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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010062
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】通風筒
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/11 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
G01W1/11 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113862
(22)【出願日】2021-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】595145496
【氏名又は名称】株式会社第一科学
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 良太
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、メンテナンス性をさらに高めることができる通風筒を提供する。
【解決手段】大気の温度と湿度との少なくともいずれかを測定するセンサー部が設けられたセンターユニットと、センターユニットの上部に設けられたフードと、センターユニットの下部に設けられた筒体23と、センターユニットとフードと筒体23とを組み立てた組立状態と、センターユニットとフードと筒体23とに分解した分解状態とを可能とする複数の部品とを備え、筒体23は、センターユニットと連結される外筒38と、外筒38に収容される内筒39とを有し、内筒39の外筒38に対する相対変位によって両者を連結一体化して内筒39の外筒38からの落下を防ぐ落下防止機構(係合ピン1Bと係合溝4B)を設けた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気の温度と湿度との少なくともいずれかを測定するセンサー部が設けられたセンターユニットと、
前記センターユニットの上部に設けられたフードと、
前記センターユニットの下部に設けられた筒体と、
前記センターユニットと前記フードと前記筒体とを組み立てた組立状態と、前記センターユニットと前記フードと前記筒体とに分解した分解状態とを可能とする複数の部品とを備え、
前記複数の部品は、つまみねじと切欠きとの嵌合および前記嵌合の解除によって、前記組立状態と前記分解状態とを可能とする部品であり、
前記筒体は、前記センターユニットと連結される外筒と、前記外筒に収容される内筒とを有し、
前記内筒の前記外筒に対する相対変位によって両者を連結一体化して前記内筒の前記外筒からの落下を防ぐ落下防止機構を設けた通風筒。
【請求項2】
前記落下防止機構は、
前記内筒の外周面に突設された複数の係合ピンと、
前記外筒の内周面に設けられたリング状部材に形成されて前記各係合ピンが選択的に係合する横L字状の複数の係合溝と、
で構成される請求項1に記載の通風筒。
【請求項3】
前記複数の係合ピンは、前記内筒の上下にそれぞれ設けられ、
前記複数の係合溝は、前記外筒の上下に設けられた前記リング状部材と半リング状部材にそれぞれ形成されており、
前記半リング状部材は、前記内筒の上側の前記係合ピンが通過する貫通溝が形成されている請求項2に記載の通風筒。
【請求項4】
前記落下防止機構は、
前記内筒の外周面に刻設された雄ねじと、
前記外筒の内周面に設けられたリング状部材に刻設された雌ねじと、
で構成される請求項1に記載の通風筒。
【請求項5】
前記落下防止機構は、
前記内筒の外周面に形成された係合溝と、
前記外筒の内周面に設けられて前記係合溝に選択的に係合する弾性変形可能な複数のテンションバーと、
で構成される請求項1に記載の通風筒。
【請求項6】
前記内筒の下端部に回動可能に取り付けられた把手をさらに備える請求項1~5のいずれか1項に記載の通風筒。
【請求項7】
前記把手は、半リング状に形成され、前記把手の両端部が前記内筒の下端部外周に回動可能に枢着されており、不使用時には前記外筒の内部に収納可能である請求項6に記載の通風筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度計や湿度計を収容する通風筒に関する。
【背景技術】
【0002】
大気温度などの測定に際しては、その測定精度を高めるために直射日光などの直接的な太陽放射エネルギーを遮断するとともに、内部を強制的に通風させるようにした通風筒が用いられている。
【0003】
しかしながら、通風筒に収容される温度センサーや湿度センサーの寸法や形状、感度特性などの差異によって各センサーの感部の風速の最適値が異なることから、同一の通風筒を共用して温度センサーや湿度センサーを収容することができないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、共通の通風筒を用いて温度と湿度を高精度に測定することができる通風式温度及び湿度測定装置が提案されている。この通風式温度及び湿度測定装置に備えられる通風筒は、上部筒体と、上部筒体の下方側に嵌挿されて組立・分解可能な下部筒体とによって構成されている。
【0005】
ところが、特許文献1において提案された通風式温度及び湿度測定装置に備えられる通風筒においては、各種構成部品がねじによって連結されているため、この通風筒のメンテナンスを行う場合には、ドライバなどの工具を使用してねじの取り付け/取り外しなどを行う必要があり、メンテナンス性に関して改善の余地が残されていた。
【0006】
そこで、本出願人は、上記問題を解決した通風筒を先に提案した(特許文献2参照)。この通風筒は、大気の温度と湿度との少なくともいずれかを測定するセンサー部が設けられたセンターユニットと、前記センターユニットの上部に設けられたフードと、前記センターユニットの下部に設けられた筒体と、前記センターユニットと前記フードと前記筒体とを組み立てた組立状態と、前記センターユニットと前記フードと前記筒体とに分解した分解状態とを可能とする複数の部品とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-090074号公報
