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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100740
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】端末、無線通信方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0417 20170101AFI20230711BHJP
【FI】
H04B7/0417 110
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071378
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2021528345の分割
【原出願日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】62/797,811
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/770,731
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】ルパシンハ ナディサンカ
(72)【発明者】
【氏名】松村 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(57)【要約】
【課題】量子化された値を正確な係数に可能な限り近似させながら、関連付けられたオーバーヘッドを低減する。
【解決手段】一実施形態に係る端末は、K個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する制御部と、前記CSI報告を送信する送信部と、を含み、前記Kの最大値はKであり、前記Kは以下の式によって与えられ、
【数1】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する制御部と、
前記CSI報告を送信する送信部と、
を含み、
前記Kの最大値はKであり、
前記Kは以下の式によって与えられ、
【数1】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とする端末。
【請求項2】
第1の個数の振幅を示す値が規定されている第1のテーブルと、前記第1の個数と異なる第2の個数の振幅を示す値が規定されている第2のテーブルとが、前記CSI報告の生成における振幅の量子化のために設定されている、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記Kは、上位レイヤパラメータに基づいて設定される、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する工程と、
前記CSI報告を送信する工程と、
を含み、
前記Kの最大値はKであり、
前記Kは以下の式によって与えられ、
【数2】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とする端末が実行する無線通信方法。
【請求項5】
端末と基地局を含むシステムであって、
前記端末は、
個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する制御部と、
前記CSI報告を送信する送信部と、
を含み、
前記基地局は、前記CSI報告を受信し、
前記Kの最大値はKであり、
前記Kは以下の式によって与えられ、
【数3】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とするシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月21日に出願された、米国仮特許出願第62/770,731号、発明の名称「Method for Quantization of Combination Coefficients Associated with Frequency Domain Compression」、及び2019年1月28日に出願された、米国仮特許出願第62/797,811号、発明の名称「Method for Quantization of Combination Coefficients Associated with Frequency Domain Compression」の優先権を主張する。優先権を主張する上記の両出願は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態は、周波数領域の圧縮に関連付けられた組み合わせ係数を量子化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
