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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100665
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】栄養製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/115 20160101AFI20230711BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A23L33/115
A61K31/20
A61P3/10
A61P25/08
A61P25/16
A61P25/28
A61P43/00 105
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065800
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021050443の分割
【原出願日】2013-06-14
(31)【優先権主張番号】1210699.3
(32)【優先日】2012-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】61/704,277
(32)【優先日】2012-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514308645
【氏名又は名称】ヴィタフロ (インターナショナル) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VITAFLO (INTERNATIONAL) LTD
(71)【出願人】
【識別番号】510133975
【氏名又は名称】ユーシーエル ビジネス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】オドネル, モーラ
(72)【発明者】
【氏名】ランバート, ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】ウォリス, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ラザフォード, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ヒールズ, シモン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ, ショーン-デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クロス, ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】イートン, シモン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】てんかんを含むミトコンドリア機能不全に関連する障害を治療するための食事療法に適する組成物を提供する。
【解決手段】デカン酸及びオクタン酸を少なくとも2:1wt/wtの比で含み、任意選択で他の飽和脂肪酸を実質的に含まない組成物とし、さらに、8.4~12.6kJ/mlのエネルギー密度を有する組成物とする。さらに、デカン酸及びオクタン酸の比は、少なくとも3:1wt/wt、又は少なくとも4:1wt/wt、又は少なくとも5:1wt/wt、又は少なくとも6:1wt/wt、又は少なくとも9:1wt/wt、又は少なくとも10:1wt/wt、又は少なくとも20:1wt/wtである、組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトによる消費に適した組成物であって、デカン酸及びオクタン酸を少なくとも2:1wt/wtの比で含み、又は実質的にオクタン酸を含まず、並びに任意選択で他の飽和脂肪酸を実質的に含まない組成物。
【請求項2】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも3:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも4:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも5:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも6:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも9:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも10:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも20:1wt/wtである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
オクタン酸を実質的に含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の50%より多い、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも60%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも70%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも80%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも90%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも99%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
一価不飽和又は多価不飽和脂肪酸を実質的に含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ヒトによる消費に適した組成物であって、0.2:1~5:1のケトン比を有し、脂肪の大半がデカン酸である、組成物。
【請求項18】
1:1~4:1のケトン比を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ヒトによる消費に適した組成物であって、タンパク質、脂肪及び炭水化物を含み、乾燥重量100g当たり2500~3100kJを提供し、前記脂肪の少なくとも50%がデカン酸である、組成物。
【請求項20】
前記脂肪の少なくとも60%、70%、80%、90%又は100%がデカン酸である、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項21】
一価不飽和及び/又は多価不飽和脂肪酸を含まない、請求項17~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
乾燥重量100g当たり2520~3780kJを提供する、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が1.5~5.0対1である、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が2.0~3.8対1である、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
ヒト用食品の形態の、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