【特許文献2】特許第6782498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2において提案された通風筒においては、筒体を構成する内筒を外筒に対して受けて、内筒の外筒からの落下を防ぐための受け金具(受け部材)を設けているため、この受け金具や、受け金具を外筒に取り付けるための固定具などが必要となり、部品点数が増えてコストアップを招くとともに、受け金具の着脱の手間が増えてメンテナンス性の点で改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、メンテナンス性をさらに高めることができる通風筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る通風筒は、大気の温度と湿度との少なくともいずれかを測定するセンサー部が設けられたセンターユニットと、前記センターユニットの上部に設けられたフードと、前記センターユニットの下部に設けられた筒体と、前記センターユニットと前記フードと前記筒体とを組み立てた組立状態と、前記センターユニットと前記フードと前記筒体とに分解した分解状態とを可能とする複数の部品とを備え、前記複数の部品は、つまみねじと切欠きとの嵌合および前記嵌合の解除によって、前記組立状態と前記分解状態とを可能とする部品であり、前記筒体は、前記センターユニットと連結される外筒と、前記外筒に収容される内筒とを有し、前記内筒の前記外筒に対する相対変位によって両者を連結一体化して前記内筒の前記外筒からの落下を防ぐ落下防止機構を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、メンテナンス性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る通風筒の斜視図である。
図2】本発明に係る通風筒の分解斜視図である。
図3】本発明に係る通風筒のファンモータ取付部の構成を示す部分分解斜視図である。
図4】(a)は本発明に係る通風筒の位置決めリングの平面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
図5】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第1実施形態を示す内筒の正面図、(b)は同内筒の側面図である。
図6】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第1実施形態を示す筒体の正面図、(b)は同筒体の側面図である。
図7】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第2実施形態を示す内筒の正面図、(b)は同内筒の側面図である。
図8】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第2実施形態を示す筒体の正面図、(b)は同筒体の側面図である。
図9】本発明に係る通風筒の半リング部材の平面図である。
図10】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第3実施形態を示す内筒の正面図、(b)は同内筒の側面図である。
図11】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第3実施形態を示す筒体の正面図、(b)は同筒体の側面図である。
図12】(a)はリング状部材の平面図、(b)は同リング状部材の側面図である。
図13】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第4実施形態を示す内筒の正面図、(b)は同内筒の側面図である。
図14】(a)は本発明に係る通風筒の落下防止機構の第4実施形態を示す筒体の正面図、(b)は同筒体の側面図である。
図15】本発明に係る通風筒においてファンモータ取付部にファンモータを取り付ける前の状態を示すセンターユニット上部の縦断面図である。
図16】本発明に係る通風筒においてファンモータ取付部にファンモータを取り付けた状態を示すセンターユニット上部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
[通風筒の構成]
図1において、本発明に係る通風筒10は、大気の温度や湿度を測定する気象観測装置11に用いられるものであって、気象観測装置11は、通風筒10の内部にセンサー部12とファンモータ13とを有している。
【0015】
通風筒10は、地面14に垂直に立設された支柱15に取り付けられており、地面14から所定の高さ位置に配置されている。センサー部12は、不図示のセンサー取付部材によって通風筒10の内部に取り付けられており、大気の温度を測定する温度計と、大気の湿度を測定する湿度計との少なくともいずれかを備えている。なお、温度計としては電気式温度計が用いられ、湿度計としては電気式湿度計が用いられている。
【0016】
ファンモータ13は、例えば平面視で略正方形をなしており、通風筒10の内部と外部との間で空気を強制的に循環させるものである。具体的には、このファンモータ13は、通風筒10の下側から空気(外気)を吸引し、この通風筒10の内部に吸引された空気は、後述のセンターユニット21のユニット本体25とフード22のカバー36(図2参照)との間に形成された隙間から通風筒10の外周囲へと排出され、通風筒10の内部を空気が循環する。このように通風筒10の内部を空気が循環することによって、センサー部12において温度及び/または湿度の正確な測定が可能となる。
【0017】
図2に示すように、通風筒10は、センターユニット21と、このセンターユニット21の上部に連結されるフード22と、センターユニット21の下方に連結される筒体23とを備えている。ここで、これらのセンターユニット21とフード22と筒体23とは、例えばステンレス鋼等の金属によって構成されている。