New Radio(NR、第5世代(5G)無線アクセス技術)は、タイプIIチャネル状態インジケータ(CSI:Channel State Indicator)のフィードバックをサポートする。NRのRel.15のタイプII CSIスキームにおけるサブバンド(SB:sub-band)報告のためのオーバーヘッド率割り当ては、以下のように計算することができる:
ランク1の場合、L=2、K=4のオーバーヘッド率は、120/142%≒85%;
ランク1の場合、L=4、K=6のオーバーヘッド率は、240/279%≒86%;
ランク2の場合、L=2、K=8のオーバーヘッド率は、240/273%≒87%;及び
ランク2の場合、L=4、K=12のオーバーヘッド率は、480/543%≒88%
上記の分析は、全体のオーバーヘッドのかなりの割合が、SBの振幅及び位相の報告によって占められていることを示している。NSB個のSBのタイプII CSIプリコーディングベクトルは、次式に記載のようにシングルレイヤ送信よって生成されてもよい。
W(Nt×NSB)=Wspacecoeff (式1)
式1において、Wspace(Nt×2L)は広帯域の空間2D-DFTビームを表し、Lはビーム数を表し、Ntはポート数を表し、Wcoeff(2L×NSB)はSB複素数組み合わせ係数行列を表す。周波数領域(FD)の圧縮を考慮すると、Wcoeff内の情報を更に圧縮することができる。
【0004】
タイプII CSIフィードバックでは、FD圧縮を考慮したNSB個のサブバンド(SB)のプリコーディングベクトルを、次式のように与えることができる:
【数1】
式2において、Ntはポート数を表し、Wfreq(NSB×M)はDFT基底ベクトル(FD成分)を含む行列を表し、M(≪NSB)はDFT基底ベクトルの数を表す。
【数2】
は、複素組み合わせ係数から成る行列を表す。式2に示すように、Wcoeffは、少数のDFT基底ベクトル及び組み合わせ係数を用いる
【数3】
として表される。フィードバックのオーバーヘッドを低減するためには、
【数4】
における必要複素線形組み合わせ係数を適切に量子化して報告することが不可欠である。
【0005】
(式2)から見て取れるように、FDの圧縮は、
【数5】
に取り込まれた複素組み合わせ係数に関連付けられている。即ち、cp,l,dは、p番目の偏波、l番目の空間ビーム、及びd番目のDFT基底ベクトルの組み合わせ係数である。しかしながら、
【数6】
の全ての係数が報告されなくてもよい。実際のところ、2LM個の係数のうち、
【数7】
だけが報告される。
【0006】
p,l,d,p∈{1,2,3,4},l∈{1,...,2L},d{1,...,M}の複素係数の報告に関連付けられたオーバーヘッドを低減するために、適切な量子化アプローチが重要となり得る。一例では、前述のK0(<2LM)個の複素係数の振幅及び位相を別個に量子化することができる。例えば、K0個の複素係数の振幅及び位相を別個に量子化することができる。しかしながら、量子化された値を係数の正確な値に可能な限り近似させながら、関連付けられたオーバーヘッドを低減するためには、幾つかの適切な量子化メカニズムを特定することが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS 38.214 V15.3.0 (2018-09); NR; Physical layer procedures for data (Release 15) [1] 3GPP RAN1 #98、RAN1 Chairman's Notes、2019年8月
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態は、K個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する制御部と、前記CSI報告を送信する送信部と、を含み、前記Kの最大値はKであり、前記Kは以下の式によって与えられ、
【数7A】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とする端末に関する。
【0009】
本発明の1つ以上の実施形態は、第1の個数の振幅を示す値が規定されている第1のテーブルと、前記第1の個数と異なる第2の個数の振幅を示す値が規定されている第2のテーブルとが、前記CSI報告の生成における振幅の量子化のために設定されている、端末を更に含んでもよい。
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態は、K個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する工程と、前記CSI報告を送信する工程と、を含み、前記Kの最大値はKであり、前記Kは以下の式によって与えられ、
