(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100636
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気を検出する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3504 20140101AFI20230711BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20230711BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20230711BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20230711BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20230711BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/359
A61L2/18 102
A61L2/26
A61B1/12 510
A61L101:22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064217
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2020554056の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/608,798
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518112549
【氏名又は名称】アメリカン ステリライザー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マッタ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブイ,フイェン
(72)【発明者】
【氏名】グェン,チュアン
(72)【発明者】
【氏名】ベレビュー ファイエ,シャーリー
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,メイソン
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,テッド
(72)【発明者】
【氏名】ブルドン,リサ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検出蒸気過酢酸(PAA)および過酸化水素に関し、蒸気過酢酸濃度および蒸気過酸化水素濃度の感知に特定の応用を見出す。
【解決手段】システムは、(a)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の供給源と、(b)少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給するように構成された光源と、(c)(i)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない第1の中赤外スペクトルと(ii)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の中赤外スペクトルとの中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.処理室と、
b.過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の混合物を生成し、前記蒸気混合物を前記処理室に供給するように構成された蒸発器と、
c.少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を前記処理室に供給するように構成された光源と、
d.過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと前記過酢酸蒸気および前記過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトルとで中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器であって、前記第1の中赤外スペクトルは、830cm-1から880cm-1までであり、前記第2の中赤外スペクトルは、1220cm-1から1260cm-1までである、検出器と、
e.前記処理室内の前記過酢酸蒸気の濃度を判定するように構成されたプロセッサと
を含む、過酢酸および過酸化水素処理システム。
【請求項2】
前記検出器は、さらに、前記酢酸蒸気によって吸収される第3の中赤外スペクトルを個別に検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも近赤外範囲の成分を有する光を供給する光源をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記近赤外スペクトルは、約1390nmから約1430nmまでである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、医療デバイスを処理するように構成される、請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記医療デバイスは、内視鏡である、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、2017年12月21日に出願した米国特許仮出願第62/608798号、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING PERACTIC ACID AND HYDROGEN PEROXIDE VAPOR」の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、検出蒸気過酢酸(PAA)および過酸化水素に関する。本発明は、蒸気過酢酸濃度および蒸気過酸化水素濃度の感知に特定の応用を見出すものである。
【背景技術】
【0003】
接着剤と共にゴム構成要素およびプラスティック構成要素からなる高度な医療機器は、精巧であり、しばしば従来の蒸気オートクレーブに関連する高温高圧に適さない。蒸気オートクレーブは、しばしば、滅菌を受ける医療デバイスまたは医療デバイスの関連するパッケージへの蒸気浸透の速度を高めるために圧力サイクリング・プログラムの下で動作する。重力、高圧、またはプレバキューム(prevacuum)を使用する蒸気滅菌は、温度または圧力のすばやい変化が発生し得る環境を作り出す。内視鏡など、しばしば非常に正確な寸法、小さい組立公差、および敏感な光学構成要素を用いて形成され、組み立てられる複雑な機器は、高温と高圧または低圧とを使用する過酷な滅菌方法によって破壊され、または有用な寿命を極端に短縮される可能性がある。
【0004】
内視鏡は、そのようなデバイスが、通常、微生物の住処になり得る多数の外部の裂け目および内部の内腔を有するという点で、ある種の問題を提示する可能性がある。微生物は、そのような裂け目および内部内腔内の表面ならびに内視鏡の外部表面で見つかる可能性がある。内腔、裂け目、および類似物を含む他の医療機器または歯科機器は、微生物の住処になり得るさまざまな内部表面および外部表面の汚染除去に関する課題をも提供する可能性がある。
【0005】
過酢酸および/または過酸化水素の化学構造を利用する汚染除去のシステムおよび方法が既知である。たとえば、その両方が参照によってその全体を組み込まれているPCT特許出願PCT/US17/59670号および米国特許出願US 2016/0346416号は、過酢酸および/または過酸化水素を利用する汚染除去システムまたは滅菌システムを開示する。
【0006】
現在のシステムは、蒸気の過飽和を回避するためにサイクル・パラメータをセットするが、プロセスの飽和は、通常、監視されず、制御されなかった。
【発明の概要】
【0007】
サイクルの存在および/または効力を検証するために、好ましくは滅菌サイクル中または汚染除去サイクル中に、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気の存在および濃度を検出するシステムおよび方法の必要がある。
【0008】
一態様で、本発明は、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気検出システムを対象とする。このシステムは、(a)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の供給源と、(b)少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給するように構成された光源と、(c)(i)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない第1の中赤外スペクトルと(ii)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の中赤外スペクトルとの中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器とを含む。
