(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100654
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】キメラRSV、免疫原性組成物、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/155 20060101AFI20230711BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230711BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230711BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20230711BHJP
C12N 15/40 20060101ALN20230711BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
A61K39/155 ZNA
A61P31/14
A61P37/04
C12N7/01
C12N15/40
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065428
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2018522569の分割
【原出願日】2016-10-27
(31)【優先権主張番号】62/247,962
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/334,547
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,マーティン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ロスタッド,クリスティナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、弱毒生ワクチン及び免疫原性組成物、ならびに使用方法を提供する。
【解決手段】位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び/または位置371にYを有するRSV Fタンパク質をコードする変異遺伝子パターンを有する弱毒生ワクチンキメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む免疫原性組成物を提供する。
【選択図】
図6-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び位置371にYを有するRSV
Fタンパク質をコードする変異遺伝子を、前記RSV Fタンパク質が配列番号:3ま
たは配列番号:4を有しない場合に有する弱毒生ワクチンキメラ呼吸器合胞体ウイルス(
RSV)を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記RSV Fタンパク質は位置557にVを有する、またはFタンパク質が、位置5
57がVとなるように変異している、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記RSV Fタンパク質は配列番号:1または13を有する、請求項1に記載の免疫
原性組成物。
【請求項4】
RSV NS1、NS2、及びGタンパク質をコードする遺伝子は、NS1、NS2、
及びGの発現速度が、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において半分を超えて遅く
なるようにコドン非最適化されている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
哺乳類細胞におけるGの発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において
10分の1を超えて低下する、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
NS1の発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において4分の1を超え
て低下する、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
NS2の発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において4分の1を超え
て低下する、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
SHタンパク質をコードする遺伝子が欠失または切頭されている、請求項1に記載の免
疫原性組成物。
【請求項9】
Fタンパク質をコードする遺伝子は、位置557がVではないように、またはIが位置
557にあるように変異している、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
アジュバント及び/または他の製薬上許容できる担体を更に含む、請求項1~19に記
載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記アジュバントはアルミニウムゲル、アルミニウム塩、またはモノホスホリルリピド
Aである、請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記アジュバントは、α-トコフェロール、スクアレン、及び/または界面活性剤を所
望により含む水中油型エマルションである、請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
対象に呼吸器合胞体ウイルスに対して免疫付与する方法であって、前記方法は、請求項
1~14に記載の有効量の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
位置79がI、位置191がK、位置357がT、及び位置371がNとなるようにR
SV Fタンパク質をコードする核酸。
【請求項16】
配列番号:14または多様体を含む、請求項15に記載の核酸。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸を含むベクター。
【請求項18】
プラスミドまたは細菌人工染色体から選択される請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
位置79がM、位置191がR、位置357がK、及び位置371がYとなるようなR
SV Fタンパク質を含む、単離された組み換え粒子。
【請求項20】
弱毒化RSVゲノムまたはアンチゲノムを含む、請求項19に記載の単離された組み換
え粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年10月29日に出願された米国仮出願第62/247,962号
、及び2016年5月11日に出願された同第62/334,547号に対する優先権を
主張する。これらの出願それぞれは全体が、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込
まれる。
オフィス電子出願システム(EFS-WEB)による、テキストファイルとして提出され
る材料の参照による組み込み
【0002】
本出願に関連する配列表は、紙の写しの代わりにテキストフォーマットで提供され、こ
こで明細書に参照により組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は1519
8PCT_ST25.txtである。テキストファイルは49KBであり、2016年1
0月26日に作成され、EFS-Webを通して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、気道感染症の原因となる。ヒトRSVは、乳
児及び小児期の間に病院に訪れる主な原因である。パリビズマブは、特定の高リスク乳児
において、RSVに起因する深刻な下気道疾患の予防に関してFDAが認可した、RSV
融合タンパク質(RSV F)に結合するヒト化モノクローナル抗体(IgG)である。
毎月投与されるキメラ抗体としてのパリビズマブは有効性が限定されており、アレルギー
反応を引き起こす場合がある。したがって、改善された治療、及びRSV用に対する予防
方法を識別する必要性が存在する。
【0004】
ワクチンは典型的には、生きたウイルス性株の殺傷された(不活化された)、または弱
められた(弱毒化された)バージョンである。Kim et al.は、ホルマリンによ
り不活化したRSVワクチンの投与は、十分効果的ではないことを報告している(Am
J Epidemiol 89,422-434(1969))。弱毒化されたRSVワ
クチン候補は著しい安全性面での困難に直面しており、十分に弱毒化され免疫原性の、小
児RSV弱毒生ワクチン(LAV)株の開発は達成し難いままである。Collins
et al.Progress in understanding and cont
rolling respiratory syncytial virus:stil
l crazy after all these years.Virus Res
162,80-99(2011)を参照のこと。
【0005】
Karron et al.は、RNA合成因子M2-2のオープンリーディングフレ
ーム(ORF)の大部分が欠失していることによって、子どもにおいて改善された抗体応
答を有する弱毒化RSVワクチンが得られるRSVについて報告している。Sci Tr
ansl Med 7,312ra175(2015).Meng,et al.は、病
原性遺伝子の標的化コドン非最適化による、呼吸器合胞体ウイルスの弱毒化及び免疫原性
について報告している(MBio 5,e01704-01714(2014))。米国
特許公開第2016/0030549号もまた参照のこと。Hotard et al.
は、融合活性及び病因を制御する、ヒトRSV融合タンパク質中の残基について報告して
いる(2015,J Virol 89:512-522)。Rostad et al
.は、低融合Fタンパク質により弱毒化された組み換え呼吸器合胞体ウイルスワクチン候
補は、コットンラットでの抗原投与に対して免疫原性及び防御的であることについて報告
している(J Virol,2016,90(16):7508-7518)。
【0006】
本明細書で引用する参考文献は、先行技術を承認するものではない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、キメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、弱毒生ワクチン及び免疫原性組成
物、ならびに使用方法に関する。特定の実施形態において、キメラRSVは、位置79に
M、位置191にR、位置357にK、及び/または位置371にYを有するRSV F
タンパク質をコードする、変異遺伝子パターンを有する。特定の実施形態において、RS
V Fタンパク質は位置557にVを有する、またはFタンパク質は、位置557がVと
なるように変異している。
【0008】
特定の実施形態において、位置79のM、位置191のR、位置357のK、及び位置
371のYはRSV Fタンパク質中に存在せず、ここで、天然のRSV Fタンパク質
はその特定のアミノ酸パターンを有する。すなわち、変異RSV Fタンパク質は、位置
79にM、位置191にR、位置357にK、及び位置371にYを有するアミノ酸のR
SV Fタンパク質パターンをもたらす天然配列と比較した場合に、変異RSF Fタン
パク質が、位置79、191、357、または371に少なくとも1つの改変を有するよ
うに少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0009】
特定の実施形態において、変異したRSV Fタンパク質は、RSV系統19(例えば
亜型BのRSV株、例えば「Buenos Aires」(BAF)株などに見出される
Fタンパク質以外のRSV Fタンパク質に由来する。特定の実施形態において、RSV
Fタンパク質は配列番号:3もしくは4を含有しない、または、配列番号:3もしくは
4に対して実質的同一性を有しない。特定の実施形態において、変異RSV Fは、配列
番号:1に対して85%または90%を超える同一性、しかし配列番号:4に対して95
%、96%、97%、98%、または99%未満の同一性を有する。特定の実施形態にお
いて、変異RSV Fは、配列番号:1に対して85%を超える同一性、しかし配列番号
:4に対して99%未満の同一性を有する。
【0010】
特定の実施形態において、変異したRSV Fタンパク質は(配列番号:1)MELL
IHRSSAIFLTLAINALYLTSSQNITEEFYQSTCSAVSRGY
LSALRTGWYTSVITIELSNIKETKCNGTDTKVKLMKQELD
KYKNAVTELQLLMQNTPAANNRARREAPQYMNYTINTTKN
LNVSISKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEV
NKIKNALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSRVLDLKNYINNQLL
PIVNQQSCRISNIETVIEFQQKNSRLLEITREFSVNAGVT
TPLSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSSNVQIVRQQ
SYSIMSIIKEEVLAYVVQLPIYGVIDTPCWKLHTSPLCTT
NIKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQADKCKVQSNR
VFCDTMYSLTLPSEVSLCNTDIFNSKYDCKIMTSKTDISS
SVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSN
KGVDTVSVGNTLYYVNKLEGKNLYVKGEPIINYYDPLVFP
SDEFDASISQVNEKINQSLAFIRRSDELLHNVNTGKSTTN
IMITAIIIVIIVVLLSLIAIGLLLYCKAKNTPVTLSKDQL
SGINNIAFS、またはその変異体を有する。
【0011】
特定の実施形態において、本開示は、膜貫通ドメインを欠く、またはアミノ酸1~52
4、例えば(配列番号:13)MELLIHRSSAIFLTLAINALYLTSSQ
NITEEFYQSTCSAVSRGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKE
TKCNGTDTKVKLMKQELDKYKNAVTELQLLMQNTPAANNR
ARREAPQYMNYTINTTKNLNVSISKKRKRRFLGFLLGVGS
AIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKNALLSTNKAVVSLSNGVS
VLTSRVLDLKNYINNQLLPIVNQQSCRISNIETVIEFQQK
NSRLLEITREFSVNAGVTTPLSTYMLTNSELLSLINDMPI
TNDQKKLMSSNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPIY
GVIDTPCWKLHTSPLCTTNIKEGSNICLTRTDRGWYCDNA
GSVSFFPQADKCKVQSNRVFCDTMYSLTLPSEVSLCNTDI
FNSKYDCKIMTSKTDISSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASN
KNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKLEGKN
LYVKGEPIINYYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFI
RRSDELLHNVNTGKSTTNを有するキメラRSV Fタンパク質を想到する
。
【0012】
特定の実施形態において、変異は配列番号:1に対して95%、98%、または99%
を超える配列同一性または類似性を有する。特定の実施形態において、位置79にM、位
置191にR、位置357にK、または位置371にYの置換のいずれも存在しない場合
に、変異は1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入である
。特定の実施形態において、置換は保存的置換である。
【0013】
特定の実施形態において、RSV F変異体は位置11にV、位置20にF、位置23
にA、位置45にF、位置102にTもしくはV、位置103にV、位置119にV、位
置121にA、位置123にR、位置104にS、位置129にT、位置173にA、位
置242にR、位置276にN、位置518にA、位置529にV、位置554にT、ま
たはこれらの組み合わせを有する。
【0014】
特定の実施形態において、本明細書にて開示したRSV Fタンパク質配列の変異体は
、位置79にM、位置191にR、位置357にK、または位置371にYの置換のいず
れも存在しない場合に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、また
は挿入を有する。特定の実施形態において、置換は保存的置換である。
【0015】
特定の実施形態において、置換が位置79のM、位置191のR、位置357のK、位
置371のY、及び位置557のVのいずれかの置換でない場合に、変異は1つまたは2
つ、またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入である。特定の実施形態において
、置換は保存的置換である。
【0016】
特定の実施形態において、置換が位置79のM、位置191のR、位置357のK、ま
たは位置371のYのいずれかの置換でない場合に、変異は1、2、または3つのアミノ
酸置換、欠失、または挿入である。特定の実施形態において、置換は保存的置換である。
【0017】
特定の実施形態において、置換が位置79のM、位置191のR、位置357のK、位
置371のY、及び位置557のVのいずれかの置換でない場合に、変異は1、2、また
は3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入である。特定の実施形態において、置換は保存
的置換である。
【0018】
特定の実施形態において、置換が位置79のM、位置191のR、位置357のK、及
び位置371のYのいずれかの置換でない場合に、変異は4、5、6、7、8、9、10
、または20個を超えるアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有しない。特定の実施形態
において、置換は保存的置換である。
【0019】
特定の実施形態において、置換が位置79のM、位置191のR、位置357のK、位
置371のY、及び位置557のVのいずれかの置換でない場合に、変異は4、5、6、
7、8、9、10、または20個を超えるアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有しない