【数7B】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とする端末が実行する無線通信方法を更に含んでもよい。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態は、端末と基地局を含むシステムであって、前記端末は、K個の係数に量子化を実行してチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)報告を生成する制御部と、前記CSI報告を送信する送信部と、を含み、前記基地局は、前記CSI報告を受信し、前記Kの最大値はKであり、前記Kは以下の式によって与えられ、
【数7C】
ここで、前記Lはビームの数であり、前記Mはサブバンドに関連づけられたベクトルの数である、ことを特徴とするシステムを更に含んでもよい。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態は、量子化された値を正確な係数に可能な限り近似させながら、関連付けられたオーバーヘッドを低減するための幾つかの適切な量子化メカニズムを特定することができる方法及びシステムを提供する。本発明の他の実施形態及び利点は、以下の説明及び図面から認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1つ以上の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施例の1つ以上の実施形態に係る値のセットを定義するテーブルを示す図である。
図3】本発明の第2の実施例の1つ以上の実施形態に係る値のセットを定義するテーブルを示す図である。
図4】本発明の第3の実施例の1つ以上の実施形態に係る値のセットを定義するテーブルを示す図である。
図5】本発明の第5の実施例の1つ以上の実施形態に係る無線通信システムにおける動作を示すシーケンス図である。
図6】本発明の1つ以上の実施形態に係る基地局の機能ブロック図である。
図7】本発明の1つ以上の実施形態に係るUEの実施例の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態では、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、それらの具体的な詳細がなくとも、本発明を実施できることは明らかであろう。他の例では、本発明が不明確になることを回避するために、公知の特徴については詳細には説明しない。更に、当業者であれば、例えば「決定する(determine)」及び「想定する(assume)」等の様々な用語は同義で用いられてもよいことを理解するであろう。
【0015】
以下では、図1を参照しながら、本発明の1つ以上の実施形態に係る無線通信システム1を説明する。図1に示すように、無線通信システム1は、UE10、BS20、及びコアネットワーク30を含む。無線通信システム1は、NRシステム又はLTE(Long Term Evolution)/LTE-A(LTE-Advanced)システムであってもよい。BS20は、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)技術を用いて、複数のアンテナポートを介してUE10と通信する。BS20は、gNB(gNodeB)又はeNB(Evolved NodeB)であってもよい。本発明の実施形態では、BS20は、ネットワーク(NW)と呼ばれてもよい。BS20は、コアネットワーク30に接続された上位ノード又はサーバ等のネットワーク装置から、アクセスゲートウェイ装置を介して下りリンクパケットを受信し、その下りリンクパケットを複数のアンテナポートを介してUE10に送信する。BS20は、UE10から上りリンクパケットを受信し、その上りリンクパケットを複数のアンテナポートを介してネットワーク装置に送信する。
【0016】
BS20は、UE10との間で無線信号を送信するためのMIMO用のアンテナ、隣接するBS20と通信するための通信インターフェース(例えば、X2インターフェース)、コアネットワークと通信するための通信インターフェース(例えば、S1インターフェース)、UE10との間で送受信された信号を処理するためのプロセッサ又は回路等のCPU(Central Processing Unit)を含む。以下において説明するBS20の機能及び処理は、メモリに格納されたデータ及びプログラムをプロセッサが処理又は実行することで実現されてもよい。しかしながら、BS20は、上述のハードウェア構成に限定されるものではなく、任意の適切なハードウェア構成を含んでもよい。一般的に、複数のBS20が、無線通信システム1のより広範なサービスエリアをカバーするように配置されてもよい。
【0017】
UE10は、MIMO技術を用いてBS20と通信する。UE10は、BS20とUE10との間で、データ信号及び制御信号等の無線信号を送受信する。UE10は、移動局、スマートフォン、携帯電話、タブレット、モバイルルータ、又はウェアラブルデバイス等の無線通信機能を有する情報処理装置であってもよい。UE10は、CPU、例えばプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、及びBS20とUE10との間で無線信号を送受信するための無線通信装置を含む。例えば、以下において説明するUE10の機能及び処理は、メモリに格納されたデータ及びプログラムをCPUが処理または実行することで実現されてもよい。UE10は、上述のハードウェア構成に限定されるものではなく、例えば、以下に説明する処理を実現するための回路を備えた構成であってもよい。