一日当たり少なくとも約5g/l~500g/lの用量のデカン酸を送達するための形態の、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
完全栄養製品の形態の、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
粉末化された形態の、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
噴霧乾燥された形態の、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
食品又は飲料の栄養を強化するための、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
食品の形態の、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
水中油型エマルションの形態の、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
マヨネーズ、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品(例えばヨーグルト)、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバードミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、練乳製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液体エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、又は脂肪ベースの若しくは水を含有するフィリングを有する食品の形態の、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための剤を調製するための、デカン酸の使用。
【請求項35】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するためのデカン酸。
【請求項36】
前記疾患は、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、請求項34又は35に記載のデカン酸の使用。
【請求項37】
てんかんの治療は発作の制御を含む、請求項36に記載のデカン酸の使用。
【請求項38】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患の治療又は予防のための方法であって、該治療又は予防を必要とする患者に有効量のデカン酸を投与するステップを含む方法。
【請求項39】
細胞のミトコンドリア含有量に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
【請求項40】
細胞のミトコンドリア機能に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
【請求項41】
細胞のミトコンドリア利用可能性に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
【請求項42】
細胞のエネルギー供給を調節する方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
【請求項43】
前記疾患は、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
てんかんの治療は発作の制御を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
デカン酸は、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物の形態で投与される、請求項34~44のいずれか一項に記載のデカン酸、方法又は使用。
【請求項46】
一日当たり少なくとも約5g/l~500g/lの用量のデカン酸が投与される、請求項34~45のいずれか一項に記載のデカン酸、方法又は使用。
【請求項47】
バー、プディング又は飲料の形態の請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、概して、てんかんを含むミトコンドリア機能不全に関連する障害を治療するための食事療法の分野に関する。
【発明の背景】
【0002】
てんかんは、発作によって特徴付けられる広範な神経学的障害を包含する。発作は異常な神経活動によって生じ、けいれん及び意識の喪失を含む種々の様式で現れる。多くの場合、てんかんは抗けいれん薬物療法を使用することによって管理することができる。しかし、てんかんを有する一部の患者には、従来の薬物を用いた治療では発作活動に最小限の効果しか与えることができない。手術はある種の発作を患う患者を治療する1つの選択肢であるが、多くの人では、ケトン食を用いてより非侵襲的に良好な管理を実現することができる。
【0003】
ケトン食は、成長及び修復に十分なタンパク質を含む高脂肪及び低炭水化物食である。ビタミン及びミネラルのレベルは通常不十分であり、栄養補助食品として与えられることが必要となり得る。ケトン食は、身体にそのエネルギー源として炭水化物の代わりに脂肪を代謝させることによって機能する。食事性炭水化物が低い状態では、脂肪は肝臓で脂肪酸及びケトン体に分解され、これらの化合物は、化学エネルギー源としてのアデノシン三リン酸(ATP)を生成させるためにさらなる代謝経路で利用される。
【0004】
研究により、小児及び成人の難治性てんかんの治療におけるケトン食の明らかな利益が示されている。短期の治験において、被験者のおよそ半分は6か月後に発作が少なくとも50%減少し、およそ3分の1は少なくとも90%の減少に至ったことが実証されている。ある場合には、ケトン食は、処方される抗てんかん薬物療法のレベルを低減することを可能とし、さらに生活の質を向上させるのに十分な程度有効である。
【0005】
ケトン食は、十分な栄養価を維持しつつ有効な発作防止を確実に行うために、厳密に制御される必要がある。この食事は、医学的監視下、ケースバイケースで開発され、最適化される。また、食品はすべて慎重に測定され、調理される必要がある。この食事から逸脱すると、短期間のうちに患者の発作が再発する可能性がある。
【0006】
ケトン食は明らかに有効であるものの、小児及び成人のいずれにおいても管理が困難である。ケトン食に対する現在のアプローチは極めて制限的であり得、そのため、コンプライアンス、特に成人におけるコンプライアンスが悪くなり得る。さらに、そのような食事は種々の副作用(消化器系、血清脂質レベルの増加、眠気、成長不良、及び骨折の危険性の増大の問題を含む。)をもたらし得、一部の患者には全く適さない。したがって、発作活動の抑制に関与するケトン食の有効成分を同定すれば、てんかんを有する相当な数の患者の治療を劇的に単純化し、生活の質を向上させる可能性がある。
【0007】
食事がどのように作用するのかは誰にも分からない。体内で、脳化学に影響を及ぼす代謝の変化が起こる。ある理論は、食事の抗けいれん効果は、ケトン食が産生するケトンに起因するものとしている。ケトンは脂肪分解の産物である。身体は通常、エネルギーのためにグルコースを燃焼する。身体は、グルコースの代わりにケトンをエネルギー源として使用することができる。
【0008】
ケトン食の有効性の生化学的根拠は不明であるが、多くの研究は、ミトコンドリア機能の変化及びミトコンドリア生合成の増加との関連性を強調している[Bough,K.J.ら,Ann.Neurol.60,223~235(2006)]。
【0009】
ミトコンドリアは、体内のほとんどすべての細胞に存在する小器官である。ミトコンドリアは多くの細胞プロセスにおいて中心的役割を果たし、エネルギー代謝において最も顕著である。エネルギーの供給は、主要代謝経路(例えば、トリカルボン酸(TCA)回路及び脂肪酸β酸化)から還元当量を受け取る電子伝達鎖(ETC)の統合機能によって実現される。