【0009】
別の態様で、本発明は、含む過酢酸および過酸化水素処理システム。対象とする。このシステムは、(a)処理室と、(b)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の混合物を生成し、蒸気混合物を処理室に供給するように構成された蒸発器と、(c)少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を処理室に供給するように構成された光源と、(d)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトルとで中赤外範囲光を個別に検出する検出器と、(e)処理室内の過酢酸蒸気の濃度を判定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0010】
別の態様で、本発明は、消毒システムまたは滅菌システムを対象とする。このシステムは、(a)処理室と、(b)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気の混合物を形成し、蒸気の混合物を処理室に供給するために、過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む水溶液を気化するように構成された蒸発器と、(c)蒸気の混合物を介して中赤外範囲の光のビームを投影するように構成された光源と、(d)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトルと、を検出するように構成された中赤外光検出器と、(e)検出された第1および第2のスペクトルの光を、(i)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収された中赤外光を示す吸光度値と、(ii)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気を透過した中赤外光を示す透過率値とのうちの1つに変換するように構成された第1のプロセッサと、(f)判定された吸光度値または透過率値を過酢酸蒸気の濃度および過酸化水素蒸気の濃度に変換するように構成された第2のプロセッサと、を含む。
【0011】
別の態様で、本発明は、蒸気混合物内の過酢酸および過酸化水素の存在を検出する方法を対象とする。この方法は、a)過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む気化された混合物を室に供給するステップと、(b)室の少なくとも一部を通過した気化された混合物の部分を通して中赤外範囲の光を投影するステップと、(c)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトルとで中赤外光を検出するステップと、(d)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトル内の中赤外光を検出するステップと、を含む。
【0012】
別の態様で、本発明は、蒸気混合物内の過酢酸および過酸化水素の存在を検出する方法を対象とする。この方法は、(a)過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む気化された混合物を室に供給するステップと、(b)室の一部を通過した蒸気混合物の部分を通して中赤外範囲の光を投影するステップと、(c)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトルとで中赤外光を検出するステップと、(d)室の監視される領域を介して近赤外範囲の光を投影するステップと、(e)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、および酢酸蒸気によって吸収されるスペクトル内の近赤外光を検出するステップと、を含む
【0013】
複数の実施形態が開示されるが、本発明のさらなる他の実施形態が、本発明の例示的な実施形態を図示し、説明する以下の詳細な説明から当業者に明白になる。したがって、図面および詳細な説明は、性質において例示的であって制限的ではないと見なされなければならない。本明細書で引用されるすべての参考文献が、そのすべてを参照によって組み込まれる。さらに、本明細書で開示され、かつ/または請求される主題に関する特許文献および非特許文献が、実存するので、そのような主題に関するさらなる教授を提供する多数の関連する参考文献が、当業者が入手可能である。
【0014】
本発明は、さまざまな構成要素および構成要素の配置と、さまざまなステップおよびステップの配置との形を取る場合がある。図面は、好ましい実施形態を示すためのみのものであって、本発明を限定すると解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】過酢酸(PAA)/過酸化水素(H
2O
2)/酢酸(AA)/水系の例示的な中赤外スペクトルを示す図である。
【
図2】PAA蒸気濃度と
図1からの840cm
-1から880cm
-1までの範囲内のピーク強度との間の関係を示すグラフである。
【
図3】PAA蒸気濃度と
図1からの1230cm
-1から1250cm
-1までの領域内のピーク強度との間の関係を示すグラフである。
【
図4】過酢酸/過酸化水素/酢酸/水系の例示的な近赤外スペクトルを示す図である。
【
図5】汚染除去サイクルまたは滅菌サイクルの例の実施形態での例示的な汚染除去室または滅菌室内の圧力対時間を示すグラフである。
【
図6】例1の過酢酸/過酸化水素/酢酸/水系の中赤外スペクトルを示す図である。
【
図7】例3のサンプリング・コレクションのセットアップを示す概略図である。
【
図8】例3の表2のデータの100トールの動作圧力での注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【
図9】例3の表3のデータの100トールの動作圧力での注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【
図10】例3の表4のデータの75トールの動作圧力での注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【
図11】例3の表2、3、および4 累積データの注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
医療デバイスなどのデバイスは、過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水の気化された混合物を使用して、相対的に低温で汚染除去され、または滅菌され得る。そのようなシステムでは、化学構造は、汚染除去されるデバイスを含む汚染除去室への蒸気として提供され得る。デバイスの表面は、化学構造と接触する時に汚染除去される。内腔デバイスは、内腔を通る汚染除去物質の流れが存在しなければならないので、汚染除去に対して特に難しい可能性がある。本開示は、汚染除去プロセス中または滅菌プロセス中に過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、およびオプションで酢酸蒸気の存在および/または濃度を検出するシステムを説明する。使用の方法も説明する。
【0017】
本発明の蒸気検出のシステムおよび方法は、単独で、またはその両方の全体が参照によって組み込まれているPCT特許出願PCT/US17/59670号および米国特許出願US 2016/0346416号で開示されるものなどの滅菌システムまたは汚染除去システムと組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明は、中赤外(MIR)範囲(4000cm-1から400cm-1までと定義される)およびオプションで近赤外(NIR)範囲(700nmから2500nmまで)において、たとえばガス・セルに蒸気混合物(過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気)を通すことによって、混合物の吸光度を検出することを含むシステムおよび方法を対象とする。このシステムもしくは方法またはシステムもしくは方法のさまざまな構成要素は、汚染除去室もしくは滅菌室の内部または室の外部に配置され、またはそこで実行され得る。
【0019】
一実施形態では、このシステムは検出システムである。別の実施形態では、このシステムは処理システムである。処理システムは、消毒または滅菌とすることができ、内視鏡などの医療デバイスに使用され得る。
【0020】
過酢酸/過酸化水素/酢酸/水系の例示的な中赤外スペクトルを、
図1に示す。
図1は、気化フェーズ中のターゲット検体化学構造のオーバーレイされたFTIRスペクトルを示す。ブランク読み(blank reading)は、窒素ガスおよびポリエチレン・フィルム・カバーを有するガス・セルを示す。DI水読みは、DI水を充てんされたガス・セルを示す。PAA読みは、25%PAA読みに関する。酢酸読みは、10%酢酸溶液に関する。過酸化水素読みは、50%過酸化水素溶液に関する。すべての蒸気試料が、単一スキャンを用いて、注入後30秒に70℃水浴内の窒素の10mL/分の流量で分析された。
【0021】
図1で1200cm
-1と1140cm
-1との間のピークのセットを示す過酢酸帯の吸光度は、酢酸によるPAAの残留汚染に起因すると思われる。