【0018】
本発明の1つ以上の実施形態に係る方法は、(l,d)番目の組み合わせ係数の振幅を、(p番目の偏波の)ap,l,dにすることができる。従ってこれを次式のように近似的に表すことができる:
【数8】
式3において、
【数9】
は、nビットを用いて示される、l番目の空間ビームの広帯域振幅を表し、
【数10】
は、mビットを用いて示される、d番目のDFT基底ベクトルの振幅を表し、
【数11】
は、(l,d)番目の組み合わせ係数の差動振幅を表す。
【0019】
本発明の1つ以上の実施形態では、複数の差動振幅及び/又は差動位相に対して、異なる量子化が考慮されてもよい。特に、K1個の最も強い(strongest)係数には、
【数12】
が、振幅(位相)量子化に用いられる。他の(K1-K0)個の係数には、
【数13】
が、振幅(位相)量子化に用いられる。一部の実施例では、最も強い係数が、量子化されていない、又は量子化されたK0個の係数の振幅から選択されてもよい。
【0020】
(第1の実施例:nビットの広帯域振幅)
本発明の第1の実施例の1つ以上の実施形態によれば、各2D-DFT空間ビームに対して、nビットの広帯域(WB)振幅が識別されてもよい。
【0021】
第1の実施例のオプション1では、nは所定値のセットに基づいてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、所定値のセットが、3GPP規格において、例えば図2に示したように、3GPP TS 38.214のTable 5.2.2.2.3-2において定義されていてもよい。
【0022】
第1の実施例のオプション2では、異なる振幅値が規定されている複数のテーブルを設けることができる(例えば、オプション1は、考えられるそのようなテーブルの1つを示す)。ネットワーク(NW)は、下りリンク制御情報(DCI)におけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、どのテーブルを使用するかをUEに通知する。この場合、nは通知されるテーブルにおける値の個数に依存してもよい。例えば、テーブルに4個の値がある場合、n=2ビット、8個の値がある場合、n=3ビット、以下省略。
【0023】
第1の実施例のオプション3では、UEは、上位レイヤパラメータによって、そのようなテーブル(オプション1におけるテーブル)のセットが設定されると想定する。更に、UEは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングによって示されるテーブルを使用することを想定してもよい。この場合、nは、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに4個の値がある場合、n=2ビットである。例えば、テーブルに8個の値がある場合、n=3ビットである。
【0024】
第1の実施例のオプション4では、上記のオプションのいずれも設定されない場合には、UEは、オプション1を想定する。
【0025】
(第2の実施例:mビットのFD成分振幅)
本発明の第2の実施例の1つ以上の実施形態によれば、各DFT基底ベクトル(FD成分)に対して、mビットの振幅が識別されてもよい。第2の実施例のオプション1では、mは、所定値のセットに基づく。1つ以上の実施形態では、値のセットが、3GPP規格において、例えば図3に示したように、3GPP TS 38.214のTable 5.2.2.2.3-2において定義されていてもよい。
【0026】
第2の実施例のオプション2では、異なる振幅値が規定されている複数のテーブルを設けることができる(例えば、オプション1は、考えられるそのようなテーブルの1つを示す)。NWは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、使用されるテーブルをUEに通知する。この場合、mは、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに4個の値がある場合、m=2ビットである。例えば、テーブルに8個の値がある場合、m=3ビットである。
【0027】
第2の実施例のオプション3では、UEは、上位レイヤパラメータによって、そのようなテーブル(オプション1におけるテーブル)のセットが設定されると想定し、またUEは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングによって示されるテーブルを使用することを想定する。この場合、mは、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに4個の値がある場合、m=2ビットである。例えば、テーブルに8個の値がある場合、n=3ビットである。