【0018】
通風筒10は、センターユニット21とフード22と筒体23とにそれぞれ備えられた複数の部品のうち、少なくともいずれかの部品が工具を使用することなく変位することによって、センターユニット21とフード22と筒体23とを組み立てた組立状態(図1に示す状態)と、センターユニット21とフード22と筒体23とに分解した分解状態(図2に示す状態)にすることを可能とする分解組立機構を備えている。この分解組立機構には、通風筒10のメンテナンスを行う作業者がドライバなどの工具を用いることなく自らの手で変位させることができる特定の部品が含まれている。
【0019】
センターユニット21にはセンサー部12が設けられており、このセンターユニット21は、図2に示すように、ユニット本体25と、ファンモータ取付部26と、支柱取付部27とを備えている。
【0020】
図2に示すように、円筒状のユニット本体25の下端部には、横L字状の複数(本実施の形態では、3つ)の切欠き25a(図2には1つのみ図示)が周方向に沿って等角度ピッチ(120°ピッチ)で形成されている。これらの切欠き25aには、筒体23の上部に設けられた後述の3つの第2のつまみねじ42の各ねじ部がそれぞれ嵌合する。
【0021】
ファンモータ取付部26は、ユニット本体25の上部に設けられており、ファンモータ13をユニット本体25に着脱可能に取り付ける機能を果たすものである。このファンモータ取付部26は、センターユニット21に備えられた複数の部品のうち、通風筒10の分解状態と組立状態とを可能とするために変位する部品の一つである。
【0022】
図3に示すように、ファンモータ取付部26は、ファンモータ13を支持するリング状の支持部26aと、この支持部26aの外周縁部に周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で設けられた4つの第1の側板26b及び相対向する2箇所に設けられた一対の第2の側板26cと、相対向する2つの第1の側板26bにそれぞれ立設されたピン状の係合部26dと、一対の第2の側板26cの間にそれぞれ張設された押え部26eとを備えている。ここで、一対の第1の側板26bと2組の第2の側板26cとは互いに直交する方向(位相が90°ズレた位置)にそれぞれ配置されており、各第1の側板26bは、下方に向かってL字状に屈曲している。
【0023】
リング状の支持部26aの中央には、円孔状の開口29が形成されており、この開口29は、ファンモータ13によって吸引された空気を流通させるためのものである。ここで、ファンモータ13は、中央に配置されたファン部13aと、このファン部13aの周囲に形成されたフランジ部13bを備えており、フランジ部13bの四隅には円孔状の貫通孔13cがそれぞれ形成されている。ここで、ファン部13aは、支持部26aの開口29の上に配置されている。
【0024】
各第1の側板26bは、支持部26aの外周縁部に接続される基端部30と、下方に延びる先端部31とをそれぞれ備えており、開口29を挟んで相対向する2つの基端部30には、垂直上方に突出するピン状の係合部26dがそれぞれ突設されている。ここで、各係合部26dは、通風筒10の組立状態において、ファンモータ13のフランジ部13bに形成された貫通孔13cに係合する。本実施の形態では、各第1の側板26bの基端部30に不図示のねじ孔が形成されており、このねじ孔に下側からねじを取り付け、ねじ孔から突出するねじのねじ部を係合部26dとして用いている。そして、各第1の側板26bの垂直に垂れ下がる先端部31には、第1のつまみねじ33がそれぞれ螺合している。なお、これらの第1のつまみねじ33は、後述のように通風筒10を分解する際に緩められ、通風筒10の組み立ての際に締められる。そして、第1のつまみねじ33は、通風筒10を分解する際に先端部31から完全に取り外す必要がない。
【0025】
各押え部26eは、通風筒10の組立状態において、ファンモータ13のフランジ部13bを押えるものであって、両端にフックが形成されたばね部材によって構成されている。一対の第2の側板26cには円孔がそれぞれ形成されており、各円孔には押え部26eの各フックがそれぞれ引っ掛けられている。これにより、各押え部26eは、一対の第2の側板26cの間に設けられた各第1の側板26bの上にそれぞれ位置している。これらの押え部26eは、ファンモータ13のフランジ部13bを上側から下側へと押圧して付勢する付勢状態(図2参照)と、付勢を解除した解除状態との間で変位(弾性変形)する。すなわち、各押え部26eは、例えば、これに支持部26aの径方向外方へと引っ張る力が加えられることによって解除状態となり、引っ張る力が開放されることによって元の状態に復帰して付勢状態となる。なお、図3に示すように、2つの押え部26eは、4つの第1の側板26bのうち、係合部26dが設けられた2つの第1の側板26bとは異なる残り2つの第1の側板26bを挟んで配置された一対の第2の側板26cにそれぞれ設けられている。
【0026】
ファンモータ取付部26は、係合部26dと押え部26eとを備えることによって、ファンモータ13をユニット本体25に対して着脱可能に取り付ける。すなわち、通風筒10の分解組立機構は、係合部26dと押え部26eとを備えるファンモータ取付部26を含んで構成されている。
【0027】
支柱取付部27は、中空の箱型の部材であって、図1及び図2に示すように、ユニット本体25の外周面に溶接によって取り付けられており、この支柱取付部27によって通風筒10が支柱15に取り付けられている。
【0028】
支柱取付部27の側面には、図2及び図3に示すように、ケーブル引込ボックス35が取り付けられており、このケーブル引込ボックス35は、通風筒10の外部から不図示の各種ケーブルを引き込むためのものである。ケーブル引込ボックス35に引き込まれるケーブルは、例えば、センサー部12及びファンモータ13と電気的に接続される電力供給用ケーブルや制御用ケーブルなどである。支柱取付部27の側面のうち、ケーブル引込ボックス35に対応する部分には、不図示の開口が形成されており、この開口を介してケーブル引込ボックス35から支柱取付部27へとケーブルが引き込まれる。また、ユニット本体25の外周面のうちの支柱取付部27に対応する部分には、不図示の開口が形成されており、この開口を介して支柱取付部27からユニット本体25へとケーブルが引き込まれる。