【0010】
ミトコンドリア機能の弱体化は、核DNA及びミトコンドリアDNAの両方における先天性又は後天性の変異を通じて生じることも、また、環境要因に暴露された結果としてもたらされることもあり得る。ミトコンドリア機能不全は広範な臨床状態に関連し、一般に、エネルギー必要量の高い器官、例えば、筋肉、肝臓、腎臓及び脳に影響を及ぼす。ATPの形態のエネルギーが脳内で不足すると、発作を含み得る神経学的機能障害に至る。実際、ミトコンドリア機能不全はある種の先天的及び後天的なてんかんと関連しており、また、糖尿病、認知症(例えばアルツハイマー病)、及びパーキンソン病を含む多くの他の病状にも関連している。
【0011】
したがって、ケトン食の効果と、ミトコンドリア機能及び生合成の増大と、てんかん発作の軽減と、の間には複数の直接的な関連が存在する。ケトン食の実施が種々の課題を提示することから、同じ生物学的機序を標的とする製品が非常に望ましいことは明らかである。
【発明の概要】
【0012】
ケトン食は、ケトン体形成の増加及び中鎖脂肪酸の血漿中レベルの上昇を含む、種々の特徴的な代謝的効果を有する。ケトン体レベルと発作制御との相関関係は知られておらず、脂肪酸濃度の増加の効果については比較的僅かな調査しかなされていない。
【0013】
本発明者らは、MCTが一部を形成するケトン食の結果として血漿中濃度が増加する中鎖脂肪酸であるデカン酸が、in vitroの細胞においてミトコンドリアの機能及び利用可能性に直接的な効果を及ぼすことを決定した。
【0014】
すなわち、デカン酸は、てんかん、特に現在ケトン食を必要としている患者におけるてんかん;先天性のミトコンドリア機能不全に関連する疾患;並びに、糖尿病、パーキンソン病及び認知症(例えばアルツハイマー病)を含む後天性のミトコンドリア障害を有する患者の治療に有益であり得る。
【発明の記述】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、ヒトによる消費に適した組成物であって、デカン酸及びオクタン酸を2:1wt/wtの比で含み、又は実質的にオクタン酸を含まず、並びに任意選択で他の飽和脂肪酸を実質的に含まない組成物が提供される。
【0016】
他の実施形態では、デカン酸及びオクタン酸の比は、少なくとも2:1wt/wt、少なくとも3:1wt/wt、少なくとも4:1wt/wt、少なくとも5:1wt/wt、少なくとも6:1wt/wt、少なくとも9:1wt/wt、少なくとも10:1wt/wt、少なくとも15:1wt/wt、少なくとも20:1wt/wt、少なくとも30:1wt/wt、少なくとも40:1wt/wt、少なくとも50:1wt/wt、少なくとも60:1wt/wt、少なくとも70:1wt/wt、少なくとも80:1wt/wt、少なくとも85:1wt/wt、少なくとも90:1wt/wt、少なくとも95:1wt/wt、少なくとも98:1wt/wt、又は少なくとも99:1wt/wtである。したがって、一実施形態では、組成物はオクタン酸を含まない又は実質的に含まない。
【0017】
一実施形態では、デカン酸は、重量ベースで総脂肪酸含有量の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%若しくは59%より多く、重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも60%、総脂肪酸含有量の少なくとも65%、総脂肪酸含有量の少なくとも70%、総脂肪酸含有量の少なくとも80%、総脂肪酸含有量の少なくとも90%、又は脂肪酸含有量の少なくとも99%若しくは100%である。すなわち、本発明は、純粋な又は実質的に純粋なデカン酸を含む製品を使用し得る。
【0018】
すなわち、本発明は、一価不飽和又は多価不飽和脂肪酸を含まない又は実質的に含まない組成物も包含する。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、ヒトによる消費に適した組成物であって、0.2~0.3:1のケトン比(ketogenic ratio)を有する組成物が提供される。他の実施形態では、これらに限られないが、0.5:1、1:1~5:1、好ましくは4:1以下の比率が含まれ、脂肪の大半がデカン酸である。一実施形態では、この組成物は2:1~4:1のケトン比を有する。「ケトン比」とは、炭水化物及びタンパク質の重量の合計に対する脂質の重量の比率を指す。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、ヒトによる消費に適した組成物であって、タンパク質、脂肪及び炭水化物を含み、乾燥重量100g当たり2500~3100kJを提供し、脂肪の少なくとも50%がデカン酸である、組成物が提供される。
【0021】
本発明の第3の態様の組成物の一実施形態では、脂肪の少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%はデカン酸である。
【0022】
本発明の第3の態様の組成物の一実施形態では、組成物は一価不飽和及び/又は多価不飽和脂肪酸を含まない。
【0023】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は乾燥重量100g当たり2520~3780kJを提供する。本発明の組成物の別の実施形態では、組成物は乾燥重量100g当たり2520~3180kJを提供する。
【0024】
本発明の組成物の一実施形態では、脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量は、1.0対1、2.0対1、5.0対1、又は例えば、2.0~5.0対1、若しくは2.4~4.0対1、若しくは2.6~3.8対1である。
【0025】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物はヒト用食品の形態である。
【0026】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は、一日当たり少なくとも約5g/l~150g/lの用量のデカン酸を送達するための形態である。他の実施形態では、用量は、一日当たりデカン酸約5g/l、10g/l、15g/l、20g/l、30g/l、40g/l、50g/l、60g/l、70g/l、80g/l、90g/l、100g/l、110g/l、120g/l、130g/l、140g/l、150g/l、175g/l、200g/l、225g/l、250g/l、又は500g/lである。
【0027】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は完全栄養製品の形態である。
【0028】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は粉末化された形態である。
【0029】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は噴霧乾燥された形態である。
【0030】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は、食品又は飲料の栄養を強化するのに適した形態である。
【0031】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は食品の形態である。
【0032】
本発明の組成物の一実施形態では、組成物は水中油型エマルションの形態である。
【0033】