【0022】
図1に示されているように、PAA吸光度は、830cm
-1と880cm
-1との間のピークの3つ組として存在する。 この領域では、この4成分系(過酸化水素、酢酸、過酢酸、水)を用いると、830cm
-1と880cm
-1との間の領域は、過酢酸のみに起因し、他の成分に起因しない吸光度を有する。したがって、この領域は、この4成分系の他の成分からの干渉なしに、過酢酸のみの吸光度を定量的に測定するのに使用することができる。
【0023】
図1に示されているように、PAA吸光度は、920cm
-1と970cm
-1との間のピークの3つ組としても存在する。この領域でも、吸光度は、他の成分がこの帯で吸収しないので、過酢酸のみに起因する。しかし、この吸光度は、830cm
-1から880cm
-1の帯より小さい振幅を有し、より低い分解能を有する。
【0024】
PAA吸光度は、3270cm-1と3330cm-1との間のピークの3つ組(図示せず)としても存在する。この領域でも、吸光度は、他の成分がこの帯で吸収しないので、過酢酸のみに起因する。
【0025】
同様に、
図1に示されているように、1200cm
-1から1280cm
-1までのMIR領域に過酢酸に起因するピークの別の3つ組がある。この3つ組PAA帯は、一方で、1200cm
-1から1330cm
-1まで、特に1280cm
-1から1330cm
-1までの過酸化水素に起因する帯とオーバーラップする。他方で、このPAA帯は、1130cm
-1から1220cm
-1まで、および1250cm
-1から1320cm
-1までの酢酸吸光度帯とオーバーラップする。このPAA吸光度帯の中央ピーク内に、酢酸および過酸化水素からの最小量の干渉を含み、気相内の過酢酸の濃度の定量分析に使用できる部分がある。
【0026】
これらの帯では、赤外光の蒸気吸光度がベールの法則に従うので、吸光度を濃度に相関させることができる。したがって、過酢酸の濃度が、たとえば
図2および
図3に示されているように線形であり、定量的であることを示すことができる。
【0027】
図1および
図3に示されているように、PAA吸光度は、線形であり、840cm
-1から880cm
-1までの領域(
図2)または1230cm
-1から1250cm
-1までの領域(
図3)のいずれかでフォローされ得る。PAA吸光度は、約920cm
-1から約970cm
-1までおよび約3270cm
-1から約3330cm
-1までの領域での気相内のPAA濃度を計算するのにも使用され得る。したがって、MIR領域の赤外光の吸光度は、吸光度の波長領域の選択によって、気相内のPAAの濃度に定量的に関係付けられる。
【0028】
さらに、1220cm-1と約1260cm-1との間のMIR領域での赤外光の検出は、過酸化水素および過酢酸の吸光度データを生じる。この領域への過酢酸の寄与を減算するのに計量化学を使用することによって(過酢酸の濃度およびモルあたりの吸光度が既知なので)、過酸化水素の気相濃度が計算される。
【0029】
1140cm-1と約1200cm-1との間のMIR領域での赤外光の検出は、酢酸の吸光度データを生じる。
【0030】
したがって、MIRデータおよび当業者に既知の計算を使用して、4成分系の過酢酸、過酸化水素、および酢酸の気相濃度を得ることができる。
【0031】
1200cm-1から1260cm-1までの領域での過酢酸ピークとのオーバーラップが、従来の分光技法を用いて可能な分解能を低下させるので、過酸化水素に起因する吸光度は、MIRではより分解できなくなる可能性がある。
【0032】
一実施形態では、過酸化水素および酢酸の分解能を改善するために、系のNIRスペクトルを使用する。系のNIRスペクトルを、1300nmと1800nmとの間の領域に関して
図4に示す。
【0033】
図4からわかるように、過酸化水素は、1390nmから1430nmに吸光度ピークを有する。このピークは、1400nmから1450nmの酢酸からの吸光度と大幅にオーバーラップする。シグマからの39%PAAが、酢酸を含み、過酢酸からの酢酸の分解を不明瞭にすることに留意されたい。通常、この領域は、過酸化水素が存在しない場合に酢酸を、酢酸が存在しない場合に過酸化水素を定量的に判定するのに使用され得る。この系は両方を有するので、1230nmと1450nmとの間の吸収の測定は、組み合わされた過酸化水素+酢酸濃度を生成する。酢酸濃度は、MIRで1140cm
-1と1200cm
-1との間の吸収を測定することと、この領域への酢酸の寄与を減算するのに計量化学を使用すること(酢酸の濃度とモルあたりの吸光度との両方が既知なので)とによって計算される。その後、過酸化水素濃度が計算される。
【0034】
したがって、MIR、およびオプションでNIRデータと多少の計算とを使用して、この4成分系の過酢酸、過酸化水素、および酢酸と過酢酸との気相濃度を個別に判定することができる。
【0035】
本発明は、ペルオキソ蒸気(ペルオキシ酢酸)および過酸化水素蒸気検出のシステムおよび方法を対象とする。このシステムは、(a)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の供給源と、(b)少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給するように構成された光源と、(c)(i)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない第1の中赤外スペクトルと(ii)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の中赤外スペクトルとの中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器とを含むことができる。
【0036】
一実施形態で、Medivators(米国ミネソタ州ミネアポリス)によって供給されるRapicide PA Sterilantなどの汚染除去流体または滅菌流体が利用される。この流体は、過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む。この流体は、液体または蒸気の形とすることができる。この流体が液体の形である実施形態では、液体は、システムまたは方法に導入される前に気化される。
【0037】
本システムおよび方法は、少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給するように構成された光源をも含む。光源は、室の中または外部に配置され得る。光源は、蒸気混合物に光を供給するように構成される。一実施形態では、光は、過酢酸蒸気によって吸収されるが、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない、たとえば約920cm-1から約970cm-1まで、約830cm-1から約880cm-1まで、または約1220cm-1から約1260cm-1までの第1の中赤外スペクトル内にある。別の実施形態では、光は、約1220cm-1から約1260cm-1までなど、過酢酸蒸気と過酸化水素蒸気とによって吸収される第2の中赤外スペクトル内にある。別の実施形態では、光は、酢酸蒸気によって吸収される、たとえば約1140cm-1から約1200cm-1までの第3の中赤外スペクトル内にある。別の実施形態では、光は、近赤外スペクトル内にある。近赤外スペクトル内の光は、たとえば約1390nmから約1430nmまでなど、過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、および酢酸蒸気によって吸収される可能性がある。
【0038】
一実施形態では、光源は、中赤外スペクトルの光を供給する単一の光源である。別の実施形態では、本システムまたは方法は、中赤外スペクトル内の狭い範囲の光を供給する複数の光源を利用する。別の実施形態では、別々の光源が、近赤外スペクトル内の光を供給する。
【0039】
一実施形態では、光源は、消毒ステップまたは滅菌ステップの前に蒸気混合物に光を供給する。別の実施形態では、光源は、消毒ステップ中または滅菌ステップ中に蒸気混合物に光を供給する。別の実施形態では、光源は、消毒ステップまたは滅菌ステップの後に蒸気混合物に光を供給する。別の実施形態では、光源は、プロセス中のさまざまな時に光を供給する。
【0040】
一実施形態では、光は、室内に供給される。別の実施形態では、蒸気混合物は、標本化され、光が供給されるガス・セル内に配置される。
【0041】
本発明のシステムおよび方法は、中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器をも含む。一実施形態では、検出器は、過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない第1の中赤外スペクトル、たとえば約920cm-1から約970cm-1まで、約830cm-1から約880cm-1まで、または約1220cm-1から約1260cm-1までの光を検出する。別の実施形態では、検出器は、約1220cm-1から約1260cm-1までなど、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の中赤外スペクトルの光を検出する。別の実施形態では、検出器は、酢酸蒸気によって吸収される第3の中赤外スペクトル、たとえば約1140cm-1から約1200cm-1までの光を検出する。別の実施形態では、検出器は、近赤外スペクトルの光を検出する。近赤外スペクトルの光は、たとえば約1390nmから約1430nmまでなど、過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、および酢酸蒸気によって吸収され得る。