。特定の実施形態において、置換は保存的置換である。
【0020】
特定の実施形態において、キメラRSVはRSV NS1、NS2をコードする遺伝子
を有し、Gタンパク質は、NS1、NS2、及びGの発現速度が、野生型A2ウイルスと
比較してベロ細胞において半分を超えて遅くなるようにコドン非最適化されている。
【0021】
特定の実施形態において、哺乳類細胞におけるGの発現速度は、野生型A2ウイルスと
比較してベロ細胞において、3分の1を超えて、4分の1を超えて、5分の1を超えて、
または10分の1を超えて遅くなる。
【0022】
特定の実施形態において、NS1の発現速度は、野生型系統A2ウイルスと比較してベ
ロ細胞において、3分の1を超えて、4分の1を超えて、5分の1を超えて、または10
分の1を超えて遅くなる。
【0023】
特定の実施形態において、NS2の発現速度は、野生型系統A2ウイルスと比較してベ
ロ細胞において、3分の1を超えて、4分の1を超えて、5分の1を超えて、または10
分の1を超えて遅くなる。
【0024】
特定の実施形態において、SHタンパク質をコードする遺伝子は、切頭タンパク質が発
現する、またはタンパク質が発現しないように欠失または変異される。特定の実施形態に
おいて、M2-2をコードする遺伝子は、切頭タンパク質が発現する、またはタンパク質
が発現しないように欠失または変異される。
【0025】
特定の実施形態において、Fタンパク質をコードする遺伝子は、位置557がVとなら
ない、またはIが位置557となるように変異する。
【0026】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示したRSV Fタンパク質、例
えば配列番号:1、13、及び変異体を含む融合タンパク質を想到する。
【0027】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示したキメラRSVを含むワクチ
ン及び免疫原性組成物に関する。特定の実施形態において、組成物はアジュバント及び/
または他の製薬上許容できる担体を更に含む。特定の実施形態において、アジュバントは
アルミニウムゲル、アルミニウム塩、またはモノホスホリルリピドAである。
【0028】
特定の実施形態において、アジュバントは水中油型エマルションである。特定の実施形
態において、水中油型エマルションはα-トコフェロール、スクアレン、及び/または界
面活性剤を更に含む。
【0029】
特定の実施形態において、本開示は、呼吸器合胞体ウイルスに対して対象をワクチン接
種または免疫付与するための方法に関し、本方法は、本明細書にて開示した有効量のキメ
ラRSV、またはそれを含む免疫原性組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形
態において、有効量は対象における防御免疫応答を生み出す。
【0030】
特定の実施形態において、対象は妊婦、2、3、または4歳以下の子どもである。特定
の実施形態において、対象は低下した免疫系を有する、60歳もしくは65歳を超える、
または、化学療法もしくは免疫抑制薬品を定期的に投与されている。
【0031】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示したRSV Fタンパク質をコ
ードする核酸に関する。特定の実施形態において、核酸は
配列番号:14
ATGGAGTTGCTGATCCATAGATCAAGTGCAATCTTCCTAA
CTCTTGCTATTAATGCATTGTACCTCACCTCAAGTCAGAA
CATAACTGAGGAGTTTTACCAATCGACATGTAGTGCAGTT
AGCAGAGGTTACTTGAGTGCTTTAAGAACAGGTTGGTATA
CCAGTGTCATAACAATAGAATTAAGTAATATAAAAGAAAC
CAAATGCAATGGAACTGACACTAAAGTAAAACTTATAAAA
CAAGAATTAGATAAGTATAAGAATGCAGTAACAGAATTAC
AGTTACTTATGCAAAACACACCAGCTGCCAACAACCGGGC
CAGAAGAGAAGCACCACAGTATATGAACTACACAATCAAT
ACCACTAAAAACCTAAATGTATCAATAAGCAAGAAGAGGA
AACGAAGATTTCTGGGCTTCTTGTTAGGTGTAGGATCTGC
AATAGCAAGTGGTATAGCTGTATCCAAAGTTCTACACCTT
GAAGGAGAAGTGAACAAGATCAAAAATGCTTTGCTGTCTA
CAAACAAAGCTGTAGTCAGTCTATCAAATGGGGTCAGTGT
TTTAACCAGCAAAGTGTTAGATCTCAAGAATTATATAAAC
AACCAATTATTACCTATAGTAAATCAACAGAGTTGTCGCA
TTTCCAACATTGAAACAGTTATAGAATTCCAGCAGAAGAA
CAGCAGATTGTTGGAAATCACCAGAGAATTTAGTGTCAAT
GCAGGTGTAACGACACCTTTAAGCACTTACATGTTAACAA
ACAGTGAGTTACTATCATTAATCAATGATATGCCTATAAC
AAATGATCAGAAAAAATTAATGTCAAGCAATGTTCAGATA
GTAAGGCAACAAAGTTATTCTATCATGTCTATAATAAAGG
AAGAAGTCCTTGCATATGTTGTACAGCTACCTATCTATGG
TGTAATTGATACACCTTGCTGGAAATTACACACATCACCT
CTGTGCACCACCAACATCAAAGAAGGATCAAATATTTGTT
TAACAAGGACTGATAGAGGATGGTACTGTGATAATGCAGG
ATCAGTATCCTTCTTTCCACAGGCTGACACTTGTAAAGTA
CAGTCCAATCGAGTATTTTGTGACACTATGAACAGTTTGA
CATTACCAAGTGAAGTCAGCCTTTGTAACACTGACATATT
CAATTCCAAGTATGACTGCAAAATTATGACATCAAAAACA
GACATAAGCAGCTCAGTAATTACTTCTCTAGGAGCTATAG
TGTCATGCTATGGTAAAACTAAATGCACTGCATCCAACAA
AAATCGTGGAATTATAAAGACATTTTCTAATGGTTGTGAT
TATGTGTCAAACAAAGGAGTAGATACTGTATCAGTGGGCA
ACACTTTATACTATGTCAACAAGCTGGAAGGCAAAAACCT
TTATGTAAAAGGGGAACCTATAATAAATTACTATGACCCT
CTAGTGTTTCCTTCTGATGAGTTTGATGCATCAATATCTC
AAGTCAATGAAAAAATTAATCAAAGTTTAGCTTTTATTCG
TAGATCCGATGAATTATTACATAATGTAAATACTGGAAAA
TCTACTACAAATATTATGATAACTGCAATTATTATAGTAA
TCATTGTAGTATTGTTATCATTAATAGCTATTGGTTTACT
GTTGTATTGCAAAGCCAAAAACACACCAGTTACACTAAGC
AAAGACCAACTAAGTGGAATCAATAATATTGCATTCAGCA
AATAG、
または50、60、70、80、90、95、98、または99%を超える配列同一性を
有する変異を含む。
【0032】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示したRSV Fタンパク質をコ
ードする核酸を含むベクターに関する。特定の実施形態において、ベクターはプラスミド
または細菌人工染色体から選択される。
【0033】
特定の実施形態において、キメラRSVは配列番号:15
ACGCGAAAAAATGCGTACAACAAACTTGCATAAACCAAAA
AAATGGGGCAAATAAGAATTTGATAAGTACCACTTAAATT
TAACTCCCTTGCTTAGCGATGGTGAGCGAGCTGATTAAGG
AGAACATGCACATGAAGCTGTACATGGAGGGCACCGTGAA
CAACCACCACTTCAAGTGCACATCCGAGGGCGAAGGCAAG
CCCTACGAGGGCACCCAGACCATGAGAATCAAGGCGGTCG
AGGGCGGCCCTCTCCCCTTCGCCTTCGACATCCTGGCTAC
CAGCTTCATGTACGGCAGCAAAACCTTCATCAACCACACC
CAGGGCATCCCCGACTTCTTTAAGCAGTCCTTCCCCGAGG
GCTTCACATGGGAGAGAGTCACCACATACGAAGACGGGGG
CGTGCTGACCGCTACCCAGGACACCAGCCTCCAGGACGGC
TGCCTCATCTACAACGTCAAGATCAGAGGGGTGAACTTCC
CATCCAACGGCCCTGTGATGCAGAAGAAAACACTCGGCTG
GGAGGCCTCCACCGAGACCCTGTACCCCGCTGACGGCGGC
CTGGAAGGCAGAGCCGACATGGCCCTGAAGCTCGTGGGCG
GGGGCCACCTGATCTGCAACTTGAAGACCACATACAGATC
CAAGAAACCCGCTAAGAACCTCAAGATGCCCGGCGTCTAC
TATGTGGACAGAAGACTGGAAAGAATCAAGGAGGCCGACA
AAGAGACCTACGTCGAGCAGCACGAGGTGGCTGTGGCCAG
ATACTGCGACCTCCCTAGCAAACTGGGGCACAGATGAGTA
TTCAATTATAGTTATTAAAAACTTAACAGAAGACAAAAAT
GGGGCAAATAAGAATTTGATAAGTACCACTTAAATTTAAC
TCCCTTGCTTAGCGATGGGTTCGAATTCGCTATCGATGAT
AAAAGTACGTCTACAAAATCTATTTGATAATGATGAAGTA
GCGCTACTAAAAATAACGTGTTATACGGATAAACTAATAC
ATCTAACGAATGCGCTAGCGAAAGCGGTAATACATACGAT
AAAACTAAATGGTATAGTATTTGTACATGTAATAACGTCG
TCGGATATATGTCCGAATAATAATATAGTAGTAAAATCGA
ATTTTACGACGATGCCGGTACTACAAAATGGTGGTTATAT
ATGGGAAATGATGGAACTAACGCATTGTTCGCAACCGAAT
GGTCTACTAGATGATAATTGTGAAATAAAATTTTCGAAAA
AACTATCGGATTCGACGATGACGAATTATATGAATCAACT
ATCGGAACTACTAGGTTTTGATCTAAATCCGTAAATTATA
ATTAATATCAACTAGCAAATCAATGTCACTAACACCATTA
GTTAATATAAAACTTAACAGAAGACAAAAATGGGGCAAAT
AAATCAATTCAGCCAACCCAACCATGGATACGACGCATAA
TGATAATACGCCGCAACGTCTAATGATAACGGATATGCGT
CCGCTATCGCTAGAAACGATAATAACGTCGCTAACGCGTG
ATATAATAACGCATAAATTTATATATCTAATAAATCATGA
ATGTATAGTACGTAAACTAGATGAACGTCAAGCGACGTTT
ACGTTTCTAGTAAATTATGAAATGAAACTACTACATAAAG
TAGGTTCGACGAAATATAAAAAATATACGGAATATAATAC
GAAATATGGTACGTTTCCGATGCCGATATTTATAAATCAT
GATGGTTTTCTAGAATGTATAGGTATAAAACCGACGAAAC
ATACGCCGATAATATATAAATATGATCTAAATCCGTAAAT
TTCAACACAATATTCACACAATCTAAAACAACAACTCTAT
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GTTCAAATATTGGCAGAGAAAATGATAGCTGAAAACATTT
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AACAAATCAAATCGCTACAATGATAATTACAACAATTACA
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GTGCTGGATGAACTGCATGGTGTACAATCTCTATTTTCCT
GGTTACATTTAACTATTCCTCATGTCACAATAATATGCAC
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GATCTTAACAATGTAGATGAACAAAGTGGATTATATAGAT
ATCACATGGGTGGCATCGAAGGGTGGTGTCAAAAACTGTG
GACCATAGAAGCTATATCACTATTGGATCTAATATCTCTC
AAAGGGAAATTCTCAATTACTGCTTTAATTAATGGTGACA
ATCAATCAATAGATATAAGCAAACCAATCAGACTCATGGA
AGGTCAAACTCATGCTCAAGCAGATTATTTGCTAGCATTA
AATAGCCTTAAATTACTGTATAAAGAGTATGCAGGCATAG
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TATGCAATTTATGAGTAAAACAATTCAACATAACGGTGTA
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CGTGGATAAACACTATACTTGATGATTTCAAAGTGAGTCT
AGAATCTATAGGTAGTTTGACACAAGAATTAGAATATAGA
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AGAAGAACTCCTGACTTCCTCACAGAGGCTATAGTTCACT
CTGTGTTCATACTTAGTTATTATACAAACCATGACTTAAA
AGATAAACTTCAAGATCTGTCAGATGATAGATTGAATAAG
TTCTTAACATGCATAATCACGTTTGACAAAAACCCTAATG
CTGAATTCGTAACATTGATGAGAGATCCTCAAGCTTTAGG
GTCTGAGAGACAAGCTAAAATTACTAGCGAAATCAATAGA
CTGGCAGTTACAGAGGTTTTGAGTACAGCTCCAAACAAAA
TATTCTCCAAAAGTGCACAACATTATACTACTACAGAGAT
AGATCTAAATGATATTATGCAAAATATAGAACCTACATAT
CCTCATGGGCTAAGAGTTGTTTATGAAAGTTTACCCTTTT
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CAGAGATAAAAGAGAGATATTGAGTATGGAAAACCTAAGT
ATTACTGAATTAAGCAAATATGTTAGGGAAAGATCTTGGT
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GTATACAATGGACATCAAATATACTACAAGCACTATATCT
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ACCATGTGAATTCCCTGCATCAATACCAGCTTATAGAACA
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GTGATACAAAAACAGCATATGTTTTTACCAGACAAAATAA
GTTTGACTCAATATGTGGAATTATTCTTAAGTAATAAAAC
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ATTGTATAGGTAAAAATGTTGACTCAATAATGTTACCATT
GTTATCTAATAAGAAGCTTATTAAATCGTCTGCAATGATT
AGAACCAATTACAGCAAACAAGATTTGTATAATTTATTCC
CTATGGTTGTGATTGATAGAATTATAGATCATTCAGGCAA
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CAAATATCTTTAGTGCACAATAGCACATCACTTTACTGCA
TGCTTCCTTGGCATCATATTAATAGATTCAATTTTGTATT
TAGTTCTACAGGTTGTAAAATTAGTATAGAGTATATTTTA
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TAGGTGAAGGAGCAGGGAATTTATTATTGCGTACAGTAGT
GGAACTTCATCCTGACATAAGATATATTTACAGAAGTCTG
AAAGATTGCAATGATCATAGTTTACCTATTGAGTTTTTAA
GGCTGTACAATGGACATATCAACATTGATTATGGTGAAAA
TTTGACCATTCCTGCTACAGATGCAACCAACAACATTCAT
TGGTCTTATTTACATATAAAGTTTGCTGAACCTATCAGTC
TTTTTGTCTGTGATGCCGAATTGTCTGTAACAGTCAACTG
GAGTAAAATTATAATAGAATGGAGCAAGCATGTAAGAAAG
TGCAAGTACTGTTCCTCAGTTAATAAATGTATGTTAATAG
TAAAATATCATGCTCAAGATGATATTGATTTCAAATTAGA
CAATATAACTATATTAAAAACTTATGTATGCTTAGGCAGT
AAGTTAAAGGGATCGGAGGTTTACTTAGTCCTTACAATAG
GTCCTGCGAATATATTCCCAGTATTTAATGTAGTACAAAA
TGCTAAATTGATACTATCAAGAACCAAAAATTTCATCATG
CCTAAGAAAGCTGATAAAGAGTCTATTGATGCAAATATTA
AAAGTTTGATACCCTTTCTTTGTTACCCTATAACAAAAAA
AGGAATTAATACTGCATTGTCAAAACTAAAGAGTGTTGTT
AGTGGAGATATACTATCATATTCTATAGCTGGACGTAATG
AAGTTTTCAGCAATAAACTTATAAATCATAAGCATATGAA
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CATATCCTTACCTAAGTGAATTGTTAAACAGCTTGACAAC
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TTATACAACTTTCATAATGAATAATGAATAAAGATCTTAT
A
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TATAGTTATTAAAAATTAAAAATCGTACGATTTTTTAAAT