本発明による組成物は、油、マヨネーズ、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品(例えばヨーグルト)、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバードミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、練乳製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液体エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、又は脂肪ベースの若しくは水を含有するフィリングを有する食品の形態であり得る。
【0034】
本発明の第4の態様によれば、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための剤を調製するための、デカン酸の使用が提供される。誤解を避けるために述べると、「剤」は、栄養補助食品又は完全栄養製品を含む本発明の組成物のいずれをも含む。
【0035】
本発明の第5の態様によれば、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するためのデカン酸が提供される。
【0036】
また、疾患がてんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、本発明によるデカン酸の使用が提供される。
【0037】
また、てんかんの治療が発作の制御を含む、本発明によるデカン酸の使用も提供される。
【0038】
本発明の第6の態様によれば、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患の治療又は予防のための方法であって、該治療又は予防を必要とする患者に有効量のデカン酸を投与するステップを含む方法が提供される。
【0039】
本発明の第7の態様によれば、細胞のミトコンドリア含有量に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法が提供される。
【0040】
本発明の第8の態様によれば、細胞のミトコンドリア機能に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法が提供される。
【0041】
本発明の第9の態様によれば、細胞のミトコンドリア利用可能性に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法が提供される。
【0042】
本発明の第10の態様によれば、細胞のエネルギー供給を調節する方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法が提供される。
【0043】
疾患がてんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、本発明の第6~第10の態様のいずれか一つによる方法。
【0044】
一実施形態では、てんかんの治療は発作の制御を含む。
【0045】
本発明の第11の態様によれば、デカン酸が、本発明の第1~第3の態様のいずれか一つによる組成物の形態で投与される、本発明の第4~第10の態様のいずれか一つによるデカン酸、方法又は使用が提供される。
【0046】
本発明の第12の態様によれば、一日当たり少なくとも約5g/l~250g/l又は少なくとも約5g/l~500g/lの用量のデカン酸が投与される、本発明の第4~第10の態様のいずれか一つによるデカン酸、方法又は使用が提供される。
【0047】
したがって、概括的に述べると、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患の治療に使用するためのデカン酸に関するものと要約することができる。
【0048】
デカン酸はカプリン酸としても知られ、式CH(CHCOOHの飽和脂肪酸である。本明細書において、デカン酸は「C10」とも称される。
【詳細な説明】
【0049】
ケトン食の利益に関連する機序を解明することによって、本発明者らは、製品のおいしさを増加させ、特定のレベルのC10を送達するように処方することができる非常に有効な製品を提供することによって、従来の組成物に伴う問題の一部を克服する。さらに、該製品は、古典的なケトン食の厳格な制限の及ばないC10の使用によって疾患を治療することができる。
【0050】
簡潔に述べると、古典型のケトン食は、脂肪含有量を決定・記述するのに比率を使用する。ケトン比は、脂肪のグラム数とタンパク質及び炭水化物の合計グラム数との関係を表す。4:1の比率では、タンパク質及び炭水化物の合計1グラム毎に4倍のグラム数の脂肪が存在する。この比率は、伝統的にケトーシスの程度を制御することを意図したものであり、理論上、比率を上げるとより大きなケトーシスが促進される。MCT型のケトン食は、脂肪含有量を決定・記述するのに脂肪由来のエネルギーの割合(%)を使用する。他の2つの型のケトン食はいわゆる修正アトキンス食及び低グリセミックインデックス(GI)食であり、これらは人々に多くの脂肪を摂取するように促す。これらの後者の2つの食事は、脂肪の比率も割合(%)も公式には算出されていないが、典型的にはケトン比は約1:1である。4つの型のケトン食のすべてにおいて、脂肪由来のエネルギーの割合(%)は約50~92%の範囲であるが、典型的には70~90%である。いずれにしても、どのような形態の食事を取ろうと、効力を発揮するためには多くの脂肪を摂取する必要があり、これは患者のコンプライアンスに重大な影響を及ぼし得る。しかし、本発明の教示に従えば、脂肪中に本発明による適切なレベルのデカン酸が含まれている限り、上記の伝統的な比率の範囲外の食事で臨床的利益に到達することが可能である。
【0051】
本発明がケトン食の一部として送達されるのであれば、栄養上の目的を達成し、臨床的利益を最適化するために、比率又は総脂肪含有量を療法実施中に変更することができる。比率は、1.0:1、1.5:1、2.0:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、又は5.0:1の範囲内であり得る。
【0052】
一実施形態では、比率は2.25:1~3.9:1である。別の実施形態では、比率は2.26~3.8:1又は2.7~3.4:1である。さらなる実施形態では、比率は、3.21:1、3.23:1、3.24:1、3.25:1、3.26:1、3.27:1、3.28:1、又は3.29:1である。
【0053】
年齢及び体重が同一の二人の異なる人が同じ比率又は量の脂肪で受ける臨床的利益のレベルは異なり得ることが留意されるべきである。したがって、臨床医は、最適な臨床的利益を実現するために比率を変更すべき場合もある。すなわち、例えばコンプライアンスを上げるために、療法の最初若しくは最後又は療法の途中で比率又は総脂肪含有量を微調整及び変更することは本発明の範囲内である。
【0054】
デカン酸は、例えばヤシ油及びパーム核油に天然に存在する。ヤシ油及びパーム核油が食事の重要なベースを形成し得ることは想定できる。概括的に述べると、デカン酸はヤシ油の脂肪酸組成の約5~8%を形成する。すなわち、脂肪酸組成中のデカン酸の割合が約5~8%である食品組成物を想定することができる。他方、オクタン酸はヤシ油の脂肪酸組成の約4.6~10%を構成する。C8はC10より有益でないことが本発明により確認されていることから、脂肪酸組成中のオクタン酸の割合が10%未満、理想的には4.6%未満である食品組成物を想定することができる。
【0055】
本発明において有用な脂質画分は、トリグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、リン脂質、リゾリン脂質、コレステロール及び糖脂質の形態であり得、トリグリセリドが概して好ましいことが理解されよう。
【0056】