【0042】
一実施形態では、中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器が、単一の検出器である。別の実施形態では、中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器が、別々の検出器である。
【0043】
検出器は、室内または室の外部に配置され得る。一実施形態では、蒸気混合物は、室から引き出されまたは標本化され、分析される。別の実施形態では、検出器は、室の内部からスコープを通って来る気体を分析するために、スコープ・フロー・チャネルと一列に配置され得る。
【0044】
一実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、プロセッサをも含むことができる。プロセッサは、第1の中赤外スペクトルの検出された光から少なくとも過酢酸蒸気の濃度を判定するように構成される。別の実施形態では、プロセッサは、過酸化水素および/または酢酸蒸気の濃度を判定することもできる。プロセッサは、MIR範囲ならびにNIR範囲の検出された光から濃度を計算するように構成され得る。
【0045】
一実施形態では、プロセッサは、(a)第1の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第1の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、判定された吸光度または透過率を過酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される。
【0046】
別の実施形態では、プロセッサは、(a)第2の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第2の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するように構成される。
【0047】
別の実施形態では、プロセッサは、(a)第3の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第3の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を酢酸蒸気の濃度に変換するように構成される。
【0048】
別の実施形態では、プロセッサは、(a)近赤外スペクトルの光の吸光度および(b)近赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するように構成される。
【0049】
一実施形態では、PAAのIR吸光度は、次のように計算される。
1 860波数でPAAのIR信号を判定する
2 820波数で背景IR吸光度のIR信号を判定する
3 860でのPAA信号から820での背景信号を減算する。たとえばPAA信号=(860での信号)-(820での信号)。
【0050】
一実施形態では、H2O2のIR吸光度は、次のように計算される。
1 1250波数でPAA+H202の組み合わされた信号を判定する
2 860波数でPAAの信号を判定する
3 820波数または1115波数で背景信号を判定する
4 PAA(TAED化学構造)のみの解を使用して、860波数に対する1250波数でのPAAピークの比率を判定する。たとえば、比率=(1250でのPAA信号)/(860でのPAA信号)
5 860でのPAA信号にステップ4でdentlyに判定された比率を乗算することによって、1250波数でのPAA信号を判定する
6 1250波数でのH2O2を判定するために、ステップ1で判定された信号から、ステップ5で判定されたPAA信号およびステップ3で判定された信号を減算する。
【0051】
図5は、汚染除去サイクルまたは滅菌サイクルの例の実施形態での例示的な汚染除去室または滅菌室内の圧力対時間のグラフを示す。
図5に示されているように、このグラフのX軸は、時間または持続時間を示し、Y軸は、汚染除去室内の圧力を示す。
図5に示されているように、いくつかの実施形態では、例示的なサイクルが、室内の複数の圧力変化を含む場合がある。
図5に示されたサイクルまたサイクルの一部は、汚染除去プロセスまたは滅菌プロセス内で複数回繰り返される場合がある。
【0052】
図5のサイクルは、真空プリコンディショニング・ステップ610、第1の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ620、および第2の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ630を含む。真空プリコンディショニング・ステップ610は、圧力が室から引かれる第1のポンプ・ダウン640とオプションの内腔ウォーム・アップ期間642とを含む。内腔ウォーム・アップ期間642中に、室内の圧力は、相対的に一定に保たれる。
【0053】
いくつかの実施形態で、真空プリコンディショニング・ステップ610に、第1の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ620を続けることができる。第1の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ620中に、蒸気混合物が、第1の注入ステップ650に室内に注入される。第1の注入ステップ650中に、室内の圧力は増加する。例の実施形態では、蒸気混合物は、第1の注入ステップ650中に汚染除去室に注入される。蒸気混合物は、第1の注入ステップ650に示されているように単一の注入にて一定速度で室に注入され得、あるいは、複数の段階的な注入で注入され得る。
【0054】
第1の注入ステップ650に、オプションで、圧力増加ステップ651を続けることができる。圧力増加ステップ651中に、室内の圧力は、汚染除去プロセスまたは滅菌プロセスの有効性を高めると判定された適切な圧力まで高められる。蒸気混合物が注入された後に、蒸気混合物は、オプションで、圧力が一定に保たれる拡散期間652内に室全体に拡散することを許されてもよい。いくつかの実施形態では、オプションの拡散期間652が使用されない。
【0055】
いくつかの実施形態では、拡散期間652の後に、第2のポンプ・ダウン654を実行することができる。第2のポンプ・ダウン654中には、室内の圧力が下がる。第2の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ630が、第2のポンプ・ダウン654の後に実行される。第2の汚染除去ステップまたは滅菌ステップ630中に、第2の注入ステップ660を使用して、室内の圧力が増える間に蒸気混合物を汚染除去室に追加することができる。第2の注入ステップ660は、単一の注入ステップまたは蒸気混合物を室に徐々に追加するのに使用され得る複数の段階的な注入ステップで、蒸気混合物を汚染除去室に追加することを含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態で、ポンプが、サイクルと連繋して、室内の空気をデバイスの1つまたは複数の内腔を介して向けるのに使用され得る。たとえば、第1の注入ステップ650中、第2の注入ステップ660中、または両方の注入ステップ中に、ポンプが、室内の空気をデバイスの内腔に向けておよび/またはこれを介して向けるのに使用され得る。いくつかの実施形態では、ポンプは、第1の注入ステップ650または第2の注入ステップ660のいずれかの前またはその中にオンに切り替えられ得る。たとえば、ポンプは、第1の注入ステップ650および/または第2の注入ステップ660と共にまたは実質的にこれと共にオンに切り替えられ得る。いくつかの実施形態では、ポンプは、第1の注入ステップ650の前またはその中にオンに切り替えられ得、第1の注入ステップ650の終りまたは後にオフに切り替えられ得る。それに加えてまたはその代わりに、ポンプは、第2の注入ステップ660の前またはその間にオンに切り替えられ得、第2の注入ステップ660の後またはその終りにオフに切り替えられ得る。いくつかの実施形態では、ポンプは、第1の注入ステップ650と第2の注入ステップ660との両方の前またはその間にオンに切り替わることができ、あるいは、ポンプは、第1の注入ステップ650の前または始めにオンに切り替わることができ、第2の注入ステップ660中またはその終りの後にオフに切り替わることができる。
【0057】
第2の注入ステップ660の後に、複数の空気洗浄662を実行することができる。
図5に示されているように、複数の空気洗浄662は、室内の圧力を繰り返して増減することを含むことができる。いくつかの実施形態で、ポンプは、汚染除去されまたは滅菌されるデバイスの内部に沿って空気を押しやるために、複数の空気洗浄662中に運転され得る。空気洗浄は、室から適切な量の蒸気混合物を除去するために、任意の回数だけ実行され得る。適切な回数の空気洗浄662の後に、室内の圧力は、最終排出ステップ664で大気圧に達することを許され得る。
【0058】