【0028】
第2の実施例のオプション4では、上記のオプション1から3のいずれも設定されない場合、UEは、DFT基底ベクトルの振幅を報告する必要はないと想定し、WB振幅及び差動係数振幅のみを送信してもよい。
【0029】
(第3の実施例:K1個の最も強い係数の差動振幅)
本発明の第3の実施例の1つ以上の実施形態によれば、K0(<2LM)個の報告係数に対して、差動振幅(WB振幅及びFD成分振幅を参照)の量子化を以下のように達成することができる。K1(<K0)個の主係数(最も強い係数)に対して、
【数14】
を用いる差動振幅量子化が実行されてもよい。
【0030】
第3の実施例のオプション1では、
【数15】
は、1つ以上の所定値のセットに基づく。例えば、1つ以上の実施形態では、1つ以上の所定値のセットが、3GPP規格において、例えば図4に示したように、3GPP TS 38.214のTable 5.2.2.2.3-3において定義されている。
【0031】
第3の実施例のオプション2では、異なる振幅値が規定されている複数のテーブルを設けることができる(例えば、オプション1は、考えられるそのようなテーブルの1つを示す)。NWは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、使用されるテーブルをUEに通知する。この場合、
【数16】
は、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに2個の値がある場合、
【数17】
である。
【0032】
第3の実施例のオプション3では、UEは、上位レイヤパラメータによって、そのようなテーブル(オプション1におけるテーブル)のセットが設定されると想定する。更に、UEは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングによって示されるテーブルを使用することを想定する。この場合、
【数18】
は、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに2個の値がある場合、
【数19】
である。
【0033】
第3の実施例のオプション4では、K0個の係数全てに対して、1又は0(即ち1ビット)が差動振幅としてフィードバックされる。例えば、(l,d)番目の組み合わせ係数の振幅は、差動振幅として1が選択された場合、
【数20】
となる。第3の実施例のオプション5では、K1が設定されない場合、UEはオプション4を想定して適用してもよい。
【0034】
(第4の実施例:最も強いK1個の係数の位相量子化)
本発明の第4の実施例の1つ以上の実施形態によれば、最も強いK1個の係数に対して、
【数21】
を用いた位相量子化が実行されてもよい。この場合、
【数22】
は、選択された位相量子化、即ちQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、8PSK(8 Phase Shift Keying)、又は16PSKに依存し、これらは上位レイヤシグナリングから設定される。例えば、8PSKが設定される場合、
【数23】
が、最も強いK個の係数の位相報告に使用される。
【0035】
第4の実施例のオプション1では、
【数24】
は、所定の位相量子化に基づいてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、所定の位相量子化が、3GPP規格において定義されていてもよい。例えば、上述のように、所定の位相量子化は、QPSK、8PSK、16PSK等であってもよい。
【0036】
8PSKを例にすると、
【数25】
であり、16PSKを例にすると、
【数26】
である。
【0037】
第4の実施例のオプション2では、複数の位相量子化(例えば、8PSK、16PSK)が指定されてもよい。この例では、NWは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、どの位相量子化が使用されるかをUEに通知してもよい。この場合、
【数27】
は、通知される位相量子化に依存する。例えば、8PSKが通知される場合、
【数28】
であるか、又は16PSKが通知される場合、
【数29】
である。
【0038】
第4の実施例のオプション3では、K0個の係数全てが、同一の位相量子化によって量子化される。従って、この例では、
【数30】
である。例えば、QPSKの場合、
【数31】
であるか、又は8PSKの場合、
【数32】
である。ここで、
【数33】
は、(K0-K1)個の線形組み合わせ係数の量子化ビット数である。
【0039】
第4の実施例のオプション4では、K1が設定されない場合、UEはオプション3を想定して適用してもよい。
【0040】
(第5の実施例:他の(K0-K1)個の係数の差動振幅)