C10がブレンド製品として患者に送達される状況を想定することができる。この場合、本発明によれば、利用される飽和脂肪酸の量が比較的多いことが理解されよう。特に、飽和脂肪酸の量は、脂肪酸ベースで脂質100g当たり好ましくは23~50g、より好ましくは25~45g、さらに好ましくは33~44gである。飽和脂肪酸は8~24個の炭素原子を有する。飽和脂肪酸の大部分がデカン酸(C10:0)であることが好ましい。すなわち、デカン酸は、例えば、脂質100g当たり15~50g、好ましくは18~45g、より好ましくは23~44gとなる。特定の実施形態は、脂質100g当たり30~37gのデカン酸を含む。ヤシ油又はパーム油は、脂質画分の少なくとも50%、好ましくは70~90%のための好ましい供給源である。脂質画分の残部は、例えば、中鎖トリグリセリド供給源、例えば、分留ヤシ油、マカダミア油、パーム油若しくはパーム核油、又は長鎖トリグリセリド供給源、例えば、紅花油、ゴマ油、大豆油(大豆から得られる)、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、クルミ油、月見草油、ピーナッツ油、綿実油、ナタネ油、オリーブ油、魚油、パームオレイン若しくは藻類油、或いはそれらの混合物から選択することができ、好ましくは、大豆油(好ましくは2~30)、中鎖トリグリセリド(8~12個の炭素原子を有する脂肪酸を有する;0~14)、海産油(marine oil)(好ましくは0~14wt%、より好ましくは2~12wt%)、並びにリン脂質、モノ及びジグリセリドである。
【0057】
本発明は、一価不飽和及び/又は多価不飽和脂肪酸を含まないことが好ましい。しかし、含まれるとすれば、一価不飽和脂肪酸の量は、(脂肪酸ベースで)脂質100g当たり25~48g、好ましくは28~43g、より好ましくは30~40gが適切である。含まれるとすれば、多価不飽和脂肪酸(すなわち、2個以上の不飽和結合を有する脂肪酸)の量は、トランス脂肪酸を除いて、脂質100g当たり16~40g、好ましくは20~30gである。脂質画分はω3多価不飽和脂肪酸も含むことが好ましい。特に、多価不飽和脂肪酸は、0.5wt%超、好ましくは1.0~10wt%を構成する。トランス脂肪酸の量は、脂質100g当たり20g未満、好ましくは0~10g、より好ましくは0.2~4gである。
【0058】
MCT油は、一般に90wt%より多い脂肪酸を含む食品グレードの油である。伝統的に、そのような脂肪酸は、8、10又は12個の炭素原子を有する飽和脂肪酸から構成されている。MCT油は本発明に適用され得るが、飽和脂肪酸の大半がデカン酸であるMCTベースの油を使用することが好ましい。
【0059】
デカン酸は、本発明において有用な組成物の脂肪酸含有量の少なくとも51%、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100wt%に相当することが好ましい。
【0060】
本発明において有用な組成物の一実施形態では、C10対C8の飽和脂肪酸の比率は、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5、又は100:0である。
【0061】
LCT油は、20個以上の炭素原子を有する脂肪酸を15%含む食品グレードの油として定義される。本発明はLCT油を利用し得るが、100g当たり1%、0.5%又は0.1%以下のレベルで利用することが好ましい。
【0062】
概括的に述べれば、本発明のC10の組成物の投与は、経口経路によるものであっても、若しくは胃腸管への別の経路によるものであっても、又は非経口経路によるものであってもよい。そのような投与様式の形態には、従来の形態、例えば、液体の溶液若しくは懸濁液、注射前に液体に溶解若しくは懸濁させるのに適した固体形態、又はエマルションが含まれ得る。
【0063】
すなわち、本発明のC10の組成物は適切な形態(剤形であり得る。)に調製することができる。その形態は概して経口投与に適したものであるが、本発明は経胃管栄養法にも適用可能である。適切な形態には、本発明のC10の組成物と任意選択で1種又は複数の薬学的に許容される適切な担体とを含有する、錠剤、糖衣錠、カプセル、ゲルカプセル、粉末、顆粒、溶液、エマルション、懸濁液、被覆粒子、噴霧乾燥粒子及び丸剤が含まれ得る。いくつかの実施形態では、C10の組成物は食物に挿入又は混合することができる。いくつかの実施形態では、本発明のC10の組成物は栄養製品の形態である。栄養製品という場合、概して該物質は食事を補足することが意図されたものであるが、本発明では、組成物は、それが唯一の品目又は食べ物若しくは食事、すなわちいわゆる「完全」栄養製品であることが意図されているような形態であり得る。すなわち、本発明は、栄養補助食品、食品又は飲料の形態で対象に投与され得る。好ましいタイプの食品は、医療用食品、例えば、(上述のケトン食のように、)医学的監視下で消費される処方物の形態をとり、ある疾患又は状態の特別な食事管理を目的とする食品である。
【0064】
上述のように、本発明は、ヒトの完全な栄養に適した製品の形態で、或いは油エマルション若しくは栄養補助食品又は他の任意の適当な製品の形態として実現され得る。製品は、乳幼児、小児及び成人に適したものであり得る。製品は、本発明の教示に従う脂質画分を含み、さらに任意選択で、栄養補助食品又は完全栄養製品を提供するように、タンパク質画分、消化可能な炭水化物、利用可能及び/又は利用不可能な炭水化物の画分、窒素画分、並びにビタミン画分、ミネラル/微量元素画分、又は他の構成成分を適宜含む。
【0065】
タンパク質画分はアミノ酸8個よりも大きいペプチドを含むことが好ましいが、そうすると、アレルギー反応の可能性のために製品が非経口投与に適さなくなり得る。ある種のカゼインなどの強い乳化特性(emulgating property)を有するタンパク質を選択することが好ましい。しかし、水又は液体フォーミュラ(liquid formula)での再構成に使用可能な製品は、飲用に適した製品を得るために、好ましくは、リゾレシチン、酒石酸エステル又はそれらの組み合わせを安定化系として含有するべきである。
【0066】
製品は、好ましくは、固体又は半固体、例えば粉末、バー、プディングなどであり得る。半固体の製品は、レディトゥユーズの製品100g当たり40gより多い固形分を有する製品であると理解される。半固体品は、水で再構成して単一の完全な食品として使用可能な粉末として供給されることがより好ましい。粉末は、一次粒子、凝集した一次粒子又は種々のサイズの粒子の混合物からなるものであり得る。そのような粉末は、噴霧乾燥などの当技術分野で既知の方法を用いて製造することができる。噴霧乾燥は、流れ特性を向上させるための補助剤が使用される場合に好ましい。また、製品は、揚げ物などに使用可能な油の形態であり得る。
【0067】
乾燥製品は、所望に応じて容易に液体食品を調製できるように、少なくとも部分的に水溶性であり得る。20℃の水に10%(w/v)として溶解させる場合、好ましくは乾燥重量の少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%が可溶である。
【0068】
消化可能な炭水化物の量は、乾燥重量100g当たり0~9g、好ましくは3.2~9g、より好ましくは4~8.6g、さらに好ましくは5~8.2gである。タンパク質の量は、乾燥重量100g当たり5~20g、好ましくは13~20g、より好ましくは13~18g、より好ましくは13.8~17g、さらに好ましくは14.2~16.2gである。脂質の量は乾燥重量100g当たり0g、0.1~100gであるが、乾燥重量100g当たり60~80g、63~75g、又は65~72gであり得る。
【0069】
α-ラクトアルブミン又は多量のタンパク質を含む成分を含めることが特に適している。製品のタンパク質画分に20wt%より多くのα-ラクトアルブミンが存在すると、ロイシン、リジン、メチオニン及びシステインに関する要求を満たしやすくなり、優れたおいしさ及び消化特性をもたらす。タンパク質画分の好ましくは20%超、より好ましくは40~80wt%がα-ラクトアルブミンからなる。