蒸気混合物の照明および検出は、このプロセスの任意の点で発生し得る。一実施形態では、蒸気混合物は、プロセス全体を通じて分析される。
【0059】
以下の段落は、本発明のさまざまな態様を提供する。
【0060】
一実施形態では、第1の段落(1)で、本発明は、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気検出システムであって、過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の供給源と、少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給するように構成された光源と、(a)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、または水蒸気によって吸収されない第1の中赤外スペクトルと(b)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の中赤外スペクトルとの中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器とを含むシステムを提供する。
【0061】
2.第1の中赤外スペクトルは、約920cm-1から約970cm-1までである、段落1に記載のシステム。
【0062】
3.第1の中赤外スペクトルは、約830cm-1から約880cm-1までである、段落1に記載のシステム。
【0063】
4.第1の中赤外スペクトルは、約3270cm-1から約3330cm-1までである、段落1に記載のシステム。
【0064】
5.第2の中赤外スペクトルは、約1220cm-1から約1260cm-1までである、段落1から4のいずれかに記載のシステム。
【0065】
6.検出器は、さらに、酢酸蒸気によって吸収される第3の中赤外スペクトルを個別に検出する、段落1から5のいずれかに記載のシステム。
【0066】
7.第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、段落6に記載のシステム。
【0067】
8.光源は、第1および第2の中赤外スペクトルの光を供給する単一の光源である、段落1から7のいずれかに記載のシステム。
【0068】
9.単一の光源は、第3の中赤外スペクトルの光を供給する、段落8に記載のシステム。
【0069】
10.光源は、光源の対であり、第1の光源は、第1の中赤外スペクトルの光を供給し、第2の光源は、第2の中赤外スペクトルの光を供給する、段落1から7のいずれかに記載のシステム。
【0070】
11.光源は、第3の中赤外スペクトルに光を供給する第3の光源をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【0071】
12.少なくとも近赤外範囲の成分を有する光を供給する光源をさらに含む、段落1から11のいずれかに記載のシステム。
【0072】
13.過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、および酢酸蒸気によって吸収される近赤外スペクトルの近赤外範囲光を個別に検出する検出器をさらに含む、段落12に記載のシステム。
【0073】
14.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、単一の検出器である、段落13に記載のシステム。
【0074】
15.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、別々の検出器である、段落13に記載のシステム。
【0075】
16.近赤外スペクトルは、約1390nmから約1430nmまでである、段落13から15のいずれかに記載のシステム。
【0076】
17.第1の中赤外スペクトルの検出された光から少なくとも過酢酸蒸気の濃度を判定するように構成されたプロセッサをさらに含む、段落1から16のいずれかに記載のシステム。
【0077】
18.プロセッサは、第2の中赤外範囲スペクトルの検出された光から少なくとも過酸化水素蒸気の濃度を判定するように構成される、段落17に記載のシステム。
【0078】
19.プロセッサは、近赤外スペクトルの検出された光から少なくとも過酸化水素蒸気の濃度を判定するように構成される、段落17に記載のシステム。
【0079】
20.プロセッサは、第3の中赤外範囲スペクトルの検出された光から、少なくとも、酢酸蒸気の濃度を判定するように構成される、段落17から19のいずれかに記載のシステム。
【0080】
21.プロセッサは、(a)第1の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第1の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、判定された吸光度または透過率を過酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落17から20のいずれかに記載のシステム。
【0081】
22.プロセッサは、(a)第2の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第2の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落17から21のいずれかに記載のシステム。
【0082】
23.プロセッサは、(a)近赤外スペクトルの光の吸光度および(b)近赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落17から21のいずれかに記載のシステム。
【0083】
24.プロセッサは、(a)第3の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第3の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、判定された吸光度または透過率を酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落21から23のいずれかに記載のシステム。
【0084】
25.過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水混合物の供給源と、過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気を形成するために液体混合物を気化する蒸発器とをさらに含む、段落1から24のいずれかに記載のシステム。
【0085】
26.処理室と、
過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気の混合物を生成し、蒸気混合物を処理室に供給するように構成された蒸発器と、
少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を処理室に供給するように構成された光源と、
過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、水蒸気、および酢酸蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトルとで中赤外範囲光を個別に検出するように構成された検出器と、
処理室内の過酢酸蒸気の濃度を判定するように構成されたプロセッサと
を含む過酢酸および過酸化水素処理システム。
【0086】
27.処理は、滅菌である、段落26に記載のシステム。
【0087】
28.処理は、消毒である、段落26に記載のシステム。
【0088】
29.プロセッサは、処理室内の過酸化水素蒸気の濃度を判定するようにさらに構成される、段落26から28のいずれかに記載のシステム。
【0089】
30.第1の中赤外スペクトルは、約920cm-1から約970cm-1までである、段落26から29のいずれかに記載のシステム。
【0090】
31.第1の中赤外スペクトルは、約830cm-1から約880cm-1までである、段落26から29のいずれかに記載のシステム。
【0091】
32.第1の中赤外スペクトルは、約3270cm-1から約3330cm-1までである、段落26から29のいずれかに記載のシステム。
【0092】
33.第2の中赤外スペクトルは、約1220cm-1から約1260cm-1までである、段落26から32のいずれかに記載のシステム。
【0093】
34.検出器は、さらに、酢酸蒸気によって吸収される第3の中赤外スペクトルを個別に検出する、段落26から33のいずれかに記載のシステム。
【0094】
35.プロセッサは、処理室内の酢酸蒸気の濃度を判定するようにさらに構成される、段落34に記載のシステム。
【0095】
36.第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、段落34または35のいずれかに記載のシステム。
【0096】
37.光源は、第1および第2の中赤外スペクトルの光を供給する単一の光源である、段落26から36のいずれかに記載のシステム。
【0097】
38.単一の光源は、第3の中赤外スペクトルの光を供給する、段落37に記載のシステム。
【0098】
39.光源は、光源の対であり、第1の光源は、第1の中赤外スペクトルの光を供給し、第2の光源は、第2の中赤外スペクトルの光を供給する、段落26から36のいずれかに記載のシステム。