例えば、他の(K0-K1)個の係数に対して、
【数34】
を用いる差動振幅量子化が実行されてもよい。第5の実施例のオプション1では、
【数35】
は、所定値の1つ以上のセットに基づく。例えば、1つ以上の実施形態では、所定値の1つ以上のセットが、3GPP規格において定義されていてもよい。第5の実施例のオプション2では、異なる振幅値が規定されている複数のテーブルを設けることができる(例えば、オプション1は、そのようなテーブルの1つを示す)。NWは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、どのテーブルが使用されるかをUEに通知する。この場合、
【数36】
は、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに2個の値がある場合、
【数37】
である。
【0041】
第5の実施例のオプション3では、UEは、そのようなテーブル(オプション1におけるテーブル)のセットが上位レイヤパラメータによって設定されるか、又はDCIのxビットによって指示されると想定する。この場合、
【数38】
は、通知されるテーブルにおける値の個数に依存する。例えば、テーブルに2個の値がある場合、
【数39】
である。
【0042】
第5の実施例のオプション4では、K0個の係数全てに対して、1又は0(1ビット)が差動振幅としてフィードバックされる。例えば、(l,d)番目の組み合わせ係数の振幅は、差動振幅として1が選択された場合、
【数40】
となる。
【0043】
第5の実施例のオプション5では、上記のオプションのいずれも設定されない場合には、UEは、オプション4を想定して適用してもよい。
【0044】
(第6の実施例:他のK0-K1個の係数の位相量子化)
本発明の第4の実施例の1つ以上の実施形態によれば、K0-K1個の係数に対して、
【数41】
を用いた位相量子化が実行されてもよい。この場合、
【数42】
は、選択された位相量子化、即ちQPSK、8PSK、又は16PSKに依存し、これらは上位レイヤシグナリングから設定される。例えば、8PSKが設定される場合、
【数43】
が、K0-K1個の係数の位相報告に使用される。
【0045】
第6の実施例のオプション1では、
【数44】
は、所定の位相量子化に基づいてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、所定の位相量子化が、3GPP規格において定義されていてもよい。例えば、上述のように、所定の位相量子化は、QPSK、8PSK、16PSK等であってもよい。
【0046】
8PSKを例にすると、
【数45】
であり、16PSKを例にすると、
【数46】
である。
【0047】
第6の実施例のオプション2では、複数の位相量子化(例えば、QPSK、8PSK、16PSK)が指定されてもよい。この例では、NWは、DCIにおけるxビット又は上位レイヤシグナリングを用いて、どの位相量子化が使用されるかをUEに通知してもよい。この場合、
【数47】
は、通知される位相量子化に依存する。例えば、QPSKが通知される場合、
【数48】
である。
【0048】
第6の実施例のオプション3では、K0個の係数全てが、同一の位相量子化によって量子化される。したがって、この例では、
【数49】
である。例えば、QPSKの場合、
【数50】
であり、8PSKの場合、
【数51】
である。
【0049】
第6の実施例のオプション4では、K1が設定されない場合、UEはオプション3を想定して適用してもよい。
【0050】
(第7の実施例:K1(最も強い係数の♯)がNWによって設定される)
本発明の第7の実施例の1つ以上の実施形態によれば、K1の値をNWによって直接的に設定することができる。代替的に、K1は、K1=floor(p×K0)又はK1=ceil(p×K0)、但しp≦1、のようなK0の少数部分として定義されてもよい。また、前述の実施例では、p=βであることも考えられる。更に、具体的なUE動作は、以下のように要約することができる。
【0051】
第7の実施例のオプション1では、UEは、K1が(例えばNWからの)上位レイヤパラメータによって設定されると想定する。UEにK1(又はp)の値が設定されない場合、UEは、K1がK0と同じであると想定する。しかしながら、値はこれに限定されない。他の値を定義することも可能である。
【0052】
オプション1-1では、別の値が、3GPP規格において予め決定されている整数値である。オプション1-2では、別の値が、floor(p×K0)又はceil(p×K0)であり、ここでpは、3GPP規格において予め決定されている(例えばp=1/2)。第7の実施例のオプション2では、UEは、K1の値のセットが上位レイヤパラメータによって設定されるか、又はDCIにおけるxビットによって指示されると想定し、それによって、UEには、どの値が使用されるかが通知される。
【0053】