AACTTTTAGTGAACTAATCCTAAAGTTATCATTTTAATCT
TGGAGGAATAAATTTAAACCCTAATCTAATTGGTTTATAT
GTGTATTAACTAAATTACGAGATATTAGTTTTTGACACTT
TTTTTCTCGT
または、50、60、70、80、90、95、98、または99%を超える配列同一性
を有する変異を含む。
【0034】
特定の実施形態において、キメラRSVはヒト対象に感染性であるもの、及びヒト対象
に感染性でないものを含む。
【0035】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示した変異RSV Fタンパク質
を含む粒子、RSV粒子、またはウイルス様粒子に関する。特定の実施形態において、粒
子は弱毒生及び弱感染化RSVゲノムまたはアンチゲノムを含む。特定の実施形態におい
て、粒子は例えば、RSVタンパク質のいずれかの1つ、2つ、3つ、またはそれ以上を
発現不可能な核酸を有する、または有しない不活化RSVゲノムまたはアンチゲノムを含
む。特定の実施形態において、粒子は熱またはホルムアルデヒドなどの方法を使用して殺
傷される。特定の実施形態において、粒子は本明細書にて開示したウイルス性構造タンパ
ク質及び変異RSV Fタンパク質の発現により再構築される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】I557V変異(クエリー)を有するFタンパク質(配列番号:3)と、典型的な野生型RSV株系列19配列(対象)(配列番号:4)とのRSV配列比較を示す。
【
図2】RSVワクチン候補OE4を示す。コドン非最適化NS1及びNS2(dNS1/dNS2)を有するRSVは通常安定であり、野生型ウイルスA2などの免疫原性を維持しながら、RSVを弱毒化する。OE4はまた、Gタンパク質のコドン非最適化、SHタンパク質の欠失も有し、RSV系列19 Fタンパク質を発現する。
【
図3】RSVがベロ細胞に感染した際の、コドン非最適化RSV G、NS1、NS2遺伝子に対するタンパク質発現の低下を示すベロ細胞可溶化物のウエスタンブロットを示す。
【
図4】系列19F(A2系列19F)を発現するキメラRSVは、株A2のRSV Fと比較して融合前Fバイアスを示すことを示すデータを示す。
【
図5A】Buenos Airesクレード(BAF)の低融合RSV亜型B株のコンセンサス配列(対象)(配列番号:2)と比較した際の、DB1 QUAD(クエリー)として示される、位置79にM、位置191にR、位置357にKの置換を有するFタンパク質の配列を示す。
【
図5B】DB1 QUAD Fタンパク質(クエリー)(配列番号:1)と、典型的な野生型RSV株系列19配列(対象)(配列番号:4)とのアミノ酸配列の比較を示す。519/573の同一性(91%)及び548/573の類似性(95%)が存在する。
【
図6-1】Aは、配列番号:2のコンセンサスFタンパク質を含有するDB1を含む、7日後における特定のRSV構築物の熱安定性についてのデータを示す。Bは、系列19のFタンパク質に見られる特定の位置に対応する、Fタンパク質アミノ酸を含有するDB1構築物を含む、7日後における特定のRSV構築物の熱安定性についてのデータを示す。DB1 QUADとは、位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び位置371にY、及び位置557にVのアミノ酸パターンを含む、配列番号:1を有するFタンパク質を意味する。
【
図6-2】特定のワクチン候補の全F(融合前及び融合後F)に対する融合前Fの割合を示すデータを示す。
【
図7A】A2系列19Fと比較した際に、DB1 QUADがより弱毒化されたことを示す、BALB/cマウスにおけるワクチン構築物の弱毒化についてのデータを示す。
【
図7B】DB1 QUADはRSV Bに対する免疫原性を増加させたことを示す、異なるRSV株に対する、BALB/cマウスにおけるワクチン構築物の免疫原性についてのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示を更に詳細に説明する前に、本開示は説明される特定の実施形態に限定されるも
のではなく、それ故にもちろん変化し得るものと理解されなければならない。また、本開
示の範囲は添付の特許請求の範囲のみにより限定されるため、本明細書で使用する用語は
特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図するものではないことも理
解されなければならない。
【0038】
別段定めがない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、本開示が属する
当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに
類似する、または等価なあらゆる方法及び材料は、本開示の実践または試験においてもま
た使用することができるものの、好ましい方法及び材料がここで記載される。
【0039】
本明細書で引用される全ての広報及び特許は、あたかも、各個別の広報または特許が参
照により組み込まれていることを具体的に、かつ個別に示されているかのように、参照に
より本明細書に組み込まれ、広報が引用されるものと関連する方法及び/または材料を開
示及び記載するために、参照により本明細書に組み込まれている。あらゆる広報の引用は
、開示に対して出願日より以前のものであり、先立った開示を理由として、本開示がその
ような広報に先立つ資格を有しないということを認めるものとして解釈されるべきではな
い。更に、示される広報の日付は、独立して認められる必要があり得る実際の広報の日付
と異なっていてもよい。
【0040】
本開示を読む際に当業者には明らかとなるように、本明細書で記載及び説明される個別
の実施形態はそれぞれ、個々の構成成分及び形質を有し、それらは、本開示の範囲及び精
神を逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの形質から速やかに分離して
よい、またはそれらと組み合わされてよい。引用される全ての方法は、引用する事象の順
番で、または論理的に可能な任意の他の順番で実施することができる。
【0041】
本開示の実施形態は、特に断りのない限り、当該技術の範囲内にある免疫学、薬学、有
機化学、生化学、分子生物学、薬理学、生理学などの技術を用いる。そのような技術は、
文献内で完全に説明されている。
【0042】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及
び「the」は、文脈で明確に別様に規定されない限り、複数への言及を含むことを記し
ておかなければならない。本明細書において、そして後に続く特許請求の範囲において、
逆の意図が明らかである場合を除き、以下の意味を有するように定義されるべき多数の用
語について参照を行う。
【0043】
様々な実施形態を説明する前に以下の定義を示し、特に断りのない限り使用しなければ
ならない。
【0044】
用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して結合したアミノ
酸を含む化合物を意味し、これらは互換的に用いられる。
【0045】
タンパク質に言及して使用される(「所与のタンパク質の一部」など)場合の用語「タ
ンパク質」とは、そのタンパク質の断片を意味する。断片は、4つのアミノ酸残基から、
アミノ配列全体マイナス1つのアミノ酸まで、サイズが変化してよい。
【0046】
用語「キメラ呼吸器合胞体ウイルス」または「キメラRSV」とは、宿主細胞(例えば
ベロ細胞)においてゲノムまたはアンチゲノムの複製を可能にする、十分なRSV遺伝子
を含有する核酸を意味し、配列核酸を変異させて、構造的に同一の(すなわち、RSV株
がRSVゲノム全体にわたり発生する)天然RSV株ではないように、少なくとも1つの
核酸セグメントを含める。キメラ呼吸器合胞体ウイルスはRSV遺伝子を含み、ここで、
コドンを変異させて、たとえ、RSVが天然に発現するものと同一のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドを生成する場合でも、天然のコドンとは異なるようにする。RSVの異な
る株は異なるヌクレオチド配列を有し、類似の機能を有する異なるアミノ酸配列を有する
タンパク質を発現する。したがって、キメラRSVはRSV遺伝子を含み、ここで、RS
Vゲノム全体の核酸配列が、天然に見出されるRSVと同一ではないように、1つの株か
らの1つ以上の遺伝子が、代替のまたは第2の株の遺伝子から置き換えられる。特定の実
施形態において、キメラRSVはこれらの株を含み、ここで核酸は、タンパク質発現を打
ち切るために、そのようなゲノムの打ち切りパターンが天然のRSVで見出されない場合
、翻訳を開始するためのコドンの後で欠失される。特定の実施形態において、キメラRS
Vは感染性のRSVを含み、ヒト対象内で複製することができる。
【0047】
ポリペプチドに言及して使用される場合の用語「融合」とは、自然環境には合わせて存
在せず、共にクローニングされ、翻訳後、1つのポリペプチド配列として機能するような
、異なる源から入手した2つ以上のコード配列の発現生成物を意味する。融合ポリペプチ
ドは「ハイブリッド」ポリペプチドと呼ばれることもある。コード配列は、生命体の同じ
、または異なる種から入手した配列を含む。
【0048】
しかし、この種類の融合タンパク質は、開示したワクチンのRSV融合タンパク質と同
一ではない。RSV融合タンパク質(F)は、ヴィリオン膜を標的細胞膜に融合させる主
表面糖タンパク質である。融合タンパク質は、ヴィリオン及び標的細胞膜に接近して融合
を可能にし、後で主なリフォールディングを受けて安定した融合後形態になる、準安定の
融合前構造の中に存在する。Fタンパク質はRSV株の中で非常に保存されており、潜在
的なRSV免疫原である。ヒトにおける自然感染の後、抗RSV中和抗体の大部分はFタ
ンパク質、特にFの融合前構造に対して指令を受ける。
【0049】
ポリペプチドに言及して使用する場合の用語「ホモログ」または「相同の」とは、2つ
のポリペプチド間の高度な配列同一性、三次元構造体間での高度な類似性、または活性部
位と作用機序との高度な類似性を意味する。好ましい実施形態では、ホモログは、参照配
列と60%を超える配列同一性、及びより好ましくは75%を超える配列同一性、及び更
により好ましくは90%を超える配列同一性を有する。
【0050】
ポリペプチドに適用される場合、用語「実質的同一性」とは、2つのペプチド配列が、
例えばデフォルトギャップ重量を使用してプログラムGAPまたはBESTFITにより
最適にアラインされる場合に、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも9
0%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、またはそれ以上(例
えば99%の配列同一性)を共有することを意味する。同一でない残基の位置は保存的ア
ミノ酸置換により異なっているのが好ましい。
【0051】
ポリペプチドに言及して使用する場合の用語「多様体(variant)」及び「変異
体(mutant)」は、1つ以上のアミノ酸が別の、通常は関連するポリペプチドと異
なるアミノ酸配列を意味する。多様体は「保存的」変更を有してよく、ここで、置換され
たアミノ酸は類似の構造的または化学的性質を有する。保存的アミノ酸置換の1つの種類
は、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族-ヒドロキ
シル側鎖を有するアミノ酸の群はセリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有する
アミノ酸の群はアスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は
フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸
の群はリシン9、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の
群はシステイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換の群は、バリン-ロ
イシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-
バリン、及びアスパラギン-グルタミンである。より珍しくは、多様体は「非保存的」変
更(例えば、グリシンのトリプトファンによる置換)を有してよい。同様の小数のバリエ
ーションとしては、アミノ酸欠失もしくは挿入(すなわち付加)、または両方もまた挙げ
てよい。生物活性を損なわずに、どのアミノ酸残基が、そしてどれだけ多くのアミノ酸残
基が置換、挿入、または欠失され得るかを測定する手引きは、当該技術分野において周知
のコンピュータプログラム、例えばDNAStarソフトウェアを使用して見出され得る
。多様体を、機能アッセイで試験することができる。好ましい多様体は、(置換、欠失な
どに関係なく)10%未満、及び好ましくは5%未満、及び更により好ましくは2%未満
の変化を有する。
【0052】
用語「遺伝子」とは、RNA、またはポリペプチド、またはその前駆体(例えばプロイ
ンスリン)の産生に必要なコード配列を含む、核酸(例えばDNAまたはRNA)配列を
意味する。機能的ポリペプチドは、ポリペプチドの所望の活性または機能的性質(例えば
酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達など)が維持される限り、完全長コード配列によ
り、またはコード配列の任意の部分によりコードされることができる。遺伝子に言及して
使用する場合、用語「一部」とは、その遺伝子の断片を意味する。断片は、数個のヌクレ
オチドから、遺伝子配列全体マイナス1つのヌクレオチドまで、サイズが変化してよい。
したがって、「遺伝子の少なくとも一部を含むヌクレオチド」は、遺伝子の断片、または
遺伝子全体を含んでよい。
【0053】
用語「遺伝子」は、構造的遺伝子のコード領域もまた包含し、遺伝子が完全長mRNA
の長さに対応するように、いずれかの末端に約1kbの距離で、5’及び3’末端の両方
のコード領域に隣接して位置する配列を含む。コード領域の5’に位置し、mRNA上に
存在する配列は、5’非翻訳配列と呼ばれる。コード領域の3’すなわち下流に位置し、
mRNA上に存在する配列は、3’非翻訳配列と呼ばれる。用語「遺伝子」は、遺伝子の
cDNA形態及びゲノム形態の両方を包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、
「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と呼ばれる、非コード配列によっ
て中断されたコード領域を含有する。イントロンは、核RNA(mRNA)に転写される
遺伝子のセグメントであり、イントロンはエンハンサーなどの制御因子を含有してよい。
イントロンは核転写物または一次転写産物から取り除かれる、または「スプライシング」
されており、それ故イントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存在
しない。mRNAは翻訳中に、初期のポリペプチドにおけるアミノ酸の配列、すなわち順
序を特定する機能を果たす。
【0054】
イントロンを含有することに加えて、遺伝子のゲノム形態は、RNA転写産物に存在す
る配列の5’及び3’末端の両方に位置する配列もまた含んでよい。これらの配列は「フ
ランキング」配列または領域と呼ばれる(これらのフランキング配列は、mRNA転写産
物上に存在する非翻訳配列に対して5’または3’に位置する)。5’フランキング領域
は、遺伝子の転写を制御する、または転写に影響を及ぼすプロモーター及びエンハンサー
などの調節配列を含有してよい。3’フランキング領域は、転写の終結、翻訳後切断、及
びポリアデニル化を指令する配列を含有する。
【0055】
用語「異種遺伝子」とは、自然環境に存在しない(すなわち、人の手により変更された
)因子をコードする遺伝子を意味する。例えば、異種遺伝子は、別の種に導入される1つ
の種からの遺伝子を含む。異種遺伝子は、いくつかの方法(例えば変異、複数のコピーへ
の付加、非内在性プロモーター配列またはエンハンサー配列への結合など)で変更されて
いる生命体に対して内在性の遺伝子もまた含む。異種遺伝子は、異種遺伝子によりコード
されるタンパク質に対する遺伝子、もしくは染色体中の植物遺伝子配列と自然に関係して
いることが見出されていない、または、自然では見出されない染色体の部分(例えば、遺
伝子が通常発現しない遺伝子座で発現する遺伝子)と関係するプロモーターなどの制御因
子を含むヌクレオチド配列に典型的に結合する異種遺伝子配列という点で内因性の植物遺
伝子と区別される。
【0056】
用語「ポリヌクレオチド」とは、2つ以上、好ましくは4つ以上、そして通常は11個
以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む分子を意味する。厳密な
サイズは多くの因子に依存し、それにより、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または使
用に依存する。ポリヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、またはこれらの組
み合わせを含む任意の方法で生成することができる。用語「オリゴヌクレオチド」とは一
般に、通常は30ヌクレオチド長未満の、長さが短い一本鎖ポリヌクレオチド鎖を意味す
るが、用語「ポリヌクレオチド」と同じ意味で用いられてもよい。
【0057】
用語「核酸」とは、上述のとおり、ヌクレオチドのポリマー、すなわちポリヌクレオチ
ドを意味する。この用語は、1個の分子、または分子の集合を示すために使用される。核
酸は一本鎖または二本鎖であってよく、後述のように、コード領域、及び様々な調節因子
の領域を含んでよい。
【0058】
用語「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」、または「遺
伝子をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」、または、特定のポリペ
プチド「をコードする核酸配列」とは、遺伝子のコード領域を含む核酸配列、または言い
換えると、遺伝子産物をコードする核酸配列を意味する。コード領域はcDNA形態、ゲ
ノムDNA形態、またはRNA形態のいずれかで存在してよい。DNA形態で存在する場
合、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または核酸は一本鎖(すなわちセンス鎖)
、または二本鎖であってよい。エンハンサー/プロモーター、スプライスジャンクション
、ポリアデニル化シグナルなどの好適な調節要素は、一次RNA転写産物の好適な転写開
始及び/または正しいプロセシングを行わせる必要がある場合、遺伝子のコード領域に近
接して配置されてよい。あるいは、本開示の発現ベクター内で使用されるコード領域は、
内因性エンハンサー/プロモーター、スプライスジャンクション、介在配列、ポリアデニ
ル化シグナルなど、または、内因性調節要素及び外因性調節要素の両方の組み合わせを含
