提供する。
【0045】
例示的な実施形態では、ヒューズ筐体502bは側壁520を含み、その上に端子排出チャネル516が配置される。側壁520は、側壁120(ヒューズアセンブリ100)及び320(ヒューズアセンブリ300)の幅と同様に、その幅が端子排出チャネル516の寸法を決定するので、付記されている。すなわち、端子排出チャネル516は側壁520よりも広く、(ヒューズ素子506が配置されている)ヒューズアセンブリ500のエンクロージャ内に開口部があることと、ヒューズ筐体502外面の開口部とを確実にしている。例示的な実施形態では、端子排出チャネル516は、孔510bよりも孔510aに近い屈曲を含む。端子排出チャネル516は、幾分はS字形状として説明され得る。いくつかの実施形態では、端子排出チャネル516の屈曲はヒューズ素子506の形状に基づいてもよい。
図5には示されていないが、端子504は同様に端子排出チャネルを含み得る。
【0046】
例示的な実施形態では、端子排出チャネル516は、ミリング又はコイニングなどの材料除去又は圧下プロセスによって端子504内に形成されるが、このとき、材料がヒューズアセンブリ500の端子504から除去されて、制御された寸法のチャネルを作成する。
【0047】
したがって、ヒューズアセンブリ100、300、及び500は、ヒューズ素子が破断される過電流の事象に続くデブリのガス放出を促進する端子排出チャネルを提供する。従来のヒューズアセンブリとは異なり、いくつかの実施形態では、金属よりもプラスチックでの排出チャネル形成は精度が低く、高価であるため、端子排出チャネルは筐体内に形成されるのではなく、端子内に形成される。さらに、例示的な実施形態では、排出チャネルの正確な形状をカスタマイズする機能は、例示的な実施形態では、プラスチックよりも金属においてより成功している。
【0048】
本明細書において使用するとき、単数形で記載されていて、「a」又は「an」という語の後にある要素又は段階は、複数の要素又は段階を除外しないものとして理解されるべきであるが、ただしそのような除外が明示的に記載されている場合を除く。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0049】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、記述した実施形態に対して多くの改変、修正、及び変更を行うことが可能である。従って、本開示は、記載されている実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言及びその均等物により定義される完全な範囲を有することが意図されている。
[他の可能性な項目]
[項目1]
第1端子及び第2端子の間に配置された、過電流の事象に応答して破断するヒューズ素子;及び
前記第1端子に配置された、前記過電流の事象中にデブリのガス放出のための経路を提供する端子排出チャネル
を備えるヒューズアセンブリ。
[項目2]
前記第1端子に切り込まれた第1対の孔;及び
前記第2端子に切り込まれた第2対の孔
をさらに備える、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目3]
前記端子排出チャネルは前記第1対の孔の間に配置されている、 請求項2に記載のヒューズアセンブリ。
[項目4]
前記端子排出チャネルは前記第1端子に三角形のくさびの切り込みを形成している、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目5]
前記端子排出チャネルは横長の形状を有する、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目6]
前記端子排出チャネルは前記第1端子へのS字形状の切り込みである、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目7]
前記過電流の事象中にデブリのガス放出のための第2経路を提供する第2端子排出チャネル
をさらに備える、請求項2に記載のヒューズアセンブリ。
[項目8]
前記第2端子排出チャネルは、前記端子排出チャネルに隣接して、前記第1端子に形成されている、請求項7に記載のヒューズアセンブリ。
[項目9]
前記第2端子排出チャネルは前記第2端子に形成され、前記第2対の孔の間に配置されている、請求項7に記載のヒューズアセンブリ。
[項目10]
第1寸法の側壁を有するヒューズ筐体、ここで前記端子排出チャネルは前記側壁の上に配置されている
をさらに備える、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目11]
前記端子排出チャネルは第2寸法を有し、前記第2寸法は前記第1寸法よりも大きい、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目12]
前記端子排出チャネルはヒューズ筐体の側壁の上に配置されている、請求項1に記載のヒューズアセンブリ。
[項目13]
前記端子排出チャネルは横長の形状を有する、請求項12に記載のヒューズアセンブリ。
[項目14]
前記横長の形状は第1寸法を有し、前記側壁は第2寸法を有し、前記第1寸法は前記第2寸法よりも大きい、請求項13に記載のヒューズアセンブリ。
[項目15]
過電流の事象に応答して破断し、ガス放出デブリを生じさせるヒューズ素子;
第1側壁を有する第1ヒューズ筐体;
第2側壁を有する第2ヒューズ筐体、ここで前記第1ヒューズ筐体が前記第2ヒューズ筐体と係合するとき、前記第1側壁は前記第2側壁と係合し、前記ヒューズ素子がその間の空洞に配置されている;及び
端子排出チャネルを有する端子、ここで前記端子排出チャネルは前記第1側壁の上に配置され、前記端子排出チャネルはガス放出デブリの移動のための経路を形成している
を備えるヒューズアセンブリ。
[項目16]
前記端子排出チャネルは横長の形状を有する、請求項15に記載のヒューズアセンブリ。
[項目17]
前記端子排出チャネルは三角形のくさび形状を有する、請求項15に記載のヒューズアセンブリ。
[項目18]
前記端子排出チャネルはS字形状を有する、請求項15に記載のヒューズアセンブリ。
[項目19]
前記第1側壁は第1寸法を有し、前記端子排出チャネルは、前記第1寸法とは異なる第2寸法を有する、請求項15に記載のヒューズアセンブリ。
[項目20]
前記第2寸法は前記第1寸法よりも大きい、請求項19に記載のヒューズアセンブリ。
【外国語明細書】