【0029】
フード22は、図2に示すように、センターユニット21の上部に設けられており、カバー36とキャップ37とを備えている。本実施の形態では、カバー36は、円筒形状とされ、キャップ37は、円錐形状とされている。カバー36の下端には、横L字状の4つの切欠き36a(図2には2つのみ図示)が周方向に沿って等角度ピッチ(90°ピッチ)で形成されている。各切欠き36aには、ファンモータ取付部26に設けられた各第1のつまみねじ33のねじ部が嵌合することによって、センターユニット21とフード22とが連結される。センターユニット21とフード22とが連結された状態において、ファンモータ13によって通風筒10内に吸引された空気がユニット本体25とカバー36との間に形成された隙間から通風筒10の外部へと排出される。キャップ37は、カバー36の上部に設けられており、直射日光による通風筒10の内部の温度上昇を抑制する遮熱板として機能する。
【0030】
筒体23は、図2に示すように、センターユニット21の下部に設けられており、センターユニット21に連結される外筒38と、この外筒38に収容される内筒39を備えている。外筒38は、複数の筒状体を同心状に配置した多層筒構造を有している。本実施の形態では、外筒38は、2つの円筒状体で構成される二重筒構造を有しており、2つの円筒状体の間には不図示の断熱材が設けられている。
【0031】
外筒38の上部には、図2に示すように、3つの第2のつまみねじ42が周方向に等角度ピッチ(120°ピッチ)で配置されて螺合している。第2のつまみねじ42は、通風筒10を分解するときに緩められ、通風筒10を組み立てる際には締められるが、この第2のつまみねじ42は、通風筒10を分解する際には外筒38から完全に取り外す必要がない。
【0032】
外筒38は、内筒39の上端部を位置決めするための位置決めリング45を内部の上部側に備えている。この位置決めリング45は、筒体23に備えられた複数の部品のうち、通風筒10の分解状態と組立状態とを可能とするために変位する部品の一つである。
【0033】
図4に示すように、位置決めリング45は、円筒状のリング本体46と、このリング本体46に設けられた位置決め部47とを備えている。ここで、リング本体46の内径は、内筒39の上端部の外径以上、且つ、内筒39の下端部の外径未満に設定されているため、リング本体46に内筒39の上端部を挿入することができるとともに、リング本体46に内筒39の下端部を挿入することができない。
【0034】
リング本体46の外周縁部には、位置決めリング45を外筒38内の上端部に固定するための3つの梁部49が周方向に等角度ピッチ(120°ピッチ)で設けられている。これらの梁部49を例えばねじによって外筒38に固定することによって、位置決めリング45が外筒38内の上端部に固定される。
【0035】
位置決め部47は、リング本体46の径方向に弾性変形して変位することができる。この位置決め部47は、リング本体46の周囲から上方に向かって内側に斜めに傾斜する複数の櫛歯48によって構成されている。本実施の形態では、24本の櫛歯48がリング本体46の周方向に沿って等間隔に配列されている。
【0036】
複数の櫛歯48の内接円S1の直径は、内筒39の上端部の外径以下に設定されているため、リング本体46に挿入された内筒39がさらに上方へと移動すると、複数の櫛歯48と内筒39の外周面とが接触する。このとき、複数の櫛歯48が弾性変形してリング本体46の径方向外方へと変位し、この変位によって内筒39の上端部が外筒38に対して位置決めされる。
【0037】
複数の櫛歯48の内接円S1の直径を内筒39の上端部の外径未満とした場合には、複数の櫛歯48は、リング本体46に挿入された内筒39の上端部によってリング本体46の径方向外方へと押されて弾性変形して変位し、内筒39の上端部をリング本体46の径方向内方へと付勢する。
【0038】
位置決めリング45は、位置決め部47を備えることによって内筒39の上端部を外筒38に対して位置決めすることができる。すなわち、通風筒10の分解組立機構は、位置決め部47を有する位置決めリング45を含んで構成されている。
【0039】
内筒39は、図2に示すように、センサー部12を収容する円筒状のセンサー収容部51と、空気が吸引される略円錐台状の空気吸引部52とを備えており、この内筒39は、外筒38の内部においてセンサー収容部51が上側とされ、空気吸引部52が下側とされている。ここで、センサー収容部51の下端と空気吸引部52の上端とは、不図示の円筒状の接続管によって接続されている。なお、センサー収容部51の上端の外径は、空気吸引部52の下端の外径よりも小さく設定されており、センサー収容部51の上端の外径は、内筒39の上端部の外径に等しく、空気吸引部52の下端の外径は、内筒39の下端部の外径に等しい。
【0040】
[内筒の落下防止機構]
ここで、本発明の特徴的な構成である内筒39の外筒38からの落下を防ぐ落下防止機構の実施形態について説明する。
【0041】
<第1実施形態>
本実施の形態においては、図5に示すように、内筒39の外周面の径方向に相対向する2箇所(周方向に180°隔てた2箇所)に円柱状の係合ピン1がそれぞれ水平に突設されている。また、内筒39の下端部外周には、半リング状に形成された把手2がその両端部をピン3によって上下に回動可能に枢着されて取り付けられている。なお、把手2は、図5(a)に示すように垂直に垂れ下がった図示aの状態から上方に90°回動して水平な図示bの状態となることができる。このように、把手2は、不使用時には外筒38の内部に収納可能である。
【0042】