オプション2-1では、xが、3GPP規格において規定されていてもよい。例えば、x=2である。オプション2-2では、xが、上位レイヤシグナリングによって設定される、1セット当りの値の個数に応じてフレキシブルであってもよい。例えば、1セット当り4つの値が設定される場合、UEは、DCIにおいて2ビットを想定する。例えば、1セット当り8つの値が設定される場合、UEは、DCIにおいて3ビットを想定する。
【0054】
第7の実施例のオプション3では、UEは、K1(又はp)の値のセットが予め決定されているか、そうでない場合には3GPP規格において規定されていると想定する。例えば、UEは、DCIにおけるxビットによって指示されるようなセットの1つの値を想定してもよい。例えば、xは、3GPP規格において規定されていてもよく、例えばx=2である。
【0055】
(第8の実施例:K1個の最も強い係数を識別する場合)
本発明の第8の実施例の1つ以上の実施形態によれば、K1個の最も強い係数を識別するために1つ以上のシナリオが存在する。
【0056】
第8の実施例のオプション1では、量子化されていない係数振幅に基づいて、K0からK1個の最も強い係数が識別されてもよい。例えば、量子化されていない組み合わせ係数行列を
【数52】
とする。この例では、K1個の最も強い係数は、量子化されていない係数振幅を参照することによって選択される。
【数53】
【0057】
第8の実施例のオプション2では、量子化された係数振幅に基づいて、K0からK1個の最も強い係数が識別されてもよい。例えば、
【数54】
の最初の振幅が量子化される。続いて、
【数55】
の量子化された振幅を参照することによって、K1個の最も強い係数に到達してもよい。なお、この方式でのK1の選択は、位相量子化のみに影響を与える。
【0058】
図5は、本発明の第5の実施例の1つ以上の実施形態に係るNWによってK(主係数)が設定される動作例を示すシーケンス図である。図5に示すように、ステップS101では、gNB(NWとも呼ばれる)が、K1(又はp)を示すか、又は利用可能なK1(又はp)の値のセットからどのK1(又はp)の値を選択するかを示すDCIを送信し、続いて、NWがCSI-RSを送信する。ステップS102では、UEがDCIを用いるCSI-RSに基づいてCSI報告を行う。ステップS103では、gNBがCSI-RSを送信する。ステップS104では、UEがCSI-RSに基づいてCSI報告を行う。ステップS105では、gNBが、K1(又はp)を示すか、又は利用可能なK1(又はp)の値のセットからどのK1(又はp)の値を選択するかを示すDCIを送信し、続いて、gNBがCSI-RSを送信する。ステップS101からS105の間で、K1(又はp)がその時間中に確定される。K1(又はp)は、周期的又は非周期的に指示されてもよい。ステップS106では、UEがDCIを用いるCSI-RSに基づいてCSI報告を行う。
【0059】
以下では、図6を参照しながら、本発明の1つ以上の実施形態に係るBS20を説明する。図6に示すように、BS20は、3D MIMO用のアンテナ201、コアネットワーク30とのインターフェースであってもよい伝送路インターフェース206、ベースバンド信号プロセッサ204、呼処理部205、送信部/受信部203、アンプ部202、CSI-RSスケジューラ(図示せず)、CS-RSジェネレータ(図示せず)、プリコーダ(図示せず)、及びマルチプレクサ(図示せず)を含んでもよい。送信部/受信部回路203は、送信部(TXRU)及び受信部を含んでもよい。
【0060】
アンテナ201は、2Dアンテナ(平面アンテナ)、又は円筒状に配置されたアンテナ又は立方体に配置されたアンテナ等の3Dアンテナ等の複数のアンテナ素子を含む多次元アンテナから構成されてもよい。アンテナ201は、1つ以上のアンテナ素子を有するアンテナポートを含む。UEとの3D MIMO通信を行うために、各アンテナポートから送信されるビームが制御される。
【0061】
アンテナ201は、リニアアレイアンテナに比べて、アンテナ素子の数を容易に増やすことができる。多数のアンテナ素子を用いるMIMO送信により、システム性能の更なる向上が期待される。例えば、3Dビームフォーミングでもって、アンテナ数の増加に従い、高いビームフォーミング利得も期待される。更に、MIMO送信は、例えばビームのヌル点制御による干渉低減の観点からも有利であり、またマルチユーザMIMOのユーザ間の干渉除去等の効果も期待できる。
【0062】
送信部/受信部203は、アンプ部)202及び/又はアンテナ201に対する入力信号を生成し、アンテナ201からの出力信号の受信処理を行う。送信部/受信部回路203に含まれる送信部は、アンテナ201を介してデータ信号(例えば、参照信号及びプリコーディングされたデータ信号)をUE10に送信する。送信部は、決定されたCSI-RSリソースの状態を示すCSI-RSリソース情報(例えば、サブフレーム設定ID及びマッピング情報)を、上位レイヤシグナリング又は下位レイヤシグナリングによってUE10に送信する。送信部は、決定されたCSI-RSリソースに割り当てられたCSI-RSをUE10に送信する。送信部/受信部回路203に含まれる受信部は、アンテナ201を介して、データ信号(例えば、参照信号及びCSIフィードバック情報)をUE10から受信する。