【0099】
40.光源は、第3の中赤外スペクトルの光を供給する第3の光源をさらに含む、段落39に記載のシステム。
【0100】
41.少なくとも近赤外範囲の成分を有する光を供給する光源をさらに含む、段落26から40のいずれかに記載のシステム。
【0101】
42.過酸化水素蒸気および酢酸蒸気によって吸収される近赤外スペクトルの近赤外範囲光を個別に検出する検出器をさらに含む、段落41に記載のシステム。
【0102】
43.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、単一の検出器である、段落42に記載のシステム。
【0103】
44.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、別々の検出器である、段落42に記載のシステム。
【0104】
45.近赤外スペクトルは、約1390nmから約1430nmまでである、段落41から44のいずれかに記載のシステム。
【0105】
46.プロセッサは、近赤外スペクトルの検出された光から少なくとも過酸化水素蒸気の濃度を判定するように構成される、段落41から45のいずれかに記載のシステム。
【0106】
47.プロセッサは、(a)第1の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第1の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、判定された吸光度または透過率を過酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落26から46のいずれかに記載のシステム。
【0107】
48.プロセッサは、(a)第2の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第2の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落47に記載のシステム。
【0108】
49.プロセッサは、(a)近赤外スペクトルの光の吸光度および(b)近赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定し、判定された吸光度または透過率を過酸化水素蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落47に記載のシステム。
【0109】
50.プロセッサは、(a)第3の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第3の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、判定された吸光度または透過率を酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落47から49のいずれかに記載のシステム。
【0110】
51.システムは、医療デバイスを処理するように構成される、段落26から50のいずれかに記載のシステム。
【0111】
52.医療デバイスは、内視鏡である、段落51に記載のデバイス。
【0112】
53.(a)処理室と、
(b)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気の混合物を形成し、蒸気の混合物を処理室に供給するために、過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む水溶液を気化するように構成された蒸発器と、
(c)蒸気の混合物を介して中赤外範囲の光のビームを投影するように構成された光源と、
(d)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトルとを検出するように構成された中赤外光検出器と、
(e)検出された第1および第2のスペクトルの光を、(a)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収された中赤外光を示す吸光度値と、(b)過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気を透過した中赤外光を示す透過率値とのうちの1つに変換するように構成された第1のプロセッサと、
(f)判定された吸光度値または透過率値を過酢酸蒸気の濃度および過酸化水素蒸気の濃度に変換するように構成された第2のプロセッサと
を含む、消毒システムまたは滅菌システム。
【0113】
54.第1の中赤外スペクトルは、約920cm-1から約970cm-1までである、段落53に記載のシステム。
【0114】
55.第1の中赤外スペクトルは、約830cm-1から約880cm-1までである、段落53に記載のシステム。
【0115】
56.第1の中赤外スペクトルは、約3270cm-1から約3330cm-1までである、段落53に記載のシステム。
【0116】
57.第2の中赤外スペクトルは、約1220cm-1から約1260cm-1までである、段落53から56のいずれかに記載のシステム。
【0117】
58.検出器は、さらに、酢酸蒸気によって吸収される第3の中赤外スペクトルを個別に検出する、段落53から57のいずれかに記載のシステム。
【0118】
59.第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、段落58に記載のシステム。
【0119】
60.光源は、第1および第2の中赤外スペクトルの光を供給する単一の光源である、段落53から59のいずれかに記載のシステム。
【0120】
61.単一の光源は、第3の中赤外スペクトルの光を供給する、段落60に記載のシステム。
【0121】
62.光源は、光源の対であり、第1の光源は、第1の中赤外スペクトルの光を供給し、第2の光源は、第2の中赤外スペクトルの光を供給する、段落53から59のいずれかに記載のシステム。
【0122】
63.光源は、第3の中赤外スペクトルの光を供給する第3の光源をさらに含む、段落62に記載のシステム。
【0123】
64.少なくとも近赤外範囲の成分を有する光を供給する光源をさらに含む、段落53から63のいずれかに記載のシステム。
【0124】
65.過酸化水素蒸気および酢酸蒸気によって吸収される近赤外スペクトルの近赤外範囲光を個別に検出する検出器をさらに含む、段落64に記載のシステム。
【0125】
66.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、単一の検出器である、段落65に記載のシステム。
【0126】
67.中赤外光を検出する検出器および近赤外光を検出する検出器は、別々の検出器である、段落65に記載のシステム。
【0127】
68.近赤外スペクトルは、約1390nmから約1430nmまでである、段落65から67のいずれかに記載のシステム。
【0128】
69.第1のプロセッサは、検出された近赤外光を(a)過酸化水素蒸気および酢酸蒸気によって吸収される近赤外光を示す吸光度と(b)過酸化水素蒸気および酢酸蒸気を介して透過される近赤外光を示す透過率とのうちの1つに変換するようにさらに構成され、第2のプロセッサは、判定された吸光度値または透過率値を過酸化水素蒸気または酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落65から68のいずれかに記載のシステム。
【0129】
70.第1のプロセッサは、(a)第3の中赤外スペクトルの光の吸光度および(b)第3の中赤外スペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成され、第2のプロセッサは、判定された吸光度または透過率を酢酸蒸気の濃度に変換するようにさらに構成される、段落58から68のいずれかに記載のシステム。
【0130】
71.第1および第2のプロセッサは、単一のプロセッサである、段落53から70に記載のシステム。
【0131】
72.第1および第2のプロセッサは、別々のプロセッサである、段落53から70に記載のシステム。
【0132】
73.システムは、医療デバイスを消毒しまたは滅菌するように構成される、段落53から72のいずれかに記載のシステム。
【0133】
74.医療デバイスは、内視鏡である、段落73に記載のシステム。
【0134】
75.蒸気混合物内の過酢酸および過酸化水素の存在を検出する方法であって、
過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む気化された混合物を室に供給するステップと、
室の少なくとも一部を通過した気化された混合物の部分を通して中赤外範囲の光を投影するステップと、
過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトルとで中赤外光を検出するステップと、
過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2のスペクトル内の中赤外光を検出するステップと
を含む方法。
【0135】
76.第1のスペクトル内で検出された光から少なくとも過酢酸蒸気の濃度を判定することをさらに含む、段落75に記載の方法。
【0136】
77.第2の狭いスペクトル内で検出された光から過酸化水素の濃度を判定することをさらに含む、段落75または76のいずれかに記載の方法。