【0070】
消化可能な炭水化物画分は、食品グレードの成分、例えば、グルコースシロップ、マルトデキストリン、ラクトース、スクロース、ガラクトース、リボースなどを含むことができる。本説明で開示した他の技術的特徴のいくつかを適用すると効力の点で優れた製品を得ることができるが、消化可能な炭水化物画分が特定の形態をとれば、副作用の回避及び効力の点で最良の結果が得られる。消化可能な炭水化物画分の少なくとも20%、好ましくは30~90%がガラクトース又はリボースの供給源によって形成されれば有益と思われる。ラクトースはこの目的に適した成分と考えられる。特に、そのような消化可能な非グルコース炭水化物を含むそのようなケトンフォーミュラ(ketogenic formula)が消費されると、酸化ストレスは減少する。消化性は、Englystの1999年の方法を適用することによって決定される。
【0071】
タンパク質、脂質、及び炭水化物は、少なくとも2つの異なる供給源に由来することが好ましく、例えば、タンパク質は、少なくとも部分的に動物、とりわけ牛乳源に由来するが、任意選択で部分的に植物源にも由来し、脂質は、少なくとも部分的に植物源に由来し、炭水化物は、少なくとも部分的に牛乳源に由来し、又は牛乳(ラクトース)及び植物(グルコース、マルトデキストリン等)の組み合わせに由来する。
【0072】
微量成分の量は推奨に従う。しかし、いくつかの特定の成分の量を推奨より多くすると、小児てんかんにおいて効力が向上し、副作用が防止される。
【0073】
正常な発育及び成長を維持するために、エネルギー必要量は個体のエネルギー必要量に従って算出され得る。患者、特に小児てんかん患者への提供用の有用な製品は、エネルギー密度が3.8~12.6kJ/ml、好ましくは4.6~8.4kJ/ml、より好ましくは5.0~7.2kJ/mlである。製品で完全に栄養を与える場合は、5.4~6.7kJ/mlのエネルギー密度が特に有用であると思われる。液体フォーミュラのエネルギー密度が8.4~12.6kJ/mlである場合、製品は患者の中程度の強化にも有用であり得る。
【0074】
製品は比較的エネルギー密度が高いと有用である。いくつかの実施形態では、製品は、乾物100グラム当たり2520~3780kJ、又は例えば2520~3080kJ、好ましくは2800~3040kJを提供する。食事は、乾物100グラム当たり2500~3100kJ、例えば、100g当たり2505、2510、2515、2520、2525、2530、2535、又は2540~3100、3095、3090、3085若しくは3080kJを提供し得る。特に好ましい実施形態では、食事は、100g当たり2984、2985、2986、2987、2988、2989又は2990kJを含む。
【0075】
製品は、液体製品への再構成後が適当であるが、一般的なエネルギー消費推奨値(例えば、保健機関のガイドラインに記載のもの)に従って、12か月より若い乳幼児の場合は、乾燥重量で算出して一日当たり50~200g、好ましくは75~150gの量で投与することができる。より大きい小児の場合、乾燥重量で算出した好ましい一日量は、100~360g、とりわけ150~300gである。成人の場合、最も高いケトン産生能(ketogenic potential)並びに十分な量の必須アミノ酸、炭水化物骨格、及び他の栄養素が提供され、かつ忍容性が良好で、安全であることから、乾燥重量で算出した好ましい一日量は100~500g、最も好ましくは150~340gである。
【0076】
本発明での使用に適した製品の例を以下に示す。
【0077】
噴霧乾燥粉末製剤:
【表1】
【0078】
粉末製剤:
【表2】
【0079】
ケトン食:
【表3】
【0080】
エマルション:
【表4】
【0081】
50%エマルション:
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】6日のインキュベーション期間のC10の用量反応曲線。
図2】複合体Iの活性に対する6日間の250μM C10の効果。
図3】複合体Iの活性に対する6日間の250μM C10の効果。
図4】電子顕微鏡検査。
図5】電子顕微鏡検査データ。
【実験例】
【0083】
実験方法の概要:
ミトコンドリア富化を、クエン酸シンターゼ(citrate synthase)の活性を評価することによって推定した(総細胞タンパク質含有量に対して補正した)。クエン酸シンターゼはミトコンドリアに局在し、TCA回路の一部をなすものであり、ミトコンドリア富化のマーカーとして一般に使用される。
【0084】
ミトコンドリア機能についてさらに別個に考察するために、呼吸鎖酵素、複合体Iの活性も評価した。
【0085】
特に断らない限り、本試験を通じてヒト神経芽細胞腫細胞株(SH-SY5Y)を利用した。簡潔に述べると、細胞を、一連の濃度(50~300μM;0.5%DMSOに溶解)のオクタン酸又はデカン酸のいずれかに暴露した。6日後に細胞を回収し、クエン酸シンターゼの活性を決定した。活性をnmol/分/mg細胞タンパク質として表した。
【0086】
第2の実験では、細胞を、デカン酸(250μM;0.5%DMSOに溶解)に6日間暴露した。続いて細胞を回収し、複合体Iの活性を決定した。各実験を5回繰り返し、活性をnmol/分/mg細胞タンパク質として表した。
【0087】
さらに、SH-SY5Y細胞を電子顕微鏡(EM)分析用に調製して、デカン酸で処理した後のミトコンドリアの密度及び形態を判断した。
【0088】
最後に、デカン酸の効果を別個の細胞株で確認した。ヒト線維芽細胞の初代培養物を、250μMの濃度のデカン酸に6日間暴露した。インキュベーション後にクエン酸シンターゼの活性を再び評価した。
【0089】
結果:
オクタン酸は、試験されたパラメーターに対して効果がなかった。しかし、SH-SY5Y細胞をオクタン酸ではなくデカン酸に暴露すると、対照細胞(ビヒクルのみでインキュベートしたもの)と比較してクエン酸シンターゼの活性が増大した。この効果は用量依存的であり(図1)、250μMの濃度で最大30%の増大(高度に有意(p<0.001))が生じた(nmol/分/mg細胞タンパク質として表される)。
【表6】
【0090】
SH-SY5Y細胞における複合体Iの活性の決定も、デカン酸で処理した後に、対照実験に対して有意な(p<0.002)増大を示した(図2)。データをクエン酸シンターゼの活性に対して標準化した場合でも、複合体Iの活性の有意な(p<0.05)増大は依然として明白であった(図3)。標準化は、デカン酸の投与後のミトコンドリア富化を考慮に入れる。したがって、複合体I:クエン酸シンターゼの活性比により、ミトコンドリアの含有量とは独立にミトコンドリアの機能がより正確に実証される。
【0091】
すべての場合において、0.5%DMSOを添加しても(非処理細胞と比較して)試験されたパラメーターに対して効果がないことが示された。
【0092】
電子顕微鏡試験により、250μMのデカン酸で処理された細胞中のミトコンドリアの数が増加したことが示された(図4)。ミトコンドリアは、両方の画像において、細胞質に存在する濃い円形の又は細長い小器官としてはっきりと見える。デカン酸で処理すると、ミトコンドリアの形態も変わり、より濃く染色されたように見えるが、小器官内のクリステの密度が高くなったことに起因している可能性がある。これらの観察は、細胞当たりのミトコンドリアの数の有意な(p<0.002)増加を示すEMデータの定量分析によって裏付けられる(図5)。
【0093】
最後に、データは、デカン酸(250μM)に暴露された初代ヒト線維芽細胞もクエン酸シンターゼの活性の45%の増大を示すという観察によって確認された。
【0094】