【0063】
CSI-RSスケジューラは、CSI-RSに割り当てるCSI-RSリソースを決定する。例えば、CSI-RSスケジューラは、サブフレームにCSI-RSを含むCSI-RSサブフレームを決定する。CSI-RSスケジューラは、少なくとも、CSI-RSがマッピングされるREを決定する。CSI-RS生成部は、下りリンクチャネル状態を推定するためのCSI-RSを生成する。CSI-RS生成部は、CSI-RS以外にも、LTE規格によって定義された参照信号、個別参照信号(DRS:dedicated reference signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific reference signal)、プライマリ同期信号(PSS:Primary synchronization signal)及びセカンダリ同期信号(SSS:Secondary synchronization signal)等の同期信号、また新たに定義された信号を生成してもよい。
【0064】
プリコーダは、下りリンクデータ信号及び下りリンク参照信号に適用されるプリコーダを決定する。プリコーダは、プリコーディングベクトルと呼ばれ、より一般的にはプリコーディング行列と呼ばれる。プリコーダは、推定された下りリンクチャネル状態を示すCSIと、入力されて復号されたCSIフィードバック情報とに基づいて、下りリンクのプリコーディングベクトル(プリコーディング行列)を決定する。
【0065】
マルチプレクサは、CSI-RSスケジューラによって決定されたCSI-RSリソースに基づいて、REにCSI-RSを多重する。送信される参照信号は、セル固有であってもよいし、UE固有であってよい。例えば、参照信号は、PDSCH等の信号に多重されてもよく、参照信号は、プリコーディングされてもよい。ここで、参照信号の送信ランクをUE10に通知することによって、チャネル状態の推定は、チャネル状態に応じた適切なランクで実現されてもよい。
【0066】
以下では、図7を参照しながら、本発明の1つ以上の実施形態に係るUE10を説明する。図7に示すように、UE10は、BS20との通信に使用されるUEアンテナ101、アプリケーション部105、制御部104、1つ以上のアンプ部102、送信部/受信部回路103、デマルチプレクサ(図示せず)、チャネル推定部(図示せず)、CSIフィードバック制御部(図示せず)、及びCSI-RS制御部(図示せず)を含んでもよい。送信部/受信部回路1031は、送信部及び受信部を含んでもよい。送信部/受信部回路103に含まれる送信部は、UEアンテナ101を介して、データ信号(例えば、参照信号及びCSIフィードバック情報)をBS20に送信する。送信部/受信部回路103に含まれる受信部は、UEアンテナ11を介して、データ信号(例えば、CSI-RS等の参照信号)をBS20から受信する。
【0067】
デマルチプレクサは、PDCCH信号を、BS20から受信した信号から分離する。チャネル推定部は、BS20から送信されたCSI-RSに基づいて下りリンクチャネル状態を推定し、CSIフィードバック制御部に出力する。CSIフィードバック制御部は、下りリンクチャネル状態を推定するための参照信号を用いて推定された下りリンクチャネル状態に基づいて、CSIフィードバック情報を生成する。CSIフィードバック制御部は、生成されたCSIフィードバック情報を送信部に出力し、送信部は、CSIフィードバック情報をBS20に送信する。CSIフィードバック情報は、ランクインジケータ(RI:Rank Indicator)、PMI、CQI、BI等の少なくとも1つを含んでもよい。CSI-RS制御部は、CSI-RSがBS20から送信されると、CSI-RSリソース情報に基づいて、特定のユーザ装置がそのユーザ装置自体であるか否かを判断する。CSI-RS制御部が、特定のユーザ装置はそのユーザ装置自体であると判断した場合には、送信部は、CSI-RSに基づくCSIフィードバックをBS20に送信する。
【0068】
上記の実施例及び修正実施例は、相互に組み合わされてもよく、またそれらの実施例の様々な特徴を、様々な組み合わせで相互に組み合わせることができる。本発明は、本開示における特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0069】
本開示を、限られた数の実施形態のみに関して説明したが、本開示の恩恵を受ける当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の実施形態に想到し得ることは明らかであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7