【0137】
78.第1の中赤外スペクトルは、約920cm-1から約970cm-1までである、段落75から77のいずれかに記載の方法。
【0138】
79.第1の中赤外スペクトルは、約830cm-1から約880cm-1までである、段落75から77のいずれかに記載の方法。
【0139】
80.第1の中赤外スペクトルは、約3270cm-1から約3330cm-1までである、段落75から77のいずれかに記載の方法。
【0140】
81.第2の中赤外スペクトルは、約1220cm-1から約1260cm-1までである、段落75から80のいずれかに記載の方法。
【0141】
82.酢酸蒸気によって吸収される第3のスペクトルの中赤外光を検出するステップをさらに含む、段落75から81のいずれかに記載の方法。
【0142】
83.第3のスペクトル内で検出された光から少なくとも酢酸蒸気の濃度を判定することをさらに含む、段落82に記載の方法。
【0143】
84.第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、段落82または83のいずれかに記載の方法。
【0144】
85.気化された混合物は、650トール未満の圧力で供給される、段落75から84のいずれかに記載の方法。
【0145】
86.第1のスペクトルの中赤外光の検出および第2のスペクトルの中赤外光の検出は、順次実行される、段落75から85のいずれかに記載の方法。
【0146】
87.第1のスペクトルの中赤外光の検出および第2のスペクトルの中赤外光の検出は、並列に実行される、段落75から85のいずれかに記載の方法。
【0147】
88.(a)第1のスペクトルの中赤外光は、200トール未満の圧力で検出され、
(b)圧力は、第1のスペクトルの中赤外光を検出した後の時間期間に650トール超にセットされ、
(c)圧力は、その後、その時間期間の後に200トール未満まで減らされ、
第2のスペクトルの中赤外光は検出される
段落87に記載の方法。
【0148】
89.判定されたスペクトルを、蒸気混合物を通る中赤外光の吸光度および透過率のうちの1つに変換することと、吸光度および透過率のうちの判定された1つを過酢酸蒸気の濃度および過酸化水素蒸気の濃度に変換することとをさらに含む、段落75から88のいずれかに記載の方法。
【0149】
90.方法は、段落1から75のいずれかに記載のシステム内で実行される、段落75空89のいずれかに記載の方法。
【0150】
91.(a)蒸気混合物内の過酢酸および過酸化水素の存在を検出する方法であって
(b)過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水を含む気化された混合物を室に供給するステップと、
(c)室の一部を通過した蒸気混合物の部分を通して中赤外範囲の光を投影するステップと、
(d)過酢酸蒸気によって吸収され、過酸化水素蒸気、酢酸蒸気、および水蒸気のいずれによっても吸収されない第1のスペクトルと、過酢酸蒸気および過酸化水素蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトルとで中赤外光を検出するステップと、
(e)室の監視される領域を介して近赤外範囲の光を投影するステップと、
(f)過酢酸蒸気、過酸化水素蒸気、および酢酸蒸気によって吸収されるスペクトル内の近赤外光を検出するステップと
を含む方法。
【0151】
92.第1の中赤外スペクトルは、約920cm-1から約970cm-1までである、段落91に記載の方法。
【0152】
93.第1の中赤外スペクトルは、約830cm-1から約880cm-1までである、段落91に記載の方法。
【0153】
94.第1の中赤外スペクトルは、約3270cm-1から約3330cm-1までである、段落91に記載の方法。
【0154】
95.近赤外スペクトルは、約1390nmから約1430nmまでである、段落91から94のいずれかに記載の方法。
【0155】
96.第1の中赤外スペクトルで検出された光から少なくとも過酢酸蒸気の濃度を判定することをさらに含む、段落91から95のいずれかに記載の方法。
【0156】
97.近赤外スペクトルを検出した光から少なくとも過酸化水素蒸気の濃度を判定することをさらに含む、段落91から96のいずれかに記載の方法。
【0157】
98.酢酸蒸気によって吸収される第3のスペクトル内で中赤外光を検出することをさらに含む、段落91から97のいずれかに記載の方法。
【0158】
99.第3の中赤外スペクトルは、約1140cm-1から約1200cm-1までである、段落98に記載の方法。
【0159】
100.第3の中赤外スペクトル内で検出された光から少なくとも酢酸蒸気の濃度を判定することをさらに含む、段落98または99のいずれかに記載の方法。
【0160】
101.段落1から75のいずれかに記載のシステム内で実行される、段落91から100のいずれかに記載の方法。
【0161】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明した。明らかに、先行する詳細な説明を読み、理解した時に、他者は修正および変更を思い浮かべる。そのような修正および変更が、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲に含まれる限り、本発明が、そのような修正および変更のすべてを含むものとして解釈されることが意図されている。
【0162】
以下の例は、本発明の原理および利点を示す。
【0163】
例
例1
IRサンプラを有する低温滅菌システム(LTSS)
【0164】
Revox低温滅菌システム(LTSS)モデル番号5434(通し番号RVXM5434)は、選択されたスコープ・フロー・チャネルと一列の実験的な赤外蒸気検出器(EVD)を有して構成された。EVDは、4cm-1の分解能を使用して、10秒おきに1300から800cm-1までの6スキャン平均赤外スペクトルを取り込むようにプログラムされた。赤外データ収集は、LTSSサイクルが開始される瞬間に始まるようにセットされた。
【0165】
LTSSは、真空圧力が10トールに達した後に、417リットル真空室に5.0mLの気化されたRevox PA滅菌剤(Medivators社からの過酢酸、過酸化水素、酢酸、および水)を配送するように構成された。滅菌剤注入は、150トールの最終システム圧力をもたらし、この時点で、システムのスコープ・フロー・チャネルは、室気体がEVDを通過することを可能にするためにオンに切り替えられた。スコープ・フローは、900秒継続され、システムは、その後、4サイクル換気プロセスを使用して換気された。赤外データ収集は、換気サイクルが完了した後に停止するようにセットされた。
【0166】
スペクトル信号が、経時的に監視され、
図6に示されている。3次元スペクトルは、関心を持たれている化学薬品の所与の波数(x軸)での時刻(z軸)を示す。増加する%吸光度(y軸)は、濃度に正比例する。%吸光度が所与のしきい値を超えた後に、滅菌を引き起こすのに十分に高い濃度のPAAを有すると考えられる。
【0167】
例2
実験セットアップは、3つの主要構成要素すなわち、1)Thermo Omnic Softwareを走らせるThermo Nicolet 380 FTIRシステム、2)Nicolet 2メートル・ガス・アクセサリ、および3)Thermo MCTA液体窒素検出器を含んだ。気体分析は、すべての気体種が滅菌サイクル全体の間にリアル・タイムで検出/監視され得るようにするために、主大滅菌室を2mガス・セルに接続することによって実行された。Thermo Nicolet Avatar 380 FTIRは、その標準構成(KBRビームスプリッタを用いる)およびMCTA検出器で使用された。MCTA検出器は、標準的な室温DTGS検出器と比較して、10倍高い感度を提供するので好ましい。長い経路長のセル(2m以上)は、本来、その長い経路長に起因して光を失い、したがって、MCTA検出器をよりよいオプションにする。サイクル全体の間に、データ点は、高い信号対雑音比を有する繰り返し可能な結果を得るために、10s(平均化を伴って)おきにとられた。
【0168】
Thermo Avatar 380 FTIRは、24ビットA/D、USB 2.0、中IR源を利用し、すべてが吸光度モードで行われる4波数の分解能およびデータ点あたり6スキャンのスキャン速度で、4cm-1の最小分解能を有する。背景は、真空に液体を導入する直前に測定され、記憶された。10sおきにSPAファイル内に各トレースを記憶するために、Omnic内で自動ロギングが使用された。システム全体の中赤外スペクトル範囲は、7000~650cm-1であった。2mガス・セルは、50~200ppbの検出限界を有する200mLの体積を有した。2mセルのより小さいサイズは、動力学での変化をより正確に監視するために、その小さい試料体積に関して、より大きいセル(10m)より好ましい。Nicolet MCTA検出器は、以下の仕様、11700~600cm-1、検出面積:1X1mm^2、D*:4.7 e^10 cm Hz^1/2 W-1、応答:750 V/W、帯域幅:175Hzを有した。
【0169】
例3
この例の目的は、3つの別々のランを実行し、較正曲線を生成することによって、滅菌サイクル中の過酢酸のFTIR吸光度と過酢酸蒸気の濃度(mg/L)との相関を見出すことであった。この例は、過酢酸IR吸収を用いて過酢酸蒸気(mg/L)の較正曲線をどのように見出すべきかをも示す。