有してよい。
【0059】
核酸分子に言及する際の用語「組み換え」とは、分子生物学技術により結合した核酸セ
グメントを含む核酸分子を意味する。タンパク質またはポリペプチドに言及する際の用語
「組み換え」とは、組み換え核酸分子を使用して発現するタンパク質分子を意味する。
【0060】
用語「相補的な」及び「相補性」とは、塩基対形成の規則により関係しているポリヌク
レオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を意味する。例えば、配列「A-G-T」は
、配列「T-C-A」に相補的である。相補性は「部分的」であってよく、この場合、核
酸塩基のいくつかのみが、塩基対形成の規則に従って一致する。または、核酸の間で「完
全な」または「全ての」相補性が存在してよい。核酸鎖間での相補性の程度は、核酸鎖間
でのハイブリダイゼーションの効率及び強度に著しい影響力を持っている。相補性は、核
酸間の結合に依存する増幅反応及び検出法において特に重要である。
【0061】
核酸に関係して用いられる場合の用語「相同性」とは、相補性の程度を意味する。部分
的相同性または完全な相同性(即ち同一性)が存在することができる。「配列同一性」と
は、2つ以上の核酸またはタンパク質間の関係性の尺度を意味し、比較した全ての長さに
対する割合で与えられる。同一性の計算には、同一であり、それぞれのより大きな配列中
の同じ相対位置に存在するヌクレオチドまたはアミノ酸残基を想到に入れる。同一性の計
算は、「GAP」(Genetics Computer Group,Madison
,Wis.)及び「ALIGN」(DNAStar,Madison,Wis.)などの
コンピュータプログラム内に含まれるアルゴリズムにより実施することができる。部分的
な相補配列とは、完全な相補配列が標的核酸にハイブリダイズすることを少なくとも部分
的に阻害する(または、ハイブリダイズすることと競合する)配列であり、機能的な用語
「実質的に相同な」を使用することを意味する。標的配列に対する完全な相補配列のハイ
ブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシー条件下にてハイブリダイゼーション
アッセイ(サザンブロットまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)
を使用して調査することができる。実質的に相同な配列またはプローブが、低ストリンジ
ェンシーな条件下にて、標的に完全に相同な配列の結合(すなわちハイブリダイゼーショ
ン)と競合し、これを阻害する。これは、低ストリンジェンシー条件は非特異的結合を可
能にするようなものであることを意味するものではない。低ストリンジェンシー条件には
、2つの配列の互いの結合が特異的(すなわち選択的)な相互作用であることを必要とす
る。非特異的結合が存在しないことは、部分的な相補性(例えば、30%未満の同一性)
の程度すらも欠いている第2標的を使用することにより試験することができる。非特異的
結合が存在しない場合、プローブは第2の非相補性標的にハイブリダイズしない。
【0062】
以下の用語は、2つ以上のポリヌクレオチド間の配列関係を説明するために使用される
:「参照配列」、「配列同一性」、「配列同一性の割合」、及び「実質的同一性」。「参
照配列」とは、配列比較のための基準として使用される、規定された配列である。参照配
列は、例えば、配列表に示される完全長cDNA配列のセグメントとしての、より大型の
配列のサブセットであってよい、または、完全な遺伝子配列を含んでよい。一般に、参照
配列は少なくとも20ヌクレオチド長、頻繁には少なくとも25ヌクレオチド長、そして
多くの場合、少なくとも50ヌクレオチド長である。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ
、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド
配列の一部)を含み得る、及び(2)2つのポリヌクレオチド間で異なる配列を更に含み
得るため、2つ(以上)のポリヌクレオチド間での配列比較は通常、「比較窓」にまたが
る2つのポリヌクレオチドの配列を比較して、局所領域の配列類似性を識別及び比較する
ことにより実施される。本明細書で使用する場合、「比較窓」とは、少なくとも20個の
連続したヌクレオチド位置の概念的セグメントを意味し、ここで、ポリヌクレオチド配列
を少なくとも20個の連続したヌクレオチドの参照配列と比較してよく、比較窓のポリヌ
クレオチド配列の一部は、2つの配列の最適アラインメントに関する(付加または欠失を
含まない)参照配列と比較した際に、20%以下の付加または欠失(すなわちギャップ)
を含んでよい。比較窓をアラインするための配列の最適アラインメントは、Smith及
びWatermanの局所相同性アルゴリズム(Smith and Waterman
,Adv.Appl.Math.2:482(1981))により、Needleman
及びWunschの相同性アラインメントアルゴリズム(Needleman and
Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970))により、Pears
on及びLipmanの、類似性方法に関する調査(Pearson and Lipm
an,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.)85:2444(1988
))により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin
Genetics Software Package Release 7.0,Ge
netics Computer Group,575 Science Dr.,Ma
dison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA
)により、または検査により実施することができ、様々な方法により生み出された最適の
アラインメント(すなわち、比較窓にまたがって最大割合の相同性が得られるもの)を選
択する。用語「配列同一性」とは、2つのポリヌクレオチド配列が比較窓にまたがり(す
なわち、ヌクレオチド塩基同士で)同一であることを意味する。
【0063】
特定の実施形態において、用語「配列同一性の割合」は、比較窓にまたがる、2つの最
適にアラインされた配列を比較し、両方の配列にて同一の核酸塩基(例えばA、T、C、
G、U、またはI)が生じる位置の数を測定して、一致する位置の数を入手し、一致した
位置の数を比較窓の位置の総数(すなわち窓サイズ)で除し、結果に100を掛け、配列
同一性の割合を得ることにより計算される。
【0064】
特定の実施形態において、配列「同一性」とは、最も短い配列の大きい方により除した
同一位置の数、または、オーバハングを除外した等価な位置の数(ここでは、内部ギャッ
プを等価な位置として数える)を使用して計算した2つの配列のアラインメント間におけ
る配列アラインメントにおいて、(割合として表現した)厳密に一致しているアミノ酸の
数を意味する。例えば、ポリペプチドGGGGGG及びGGGGTは5つのうち4つ、す
なわち80%の配列同一性を有する。例えば、ポリペプチドGGGPPP及びGGGAP
PPは7つのうち6つ、すなわち85%の配列同一性を有する。特定の実施形態において
、本明細書で表現される配列同一性の任意の詳細説明を、配列類似性で置き換えてよい。
パーセント「類似性」を使用して、アラインメントの2つの配列間の類似性を定量化する
。特定のアミノ酸が一致を有するように同一である必要がないことを除いて、本方法は同
一性を測定するものと同じである。アミノ酸は、以下のアミノ酸群に従った、類似の性質
を有する群に属する場合、一致として分類される:芳香族-F Y W;疎水性-A V
I L;正に荷電:R K H;負に荷電-D E;極性-S T N Q。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「実質的同一性」とはポリヌクレオチド配列の性質を示
し、ここで、ポリヌクレオチドは、少なくとも20ヌクレオチドの位置の比較窓にまたが
る、頻繁には少なくとも25~50ヌクレオチドの窓にまたがる参照配列と比較して、少
なくとも85%の配列同一性を有する配列、好ましくは少なくとも90~95%の配列同
一性、より一般的には少なくとも99%の配列同一性を含み、配列同一性の割合は、比較
窓にまたがり参照配列が合計で20%以下である、欠失または付加を含み得るポリヌクレ
オチド配列に対する参照配列を比較することにより計算される。参照配列は、例えば、本
開示にて特許請求されている組成物の完全長配列のセグメントとしての、より大型の配列
のサブセットであってよい。
【0066】
cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に言及して使用される場合、用語
「実質的に相同な」とは、上述した低~高ストリンジェンシー条件下にて、二本鎖核酸配
列の鎖のいずれかまたは両方にハイブリダイズ可能な任意のプローブを意味する。
【0067】
一本鎖核酸配列に言及して使用する場合、用語「実質的に相同な」とは、上述した低~
高ストリンジェンシー条件下にて、一本鎖核酸配列にハイブリダイズ可能(すなわち、一
本鎖核酸配列の相補鎖である)ことができる任意のプローブを意味する。
【0068】
用語「作用可能な組み合わせで」、「作用可能な順番で」、及び「作用可能に結合した
」とは、所与の遺伝子の転写、及び/または所望のタンパク質分子の合成を指令すること
が可能な核酸分子が生成されるような方法での核酸配列の結合を意味する。この用語は、
機能性タンパク質が生成される方法でのアミノ酸配列の結合もまた意味する。
【0069】
用語「制御因子」とは、核酸配列の発現のいくつかの側面を制御する遺伝因子を意味す
る。例えば、プロモーターとは、作用可能に結合したコード領域の転写開始を促進する制
御因子である。他の制御因子はスプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、終結
シグナルなどである。
【0070】
真核生物における転写制御シグナルは「プロモーター」因子と「エンハンサー」因子と
を含む。プロモーター及びエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相
互作用するDNA配列のショートアレイからなる(Maniatis,et al.,S
cience 236:1237,1987)。プロモーター因子及びエンハンサー因子
は、酵母菌細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞及び植物細胞中の遺伝子を含む様々な真核細胞源
から単離されている。プロモーター因子及びエンハンサー因子はウイルスからも単離され
ており、原核生物で発見されている。特定のプロモーター及びエンハンサーの選択は、対
象のタンパク質を発現させるために使用される細胞型に依存する。いくつかの真核細胞プ
ロモーター及びエンハンサーは広範な宿主範囲を有するが、他のものは限定的な細胞型の
サブセットにおいて機能的である(確認には、Voss,et al.,Trends
Biochem.Sci.,11:287,1986;及びManiatis,et a
l.,supra 1987を参照のこと)。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「プロモーター因子」、「プロモーター」、または「プ
ロモーター配列」とは、DNAポリマーのタンパク質コード領域の5’末端に位置する(
すなわち先方に位置する)DNA配列を意味する。自然に知られている大部分のプロモー
ターの場所は、転写された領域に先行する。プロモーターはスイッチとして機能し、遺伝
子の発現を活性化する。遺伝子が活性化されると、それは転写された、あるいは転写に関
与していると言われる。転写には、遺伝子からのmRNAの合成が伴う。それ故、プロモ
ーターは転写制御因子として機能し、遺伝子のmRNA中への転写を開始するための部位
もまたもたらす。
【0072】
プロモーターは組織特異的、または細胞特異的であってよい。プロモーターに適用され
る用語「組織特異的」とは、異なる種類の組織(例えば葉)において、対象の同一のヌク
レオチド配列の発現が相対的に存在していない場合に、対象のヌクレオチド配列の選択的
発現を、特定の種類の組織(例えば種子)に指令することが可能なプロモーターを意味す
る。プロモーターの組織特異性は例えば、レポーター遺伝子をプロモーター配列に作用可
能に結合させてレポーター構築物を生成すること、レポーター構築物が得られるトランス
ジェニック植物の各組織内に組み込まれるように、植物のゲノム内にレポーター構築物を
導入すること、及び、トランスジェニック植物の異なる組織中でのレポーター遺伝子の発
現を検出すること(例えば、mRNA、タンパク質を検出すること、またはレポーター遺
伝子によりコードされるタンパク質の活性を検出すること)により評価することができる
。別の組織内でのレポーター遺伝子の発現度合いと比較して、1つ以上の組織内でのレポ
ーター遺伝子の発現度合いが大きいことが検出されることにより、より大きな発現度合い
が検出される組織に対してプロモーターが特異的であることが示される。プロモーターに
適用される用語「細胞型特異的」とは、同じ組織において、異なる種類の細胞における対
象の同じヌクレオチド配列の発現が相対的に存在しない場合に、特定の種類の細胞におい
て、対象のヌクレオチド配列の選択的発現の指令が可能なプロモーターを意味する。プロ
モーターに適用される場合の用語「細胞型特異的」とは、1つの組織内の領域における、
対象のヌクレオチド配列の選択的発現を促進可能なプロモーターもまた意味する。プロモ
ーターの細胞型特異性は、当該技術分野において周知の方法、例えば免疫組織化学染色を
使用して評価することができる。手短かに言えば、組織部分をパラフィンに埋め込み、パ
ラフィン部分を、発現がプロモーターにより制御される対象のヌクレオチド配列によりコ
ードされるポリペプチド生成物に特異的な一次抗体と反応させる。一次抗体に対して特異
的な標識済み(例えばペルオキシダーゼ結合)二次抗体を、部分化した組織に結合させ、
顕微鏡により特異的結合を検出する(例えばアビジン/ビオチンにより)。
【0073】
プロモーターは構成的、または制御性であってよい。プロモーターに言及する場合の用
語「構成的」とは、刺激(例えば熱ショック、化学物質、光など)の不存在下にて作用可
能に結合した核酸配列の転写を指令可能なプロモーターを意味する。典型的には、構成的
プロモーターは実質的にあらゆる細胞及びあらゆる組織において、導入遺伝子の発現を指
令することが可能である。
【0074】
対照的に、「制御性」または「誘導性」プロモーターとは、刺激の不存在下で作用可能
に結合した核酸配列の転写の度合いとは異なる刺激(例えば熱ショック、化学物質、光な
ど)の存在下において作用可能に結合した核酸配列の、一定水準の転写を指令可能なプロ
モーターである。
【0075】
エンハンサー及び/またはプロモーターは「内因性」または「外因性」または「異種」
であることができる。「内因性」エンハンサーまたはプロモーターとは、ゲノム内の所与
の遺伝子と自然に結合したものである。「外因性」または「異種」エンハンサーまたはプ
ロモーターとは、遺伝子の転写が結合したエンハンサーまたはプロモーターにより指令さ
れるように、遺伝子操作(すなわち分子生物学技術)により遺伝子に並置されるものであ
る。例えば、第1の遺伝子と作用可能に組み合わさった内因性プロモーターを単離して除
去し、第2の遺伝子と作用可能に組み合わせて配置することにより、第1の遺伝子を第2
の遺伝子と作用可能に組み合わせた「異種プロモーター」とすることができる。そのよう
な様々な組み合わせを想到する(例えば、第1及び第2の遺伝子は同じ種、または異なる
種に由来することができる)。
【0076】
真核細胞中での組み換えDNA配列の効率的な発現には典型的には、得られる転写産物
の効率的な終結及びポリアデニル化を指令するシグナルの発現が必要である。転写終結シ
グナルは通常、ポリアデニル化シグナルの下流に見出され、数百ヌクレオチド長である。
本明細書で使用する場合、用語「ポリ(A)部位」または「ポリ(A)配列」とは、初期
のRNA転写産物の終結及びポリアデニル化の両方を指令するDNA配列を意味する。ポ
リ(A)尾部を欠く転写産物は不安定であり急速に分解するため、組み換え転写産物の効
率的なポリアデニル化が望まれる。発現ベクターで利用されるポリ(A)シグナルは「異
種」または「内因性」であってよい。内因性ポリ(A)シグナルは自然には、ゲノム内の
所与の遺伝子のコード領域の3’末端において見出される。異種ポリ(A)シグナルは、
ある遺伝子から単離され、別の遺伝子の3’に配置されているものである。一般に使用さ
れる異種ポリ(A)シグナルはSV40ポリ(A)シグナルである。SV40ポリ(A)
シグナルは237bp BamHI/BclI制限断片に含有され、終結及びポリアデニ
ル化の両方を指令する。
【0077】
用語「ベクター」とは、ある細胞から別の細胞にDNAセグメント(複数可)を移す核
酸分子を意味する。用語「ビヒクル」は、「ベクター」と同じ意味で用いられるときがあ
る。
【0078】
用語「発現ベクター」または「発現カセット」とは、所望のコード配列、及び、特定の
宿主生物において作用可能に結合したコード配列の発現のために使用される適切な核酸配
列を含有する組み換え核酸を意味する。原核生物での発現に用いられる核酸配列としては
通常、多くの場合他の配列と合わせて、プロモーター、オペレーター(任意)、及びリボ
ソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終結
及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。
【0079】
用語「宿主細胞」とは、異種遺伝子を複製及び/または転写及び/または翻訳可能な任
意の細胞を意味する。したがって、「宿主細胞」とは、in vitroに位置するか、
またはin vivoに位置するかにかかわらず、任意の真核細胞及び原核細胞(例えば
E.coliなどの細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、トリ細胞、両生類細胞、植物細胞
、魚細胞、及び昆虫細胞)を意味する。例えば、宿主細胞はトランスジェニック動物に位
置してよい。
【0080】
「選択マーカー」とは、人工的な選択または識別(レポート遺伝子)に好適な形質を付
与する(例えば、β-ラクタマーゼは抗生物質耐性を付与する)ポリペプチドをコードす
る組み換えベクター内に導入される核酸であり、β-ラクタマーゼを発現する生命体が、
増殖培地中にて抗生物質が存在する中で生残することを可能にする。別の例はチミジンキ
ナーゼであり、宿主をガンシクロビル選択に対して感受性とする。スクリーニング可能な
マーカーによって、想定される色の有無に基づいて所望の細胞と望ましくない細胞を区別
することが可能となり得る。例えば、lac-z遺伝子は、X-gal(5-ブロモ-4
-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)の存在下にて青色を付与するβ-ガ
ラクトシダーゼ酵素を生み出す。組み換え挿入がlac-z遺伝子を不活化する場合、得
られるコロニーは無色である。1つ以上の選択マーカー、例えば、発現生命体の不能性を