他方、図6に示すように、外筒38の内周面の中間高さ位置には、リング状部材8が設けられており、このリング状部材8の筒状部の径方向に相対向する2箇所(周方向に180°隔てた2箇所であって、内筒39に突設された係合ピン1に対応する位置)には、内筒39に突設された各係合ピン1がそれぞれ選択的に係合する横L字状の係合溝4がそれぞれ形成されている。
【0043】
後述のように筒体23が外筒38と内筒39とに分解された状態から、これらの外筒38と内筒39とを組み立てるには、内筒39に突設された2つの係合ピン1の周方向位置を外筒38に形成された2つの係合溝4の周方向位置に合わせた状態で、内筒39を外筒38の内部に下方から挿入する。すると、内筒39に突設された各係合ピン1が外筒38の内周面に設けられたリング状部材8の各係合溝4にそれぞれ嵌め込まれ、この状態から内筒39を外筒38に対して所定角度だけ回転させると、各係合ピン1が図6(a)に示すように(図6(a)には一方の係合ピン1と係合溝4のみ図示)が各係合溝4にそれぞれ嵌合し、これによって外筒38と内筒39とが連結一体化され、内筒39の外筒38からの落下が確実に防がれる。このように、筒体23を構成する外筒38と内筒39との組み立てにおいては、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込んで、内筒39を所定角度だけ回転させるだけの簡単な操作によって、従来使用していた受け金具を用いることなく、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。すなわち、本実施の形態においては、内筒39の外筒38に対する相対変位(内筒39を外筒38に対して直線移動させるとともに、所定角度だけ回転させる動作)によって、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。
【0044】
なお、外筒38と内筒39との組み立てにおいては、垂直下方に垂れ下げられた状態(図6(a)に示すaの状態)の把手2を把持して内筒39を外筒38の内部に下方から作業性良く挿入して所定角度だけ回転させることによって、内筒39を外筒38に簡単に組み付けることができる。そして、以上のようにして外筒38と内筒39とを組み立てた後には、垂直に垂れ下がった把手2を上方に向かって90°回動させ、図6(a)にbにて示す状態(水平状態)とし、把手2を外筒38の内部に収納するようにすれば、この把手2が邪魔になることがない。
【0045】
他方、組み立てられた筒体23を外筒38と内筒39とに分解する場合には、以上とは逆に内筒39を外筒38に対して所定方向(組立時とは逆の方向)に所定角度だけ回転させる。すると、内筒39に突設された2つの係合ピン1と外筒38に形成された2つの係合溝4との嵌合が解除されるため、内筒39を外筒38から下方に引き抜けば、筒体23を外筒38と内筒39とにワンタッチで簡単に分解することができる。
【0046】
なお、筒体23を外筒38と内筒39とに分解する場合には、外筒38の内部に収納されている把手2を下方へと90°回動させて図6(a)にaにて示す垂直下方に垂れ下げられた状態として作業を行うことによって、筒体23を外筒38と内筒39とに作業性良く簡単に分解することができる。
【0047】
ところで、本実施の形態のような構成(外筒38の内周面に、2つの係合溝4が形成されたリング状部材8を設ける構成)を採用する場合、外筒38の製作上、外筒38を上下に2分割しても良い。
【0048】
<第2実施形態>
本実施の形態に係る内筒39の落下防止機構は、基本的には上記第1実施形態に係る落下防止機構の構成と同じであるが、本実施の形態では、図7に示すように、内筒39の外周面の上下2箇所に各2つの係合ピン1A,1Bをそれぞれ突設し、上側の2つの係合ピン1Aと下側の2つの係合ピン1Bの周方向の位相を互いに90°ずらしている。すなわち、上側の2つの係合ピン1Aと下側の2つの係合ピン1Bは、互いに直交する方向にそれぞれ突設されている。
【0049】
他方、図8に示すように、外筒38の内周面の上下2箇所には、リング状部材8と半リング状部材9がそれぞれ設けられており、これらのリング状部材8と半リング状部材9の径方向に相対向する2箇所(内筒39の上下に突設された係合ピン1A,1Bに対応する位置であって、径方向に相対向する2箇所(周方向に180°隔てた2箇所))には、内筒39に突設された上下の各係合ピン1A,1Bがそれぞれ選択的に係合する横L字状の係合溝4A,4Bがそれぞれ形成されている。ここで、上側の2つの係合溝4Aと下側の2つの係合溝4Bは、周方向に位相が90°ずれた位置に形成されている。すなわち、上側の2つの係合溝4Aと下側の2つの係合溝4Bは、互いに直交する方向にそれぞれ形成されている。
【0050】
また、図8(a)及び図9に示すように、半リング状部材9には、リング状部材8の係合溝4Aに対応する2箇所(内筒39を外筒38の内部に下方から挿入する場合に上側の係合ピン1Aが通過する2箇所)に、貫通溝5がそれぞれ形成されている。なお、本実施の形態においても、内筒39の下端部には、上下に回動可能な半リング状の把手2が取り付けられているが、この把手2の使用法と作用は、上記第1実施形態と同じであるため、これについての説明は省略する。
【0051】
後述のように筒体23が外筒38と内筒39とに分解された状態から、これらの外筒38と内筒39とを組み立てるには、内筒39に突設された上側の2つの係合ピン1Aの周方向位置を半リング状部材9に形成された2つの貫通溝5の周方向位置に合わせた状態で、内筒39を外筒38の内部に下方から挿入する。すると、内筒39に突設され上側の各係合ピン1Aが半リング状部材9に形成された各貫通溝5を通過して上側の各係合溝4Aにそれぞれ嵌め込まれ、この状態から内筒39を外筒38に対して所定角度だけ回転させると、上側の各係合ピン1Aと下側の各係合ピン1Bが図8(a),(b)に示すように(図8(a),(b)には係合ピン1A,1Bの各一方のみ図示)が上下の各係合溝4A,4B(図8(a),(b)には係合溝4A,4Bの各一方のみ図示)にそれぞれ嵌合し、これによって外筒38と内筒39とが連結一体化され、内筒39の外筒38からの落下が一層確実に防がれる。このように、筒体23を構成する外筒38と内筒39との組み立てにおいては、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込んで、内筒39を所定角度だけ回転させるだけの簡単な操作によって、従来使用していた受け金具を用いることなく、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。すなわち、本実施の形態においても、上記第1実施形態と同様に、内筒39の外筒38に対する相対変位(内筒39を外筒38に対して直線移動させるとともに、所定角度だけ回転させる動作)によって、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。