【0170】
材料
・Agilentポンプ、モデル:G1310B 1260 IsoPump、SN:DEAB903915
・Ivekノズル(長ノズル、Sonicair 5mm、Ext Tip、Encap 0.5mm PN 14658-15)
・Magtech %RHおよび温度センサ
・化学構造:約5%PAA、23%H2O2、6%AA、および残りの水を含む水溶液
・Balance、OHAUS Adventurer、SN:C5954
・120L室を有する気化室テスト・ベッド
・タイマ
・FTIR検出実験
○FTIRシステム、Thermo、Nicolet iS5、SN:ASB1817658
○10メートル・ガス・セル
○PTFEチュービング
・FTIRプログラム構成
○スキャン数:4
○分解能:4
○吸光度モード
○試料コンパートメント:主
○検出器:DGTS KBr
○ビーム・スプリッタ:KBr
○光源:IR
○アクセサリ:iD Base Adaptet Plate for Nicolet iS5
○ウィンドウ:ZnSe
○範囲:1600~800cm-1
○利得:8
○光学速度:0.4747
○アパーチャ:100
【0171】
手順
サンプリング・コレクションのセットアップを
図7に示す。
【0172】
各ランの前に、RHセンサおよび温度センサが、室702内に配置された。試験サイクルは、室702を10トールまで排気することによって開始された。10トールで、注入が開始された。試験された注入量を、注入プロセスに使用された液体流量および空気流量と共に表1に示す。
【表1】
【0173】
セットされた体積の化学構造が注入された後に(1.18g/mLの密度を使用するスケールからの質量読みに基づく)、液体注入が停止され、空気注入は、室が動作圧(表2および3に関して100トール、表4に関して75トール)が達成されるまで継続された。
【0174】
注入の直後に、真空ポンプ708がオンに切り替えられ、FTIR化学構造標本化704およびコールド・トラップ標本化706が、注入プロセスが完了した後に、5分間(0.5~3ml注入の場合)および3分間(3.5~4ml注入の場合)収集された。室の圧力が、各標本化時間と共に記録された(標本化プロセスの前後に)。
【0175】
標本化プロセスが完了した後に、通風プロセスが開始された。室は、化学構造を室から除去するために4つの風通サイクルを用いて通風された。
【0176】
IR分析 すべてのIR吸光度データに関して、入手された吸光度値は、820cm-1でとられたベースライン読みと比較して、蒸気試料プロセス中に860cm-1で観察された最大の吸光度として定義された。
【0177】
コールド・トラップ試料分析 IR室704を出た後に、気体は、コールド・トラップ706を介して10mLの水に収集された。有機酸のHPLC法が、収集された試料内の蒸気(H2O2、PAA、および酢酸)の総mgを分析するのに使用された。
【0178】
コールド・トラップPAA蒸気(mg/L)データとPAA-IR吸光度との間の相関曲線が作られた。
【0179】
結果
mg/L単位の蒸気濃度の計算が、理想気体法則に基づいて行われた。
初期圧力 試料を採取する直前の室の圧力=P
1
最終圧力 試料を採取した直後の室の圧力=P
2
温度(T) 標本化中の室の平均温度
初期総モル数(n
1) 標本化の前の室内の気体(空気、H
2O
2、PAA、AA、および水)の総モル数
最終総モル数(n
2) 標本化の後の室内の気体(空気、H
2O
2、PAA、AA、および水)の総モル数
室の体積(V) 120L
R(気体定数)=62.363L×トール×K
-1×mol
-1
収集された気体(空気、H
2O
2、PAA、AA、および水)の総モル数n
col=n
1-n
2
コールド・トラップ体積=10mL DI
H
2O
2の収集されたモル数=10ml DIにコールド・トラップによって収集されたH
2O
2のモル数
PAAの収集されたモル数(n
pAA collected)=10ml DIにコールド・トラップによって収集されたPAAのモル数
AAの収集されたモル数=10ml DIにコールド・トラップによって収集されたAAのモル数
PAAの分子量=76.05g/mol
計算は、次の通りであった。
【数1】
注 n
1およびn
2の計算に関して、使用された体積は、120Lの定数である室702の体積であった。
PAA蒸気(mg/L)初期値
【数2】
【0180】
表2は、100トールでのランの第1のセットのデータを示す。
【表2】
【0181】
図8は、表2のデータの100トールの動作圧力での注入量で計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【0182】
表3は、100トールでのランの第2のセットのデータを示す。
【表3】
【0183】
図9は、表3のデータの100トールの動作圧力での注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【0184】
表4は、75トールでのランの第1のセットのデータを示す。
【表4】
【0185】
図10は、表4のデータの75トールの動作圧力での注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【0186】
図11は、表2、3、および4からの累積データの注入量での計算されたPAA蒸気(mg/L)とPAA吸収較正曲線とを示すグラフである。
【0187】
例4
この例の目的は、例3で作成されたPAA-IR較正曲線に基づいてPAA蒸気(mg/L)濃度を計算することであった。
【0188】
材料
・Agilentポンプ、モデル:G1310B 1260 IsoPump、SN:DEAB903915
・Ivekノズル(長ノズル、Sonicair 5mm、Ext Tip、Encap 0.5mm PN 14658-15)
・Magtech %RHおよび温度センサ
・化学構造 約5%PAA、23%H2O2、6%AA、および残りの水を含む水溶液
・Balance、OHAUS Adventurer、SN:C5954
・120L室を有する気化室テスト・ベッド
・タイマ
・FTIR検出実験
○FTIRシステム、Thermo、Nicolet iS5、SN:ASB1817658
○10メートル・ガス・セル
○PTFEチュービング
・FTIRプログラム構成
○スキャン数:4
○分解能:4
○吸光度モード
○試料コンパートメント:主
○検出器:DGTS KBr
○ビーム・スプリッタ:KBr
○光源:IR
○アクセサリ:iD Base Adaptet Plate for Nicolet iS5
○ウィンドウ:ZnSe
○範囲:1600~800cm-1
○利得:8
○光学速度:0.4747
○アパーチャ:100
【0189】
手順
各ランの前に、RHセンサおよび温度センサを室内に配置した。試験サイクルは、室を10トールにポンプ・ダウンすることによって開始された。
【0190】
室が10トールに達した後に、注入を開始した。試験された注入量を、注入プロセスの液体流量および空気流量と共に表5に示す。
表5
【表5】
【0191】
所望の量の化学構造が注入された(1.18g/mLの密度を使用するスケールからの質量読みに基づいて)後に、液体注入および注入空気が停止された。
【0192】
注入直後に、真空ポンプがオンに切り替えられ、FTIR化学構造標本化およびコールド・トラップ標本化が、注入プロセスが完了されたのちに5分間収集された。室の圧力は、標本化プロセスの前後で標本化時刻と共に記録された。
【0193】
標本化プロセスが完了した後に、通風プロセスが開始された。室は、化学構造を室から除去するために4つの通風サイクルを用いて通風された。
【0194】
IR分析 すべてのIR吸光度データに関して、入手された吸光度値は、蒸気試料プロセス中に860cm-1で観察された最大吸光度と定義された。
【0195】
コールド・トラップ試料分析 IR室を出た後に、気体は、コールド・トラップを介して10mLの水に収集された。有機酸のHPLC法が、PAA蒸気濃度を計算するのに使用された。
【0196】
PAA-IR吸光度および較正曲線y=13.695x-0.0077(例3の
図11から)が、PAA蒸気濃度を計算するのに使用された(x=PAA IR吸光度、y=PAA蒸気(mg/L)
【0197】
表6は、測定されたPAA-IR吸収およびコールド・トラップ法を用いるPAA蒸気の計算を示す。誤差は、2.5mL注入に関して10%未満であった。PAA蒸気の濃度は、1mg/L前後である。
【表6】
【0198】
上の結果は、波長860cm-1でのPAA-IRスペクトルを使用して、滅菌室内のPAA蒸気濃度を検出できることを示す。
【0199】
計算の誤差は、10%未満であった。標準曲線を改善するために、蒸気フィルタを使用して、小さい液体粒子が試料装置に入るのを予防することができる。
【0200】
上で提示された本発明および例の詳細な説明に鑑みて、本発明の複数の目的が達成されることを了解することができる。
【0201】
本明細書で提示される説明および図示は、本発明、その原理、およびその実用的応用例を当業者に知らせることを意図されたものである。当業者は、特定の仕様の要件に最も適する多数の形で本発明を適合させ適用することができる。したがって、示された本発明の特定の実施形態は、網羅的であることまたは本発明の限定であることを意図されたものではない。