補完して、その増殖(栄養素要求性)に必要な特定の化合物を合成し、増殖のために化合
物を別の毒性化合物に転換可能な酵素が存在してよい。URA3、オロチジン-5’ホス
フェートデカルボキシラーゼはウラシルの生合成に必要であり、ウラシルに栄養素要求性
であるura3変異体を補完することができる。URA3はまた、5-フルオロオロチン
酸を毒性の化合物5-フルオロウラシルに転換する。想到される更なる選択マーカーとし
ては、抗菌耐性を付与する、または蛍光タンパク質を発現する任意の遺伝子が挙げられる
。例としては以下の遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない:ampr、camr
、tetr、ブラストサイジンr、neor、hygr、abxr、ネオマイシンリン酸
転移酵素II型遺伝子(nptII)、p-グルクロニダーゼ(gus)、緑色蛍光タン
パク質(gfp)、egfp、yfp、mCherry、p-ガラクトシダーゼ(lac
Z)、lacZa、lacZAM15、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼ(cat)、アルカリホスファターゼ(phoA)、細菌性ルシフェラーゼ(luxA
B)、ビアラホス耐性遺伝子(bar)、ホスホマンノースイソメラーゼ(pmi)、キ
シロースイソメラーゼ(xylA)、アラビトールデヒドロゲナーゼ(atlD)、UD
P-グルコース:ガラクトース-1-ホスフェートウリジルトランスフェラーゼI(ga
lT)、アントラニル酸シンターゼのフィードバック感受性αサブユニット(OASA1
D)、2-デオキシグルコース(2-DOGR)、ベンジルアデニン-N-3-グルクロ
ニド、E.coliスレオニンデアミナーゼ、グルタメート1-セミアルデヒドアミノト
ランスフェラーゼ(GSA-AT)、D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)、対塩性遺
伝子(rstB)、フェレドキシン様タンパク質(pflp)、トレハロース-6-Pシ
ンターゼ遺伝子(AtTPS1)、リシンラセマーゼ(lyr)、ジヒドロジピコリネー
トシンターゼ(dapA)、トリプトファンシンターゼβ1(AtTSB1)、デハロゲ
ナーゼ(dhlA)、マンノース-6-ホスフェートレダクターゼ遺伝子(M6PR)、
ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)、及びD-セリンアンモニアリア
ーゼ(dsdA)。
【0081】
「標識」とは、別の分子(例えば抗体またはタンパク質)に直接または間接的に結合し
、その分子の検出を容易にする、検出可能な化合物または組成物を意味する。標識の具体
的な非限定例としては、蛍光タグ、酵素結合、及び放射性同位元素が挙げられる。一例で
は、「標識レセプター」とは、レセプターへの異種ポリペプチドの組み込みを意味する。
標識は、放射性標識したアミノ酸の組み込み、または標識したアビジン(例えば、光学的
方法または比色分析法により検出可能な蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプ
トアビジン)により検出可能なポリペプチドへの、ビオチニル部位の共有結合を含む。ポ
リペプチド及び糖タンパク質を標識する様々な方法が当技術分野において既知であり、使
用することができる。ポリペプチド用の標識の例としては、以下が挙げられるがこれらに
限定されない:放射性同位体または放射性ヌクレオチド(35Sまたは131Iなど)、
蛍光標識(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ランタニド蛍
光体など)、酵素標識(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、
ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、第2の
レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(ロイシンジッパー対配列、
第2の抗体用結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)、または磁気性作用物
質(ガドリニウムキレートなど)。いくつかの実施形態において、標識は様々な長さのス
ペーサーアームにより結合され、潜在的な立体障害が低下する。
【0082】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示した配列、またはその多様体も
しくは融合体を含む組み換えポリペプチドに関し、ここで、アミノ酸配列のアミノ末端ま
たは炭素末端は所望により異種アミノ酸配列、標識、またはレポーター分子に結合してい
る。
【0083】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示したポリペプチドまたはその融
合タンパク質をコードする核酸を含む組み換えベクターに関する。
【0084】
特定の実施形態において、組み換えベクターは所望により、哺乳類、ヒト、昆虫、ウイ
ルス、細菌、細菌プラスミド、酵母に関連する複製起点、または遺伝子(遺伝子もしくは
レトロウイルス遺伝子もしくはレンチウイルスLTR、TAR、RRE、PE、SLIP
、CRS、及びINSヌクレオチドセグメントなど)、またはtat、rev、nef、
vif、vpr、vpu、及びvpxから選択される遺伝子、またはgag、pol、及
びenvから選択される構造遺伝子を含む。
【0085】
特定の実施形態において、組み換えベクターは所望により、遺伝子ベクター因子(核酸
)、例えば選択マーカー領域、lacオペロン、CMVプロモーター、ハイブリッドニワ
トリB-アクチン/CMVエンハンサー(CAG)プロモーター、tacプロモーター、
T7 RNAポリメラーゼプロモーター、SP6 RNAポリメラーゼプロモーター、S
V40プロモーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列、cis-作用ウッドス
トック後制御因子(WPRE)、スキャフォールド付着領域(SAR)、逆向き末端反復
配列(ITR)、FLAGタグコード領域、c-mycタグコード領域、金属親和性タグ
コード領域、ストレプトアビジン結合ペプチドタグコード領域、ポリHisタグコード領
域、HAタグコード領域、MBPタグコード領域、GSTタグコード領域、ポリアデニル
化コード領域、SV40ポリアデニル化シグナル、SV40複製起点、Col E1複製
起点、f1起点、pBR322起点、またはpUC起点、TEVプロテアーゼ認識部位、
loxP部位、Creリコンビナーゼコード領域、または、50ヌクレオチド未満もしく
は60ヌクレオチド未満の連続セグメント内に5、6、もしくは7個もしくはそれ以上の
制限部位を有するもの、もしくは、20ヌクレオチド未満もしくは30ヌクレオチド未満
の連続セグメントを有する3もしくは4個もしくはそれ以上の制限部位を有するものなど
の複数のクローニング部位を含む。
【0086】
用語「レポーター遺伝子」とは、アッセイされ得るタンパク質をコードする遺伝子を意
味する。レポーター遺伝子の例としては、変性katushka、mkate及びmka
te2(例えばMerzlyak et al.,Nat.Methods,2007,
4,555-557 及び Shcherbo et al.,Biochem.J.,
2008,418,567-574を参照)、ルシフェラーゼ(例えばdeWet et
al.,Mol.Cell.Biol.7:725(1987)ならびに米国特許第6
,074,859号;同5,976,796号;同5,674,713号;及び同5,6
18,682号(これらすべてが参照により本明細書に組み込まれる)を参照)、緑色蛍
光タンパク質(例えばGenbank受け入れ番号U43284;多数のGFP多様体が
ClonTech Laboratories,Palo Alto,Calif.から
市販されている)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-ガラクトシ
ダーゼ、アルカリホスファターゼ、ならびに西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられるが
、これらに限定されない。
【0087】
遺伝子に言及する際の用語「野生型」とは、天然源から単離した遺伝子の特性を有する
遺伝子を意味する。遺伝子産物に言及する際の用語「野生型」とは、天然源から単離した
遺伝子産物の特性を有する遺伝子産物を意味する。対象物に適用されて本明細書で使用さ
れる用語「天然」とは、対象物が自然において発見可能である事実を意味する。例えば、
自然に源から単離することが可能であり、実験室にて人により意図的に改変されていない
生命体(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然
である。野生型遺伝子は集団にて最も頻繁に観察されるものであり、それ故遺伝子の「通
常」形態または「野生型」形態と、任意に示される。対照的に、遺伝子、または遺伝子産
物に言及する際の用語「改変された」または「変異体」とはそれぞれ、野生型遺伝子また
は遺伝子産物と比較した際に、配列及び/または機能的性質の改変(即ち、変化した特性
)を示す遺伝子または遺伝子産物を意味する。天然の変異体を単離することができること
に注意する;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した際に、変化した特性を
有するという事実によって識別される。
【0088】
用語「アンチセンス」または「アンチゲノム」とは、センス鎖のヌクレオチド残基の配
列に対して、ヌクレオチド残基の配列が逆の5’→3’方向となっているヌクレオチド配
列を意味する。DNA二本鎖の「センス鎖」とは、細胞により自然状態から「センスmR
NA」に転写される、DNA二本鎖中の鎖を意味する。したがって、「アンチセンス」配
列は、DNA二本鎖内の非コード鎖と同じ配列を有する配列である。
【0089】
用語「単離された」とは、天然環境では通常付随する、または相互作用する構成成分を
実質的に含まない生体物質(例えばウイルス、核酸またはタンパク質)を意味する。単離
された材料は所望により、自然環境(例えば細胞)では、その材料と共には見出されない
材料を含む。例えば、材料が細胞などの自然環境に存在する場合、材料は、その環境では
見出されない材料に対してネイティブでない細胞内の位置(例えばゲノムまたは遺伝因子
)に配置されている。例えば、天然核酸(例えばコード配列、プロモーター、エンハンサ
ーなど)は、非天然の手段により、その核酸にネイティブでないゲノム(例えばプラスミ
ドもしくはウイルスベクターなどのベクター、または単位複製配列)の遺伝子座に導入さ
れる場合に、単離される。そのような核酸は「異種」核酸と呼ばれることもある。単離さ
れたウイルスは例えば、野生型ウイルスのネイティブ環境(例えば感染した個体の鼻咽頭
)以外の環境(例えば細胞培養系、または細胞培養からの精製)に存在する。
【0090】
「免疫学的有効量」のRSVとは、RSVへの後の曝露に対して、個体(例えばヒト)
自身の免疫応答を高めるのに十分な量である。誘導された免疫の度合いを、中和分泌及び
/または血清抗体の量を測定することにより、例えばプラーク中和、補体固定、酵素結合
免疫吸着、またはマイクロ中和アッセイにより、監視することができる。
【0091】
RSVに対する「防御免疫応答」とは、個体が後で野生型RSVに曝される、及び/ま
たは野生型RSVに感染する際に、深刻な下気道疾患(例えば肺炎及び/または細気管支
炎)に対して防御的である個体(例えばヒト)により示される免疫応答を意味する。
キメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)
【0092】
天然のRSV粒子は典型的には、マトリックスタンパク質により囲まれているヘリック
スヌクレオカプシド内のウイルスゲノム、及び糖タンパク質を含有するエンベロープを含
有する。ヒト野生型RSVのゲノムは、タンパク質、NS1、NS2、N、P、M、SH
、G、F、M2-1、M2-2、及びLをコードする。G、F、及びSHは糖タンパク質
である。RSVポリメラーゼ活性は、大型タンパク質(L)及びリンタンパク質(P)か
らなる。ウイルスM2-1タンパク質は転写中に使用され、転写酵素複合体の構成成分で
ある可能性がある。ウイルスNタンパク質は、複製中に初期RNAをカプシド形成するの
に使用される。
【0093】
ゲノムは転写され、宿主細胞の細胞質中に複製される。宿主細胞転写は典型的には、1
0個のメチル化mRNA及びポリアデニル化mRNAの合成をもたらす。アンチゲノムは
複製中に作製されるゲノムのセンス方向RNA相補鎖であり、ゲノム合成の鋳型として機
能する。ウイルス遺伝子は保存された遺伝子開始(GS)及び遺伝子終了(GE)配列に
隣接する。ゲノムの3’及び5’末端にはリーダーヌクレオチド及びトレイラーヌクレオ
チドが存在する。野生型リーダー配列は3’末端にプロモーターを含有する。ウイルスポ
リメラーゼがGEシグナルに到達すると、ポリメラーゼはmRNAをポリアデニル化して
放出し、次のGSシグナルにおいてRNA合成を再び開始する。L-P複合体は、プロモ
ーターの認識、RNA合成、mRNAの5’末端のキャッピング及びメチル化、ならびに
mRNAの3’末端のポリアデニル化を担うと考えられている。ポリメラーゼは接合部に
おいて遺伝子から乖離する場合があると考えられている。ポリメラーゼはゲノムの3’末
端において転写を開始するため、ゲノムの3’末端の遺伝子は5’末端の遺伝子よりも頻
繁に転写されて、発現の勾配がもたらされる。
【0094】
ゲノムを複製するために、ポリメラーゼはcis-作用GE及びGSシグナルに応答せ
ず、ゲノムのセンス方向RNA相補鎖、つまりアンチゲノムを生成する。アンチゲノムの
3’末端にはトレイラーの相補鎖が存在し、これはプロモーターを含有する。ポリメラー
ゼはこのプロモーターを使用して、ゲノムセンスRNAを生成する。裸のRNAとして放
出されるmRNAとは異なり、アンチゲノム及びゲノムRNAは合成されると、ウイルス
核タンパク質(N)でカプシド形成される。
【0095】
ウイルスmRNAの翻訳後、完全長(+)アンチゲノムRNAは、(-)RNAゲノム
を複製するための鋳型として生成される。感染性組み換えRSV(rRSV)粒子は、ト
ランスフェクションしたプラスミドから回収されてよい。RSV N、P、L、及びM2
-1タンパク質と完全長アンチゲノムRNAの同時発現は、RSV複製のためには十分で
ある。Collins et al.,Proc Natl Acad Sci U S
A.,1995,92(25):11563-11567、及び米国特許第6,790
,449号を参照のこと。
【0096】
特定の実施形態において、本開示は、RSV Fポリペプチドの特定の望ましい配列、
及びこれをコードする組み換え核酸に関する。特定の実施形態において、本開示は、これ
らのポリペプチドをコードする核酸を含む組み換えベクター、及び前記ベクターを含む細
胞を想到する。特定の実施形態において、ベクターは選択マーカーまたはレポーター遺伝
子を含む。
【0097】
RSVを保管する一般的なベクターとしては、プラスミド及び細菌人工染色体(BAC
)が挙げられる。典型的には、細菌人工染色体は、選択マーカーと作用可能に組み合わさ
った、因子FのoriS、repE、parA、及びparB遺伝子からなる群から選択
される1つ以上の遺伝子、例えば、抗生物質への耐性を付与する遺伝子を含む。核酸配列
は、所望により変異したウイルス、例えば所望により変異したRSV株のゲノムまたはア
ンチゲノム配列であってよい。
【0098】
E.coli細菌中でRSVを培養することは、細菌人工染色体(BAC)を利用する
ことにより達成可能である。RSVを保存して遺伝子組み換えするためのBACベクター
は、Stobart et al.,Methods Mol Biol.,2016,
1442:141-53及び米国特許公開第2012/0264217号に報告されてい
る。開示したBACは、F遺伝子を除いて呼吸器合胞体ウイルス(RSV)株A2の完全
なアンチゲノム配列を含有し、これはRSV株系列19のアンチゲノム配列である。ヘル
パープラスミドと共に、感染性ウイルスを回収するためのリバースジェネティクスシステ
ムにおいてこれを使用することができる。プラスミド上のアンチゲノム配列をウイルス回
収の前に変異させて、所望の変異を有するウイルスを生成することができる。
【0099】
特定の実施形態において、本開示は、BAC遺伝子及びRSVアンチゲノムを含むベク
ターを単離した真核細胞に挿入することと、RSVヴィリオンが形成される条件下にて、
RSVのNタンパク質をコードするベクター、RSVのPタンパク質をコードするベクタ
ー、RSVのLタンパク質をコードするベクター、RSVのM2-1タンパク質をコード
するベクターからなる群から選択される1つ以上のベクターを細胞に挿入することと、を
含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)粒子の作製方法に関する。ベクターを細胞に挿入
することは、ベクターが細胞に入る条件下にて、物理的に注入することにより、エレクト
ロポレーションにより、または細胞とベクターを混合することにより行うことができる。
【0100】
キメラRSVは、特定の変異、欠失、または多様体の組み合わせ、例えばrA2cp2
48/404/1030ΔSHなどの、RSVの冷却継代(cp)非温度感受性(ts)
誘導体であるcpRSVを含むことが想到される。rA2cp248/404ΔSHは、
4つの独立した弱毒化遺伝因子:共にcpRSVの非ts弱毒化表現型をもたらすN及び
Lタンパク質、ならびにF糖タンパク質中の5個のミスセンス変異に基づくcp;ts2
48(Lタンパク質中のミスセンス変異);ts404(M2遺伝子の遺伝子開始転写シ
グナルにおけるヌクレオチド置換);及びΔSH(SH遺伝子の完全な欠失)を含有する
。rA2cp248/404/1030ΔSHは5個の独立した弱毒化遺伝因子を含有し
、これらはrA2cp248/404ΔSH及びts1030(Lタンパク質中の別のミ
スセンス変異)に存在する。Karron et al.,J Infect Dis.
,2005,191(7):1093-1104(参照により本明細書に組み込まれる)
を参照のこと。特定の実施形態の中では、RSVアンチゲノムは、可欠遺伝子(例えばS
H、NS1、NS2、及びM2-2遺伝子)における欠失もしくは変異、またはこれらの
組み合わせを含有することができると想到される。
【0101】
遺伝子コードの縮退により、個々のアミノ酸は複数のコドン配列(同義コドンと呼ばれ
る場合がある)によりコードされる。異なる種において、同義コドンは多かれ少なかれ頻
繁に用いられ、場合によってはコドンバイアスと呼ばれる。以下で示される同義コドンを
遺伝子組換えして遺伝子のコード配列にすることにより、タンパク質のアミノ酸配列を変
更することなく、タンパク質翻訳の速度低下がもたらされることが示されている。Mue
ller et al.は、コドンバイアス中の変化によるウイルスの弱毒化について報
告している。Science,2008,320:1784を参照のこと。WO2008
121992号、及びWO2006042156号、Burns et al.,J V
irology,2006,80(7):3259、及びMueller et al.