【0052】
他方、組み立てられた筒体23を外筒38と内筒39とに分解する場合には、以上とは逆に内筒39を外筒38に対して所定方向(組立時とは逆の方向)に所定角度だけ回転させる。すると、内筒39に突設された上下各2つの係合ピン1A,1Bとリング状部材8と半リング状部材9にそれぞれ形成された上下各2つの係合溝4A,4Bとの嵌合が解除されるため、内筒39を外筒38から下方に引き抜けば、筒体23を外筒38と内筒39とにワンタッチで簡単に分解することができる。
【0053】
なお、本実施の形態のような構成(外筒38の内周面の上下に、2つの係合溝4Aが形成されたリング状部材8と、2つの係合溝4B及び2つの貫通溝5が形成された半リング状部材9とを設ける構成)を採用する場合、外筒38の製作上、外筒38を上下に2分割、または上中下に3分割しても良い。
【0054】
<第3実施形態>
本実施の形態に係る内筒39の落下防止機構は、図10に示すように内筒39の外周面の中間高さ位置に雄ねじ39aを刻設し、図11に示すように外筒38の内周面の中間高さ位置(内筒39に刻設された雄ねじ39aに対応する位置)に設けられたリング状部材8の内周面に、内筒39に刻設された雄ねじ39aが選択的に螺合する雌ねじ38aを刻設することによって構成されている。ここで、図10に示すように、内筒39の雄ねじ39aの下端外周にはリング状のストッパ39Aが形成されている。なお、ストッパ39Aの形状は、リング状である必要はなく、その機能が果たされれば任意の形状を採用することができる。また、本実施の形態においても、内筒39の下端部には、上下に回動可能な半リング状の把手2が取り付けられているが、この把手2の使用法と作用は、上記第1実施形態と同じであるため、これについての説明は省略する。
【0055】
外筒38の内周面に設けられたリング状部材8は、図12に示すように、円筒状の筒状部8Aと、筒状部8Aの外周に形成されたリング状のフランジ部8Bと、フランジ部8Bの外周の周方向3箇所から径方向に一体に延びる接続部8Cとで構成されている。そして、このリング状部材8の筒状部8Aの内周に雌ねじ38aが刻設されている。リング状部材8の3つの接続部8Cは、外筒38の内周面に当接している(図11参照)。接続部8Cとフランジ部8Bと外筒38との間には、空気が流通する空間が形成されている。このような空間が内筒39と外筒38との間に形成されることによって、これらの内筒39と外筒38との間を流れる空気の流通量が増える。なお、接続部8Cの数は、複数であれば任意である。
【0056】
後述のように筒体23が外筒38と内筒39とに分解された状態から、これらの外筒38と内筒39を組み立てるには、内筒39を外筒38の内部に下方から挿入し、内筒39の外周面に刻設された雄ねじ39aをリング状部材8の内周面に刻設された雌ねじ38aに螺合させた状態で、内筒39を外筒38に対して回転させれば、内筒39が外筒38に螺着されて両者が連結一体化される。このとき、内筒39の外周に形成されたストッパ39Aが外筒38側に設けられたリング状部材8のフランジ部8Bに当接することにより、内筒39のそれ以上の外筒38へのねじ込みが阻止される。このように、筒体23を構成する外筒38と内筒39との組み立てにおいては、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込んで、内筒39を外筒38に対して回転させるだけの簡単な操作によって、従来使用していた受け金具を用いることなく、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。すなわち、本実施の形態においては、内筒39の外筒38に対する相対変位(内筒39を外筒38に対して回転させる動作)によって、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。
【0057】
他方、組み立てられた筒体23を外筒38と内筒39とに分解する場合には、以上とは逆に内筒39を外筒38に対して所定方向(組立時とは逆の方向)に回転させる。すると、内筒39に刻設された雄ねじ39aとリング状部材8の内周面に刻設された雌ねじ38aとの螺合が解除されるため、内筒39を外筒38から下方に引き抜けば、筒体23を外筒38と内筒39とにワンタッチで簡単に分解することができる。
【0058】
なお、本実施の形態のような構成(外筒38の内周面に、雌ねじ38aが刻設されたリング状部材8を設ける構成)を採用する場合、外筒38の製作上、外筒38を上下に2分割しても良い。
【0059】
<第4実施形態>
本実施の形態に係る内筒39の落下防止機構は、図13に示すように内筒39の外周面の中間高さ位置に係合溝6を全周に亘って形成し、図14に示すように、外筒38の内周面の相対向する2箇所に弾性変形可能な矩形プレート状のテンションバー7を設けることによって構成されている。ここで、各テンションバー7は、ばね鋼などによって構成されており、その先端部には、略直角に屈曲する係合部7aが形成されている。なお、本実施の形態においても、内筒39の下端部には、上下に回動可能な半リング状の把手2が取り付けられているが、この把手2の使用法と作用は、上記第1実施形態のそれと同じであるため、これについての説明は省略する。
【0060】