結論:
ケトン食を実施中の患者によって血漿中に実現されたものに相当する濃度のデカン酸に暴露すると、処理されたSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞におけるクエン酸シンターゼの活性が顕著に増加した。クエン酸シンターゼの活性は細胞のミトコンドリアレベルと相関することが知られており、したがって、そのような知見は、デカン酸への暴露が、おそらくミトコンドリアの含有量を増加させることによって、細胞のミトコンドリア機能の変化をもたらしている可能性を高くする。この結論は、EMに基づく細胞のミトコンドリア含有量の直接的な観察に由来する別個のデータによってさらに裏付けられる。さらに、複合体Iの活性が、デカン酸の投与後に増大したことが観察された。このミトコンドリアの呼吸酵素はミトコンドリア機能の直接的なマーカーであり、したがって、このデータは、デカン酸とともにインキュベートするとミトコンドリア機能が増加することを独立に示唆している。注目すべきことに、クエン酸シンターゼの活性の増大に関して同様の現象がデカン酸に暴露された初代ヒト線維芽細胞において明白であったことから、そのような知見は1つの細胞型に限定されないと思われる。
【0095】
したがって、そのようなデカン酸の作用は、ケトン食に応答するてんかんを有する患者にとって治療上有益であり得る。同様に、先天性又は後天性のミトコンドリア障害を有する患者にもデカン酸は有益であり得る。後天性障害に関しては、これには、糖尿病、神経変性状態(例えばパーキンソン病)、及び認知症(例えばアルツハイマー病)が含まれ得る。
【0096】
本明細書で開示された範囲はいずれも適宜組み合わせて使用され得ることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
本明細書で開示された範囲はいずれも適宜組み合わせて使用され得ることは理解されよう。
本発明の実施形態は例えば下記実施形態1~47を含む。
実施形態1:
ヒトによる消費に適した組成物であって、デカン酸及びオクタン酸を少なくとも2:1wt/wtの比で含み、又は実質的にオクタン酸を含まず、並びに任意選択で他の飽和脂肪酸を実質的に含まない組成物。
実施形態2:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも3:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態3:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも4:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態4:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも5:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態5:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも6:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態6:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも9:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態7:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも10:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態8:
デカン酸及びオクタン酸の比は少なくとも20:1wt/wtである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態9:
オクタン酸を実質的に含まない、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
実施形態10:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の50%より多い、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
実施形態11:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも60%である、実施形態1~10のいずれかに記載の組成物。
実施形態12:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも70%である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
実施形態13:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも80%である、実施形態1~12のいずれかに記載の組成物。
実施形態14:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも90%である、実施形態1~13のいずれかに記載の組成物。
実施形態15:
デカン酸は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも99%である、実施形態1~14のいずれかに記載の組成物。
実施形態16:
一価不飽和又は多価不飽和脂肪酸を実質的に含まない、実施形態1~15のいずれかに記載の組成物。
実施形態17:
ヒトによる消費に適した組成物であって、0.2:1~5:1のケトン比を有し、脂肪の大半がデカン酸である、組成物。
実施形態18:
1:1~4:1のケトン比を有する、実施形態17に記載の組成物。
実施形態19:
ヒトによる消費に適した組成物であって、タンパク質、脂肪及び炭水化物を含み、乾燥重量100g当たり2500~3100kJを提供し、前記脂肪の少なくとも50%がデカン酸である、組成物。
実施形態20:
前記脂肪の少なくとも60%、70%、80%、90%又は100%がデカン酸である、実施形態17又は18に記載の組成物。
実施形態21:
一価不飽和及び/又は多価不飽和脂肪酸を含まない、実施形態17~20のいずれかに記載の組成物。
実施形態22:
乾燥重量100g当たり2520~3780kJを提供する、実施形態1~21のいずれかに記載の組成物。
実施形態23:
脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が1.5~5.0対1である、実施形態1~22のいずれかに記載の組成物。
実施形態24:
脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が2.0~3.8対1である、実施形態1~23のいずれかに記載の組成物。
実施形態25:
ヒト用食品の形態の、実施形態1~24のいずれかに記載の組成物。
実施形態26:
一日当たり少なくとも約5g/l~500g/lの用量のデカン酸を送達するための形態の、実施形態1~25のいずれかに記載の組成物。
実施形態27:
完全栄養製品の形態の、実施形態1~26のいずれかに記載の組成物。
実施形態28:
粉末化された形態の、実施形態1~27のいずれかに記載の組成物。
実施形態29:
噴霧乾燥された形態の、実施形態1~27のいずれかに記載の組成物。
実施形態30:
食品又は飲料の栄養を強化するための、実施形態1~29のいずれかに記載の組成物。
実施形態31:
食品の形態の、実施形態1~30のいずれかに記載の組成物。
実施形態32:
水中油型エマルションの形態の、実施形態1~26のいずれかに記載の組成物。
実施形態33:
マヨネーズ、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品(例えばヨーグルト)、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバードミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、練乳製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液体エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、又は脂肪ベースの若しくは水を含有するフィリングを有する食品の形態の、実施形態1~32のいずれかに記載の組成物。
実施形態34:
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための剤を調製するための、デカン酸の使用。
実施形態35:
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するためのデカン酸。
実施形態36:
前記疾患は、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、実施形態34又は35に記載のデカン酸の使用。
実施形態37:
てんかんの治療は発作の制御を含む、実施形態36に記載のデカン酸の使用。
実施形態38:
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患の治療又は予防のための方法であって、該治療又は予防を必要とする患者に有効量のデカン酸を投与するステップを含む方法。
実施形態39:
細胞のミトコンドリア含有量に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
実施形態40:
細胞のミトコンドリア機能に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
実施形態41:
細胞のミトコンドリア利用可能性に影響を及ぼす方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
実施形態42:
細胞のエネルギー供給を調節する方法であって、細胞にデカン酸を投与するステップを含む方法。
実施形態43:
前記疾患は、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、認知症(例えばアルツハイマー病)、又はミトコンドリア機能の先天性異常である、実施形態38~42のいずれかに記載の方法。
実施形態44:
てんかんの治療は発作の制御を含む、実施形態43に記載の方法。
実施形態45:
デカン酸は、実施形態1~33のいずれかに記載の組成物の形態で投与される、実施形態34~44のいずれかに記載のデカン酸、方法又は使用。
実施形態46:
一日当たり少なくとも約5g/l~500g/lの用量のデカン酸が投与される、実施形態34~45のいずれかに記載のデカン酸、方法又は使用。
実施形態47:
バー、プディング又は飲料の形態の実施形態1~33のいずれかに記載の組成物を製造する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトによる消費に適した組成物であって、デカン酸及びオクタン酸を少なくとも2:1wt/wtの比で含み、任意選択で他の飽和脂肪酸を実質的に含まない組成物。
【請求項2】
8.4~12.6kJ/mlのエネルギー密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
8.4~12.6kJ/mlのエネルギー密度を有する液体フォーミュラである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
小児てんかん患者への提供用の組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
デカン酸及びオクタン酸の比は、少なくとも3:1wt/wt、又は少なくとも4:1wt/wt、又は少なくとも5:1wt/wt、又は少なくとも6:1wt/wt、又は少なくとも9:1wt/wt、又は少なくとも10:1wt/wt、又は少なくとも20:1wt/wtである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
デカン酸は、重量ベースで総脂肪酸含有量の50%より多いか、又は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも60%、又は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも70%、又は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも80%、又は重量ベースで総脂肪酸含有量の少なくとも90%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
一価不飽和又は多価不飽和脂肪酸を実質的に含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
乾燥重量100g当たり2520~3780kJを提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が1.5~5.0対1であるか、又は脂質の重量対タンパク質及び炭水化物の合計の重量が2.0~3.8対1である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
完全栄養製品の形態、又は食品若しくは飲料の栄養を強化するのに適した形態の、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
粉末化された形態、噴霧乾燥された形態、食品の形態、又は水中油型エマルションの形態の、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
マヨネーズ、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバードミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、練乳製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液体エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、又は脂肪ベースの若しくは水を含有するフィリングを有する食品の形態の、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための剤であって、デカン酸を有効成分として含有し、デカン酸が請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物の形態で投与されるように用いられ、前記疾患はてんかん、糖尿病、パーキンソン病、又は認知症である、剤。
【請求項14】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、ミトコンドリア機能不全は、筋肉、肝臓、腎臓及び脳からなる群から選ばれる器官に影響を及ぼす、組成物。
【請求項15】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、ミトコンドリア機能不全は先天性又は後天性のDNA変異を通じて生じる、組成物。
【請求項16】
ミトコンドリア機能不全に関連する疾患を治療するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、前記疾患はてんかん、糖尿病、パーキンソン病、又は認知症である、組成物。
【外国語明細書】