,J Virology,2006,80(19):9687もまた参照のこと。
【0102】
RSVにおけるコドン非最適化の使用については、Meng,et al.,MBio
5,e01704-01714(2014)及び米国特許公開第2016/00305
49号で報告されている。特定の実施形態において、本開示は、単離された核酸、コドン
非最適化による組み換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、それから作製されるワクチン
、及びこれらに関係するワクチン接種方法に関する。特定の実施形態において、コドン非
最適化は非構造化遺伝子NS1及びNS2、所望により遺伝子G、及び所望により遺伝子
Lに存在する。更なる実施形態では、遺伝子SHが欠失される。更なる実施形態では、遺
伝子Fが変異される(例えば、位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び位
置371にY、及び位置557にVのアミノ酸パターンを有するRSV Fタンパク質)
。
【0103】
特定の実施形態において、本開示は、野生型ヒトRSVまたは多様体の非最適化遺伝子
NS1及び/またはNS2、ならびに所望により遺伝子G及び所望により遺伝子Lをコー
ドする単離された核酸に関し、ヌクレオチドは、Glyを生成するコドンがGGT、As
pを生成するコドンがGAT、Gluを生成するコドンがGAA、Hisを生成するコド
ンがCAT、Ileを生成するコドンがATA、Lysを生成するコドンがAAA、Le
uを生成するコドンがCTA、Asnを生成するコドンがAAT、Glnを生成するコド
ンがCAA、Valを生成するコドンがGTA、またはTyrを生成するコドンがTAT
、またはこれらの組み合わせとなるように置換されている。特定の実施形態において、単
離された核酸の遺伝子は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10子、または
全ての個々のコドンの組み合わせを更に含む。特定の実施形態において、単離された核酸
中の遺伝子は、少なくとも20、30、40、または50個、またはそれ以上のコドンを
含む。
【0104】
特定の実施形態において、本開示は本明細書にて開示する単離された核酸に関し、ヌク
レオチドは、Alaを生成するコドンがGCG、Cysを生成するコドンがTGT、Ph
eを生成するコドンがTTT、Proを生成するコドンがCCG、Argを生成するコド
ンがCGT、Serを生成するコドンがTCG、またはThrを生成するコドンがACG
、またはこれらの組み合わせとなるように置換されている。特定の実施形態において、核
酸を含有する遺伝子は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16個、または全ての個別のコドンの組み合わせを含む。特定の実
施形態において、単離された核酸の遺伝子は、少なくとも20、30、40、または50
個、またはそれ以上のコドンを更に含む。
【0105】
Glenn et al.は、妊娠可能年齢の健康な女性における、呼吸器合胞体ウイ
ルス組み換え融合(F)ナノ粒子ワクチンの、無作為化盲検対照の用量範囲研究について
報告している(J Infect Dis.2016,213(3):411-22)。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書で報告される変異Fタンパク質を含有する
ウイルス粒子及びウイルス様粒子(VLP)に関する。ウイルス粒子は一般に、不活化ワ
クチン(または死菌ワクチン)として使用される。RSVは培養液中で増殖し、その後熱
またはホルムアルデヒドなどの方法を使用して死菌することができる。弱毒生ワクチンは
典型的には、複製速度及び/または感染速度が遅くなるように、弱められる。
【0106】
特定の実施形態において、本開示は、全体のウイルスワクチンとしてのキメラRSV粒
子、例えば、RSVのゲノムが非複製性である、または非感染性となるように、熱、化学
物質、または放射線に曝される全体のウイルス粒子を想到する。特定の実施形態において
、本開示は、界面活性剤を使用してウイルスを破壊し、本明細書にて開示した変異Fタン
パク質を抗原として精製し、免疫系を刺激してウイルスに対する応答をマウントすること
により作製される、スプリットウイルスワクチン中のキメラRSV粒子を想到する。
【0107】
VLPは成熟ヴィリオンに近似しているが、ウイルスゲノム材料(すなわちウイルスゲ
ノムRNA)を含有しない。したがって、VLPは自然では非複製性である。更に、VL
Pはその表面上にタンパク質を発現することができる。更に、VLPはインタクトなヴィ
リオンに似て、多価の粒子状構築物であるため、VLPは表面タンパク質への抗体の中和
を誘発するのに効果的であることができる。VLPは反復投与することができる。
【0108】
特定の実施形態において、本開示は、表面上に本明細書にて開示した変異Fタンパク質
、及びインフルエンザウイルスマトリックス(M1)タンパク質核を含むVLPを想到す
る。Quan et al.は、インフルエンザウイルスマトリックス(M1)タンパク
質核及び表面上のRSV-Fで作製されたウイルス様粒子の作製方法について報告してい
る(J Infect Dis.2011,204(7):987-995)。RSV
F及びインフルエンザM1を発現する組み換えバキュロウイルス(rBV)を生成し、作
製のためにこれを昆虫細胞にトランスフェクションすることができる。
使用方法
【0109】
特定の実施形態において、本開示は、免疫学的有効量のキメラ呼吸器合胞体ウイルス(
RSV)、RSVポリペプチド、RSV粒子、RSVウイルス様粒子、及び/または本明
細書にて開示した核酸を含む免疫原性組成物に関する。特定の実施形態において、本開示
は、個体の免疫系を刺激して、RSVに対する防御免疫応答を生み出す方法に関する。特
定の実施形態において、免疫学的有効量のキメラRSV、ポリペプチド、及び/または本
明細書にて開示した核酸を、生理学上許容できる担体中から個体に投与する。
【0110】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示した使用のための、本明細書に
て開示した核酸を含む薬剤及びワクチン製品に関する。
【0111】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書にて開示した使用のための薬剤を製造す
るための、本明細書にて開示した核酸またはベクターの使用に関する。
【0112】
本開示は、他の種類の弱毒化変異体を分析し、それらをワクチンまたは他の使用のため
にキメラRSVに組み込む技能もまた提供する。例えば、マウスの肺炎ウイルスの、組織
培養適合性の非病原性株(RSVのマウス等価物)は、Gタンパク質の細胞質尾部を欠い
ている(Randhawa et al.,Virology 207:240-245
(1995))。類推により、RSV糖タンパク質、F、G、及びSHのそれぞれの細胞
質及び膜貫通ドメインを欠失または改変して、弱毒化を達成することができる。
【0113】
本開示の感染性RSVで使用するための他の変異としては、RSVミニゲノムの変異分
析中に識別されるcis-作用シグナルでの変異が挙げられる。例えば、リーダー及びト
レイラー及びフランキング配列の挿入分析及び欠失分析はウイルスプロモーター及び転写
シグナルを識別し、RNA複製または転写の様々な減少度合いに関連する、一連の変異を
もたらす。これらのcis-作用シグナルの飽和突然変異誘発(これにより、各位置がヌ
クレオチド代替物のそれぞれに改変される)はまた、RNA複製または転写を減少させた
(またはある場合によっては増加させた)多くの変異を識別している。これらの変異のい
ずれかを、本明細書に記載した完全アンチゲノムまたはゲノムに挿入することができる。
他の変異は、ゲノムの3’末端をアンチゲノムからの等価物で置換することを伴い、これ
はRNA複製及び転写における変化に関係している。更に、遺伝子間領域(Collin
s et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4594-
4598(1986)、参照により本明細書に組み込まれている)を短くする、または配
列含量を伸ばすまたは変更することができ、また、天然遺伝子のオーバラップ(Coll
ins et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:513
4-5138(1987)、参照により本明細書に組み込まれている)を、本明細書記載
の方法により除去する、または異なる遺伝子間領域に変更することができる。
【0114】
ワクチン使用のために、本開示に従って作製したウイルスをワクチン配合物中で直接使
用することができる、または、所望により当業者に周知の凍結乾燥法を使用して凍結乾燥
することができる。凍結乾燥したウイルスは典型的には、約4℃にて維持される。使用準
備が整ったときに、凍結乾燥したウイルスを安定化溶液(例えばSPG、Mg、及びHE
PESを含む生理食塩水)中で、更に後述するアジュバントと共に、またはアジュバント
なしで再構築する。
【0115】
典型的には、本開示のRSVワクチンは活性成分として、本明細書に記載のとおりに作
製した、免疫学的有効量のRSVを含有する。改変したウイルスを、生理学上許容できる
担体及び/またはアジュバントを用いて対象に導入してよい。有用な担体は当該技術分野
において周知であり、例えば、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒ
アルロン酸などが挙げられる。得られる水溶液をそのまま使用するためにパッケージ化す
る、または凍結乾燥してよく、凍結乾燥した配合物は、上述したとおりに投与前に滅菌溶
液と混合する。組成物は、例えばpH調整及び緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤などの、生理
学的条件に近づけるために必要な製薬上許容できる補助物質、例えば酢酸ナトリウム、乳
酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリル酸ソルビ
タン、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含有してよい。許容されるアジュバントと
しては、不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ま
たはミョウバンが挙げられ、これらは当該技術分野において周知の材料である。
【0116】
本明細書に記載したRSV組成物を用いて、エアゾール、液滴、経口、局所、または他
の経路により免疫付与すると、対象の免疫系は、RSVウイルスタンパク質(例えばF糖
タンパク質)に特異的な抗体を産生することにより、ワクチンに応答する。ワクチン接種
の結果、対象はRSV感染症に対して少なくとも部分的にまたは完全に免疫性となる、あ
るいは、中程度または深刻な(特に下気道の)RSV感染症の進行に対して耐性がつく。
【0117】
ワクチンが投与される対象は、RSVまたは密接に関係したウイルスによる感染症を受
けやすい任意の哺乳類であることができ、この対象は、ワクチン接種株の抗原に対する防
御免疫応答を生み出すことができる。したがって、好適な対象としては、ヒト、非ヒト霊
長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、齧歯類などが挙げられる。したがって
、本開示は、様々なヒト及び獣医学使用のためのワクチンの作製方法を提供する。
【0118】
本開示のRSVを含有するワクチン組成物を、RSV感染症に感染しやすい、さもなく
ばRSV感染症のリスクにある対象に投与し、対象自身の免疫応答能力を向上させる。こ
のような量は「免疫原性的有効量」と定義される。この使用において、正確な量もまた、
対象の健康状態及び体重、投与方法、製剤の性質に依存する。ワクチン製剤は、深刻な、
または生命を脅かすRSV感染症から対象患者を効果的に防御するのに十分な量の、本開
示の改変RSVを提供しなければならない。
【0119】
本開示に従い作製するRSVを他の亜型または株のウイルスと組み合わせて、複数のR
SV亜型または株からの防御を達成することができ、または、これらの株の防御エピトー
プを、本明細書に記載したとおりにあるウイルスに組み換えることができる。典型的には
、異なるウイルスは混合物であり同時に投与されるが、個別に投与されてもよい。例えば
、2つのRSV亜型のF糖タンパク質はアミノ酸配列が約11%しか異ならないため、こ
の類似性は、RSVまたはF抗原で免疫付与され、異種株を抗原投与された動物で観察さ
れる交差防御免疫応答の基準となる。したがって、ある株による免疫付与は、同一または
異なる亜型の異なる株を防御することができる。
【0120】
場合によっては、本開示のRSVワクチンを、他の作用物質(特に他の小児ウイルス)
との防御応答を誘導するワクチンと組み合わせるのが望ましいことがある。例えば、本開
示のRSVワクチンを、Clements et al.,J.Clin.Microb
iol.29:1175-1182(1991)(参照により本明細書に組み込まれてい
る)に記載されているように、パラインフルエンザウイルスワクチンと同時に投与するこ
とができる。本開示の別の態様では、本明細書に記載した感染性RSVを生み出すために
使用されるRSVゲノムまたはアンチゲノムに、防御抗原をコードする配列を組み込むこ
とにより、RSVを、パラインフルエンザなどの他の気道病原体のこれらの防御抗原に対
するベクターとして使用することができる。
【0121】
本開示のワクチン組成物の単回投与または複数回投与を行うことができる。新生児及び
乳児において、十分な程度の免疫を誘発するために、複数回の連続投与が必要となる場合
がある。投与は、ネイティブ(野生型)RSV感染症に対する十分な程度の防御を維持す
る必要に応じて、生後1ヶ月以内、または約2ヶ月となる前、典型的には6ヶ月以内に、
及び、小児期を通しての間隔、例えば2ヶ月、6ヶ月、1年及び2年で開始してよい。同
様に、繰り返し、または深刻なRSV感染症に特に罹りやすい成人、例えばヘルスケアワ
ーカー、デイケアワーカー、幼児の家族、高齢者(55歳、60歳、もしくは65歳より
上)、または心肺機能が損なわれた個人などは、複数の免疫付与により防御免疫応答を確
立する、及び/または維持する必要がある場合がある。誘発される免疫の程度は、中和分
泌及び血清抗体の量を測定すること、ならびに、所望の程度の防御を維持することに応じ
た、調節される投与量または反復される免疫付与により監視することができる。更に、異
なるレシピエント群に対しては異なるワクチンウイルスが有利となる場合がある。例えば
、T細胞エピトープ内で追加のタンパク質を豊富に発現する組み換えRSV株は、乳児で
はなく成人に対して特に有利であり得る。
【0122】
本開示の更に別の態様では、RSVは気道の一過性遺伝子治療のためのベクターとして
使用される。本実施形態に従うと、組み換えRSVゲノムまたはアンチゲノムは、対象の
遺伝子産物をコード可能な配列を組み込む。対象の遺伝子産物は、RSV発現を制御する
、それ同じ、またはそれとは異なるプロモーターの制御下にある。組み換えRSVゲノム
またはアンチゲノムと、N、P、L、及びM2-1タンパク質とを同時発現することによ
り作製され、対象の遺伝子産物をコードする配列を含有する感染性RSVを患者に投与す
る。投与は典型的には、治療される患者の気道への、エアゾール、ネブライザ、または他
の局所適用によるものである。組み換えRSVを、治療または予防水準の所望の遺伝子産
物の発現をもたらすのに十分な量で投与する。本方法で投与される代表的な遺伝子産物の
例としては、例えば、一時的発現に特に好適なものをコードするもの、例えば、インター
ロイキン-2、インターロイキン-4、γ-インターフェロン、GM-CSF、G-CS
F、エリスロポエチン、及び他のサイトカイン、グルコセレブロシダーゼ、フェニルアラ
ニンヒドロキシラーゼ、嚢胞性線維症膜貫通型コンダクタンス制御因子(CFTR)、ヒ
ポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、細胞毒素、癌抑制因子遺伝
子、アンチセンスRNA、及びワクチン抗原が挙げられる。
【0123】
特定の実施形態において、本開示は、本発明の免疫学的有効量の組み換えRSV(例え
ば弱毒生組み換えRSVもしくは不活化非複製RSV)、本明細書にて開示した免疫学的
有効量のポリペプチド、及び/または本明細書にて開示した免疫学的有効量の核酸を含む
免疫原性組成物(例えばワクチン)に関する。
【0124】
特定の実施形態において、本開示は、個体の免疫系を刺激して、RSVに対する防御免
疫応答を生み出す方法に関する。本方法において、本明細書にて開示した免疫学的有効量
の組み換えRSV、本明細書にて開示した免疫学的有効量のポリペプチド、及び/または
本明細書にて開示した免疫学的有効量の核酸を、生理学上許容できる担体中から個体に投
与する。
【0125】
典型的には、担体または賦形剤は、製薬上許容できる担体または賦形剤、例えば滅菌水
、食塩水溶液、緩衝生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、エタノー
ル、またはこれらの組み合わせである。無菌性、pH、等張性、及び安定性を確保するこ
のような溶液の調製を、当該技術分野において確立された手順に従いもたらす。一般的に
は、担体または賦形剤は、アレルギー効果及び他の望ましくない効果を最小限に抑え、特
定の投与経路、例えば皮下、筋肉内、経鼻、経口、局所などに適するように選択する。得
られる水溶液を、例えばそのまま使用するためにパッケージ化する、または凍結乾燥する
ことができ、凍結乾燥した配合物を、投与前に滅菌溶液と混合する。
【0126】
特定の実施形態において、RSVの1種以上の株に特異的な免疫応答を刺激するのに十
分な量でRSV(またはRSV構成成分)を投与する(例えば、免疫学的有効量のRSV
またはRSV構成成分を投与する)。RSVの投与は防御免疫応答を誘発するのが好まし