後述のように筒体23が外筒38と内筒39とに分解された状態から、これらの外筒38と内筒39を組み立てるには、内筒39を外筒38の内部に下方から挿入し、内筒39の外周面に形成された係合溝6に外筒38の内周面に設けられた2つのテンションバー7の係合部7aを係合させれば、外筒38と内筒39とが連結一体化され、内筒39の外筒38からの落下が確実に防がれる。このように、外筒38と内筒39との組み立てにおいては、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込んで、内筒39に形成された係合溝6に、外筒38に設けられた2つのテンションバー7の各係合部7aを係合させるだけの簡単な操作によって、従来使用していた受け金具を用いることなく、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。すなわち、本実施の形態においては、内筒39の外筒38に対する相対変位(内筒39を外筒38に軸方向に差し込む動作)によって、外筒38と内筒39とをワンタッチで簡単に組み立てることができる。
【0061】
他方、組み立てられた筒体23を外筒38と内筒39とに分解する場合には、以上とは逆に内筒39を外筒38から下方へ引けば良い。すると、内筒39に形成された係合溝6と外筒38に設けられた2つのテンションバー7の各係合部7aとの係合が解除されるため、内筒39を外筒38から下方に簡単に引き抜くことができ、筒体23を外筒38と内筒39とにワンタッチで簡単に分解することができる。
【0062】
なお、本実施の形態のような構成(外筒38の内周面に、テンションバー7を設ける構成)を採用する場合、外筒38の製作上、外筒38を上下に2分割しても良い。
【0063】
[通風筒の分解組立手順]
次に、本発明に係る通風筒10の分解組立手順について説明する。
【0064】
(分解手順)
通風筒10を分解する手順として、センターユニット21からフード22を取り外した後、センターユニット21から筒体23を取り外す場合を例として説明する。
【0065】
通風筒10は、センターユニット21とフード22と筒体23とを組み立てた状態(図1に示す状態)では、第1のつまみねじ33と第2のつまみねじ42が締められた状態とされている。
【0066】
まず、センターユニット21からフード22を取り外すために、4つ全ての第1のつまみねじ33を緩める。この場合、各第1のつまみねじ33は、ファンモータ取付部26から完全に取り外すことなく緩めるだけで良い。各第1のつまみねじ33を緩めた状態で、フード22のカバー36に形成された横L字状の切欠き36aに沿ってフード22を所定角度だけ回転させると、各切欠き36aと各第1のつまみねじ33との嵌合が解除されるため、フード22をそのまま上方へ持ち上げることによって、フード22をセンターユニット21から取り外すことができる。
【0067】
次に、センターユニット21から筒体23を取り外すために、3つ全ての第2のつまみねじ42を緩める。この場合、第2のつまみねじ42は、外筒38から完全に取り外すことなく緩めるだけで良い。各第2のつまみねじ42を緩めた状態で、ユニット本体25の下端部に形成された横L字状の切欠き25aに沿って筒体23を所定角度だけ回転させると、各切欠き25aと各第2のつまみねじ42との嵌合が解除されるため、筒体23をそのまま下方に引くことによって、筒体23をセンターユニット21から取り外すことができる。
【0068】
センターユニット21から取り外した筒体23を外筒38と内筒39とに分解する手順については前述の通りである。例えば、内筒39の落下防止機構として図5及び図6に示す第1実施形態に係るものを使用した場合には、内筒39を固定した状態で外筒38を所定角度だけ回転させる。すると、内筒39の外周面に突設された2つの各係合ピン1とリング状部材8の内周面に形成された横L字状の2つの各係合溝4との嵌合が解除されるため、内筒39を外筒38からワンタッチで簡単に引き抜いて外筒38と外筒38を容易に分解することができる。
【0069】
次に、ファンモータ取付部26からファンモータ13を次の手順に従って取り外す。ここで、センターユニット21からフード22を取り外した段階では、ファンモータ取付部26の押え部26eは、付勢状態にあって、ファンモータ13を下方へと付勢してファンモータ取付部26の支持部26a(図3参照)に押圧している。このため、まず、押え部26eを解除状態とする。本実施の形態では、押え部26eがばね部材で構成されているため、押え部26eを支持部26aの径方向外方へと引っ張ることによって、押え部26eを容易に解除状態とすることができる。そして、押え部26eを解除状態としたまま、ファンモータ13を持ち上げれば、ファンモータ13のフランジ部13bに形成された貫通孔13cとファンモータ取付部26の係合部26dとの係合が解除されるため、ファンモータ13をファンモータ取付部26から簡単に取り外すことができる。
【0070】
(組立手順)
以上説明した手順によって分解された通風筒10は、分解の手順とは逆の手順にしたがって組み立てて図1に示す組立状態とすることができる。
【0071】
まず、分解された外筒38と内筒39とを結合して前述のように筒体23を組み立てる。例えば、内筒39の落下防止機構として図5及び図6に示す第1実施形態に係るものを使用した場合には、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込み、内筒39の外周面に突設された2つの各係合ピン1をリング状部材8の内周面に形成された2つの各係合溝4に下方からそれぞれ差し込んで両者を係合させ、内筒39を外筒38に対して所定角度だけ回すと、各係合ピン1が各係合溝4に嵌合し、外筒38と内筒39とが連結一体化される。なお、内筒39を外筒38の内部に下方から差し込むと、内筒39の上端部が、位置決めリング45の位置決め部47に設けられた複数の櫛歯48を、リング本体46の径方向外方へと押し広げながら貫通する。内筒39の上端部の外周面が複数の櫛歯48によって保持されるため、内筒39の上端部が外筒38に対して正確に位置決めされる。
【0072】
なお、位置決めリング45のリング本体46の内径は、内筒39の下端部の外径よりも小さいため、内筒39の下端部は、リング本体46を通過することができない。このため、内筒39を上下を逆にして外筒38の内部に挿入することができず、位置決めリング45は、内筒39の誤挿入を防ぐ機能も果たす。
【0073】
以上のように外筒38と内筒39とを連結一体化して筒体23が組み立てられると、この筒体23をセンターユニット21の下方に配置し、ユニット本体25の下端部に形成された横L字状の3つの各切欠き25aに沿って筒体23を上方へと移動させ、筒体23を所定角度だけ回転させ、各切欠き25aと各第2のつまみねじ42とをそれぞれ嵌合させる。このように各切欠き25aと各第2のつまみねじ42とがそれぞれ嵌合した状態で、各第2のつまみねじ42をそれぞれ締め付けることによってセンターユニット21と筒体23とが連結一体化される。
【0074】
次に、ファンモータ13をファンモータ取付部26に取り付ける手順を図15及び図16に基づいて以下に説明する。
【0075】
まず、図15に示すように、ファンモータ13のフランジ部13bに形成された貫通孔13cとファンモータ取付部26の係合部26dとが対応するように、ファンモータ13をファンモータ取付部26の上方に配置する。この状態でファンモータ取付部26の押え部26e(図3参照)を支持部26aの径方向外方へと引っ張る。
【0076】
次に、図16に示すように、ファンモータ13を下方へと移動させ、ファンモータ13の貫通孔13cにファンモータ取付部26の係合部26dを挿入する。そして、ファンモータ取付部26の押え部26eを引っ張っていた力を開放すると、押え部26eは、元の状態に復元し、図2に示すように、ファンモータ13のフランジ部13bをファンモータ取付部26の支持部26aに押圧し、ファンモータ13をファンモータ取付部26に取り付ける。ここで、ファンモータ取付部26は、ファンモータ13の貫通孔13cに係合する係合部26dと、解除状態と付勢状態との間で変位する押え部26eとを有しているため、ファンモータ13をファンモータ取付部26に対して着脱可能に取り付けることができる。
【0077】
次に、図2に示すように、フード22がセンターユニット21の上部に以下の手順に従って取り付けられる。すなわち、フード22をセンターユニット21の上方に配置し、フード22のカバー36に形成された横L字状の切欠き36aに沿ってフード22を下方へと移動させてから所定角度だけ回転させることによって、各切欠き36aと各第1のつまみねじ33とをそれぞれ嵌合させる。このように各切欠き36aと各第1のつまみねじ33とがそれぞれ嵌合した状態で、各第1のつまみねじ33をそれぞれ締め付けると、センターユニット21とフード22とが連結一体化されて通風筒10が図1に示すように組み立てられる。
【0078】
以上のように、通風筒10は、センターユニット21とフード22と筒体23とに備えられた複数の部品のうち、少なくともいずれかの部品が工具を用いることなく変位することによって、図2に示す分解状態と図1に示す組立状態とを可能とするように構成されているため、メンテナンス性に優れている。具体的には、通風筒10は、第1のつまみねじ33と第2のつまみねじ42を取り外すことなく緩め或いは締め付けるだけで分解と組み立てとが可能なように構成されているため、メンテナンス性に優れるとともに、第1のつまみねじ33と第2のつまみねじ42が脱落して紛失するなどの不具合の発生が防がれる。
【0079】
また、通風筒10の筒体23においては、外筒38と内筒39とを係合ピン1と係合溝4(図5及び図6参照)などによって構成される落下防止機構によって、従来使用していた受け金具を用いることなく、ワンタッチで簡単に組み立て及び分解することができるとともに、組立状態において内筒39の外筒38からの落下を確実に防ぐことができるため、部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、メンテナンス性をさらに高めることができるという効果も得られる。
【0080】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0081】
センターユニット21、フード22及び筒体23の各形状は、上記実施の形態において示した形状に限定されない。ユニット本体25とカバー36とリング本体46とは、円筒形状に限らず、楕円筒形状、角筒形状などとしても良い。また、キャップ37は、円錐形状に限らず、楕円錐台形状、角錐台形状等であっても良い。さらに、外筒38は、円筒状体から構成されるものに限らず、楕円筒状体、角筒状体などから構成されるものであっても良い。なお、リング本体46が楕円筒形状または角筒形状である場合は、リング本体46の内接円の直径は、当該リング本体46の内径に設定する。
【0082】
また、センサー収容部51は、円筒形状に限らず、楕円筒形状、角筒形状などとしても良い。センサー収容部51が楕円筒形状または角筒形状である場合は、センサー収容部51の外接円の直径は、当該センサー収容部51の上端の外径、すなわち内筒39の上端部の外径に設定する。
【0083】
さらに、空気吸引部52は、円錐台形状に限らず、楕円錐台形状、角錐台形状等としても良い。空気吸引部52が楕円錐台形状または角錐台形状である場合は、空気吸引部52の下端の外接円の直径を当該空気吸引部52の下端の外径、すなわち内筒39の下端部の外径とする。また、空気吸引部52の下端の内接円の直径は、当該空気吸引部52の下端部の内径、すなわち内筒39の下端部の内径とする。
【符号の説明】
【0084】
1 係合ピン
2 把手
4 係合溝
5 貫通溝
6 係合溝
7 テンションバー
8 リング状部材
9 半リング状部材
10 通風筒
12 センサー部
13 ファンモータ
21 センターユニット
22 フード
23 筒体
25 ユニット本体
25a,36a 切欠き
26 ファンモータ取付部
33 第1のつまみねじ
38 外筒
38a 雌ねじ
39 内筒
39a 雄ねじ
42 第2のつまみねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16