い。RSVへの防御免疫応答を生み出すのに適合した、抗ウイルス性の防御免疫応答を誘
発するための投与量及び方法が当業者に既知である。例えば、米国特許第5,922,3
26号、Wright et al.(1982)Infect.Immun.37:3
97-400;Kim et al.(1973)Pediatrics 52:56-
63;及びWright et al.(1976)J.Pediatr.88:931
-936を参照のこと。例えば、ウイルスは、投与される用量1回あたり、約103~1
06pfu(プラーク形成単位)(例えば、投与される用量1回あたり104~105p
fu)の範囲でもたらすことができる。典型的には、用量は、例えば年齢、健康状態、体
重、性別、食事、投与形態及び投与時間、ならびに他の臨床的因子に基づいて調節される
。ワクチン製剤は、例えば針及びシリンジ、または無針注射装置を使用した皮下または筋
肉注射により、全身投与することができる。ワクチン製剤は、例えばドロップ、エアゾー
ル(例えば大粒子エアゾール(約10μmより大きい))、または上気道へのスプレーに
より、経鼻投与されるのが好ましい。上記送達経路のいずれでも全身防御免疫応答はもた
らされるが、経鼻投与は、ウイルス侵入部位における粘膜免疫を誘発させるという、更な
る利点をもたらす。経鼻投与に関して、弱毒生ウイルスワクチン、例えば、弱毒化冷却適
合性及び/または温度感受性組み換えRSV、例えばキメラ組み換えRSVが、多くの場
合好ましい。弱毒生ウイルスワクチンの代替物として、またはこれに加えて、Walsh
et al.(1987)J.Infect.Dis.155:1198-1204及
びMurphy et al.(1990)Vaccine 8:497-502により
提案されているように、例えば死菌ウイルスワクチン、核酸ワクチン、及び/またはポリ
ペプチドサブユニットワクチンを使用することができる。
【0127】
特定の実施形態において、弱毒化組み換えRSVはワクチンで使用されるとおりであり
、ウイルス構成成分(例えば本明細書における核酸またはポリペプチド)がワクチンまた
は免疫原性構成成分として使用される実施形態において、感染症の症状、または深刻な感
染症の少なくとも症状が、弱毒化RSVを免疫付与された(別様においてはこれに感染し
た)大部分の個体で発生しないように、十分に弱毒化されている。しかし、毒性は、中程
度または深刻な下気道感染症が、ワクチン接種した、または随伴性の対象では典型的には
生じないように典型的には十分に無効となっている。
【0128】
単回投与による防御免疫応答の刺激が好ましいが、同一または異なる経路により更なる
用量を投与して、所望の予防効果を達成することができる。例えば、新生児及び乳児にお
いて、十分な程度の免疫を誘発するために、複数回投与が必要となる場合がある。野生型
RSV感染症に対する、十分な程度の防御を維持する必要に応じて、投与は小児期全体の
間隔にて継続することができる。同様に、繰り返し、または深刻なRSV感染症に特に罹
りやすい成人、例えばヘルスケアワーカー、デイケアワーカー、幼児の家族、高齢者、ま
たは心肺機能が損なわれた個人などは、複数の免疫付与により防御免疫応答を確立する、
及び/または維持する必要がある場合がある。例えばウイルス中和分泌及び血清抗体の量
、ならびに、所望の防御水準を誘発及び維持する必要に応じて、調節される用量または反
復ワクチン接種を測定することにより、誘発される免疫の度合いを監視することができる
。
【0129】
あるいは、免疫応答を、ウイルスによる、樹状細胞のex vivoまたはin vi
vo標的化により刺激することができる。例えば、増殖樹状細胞をウイルスに、樹状細胞
によるRSV抗原の捕捉を可能にするのに十分な量、かつ十分な時間曝す。次に、標準的
な静脈内移植法によりワクチン接種される対象に細胞を移す。
【0130】
所望により、RSVを投与するための製剤は、RSV抗原に対する免疫応答を向上させ
るための1つ以上のアジュバントもまた含有する。想到されるアジュバントとしては、A
lhydrogel(登録商標)及びAdjuphos(登録商標)が挙げられる。想到
されるアジュバントとしては水中油型エマルションが挙げられ、これは、油が水相中で溶
質として機能し、乳化剤により安定化された、分離した液滴を形成する。特定の実施形態
において、エマルションは、界面活性剤としてのトリオレイン酸ソルビタン及びポリソル
ベート-80(PS80)などの追加の乳化剤を含む、スクアレンまたはα-トコフェロ
ール(ビタミンE)を含有する。特定の実施形態において、エマルションは、グルコピラ
ノシルリピドA(GLA)を含有する。GLAを単独で、またはスクアレンベースの水中
油型安定エマルション(SE)中のいずれかで、キメラRSV、粒子、またはRSV F
タンパク質と共に製剤化することができる。Iyer et alは、呼吸器合胞体ウイ
ルス融合タンパク質(RSV-F)を使用した、異なる粒径の水中油型アジュバントにつ
いて報告している(Hum Vaccin Immunother,2015,11(7
):1853-1864)。
【0131】
好適なアジュバントとしては、例えば、完全フロイントアジュバント、不完全フロイン
トアジュバント、サポニン、ミネラルゲル(水酸化アルミニウムなど)、界面活性基剤(
リゾレシチンなど)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油または炭化
水素エマルション、カルメット・ゲランウシ型結核菌(BCG)、コリネバクテリウムパ
ルブム、及び合成アジュバントQS-21が挙げられる。
【0132】
所望する場合、RSVの予防ワクチン投与を、1つ以上の免疫活性化分子の投与と共に
実施することができる。免疫活性化分子としては、免疫活性、免疫強化及び炎症活性を有
する様々なサイトカイン、リンホカイン及びケモカイン、例えばインターロイキン(例え
ばIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-12、IL-13);増殖因子(例
えば顆粒球-マクロファージ(GM)-コロニー刺激因子(CSF));及び他の免疫活
性化分子、例えばマクロファージ炎症性因子、Flt3リガンド、B7.1;B7.2な
どが挙げられる。免疫活性化分子はRSVと同じ製剤で投与することができる、または個
別に投与することができる。タンパク質、またはタンパク質をコードする発現ベクターの
いずれかを投与して、免疫活性効果を生み出すことができる。
【0133】
個体に特定の亜型の特定の株の弱毒化RSVをワクチン接種させることは、異なる株及
び/または亜型のRSVに対する交差防御を誘導することができるものの、所望する場合
、少なくとも2種の株(例えばそれらのそれぞれが異なる亜型を示す)からの弱毒化RS
Vを個体にワクチン接種させることにより交差防御を高めることができる。同様に、弱毒
化RSVワクチンを所望により、他の病原菌に対して防御免疫応答を誘発するワクチンと
組み合わせることができる。
キメラRSVウイルスの組み立てと救助
【0134】
以下の組み換えウイルス:A2、A2-系列19F、A2-系列19F(M79I)、
A2-系列19F(R191K)、A2-系列19F(K357T)、A2-系列19F
(Y371N)、A2-系列19F(I557V)、A2-系列19F(K357T/Y
371N)、及びA2-mKate2-2-20F/Gを、以下に記載の通りに準備した
:
Hotard et al.Identification of residues
in the human respiratory syncytial virus
fusion protein that modulate fusion act
ivity and pathogenesis.J Virol 89,512-52
2(2015)
Meng et al.Respiratory Syncytial Virus A
ttachment Glycoprotein Contribution to I
nfection Depends on the Specific Fusion
Protein.Journal of virology 90,245-253(2
015)
Hotard et al.A stabilized respiratory sy
ncytial virus reverse genetics system am
enable to recombination-mediated mutagen
esis.Virology 434,129-136(2012)。
【0135】
OE4用の細菌人工染色体(BAC)構築物を、A2-mKate2-系列19F(I
557V)を含有する公開されているBACを改変することにより生成した。モノマーの
Katushka 2(mKate2、K)(赤外蛍光性レポーター)用遺伝子は、RS
V抗原cDNAの第1の遺伝子の位置に存在する。mKate2をこの位置に含めること
により、in vitroで、またはマウス中でRSVは弱毒化しなかった。SHの欠失
(ΔSH)を、組み換えが介在する突然変異誘発(リコンビニアリング)により行った。
以下のオリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies
/IDT)を使用して、単位複製配列末端が標的部位に相同であり、SHをgalKで置
き換えるようにgalKカセットをPCR増幅した:dSH50f(配列番号:5)5’
-AGATCTAGTACTCAAATAAGTTAATAAAAAATATACACA
TGGACGTCCATCCTGTTGACAATTAATCATCGGCA-3’)(
ここで、下線部分はBAC中のSH遺伝子開始のすぐ50nt上流を示す)、及びdSH
50r(配列番号:6)5’-GTCTTAGCGGTGCGTTGGTCCTTGTT
TTTGGACATGTTTGCATTTGCCCCTCAGCACTGTCCTGCT
CCTT-3’)(ここで、下線部分はBAC中のG遺伝子開始から始まる50ntの相
補鎖を表す)。プライマーの下線を引いていない部分は、記載したとおりにgalKカセ
ットに特異的である。E.coliでの組み換えは、遺伝子開始の開始部からSH-G遺
伝子間領域の末端にかけて、SHのgalKカセットでの置き換えをもたらした。以下の
相補オリゴヌクレオチドをアニールし、リコンビニアリングの第2ステップにおけるga
lKカセットの取り除きに使用した:dSH100f(配列番号:7)5’-AGATC
TAGTACTCAAATAAGTTAATAAAAAATATACACATGGACG
TCCATGGGGCAAATGCAAACATGTCCAAAAACAAGGACCA
ACGCACCGCTAAGAC-3’)、及びdSH100r(配列番号:8)5’-
GTCTTAGCGGTGCGTTGGTCCTTGTTTTTGGACATGTTTG
CATTTGCCCCATGGACGTCCATGTGTATATTTTTTATTAA
CTTATTTGAGTACTAGATCT-3’)。SHの正確な欠失を、配列決定し
てA2-K-ΔSH-系列19F(I557V)BACを入手することにより確認した。
【0136】
ヒトコドン非最適化NS1及びNS2コード領域(dNSh)を、A2-dNShの回
収に用いたBACから分解し、A2-K-ΔSH-系列19F(I557V)BACにラ
イゲーションし、A2-K-dNSh-ΔSH-系列19F(I557V)を得た。この
構築物を、OE4+野生型A2 G(OE4+wtGと呼ばれる)の回収のために使用し
た。ヒトコドン使用バイアスに基づく、最も頻繁に使用しなかったあらゆるコドンの、A
2のRSV G配列へのコンピュータによる置換により、Gのコドン非最適化を実施した
。点突然変異(M48I)を導入して、Gの分泌形態を取り除いた。コドン非最適化G(
dG)のコード領域をGenScriptにより合成し、制限分解、及びA2-K-dN
Sh-ΔSH-系列19F(I557V)BACへのライゲーションによりクローニング
し、A2-K-dNSh-ΔSH-dG-系列19F(I557V)を得、OE4用のB
ACを回収した。
【0137】
上述の方法によりBuenos AiresコンセンサスF(BAF)遺伝子配列をO
E4+wtG BACにクローニングすることにより、BAFを救出するためのBACを
生成した。系列19F残基K357及びY371をBAFコード配列に導入することによ
り、BAF-357/371を生成した。A2-ΔM2-2を救出するためのBACをリ
コンビニアリングにより生成した。既に行ったように、M2-2のΔM2-238234
nt(7番目のコドンから終止コドン)を欠失した。以下のオリゴヌクレオチドを使用し
て、リコンビニアリングの第1ステップ用にgalKカセットをPCR増幅した:del
M2-1-f(配列番号:9)5’-TTAGTGATACAAATGACCATGCC
AAAAATAATGATACTACCTGACAAATACCTGTTGACAATT
AATCATCGGCA-3’)、及びdelM2-2-r(配列番号:10)5’-A
TTGTTTGAATTAATAATGTAACGATGTGGTGAGTGTTAGA
ATTGAGTGTTCAGCACTGTCCTGCTCCTT-3’)。以下の相補オ
リゴヌクレオチドをアニールして、第2のリコンビニアリングステップのために使用した
:M22_100f(配列番号:11)5’-TTAGTGATACAAATGACCA
TGCCAAAAATAATGATACTACCTGACAAATAACACTCAAT
TCTAACACTCACCACATCGTTACATTATTAATTCAAACAA
T-3’)、及びM22_100r(配列番号:12)5’-ATTGTTTGAATT
AATAATGTAACGATGTGGTGAGTGTTAGAATTGAGTGTTA
TTTGTCAGGTAGTATCATTATTTTTGGCATGGTCATTTGT
ATCACTAA-3’)。標的化した234ntの正確な欠失を配列決定により確認し
た。
【0138】
組み換えウイルスをBSR-T7/5細胞内で救助し、ウイルスストックをベロ細胞内
で増殖させた。
【0139】
コットンラット抗血清におけるRSV nAb力価の定量化に使用されるRSV株のパ
ネルをまず、以下のA及びB株のF及びG遺伝子のcDNA(GeneArt,Invi
trogen)を合成することにより生成した:RSVA/1998/12-21(JX
069802)、Riyadh A/91/2009(JF714706/JF7147
10);ならびにRSV B株NH1276(JQ680988/JQ736678)、
9320 (AY353550)、及びTX11-56(JQ680989JQ7366
79)。制限分解及びライゲーションにより、G及びF遺伝子断片をA2-K BACに
クローニングし、レポーターウイルスをBSR-T7/5細胞にトランスフェクションし
て回収し、その後HEp-2細胞にストックを増殖させた。
【0140】
RSV N、P、M2-1、またはLタンパク質を発現した、4つのヒトコドン最適化
ヘルパープラスミドを有するRSV抗原BACをBSR T7/5細胞にコトランスフェ
クションすることにより組み換えウイルスを回収した。ワクチン株のマスター及び機能ウ
イルスストックを、後で増殖させてベロ細胞内で回収した。
プレ-F抗原ELISA
【0141】
ウイルスアリコートを解凍してMEMに希釈し、高力価の懸濁原液を得た。100μL
の各ウイルス懸濁原液をCostar Assay Plate,High Bindi
ng(Corning)の3個1組のウェルに添加した。プレートを覆い、室温で一晩イ
ンキュベートした。翌日、ウイルス懸濁液をプレートから取り出し、プレートを、ウェル
1個あたり150μLのPBS-Tween(PBST、PBS中に0.05%のTwe
en20)で一度洗浄した後、ブロッキングのためにウェル1個あたり150μLの5%
BSA(PBS中)を添加した。プレートを室温で2時間インキュベートした。ヒトコド
ン最適化VH及びVL配列を使用したHEK293-X2FreeStyle細胞中での
Uタンパク質発現により、プレ-F特異的mAb MPE839を生成した。プレ-F及
びポスト-Fを結合するモタビズマブmAbを、Nancy Ulbrandt(Med
Immune/AZ)から得た。抗体をPBS中で1μg/mLまで希釈することにより
、MPE8及びモタビズマブ抗体を調製し、その後1%BSA中で連続希釈することによ
り、1:10,000~1:320,000まで更に希釈した。ブロッキングの後、プレ
ートをもう一度、ウェル1個あたり150μLのPBSTで洗浄し、その後、100μL
の希釈した一次抗体をウェルに適用した。プレートを2時間室温でインキュベーションし
た後、空にして、ウェル1個あたり150μLのPBSTで3回洗浄した。洗浄後、1%
BSA中の、100μLの抗ヒトHRP抗体の1:10,000希釈を適用し、プレート
を室温で1時間インキュベートした。次にプレートを空にし、150μLのPBSTで3
回洗浄し、その後、100μLの予混合した反応性基質試薬混合物(R&D Syste
ms)を適用して、比色分析反応を触媒した。プレートを覆って約10分インキュベート
し、その後、100μLの0.2N硫酸を添加して反応をクエンチした。ELISAプレ
ートリーダーにて、プレートを450nmにて読み取った。収集した吸光度の読み取り値
をバックグラウンドから引き、曲線にプロットした。モタビズマブ(プレ-F及びポスト
-F、全F)の曲線の下の面積に対する、MPE8(プレ-F)の曲線の下の面積の比率
を使用して全Fに対して正規化したプレ-Fレベルを測定した。
ベロ細胞での増殖
【0142】
BEAS-2B、NHBE、及びHAE細胞。6ウェルプレート中の、70%コンフル
エントベロ細胞またはBEAS-2B細胞からの培地を吸引し、MOIが0.01のウイ
ルス(0.5mL)を添加して、各ウイルス株が得られる時点それぞれに関して、ウェル
を複製した。プレートを室温で1時間振盪した。感染後、ウイルスを注意深く吸引し、単
層を1mLのPBSで2回洗浄し、その後2mLの予熱した完全E-MEM(ベロ)また
はRPMI(BEAS-2B)を添加した。プレートを37℃及び5% CO2にて、時
間推移の間インキュベーションした。感染後1、12、24、36、48、72、及び9
6時間の時点で得た。各時点において、単層を細かくして上清に入れ、簡便にボルテック
スし、液体窒素中で瞬間冷凍し、その後-80℃で保管した。2つのドナーからのNHB
E細胞をALIにて分化させ、単層をPBSで洗浄した後、MOI 2.6にて100μ
Lのウイルスを先端で感染させた。ウイルスを残して2時間37℃にてインキュベーショ
ンし、その後取り除いて、PBSで3回、後で洗浄した。指定した時点において、誘導因
子を含まない150μLの分化培地を、先端面で10分間37℃でインキュベーションし
、その後回収して微細遠心分離管に移した。本プロセスを繰り返して、合計で300μL
のプールした先端洗浄を得、これを液体窒素中で冷却し、後の滴定のために-80℃で保
管した。NHBE感染同様に、2つのドナーからのHAE細胞をALIにて分化させ、先
端面をPBSで洗浄し、初期MOI 6.7で感染させた。2時間37℃でのインキュベ
ーションの後、ウイルス種菌を吸引し、先端層をPBSで3回洗浄し、培養液を37℃で
インキュベートした。指定した各時点において、先端層を425μLの培地で30分間3
7℃で洗浄し、上清を-80℃で保管した。HEp-2またはベロ細胞のいずれかにおい
て、上述のとおりに全ての分析に関してFFU滴定を実施した。
マウスにおけるウイルス量、中和力価、及び防御
【0143】
ウイルス量の測定のために、7週齢のメスBALB/cマウス(Charles Ri
ver)を、無血清MEM中の100μLのウイルスにより鎮静させながら鼻孔内感染さ
せた。2、4、6、及び8日目にマウスを安楽死させて、残った肺をウイルスFFU力価
アッセイのために回収した。検出限界以下の力価を、検出限界の半分に等しい値として割
り当てた。血清nAb力価の測定及び抗原投与調査のために、7週齢のメスBALB/c
マウス(Jackson)を、無血清MEM中の100μLのウイルスで鼻孔内感染させ
た。35、70、及び100日目において、マウスを鎮静させて、血清サンプルを顎下静
脈播種により得た。FFUマイクロ中和アッセイによる定量化まで、血清を-80℃で保
管した。中和力価を、同時インキュベーション加熱不活性化(56℃、30分)血清によ
り測定し、これを1時間37℃にて、50~100FFUのウイルスで2倍に連続希釈し
た。血清ウイルス混合物を次に、96ウェルプレート中のHEp-2単層上に、30分間
4℃にて2900×gでスピノキュレーションし、その後完全MEM中で0.75%メチ
ルセルロースを重ねた。ウェル1個あたりのFFUを2日後に数え、非線形回帰分析によ
りEC50力価を測定した。ワクチン接種後にマウスに抗原投与するために、マウスを播
種後102日目に鎮静させ、105PFUのA2-系列19Fで鼻孔内感染させた。4日
後、HEp-2細胞でのプラークアッセイにより、左肺でのウイルス量を測定した。
熱安定性及び免疫原性が高まった弱毒生RSVワクチン
【0144】
他のパラミクソウイルス融合タンパク質同様に、RSV融合糖タンパク質(RSV F
)は、ウイルスエンベロープ及び標的細胞の融合を媒介するI型内在性膜タンパク質であ
る。RSV Fはまず、ヴィリオン膜内でメタ安定的な、融合前コンホメーションで3量
体として集合する。トリガリングにより、Fの融合後形態への主要なリフォールディング
がもたらされ、これはウイルス及び標的膜に近似し、融合を媒介する。プレ-F及びポス
ト-Fの両方が調製したウイルスストック中のRSVヴィリオンに存在する場合、RSV
ストック中のプレ-F抗原の相対量を、ELISAベースのアプローチを用いて評価した
。株A2-系列19Fは、プロトタイプのA2株のバックグラウンドにおいて株系列19
のFタンパク質を発現し、株A2よりも著しく高い、プレ-F特異的mAbへの結合を示
した。BALB/cマウスへのA2-系列19Fの鼻孔内播種により、A2より高いnA
b力価がもたらされた。
【0145】
系列19Fに独自的な5種類のアミノ酸残基:M79、R191、K357、Y371
、及びI557が存在する。これらの位置のそれぞれにおいてA2残基を含有するA2-
系列19F変異体でのプレ-F抗原ELISAは、残基K357及びY371は株19F
プレ-Fレベルに重要であることを示した。
【0146】
RSVは熱不安定性ウイルスであることが知られており、高温によりRSVポスト-F
コンホメーションへの転移を引き起こすことができる。プレ-Fレベルが高まったRSV
は、温度失活への耐性がより大きくなくてはならない。4℃及び37℃において、RSV
A2-系列19Fの感染性は経時的に、系列19FのK357及びY371残基により
部分的に媒介された表現型であるA2よりも熱安定性であった。K357及びY371を
、遺伝的に多様なワクチン株DB1のFに導入し、抗原亜型B「Buenos Aire
s」(BAF)クレードのコンセンサスF遺伝子を発現した。我々は以前にDB1の生成
について記載しており、これもまた、遺伝子型RSV-A2-dNS1-dNS2-ΔS
H-BAと共に、コドン非最適化非構造タンパク質遺伝子及び欠失SH遺伝子を含む。D
B1は低量のプレF抗原を発現し、熱不安定性であった。しかし、K357及びY371
残基を導入してDB1-357/371を生成することによりMPE8結合が強化され、
部分的に熱安定性が回復した。これらのデータは、残基357及び371は、MPE8結
合、プレF抗原量の相関だけでなく、ウイルスストックにおける熱不活化へウイルス耐性
をも支配したことを示した。
【0147】
OE4と呼ばれるRSV LAVは、系列19Fを複数構成成分ワクチンに導入するこ
とにより生成された。インターフェロン経路の標的化及びアポトーシスの抑制により、宿
主の先天性免疫を抑制するRSVの2つの非構造タンパク質をコードするNS1及びNS
2遺伝子をコドン非最適化した。NS1及びNS2遺伝子のコドン非最適化は遺伝的に安
定であり、NS1及びNS2タンパク質発現を低下させ、マウスにおいて、わずかに免疫
原性が強化されたウイルス弱毒化がもたらされた。小型疎水性(SH)タンパク質遺伝子
を、Fを含む下流ウイルス遺伝子の転写を増加させる目的で、ウイルスリーダーへの近似
性を変更することにより欠失した。SHの欠失はまた、マウス及びチンパンジーで適度な
弱毒化を行ったが、先行研究では、子どもでのワクチン候補では明らかな弱毒化はもたら
していなかった。RSV付着(G)糖タンパク質遺伝子をコドン非最適化し、Gの分泌形
態を点突然変異により取り除いた。RSVはGの膜結合形態(Gm)及び分泌形態(Gs
)を発現し、これらは不死化細胞系におけるウイルス複製には必要ない。RSV Gは防
御中和抗体の誘発を行うことができる。しかし、GはFほど保存されず、ケモカイン模倣
物による先天性免疫応答を抑制する。Gsは抗原デコイとして機能し、C型レクチンとの
相互作用により、樹状細胞シグナル伝達及び活性化を変更することができる。OE4ワク
チン候補の得られる遺伝子型は、RSV-A2-dNS1-dNS2-ΔSH-dGm-
Gsnull-系列19であった。ウェスタンブロッティングを使用して、親A2と比較
して、OE4はNS1、NS2、及びGの発現量が低下したことを測定した。OE4はA
2-系列19FよりもF発現量が高く、SHの欠失に寄与している可能性が高い。
【0148】
OEのMPE8及びD25結合を分析し、4℃及び37℃におけるワクチンの熱安定性
を測定した。A2-系列19F同様に、OE4は、系列19Fタンパク質の発現に一致す
る抗体結合及び熱安定性により比較的高いプレF抗原量を示した。測定したプレ-Fの安
定性をOE4のMPE8結合により定量化し、ウイルスストックからのA2を一定時間に
わたり4℃でインキュベートした。プレF抗原の相対量は8日の期間の後、両方のウイル
スで減少した。それ故、A2及びOE4感染性の熱安定性に関する反応速度論は、プレF
抗原量の減少と相関しない。しかし、OE4はA2と比較して、各時点においてプレF抗
原量の2倍の量より多くを維持し、プレ-Fの最小閾値は感染性を維持するのに十分であ
り得る。
【0149】
RSV A2及びOE4への、ヴィリオン及び糖タンパク質の構造全体の組み込みを評
価するために、BEAS-2B細胞から発生したウイルスの薄切片透過電子顕微鏡(TE
M)、ネイティブイムノTEM、及びクライオ電子線トモグラフィー(クライオ-ET)
を実施した。BEAS-2Bは不死化ヒト気管支上皮細胞株である。ウイルス感染した細
胞と放出されたヴィリオンを分析し、続いて、サンプル処理を最小限にしながらヴィリオ
ンのネイティブ構造の保存を最大化した。まず、薄切片TEMと組み合わせた、内因性イ
ムノゴールドラベリングを、プレ-F(MPE8)、ポスト-F(131-2A)、全F
(モタビズマブ)、またはG(131-2G)に優先的に結合するmAbを使用して実施
した。膜長さあたりの金粒子の密度を、各ウイルス及び免疫標識に関して定量化した。潜
在的にはSHの欠失により、OE4ウイルス粒子はA2よりも、組み込まれたプレ-F及
び全Fの密度を高く示した。A2及びOE4粒子の表面上で検出されるポスト-Fの量に
、著しい差は存在しなかった。G遺伝子のコドン非最適化の設定で予想されたとおり、O
E4粒子でのGタンパク質密度は著しく低下した。
【0150】
不死化細胞と一次ヒト気道上皮細胞における弱毒化の程度を測定することにより、OE
4ワクチン候補を特性決定した。ウイルスストックの生成に用いられたベロ細胞では、O
E4は非弱毒化親A2-系列19Fを僅かに下回る力価となった。BEAS-2B細胞で
は、野生型と比較してOE4がより弱毒化された。我々は次に、一次ヒト気道上皮細胞に
おいてOE4増殖を評価し、血清反応陰性の子どもにおけるRSV LAV弱毒化を近似
させるためのシステムを確立した。我々はNHBE-ALI及びHAE-ALIの2つの
モデルを実装し、OE4は両方のモデルで著しく弱毒化され、培養液の中で拡散するとい
う欠点を示したことを見出した。OE4におけるGのコドン非最適化は、NHBE-AL
Iにおいて野生型G(OE4+wtG)を発現するOE4と比較して、弱毒化の度合いに
著しく寄与し、これは前述した、一次細胞におけるGの付着役割による可能性がある。B
ALB/cマウスにおいて、OE4は適度に弱毒化され、A2-系列19Fと等しく、A
2より高いnAb力価を誘発した。鼻孔内播種の後、102日目にマウスにA2-系列1
9Fを抗原投与し、OE4をワクチン接種したマウスは抗原投与から完全に防御された。
【0151】
OE4は臨床試験の前にコットンラットで評価された。コットンラットでは、OE4は
上気道及び下気道で大きく弱毒化され、OE4は、RSVの多様性を示すRSV株に対し
比較的多量の血清nAbを誘発した。OE4をワクチン接種したコットンラットは、肺だ
けでなく上気道においても、RSV抗原投与から完全に防御された。非常に弱毒化されて
いるにも関わらず、OE4は効果的な粘膜免疫を確立した。
【0152】
別のRSVワクチン候補であるホルマリン不活性化RSVの欠損により強調される主な
懸念は、自然感染時の、ワクチンにより強化された病気に対するプライミングに対する潜
在性である。RSV LAV候補は深刻な病気を引き起こすことがまだ示されてないもの
の、OE4により用いられた新規のワクチン接種法が、抗原投与時に深刻な病気に対して
プライミングをもたらすか否かをコットンラットで評価した。RSV抗原投与はmock
と比較して、OE4での感染後に深刻な病気をもたらさなかった。対照的に、ホルマリン
不活性化RSVは、OE4及びmockと比較して、細気管支周囲の湿潤及び肺胞炎の増
加と関連する深刻な病気をもたらした。
低融合Fタンパク質により弱毒化されたキメラ呼吸器合胞体ウイルスワクチン候補は、コ
ットンラットにおいて免疫原生かつ抗原投与に対して防御的であった
【0153】
Buenos AiresFタンパク質(BAF)は単独で発現した場合、A2F及び
系列19Fタンパク質と比較して不十分な膜融合性であった。リバースジェネティクスを
実施して、非構造タンパク質NS1及びNS2(dNS)に対する遺伝子のコドン非最適
化;小型疎水性タンパク質(ΔSH)遺伝子の欠失;及び、野生型融合(F)タンパク質
遺伝子の、Buenos Airesクレード(BAF)の低融合RSV亜型B Fコン
センサス配列による置換を組み合わせたLAVを設計した。「DB1」という名前のこの
ワクチン候補RSV-A2-dNS-ΔSH-BAFは、コットンラットの一次ヒト気道
上皮細胞、ならびに上気道及び下気道の2つのモデルで弱毒化された。DB1はコットン
ラットにおいて非常に免疫原性であり、組み換えRSV株の様々なパネルに対して、幅広
く中和抗体を誘発した。ワクチン接種したコットンラットに野生型RSV Aを抗原投与
した際、DB1はワクチン接種していない動物と比較してそれぞれ、上気道及び下気道の
ウイルス力価を3.8log10 全PFU、及び2.7log10 PFU/g組織、
低下させた(P<0.0001)。それ故、DB1は弱毒化され、非常に免疫原性であり
、コットンラットでのRSV抗原投与に防御的であった。ウイルス複製を弱毒化し免疫原
性を保存する戦略としての、DB1は低融合Fタンパク質を組み込む最初のRSV LA
Vである。
【0154】
DB1はコットンラットの上気道及び下気道で10倍を超えて弱毒化されたが、依然と
してRSV A及びB組み換え株の様々なパネルに対して、広範なnAbの高い力価を誘
発した。DB1はまた、コットンラットの鼻洗浄試料においてRSV特異的IgA抗体の
形態で、粘膜免疫を生み出した。ワクチン接種した動物にRSVを抗原投与した際、DB
1は、鼻洗浄試料及び肺洗浄試料の両方において、99%を超えて抗原投与株の力価を低
下させた。したがって、DB1は弱毒化され、非常に免疫原性であり、コットンラットに
おけるRSV抗原投与を防御するのに有効であった。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び位置371にYを有するRSV Fタンパク質をコードする変異遺伝子を、前記RSV Fタンパク質が配列番号:3または配列番号:4を有しない場合に有する弱毒生ワクチンキメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む免疫原性組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
DB1はコットンラットの上気道及び下気道で10倍を超えて弱毒化されたが、依然としてRSV A及びB組み換え株の様々なパネルに対して、広範なnAbの高い力価を誘発した。DB1はまた、コットンラットの鼻洗浄試料においてRSV特異的IgA抗体の形態で、粘膜免疫を生み出した。ワクチン接種した動物にRSVを抗原投与した際、DB1は、鼻洗浄試料及び肺洗浄試料の両方において、99%を超えて抗原投与株の力価を低下させた。したがって、DB1は弱毒化され、非常に免疫原性であり、コットンラットにおけるRSV抗原投与を防御するのに有効であった。
本発明は以下を提供する。
[1]位置79にM、位置191にR、位置357にK、及び位置371にYを有するRSV Fタンパク質をコードする変異遺伝子を、前記RSV Fタンパク質が配列番号:3または配列番号:4を有しない場合に有する弱毒生ワクチンキメラ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む免疫原性組成物。
[2]前記RSV Fタンパク質は位置557にVを有する、またはFタンパク質が、位置557がVとなるように変異している、上記[1]に記載の免疫原性組成物。
[3]前記RSV Fタンパク質は配列番号:1または13を有する、上記[1]に記載の免疫原性組成物。
[4]RSV NS1、NS2、及びGタンパク質をコードする遺伝子は、NS1、NS2、及びGの発現速度が、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において半分を超えて遅くなるようにコドン非最適化されている、上記[1]に記載の免疫原性組成物。
[5]哺乳類細胞におけるGの発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において10分の1を超えて低下する、上記[4]に記載の免疫原性組成物。
[6]NS1の発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において4分の1を超えて低下する、上記[4]に記載の免疫原性組成物。
[7]NS2の発現速度は、野生型A2ウイルスと比較してベロ細胞において4分の1を超えて低下する、上記[4]に記載の免疫原性組成物。
[8]SHタンパク質をコードする遺伝子が欠失または切頭されている、上記[1]に記載の免疫原性組成物。
[9]Fタンパク質をコードする遺伝子は、位置557がVではないように、またはIが位置557にあるように変異している、上記[1]に記載の免疫原性組成物。
[10]アジュバント及び/または他の製薬上許容できる担体を更に含む、上記[1]~[19]に記載の免疫原性組成物。
[11]前記アジュバントはアルミニウムゲル、アルミニウム塩、またはモノホスホリルリピドAである、上記[10]に記載の免疫原性組成物。
[12]前記アジュバントは、α-トコフェロール、スクアレン、及び/または界面活性剤を所望により含む水中油型エマルションである、上記[10]に記載の免疫原性組成物。[14]対象に呼吸器合胞体ウイルスに対して免疫付与する方法であって、前記方法は、上記[1]~[14]に記載の有効量の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
[15]位置79がI、位置191がK、位置357がT、及び位置371がNとなるようにRSV Fタンパク質をコードする核酸。
[16]配列番号:14または多様体を含む、上記[15]に記載の核酸。
[17]上記[16]に記載の核酸を含むベクター。
[18]プラスミドまたは細菌人工染色体から選択される上記[17]に記載のベクター。[19]位置79がM、位置191がR、位置357がK、及び位置371がYとなるようなRSV Fタンパク質を含む、単離された組み換え粒子。
[20]弱毒化RSVゲノムまたはアンチゲノムを含む、上記[19]に記載の単離された組み換え粒子。
【外国語明細書】